仕事のやりがいに関する3つの嘘 

「やりがいのある仕事」というと、どんな仕事を思い浮かべるでしょうか。
立派な組織に所属して、立派な指導者の下で働けるような仕事?
けれども『GIVE & TAKE 与える人こそ成功する時代』の著者であるアダム・グラントは
そんな通説は嘘だ、といいます。
「仕事のやりがいに関する3つの嘘」とは、いったい何なのでしょうか?
元記事:http://linkd.in/1AHAsI4
by アダム・グラント
 

「砂糖水を売るか、世界を変えるか?」

1980年代、スティーブ・ジョブズは、当時ペプシ社にいたジョン・スカリーを

アップルへ引き抜こうとして、最後にこんな問いかけをしました。

「君は残りの人生を、砂糖水を売って過ごしたいのか、

それとも僕と一緒に世界を変えたくはないのか?」

当時、自分の仕事のやりがいを見つけられるかどうかは、

所属する組織に大きく左右されるものでした。

個人の目的意識も、所属する会社での役割から生じていました。

砂糖水を売ることに、たいした意味はなく、

一方、コンピューターの改革は、きわめてやりがいのある仕事だったのです。

けれども今日、あなたがどこで働いているかは、大きな問題ではありません。

そうして次の10年のうちに、事業主が誰であるかさえ、

誰も気に留めなくなっていくことでしょう。

 

やりがいのある仕事とは

調査によると、今日アメリカで多くの人が考える「やりがいのある仕事」とは以下のものです。

  • 聖職者及び宗教教育・活動の指導者:97%
  • 外科医:94%
  • 初等・中等教育アドミニストレーター:93%
    (※幼稚園や小中学で教育やケア活動を計画・コーディネイトする仕事)
  • カイロ・プラクター:93%

この4種類の仕事には、共通点があります。

そうしてこれらの仕事が、私たちが考える「やりがい」の嘘を、明らかにしてくれるのです。

Corps visits Godley Station Elementary School

 

その1. やりがいはどの組織で働くかで決まる、という嘘

 

やりがいを見つけるためには、アップルのような会社に就職しなければならない、

ということはありません。

上記の「やりがいのある仕事」はいずれも、

特定の組織に所属しなければならないものではなく、

さまざまな場所で働いている人が大勢いる職業です。

 

外科医は、週にいくつもの病院をかけもちしながら働くことも多い仕事です。

教育アドミニストレーターは、学校から学校へと移っていきます。

カイロプラクターも、さまざまな場所で施療します。

仕事は一定ですが、働く組織はさまざま。

つまり、組織ではなく、従事する活動によって識別される仕事です。

ダニエル・ピンクは『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』

の中で、「バイバイ、組織人」と言っていますが、

まさに「どこで働くか」と「やりがい」は無関係なのです。

 

その2. やりがいのある仕事は知的な職業である、という嘘

 

やりがいを見つけるためには、かならずしも知識労働者である必要はありません。

ひょっとしたら、先進工業国では、製造業を中心とする経済から、

知識集約型経済に転換した、という話を聞いたことがあるかもしれませんが、

実際には事実ではありません。

サービス産業が中心の経済なのです。

そうして、この誤解から2番目の嘘が生まれています。

アメリカでは、ほぼ10人のうち3人が、知識労働者です。

一方、サービス産業に従事する人は、アメリカの労働人口の約8割を占めています。

世界のGDPのうち、サービス部門の占める割合は、1980年代半ば以降、ほぼ3分の2を占め、

アメリカでは80%、EUでも73%を占めています。

多くの人が考える「やりがいのある仕事」は、すべてサービス業なのです。

外科医やカイロプラクターは、健康を促進する仕事。

聖職者及び宗教教育・活動の指導者は、精神の健康を。

教育者は、社会と精神の健康を。

もしこうした職業が存在しなかったとしたら、

人間はきっと今よりずっと悲惨なものになっていたでしょう。

つまり、やりがいのある仕事とは、ほかの人の生活を、よりよいものにする仕事なのです。

Frontier Sentinel 12

その3. やりがいは、理想的な上司がいるかどうかによる、という嘘

 

やりがいのある仕事をしようと思えば、スティーブ・ジョブズの下で

働かなければならない、というわけではありません。

目的は、上司が台本を書いてくれるものでも、

カリスマ的な指導者のひらめきによって与えられるものでもないのです。

そうではなく、その仕事に実際に携わっている人によって、形成されていくものです。

研究者であるエイミー・レズネスキーとジェーン・ダットンは、

このことを「ジョブ・クラフティング」と呼びます。

主体的に自分の仕事を活性化するように組み立て直していこう、というのです。

ふたりは、もっと大きなやりがいを求める医師と行動を共にしました。

彼は他の医師たちと相談する時間を削って、

多くの時間をレジデントのために講義をする時間を増やそうとしていました。

さらにふたりは病院の清掃員のグループにも出会いました。

彼らは職務範囲外であるにもかかわらず、患者の世話をするために独創的な方法を見つけ出し、

結果的に自分たちの仕事を、もっとやりがいのあるものにしていたのです。

清掃員のひとりは、昏睡患者のいる病棟で働いていました。

そうして壁の絵を並べ替えることを通じて、患者たちの覚醒をうながそうとしていました。

本来、意味づけるとは、自分を表現する行為であり、

仕事の意味とは、仕事を通して自分が何者なのかを明らかにする機会のことです。

仕事について、何百人という人とのインタビューを終えたスタッズ・ターケルは、

「仕事とは、日々の糧を探すものであるのと同様に、日々の意味を探るものである」

と言いました。

それを見つけるために、自分がどこに所属するかではなく、

自分が実際にやっていることの意味を理解することが大切なのです。

やりがいとは観念ではなく、人と人の結びつきのなかに生きているものです。

そうして、それはどこかから降ってくるものではなく、私たちの底から上がってくるものなのです。

 

 

 


元記事:http://linkd.in/1AHAsI4

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『シンプル・ルール』

Simple Rules: How to Thrive in a Complex World

『 シンプル・ルール:複雑な世界で成功する方法』

著者 ドナルド・サル、 キャサリン・M・アイゼンハート

 

 

自然界でもビジネスでも人生でも、単純さは複雑さを凌駕する

 

私たちは複雑さに取り囲まれています。

メールはひっきりなしに届き、いくつものリモコンを操作し、

スマートフォンの契約書から医療保険まで、

絡み合う規則のジャングルを、切り開きながら進まなければなりません。

    
けれども、複雑さは甘んじて受け入れなければならない運命ではないのです。

サルとアイゼンハートは、もっと良い方法がある、と主張します。

いくつかのシンプルな、けれども効果的なルールを身につけることで、

誰でも、どんなに複雑な問題にも、対処できる、と。

『シンプル・ルール』の中で、サルとアイゼンハートは、

私たちの複雑さに対するとらえ方に対して、疑問を投げかけ、

もっとうまく対処できるように新しいレンズを提供してくれます。

そうして私たちに、シンプルなルールとは何なのか、

シンプルなルールはどこからきたのか、なぜ効果を上げるのか、

驚くような世界へ案内してくれるのです。

著者は、重要な6種類のルールを明らかにします。

芸術家が創造性を得るためのルール。

連邦準備制度理事会が金利を決めるためのルール。

渡り鳥が移動ルートを覚えておくためのルール。

カーシェアリング・サービスをうまく運営するためのルール。

不眠症の人が眠りにつくためのルール。

登山者が安全に登山するためのルール。

Control 2E

    
緻密な研究と、興味深いストーリーを活かしながら、

ティナ・フェイが番組「30ロック」を制作するために、

サタデー・ナイト・ライブでの経験を体系化したルール

(ルール5:バカな人にバカと言ってはいけない)や、

空き巣が作りだした盗みのためのルール(「外に車が留めてある家はやめておく」)、

日本のエンジニアが、東京の鉄道網を最適化するために、粘菌のルールを模倣していることなど、

著者は思いがけないところに独創的な「ルール」を見出していきます。

さらに、新しい情報と、古いルールを改良し、

新しいルールを学ぶ実践的なヒントを披露してくれるのです。

情報の洪水と日々戦っている人、

限られたリソースを活かしながら、なんとかチャンスをものにしようとしている人、

悪習を何とかして改めたい人……

『シンプルなルール』は、単純さが複雑さを、どのように、そうしてなぜ、

手なずけていくのか、見事に解明されています。

 

 


元記事:http://amzn.to/1zMrcqW

(翻訳:服部聡子)

 

「いい人」ではなく、役立つ人になろう 

 

 

馬は人間よりもずっと多くのことを理解している。

毎日、自分の背に、違う生き物を乗せている馬が、

彼らのことを何も考えていないはずがない。

一方、毎日違う生き物の背に乗る人間が、

彼らのことを何も考えていない、というのは、

実によくある話である。

    ダグラス・アダムズ 『ダーク・ジェントリーの全人的探偵事務所』

 

会社の上司や、政治家の「先生方」、顧客の「お偉いさん」。

私たちの身の回りには、「権力」を持った人が大勢います。

――そんな人の目に、自分はどう映っているのだろう?

そんなふうに思ったことはありませんか?

自分は人間ではなく、「道具」や「歯車」としてしか扱われていないのではないか、

と感じたことは?

もしかしたら、そこには「権力のレンズ」がゆがめているのかもしれません。

「権力という度の入ったレンズは、私たちが相手を見、判断するときに、

お互いの姿をゆがめてしまうものです」

 

こう書くのは、ハイディ・グラント・ハルバーソンです。

彼女は近著『誰もわかってくれない場合にすべきこと』の中で、

私たちが気がつかないうちに、さまざまなレンズを通して、ものごとをゆがめて見ている、

と指摘します。

特に上司と部下、顧客と販売員、先生と生徒などの、いわゆる「上下関係」にある人は、

双方が「権力のレンズ」を通して相手を見ています。

このレンズのせいで、意図がうまく伝わらなかったり、誤解されたりして

双方が不満を抱く結果を引き起こしてしまうのです。

こうした事態を打開するためには、どうしたら良いのでしょうか。

World's Best Boss

権力は状況や環境に左右される

 

まず、わきまえておかなければならないのが

「ある人物Xが、あなたより権力を持っている、ということは、絶対にありません」

ということです。

つまり、あなたの上司があなたに対して権力をふるうのは、

「ある特定の状況において、限定された時間に、特定の条件においてのみ」

なのです。

たとえば、会社がなくなってしまったり、あるいはあなたが会社を辞めたりすれば、

上司は、もはやあなたに言うことを聞かせることはできません。

そのことをあなたもわかっているから、理不尽なことを言ってくる上司がいれば、

「辞めてやる!」と思うのですね。

でも、辞めるのはいつでもできること。

そうなる前に、状況を改善する方法をさぐってみましょう。

 

(相対的に)権力のある側は、あなたをどうみているか

さまざまな研究からわかっているのは、

権力を持つ人たちは、権力の無い人たちに対しては複雑で、繊細な考えをもつ必要がないと感じる

ということです。

 

「面接官や職場の上司は、権力を持つという感覚を抱くと、就職希望者や賞与を配分するときに、

固定観念に左右され、偏見を持ちやすくなる、という研究も報告されています」

自分をひとりの人間とは見ず、

「女性だから」とか「二流大学出身者だから」などという粗いくくりで

見なされた経験は、誰にもあることでしょう。

おもしろいことに、実験では、こうした固定観念を通して見る傾向が高いのは、

「リーダーが「任意に」選ばれた場合にのみ、当てはまる」ことが明らかになっています。

 

「リーダーが自身の社会的能力や仕事の適性に対して評価を受けて選ばれた場合は、

このような偏見は見られません」

無能な上司こそ、こうした固定観念を振りかざしてくる、という私たちの実感を、

実験も裏づけているのです。

けれども、こうした上司を私たちは「災難」として、堪え忍ぶしかないのでしょうか?

Watch your head

「権力のある人にあなたのことをしっかりと知ってもらうには、

あなたを知ることが必要であり、有益であるようにする必要があるのです」

とハルバーソンは言います。

あなたを固定観念でしか見ようとしない面接官や上司に対して、

あなたがどんな人であるかをしっかり知ってもらうためには、

あなたの「インストルメンタリティ(どれほど役に立つか)」が鍵になります。

ハルバーソンは以下のように述べています。

 

「権力を持つ人が目的を達成するために、あなたは何ができますか?

あなたをよく知ることで、彼らにとっては何の利益になりますか?

もし、あなたを詳しく知るために彼らが時間と労力を投資するならば、

どのような利益が生まれるでしょうか?

権力を持つ人が目的を達成するために、あなたは何ができますか?

あなたをよく知ることで、彼らにとっては何の利益になりますか?

もし、あなたを詳しく知るために彼らが時間と労力を投資するならば、

どのような利益が生まれるでしょうか?

役に立つ存在であるために、あなたがまず、すべきことは、

自分は権力を持つ人の願望や挑戦を理解しているだろうか? と自問することです。

たとえば、権力を持つ人があなたの上司であるとします。

自分の一年の目標や未来のゴールは知っていても、上司のそれは知っているでしょうか?

上司にとって、他の人からの手助けが一番必要になるのは、どこでしょうか?

どうすればその仕事を手伝うことができるのでしょうか?

上司にとっては、どこが上手く行っていないのでしょうか?

作業の時間配分をするとき、多くの人は柔軟に時間を使うことができません。

自分の上司が手伝いを必要としているときに手を貸せるように、

自分の仕事の優先順位を決めていけば、

あなたがどれほど役に立つ人間であるかは、劇的に知られることでしょう。

そして、役立つ存在であることはもちろんですが、

求められていることをやれば良いだけなのです。

しかし、あなたの存在が、何よりも知られる方法は、

上司が頼む前に、上司が必要としそうなことを準備しておくことです」

大切なのは、いい人になることではなく、役に立つ人になることです。

そうすれば、この「権力のレンズ」をあなたもうまく役立てることができるでしょう。

 

 

引用はすべて

誰もわかってくれない場合にすべきこと


参考:http://bit.ly/1F4cWuw

(翻訳:横手祐樹 責任編集:服部聡子)

本:『誰もわかってくれないときにすべきこと』 

No One Understands You and What to Do About It?

著者 ハイディ・グラント・ハルバーソン

 

 

あなたはこれまで誰かと会話中に、話が通じなかったり、

ちがう意味に受け取られたことはありませんか?

でも、そんな経験があるのは、あなただけではありません。

 

 確かにそれは、うれしいことではありません。

 でも、そんな情況におちいっても、

 何かできることがあるはずです。

 

 社会心理学者であり、ベストセラーの著者でもある

ハイディ・グラント・ハルバーソンは、

どうして誤解が生じるのか、

そうして、どのようにそれを解きほぐしていけば良いのかを明らかにしてくれます。

 

 誰もがゆがんだレンズを通してものを見ている

 

私たちはたいてい、他者が見る自分の姿も、自分が見る自分の姿と同じものだ、

他者は自分のほんとうの姿を見てくれている、と思っています。

ところが実際にはそうではないのです。

私たちの日常の交流は、他者が私たちのことをゆがめて見ている、微妙なバイアスに彩られています。

そうしてまた、そのことが逆に、私たちの相手に対する認識をも、形づくっているのです。

 

ひとたび自分の認識をゆがめているレンズの存在に気づいたら、

自分が相手にどんなメッセージを送っているのか、はっきりと理解できるようになるでしょう。

 

  • 信頼 : あなたは味方か、それとも敵か?
  • 力 : あなたはどのくらい、私に力を及ぼそうとしているのか?
  • エゴ : あなたは私を不安な気持ちにさせているのか?

 

過去数十年の心理学と社会学の研究に基づいて、

ハルバーソンは、こうしたレンズが私たちのやりとりに、どのような影響を及ぼしているのか、

そうして、それをどのようにうまく扱っていけばよいのか、解きあかします。

 

あなたがひとたび〈印象〉の科学を理解したなら、自分の意図したことを、

もっと正確なメッセージとして相手に送ることができるはずです。

その結果、人間関係も好転するでしょう。

さらに、ほかの人に対しても、もっと正確で公平な判断をくだせるようになるでしょう。

 

それだけではありません。

ハルバーソンは、傷つけられた評判を修復するために、科学的根拠に基づく行動プランを

私たちに示してくれています。

 

本書は、良い印象を与えるための本ではありません。

けれども、結果的にあなたが周囲に良い印象を与えることになるのを、手伝ってくれます。

それは、あなたが意図したとおり、正確に、相手に受け入れられる、ということでもあります。

それこそが、私たちが手に入れようと努力している確実性なのです。

 

 

関連記事:「「いい人」ではなく、役立つ人になろう」


?元記事:http://amzn.to/1aFvKDN

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『キャプチボロジー 注目を引くことの科学』

Captivology: The Science of Capturing People’s Attention

著者 ベン・パー

 

あなたのアイデアはもっと注目を集めてもいい

だから人を引きつける秘訣を学ぼう

 

『キャプチボロジー』は、ジャーナリストであり、

起業家、投資家でもあるベン・パーの最新作です。

 

本書でパーが取り上げるのは、「注目」ということ。

注目されることで、どのような効果があるのか、

なぜ注目されなければならないのか、

注目されるためには、

人の心にどのようなトリガーを引き起こさなければならないのか、

さらに、注目されることによって、私たちの情熱や、

プロジェクトや、アイデアは、

どのような変化が生じるのか……など、

さまざまなが明らかにされていきます。

 

パーは「注目」に関する最新の研究と、

科学者や著名人50人以上に及ぶインタビューの結果を引きながら、

本書を展開していきます。

登場するのは、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ、

映画監督のスティーブン・ソダーバーグ、

リンクトインのCEOであるジェフ・ウェイナー、

マジシャンのデビッド・カッパーフィールド、

ベストセラー『内向型人間の時代』の著者スーザン・ケイン、

任天堂の宮本茂など。

いずれもアイデアや企画、また新しい会社や製品などを通じて、

人々の文化や意識に大きな変革をもたらした人々です。

 

その結果、本書は洞察力に富んだ、しかも実践的なものとなりました。

部下や子供たちに仕事の割り当てを変えるにはどうしたら良いか。

数百万ドルの広告費を費やすキャンペーンは、どのように計画すべきか。

つぎのプレゼンテーションは、どのように行うか。

どうすればあなたの製品にユーザーを引きつけることができるのか。

どのように訴えれば、世の中の人々はあなたの主張に同意してくれるのか。

本書はそうした問題に答えてくれます。

 

 

関連記事:「注目を引くための10の方法」

 

 

Ben Parr

Ben Parr :ジャーナリスト、著作家、起業家、ベンチャー・キャピタリスト

       2012年Forbsが選ぶ「30歳以下の30人」に選ばれる


元記事:http://amzn.to/1AUrF6I

 

(翻訳:服部聡子)

注目を引くための10の方法

by ベン・パー

 

 

あなたも注目を集めようと、あれこれ工夫していることでしょう。

 

新しい顧客に気づいてもらうためには、どうしたら良いのだろうか。

既存のクライアントの注意をつなぎとめておくためには、何をしたら良いのだろう。

上司の目に留まったり、つぎのデータで注目されたりするには、何が必要なのだろうか。

 

どれも解決のむずかしい問題です。

とりわけ、「注目」という作用の根本を理解している人は、ほとんどいないのですから。

Captivology

 私は

 『キャプチボロジー:注目を引くことの科学(原題)』

 を書くにあたって、1000以上の研究にくまなく目を通し、

 医学博士やビジネス・リーダー、著名人など、

 何十人もにインタビューをおこなって、

 どうして私たちは、

 ある特定の人物やアイデアだけに注目し、

 そうでないものに気づかずにいるのか、

 なんとか理解しようとしました。

 

そうして友人であるガイ・カワサキのために、

調査をもとに、注目を集めるための10の方法を、入念に選びました。

 

あなたがスーパースターにはなれないかもしれませんが、

あなたのアイデアがもっと注目される助けにはなることでしょう。

 

1. ホット・コーヒーをふるまおう

 

研究によれば、私たちが感じる肉体的な暖かさは、

対人関係の暖かさと関連づけられるということです。

言葉を換えれば、もしあなたが誰かに温かいコーヒーや紅茶をふるまえば、

相手もきっとあなたに暖かな感情を持ってくれるでしょう。

 

coffee

 

2. プロフィール写真を赤い線で囲もう

 

ティンダー(Tinder)やオンライン・デートでうまく相手を見つけたい?

ある研究によると、人の顔のまわりを、太く赤い線で囲むと、

まったく知らない人でも、好意を持ちやすくなるといいます。

出会いの場では、赤い色を味方にしましょう。

 

IMG_2638 B&W red border

 

3. 「購入」ボタンは色のコントラストをつけよう

 

アマゾンのページには、薄いオレンジ色の「カートに入れる」ボタンが設置されていますが、

それには理由があるのです。

その色は、サイトの白と薄いグレーの背景色に対して、くっきりとした色のコントラストをつけています。

そのことが、高いクリック率につながっているのです。

 

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4. 制限つきで提供する

 

何かが不足しているとき、私たちの判断基準は普段とは異なるものになります。

Gメールやブログ・プラットフォームのミディアムは、招待システムの導入で、

参加者を制限することによって、非常に多くの人の注目を集めました。

時間をかけて、少しずつ発表したり、アクセスを制限したりすることは、

注目を集める強力な方法のひとつです。

 

5. プレゼントは思いがけないときに

 

私たちの脳は、予想を超えたことが起こると、それに集中する仕組みになっています。

つぎに贈り物をするときには、いつもとちがうやり方を試してみてください。

たとえば特注のラッピング・ペーパーや、相手が予想もしていないときをねらう、

また、あなたの知られざる才能を活用する、といったことです。

かならず独自性と創造性を発揮しましょう!

 

6. 賞品や報酬のビジュアルを提供する

 

数多くの研究が、自分が望んでいる報酬や、頑張ればこんな成果が得られるということを、

実際に目で見ることによって、私たちのモチベーションは高まることを、示しています。

ですからオーディエンスには、報酬を言葉で説明するだけでなく、それを実際に見せてください。

 

7. 専門家を活用しよう

 

私たちは専門家に対して、驚くほどの敬意とともに注目します。

そうして専門家はつねに、企業にとっての最高のスポークスパーソンとして評価されています。

ですから、あなたの業界の信用できる専門家に、推薦文を書いてもらったり、

好意的なコメントを出してもらったりして、彼らを活用しましょう。

 

International Expert’s Meeting (02010175)

 

8. 大勢の人を活用しよう

 

私たちは「群衆の知恵」を信頼しています。

―― その信頼がなければ、イェルプ(Yelp)のようなサイトを利用する人はいないでしょう。

逆に、群衆の側もまた、自分も参加でき、直接にインパクトを与えられるようなサイトに引きつけられます。

 

9. 続きが気になる終わり方で

 

私たちには「完成」に対する、理性では抑えられない衝動強迫があります。

つまり、生まれついて、きちんと終わらせたいという、どうにもならないほどの欲求を抱いているのです。

そうして、不安定なものに対しては、非常に居心地の悪い思いをします。

逆に、あなたはストーリーやキャンペーンを、宙ぶらりんで終えることを、怖れないでください。

というのも、オーディエンスは「つづき」が気になるので、また聞きたくなるからです。

スティーブ・ジョブズが基調の締めくくりで何を言ったでしょうか。

「もうひとつ…(One more thing)」で終えたことを忘れないでください。

 

10. オーディエンスに「自分は特別」と感じさせる

 

私たちは、他者から認められたい、自分も一員であると感じたい、という、

生まれつきの欲求を抱えています。

大きなプロジェクトや、スタートアップ、ブランドは、周囲の人を巻き込んで、

あとあとまで残っていくコミュニティを形成します。

あなたのオーディエンスには、なによりも、自分が感謝され、尊重され、

大切にされているのだということを、知らせてください。

 

 

ここにあげた10の方法を試してみることで、あなたはもっと多くの注目を集めるようになるでしょう。

実社会の経験が教えるように、多くの人の注意を集めなければ、

人生で多くのことをおこなうことはできないのです。

 

 

関連記事:『キャプチボロジー 注目を引くことの科学』


?元記事:http://linkd.in/1IXj6yO?

(翻訳:服部聡子)

ピッチ(売り込み)の技術

by ガイ・カワサキ
元記事:https://www.linkedin.com/pulse/art-pitch-guy-kawasaki
(※この記事の翻訳は著者からの承諾を得てあります)

「我思う、ゆえに我あり」という言葉は忘れてください。
起業家にふさわしいのは、「我売り込む、ゆえに我あり」です。
 
売り込みは、お金を得るためだけにするのではありません。
それは合意を得るためであり、その合意こそがセールスやパートナーシップ、新規雇用などの良い結果をもたらすのです。
ここでは良い売り込みを構成する、重要な要素を紹介しましょう。

準備

ミーティングの席に着く前に、出席者全員の経歴やソーシャルメディアのアカウントを調べておきましょう。
その上で、あなたのプロジェクターを持ちこみます。
それからプレゼンテーションをロードした2台のノートパソコン、VGAアダプタも2つ、プレゼンテーションのコピーを保存したUSB、
さらにそのどれもが動かない場合に備えて、プレゼンテーションのプリントアウトを用意します。

ステージをセットする

ミーティングが始まると同時に、あなたはこれから行う売り込みの舞台を作っておかなければなりません。
最初に聞くべきことは
「お時間をどれほどいただけますか?」
ということです。
それから
「これからお伝えさせていただくことに関して重要と思われることがございましたら、3つほどあげていただけませんか」
とたずねます。
それから
「これから手短にプレゼンテーションをさせていただきますが、最後にご質問をいただけますでしょうか」
とお願いします。

F18のように

起業家は、「売り込み」という名の物語の第一章は、自伝から始めなければならないと思いこんでいます。
個人的な話をすれば、このチームのすばらしさが聞き手に伝わるものと思われているからです。
き手の側は、このスタートアップはいったい何をしているところなんだ? と首をかしげているというのに。
 
飛行機に喩えるなら、こうしたプレゼンテーションは、
ボーイング747が飛び立つ前に3キロほど走っているようなものです。
そうではなく、航空母艦の100メートル足らずのデッキから、一瞬で飛び立つF18をあなたはお手本にしなければなりません。
A Kuwaiti F18 Hornet Conducts a Simulated Air Attack on HMS St Albans During an Exercise in the Middle Eas

10-20-30 ルールを守る

プレゼンテーションの 10-20-30 ルールとは、
10枚のスライドを、20分以内に、30ポイントのフォントサイズで、というものです。
10枚のスライドに収めようと思えば、あなたは要点をぎりぎりまで絞りこまなければなりません。
20分間というのは、そもそもミーティングは開始が遅れがちになるものだし、
さらにウィンドウズなどを使っていた日には、プロジェクターが動くまでに40分かかるかもしれないからです……。
 
また、30ポイントのフォントサイズを使っていれば、
あなたは売り込みを棒読みするのではなく、語って聞かせることができます。

話すのはひとり

起業家の多くは、投資家が投資するのはチームに対してである、
だから売り込みでもチームワークを発揮しなければならない、と考えています。
 
そんな思い込みがあるものだから、4、5人の社員がプレゼンに参加して、それぞれが分担して話すようなことをするのです。
誰もがせりふのある役をもらえるという方針は、学校の劇ならすばらしいものでしょう。
ですが、売り込みは、学校の劇ではありません。
 
6 January 2007: "Let's look through the square window..."

小さな人に答える

プレゼンテーションをおこなっている人の肩に、小さな人がすわっている、と想像してみてください。
プレゼンターが何か言うたび、小さな人がぼそぼそと言います。
「それがどうした?」
あなたも自分の肩にいる小さな人の言葉に耳を傾けなければなりません。
 
というのも、あなたの話していることの重要性は自明のものではないし、
ましてや万人をうならせるようなものでもないからです。
ですから意見を述べるたびに、小さな人の投げかける 「それがどうした?」 を思い浮かべてください。

売り込みはひんぱんに

慣れることによって、満足のいくものができるようになります。
あなたが自分の売り込みに慣れ、落ち着いてできるようになれば、大きな効果が期待できるでしょう。
慣れるための早道はありません。
何度も売り込みをおこなうしかないのです。
USS Harry S. Truman Activity

口を閉じ、メモを取り、反芻する

メモを取っている姿は、「私はあなたは頭の良い人だと思っている」ということを訴えています。
「あなたの話は、書き留める価値がある。ぜひ勉強したいです。私は勤勉です」と。
メモを取ることには、記録した情報の価値に加えて、こうしたメリットもあるのです。
 
さらにミーティングの終わりに、あなたの聞いたことを要約し、
自分の得た情報が正しいかどうか確認するために、それを相手にも聞かせてください。
その後、翌日までに、売り込みを通して取り交わした約束、たとえば追加情報の提供などを、すべて果たしてください。

リライトする

ひとつの売り込みを5回ほど重ねたあとは、あなたはそのプレゼンテーションを捨て、白紙の状態から再スタートを切ってください。
この売り込み“version 2.0”では、それまでにあなたが得た知識を、パッチワークのようにはぎあわせるのではなく、
認識の全体構造としてのゲシュタルトに反映させていってください。
 

 

 

 

 


元記事:https://www.linkedin.com/pulse/art-pitch-guy-kawasaki

(翻訳:服部聡子)

 

 

ソーシャルメディア 書かれざる11のルール 

by ガイ・カワサキ
元記事:http://linkd.in/1CykrcF
(※この記事は著者からの承諾を得て翻訳しています)
 
ソーシャルメディアには、構成や内容についての独自の不文律があります。
ここでは私が実行に移して効果を上げたものを紹介しましょう。

1. 手短に

グーグルプラスやフェイスブックに最適なのは、2~3つのセンテンスです。
ツイッターはもちろん140字という制限があります。

2. 投稿はみんなに向けて

自分の才能を隠したりしないでください。
できるだけ広範に公開し、気づいてもらう必要があります。
そのために、誰もがあなたの投稿を読めるようにしましょう。
プラットフォームの規模は、どれだけ大きくても大きすぎるということはありません。
Photo:Social By:JD Hancock
Photo By:JD Hancock

3. 投稿の頻度をあげよう

投稿が少ないからといって、誰かが文句を言うことはありませんが、
逆に多すぎると、そのことについて何か言われたり、読者を失うことになるかもしれません。
そのようなことが起こったら、分量を調節しましょう。

4. カンニングはしてもいい

ホットな話題のまとめを定期的に調べて、それについて投稿しましょう。
グーグル+には、もっとも人気のあるページを集めたオールトップ (Alltop) があります。
またポストワーシーを見ると、私が何について投稿するかもわかるかもしれません。
(内部情報:私はオールトップの共同創設者です)

5. 情報ソースをリンクする

あなたが利用した情報や分析、助けになったサイトはリンクします。
これには3つの目的があります。

  •  読者はその問題について、もっと詳しく知ることができます。
  •  感謝の意をこめて、ソースにトラフィックを送ります。
  •  ソースを引用する習慣を身につけることができます。

6. 感謝する

あなたがシェアしたものに対して、誰かほかの人が注目してくれたら、その人の名前にふれて、感謝の意を示しましょう。
そうすることで、あなたの品位を示すことができますし、ゲームをどのように進めたら良いかわかっている、という印象を与えます。
さらに、善いおこないに対する報いも返ってきます。
ですから  ABC=“Always Be Crediting”(つねに褒める人であろう) を忘れずに。
Photo:~thank you~ By:Amber B McN
photo by:Amber B McN

7. 写真やビデオ入りの記事を

テキストばかりの記事では、ソーシャルメディアという、高度に視覚化された世界には入することはできません。
投稿にも、かならず注意を引くための、目を楽しませるものを挿入してください。
写真やビデオが、あなたの撮ったものでないならば、撮影者の名前やソースをクレジットしておいてください。

8. 能動態を使う

「本日、アップルは新しいiPhoneを発表した」という表現の方が
「本日、新しいiPhoneについての発表が、アップルからおこなわれた」というより、力強い印象を受けます、
簡潔さと能動態は、1枚のコインの裏表です。

9. ハッシュタグを加える

 
ハッシュタグをつけておけば、グーグル+とツイッターで人気のある話題に関してのあなたの投稿が、
多くの人の目に留まりやすくなります。
たとえば、あなたがベーコンの話題をシェアし、投稿するときには「#ベーコン」を記事に付け加えてください。
 
Photo:Attachment By:mikecogh
Photo By:mikecogh

10. オーディエンスが起きている時間に投稿する

単純なことですが、あなたのターゲットであるオーディエンスが起きている時間に投稿し、シェアすることは大切です。

11. ツイートを繰りかえす

私の場合、8時間間隔で4回、ツイートを繰りかえしています。
こうすれば、クリックスルーも4倍に増やすことができることがわかっています。
シェアしてから、時間がどれほど経っていても、みんながその投稿を読んでくれると思っているのだとしたら、それはまちがっています。
グーグル+とフェイスブックでは、投稿を繰りかえしたりはしません。
これが当てはまるのは、ツイッターだけだからです。
 
ソーシャルメディアに「正しいこと」も「間違っていること」もありません。
そこでは、あなたに役立つか、それともそうでないかなのです。
これらの実践は、私の役に立っています。
ですから、みなさんの役にも立つかもしれないので、試してみることをおすすめします。

 

 


元記事:http://linkd.in/1CykrcF

(翻訳:服部聡子)

 

 

イノベーションを引き出すシンプルな質問

by ガイ・カワサキ
元記事:http://linkd.in/1H05xu2
(※この記事は著者の承諾を得て翻訳しています)
 
成功した会社には、創業者が壮大な抱負を抱いて第一歩を踏み出した……という神話がつきものです。
この話が言外に匂わしているのは、起業家が成功しようと思えば、
誇大妄想的な目標を掲げてスタートしなければならない、ということです。
 
ところが私の見るところでは反対に、多くの大企業は、ごく単純なことを
「なぜだろう?」と考えるところからスタートしているのです。
つまり、単純な疑問こそが会社を生みだす、と言えるでしょう。
 

「ということは、どういうことなんだろう?」

 
この質問が起こってくるのは、何かを見つけたり、トレンドを予測したあと、その先に思いを馳せるときです。
この質問は、実際にはこのように現れていきます。
 
「誰もがカメラ付きでインターネットにアクセスするスマートフォンを持つようになるだろう」
「ということは、どういうことなんだろう?」
「みんな、写真を撮るようになり、人に見せたいと思うはずだ」
「ということは、どういうことなんだろう?」
「みんなが自分の撮った写真をアップロードしたり、人の写真を評価したり、
コメントを投稿したりできるようなアプリを開発しなければならない」
 
そうして、ジャーン、インスタグラムが出来上がりました。
(参考 : エイドリアン・J・スライウォツキー  『ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか』
 

「これはおもしろくないか?」

 
この問いかけが原動力となって、知的好奇心が発動し、偶然の発見が生まれます。
電化製品のセールスマンだったレイ・クロックは、人里離れたところにある小さなレストランが、
8台もミキサーを注文したことに気がつきました。
好奇心からそのレストランを訪ねてみると、そこが大変繁盛しているのを見て、強い印象を受けたのです。
クロックは、ディックとマックのマクドナルド兄弟に、同様のレストランを数多く出店するよう強く勧めました。
その後どうなったかは、周知の通りです。
McDonald's #1 Store Museum, Des Plaines, Ill
Photo By:Jerry Huddleston

「もっと良いやり方はないだろうか?」

現状の技術の状態に対するフラストレーションが、この言葉には端的に表れています。
かつてフェルディナンド・ポルシェは、こう言いました。
「最初、私はいろいろ見て回ったのだが、自分の夢にかなうような車は見つからなかった。
だから、自分で作ろうと決心したのだ」(参考:フォーブス2003年冬号)
 
スティーブ・ウォズニアックがアップルIを作ったのは、政府や大学や大企業で働かなくても、
コンピューターを使える方法を考えたからでした。
Apple I Computer
Photo By:Ed Uthman

「どうして我が社はこうしないのか?」

現在の雇い主に対する不満は、以下のような情況では触媒として働きます。
あなたは顧客や彼らが求めているものをよく知っています。
そこで経営陣に、顧客が必要とするものを作るべきだと訴えるのですが、彼らはあなたの言葉に貸そうとしません。
とうとうあなたは説得をあきらめて、自分で作り始めます。
 

「可能性があるんだから、やってみないか?」

 
あらかじめ、成功が約束されているイノベーションなど存在しません。
ですから、「失敗したっていいじゃないか、やってやるぞ」という態度を言葉にすると、こうなります。
 
たとえば1970年代に、モトローラが携帯電話を考案したときも、ほとんどの人にとって、理解不能なものでした。
当時、電話といえば人ではなく、場所につながるものだったからです。
ところが、マーティン・クーパーとモトローラ社のエンジニアたちは前進し、やり遂げたのです。
それからどうなったかは周知の通りです。
「お告げでもあったのか?」などと言われても、無視することです。
 

「業界トップの弱点は何だろう?」

市場最大手は、以下の3つの面で、脆弱性を抱えています。
第1に、ビジネスのやり方。
IBMが再販業者を通じて販売していたので、デルは直接販売という方法でイノベーションに成功しました。
 
第2に、顧客が最大手に対して不満を抱いているとき。
ブロックバスターでビデオを借りようと思えば、車で行き、また返すときにも車を使わなければなりませんでした。
ネットフィリックスのチャンスはそこにありました。
 
第3に、最大手に金の卵を産むニワトリがいて、イノベーションを怠ったとき。
これはマイクロソフト・オフィスがグーグル・ドキュメントに影響されていることに端的に現れています。
 
good question
Photo By:Eric
 
「どうやったら大金が稼げるだろう?」という質問は、種類がちがうものです。
私のことを理想主義者と呼んでもらってもかまいませんが、偉大な企業は、金持ちになりたいという欲望ではなく、
 
「どうやったら世界を変えることができるのだろう」
 
というシンプルな質問に答えようとしているのです。

 

 

 

 


元記事:http://linkd.in/1H05xu2

(翻訳:服部聡子)

デモンストレーションの神になるには

by ガイ・カワサキ
元記事:http://linkd.in/1INjpc3
(※著者の承諾を得て翻訳しています)

スタートアップの経営者たちが集まって、自社製品の6分間のデモンストレーションを行う、というイベントが、年に数回行われます。
集まった観衆は、ベンチャー・キャピタリストやアナリスト、ジャーナリストといった人々です。
このイベントの名前は、必然的に「デモ」

これはすばらしいイベントです。
とりわけあなたが今、まさにダンスが進行していることに気がついているならば。
なにしろ起業する人々は、ベンチャー・キャピタルなど不要だといわんばかりにふるまい、
ベンチャー・キャピタリストの側も、スタートアップなど不要だとばかりにふるまっているのですから。
(売春宿でお上品なふりをしてみせるみたいに)。

この記事は、「デモ」のステージであれ、どこであれ、しっかりしたデモンストレーションをおこないたいと考える人に向けたものです。

デモンストレーションは、製品を市場に出し、資金を集め、販売し、報道機関を集め、新入社員を雇うための、重要なスキルです。
ですから、あなたも熟達する必要があります。

 デモンストレーションの価値があるものを作成しよう

デモンストレーションの神になることを望むなら、まず、しっかりした製品を作成しなければなりません。
デモンストレーションはすばらしいPRの機会ではありますが、準備が整っているときに利用するものであって、
イベントがあるから、というだけで利用すべきではないのです。
あなたの商品がありきたりなものであっても、デモンストレーションさえしなければ、
ぱっとしないものだと知っているのはあなただけです。
けれども、デモンストレーションをおこなえば、世界中がそのことを知ってしまうのです。

 すべてのものを2つずつ持ちこむ

商品だけでなく、そのコピーも置く場所は用意されています。
そうして機材も。
ですからステージに立つ前の晩、壊れたときのためにふたつ、ものによっては3つ、
コンピューターや携帯、サムドライブなど、デモンストレーションのために必要なものは何でも、持ちこんでおきましょう。

 前もって準備する

デモンストレーションの最中に、もたもたするようなこと、
たとえばハードディスクのフォルダやファイルを探したりするようなことがあってはなりません。
6分間のデモンストレーションのために準備する時間は、何週間もあります。
前もってすべての準備が整っていなければ、あなたが間抜けに見えるだけです。

 コントロールできない要因を排除する

デモンストレーションの最中に、インターネットに接続していることは、当然のことと考えて良いでしょうか?
答えは、イエス、です。
でも、いずれにせよ、万一に備えておかなければなりません。
もちろんホテルでインターネットは使えますが、何百という人が一度に使ったらどうなるでしょう?
ローカルサーバーを使って、あなたのサーバーにアクセスできるかどうか、試しておいた方が良いでしょう。

別に実システムを披露する必要はありません。
あくまでこれはデモンストレーションなのですから。

 「衝撃と畏怖」戦略で始める

私は友人であり、『偉大なデモ!:驚くほどすばらしいソフトウェア デモンストレーションを創造し、 実行する方法』の著者であるピーター・コハンから、この言葉を借りました。

コハンは(そうして私も賛同しますが)1分間で観衆の心をつかまなければならない、といいます。
だんだん盛り上げていく組み立て方では駄目だと。
「衝撃と畏怖」、すなわち、あなたの商品の、なによりもすばらしい部分からスタートするのです。
目標は、最初にみんなの心を興奮させることです。

 ジョークはカットして

自分のジョークはおもしろいだろうか、と考えるようなジョークは、おもしろくありません。
デモンストレーションを、ジョークで盛り上げる人など、ほとんどいないのです。
逆に、ジョークを言って、受けなかったら?
信頼と、勢いを失ってしまうでしょう。
受けたときの利点より、マイナス面の方がはるかに多いのです。

 ひとりでやろう

デモンストレーションは、ひとりきりでやった方が、効果があります。
ふたりの共同創設者が一緒にやれば、それだけ強力に映るのでは、と思うかもしれませんし、
世間にも、どれだけふたりがうまくやっているか、示すことができる、とも思っているかもしれません。
けれども、ひとりの人間がデモンストレーションをおこなうのさえ、むずかしいのです。
ふたりの人間が、交互にデモンストレーションをやるとなると、困難さは4倍になります。
デュエットが好きなら、カラオケ・バーに行ってください。

 業界用語は使わない

シンプルな言葉遣いで簡潔に話す能力は、何より望ましいものです。
もしかしたらあなたは、世界最高のソフトウェア製品を世に送り出そうとしている起業家かもしれません。
けれども、あなたが夢にまで見たベンチャー・キャピタル、コンシューマ・デバイスのパートナーは観客席にいるのです。
もし彼があなたのデモンストレーションを理解できなければ、
彼がオフィスに戻って、同僚に話すことはないでしょう。
オーディエンスには、耳で聞くものではなく、目で見るものを通して印象づける必要があります。

 質問は最後に出してもらおう

「デモ」には、質問のための時間はありません ― ありがたいことに。
けれどもどんなときでも、質問は最後に出してもらうようにしてください。
というのも、オーディエンスが何を聞いてくるか、あなたにはわからないからです。
彼らの質問があまりに深く、あなたは戻って来られなくなるかもしれません。

 最後は感嘆符で終わろう

始まりは、高い調子で。
一度観衆を驚かせたら、いったん下がって、彼らに「どのように」したらいいかを見せます。
「何が」すばらしいのか、だけでなく、「どのように」を示すことによって、
ごく普通の人間が、自分たちにもそれができるということを理解するようになるのです。
そうして、最後はまた高い調子で閉めます。
これはスティーブ・ジョブズの基調での巧妙なやり方でした。
彼はいつも 「もうひとつ( one more thing )」と、巧みに引きつけたのです。

私はこのアドバイスを何百人というスタートアップにしてきました。
そうして、何十万人もの人々が、ネット上でこのアドバイスを読んできました。
けれども、デモンストレーションの多くは、未だにつまらないものです。
それはおそらく、人々がこのアドバイスは無知な大衆に当てはまる、と考えているからでしょう。
つぎの上昇カーブに飛び乗ることのできない、パラダイムシフトを引き起こすこともない、
自分たちのように特許出願中の製品も持っていない、
自分たちのようにプレゼンの才能もない連中に当てはまるのだ、と。

もしかしたら、あなたもそう考えているひとりかもしれません。
だとしたら、あなたは間違っています。
あなたも、このアドバイスの対象となる読者なのです。
あなたもこれから苦労して学んでいくところなのです。

このコラムはガイ・カワサキの最新刊『スタートの技術 2.0』(原題)の一部分を元にしたものです。

ご一読後、飛躍されんことを。

 

 

 


元記事:http://linkd.in/1INjpc3

(翻訳:服部聡子)