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顧客を友とするなら、従業員は友になりえない。マーケティングを志す覚悟

こんにちは、トイアンナです。
私はこれまで起業を3回ほど経営しており、中小らしく資金繰りに奔走してまいりました。一度会社員を経験してから経営者と比較してみると、経営の仕事の「主」は資金調達だなとしみじみさせられます。

さて、資金調達にはVCからの投資や株式売買などさまざまな手法がありますが、その中で「顧客の方を向き、売上を上げる」のがマーケティングです。企業は資金を手に入れても最終的に売上・利益へ還元できなければ立ちゆきません。ですから企業とは「顧客を最優先にせざるをえない」組織です。

もし経営者が株主のことだけを考えるなら、粗悪な製品を高く売った方が利益率も上がり還元できる額も増えます。しかし経営者が毎回そうしないのは、長期的な利益に反すること、すなわち顧客からそっぽを向かれると分かっているからです。その代わりに経営者は「マーケティング」を使って売上と利益を上げようとするのです。

 顧客を最上の友とするならば、そうでなくなる相手もいる

マーケティングの天才、ジェイ・エイブラハムは、顧客を「かけがえのない友人のように扱え」と言います。自社製品をやみくもに「売りつける」のではなく、どうすれば相手の本当の望みを果たせるか心を尽くすこと。それがどれほど重要かは、経営者ならだれもがご存知でしょう。

しかし顧客を最上の友にするということは「最上の友にしない相手」を決めることでもあります。戦略は常に優先順位を定めることであり、「みんなお友達」というわけにはいかないからです。

冒頭の例に出した株主は多額の利益を還元してもらえるにも関わらず、顧客が目にする広告宣伝費や、将来の研究開発へ利益を回すことを許さねばなりません。短期的には損失扱いになるけれど、長期的に企業の株価を上げるにはこれしかない、と株主を説得せねばならないのです。

 従業員へ「お客様を最優先にさせる」難しさ

従業員も同様です。人件費へ還元できるほど稼いでいても「来年の製品をもっとよくしよう」「お客様から話を伺う調査費にしよう」と他のコストへ使ってもわらねばなりません。さらに言えば、そのことを誇りに思い、顧客へプレゼンせねばならないのです。

従業員は給与のために働いているのですから、マーケティングを重視して広告や調査、研究に予算を使うことは彼らの利益に反します。従業員は経営者ではないのですから「こんなことに金を使うなら、ボーナスをちょうだいよ」と思うのが普通でしょう。そして、もっと高い給与がある会社へ離職する方も出るでしょう。

ではそれでもなぜ、マーケティングをするのか。それはマーケティング・スキルを使いこなせば長く勝てる企業になるからです。長く勝てれば、従業員へ報いることができます。長く自社へ残ってくれた社員へ給与で見返りを渡すことができるのです。

さらに申し上げれば、従業員は自社を知る「最初の顧客」でもあります。自社を誇りに思ってもらい、自社製品・サービスを愛し、拡散してもらう。その従業員へ報いたいのであれば、最初に人件費を削ってでもマーケティングへ資金を割きましょう。投資家、株主、従業員へ報いたいなら、まずは顧客の方を向き戦略を立てること。この優先順位が崩れるならば、今は売れている製品も、数年後には暗雲立ち込めることでしょう。

 それでもなぜ、マーケティングをするのか

口だけで「マーケティングを重視する」「お客様第一主義」と語ることはできます。しかし徹頭徹尾それを実現するということは、他のプレーヤーを最優先にしない、という覚悟が必要です。

「短期的に割引や短い納期で勝つよりも、200年残る会社を作る」
「真に顧客から愛され、広告宣伝費がゼロでも従業員を食べさせる会社になる」
「来期だけではなく、10年株主へ報いられる企業になる」

それが、マーケティングの存在意義です。

もちろん、10年後に勝つためには今期、そして来期も成長せねばなりません。いきなり10年後、ポンと利益が降ってくることはないのです。しかし「割引セール」「大安売り」など目先の手段を愛用するだけでは、あなたの会社は残りません。

価格とは違う観点で「ここの製品・サービスは違う」と思っていただくこと。そのためには機能で実際に差をつけるだけでなく、それを顧客に認知してもらい、愛してもらわねばなりません。良いものを作れば売れる、そう信じられるのは最初の100人へ商品を売るときだけです。それ以上の市場に打って出るには「知られる」「愛される」「購入される」「リピートされる」のすべてに戦略を立てねばなりません。

そのためにもジェイ・エイブラハムが提唱したビジネスを大きくする3つの原則「顧客を増やすか」「使用頻度を上げる」「単価を上げる」手法をマーケティングを通じ、考えていくべきなのです。言葉だけの「お客様第一」を脱却するためにも、マーケティングを学び、使いこなしてください。
 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

優秀な経営者だけが知っている「売れない」につける処方箋

こんにちは、トイアンナです。
マーケティング講座をちらりと除くと、そこには必ず
「競合に勝つには」「差別化戦略」
といったギラギラ光る攻撃的な言葉が溢れています。
しかし実際のビジネスで伺うことが多いのは

「そもそも、ウチの商品を売れてないんだけど」
「絶対にいける!と思ったサービスが鳴かず飛ばずの閑古鳥」

といった涙ぐましい現状です。

商品やサービスが売れないと将来の投資もできませんから差別化も難しくなり、人権費にも余裕を持てず職場はピリピリ。
ますます売れ行きが落ちてしまう負のサイクル。
そこから抜け出すにはどうすればいいかをご案内します。

優秀な経営者は立ち返る勇気を持つ

今まで私が様々な商品をマーケティングしてきたうえで信じているのは、優秀な経営者ほど
「そもそも、これ根本的に間違ってないか?」
と立ち返る勇気を持っていることです。

すでに何か月も準備してきた、従業員も休みなく働いてきた……
そういった中で「やっぱりこれ、いらないんじゃない?」と思い直せば批判も浴びますし、自分も傷つきます。

しかし長期的な社員や会社の成長のために今のズレを直せる人こそ、将来ビジネスを何倍にも大きくできるのです。
ですから「売れてない!」と目の前の売上に慌ててる時期こそ実は根本的な部分へ立ち返る大きなチャンス

ここまで読んでくださったということは、あなたもまた勇気あるリーダーでしょう。
ここからはマーケティングの基礎に立ち返って、商品が売れていない理由を紐解いてみます。

同僚が相談してきたら、どうアドバイスしますか?

想像してください。
あなたへ38歳の男性の同僚が相談に来ました。
同僚は仕事もいいけど、そろそろ惚れた腫れたじゃなくって「いい恋愛」したいなあと思っているみたい。
さて、彼が今から運命の恋に落ちるには、どうすればいいでしょうか?

あなたはきっと、これから書く3つのどれかをアドバイスするはずです。

1.出会う女性の数を増やしたらどう?

2.今の女性とはうまくいってないの?そこを繋げたら?

3.出会いは多いみたいだし、気になる相手と会う回数を増やしたら?

まず「出会う女性の数」がそもそも全く無い人は、今から恋愛対象と知り合わなくては話になりません。
ただし、やみくもに出会う女性の数だけを増やしても「いい恋愛」からは遠ざかってしまいます。

今の彼女とマンネリ気味なら「あの子もいい子だと思うよ」と、再度恋の炎を燃やす演出を考えたほうがいいかもしれません。
特定の彼女はいないけど遊び人で深い関係に発展できないタイプなら、週7回合コンするのではなく、
もう気になっている相手とデートする数を増やしたほうがいいでしょう。

こんな風に、いい恋愛をするためには

「出会う数を増やす」

「今の相手を大事にする」

そして「恋人候補と長く時間を過ごす」という3つの対策がありえます。

あなたは同僚の話を根掘り葉掘り聞きながら、どのアドバイスがふさわしいかを自然と選んでいるのです。

さて、恋愛でしているアドバイスは、ビジネスでも応用できます。
恋人を顧客として考えると、「売れない商品を売れるように変える」処方箋になるのです。

あなたの商品が売れない理由は、3つしかない

さて、これをビジネスで考えてみましょう。
どんな業種であれビジネスを大きくする方法は、たった3つしかないとジェイ・エイブラハムは言っています。

お客様の数を増やす

お客様が1回あたりに使う金額を増やす

お客様がいらっしゃる頻度を増やす

いずれも、さきほどの恋愛相談で

デートする回数を増やす

今の相手を大事にして仲良くなる

デートの頻度を増やす

という候補から、あなたが選んでいるアドバイスと似ていますよね。

売れないときは「高単価の商品が売れない」「お昼の時間帯がスカスカ」といった
細かい分析を始めてしまいがちですが、ここで原則に立ち返る勇気を出しましょう。

あなたの商品やサービスが売れていないとしたら、
それはお客様の数・使う金額・いらっしゃる頻度のどれが一番足りていないのでしょうか。

原則に立ち返ってV字回復したクッキー屋さん

ここで実際に「立ち返る勇気」を発揮して売上をV字回復させた例を紹介します。
とあるアイシングクッキーを売るカフェがあります。
お砂糖でデコレーションしたかわいらしいクッキーですが、
30代以上や男性には「甘ったるそう」というイメージで敬遠されがちです。

このお店はしかも初手を誤り40代以上が多く住むエリアへ出店。
最初は完全に閑古鳥が鳴いていました。
しかし実は甘さ控えめで味が美味しく、1度通えば何度でも通いたくなるのが強み。
マーケティングの原則に立ち返って売れない理由を分析した結果、「お客様の数さえ増えれば、魅力が伝わって絶対に売れる」
と確信を得ました。

そこで店舗では隣接していたケーキ屋へコラボレーション企画を持ち込みます。
ケーキの上に、アイシングクッキーを乗せて販売したのです。
アイシングクッキーは手作業でメッセージを書いたりかわいく飾り付けできたりするのが魅力。

受け取ったケーキについてきたクッキーを「なんだこれ?」と試しにかじってみたお客様から
「このクッキー、可愛くて美味しい!」と瞬く間に評判が広がりました。

売れないときこそ割引や目の前の資金繰りに追われがちですが、
そんな時こそ一息ついて

「自分の商品の良さを伝えるためには何ができるだろう? そして今伝わっていないのはなぜだろう?」

と立ち返る勇気を出してください。
資金繰りはスタッフでもできますが、経営判断は責任者であるあなたにしかできない偉大な仕事なのですから。

 

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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

シンプルなストーリーがビジネスを変える

by ティム・ベリー

 

小企業のオーナーであるあなたは、ひょっとしたら戦略などというものは、
学者やビジネスライターに任せておけば良い、と考えているかもしれませんが、
そのように単純なものではありません。
ビジネスに戦略がないために、誰にでも喜んでもらおうとしてノーが言えなくなり、
優先順位を見失ったあげく、悪戦苦闘に陥ってしまう。
これは失敗へと続く、ありがちなシナリオです。
近年、私はストーリーとしてのビジネス戦略ということを考えるようになりました。
それが結局のところ、直観的で戦略的な、素早く力強い方法であることがわかったのです。

ストーリーとしてのビジネス戦略

問題を抱えていたり、何か必要なものがあって、
あなたのビジネスを見つけ、何かを買おうとしている人のことを想像してみてください。
しばらくそんな人に向けてあなたのビジネスのことを伝える、と仮定してみましょう。
あなたのビジネスをストーリーとして書いたり、話していると想像するのです。
何も神経質になったり、書き直したりする必要はありません。
ただ、ありのままをシンプルに書けばよいのです。
たとえば、ラルフが自然食品を扱う食料品店の棚から、有機ケチャップを購入した、
こんなストーリーでかまわないのです。
あるいは、レストランであれば、
メアリーとラルフが、夜のデートにレストランを選ぶストーリー。
アプリを制作する会社であれば、メアリーが営業支出を追跡するために、
アプリをダウンロードするストーリーを想像するかもしれません。
これらのストーリーはそれぞれに、ビジネス戦略の基盤となるものが含まれています。

1. 標的市場

あなたのビジネスが解決するのは、誰の問題ですか?
誰があなたの販売しているものを欲しがっていますか?
あなたは彼らのことをどれほどよく知っていますか?
メアリーやラルフのどこが理想的な顧客なのでしょうか?

2. 商品・市場の一致

あなたのビジネスが提供しているものが、ターゲットとする市場の求めるものと
一致していれば、うまくいく可能性は高くなります。
特殊な要素に焦点を当て、ほかのものから際立たせれば、
マッチした市場に提供する際に、さらに効果を上げます。
有機ケチャップの会社のストーリーでは、
顧客のラルフはありきたりのケチャップを求めていませんでした。
夜にデートするメアリーとラルフは、食事の場所に、
ファストフードや安っぽい店を避けていました。
アプリ制作会社では、メアリーに必要だったのは、支出が簡単に把握でき、
情報を管理し、支出報告書に書き出すことのできるアプリでした。

3. ストーリーを公開しよう

上記のようなストーリーには、顧客を購入へと進ませる道は、含まれていません。
ラルフが自然食品の店で有機ケチャップを見つけるためには、
適切な場所で販売されていなければならず、
そのためにはキャッチフレーズと流通経路を確保される必要があり、
さらにそのためにビンの包装デザインに頼らざるをえないかもしれません。
レストランは、口コミやレビューサイト、
またメアリーとラルフ利用しているモバイル・アプリにかかっています。
支出追跡アプリは、おそらくアプリストアの配置や、レビュー、
経費報告ソフトウェアとのリンクによって変わってきます。
レストランとアプリは両方とも、ソーシャルメディアで口コミによって
重要性が拡散すれば、着実に顧客増につながっていくでしょう。
たとえばツイッターやフェイスブックのシェアはきわめて大切ですし、
いくつかのカギとなるブログ、そこでもコメントも大勢の目に触れるものです。
あなたのビジネスは、複数のストーリーがあるかもしれませんが、
2つ、3つのストーリーは、焦点をぼかしかねず、収益減少に結果する可能性もあります。

あなたのストーリーをビジネスの強みに転換しよう

あなたの戦略的なストーリーをつかって、価格設定や製品構成、
マーケティングメッセージ、メディアに関するビジネス上の意思決定を牽引してください。
たとえば…
・ケチャップ会社は、ヘルシーな自然食品であることをアピールし、
 陳列棚で目立つために、包装デザインを変更するかもしれません。
 高めの価格設定は、品質に関してのポジショニングを強化することになるでしょう。
 高所得者層にアピールしたければ、最新の低温圧搾技術を強調することも良いでしょう。
・レストランのオーナーは、そのデートの夜のストーリーを
 口コミサイトやグーグル向けに手直しして、
 料理の品質や、静かで落ち着いた雰囲気、サービスを強調しながら使います。
 ラルフとメアリーがレストランを検索できるように、
 いかにウェブサイトを強化しているか
 モバイル機器からも応答可能で、メニューを知ることもできる、
 スマホにも最適化されている、というストーリーを利用することもできます。
 こうすれば価格引き下げや、「お薦め料理1品の価格で2品提供」などという誘惑に
 打ち勝つこともできるはずです。
・アプリ制作会社の場合、スプレッドシートへの書き込みの簡略化や会計アプリなど、
 焦点を絞った開発の方が、うまくいくかもしれません。
 そうすれば、アプリストアで具体的なプロモーションを行うことができるし、
 簿記や会計など関連ソフト事業者と、共同プロモーションを行うこともできます。

ストーリーはなぜ、どのように、効果を上げるか

戦略とは、焦点化にほかなりません。
戦略は、誰があなたの標的市場ではないかを明らかにするものでもあり、
また、あなたのビジネスが提供しないものを明確化するものでもあります。
つまり、彫刻のようなものなのです。
大理石の原石は、誰が、何をしても良いものです。
けれどもそれを彫刻に仕上げるためには、焦点化と効果的な戦略が必要なのです。
多くのビジネスオーナーは、この焦点化をいやがります。
というのも、ノーを言いたくないからです。
私たちはみんなに喜んでほしいために、あらゆることをしてあげたい、という気持ちを持っています。
けれども、誰もかれもを喜ばそうとすることは、成功ではなく、失敗の原因なのです。

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

 

「マーケティング」の基礎知識:「モテる人はお断り」

こんにちは、トイアンナです。
唐突ですが、あなたはモテますか?

学生時代から「あの、いつも同じ通学路なんですけど……、好きです!」と告白され、
バレンタインデーには靴箱にチョコが入りすぎて溢れんばかりでしたか?

それとも、バレンタインデーに「チョコが貰えるやつはいいよな」と少し羨ましく思いながら、
貰ったところで別にそんな甘いものが好きなわけでもないし……と少し強がってみたり、
男友達といることを選んだりするような甘酸っぱい学生生活を過ごしていましたか?

前者のような人は、マーケティングがいらない人ですから、ここから先は読まなくてもいいでしょう。
逆に後者の人こそ、マーケティングが必要な方です。
なぜなら、マーケティングとは
限られた資産の中で、自分がモテる場所」を探す技術だからです。

今回は恋愛を例にして、マーケティングがいかに成果を変えられるかをお伝えしたいと思います。

■ 全くモテない彼が引っ張りだこになったのは「モテる場所」を知ったから

ここで、マーケティングを使って恋愛が上手くいった実例をご紹介できればと思います。

ある40代の男性は、30代始めに起業しました。
お父様の会社を継いだ形にはなりましたが、地方のお得意様と細々と取引しているだけではいずれ競争が激しくなった時に会社がもたないと一念発起。
泥臭い営業から会計業務までがむしゃらに働き、全国区へ営業範囲を延ばすことに成功しました。

「そろそろ結婚したいな」と思った当時は42歳、ちょうど会社が軌道に乗ったころでした。
しかし地元の結婚相談所に相談したところ、ほとんど門前払いの冷遇を受けてしまいます。
結婚相談所から言われたのは「自営業の方はちょっと……」
「40代の男性は年齢的に厳しいとおっしゃる女性も多く」と、今までの努力を否定されるような言葉。

「もう結婚は無理かもしれない」と諦めていたそのとき、友人から銀座の異業種交流会へ誘われました。
今までは業務が忙しいからと断っていた彼も、1回だけ顔出ししておこうと参加したところ、信じられないくらいモテました。
その友人が「彼、ベンチャーの社長でさ、会社もめちゃくちゃ儲かってるんだよね」と女性陣に紹介してくれたのです。

地方では「安定性がない」と批判される中小企業の社長も、起業家が珍しくない都内では憧れの的。
その日だけで連絡先を10件以上交換した彼には、間もなく彼女ができました。

彼が結婚相談所に使ったお金は約100万円、対して銀座の異業種交流会は往復の交通費を足しても3万円。
彼は「自分がモテる場所」を知ったことで、お金も時間も余計にかけることなく、彼女を作ることができました。

この話は、ビジネスにそっくりそのまま当てはめることができます。
ある市場で受けなかったものが、別の市場では飛ぶように売れることがあります。
あなたの商品が売れなかったとしても、商品が悪いのではなく、単に売る場所が適していなかっただけかもしれないのです。

■ モテる場所を考えるのがマーケティング

このように、あなたの商品が「モテる場所」を探すことをマーケティングと言います。
濡れても洗える畳は、介護業界ではフローリングの床が一般的だから売れないかもしれません。
しかし、和室を入れる新築家屋で、ファミリー向け物件なら喉から手が出るほど欲しいでしょう。

商品・サービスを考えたときのお客様のイメージと、実際に買いたいと思っているお客様は違うかもしれません。

美容室の毛髪マッサージは、流行に敏感な20代女性よりも抜け毛が気になる40代男性に受けるかもしれません。
はっ水加工をしてくれるウェットティッシュは、家の掃除より洗車の仕上げで愛されるかもしれません。

「この商品は○○向けだから」と決め打ちしないで「もしかすると○○に受けるかもしれない。考えてみよう!」と
あなたの商品を新しい場所でバカ売れさせる技術。
それがマーケティングです。

■ より少ない資源と時間で

また、マーケティングで欠かせないのが「限られたお金と時間を有効活用する」考え方です。
先ほどの婚活の事例では、異業種交流会に行ったほうが結婚相談所よりも安く・早く彼女ができました。
予算が無限にある会社は存在しません。

だからこそ「マーケティング思考」では、あなたの商品・サービスが手間やお金をかけず、モテる場所を柔軟に探します。
モテる相手へアプローチすれば、「これ、いいね」と思ってもらえるので商品を買ってもらいやすいからです。

「マーケティングって、お金かかるんでしょ?」と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。
しかし実際のところマーケティングはお金をいかに節約しながら、あなたの商品やサービスを売るかを考えるのが仕事です。

「最近はウェブの時代なんで、とにかくfacebookで告知しましょう!」
「お客様にウチの商品を知ってもらうために、まずは冊子を刷りましょう」
こんなことを言い出すマーケターがいたら要注意です。

本来マーケティングは「その冊子、本当に告知の役に立ってますか?」とあなたの商品がちゃんとモテているかを、確認するのが仕事のはず。
「とりあえず」で動いては、結婚相談所に100万円使った彼の二の舞です。
これから一緒に正しいマーケティング知識を身につけて「あなたの商品がモテる場所」を考えてみませんか?
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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

マーケティングはビジネスの「人間ドック」

 勝つ経営者と負ける経営者の分かれ道

「営業も頑張ってくれてるんだけど、売りが立たない」
「満を持して新製品も作ったのに、前と販売実績が変わらなかった」
こういった失敗談を持つ経営者の方も多いのではないでしょうか。

成功したベンチャー社長の体験談にもこういった「過去の失敗」はつきもの。
その後、上場や大成功に至る経営者も多いことから、失敗は決してこの世の終わりではありません。
重要なのは「売れないぞ」となったときに、どうやって立て直すかです。

成功した経営者と、その後も失敗を続けて廃業へ至る経営者で明暗が分かれるのは
まず「失敗した!」となるべく早いタイミングで気付くことです。

そしてすぐに何が原因だったかを突き止め、次の一手を打つこと。
このように、ビジネスの失敗へ即座に気付き、
原因を突き止めてすぐ次の一手を打つ技術をまとめて「マーケティング」と呼びます。

人間にたとえるなら、人間ドックをして症状の原因を突き止め、
すぐ完治させる医者のようなものといえます。

マーケティングは販促ではない

ここまで読んで「えっ」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「マーケティングって、販売促進のことでしょ?
ウチだって販促用のリーフレット作ってるし、ホームページ作ってくれる子はいるよ」と。
実は、そういう仕事はマーケティングの真髄ではありません。

マーケティングの本業は「何が売上アップのネックになっているのか?」を
調べるところから始まるのです。

ではここで「マーケティングがうまく機能しているときと、していないとき」で
どう差が出るかを見てみましょう。
これは実際に私が失敗した起業の話です。

【事例】 帰国子女向け通信教育の事業で「失敗」!
毎年、海外の学校を卒業した「帰国子女」が1,000人ほど大学受験のタイミングで日本に戻ってきます。
日本の大学受験は「帰国子女入試」という特殊な試験を受けなくてはいけません。
各学習塾は月70万円というとんでもない相場で、帰国後に詰め込み試験対策を施します。
そこで、インターネットの動画を使った通信教育があれば授業料も安く抑え、受験指導ができると思いました。
しかし結果は泣かず飛ばず。1年で赤字が膨らみ、廃業しました。

マーケティングがあれば仕事の「健康診断」ができる

もしこの失敗した時期に、マーケティングの知識があったら何ができたでしょうか。
まずは1年もズルズル赤字を引きずる前に、売上が立たないことに気付き原因を分析します。
そして帰国子女への聞き取り調査からたとえば
・「予備校のお金を出すのは親であって子供ではない。
・子供向けのメッセージを宣伝文句に書いていても、親へはピンと来なかったのが失敗の原因だ」
と分析するはずです。

原因が分かれば、あとは簡単。
すべての宣伝文句を「ご帰国を控えたお父様、お母様へ」と書き換えるだけです。
当時こうしていれば、半年以内に事業を立て直せたはずでした。
マーケティングがビジネスの「健康診断」の役割を果たしてくれるからです。

マーケティングでわかる「お客様」の心

こういった失敗例は、話を聞く立場だと「なんだ、そんなことも分からなかったのか」と笑って読めるものです。
しかし同じような失敗例は中小企業・ベンチャー経営で山のように出てきます。
読者の皆さまはお客様のことを、どこまで分析できているでしょうか?

試しに、ご自身のお仕事で下記に当てはまることがすべて分かるか心の中で問いかけてみてください。

【あなたの仕事にお金を払う方の主なプロフィール】
・性別、年齢、職業は何か
・今抱えている「あなたの仕事に関係した」悩みにはどんなものがあるか
・悩みを解決するために、今あなたのサービス・商品を使っていない人は、どんな代替手段を使っているのか
・その代替手段にどのくらい満足しているのか
・なぜ、顧客になっていない方はあなたのサービス・商品ではなく代替手段を選ぶのか
・あなたのサービス・商品を使うと、顧客はどんな気持ちになるか
・代替手段を使うときと、あなたのサービス・商品を使った後の気持ちには差があるか

「ここまでお客様の考えていることを深く掘るの?」と驚かれた方は、きっとマーケティング職に向いている方です。
ここまでお客様の心理を深堀りするからこそ「何が売上に繋がっていないか」を掘り当てることができます。

売れないのはあなたのせいではない

会社の売上が思うように伸びないのは、あなたが悪いのではありません。

お客様の心へ商品やサービスが届く前に、商品が誤解されてしまったり、まだ知られていなかったりするだけです。
マーケティングは会社の商品とお客様の心の間にある「接続不良」な部分を探し出して「こうすればもっとよさが伝わるはず」と伝え方を修正していきます。

あなたの素晴らしいサービスや商品が少しでもお客様に広まるよう、マーケティングという道具をこのサイトで深めていただければ幸いです。

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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
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顧客がほしいなら個人向けカスタマイズを

現在は企業規模の大小にかかわらず テクノロジーの助けを借りて

新しい方法で顧客をターゲットにすることができるようになりました

でも顧客カスタマイズは十分なされているでしょうか

by リーバ・レオゾンスキー
商品やサービスを売るために、小企業は個人的なつながりに頼ることが少なくありません。
けれども今日のテクノロジーのおかげで、規模の大きなビジネスでさえも、
個人向けカスタマイズが可能になっています。
ここでは個々の顧客に対してカスタマイズすることの、良い面と悪い面、
あなたが知っておくべきことを上げていきましょう。

なぜ個人向けカスタマイズが重要なのでしょうか

多くの人が、自分のことを昔からの友人のように扱ってくれるビジネスを
ひいきにする傾向があります。
そんな店では、店員も顧客の名前をよく知っているし、
ウェイターが「お変わりありませんか?」などと声をかけてくれます。
個人とのつながりを大切にすることは、長い間、小企業が大企業に太刀打ちできる
数少ない方法の1つでした。

なぜ個人的な関係を築くことが 他企業との差別化につながるのでしょうか

今日の消費者は、選択の幅がますます広がっています。
歯磨きペーストは何十種類もあるし、
同じ商品を扱うサイトは、何千とあります。
消費者は、つまらない商品に引っかからないように、
商品やサービスを基準にして、購入するかどうかの意思決定を行うことが減り、
むしろ、これまでの取引の経験を元に判断することの方が多くなっているようです。
企業の側は、顧客それぞれにカスタマイズされたものを提供することによって、
多くの競合から目立とうとしています。
また、ショッピングを単純化し、買い手の時間も節約できるように工夫しています。

個人向けカスタマイズには どのようなものがありますか

ユーザーの好みを割り出すことができるサイトは、
個人カスタマイズに秀でていると言えるでしょう。
たとえば、再訪した顧客に対して、名前を呼んで挨拶するだけでなく、
過去の購入品やブラウズ歴、口コミなどから割り出したお勧め品を
すぐに表示しているようなサイトです。
そうしたサイトは、顧客の購入回数が増えるにつれて、
顧客が好みそうなものも、簡単に見つけ出すことができます。

カスタマイズのせいで訪問者は監視されていると感じないでしょうか

個人データを知られることを嫌がる人は多いのではないでしょうか

何のデータかによります。
トランセラ社のアンケート調査によると、顧客の2/3が、ある程度の個人情報
(名前や人種、年齢、収入、教育レベル、就業状況、居住地域などのデータ)は
もっと自分に合った商品やサービスが提供されるなら、
企業に渡してもかまわない、と考えていることがわかりました。
ただし、そのレポートは、消費者はかならずしもすべてを招致した上で
そのように答えているわけではないことも指摘しています。
半数以上の消費者は、ウェブサイトを訪問することによって、
彼らのオンライン上の動きや、オンラインショッピングの習慣をモニターされているとは
考えていないのです。

小企業は個人向けカスタマイズをどのように利用したらよいのでしょうか

個人向けカスタマイズには3つのレベルがあります。
おそらく基本的なものはすでに導入している人は多いでしょう。
たとえば、メールやダイレクトメールのメッセージで、相手の名前で呼びかけるなどです。
それから少数の人に限定された個人向けカスタマイズがあります。
これは名前や人種、年齢、収入、教育レベル、就業状況、居住地域などのデータや、
出費レベル、その他の基準を元に、顧客をセグメント化して、
それぞれのセグメントに合わせたマーケティング・メッセージを作成することです。
上級の個人向けカスタマイズは、もっとはっきりとしたちがいがあります。
上級カスタマイズは、複数の個人化要素を含み、リアルタイムで表示されるように
プログラムされています。
たとえば、サイトを開くと「ハイ、リーバ」と呼びかけ、
相手が買いたくなるようなものを勧め、
前回購入したものについてレビューを書いてくれないか、と頼み、
先日送ったオファーが間もなく期限切れになることを思い出させるようなものなどがあります。

大企業の顧客向けカスタマイズとどのように対抗すれば良いでしょうか

「小企業は大規模小売店ができないようなやり方で、
顧客とコミュニケーションすることが可能です」
そう語るのはサンフランシスコに拠点を置くステッチ・ラボの創始者ジェイク・ガザウェイです。
手紙や個人向けのメッセージ、顧客チェックなどは小企業の方がうまくやれます。
購入するときに、良い経験をした、と顧客に感じてもらえれば、
小企業である方が顧客の心に強く印象付けられ、今後の愛着心を育むことになるのです。
事実、高度なマーケティング・オートメーション・ツールが少しずつ小企業にも広まり、
最先端の個人カスタマイズを導入することは、簡単になってきています。
以下のようなツールは、あなたのビジネスのウェブサイトや
マーケティング・メッセージの個人カスタマイズを助けてくれるでしょう。
・既存の顧客/新規顧客
・住所(郵便番号、州、国)
・デスクトップ/モバイル機器
・プラットフォーム
・顧客データ(年齢、収入、職業など)
・顧客の心理的データ(行動、価値観、興味など)
・購入履歴
・ブラウジング履歴
・どのサイトから流入し、どこへ行くか
・ショッピングカートの商品
リストラックの調査では、81%の消費者が、
自分向けにカスタマイズされたメールを受け取ったら、
少なくとも何か購入したいという気にさせられる、と答えています。
そうした買い物客のほんの数人でも獲得できれば、
あなたの顧客カスタマイズツール導入にかかった費用も、
十分採算が取れるでしょう。

(翻訳:服部聡子)

セールスを台無しにする10の行動

by マイク・マイカローイッジュ

 

あなたは取引を成立させる場面で、自分からぶちこわしにしていませんか?

どれほど営業努力を重ねても、台無しにしてしまう行動があります

 

私たちの多くが、今自分がやっていることが効果的かどうか、1歩下がって考えることもなく、
毎日の仕事を同じ方法、同じ手順でやろうとしています。
販売努力が実を結ばないことが、何かの拍子にはっきりしたときは、
私たちの戦略を支えている悪い習慣をと、すべて取り除く必要があるでしょう。
以下にセールスをダメにする10の習慣を上げていきます。

1. 意識の中心が自分にばかり向いている

セールスの1つ1つがあなたの会社にとっては死活的に重要であり、
また、次の成約で家賃が払えたり、セールス目標でトップに立てるなど、
あなたなりの事情があることでしょう。
ところが厳しい現実をいうと、あなたの顧客にとっては
あなたやあなたの会社など、どうでもよいのです。
あなたのセールストークが、顧客が求めるもの、必要とするもの以外に焦点を当てているとしたら、
おそらく第一歩からうまくいきません。

2. しゃべりすぎる

あなたに耳が2つ、口が1つあるのには理由があります。
自分が話すことの2場倍、聞かなければならないということです。
販売員の面接で、私はよく、自分と相手の間にペンを置いて、
「私にこれを売ってみてください」と言います。
ほとんどの志望者が、このペンがどれほどすばらしいか、あれこれまくしたてます。
けれども、何より効果的な戦略は、もっと単純なもの。
優秀な販売員は質問をするのです。
「ペンをお探しですか?」と。
もしあなたが見込み客に何の関心もない話をしているならば、
それは単なる騒音にすぎません。

3. 質問をしない

覚えておいてください。
質問した場合、会話をコントロールするのはあなたであることが多いのです。
適切な質問をし、それを注意深く聞けば、
見込み客を顧客に転換するために必要な情報を得られるかもしれません。
あなたの見込み客が何を求めているか、突き止め、
それを相手に差し出すのです。

4. しつこく売り込む

営業担当者が大規模なプレゼンテーションを計画することはよくありますが、
思ったよりもすぐに見込み客の賛同が得られることがあります。
機転の利く営業担当者なら、それ以上、言葉を重ねることなく取引を終了させます。
ところが多くの営業担当者は、それでもなお売り込みを止めません。
消費者はプレッシャーや押しつけがましさを嫌いますが、
それだけでなく、あなたがあまりに長々と商品を絶賛していることも、
逆効果になりかねません。
見込み客が購入を決心してからも、特徴や利点を話し続けるようなことをしていては、
販売のチャンスを失うことにもなりかねません。

5. 間違った相手に売り込んでいる

セールスの現場であなたがどれほどすばらしいくても、
あなたのサービスがどれほど優れていても、
あなたが相手にしているのが購入を決定をする人でなかったら、
意味がないかもしれません。
あなたが売り込みをしている人が、あなたのために、その意思決定者に話をしてくれる、
と考えて、時間を無駄にしないでください。
そんなことは、まず起こりません。
本当に重要な人と会ってください。

6. 信頼できる人間だと(態度で示すのではなく)口で説明しようとすること

可能なかぎり、説明するのではなく、示す必要がありますが、
信頼についても例外ではありません。
見込み客に、「私は1,000人のお客様に満足していただいております」と説明するよりも、
クライアントに1,000人分の「お客様の声」を見せた方が説得力があります。
あなたの主張を裏付ける証拠を見せなければ、信頼性を疑わせるリスクがあるのです。

7. 顧客の言葉で話していない

不特定多数の人に売り込むことは、困難をともないます。
それよりも、焦点を当てる市場を絞って、
あなたの対象とする人々の話す言葉と特徴を学ぶ必要があります。
見込み客の使っている言葉をあなたが使うことによって、
あなたは「その他大勢」から際立つことができるし、
見込み客に「同じグループ」だと受け入れてもらいやすくなります。

8. いつでも応じられる準備ができていない

取り返すことのできる失敗はありますが、
見込み客からの面会や見積もりの依頼に応えられなければ、
おそらくそれは取り返しがつきません。
いつでも問い合わせに応じ、クライアントが必要な時に対応することは、
あなたの責任です。

9. 相手に敬意を払わない

待ち合わせの時間に遅れない、適切な服装をする、
あるいは単に「ありがとうございました」というだけでもかまいません。
あなたのクライアントの時間とビジネスに対する敬意を
かならず要所要所で示してください。
あなたが顧客に敬意をもって接していないことが伝われば、
じきに顧客は離れていき、多くの競合を喜ばせることになるでしょう。

10. 困っていることが態度に表れている

おそらく顧客をうんざりさせる大きな要因のひとつに、
お願いだから買ってくれ、と懇願する販売員の存在があるでしょう。
顧客が必死に働いて得た賃金の一部を、あなたの社の販売員に、
ノルマを達成できないから、年間最優秀賞を取りたいから、といった理由で
出してくれ、と頼みこむようなまねをさせてはいけません。
成功が成功を生む、ということを、忘れてはいけません。
もしあなたから悲壮感が漂っているとしたら、
あなたのセールストークは効果をあげることはないでしょう。
セールスのコツを短い言葉でまとめるとしたら、
質問し、メモせよ」ということになります。
販売プレゼンテーションを、見込み客のニーズを満たす、または上回ることに
重点的に取り組むことによって、
成約の確率は格段に上昇するでしょうし、
あなたの顧客の満足度もこれまでより格段にアップするでしょう。

(翻訳:服部聡子)

 

 

なぜ買い物客は実店舗の方が好きなのか

by  リーバ・レゾンスキー

 

 

モバイル機器で買い物ができるよう、テクノロジーが進化を遂げてきたにもかかわらず、

ショッピングに関して言うと、買い物客は今なお実店舗を好み、

すぐにはその習慣を変えるつもりはないようです。

タイムトレード・システムズの新しい調査「2015年版小売店情況」によると、

消費者の87%は、少なくとも2014年と同程度には実店舗で買い物をすることを

予定している、と言っています。

10代からデジタル環境になじんでいたはずのミレニアル世代では、

この割合が高くなってさえいます。

彼らの92%が、昨年と同様か、またはそれ以上に、

今年も実店舗で買い物をする予定がある、と言っています。

目当ての商品を、オンラインで買うことができたとしても、

近所の店で買い物がしたいという回答者は、2/3近くに上ります。

(実際のところ、70%以上の消費者が、アマゾン・ドット・コムよりも、

実店舗であるフィジカル・アマゾン・ストアで買い物がしたい、と言っています)。

どうして消費者は、未だに実店舗の方が好きなのでしょうか?

即座に商品を入手できる、というだけではありません。

あらゆる年代の消費者が、

購入前に何度となくインターネットで検索をしていることを考慮した上で、

報告書はこのように結論づけています。

 

顧客は以前にも増して、実店舗で直接経験して確かめたのちに

購入するかどうかの最終決定を、行うようになっている。

さらに良いニュースとして、

実店舗に行き、最終的に実際に予定した以上の買い物をする顧客は

82%にもはねあがる、というのです。

言葉を換えれば、店へ出向くということは、

単にあるものを見つける以上の意味がある、ということです。

本気で買う意志がある、という指標なのです。

このことは、小売店主がすっかり安心して、何の手も打たないまま、

売れるのを待っていれば良い、ということではありません。

店にやってきた顧客が、買う決め手となる要因は何なのでしょうか?

 

 

《手に取ることができる》

顧客が実店舗に足を運ぶ第一の理由は、商品にふれ、感じてみることができるからです。

回答者の85%、なかでも1960年-70年代生まれのジェネレーションXの回答者の92%は、

この点をあげました。

商品にふれたり、手に取ったりしたあとは、顧客が買う傾向が高くなる、という研究も

いくつもあります。

顧客にもっと商品にふれてもらうためには、どうしたらよいでしょうか。

 

・手にとってみたくなるように山積みする(衣料品店はこの手法を取り入れています)

・商品が包装されている場合は、それぞれの商品について1つ、顧客がふれたり、

 開けて試したりできるようにしてください。

・あまり店を整然としすぎないようにしてください。

 ちょっとした生活感があると、顧客は商品にふれたり試したりしやすくなります。

 従業員がたえず商品を整えなおしたりしていると、顧客は自分がスタッフに迷惑を

 かけているのだろうか、と気後れするかもしれません。(竜巻が過ぎた後のようでは

 ないことを確かめてください)

・適切なものなら、販売員が顧客に「お手にとってごらんください」と勧めることもできます。

 たとえば、スキンケア用品や化粧品を販売しているのなら、

 メイクに変化をつけてみないか、と声をかけたり、

 ローションを顧客の手で実際に試してもらったりできます。

 衣料品店なら、販売員が手を貸してジャケットを着せかけたり。

 複数の研究が、このような身体的接触があると、

 顧客は商品を、より受け入れやすくなることを示しています。

 

《個人に向けたサービスを》

サイトで自動的に商品を勧めたり、過去の購買履歴から自動メールを送ったり、

テクノロジーによる顧客サービスは、ずいぶん進歩を遂げていますが、

実店舗で実際の人間が提供するサービスには、とうてい太刀打ちできません。

とりわけ販売員が顧客の過去の購買履歴や、

顧客が実際に求めているものを提供する、店のロイヤリティー・プログラムの情報に

アクセスすれば、なおさらそのサービスはすばらしいものになります。

 

《知識》

実店舗を訪れる消費者は、インターネット上におびただしい数の選択肢があることを知っています。

けれども店舗には販売員がいて、推薦してくれたり、決定を助けてくれたりします。

2015年の調査によると、アメリカの消費者の約90%は、

知識がある知人の助言によって、購買意欲が高まる傾向がある、と答えています。

 

あなたの販売員は、顧客が実際に知りたいのは何か、理解していますか?

・どの商品が一番お買い得かを知りたい…65%

・どの商品が最高品質かを知りたい…64%

・どの商品が最も信頼できるかを知りたい…56%

・自分の必要や予算に照らして、どの商品が最適かを知りたい…47%

ミレニアル世代は、販売員に対して、もっと期待しています。

彼らの74%が販売員がお買い得を知っていることを期待し、

69%が最高品質を知っていることを期待し、

さらに62%が最も信頼のできる商品を知っていることを期待しているのです。

 

《必要な時に援助する》

求めるものがすぐに手に入る、という満足感を求めて、人は実店舗に足を運びます。

販売員は商品について勉強するばかりでなく、必要な時にいつでもそばにいて、

顧客を助ける準備ができている必要があります。

顧客が必要な時に、すぐに助けてもらえるように、

適切なスタッフが必ず配置についているように、スケジュールを調整してください。

売り場ごと、あるいは四分割した店舗の各エリアごとに従業員を配置し、

顧客にすぐに応じられるようにしてください。

顧客が手助けを求めがちなエリア、たとえばPOS端末の付近や試着室の付近には、

かならず従業員を配置し、顧客の買おうという決心が鈍ることのないようにしてください。

経験を積んだ販売員は、顧客に対して緊張感を持ちながら、

同時に親しみやすく接することができます。

顧客のボディランゲージを読むことは、販売員が学んでおくべきスキルです。

ある研究によれば、顧客のボディランゲージをなぞることによって、

顧客の気分が良くなり、売上の増加につながることがわかっています。

たとえば、販売員とあまり関わりたくなさそうな様子で、店に入ってきた顧客に対しては、

販売員は顧客の近くで自分の仕事をし、

親しみやすい笑顔を見せるぐらいにした方が良さそうです。

そんなときに「何かお探しですか?」と声をかけたりすると、

顧客はいやがって、店を出て行くかもしれません。

 

 

 

―スモール・ビジネス・トレンド


元記事:http://bit.ly/1HIg5mG

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

クライアントをつなぎとめておく方法 その3.

by ダン・トラヴィス

 

これまで2回に渡って、既存のクライアントはあなたの最大の資産であり、

彼らを軽視することは、お金の損失にほかならないことを見てきました。

 

その1.  あなたのビジネスには大きな穴があるかもしれない

 

その2.  ビジネスの穴はなぜできてしまうのか

 

ここではその3として、

 あなたのビジネスに生じた穴ができるのを食い止める実践的な 3つのステップ

を、見ていきたいと思います。

 

 誰とコンタクトがとれていないかをつきとめる

 

あなたのビジネスに穴が生じるのを食い止めようとするなら、

最初にすべきなのは、あなたの現在のクライアントのリストをよく確かめることです。

 

この一年(ビジネスの種類によってもこの期間は変わってきますが)で6ヶ月以上、

音信がないクライアントがいないかどうか、確認する必要があります。

私はこうした人のことを「ゴーナウェイズ(いなくなった人たち)」と呼んでいます。

 

ビジネス・オーナーの多くは、ゴーナウェイズに対して、あまり連絡をしたがりません。

というのも、長く会っていない人にコンタクトを取ろうとして、いやがられるのではないか、

また、彼らは価格やサービスが良くないせいで、離れていってしまったのではないか、

と考えるからです。

 

けれども、以前の記事で指摘したように、実際にはそのようなケースはまれなのです。

ゴーナウェイズのリストを作り、メールを送りましょう。

たとえばこのようなメールです。

 

こんにちは、レスリー。

しばらくお目にかかっていませんが、お元気でお過ごしのことと思います。

もっと早くにご連絡せず、申しわけありませんでした。

おりにふれ、どうしていらっしゃるかと思っていたのですが。

さて、大切なお客様に、8月中に無料のおもてなしをご提供させていただきます。

近日中にお目にかかるのを楽しみにしております。

 

(どうかこれをテンプレートとして、自由に使ってください。

これは実際に効果を上げていて、あなたもこのメールに返事がもらえるはずです。)

 

あなたはゴーナウェイズに、こうした種類のメールを、最大6通までは送り、

彼らを「ゴーナウェイズ・リスト」から外せるようにしなくてはなりません。

もし6通送って、何の返信もなければ、そのクライアントは去ってしまったということですし、

おそらくそれは相手側の事情によるものでしょう。

けれども、たとえそのクライアントを失ったとしても、この情報を、

新しいシステムの中に組みこんでおく必要があります。

 

ゴーナウェイズを呼び戻そうとして、何とか彼らから返事をもらおうとして、

以下のようなメールを書く人がいます。

こんなメールは、決して誰にも送らないでください。

 

お客様におかれましては、1年以上ご来店いただいた記録がございません。

お客様が、弊社の製品やサービスについての情報は今後も受け取りたい、

もしくは、メーリング・リストからは外してほしい、という、

いずれのご希望をお持ちでいらっしゃるか、教えていただければ幸甚です。

 

私は実際にこのタイプのメールを、ときどき目にすることがあって、

そのたびに信じられないような思いがします。

もっとも、なぜこうしたメールを送ることが間違っているか、

その理由がわからないような人には、私にできることは何もなさそうですが。

 

212-365 (Year 7) A new list

 

 クライアントのリストを組織化する

 

もしあなたがまだクライアントのリストを編成していないのなら、

すぐにフリーソフトをひとつ選んで、

クライアントをコンタクトの結果によって分類し、

メールをグループ分けしてください。

 

こうしたシステムを作るのに、複雑にしたり、お金をかけたりする必要はありません。

Gメールはクライアントをデータベース化するのに、非常にすぐれたものです。

ヴァージン・メディア・グループはクライアント用のメールの整理には、

Gメールを使っています。

 

Tea Shop Lao Ban at Ma Lian Dao

 

 新しいクライアントを獲得するための効果的な方法を見つける

 

これは簡単なことではありません。

しかも、役に立つアドバイスがあまりに多いために、いっそうむずかしくなっています。

その上で、私は以下にあげるふたつの方法を、できるだけ早く実行すべきだと考えています。

 

第1に、インターネット上で、潜在的クライアントが大勢いそうな場所を探すことです。

こうした潜在的クライアントを特定し、グループ分けします。

彼らを見つける最適な場所が、リンクトインです。

 

リンクトインにはあなたのクライアントになってくれそうな専門職の人々が大勢います。

ですから彼らとつながりを持ち、何か興味深い話題を送る必要があります。

 

リンクトインは、企業間のビジネスの場(B to B)であって、

消費者を相手にしたサービス(B to C)ではない、という意見もあります。

確かにかつてはそれは正しかったのですが、もはやそうではありません。

2015年現在、リンクトインは新しいクライアントを見つける場でもあるのです。

 

あなたができることの第2は、

あなたの潜在クライアント・リストの詳細をデータベース化して、彼らにメールを送る

ことです。

どのようにおこなわれるべきか、

どのような方法を用いると、退屈でつまらないものになってしまうか、

ここでも試行錯誤が必要です。

おそらくあなたも、これはすべきだ、とか、これはすべきではない、とか、

いつ、どこですべき、すべきでない、などということは、さんざん耳にしているはずです。

ソフトウェアを使わなければ、携帯端末のXxxxを使わなければ、失敗する、

みんなにバカだと思われる……などと言われるかもしれません。

過剰な情報や、感情的な脅し文句から身を守るために、このことを忘れないでください。

新規リストを作成し、興味深い話題を添えたメールを何度も送ること。

 

自動でフォローアップのメールを送信するのは、今すぐでなくてもかまいません。

セールスフォースをフル装備で導入していなくても、うまくやっていくことは可能です。

たしかにそうしたツールは強力ですが、スタート時にどうしてもなくてはならないことはありません。

 

 

この3回のアドバイスが、あなたの役に立つことを願っています。

 

著者:ダン・トラヴィス


?元記事:https://www.linkedin.com/pulse/how-keep-your-clients-dan-travis

(翻訳:服部聡子)

 

クライアントをつなぎとめておく方法 その2.

by ダン・トラヴィス

 

前回のコラム?「あなたのビジネスには大きな穴があるかもしれない」?で、

あなたが気づかないうちにクライアントが去っていくのは、どのようなときか、見ていきました。

そこから以下の2点が明らかになりました。

 

  1.  クライアントを軽視していることに気づかず、

     どうしてクライアントとのコミュニケーションが重要かわかっていないとき

  2.  新しいクライアントに夢中になっているとき

 

ビジネスを経営する人が、既存のクライアントが重要な資産であることを理解していないときに、

新しいクライアントと接触して、「新クライアント幸福症」とでもいうべき

根拠のない幸福感を抱きがちになる。

そのことが原因で〈ギャップ〉ができる。

そうしてこのギャップによって、クライアントはビジネスから去り、

経営者はお金を失うことがわかったのです。

 

Passion Growers on Lifetime's "The Client List"

 

今回は、ビジネスで利益を上げるためには、

思考をどのように変革させていかなければならないのか、見ていきたいと思います。

考え方を変えることによって、ビジネスの〈ギャップ〉を未然にふさぐことにもなるのです。

 

以下の2つの事実を考えてみてください。

 

「既存のクライアントがあなたから購入する可能性は、新規顧客の20-25倍である」

 

「新規顧客を獲得するためには、高いコストがかかるのに対し、

 既存のクライアントの獲得費用はゼロである」

 

こうした事実のことは、ビジネススクールでは何度となく取り上げており、

経営者の多くも、少なくとも知っているはずなのです。

問題は、多くの経営者はこのふたつのパラダイムが実際に意味するところを、

ほとんど理解していない、という点です。

彼らはこの事実が現実で何を意味しているのか、見ようとはしていないのです。

 

これらの数字は、単なる観測値にとどまるものではありません。

あなたのビジネスの成功に、きわめて大きな意味を持つ現実です。

この数字を無視すれば、ビジネスがうまくいくことはないでしょう。

 

この事実をビジネスに適用しない人が、

クライアントに誕生日プレゼントや、何かを達成したときにお祝いを贈る代わりに、

広告にお金をつぎこむようなことをするのです。

けれども、新規クライアント獲得を優先させることは、何より大きな損失につながります。

 

既存のクライアントに販売できないということは、お金を損失したということにほかならないのです。

 

ビジネスは、既存のクライアントをよく知り、価値を与え、販売するために

新しい方法を見つけ出すものでなければならない

 

Resham Asian Clothing Shop, Ashton-under-Lyne, UK

 

既存のクライアントから、より多く儲けを出す方法は、より高額な商品を売ることだけではありません。

これは、ビジネスの核心ともいえる、創造的なプロセスなのです。

 

富裕層のクライアントにハイエンドサービスを提供するように、

新しいクライアントを紹介してくれることに対する報酬を提供する戦略は、効果的です。

このようにして、既存のクライアントに販売するときに、異なる戦略を用い、組み合わせれば、

実行に移せる戦略の幅は、無限に広がっていきます。

 

気をつけなければならないのは、新規クライアント獲得に執着するあまり、

かなりの収益をそちらに注ぎこんで、ビジネス本体を危険にさらすことです。

効果のない広告費用が、この方程式に加算されると、

損失はさらにふくれあがります。

 

ここ数年、いわゆる「伝統的」広告は、どうひいき目にみても、効果的ではなくなりつつあります。

最悪の場合は、まったくのお金の無駄となってさえいます。

 

伝統的な活字広告の効果は減少し、グーグルの広告へと転換していきました。

利益率は単純に、そこには存在しないのです。

このことを見ても、既存のクライアントに対する効果的で、収益性の高い販売戦略が、

何にも増して重要であることは明らかです。

同時に、広告による利益の低減は、

新規顧客を開拓する新しい方法を見つけなければならない、ということでもあります。

 

しばらく前から、SEO固有の弱点が、明らかになってきています。

多くの人が、検索エンジン用に最適化されたデータでは、うまくかみあわないと感じるようになっているのです。

目新しくもない、コピーやスパムがらみのコンテンツは、もはや誰も引きつけられません。

?古いSEO戦略は、単にあなたをリストの最上位に置き、その特権と引き替えに、

代金を請求しようとするものでしかありません。

 

次回のコラムでは、新規クライアント獲得に向けた、創造性に富む戦略を見ていきましょう。

そこであげる戦略は、効果を上げるだけでなく、

既存のクライアントに対する戦略の増強にも役立つはずです。

 

 

著者:ダン・トラヴィス


元記事:http://linkd.in/1Dd66hI?

(翻訳:服部聡子)