「マーケティング」の基礎知識:「モテる人はお断り」

こんにちは、トイアンナです。
唐突ですが、あなたはモテますか?

学生時代から「あの、いつも同じ通学路なんですけど……、好きです!」と告白され、
バレンタインデーには靴箱にチョコが入りすぎて溢れんばかりでしたか?

それとも、バレンタインデーに「チョコが貰えるやつはいいよな」と少し羨ましく思いながら、
貰ったところで別にそんな甘いものが好きなわけでもないし……と少し強がってみたり、
男友達といることを選んだりするような甘酸っぱい学生生活を過ごしていましたか?

前者のような人は、マーケティングがいらない人ですから、ここから先は読まなくてもいいでしょう。
逆に後者の人こそ、マーケティングが必要な方です。
なぜなら、マーケティングとは
限られた資産の中で、自分がモテる場所」を探す技術だからです。

今回は恋愛を例にして、マーケティングがいかに成果を変えられるかをお伝えしたいと思います。

■ 全くモテない彼が引っ張りだこになったのは「モテる場所」を知ったから

ここで、マーケティングを使って恋愛が上手くいった実例をご紹介できればと思います。

ある40代の男性は、30代始めに起業しました。
お父様の会社を継いだ形にはなりましたが、地方のお得意様と細々と取引しているだけではいずれ競争が激しくなった時に会社がもたないと一念発起。
泥臭い営業から会計業務までがむしゃらに働き、全国区へ営業範囲を延ばすことに成功しました。

「そろそろ結婚したいな」と思った当時は42歳、ちょうど会社が軌道に乗ったころでした。
しかし地元の結婚相談所に相談したところ、ほとんど門前払いの冷遇を受けてしまいます。
結婚相談所から言われたのは「自営業の方はちょっと……」
「40代の男性は年齢的に厳しいとおっしゃる女性も多く」と、今までの努力を否定されるような言葉。

「もう結婚は無理かもしれない」と諦めていたそのとき、友人から銀座の異業種交流会へ誘われました。
今までは業務が忙しいからと断っていた彼も、1回だけ顔出ししておこうと参加したところ、信じられないくらいモテました。
その友人が「彼、ベンチャーの社長でさ、会社もめちゃくちゃ儲かってるんだよね」と女性陣に紹介してくれたのです。

地方では「安定性がない」と批判される中小企業の社長も、起業家が珍しくない都内では憧れの的。
その日だけで連絡先を10件以上交換した彼には、間もなく彼女ができました。

彼が結婚相談所に使ったお金は約100万円、対して銀座の異業種交流会は往復の交通費を足しても3万円。
彼は「自分がモテる場所」を知ったことで、お金も時間も余計にかけることなく、彼女を作ることができました。

この話は、ビジネスにそっくりそのまま当てはめることができます。
ある市場で受けなかったものが、別の市場では飛ぶように売れることがあります。
あなたの商品が売れなかったとしても、商品が悪いのではなく、単に売る場所が適していなかっただけかもしれないのです。

■ モテる場所を考えるのがマーケティング

このように、あなたの商品が「モテる場所」を探すことをマーケティングと言います。
濡れても洗える畳は、介護業界ではフローリングの床が一般的だから売れないかもしれません。
しかし、和室を入れる新築家屋で、ファミリー向け物件なら喉から手が出るほど欲しいでしょう。

商品・サービスを考えたときのお客様のイメージと、実際に買いたいと思っているお客様は違うかもしれません。

美容室の毛髪マッサージは、流行に敏感な20代女性よりも抜け毛が気になる40代男性に受けるかもしれません。
はっ水加工をしてくれるウェットティッシュは、家の掃除より洗車の仕上げで愛されるかもしれません。

「この商品は○○向けだから」と決め打ちしないで「もしかすると○○に受けるかもしれない。考えてみよう!」と
あなたの商品を新しい場所でバカ売れさせる技術。
それがマーケティングです。

■ より少ない資源と時間で

また、マーケティングで欠かせないのが「限られたお金と時間を有効活用する」考え方です。
先ほどの婚活の事例では、異業種交流会に行ったほうが結婚相談所よりも安く・早く彼女ができました。
予算が無限にある会社は存在しません。

だからこそ「マーケティング思考」では、あなたの商品・サービスが手間やお金をかけず、モテる場所を柔軟に探します。
モテる相手へアプローチすれば、「これ、いいね」と思ってもらえるので商品を買ってもらいやすいからです。

「マーケティングって、お金かかるんでしょ?」と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。
しかし実際のところマーケティングはお金をいかに節約しながら、あなたの商品やサービスを売るかを考えるのが仕事です。

「最近はウェブの時代なんで、とにかくfacebookで告知しましょう!」
「お客様にウチの商品を知ってもらうために、まずは冊子を刷りましょう」
こんなことを言い出すマーケターがいたら要注意です。

本来マーケティングは「その冊子、本当に告知の役に立ってますか?」とあなたの商品がちゃんとモテているかを、確認するのが仕事のはず。
「とりあえず」で動いては、結婚相談所に100万円使った彼の二の舞です。
これから一緒に正しいマーケティング知識を身につけて「あなたの商品がモテる場所」を考えてみませんか?
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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com