時は新しい金である
by チャック・ブレイクマン
リチャード・ブランソンは先ごろヴァージン社の社員に、休暇の取得には制限を設けないことを発表しました。
ブランソンは、頭がおかしくなってしまったのでしょうか。
それとも、他の誰も気がついていないことを発見したのでしょうか?
社員に時間を返してあげれば、結果的にもっとお金を儲けることができる、と。
産業革命以降、私たちはお金を儲けるたったひとつの方法は、 時間と交換することだと教えられてきました。
それは単純明快、つねに一定の取引きだったのです。
― 1日8時間から10時間の時間をよこせ。 そうすればこれだけの金をやろう、 という。
けれども 「工業化の時代」 が終わって 「参加の時代」 が到来し、 新しいアイデアが出現しました。
企業は、社員に時間を返せば、もっと儲かることを知ったのです。
これは理屈に反しているように見えるかもしれません。
伝統に凝り固まった人間だと、ブランソンを注視していなければ決して理解できないような、
流行に敏感なアーリーアダプターなら、すぐに実行したくなるような、 そんなアイデアに。
いつものことですが、ブランソンの行動は、あるアイデアにもとづいているのです。
伝統に凝り固まった人間だと、ブランソンを注視していなければ決して理解できないような、
流行に敏感なアーリーアダプターなら、すぐに実行したくなるような、 そんなアイデアに。
でも、直観的に考えれば、きわめてまっとうなことだとわかります。 ?
いつものことですが、ブランソンの行動は、あるアイデアにもとづいているのです。
伝統に凝り固まった人間だと、ブランソンを注視していなければ決して理解できないような、
流行に敏感なアーリーアダプターなら、すぐに実行したくなるような、 そんなアイデアに。
どうして休暇を制限しないことで、良い結果が得られるのか
なぜ、170年以上も続いてきた休暇システムを、やめなければならないのでしょうか?
実は、これまでの休暇システムは、工業化の時代、労働力が慢性的に不足していた時代でさえ、
決して良いアイデアではなかったからです。
今日ではさらにそれがそぐわないものになってきています。
40歳以下の人なら、ほとんど誰もが、 仕事の世界は結果ベースで動いているというのに、
労働が時間ベースであることには意味がない、と考えているではないでしょうか。
ブランソンには、このようなシステムが理解できませんでした。
実のところ、彼は多くの仕事を昔風にこなし、 現代風の金儲けにはまったく疎い、
言うなれば、“レイト・アダプテーター” だったのです。
休暇を無制限に認めている企業など、アメリカでは1%にも届きません。
もっともアメリカは、世界でも下から二番目に少ない国なのですが(最下位は韓国)。
けれども、もう何年も、これに取り組んでいる企業も少なくはないのです。
セムコは、代表的な 「参加の時代」 の企業といえるでしょう。
セムコはポンプを作る、まさに 「工業化の時代」 の工場として、1951年に創業しました。
職場に人間らしさを取り戻すような規則を数多く備えた、 大規模な企業へと転換したのです。
1981年、資本金400万ドルの企業が、 今日では、10億の企業にまで成長し、
セムラーが想像もできなかったほど、無数の産業にまたがる企業となっています。
投資家の入れ替わりは、年間1%未満です。
テクノロジー系の企業の中にも同様に、休暇に制限を設けないシステムを、
何年もに渡って採用しているところもあります。
新しい産業だけでなく、伝統的な業界の間でも、その数は増えつつあるのです。
エバーノート社やネットフリックス社などがその代表例でしょう。
それらの企業は、そこに働く人々の生活の管理は、彼らにまかせることが、
結局、会社のためにもなるということを学んだのです。
工業化時代の祖先が信じていたことの、ちょうど逆です。
1981年、リカルド・セムラーが引き継ぐと、 無制限の休暇を含む、
職場に人間らしさを取り戻すような規則を数多く備えた、 大規模な企業へと転換したのです。
1981年、資本金400万ドルの企業が、 今日では、10億の企業にまで成長し、
セムラーが想像もできなかったほど、無数の産業にまたがる企業となっています。
投資家の入れ替わりは、年間1%未満です。 ? テクノロジー系の企業の中にも同様に、
休暇に制限を設けないシステムを、 何年もに渡って採用しているところもあります。
新しい産業だけでなく、伝統的な業界の間でも、その数は増えつつあるのです。
エバーノート社やネットフリックス社などがその代表例でしょう。
それらの企業は、そこに働く人々の生活の管理は、彼らにまかせることが、
結局、会社のためにもなるということを学んだのです。
工業化時代の祖先が信じていたことの、ちょうど逆です。
より多くの休暇を奨励するための昇給も
株主も、職場に人間性を取り戻そうとする企業に、投資するようになりつつあります。
どこかにマイナス面があるでしょうか?
古い型のビジネス・オーナーのようにふるまおうにも、 頻繁に休暇を取るよう、
奨励されてしまうことぐらいではないでしょうか。
この無期限休暇という考え方を実効性のあるものにするために、
私たちの会社クランクセット・グループは、 私たちのステークホルダー全員に、
休暇の費用として、年額1500ドルを支払っています
(エバーノート社は1,000ドル、フルコンタクト社は7,500ドル)。
もちろん、それが休暇に使用されたことを証明する領収書を提出した場合にのみ、
支払いを受けることができるのですが。
?
「工業化の時代」の人から、誹謗を受けることもあります。
先ごろ『タイム』に掲載されたような、シニカルな意見です。
けれどもそんな記事は、高校のディベードで貧乏くじを引いて、
植民地時代の年季奉公人の隷属状態がもたらした良い影響について
述べなければならなくなった生徒の話に耳を傾けるようなもの。
制限を設けない休暇に対する反論など、せいぜいがこじつけ程度のものです。
現実はシンプルなものです。
人々に自分の時間管理をまかせようではありませんか。
そうすれば、彼らは大きな企業にしてくれるでしょう。
あなたのために、ではなく、あなたとともに。 ? 「参加型の時代」、 時は新しい金なのです。
著者:チャック・ブレイクマン(起業家・スピーカー、著述家)
(翻訳:服部聡子)