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起業適性テスト

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今の仕事をやめて起業する前に問うべき質問

フルタイムの仕事という安定を捨てて起業することは、危険が伴うことであり、多くのストレスがかかるものです。その大きな一歩を踏み出すにはいつが最適なのか、どうすればわかるでしょうか?今の仕事をやめる前に問うべき質問を、以下にあげます。

1. 現在の仕事がただつらい(不満、つまらない)だけではありませんか?
現在の職務に対して不満があるという理由だけで、起業したいと思う人がいます。綿密なビジネス・プランを立てることで、一時的な感情に任せた決断を避けることができます。今の仕事をやめたいという気持ちに加えて、成功する見込みのあるビジネス・アイデアと、マーケティングと経営に関する良いプランがなくてはなりません。計画を立案するときは、今の仕事と収入をできる限り長く維持しましょう。

2. 複数の役割を進んで果たすことができますか?
ビジネスを始めるということは、いくつもの帽子をかぶるようなものです。あるときは技術担当者、あるときは販売員、あるときは清掃スタッフとなるのです。ですから、今の仕事をやめる前に、「私は、マーケティングからメンテナンスまで、さまざまな役割を果たすことに対して不満を抱かないだろうか」と問うことが必要です。

3. あなたの強みと弱みは何ですか?
複数の役割を考慮するとき、自分の得意なこととそうでないこと(改善・向上させるべきこと)について、自分に正直になりましょう。プログラミングのスキルを強化すべきなら、そのスキルを持つ人を探してパートナーになってもらいましょう。

将来のお客様や競合は誰でしょうか?あなたが考えているビジネスのコンセプトに関わる市場について、すべてテストをすることはできないかもしれませんが、少なくとも、お客様は誰か、どんな競合がいるのか、理解しておくべきです。

4. あなたをサポートしてくれる人たちも乗車していますか?
起業へとスムーズに転換していくために、起業のプランを家族に伝えるべきです。ビジネスを始めるにあたって必要とされる代償や妥協も含めて、家族は応援してくれるでしょうか?起業のリスクについて、はっきりと話しましょう。ある人が起業をすると、その人の家族も何らかの影響を受けるからです。家族をはじめ、あなたをサポートしてくれる人たちが自分のアイデアを支援したがらないという場合は、今の仕事をやめることは考え直したほうがよいかもしれません。

5. バックアップがありますか?
起業する前に代案を用意しておけば、無防備なところを不意に襲われずに済むかもしれません。一時的にお金が必要なときに、パートタイムで何か仕事をすることができますか?または、フルタイムの仕事を新たに始めて、起業プランは保留にしておくことになるでしょうか?リクルーターや現在の(または過去の)雇用主などと関係を築いておきましょう。

6. 取り返しのつかない状況を避けるためには、どうすればよいでしょうか?
今の仕事をやめると決心した場合、その雇用主もあなたの起業を助けてくれるかもしれない、ということを覚えておいてください。突然退職するのではなく、良い関係のまま退職する方法を見つけましょう。


(出典: Dizik, Alina. “10 Questions to Ask Before Quitting Your Job to Start a Business.” Entrepreneur Magazine. March 13, 2013.)


弊社ビジネスクラブのメンバー様向けに、起業適正検査用の質問用紙もご用意しております。クラブに参加を希望される方は、こちらまでお問い合わせくださいませ。

(翻訳:渡部真紀子)

倫理的は論理的

ジェイさんの文章を初めて読んだとき、目を引かれたのがethical(倫理的な)という単語が何度も出てくることでした。

倫理的という言葉は、それほど日常的な言葉ではありません。政治家の汚職事件の際に言われる「政治倫理が問われる」といった表現や、犯罪報道の中で「倫理観が欠如している」などといった表現などで目にする程度でしょうか。

倫理とは、人が生きていくうえで、ある行為をすることが「よいか、悪いか」― 自分にとって、あるいは誰かにとって「有利か、不利か」「得になるか、損になるか」ということではなく、「人間としてこうすることが善であるのか悪であるのか」、という判断の基準となるものです。それが法律に関する文章などではなく、マーケティングの文脈の中で登場することに驚いたのでした。

やがてジェイさんが、マーケティングは非常に大きな力を持つものであり、その力をもってすれば、良いことも悪いこともできる、と述べておられる箇所にも行き当たりました。また別の文脈でも、繰り返し、「マーケティングは人をmanipulate(操る)ものではありません」と言っておられることも目にしました。

そのころ偶然、私は宮部みゆきの『ペテロの葬列』という小説を読みました。その中に興味深い人物が出てくるのです。

不幸な幼少期を過ごした頭脳明晰な登場人物は、世間を見返してやろうと、相手がどんな人間であるのかをたちどころに見抜く直観力と、持ち前の巧みな弁舌、カリスマ性を生かして、1970年代、怪しげな自己啓発セミナーのトレーナーとなります。そうして多くの人をだまし、詐欺の片棒をかつぐようになるのです。

それを見て、私ははっきりと腑に落ちたのです。だからこそ倫理的であることが必要なのだ、と。
同じように鋭い直観力と、適格な言葉の使用、カリスマ性を備えているジェイさんとその登場人物が、決定的に異なっているのは、まさにその点だったのでした。

小説の中にも「人を教え導くというのは、本来、非常に尊い技だ。難しい技でもある。そうそう誰にでもできることではない。だからこそ教育者には適性というものがあるはずだ。だが、適性だけでは道を誤ることがある。教育の目的の正邪を見極める良心を欠いてしまえば」という言葉が出てくるのですが、ジェイさんは個々人の心のはたらきというニュアンスの強い、いくぶん曖昧なところのある「良心」という言葉ではなく、もっと社会性の強い「倫理」という言葉を選ばれたのだと思いました。

では、自分の行為が「倫理的」に見て間違いがない、と担保するのは、いったい何なのでしょうか。

ジェイさんはあるインタビューの中で、このように話しておられます。

人生には3つの要素があります。倫理、公平、法律の3点です。法律というものは、法律家がちょっと変わった解釈をしたぐらいでは、変えることはできません。
しかし倫理と公平は非常に主観的です。私がいつも見極めたいと考えているのは、その企業や業界が、私の目から見て、理にかなった運営をしているかどうかです。

ここでジェイさんは「倫理的なビジネスを行っている企業は、理にかなった運営をしている」と述べておられるのです。

「倫理的な人」というと、私などはどうしても「雨ニモマケズ」に出てくる、宮沢賢治が「ワタシモナリタイ」といった人のことをつい想像してしまうのですが、その人の生き方は果たして論理的と言えるのでしょうか? この人は周囲の人々を幸せにすると言えるのか。また、持続可能性といった観点から見るとどうでしょう?(ちなみに宮沢賢治自身は土地改良に尽力したことが知られています)

以前、翻訳チームのメンバーが「翻訳裏話」の中で、ジェイさんの言葉を紹介してくれました。

あなたの会社で働く人は、あなたに一生を捧げているのです。彼ら、彼女らがあなたに必要とされていること、大切に思われていることを感じさせてあげなくては。シングルマザーの社員がいるのであれば、彼女のためにもっと何かできることはありませんか?彼女の息子さんのために何かしてあげていますか?(「commitment」)

先日のテレビ会議のセッションの中で、このジェイさんのアドバイスを実行に移した方から、アドバイスのおかげで利益が3倍にもなった、という結果報告があったのです。

倫理を論理的に実践することが大きな結果を出した、というまぎれもない実例がここにありました。

論理的とは、ちょうど1+1の答えが、誰がどこでやっても2になるように、三角形の内角の和が、いつでもかならず180度であるように、いつ、誰が、どこで行っても、かならずそうなるような、普遍的なことです。

嘘をつこうと思えば、自分以外の人が正直でなければ、嘘は成立しません。全員が嘘つきであれば、嘘はもはや嘘としての意味を失います。「犯罪は割に合わない」と言いますが、みんなが犯罪を犯し合っているような社会は、誰も長くは生きていられないことを考えると、この言葉は、倫理的にばかりでなく、論理的に考えてもその通りなのです。

自分だけが得をするような行為は、論理的とは言えませんし、逆に、自分だけが我慢する行為というのもまた、論理的とはいえません。
その意味でも「私は論理的な人間です」とおっしゃるジェイさんは、同時にきわめて倫理的な人でもあるのでしょう。

長い年月にわたって、一流のマーケターであり続けてきたジェイさんからは、マーケティングだけでなく、実に様々なことが学べると思うのでした。


ハットリサトコ
ShimaFuji IEM 翻訳チームの一員です。

神は細部に宿る、という言葉は、まさに翻訳のためにある、と信じ、言葉ひとつひとつと格闘する毎日です。残念ながら、木を見て森を見ず、どころか、葉っぱ1枚の葉脈に目を奪われて、森の存在を忘れることもしばしば。

集客を考えるときはマーケティングと「善悪」を切り離そう

こんにちは、トイアンナです。
マーケターとして仕事をしていると、たまに「天才だ」と思わされるマーケターに出会います。たとえばドナルド・トランプは天才の一人です。正確に言えば、ドナルド・トランプのバックにいて、彼の原稿や発言を管理している有能な秘書たちでしょうか。

トランプ大統領は就任直後、いきなりイスラム教徒が多い国籍保持者を入国拒否しました。数百万人単位のデモを起こし、世界中で混乱と批判を浴びているトランプの何が天才なのか?と思われることもあるでしょう。

しかしアメリカ国民に対して行われた調査では、トランプの入国拒否手続きを支持すると答えた層が反対を上回っています。

彼にとって一番重要なのは自国の支持率を維持することですから、いくら裁判所がNOを付きつけようが、目的を達成するために正しい戦略を取ったと言えるでしょう。

彼のしたことは現場の担当者へ大混乱を招きましたし、何よりビザを持つ人間すら拒否したため裁判所から合衆国憲法違反と判断されました。さらに何も悪いことをしていないのに空港で追い返された多くの人を傷つけたという意味で「正しい」「正しくない」の天秤にかけるなら「正しくない」と感じる方も多いはずです。私もリベラル寄りなので政治的信条からすると彼の行為は絶対に許せないことです。

その一方、マーケティングという目線で語るなら彼の戦略はあまりに的確で、舌を巻きます。

マーケティングでは「正しさ」を問わない

マーケティングは「正しさ」「正しくなさ」に関係なく目標を達成するための道具です。
ところが自社のマーケティングや集客を考える上で、まずは頭を柔らかくしてどんなアイデアでも自由に出してみましょう――と言われても

「これはウチのポリシーに反するから」
「いくら売上のためだからってこれはできないよ」

と、「正しい」「正しくない」でアイデアの幅を狭めてしまう方が少なくありません。特に同じ業界で長くお勤めなら慣習やしがらみもあり、なかなかこれまでのやり方を無視できないはずです。

けれど、思いもよらないマーケティング戦略は正しさやしがらみ、常識から外れたところに生まれます。たとえば機能が劣ってもいいからカッコいい動作を追求しようと、携帯電話業界の常識を無視して登場したのがiPhoneです。iPhoneにはデコレーションメール機能や着メロの音質といった「当時ガラケーの会社が当然備えるべきと考えた機能」は何一つありませんでした。

iPhoneが海外製品だったから勝てたというわけではありません。日本の例ですと、雑誌なのに「読まれなくていい。付録目当てで買ってもらう」という新しいコンセプトで爆発的に売上を伸ばした女性誌『InRed』があります。男性に身近なケースでは、ビールなのにアルコール分ゼロを売りにしようという新しい発想で生まれたのが『キリンフリー』は記憶にあるかと思います。

「正しい」「正しくない」やこれまでのしがらみを一度すべて忘れ、新しいアイデアを出すことで大ヒット商品は生まれてきました。

このように型にハマらないヒットの卵を産むためにはスティーブ・ジョブズ並の天才社員、もしくは何でも提案できる社風づくりが欠かせません。「とんでもないこと言い出しやがって」と部下を叱る前に「待てよ、もしかすると面白いかもしれない」と一度採用してみる。こんな心意気が、ヒット商品へ繋がります。

「どうすればできるか」を考える

さて、企業によっては「スティーブ・ジョブズ型の天才ばかりを雇用する」ところもあるかもしれませんが、アイデアを出しやすい仕組みづくりを行う企業の方が日本では多く見られます。そのため多くの企業がボーナス付きのアイデア公募制度を用意しています。公募制度を実施する際はボーナスだけでなく、社内で不利益を被る人が出るアイデアでも投稿者が報復人事にあったり、嫌がらせをされたりしない仕組みが必要です。

アイデアを全社員が出しやすい土壌を作ったところで、次に常識破りの面白いアイデアが出てきたとしましょう。しかしそのまま世に出してはトランプ並みの波紋が業界へ起きます。また、奇抜なだけのアイデアは話題こそ呼ぶものの実際の集客へ繋げるのは難しいものです。

そこで、まとまった時間を取ってからアイデアを並べ、「どうしたらアイデアを活用して集客を実現できるか」「どうしたらしがらみや慣習を突破できるか」を考えてみるのが、マーケティングのやり方です。

面白いアイデアの中から、目標(売上・利益)を達成できそうなものを選び、さらに業界からも「最初はびっくりしたけど、ありゃ面白いね」と言われるサービスや製品をこの世へ出せるかには、会社としてどこまでリスクを取れるか覚悟が求められます。

冒頭のトランプであれば「たとえ大反発を招いても、支持率を稼げるなら目標達成だ」と判断し、リスクを取ったと思われます。トランプほどの反発を招く行為は私が御社のマーケターならオススメしませんが、それくらいの胆力があればどんな「正しさ」も超えて優れたマーケティングアイデアを出せるはずです。まずはアイデアを出せる制度作り、御社で考えてみませんか?

トイアンナ「マーケティング深化論」目次


トイアンナ:

大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。

ブログ:http://toianna.hatenablog.com

新著に『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』(光文社新書)

人は城、人は石垣、人は堀

ジェイ・エイブラハム氏の哲学を深く考えるとき
私の頭に浮かんでくる1人の人物がいます。
それは、500年前の日本を生きた
名高い戦略家 武田信玄です。

戦国時代の日本は、それはそれは殺伐としており
親兄弟間の殺し合いすら、日常茶飯事だったとか。
あの織田信長が実の弟を討ったことは有名な話ですね。

信玄も父を追放し家督を継いではいるものの
毎年のように多額の仕送りをしていたそうです。
信玄はまた、独裁者ではなく
家臣との戦略会議をよく開いたといいます。
また、当時としては非常に珍しく
身分によらず実力のある者を進んで招き入れる
そんな 器の大きい人物でもあったとか。

そんな信玄の、数ある名言の中にこんなものがあります。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは見方、仇は敵なり」
信玄が家臣をとても大切にしていたことが伺える一言です。

ところで、
「なぜジェイ・エイブラハムの翻訳裏話で武田信玄なの?」と
皆さんうすうす疑問に感じていることでしょう。
いよいよ本題です。

“Team”

この一言をどう訳すか。
これに、私たちは迷ったことがあります。

「え?普通に『チーム』じゃダメなの?!」
と、多くの方が疑問に思われることでしょう。
ときにはこんな、何の専門用語でもない一言を訳すのに
私たちは多いに悩むことがあります。

それは、スタートアップを考えている人たちに向けた
動画の字幕を訳していたときのことでした。
ジェイさんは、スタートアップをする人が今後雇う人材を指して
“your team”と言ったのでした。

もちろん「チーム」という言葉は日本語でも普通に使われているけれど…
一般的に日本人が「チーム」という言葉を聞いて
頭に思い描くのは、ビジネスではなくスポーツなのでは?

そう、スラムダンク、キャプテン翼、はたまたアタックNo.1のような…
とにかくその言葉には、友情、涙、熱血、団結といったイメージが
付いて回るものではないでしょうか。

「では英語のteamは違うの?」というと
そんなことはありません。
ただし、大企業、中小企業に関わらず
また上司や部下が入り混じっているかどうかに関わらず
一緒に仕事をする仲間を“team”と呼ぶのは
ごくごく普通のことと言えます。

でも日本では違うのではないか、と私たちはふと思ったのでした。

文字が何秒かのうちに現れて消えてしまう字幕の場合には
言葉のイメージが非常に重要です。
ここで「チーム」という言葉を使って、
スラムダンクを連想させてしまって良いのか?!

ではどうすれば?
いくつかの提案がありました。
「スタッフ」「従業員」などの訳を当てようかと。
もちろんそれでも意味が通る訳にすることはできました。

が…

結局のところ私たちは、敢えて「チーム」という訳を選びました。
ジェイさんがそのとき伝えたかったのは
まさにスポーツのチームに関して私たちが連想するような
「心のつながり」だと思ったからです。

ジェイさんの卓越論からは
「人を敬って、大切にすればするほど、自分の得るものは大きくなる」という
メッセージが伝わってきます。

なんだか私は、先ほどの信玄の名言を思い出すのです。

日本企業の間でも「チーム」という言葉と考えが
もっと浸透していくといいな~と
そんな願いを込めて訳を選んだ、島藤翻訳チームでありました。

(a_washiyama)


a.washiyama

a_washiyama:
ShimaFuji IEM 翻訳チームのメンバーです。
翻訳家としてまだまだ勉強中ですが、ジェイさんのお考えを分かり易く、正確にお伝えできるよう、邁進して参ります!

正しい決断を下すために必要なもの

by スティーバー・ロビンス

 

正しい決定を下すためのスキルを持っているかどうかで、人生は大きく変わります。
「ゴールディロックスと3びきのクマ」の話を思い出してください。
森の中のクマの家にやってきたゴールディロックスは、
おかゆが熱いか冷めているか、ちょうど良いか、思い悩んでいたのです。
家宅侵入が罪であることにも考えが及ばないほど、
おかゆの温度に夢中だったのですから。
野生のクマの所有する家だったというのに!
MITの学生時代、数ある学生寮には、それぞれ個性がありました。
私たちのところでは、新年度最初の一週間、新入生歓迎会を開き、
新入生にロブスターを食べさせて勧誘していました。
そこで「ベイカーハウスの方が部屋がきれいだった」と新入生が言えば、
「自分が気に入ったところを選べばいいよ」と私は答えていたのです。
「もちろん君の選択は、君が1人の人間として決定すればいいよ。
そこから人生の全体が決まっていくんだからね。
でも、そのことは忘れて。今はこのロブスターを食べなよ」
決断の結果は、今から始まり、のちのちまで続いていきます。
けれども私たちが何ごとか決定する場合には、
たいていのとき、たった1つの時間枠での結果しか考慮していません。
正しい決断を下すためには、それにふさわしい時間枠が必要です。

誘惑には対象期間がある

私たちが結果について思いめぐらしたとしても、
その対象となるのは数分間、数週間、せいぜい数か月というあまりに短い期間です。
けれどもほんとうに重要な結果は、何年も先になってからでないと、出ないかもしれません。
あなたの人生を形成する時間を、今晩のロブスターを基準にして選ぶのでしょうか?
それではあまりに対象とする時間枠が短くはないでしょうか。
オレオ・アイスクリーム・ケーキが食べたいとき、
私たちが考えるのは、「おいしい!」と感じる一瞬のことだけで、
それを消化するための、3週間にわたる有酸素運動ではないのです。
不快な、遠い将来の結果を、意識的・具体的に想像することによって、
誘惑に抵抗することができます。

不快な予感は短い時間枠での決断を引き起こす

私はコーチングの実践の中で、クライアントが誤った決断を下す場合は、
誤った時間枠に基づいていることに気が付きました。
あるクライアントは、自分には合わない仕事を選びました。
「私にオファーが来たのは、これだけだったんです。
だから、この仕事をやるしかないわ!」
何という誤りでしょう。
たった今、ほんの短期間の不安を和らげるために、
自分が嫌いぬいている仕事を何年も続けるという、ストレスの道へ飛び込もうとしていたのです。
けれども、ほとんどの人は、長く働くことのできる、自分に合った職を見つけるために
求職活動を延長するより、ストレスの多い求職活動を短期間で切り上げることを選びます。
短期のものは、長期のものより魅力的に映るのです。
ほかの決定の際でも、多くの人は短い時間枠で考えます。
長期的に見て合わなくても、目先の必要を満たす選択肢を選びがちなのです。
「ほんのちょっと」「今だけ」「さしあたって」
このような言葉に目をくらまされて、起こり得る深刻な問題に目をふさごうとします。
「たった1度だけ」なら、悪いことをしてもかまわない、というように。
「たった1度だけ」が簡単に堕落へとつながっていくことにも気づかないのです。
緊急対応計画であっても、短期的な時間枠と、長期的な時間枠をペアにして、
決断を下してください。
新しくその職に就いた人のための試用期間は、
長期採用した場合にふさわしくない人に任せることのないよう、
現在の必要を満たすための緊急対応計画にほかなりません。
短い期間に周囲を汚染するような人であっても、
適切に指導し、再評価できるなら、立派な緊急対応計画になります。
あるいはまた、倫理の斜面を転げ落ちることを苦にしなければ、
タックスヘイブンの地、ケイマン諸島に別荘を持つことは、
緊急対応策にちがいありません。

遠くを見すぎる場合には

同様に、私たちは遠い将来のことを考えることもあります。
多くの起業家は、自分たちがどのように利益を上げるか考えることもなく、
会社を起ち上げます。
「10年もしたら、全部わかるだろう」というように。
けれども、今を生き延びる計画がなければ、10年も経たないうちに
資金は底を尽き、失敗してしまうでしょう。
高い目標達成をする人は、はるか将来に意識を向けていることが多いものです。
彼らは必死で働き、家族や趣味、友人や生活を軽んじがちになります。
どうしてなのでしょう。
彼らは次の昇進に、引退後の計画に、子供たちを大学に送ることに、
あるいはまた、いつの日か人工知能を持ったダチョウを発明して、
世界を征服することに、目を奪われているからです。
この場合、彼らは将来に備えるあまりに、現在を損なっています。
彼らは、今、家族と幸せに過ごすこともできるのです。
子供たちに、自分の大学資金を得る方法を教え、助けてやることもできるのです。
趣味や友だちや生活を楽しむこともできるのです。
人工知能のダチョウのことは、そこまで確かではありませんが。
長期的な観点のみに基づいた決定は、短期的なリスクを引き起こす可能性が、きわめて高いのです。
しかも、短期的なものを無視することで、
自分のほしいものや、すでに自分が持っているものを見失ってしまいます。
長期的な方向を定めつつ、その途上の短期的な毎日を楽しむ、ということが、
私の考える、すばらしい生活なのです。
もしあなたが長期的な時間枠のみに集中しているなら、
それをやめて、短期的な時間枠や「いま、このとき」に目を向けてください。
もしかしたら、あなたは自分が望むものが、すでにあるのかもしれません。
であれば、かならず長期的な目標に到達するまでの、短期的な延命策を用意してください。
さまざまな意味での「延命」、経済的にも、肉体的にも、社会的にも、精神的な意味でも。

決断を下す時には さまざまな時間枠を考える

決断を下す場合、あなたはゴールディロックスになりがちです。
きわめて短期的な時間枠のみで考えてしまうのです。
そこで、もう一度考えます。
きわめて長い時間枠で考えるのです。
そこから、情報をもとに、適切な時間枠、三番目の時間枠で、もう一度考え直すのです。
緊急対応策が必要なときも、短期間の延命策も加味され、
長期的な計画を立てることができるでしょう。
また、あなたの計画対象期間も、適切なものになるはずです。
(翻訳:服部聡子)

本:『創造への刺激』

Wired to Create: Unraveling the Mysteries of the Creative Mind

『創造への刺激:創造力の神秘を明かす』

著者 スコット・バリー・カウフマン キャロリン・グレゴワール

創造性のように、とらえどころのないものを理解することができるでしょうか?

心理学者スコット・バリー・カウフマンの画期的な研究と、

キャロリン・グレゴワールのハフィントンポストの人気連載を下敷きにした

『創造への刺激』は、きわめて創造的な人々の「入り組んだ精神」の内部を

垣間見せてくれます。

 

神経科学と心理学における最新の知見を明らかにしながら

歴史を通して、芸術家や発明家の例を引きながら、

本書は創造的思考を活性化させる実践や習慣に、光を当てています。

 

カウフマンとグレゴワールは、注意深さと白日夢、

真剣であることと遊ぶこと、開放的であることと感じやすいこと、

孤独と協力などの、互いに矛盾するふたつのことは、

私たちが創造力のもっとも深い部分を利用することによって、

受け入れることができる、と説明します。

 

それぞれの章を通して、創造的な人の10の特徴と1つの習慣を

探っていきます。

・想像力に満ちた遊び

・情熱

・白日夢

・孤独

・直観

・経験に対して開かれていること

・感受性

・逆境を強みに変えること

・発想の転換

 

パブロ・ピカソ、フリーダ・カーロ、マルセル・プルースト、

デビッド・フォスター・ウォレス、トーマス・エジソン、

ジョゼフィン・ベイカー、ジョン・レノン、マイケル・ジャクソン、

トム・ヨーク、ジョシュア・ワイッツキン(チェス・プレーヤー)、

宮本茂、その他大勢の著名人の仕事と性格の洞察を通して、

『創造への刺激』は、私たちの創造力に対する理解を深め、

人生を豊かにする方法を教えてくれます。

 

 


元記事:http://goo.gl/g6HTB0

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

 

 

 

バックアップ計画が裏目に出るとき

 

あるプロジェクトのために、どれほど入念に計画を練ったとしても、

かならずうまくいかないことは起こります。

それゆえマーフィの法則「失敗する可能性のあるものは失敗する」

と言われるのです。

この人気のある格言は、多くのバックアップ計画を生み出す元にもなってきました。

就職の面接から、引退後の投資まで、

「うまくいかなかったときのために、予備のプランを準備しておきなさい」

と、かならずアドバイスする誰かがいるはずです。

 

けれども、もしエネルギーや資金を投入し、包括的なバックアップ計画を作ったところで、

そのせいでうまくいかなかったとしたらどうでしょう?

 

先ごろ発行されたPerspective on Psychological Science誌の記事の中で

チューリヒ大学の研究者クリストファー・ナポリターノとアレクサンドラ・フロインドは、

バックアップ計画の存在が、目標を達成する上での意思決定やモチベーションに

大きな影響を与える、という説を発表しました。

 

仮にバックアップ計画を1度も使わなかったとしても、

バックアップ計画は、用意するだけで、

人の目標の追求の仕方だけでなく、達成の可能性までもが変わっていく。

バックアップ計画は、目標を追求する過程でのセーフティネットとなる場合もあるが、

最初の計画をやり遂げようとするモチベーションを下げる要因ともなりかねない。

 

確かに最初に目標がうまく達成できなかった場合、

バックアップ計画があれば、何かと重宝するものです。

また、目標を達成する上で、バックアップ計画があることが、

助けになってくれる場合もあります。

けれども、ナポリターノとフロインドは、

ある状況下では、バックアップ計画を作成すること自体が、

目標を追求しようとする意思を弱めてしまうのではないか、というのです。

彼らによれば、バックアップ計画を用意することは、

「ケーキを食べてしまっても、なおかつ持っていようとする」ようなもので、

複数の手段を持つことで成果を得ようとするものだけれども、

一方、その人の限られたリソースを、すべて傾注するのではなく、

えり好みしながら投資することでもあるといいます。

 

現在も進行中の実験の中で、ナポリターノとフロインドは、

本来の目標に取り組む上で、予備プランがあることで人が自信を持つような状況、

また逆に、予備プランのせいで人が散漫になる場合について、研究しています。

 

予備プランと散漫さの実験では、被験者は一定の距離から、

ボールをごみ箱に投げ入れるよう求められます。

対照条件では、被験者が求められるのは、ピンポン玉です。

コツをつかむために、5回練習してから、「本番」の10投を行います。

対照実験では、被験者は5回の練習の間は、テニスボールとピンポン玉を、

自分の好きなように変えてかまわない、と言われます。

その結果は未だ公開されてはいませんが、研究者たちは「予備プラン」があり、

ボールを変えて良いといわれた人の方が、点数が悪くなると予想しています。

予備プランが目標達成の助けになるか、逆に、妨げになるかは、

ナポリターノとフロインドが「複雑性の価値」と呼ぶ何ものか、

つまりは予備プランを用意するためにかかる追加コストや利点が

たった1つの戦略で目標を達成しようとする場合と比較して、

どれほどになるかによって、決まってくるのです。

基本的に、人は予備プランを持つことに対する本当のコストを、

必ずしも正確に見積もったりはしていません。

 

つまり、もっとも信頼できる推測に基づいて、

予備プランを用意した方が良い、と考えたときに、人は予備のプランを作るのです。

たとえばバックアップ計画を立てる決定をした場合、

利点と欠点を並べて、概要を述べる人がいるかと思えば、

もっと直観的に、おそらく特別な意図もなく、

感情のおもむくままに立てようとする人もいるのです。

 

たとえその意図が間違ってはいなくても、

予備プランのための追加コスト(立案にかかる時間や、実行のコスト)が

失敗の原因になることもあります。

研究者によれば、バックアップ計画がある状況下で役に立つかどうかを

すばやく確実に決定するような戦略はありません。

その代わりに、その状況で、バックアップ計画を用意する上での

真のコストと利点を考えなければならないのです。

研究者たちはこのように書いています。

 

世界は確率論的なものである。

というのも、人が取る手段が、望むような結果に

かならずつながっていく保証は、どこにもないからである。

自主管理の特質の1つは、この不確実性を管理し、

妨害や失敗に立ち向かいながら、自分の目標に到達することにある。

 

 

 

 


元記事:http://goo.gl/fXkJbF

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

 

 

 

 

本:『グリット 情熱とやり抜く力』

Grit: The Power of Passion and Perseverance

著者 アンジェラ・ダックワース

 

成功を目指す人の必読書である本書の中で、新進気鋭の心理学者アンジェラ・ダックワースは、

親、教育者、アスリート、学生、ビジネスパーソンに向けて、

抜きんでた功績を成し遂げるための秘訣は、才能ではなく

「グリット」と呼ばれる、やり抜く力であることを示しました。

 

なぜ、ある人は成功し、またある人は失敗するのでしょうか。

画期的な研究から生まれたグリットについての新しい洞察を明らかにしつつ、

マッカーサー基金出身の「天才」アンジェラ・ダックワースは、

なぜ才能が、成功を保証するものにはほとんどならないかを説明しています。

というより、ほかの要素、たとえば情熱や、継続して関わりあうことの方が、

ずっと重要なのです。

 

科学者の娘である自分の知性の欠如をよく嘆いたことなど、

自分自身のパワフルな物語を紹介しながら、

ダックワースは教師、ビジネスコンサルタント、脳神経科学者といった紆余曲折を経て、

成功を引き出すのは「天才」ではなく、情熱と長い間やり抜く力のブレンドだという

仮説を導きだしたのです。

 

ペンシルベニア大学の教授として、ダックワースは自身の「性格研究所」を設立し、

彼女の理論の検証を行うようになりました。

彼女は読者を、きわめて困難な学校で働く教師や、

ウェストポイントの陸軍士官学校で苦闘する入学したばかりの士官候補生、

全国スペリング大会の若きファイナリストたちの世界に引き込みます。

 

また、歴史から魅力的な洞察を取り上げ、

現代の最高水準の実験から集めてきた成果を紹介してくれます。

そうして最後に、偉大な達成を成し遂げた十数人、

JPモルガンCEOのジェイムズ・ダイモンや、雑誌ニューヨーカーの漫画編集者、

シアトル・シーホークスのコーチ、ピート・キャロルらとのインタビューを通して

彼女が学んだことを教えてくれます。

 

愛すべき人間性にあふれ、洞察に満ち、人生を変える『グリット』は、

失敗したり、どうして自分には才能やツキがないんだ、

という思いが頭をよぎった時のための本といえるでしょう。

 

 

 


元記事:http://goo.gl/UfB5I9

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

本:『幸せへの道』

The Happiness Track: How to Apply the Science of Happiness to Accelerate Your Success

『幸せへの道 成功を加速させるために幸福学を応用する方法』

著者 エマ・セパラ

 

健康心理学および福祉、レジリエンス(折れない心)の第一人者であるセパラは、

幸せは、私たちの仕事や私生活を速やかに成功に導くカギである、と主張します。

 

誰もが幸せと成功を望んでいることでしょう。

にもかかわらず、どちらも追求しようとするには、とらえどころのないものです。

仕事でも私生活でも求められる度合いが高まるにつれ、

私たちは何もかもをよりうまく、よりすばやく、よりたくさん成し遂げようと、

必死でやりくりしようとします。

私たちが短い間に成功を収めた場合、

私たちの健康や、人間関係や、逆説的なことに生産性までもが犠牲になるのです。

 

スタンフォード大学共感と利他主義研究室長であり教育学教授であるエマ・セパラは、

『幸せへの道』の中で、私たちが長続きする充足感を持ちえないのは、

私たちが、時代遅れの幸せの概念につなぎ留められているからである、

と説明しています。

私たちは、前進するとは、私たちに投げかけられるあらゆることに対して

鋭い集中力と鋼の規律をもって当たることだと教えられてきました。

というのも成功とは、自分をどこまで追い込むか、どれほど才能があるかによる、

そのため何かを達成しようと思ったら、ストレスなしには不可能だからだ、と。

 

『幸せへの道』は、こうした生産性に反する理論を覆します。

認知心理学と脳神経学から、幸せやレジリエンス、意志の力、共感、

肯定的なストレス、創造性、注意深さなどに関する最新の知見を引用しながらセパラは

幸せや充足感こそが、私たちに仕事をうまくやりとげさせる生産性の元である、

と明らかにしていきます。

 

これらの科学的な知見を、いかに日常生活に応用するかという

実践的なアドバイスが豊富に盛り込まれた『幸せへの道』は、

私たちが求める成功と不安のない生活を築くための

人生を変えるガイドブックです。

 

 


元記事:http://amzn.to/1PNxGMa

(翻訳:服部聡子)