あなたのブランドにお客様を「参加」させよう

(※この記事は”https://www.linkedin.com/pulse/20141201192257-2171492-how-to-encourage-customers-to-join-your-brand”を翻訳したものです)

by ディビッド・アーカー

もしあなたのお客様があなたのブランドに参加したい、と考えていたらどうでしょうか?

それも、競合よりも優れたブランドだからあなたのブランドを選んだ、というのではなくて、同僚や友だち、パートナー、同じベンチャー企業のチームメイトとして「参加したい」と感じてくれたら?

「人間関係」という言葉が意味するものを考えてみてください。
人間関係というのは、教えたり、説得したり、という関係から始まったとしても、やがて、ともに仕事をし、同じゴールに到達する関係へと変化していきます。

どちらがより有意義で、楽しく、永続する関係でしょうか?
「ブランドに参加する」というのは、比喩的な表現ですが、そう感じてもらうためには2種類の方法があります。

スイート・スポット・プログラム

ブランドの側がお客様に、当社のブランドや製品にはこんな利点がある、と教えても、スイート・スポットは生じません。そうではなくて、お客様の興味や活動、情熱に目を向けていれば、お客様の側が見つけてくれることで、スイート・スポットが生じます。

お客様のスイート・スポットを刺激するプログラムを企画したり、考案したりしながら、そのプログラムで、ともに活動するパートナーとなっていくのです。

乳ガン撲滅のためのエイボン・ウォークは、お客様の乳ガンの経験を理解し、彼らの活動的なライフスタイルに共感していく、という趣旨のプログラムです。参加者やサポーターとして、誰もが進んで参加したくなるようなプログラムとなっています。

また、パンパースの「ラブ、スリープ&プレイ」キャンペーンは、赤ちゃんの成長を5段階に分け、その各段階ごとの情報が提供される、人気の高いものです。そこでは仮に、お客様が実際にはおむつに関心がなくても、赤ちゃんの世話という心躍る体験を共にするパートナーとして、迎え入れてもらえます。

「スイート・スポット」プログラムは、スイートスポットを作るためのものではありません。ブランドが、顧客のパートナーでありさえすれば、自然に企画されているプログラムなのです。

ホーム・デポと「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」(※世界中で住環境問題に取り組むNPO)との関連を考えてみてください。ホーム・デポは、資材や熟練作業員の提供、店内に設けられた告知板や住宅建築プログラムなどを通じて、「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」のパートナーとなっています。その結果、ホーム・デポのブランドは、「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」の支援を通して、とても良い刺激を受けているのです。

高い目標を掲げる

社会的意味のあるプログラムをサポートすることを通して、企業自体もより高い目標を掲げるようになったところは、驚くほど多くあります。民間企業が社会問題に取り組んでいることを広く認められることによって、その企業に社会的意欲が生じてくるのです。

自分たちにはそれができる、そうしなければならない、という気持ちが生まれ、従業員も自分の仕事に手応えを感じることができる。さらに、お客様の側もブランドに対して、尊敬の気持ちや好意を抱くようになり、さらにはその高い目標をシェアし、彼らと共に行動しようという情熱を持つようになるからです。

ユニリーバは他社との差別化を図るために高い目標を掲げる企業の中でも、最先端に位置しています。

一例をあげると、ユニリーバには、持続性(ユニリーバの持続可能な生活プラン)、子供たちにより良い未来を(口内の健康と栄養のためのプログラム)、第三世界の病気を撲滅するための運動(2012年、200万人が参加した、手洗いプログラム)、女性が自尊心をはぐくむこと(ダブの「ほんとうの美しさ」キャンペーン)などの目標を掲げた、さまざまな取り組みがあります。

それぞれのキャンペーンや運動は、それに関わった人々が、自分の態度を改めたり、行動を変えたり、そのことを話題にする活動を通して、ユニリーバの活動に積極的に加わることができるようになっています。

また、「持続可能性」という目標も、広く採用されるようになっています。ウォルマートやマクドナルド、コカ・コーラのような、一見関係のなさそうな企業も、明確な差別化を図るために、持続可能性という目標を掲げ、消費者が購買習慣や生活習慣を変える活動に参加する機会を提供しています。

ホールフーズ・マーケットは、高品質の自然食品や有機食品を提供するだけでなく、「地域コミュニティをサポート・貢献し、本物の食への愛と喜びをともに祝うために、お客様に喜びと滋養を与える」という、高い目標を掲げる企業です。

ヘルシーな食材で料理することに関心のある人なら誰でもホールフーズ・マーケットの探求に「参加する」ことができます。単にオーガニックの食品があるからそこへ行く、という行為とは、質的に異なることはおわかりでしょう。

「ブランドに参加する」というコンセプトは、顧客のスイート・スポット・プログラムと、高いブランド目標の設定という2種類の方法で精力的に展開できる、強力なものです。

ブランドとお客様の絆は、企業にとってはブランドの構築を刺激するものであり、お客様の側からすれば、ブランド・ロイヤルティの核心をはぐくんでいくものです。その絆こそがブランドの最高の資産なのです。

 

 

著者:ディビッド・アーカー(経営学者、コンサルタント、著述家)


元記事:https://www.linkedin.com/pulse/20141201192257-2171492-how-to-encourage-customers-to-join-your-brand

翻訳:服部聡子
出産・退職後、在宅で働ける資格を身につけるために翻訳を学び始める。
約5年フィクション/ノンフィクションの下訳、ウェブ・ライターを経て、
『限界はあなたの頭の中にしかない』に巡り合い、深い共感を覚え、弊社に。