仕事が悪夢に変わる理由

by ロバート・ライシュ

 


2014年、オックスフォード大学より出された「10年後多くの職業がコンピュータに取って替わられ、

現在の仕事は半減する」という予測は、大きな衝撃を巻き起こしました。

コンピューターに職を奪われた人間はどうしたら良いのか?

そんな危機感に対する答えのひとつが、「共有型経済(またはシェアリング・エコノミー)」です。

インターネットを活用して、車や部屋の所有者が、それを求めている人と直接交渉し、空いた施設や時間を活用しよう。

「所有」→「共有」へと意識転換を図ることによって、仕事が減少しても人々が幸せになれるような社会を築こう……

そうした理想を掲げる「共有型経済」に対し、本稿の著者、ライシュは厳しい現実をつきつけています。


 

「共有型」経済は残りカスの共有

パターンが定まった仕事はプログラムされたロボットが何でもこなし、

利益の全てはロボットの持ち主が吸い上げる、

そんな経済が支配する世界に住むというのはどんなものでしょうか?
そのような世界で人間が取り組むのは、パターンが定まっておらず予測がしにくい種類の仕事です。

雑用、急場しのぎ、使い走りや修理、運転手や配送係などなど。

こまごましていますが急に、そして時と場合を問わず必要になるものです。

稼ぎは、かき集めても食べていくので精一杯といったところでしょうか。

 
覚悟はできていますか?

私たちが全速力で突っ走る先に待つのは、こんな世界に他ならないのです。
配車サービスのウーバーの運転手、即時配達を謳うインスタカートの利用者、

空き部屋を貸し出すエアビーアンドビーの部屋の貸主がこういった人々にあたります。

仕事仲介サービスのタスクラビットで仕事を探す人、アップカウンセルのオンデマンド弁護士、

そしてヘルスタップのオンライン・ドクターも含めていいでしょう。
このような人たちのことをメカニカル・タークと言います。
やんわりと言えば、「共有型」経済ということになります。

ですがより正確には、「残りカス共有型」経済と言うべきでしょう。
ほぼどんな仕事でも、様々なタスクに切り分けて必要なときだけ外注に任せるということが、

最新のソフトウェア技術をもってすれば可能です。

報酬額はその仕事の、そのときどきの需給バランスで決まります。

また、労働力を求める顧客側と供給する労働者側のマッチングはオンラインで行われます。

労働者は、仕事の質と信頼度の良し悪しについて評価付けされます。
利益の大方はソフトウェアを所有する企業に行き、

オンデマンド労働者に押し付けられるのは、残りカスばかりとなるのです。
アマゾンの「メカニカル・ターク」を見てみましょう。

アマゾンは「人間の知性が活かせる仕事のための労働マーケット」とうたっています。

 

ですが実際のところは、インターネット求人掲示板なのですが、

頭など使う余地もない退屈極まりない小口の雑用仕事を、

極小の報酬で募集するものばかりなのです。

 

確かに、コンピューターにはこれらの仕事をこなすことはできません。

どの仕事にも最低限ではありますが、一定の判断能力が求められるからです。

そこで人間の出番となり、雀の涙ほどの報酬のために労働するのです。

例えば、3ドルで製品の説明書を書くとか、

30セントで何枚かある写真のうちからベストのものを選ぶとか、

50セントで手書きの文字を解読するとかそのような仕事です。
取引が成立するたびに、アマゾンが分け前をごっそり持っていきます。

30年前に、正社員のものだった仕事が

企業側による判断で、契約社員、個人事業主、

フリーランスやコンサルタントに割り振られるようになり始めましたが、

現代の我々が直面する現状は、これの当然の帰結と言えます。
これは、リスクや不確定要素を労働者に課すものだったのです。

計画以上の時間を要する可能性があり、想定外のストレスを生むかもしれない仕事を、

労働者側に負わせるためのものだったのです。
さらには最低賃金基準、労働時間、労働条件を規定する労働法を回避するためのものでした。

労働法こそは、労働者が団結し賃金や手当の向上のために交渉する根拠となっていのです。
ですが、現代のオンデマンド労働はリスクの一切を労働者側に押し付けます。

あらゆる最低基準を完全にないがしろにするものなのです。
結果として、オンデマンド労働は19世紀的な出来高賃金制の労働への逆行と言えます。

19世紀、労働者たちは力を削がれ、法的権利もなく、あらゆるリスクを負わされて、

無給とも言えるような状態で働きづめに働いていたのです。

Uber in Beijing
ウーバーの運転手は自分自身の車を使用し、必要となれば自分の保険を使い、

働きたいだけあるいは働けるだけ働き、ウーバーにはたんまりと上前を献上します。

一方、労働者の安全だとか社会保証とかは、

ウーバーに言わせれば「雇用者ではないから責任はない」ということになるのです。
アマゾンのメカニカル・タークの利用者たちの報酬は、小銭と言ってしまえるほどの金額です。

誇張ではありません。

最低賃金?

残業代は5割り増し?

アマゾンは、売り手と買い手を結びつけているだけで、それらの責任は負わないと言っているのです。
オンデマンド労働を擁護する人たちは、そのフレキシブルであることを強調します。

労働者は好きな時間に自分の都合で働くことができ、

カレンダーの閑散時を有効利用できるというのです。
「人々が閑散時をマネタイズ出来るようになっている」と、

ニューヨーク大学ビジネススクールのアルン・サンダララジャン教授は言います。
ですが、この議論では、「閑散時」と本来の休息のための時間が混同されています。
1日24時間に変わりはありません。

「閑散時」が労働時間に変わり、その労働時間が、先が読みにくく低賃金のものだった場合、

労働者個人の人間関係や家族、健康は影響を受けはしないでしょうか?

Day 313 / 365 - BBC iPlayer
オンデマンド労働を支持する人は、また、最近の研究結果を持ち出して見せます。

ウーバーが行った研究では、ウーバーの労働者たちは「幸せである」という結果が出ているというのです。
では、仕事の賃金がより高く時間が安定していたなら、

労働者たちの幸福度はさらに上がりはしないでしょうか?
中間層所得が30年にわたって伸び悩み、

経済的収益はほぼ全てがトップ層に吸い上げられてしまうような経済においては、

手頃な副収入を得られる機会は実に魅力的に映るでしょう。
ですが、だからといってその副業が、実際に好条件であることを意味する訳ではありません。

本業の方がどれだけ悪条件であったかを示すに過ぎないのです。
擁護派はさらに指摘します。

オンデマンド労働が拡大するにしたがって、労働者たちは互いに集まってギルド的な集団を形成し、

グループ保険や社会保障を購入するようになるだろうというのです。
ですが、注目すべきは、オンデマンド労働者たちがその交渉力を

報酬改善や労働時間の安定のために用いていないことです。

そうなると、これは労働組合を意味し、

ウーバーやアマゾンとその他のオンデマンド企業は歓迎しないでしょう。
経済学者の中には、人々の労働力の効率的利用に資するということで、

オンデマンド労働を賞賛する人たちもいます。
しかし、我々が向き合う最大の経済学的課題は、人々の効率的利用などではありません。

仕事と、仕事から得られる利益の適切な配分こそが課題なのです。
この適正配分という物差しの上では、残りカス共有型経済は、

私たちを一気に退化せしめているのです。

 

著者:Robert Reich 経済学者、文筆家

おもな著書に『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ21世紀資本主義のイメージ』


元記事:http://www.alternet.org/robert-reich-why-work-turning-nightmare

(翻訳:角田 健)

 

 

 

イヤな仕事をいつ辞める?

by クリスティン・ミムス

 

 

誰もがこんな経験をしたことがあるはずです。

デスクで背中を丸め、こっそりと時計(とフェイスブック)に目を走らせながら、

もっと早く時間が過ぎればいいのに……、と思ってしまう。

 

大嫌いな上司。

 

うんざりするような仕事。

 

うっとうしい同僚。

 

職場にいる時間が苦痛でたまらない。

 

あなたは 仕 事 が 大 嫌 い 。

 

ひどい話です。

 

そこであなたはこう考えることになるのです。

 

「こんなに惨めな思いをするぐらいだったら……辞めてやる!

 

ところがあなたの頭の中では、おなじみの思考パターンがぐるぐるし始めます。

 

「辞められない……給料のこと/通勤に便利なこと/手当のこと etc…を考えると。

やっぱり辞めるのはよそう」

 

そうしてあなたはその循環から抜け出せないままです。

 

これは楽しい情況ではありません。

けれども、あなたがたとえこうした情況にあったとしても、

仕事を辞めたらどうなるか、いつ仕事を辞めるべきなのか、といった

外部からのちょっとしたアドバイスや判断基準が助けになることがあります。

 

ほら、このコラムのように。

Tapping a Pencil

 仕事を辞めなければならないのは、こんな時

 

最初に言っておきたいのは、万能の答えはないということです。

けれども、これだけは真実と言えるでしょう。

 

職場の人間関係でフラストレーションが溜まって、後にはひけない情況になっている…。

 

自分は別人になってしまった、鏡に映る今の自分なんて、大嫌いだ…。

 

仕事に行くことを思えば、何だってずっとマシに思える(歯医者に行くのさえ)…。

 

ふと気がつくと、自分のニーズより、他人のニーズばかり優先させている…。

 

そんなときは、もっと良い仕事に移る潮時なのかもしれません。

 

仕事がお金や手当、通勤の利便性などでは埋め合わすことができないほど、耐えがたく、無意味に思えてくるときは、

その仕事や環境がその人にとって有害なものであると言えるでしょう。

 

そんなときに、ほかの仕事に移る準備をしながら、

継ぎ目なくもっと良い仕事に移ることさえできれば、それ以上幸せなことはありません。

 

ところが現実は、ディズニー映画とちがって、かならずしもそんな選択肢が用意されているわけではないのです。

 

辞表を叩きつけて、ドアから出て行ったあと、自分はどうするのか、慎重に考えることが必要です。

 

しばらくは、経済的な余裕がありますか?

 

貯金があったり、何らかのサポートを受けられる環境にありますか?

 

どのくらいで次の仕事に取りかかれそうですか?

 

あなたのネットワークは今、活発ですか?

 

次の仕事に役立つようなつながりを持っていますか?

 

そうして……

 

今の職場にとどまることによって、何が悪くなるでしょうか?

 

そこで働くことによって、あなたの健康や家族関係を損ねるような職場なら、

短期間の経済的な痛手を押しても、長期に渡る幸せのために、転職する必要があります。

 

ヒント:

あなたが今いるところについて、そうして今後、悪くなっていきそうなことは何か、簡単に評価してみてください。

紙を一枚用意して、

・2年前にいた場所

・1年前にいた場所

・今の場所で、

何がどう良い方に変わったか、悪い方に変わったか、を比較していきます。

 

そうして現在の仕事が、文字通りあなたの精魂を尽き果てさせるようなものかどうか、はっきりさせるのです。

 

もしはっきりと覚えていないなら、友だちに正直なところを伝え、あなたに関して覚えていることを教えてもらいます。

あなたの友だちは、過去1年か2年の間で、何が良くなった、悪くなった、と感じているでしょうか。

 

もしあなたがどんどん元気がなくなっている、と言われたなら、

自分のためにできる最良のことは、ドアから出て行き、新しい環境に身を置くことです。

 

しばらく休みを取ることになるかもしれませんし、

雑多な仕事を引き受けなければならなくなるかもしれません。

それでも、ある種の企業は大変厳しいので、

そこから離れなければまともに考えることもできないようなケースもあるからです。

 

はっきりとした答えが出るまで、ピンチを切り抜けるための仕事をするのはかまいません。

 

今日の売り手市場では、ひとつかふたつ、短期の仕事の経験があっても不都合はありません。

職が長続きしないのが癖になっているのではない限り、

誰もが経験していることなので、あなたもとやかく言われることはないでしょう。

 

Day [009]  Schedule

 

 仕事にとどまった方が良いのはこんなとき

 

好ましくなくても、仕事にとどまることは易しく、離れることはむずかしいものです。

 

そこにとどまる必要があるかどうかを見きわめるひとつの方法として、

自分に以下のことを問うてみる、というものがあります。

 

1.  あなたはこれまで、この仕事に夢中になったことはありますか?

もしそうなら、何か新しいことをやってみたり、どうにかして役割を変えることで、

もう一度、やる気を復活させることはできませんか?

 

2.  もし給料がなくなったら、完全に経済的に行き詰まりますか?

 

3.  もう少し長くその仕事にとどまることを正当化できるような、

 長い目で見てあなたの経歴にプラスになるような何かを学ぶことはできますか?

(この答えは、あなたをそこにつなぎ止めておくにふさわしい、

きわめて具体的なものでなければなりません。)

 

4. 一時的に悪い時期なのではありませんか?

 

これら4つのうち、ひとつでもイエスがあるならば、

今後の計画は抱いたまま、もう少しとどまることにした方が良さそうです。

 

何よりも私たちの気持ちを落ち込ませるのは、

予定をはるか過ぎても仕事につなぎとめられたまま、

そこを離れるための行動も起こさず、また前進もしていないときです。

 

自分なりの計画があるなら、それが張り合いになります。

望ましくない場所にいるとしても、自分がそこから何か良いものを得ているとわかれば、そこにいる理由もできます。

(向上を目指して働いている、ということにもなるのです。)

 

Start

 

自分の計画をはっきりさせ、自分の中で期限を決めてください。

たとえば、私は給料のためにこの職場にとどまる。でも、いますぐ、新しい仕事を探し始める、というふうに。

 

人脈を活用して、仕事につなげてください。

毎週、誰か新しい人と話すようにつとめ、新しい会社を調べ、進展の結果を記録してください。

こうすることで、あなたの今の仕事から受けるプレッシャーも、減っていくことでしょう。

……やがてかならず、

あなたがずっと求めていた希望の光が差してくるはずです。

 

さらに、今やっていることの中で、もっと学びたいことがあって、そこにとどまるというのであれば、

いつまでそこに残るか、はっきりさせることが大切です。

 

自分は何を身につけようとしているのか?

自分はいつまでそこにとどまらなくてはならないのか?

それ(プロジェクト管理、リーダーシップ・トレーニングなど)は自分にとって、どれだけプラスになるのか?

 

ヒント:

あなたがまっさきにやらなければならないのが、カレンダーを空白にすることであろうと、

しばらく自分のキャリア・アップに専念することであろうと、

あなたはそれを決めなければなりません。

 

何よりも大切なことは、1日は長いけれど、人生は短いということです。

ですから、何の喜びも見いだせないことにいつまでも関わって、時間を無駄にしてはいけません。

その代わりに、あなたにとってほんとうに意味のあることに時間を費やしてください。

そうすれば、あなたの人生でのキャリアも、もっとゆたかなものになるはずです。

あなたにはそれだけの価値があるのですから!

 

著者:クリスティン・ミムス(Revolutionary Club CEO)


元記事:http://linkd.in/1xnZCiU

(翻訳:服部聡子)

 

200ドルで起業したライフ・イズ・グッド社

 インタビュアー:レイ・ブキャナン

 


会社:ライフ・イズ・グッド社

創設者:バート・ジェイコブズ、ジョン・ジェイコブズ

初期投資額:200ドル (約2万円)

使用先:無地Tシャツ、スクリーンプリンティング、路上販売許可

その後、中古バンとコンピューターに4,600ドル

2014 収益: 100万ドル以上  (約1億2000万円)


 

バート・ジェイコブズ:

ことを起こすのは簡単ではない、と最初に言っておきたいと思います。

 

もしかしたら、自分のビジネスに夢中になっている人の気持ちをくじくかもしれません。

現在の頭の切れる起業家なら、私たちが起業のために6年かけてしたことを、

ウェブサイトを使って半年ほどで準備してしまうでしょう。

もし今のような技術があれば、私たちだってそれを使っていたにちがいないのですから。

 

その代わり、ストリートバスケで知り合った従業員と一緒に、私たちは何年もかけて会社を作りました。

ストリートで、パトロール警官にじろじろ見られながら、顧客とジョークを言い合ったり、

東海岸のありとあらゆる小売店に出向いては、アドバイスをもらったりもしました。

 

もちろん、効率的な段取りというのとは、ほど遠いものです。

でも、私たちの会社の価値の多くは、 安いこと、対面であること、

という初期の時代の必要性から生まれたのです。

 

 

 人は頼めば聞いてくれる

 

ジェイコブズ・ギャラリーは、ライフ・イズ・グッド社の前身です。

 

弟のジョンと私は1989年に旗揚げしました。

当時、私は24歳、弟は21歳。 兄のアランから200ドルを借りました。

ジョンと私は、アートやデザインすることが大好きだったので、

Tシャツは、生計を立てるための最初の一歩としては、良い考えだと思えたのです。

 

始めたばかりの頃、学んだことのひとつは、愛想を良くして頼むことを怖れさえしなければ、

たいていの人は頼み事を聞いてくれる、ということでした。

 

地元のスクリーン印刷の会社は、無地のシャツにプリントする料金を、

500枚あたり5ドルのところ、 もし私たちが12枚あたり7ドルで支払うならば、

支払いを60日間延ばす、という約束に合意してくれました。

つまり、私たちの仕入れ先が、実質的に私たちに資金提供をしてくれたようなものです。

 

やがて、ジェイコブズ・ギャラリーがライフ・イズ・グッド社になり、

量販に踏み出したとき、 私たちは倉庫として使用するために、

可動式の貯蔵庫を月額30ドルで借りました。

 

スクリーン印刷会社の駐車場にその貯蔵庫を置き、

電気コードをビルの中から引っ張ってきて電気をつけ、

夜に仕事をしてもいいかどうか尋ねました。

印刷会社は、そのときも、いいよ、と言ってくれました。

 

 

 最初は街角での手売りから

 

最初のうち、私たちは直接販売をやっていました。

街角にテーブルを出して、準備をします。

1年間有効のマサチューセッツ州の路上販売許可を取るのに25ドル、

ボストンでの許可証に15ドルかかりました。

 

こうした許可証は、最高のロケーション(たとえばハーバード・スクウェアや

ファニエル・ホールのような場所)では認められていなかったのですが、

ともかく私たちはどこででも売りました。

 

私たちのうち片方が、警官に気をつけていて、その間にもうひとりがテーブルのTシャツを売るのです。

私たちは地元の昔ながらの店をやっている人たちと仲良くなっていたので、

その人たちから苦情は出ませんでした。

 

私たちは、ひとりずつ、お客と顔を合わせながら売っていきました。

できるだけ多くの人から、好きな色やデザイン、嫌いな色やデザインを聞いていき、

その返事をノートに書き留め、ノートはつぎつぎに溜まっていきました。

 

今なら、オンライン・ツールを使って、お金もほとんどかけずに、

もっと大勢の人の好みを調べることができます。

 

けれども、当時私たちがお客とおしゃべりしながら学んでいったことよりも、

はるかに幅広いデータを集めることができるのでしょうか?

 

私の中の一部は、イエス、と言います。

でも、ノー、と考えている自分もいます。

 

当時、私たちのブランドと、顧客の間には、まったく距離がありませんでした。

もし火曜日に売りに行って、10人の人が、このデザインがいいね、と言ってくれたとする。

そうすれば、私たちは水曜日にもっとプリントするでしょう。

 

いまではどこも旧式のこのやり方に、なんとかして近づけようとしているではありませんか。

 

 

 町から町へ

 

大学にまで販路を広げていくことを決めたときは、

大学案内を買って、私たちとよく似た体型の学生たちに、数多く会えるような場所を探しました。

私たちのバンは、ちょうど2,200ドル。

 

もうひとりの兄のエドがカー・ディーラーのライセンスを持っていたおかげで、

オークションで手に入れることができたのです。

 

寝るのと、在庫調べの場所を確保するために、 後部座席は取り除き、160ドルで売却しました。

こうした遠征は、調査をかねたものでもありました。

私たちは途中にある多くの店で停まり、

商品がどのように並べられているか、

何が今よく売れているのかを見て回りました。

 

これもまた、オンラインでの調査と比べれば、ひどく非効率なものです。

けれど町から町へと旅することで、こ

うした家族経営の店の店主たちが教えてくれた商品と商いの秘訣について、

ジョンと私は徹底的に話し合うことができたのです。

 

こうやって学んだことは、何よりも長続きするものです。

 

 ”Life Is Good.(人生はいいものだ)”

 

ジェイコブズ・ギャラリーはかろうじて収支が合う程度でした。

ですから1994年までは、ジョンも私も、仕事が終われば美術学校で

デザインを教える代理教員をやって収入を補っていたのです。

 

私たちの所持金はとうとう78ドルまでになっていました。

そのとき、ちょうどジョンが、私たちのマスコット、ジェイクを考え出したのです。

ジェイクは楽天性を体現しています。

そのとき、私たちは “Life Is Good.(人生はいいものだ)”

というスローガンを思いついたのです。

 

このシャツはストリートで大変よく売れたので、私たちは大量販売にトライしてみることに決めたのです。

これが、私たちにとってのテイク・オフとなりました。

 

私たちのアパートをオフィスに変え、ほとんどの家具を売って、 そのお金で中古の机とテーブルを買いました。

私たちの最初の従業員は、ケリー・グロス、上の階の住人で、今ではパートナーです。

 

1本の電話回線で間に合わせるために、私たちは天井に穴を開けて、

ふたつの部屋に電話線を渡しました。

 

私たちの最初の大きな買い物は、マッキントッシュ・コンピューターです。

1995年当時、2,400ドル前後でした。 ケリーが経営のために必要だと言ったのです。

 

さらに、ジョンと私に、デザインに使うことができることも教えてくれました。

私たちは、冗談じゃない、と言ったものです。

コンピューターを使うアーティストなんて、ニセモノだよ、と。

 

とはいえ、私たちはなんとか使い方を覚え、決して後戻りはしませんでした。

もし今、ビジネスを始めるなら、私たちは絶対に、良いデザイン・ソフトウェアに投資するでしょうね。

 

? Photo:Where There is Music There is Love By:Peter E. Lee

 

もうひとつ、今、起業するなら。 2,000-3,000ドルを使って、

楽観主義の力を描き出す、魅力的な実話を見つけて、 ビデオを作りたいと思います。

 

そうしてその物語をシェアするために、みんなを招待するんです。

テクノロジーは、私たちが人と出会うことを助けてもくれます。

 

でも、それは、人が元気になるチャンスを与えるようなものとして 使わなくてはならないと思っています。

 

 

 


元記事:http://bit.ly/1FVbxIr

(翻訳:服部聡子)

モチベーションを上げるための4つのステップ

by J.T.オドネル

 

良くも悪くも私はタイプA(※強い目的意識を持ち、野心的で神経質な行動パターン)の

長女として生まれました。

目標を達成することにいつも焦点を置いています。

ナイキの広告にあるように、「Just do it」と言い聞かせながら、自分を鍛えてきました。

ところが最近、モチベーションがあまり上がらなくなってしまったのです。

 

いくつかあった個人的な目標や仕事上の目標に、自分がさほど引きつけられなくなってしまいました。

それは恐ろしい感覚でした。

自身喪失の危機に瀕したのです。

頭の内部ではネガティブなささやき声が聞こえてきて、ついには

「なぜいつも実践しているモチベーションを上げるためのテクニックが

うまくいかなくなってしまったのだろう?」と頭を抱えてしまいました。

 

Just do it

モチベーションを上げられないのは無意識の無力感のせい?

 

私は基本に立ち返り、動機づけについて学び直すことにしました。

そして自分が自分自身のモチベーションを高められなくなっていたのは、

無意識の無力感に原因があったのだとわかったのです。

 

さらにモチベーションとは、

毎日高めていくことのできるスキルだということも知りました。

 

トレーニング方法の中に、筋肉混乱法というのがあります。

これは同じトレーニングを繰りかえすのではなく、

さまざまな方法を取り入れて、筋肉を文字通り混乱させることによって、

筋肉を効果的に鍛えて行く方法です。

 

それと同様に、さらなる目標達成を望むならば、

自分のモチベーションを上げるテクニックは

カクテルシェーカーで上手く調合しなければなりません。

こうして私は自分のモチベーション改革に真剣に取り組み始めました。

 

Hemmingway Daiquiri

自分専用のモチベーションカクテルをつくる

 

成功のカクテルレシピを作るのに6か月間真剣に考える必要がありました。

良くできたレシピに共通することですが、大事なものは材料です。

情報、手段、リソースなどがここでの材料です。

質や調合も鍵となる要素です。

モチベーションの特別ミックスを作り、いつもその状態になれるようにしました。

 

なぜだかわかりますか?

大きな目標を達成するには、日頃のモチベーションこそが求められるのです。

恐怖や不信感、自戒の念は常にあなたに降りかかってきます。(大抵は夜です!)

これらの要素に立ち向かうには、

あなたの「モチベーションカクテル」にいつでもアクセスできるようにする必要があるのです。

 

まるで、エナジードリンクのように、

ネガティブ思考という疲労状態にあるあなたを力づけてくれます。

ここに私が過去に自分のモチベーションが下がったときに活用していた、

元の自分に戻るための、4つの段階的なプロセスをお伝えします。

 

ステップ1: 新しいリソースを見つける

 

私は、自分とはモチベーションに対して自分とは違う意見を持ち、

新しい洞察、新しい観点を持つ人たちを知ろうとしました。

そんなリソースを以下のカテゴリーに分けたのです。

  • ストーリーテリング : 物語にすることで、目標に到達しようとする自分の姿を思い描く
  • 自分の行動を管理する?:?さらに良い習慣を築けるような、システムや技術を得る
  • インスピレーション :?自分よりさらに辛い立場にありながらも、大きな成功を収めた人々を知る
  • 心の持ち方 :?感謝する気持ちを大事にし、明るくふるまえるように自分をポジティブに保つ

私は自分を励ましてくれる、すばらしい人々を見つけました。

 

アールデン・ミルズ :

米海軍SEALに所属していた過去を持ち、

フィットネス企業を立ち上げましたが、

失敗の危機に瀕しました。

そこで彼は4人の子供のために、

『Be Unstoppable (負かすことのできないものになれ)』

を書きました。

 

イサイア・ハンケル博士:

彼は博士号取得目前に、

キャリアの危機に直面しました。

現在は目標達成のエキスパートとして、

『Black Hole Focus(ブラックホールに焦点を)』

を著しました。

 

 

シェイン・ニーマイヤー  :

薬物中毒者から

トライアスロンに参加するアスリートとなった半生を

『The Hurt Artist(傷ついたアーティスト)』

で描きました。

 

現在はコーチ幹部職を務めており、

もうすぐ一児の父親になります。

 

 

自分を作るのは周囲の人々」という言葉があります。

私には上記のようなエキスパートに近くにいてほしかったのです。

実際には一緒にいてもらうわけにはいかないため、彼らの本やビデオ、ソーシャルメディアを利用し、

彼らからのモチベーションを享受できるようにしていたのです。

 

ステップ2: 毎日の時間の有効活用

 

時間の有効活用を心がけるようにしました。

私は基本的に早起きで、これまでにも5時30分には起きていましたが、

朝の時間が自分を充実させることにとって重要だとは考えたことがありませんでした。

今では自分の目標にしっかりとフォーカスを当てながら、朝の時間を活用しています。

 

具体的には、メンタルコンディショニングやエクササイズ、

一日の行動計画を確認することなどをしています。

このような習慣を身につけてからは、ハーフマラソンにも参加し、体重も10kg近く減りました。

モチベーションを保つエネルギーと自信の源が、自分の中に生まれたのです。

 

ステップ3:ソーシャルメディアを利用する

 

ツイッター、ピンタレスト、インスタグラムのアカウントを設定し直して、

常に自分のモチベーションとなる情報が入ってくるようにしました。

 

モチベーションや成功法に詳しい専門家をいつも探して、フォローするようにしています。

私のSNSのタイムラインでは、引用句や洞察、成功事例、新しい情報など

いつも見ることができるようにしています。

 

ネガティブな思考に入りそうなときは、すぐにソーシャルメディアを使って悪い考えを吹き飛ばすのです。

私はいつもYouTubeでシャイア・ラブーフのモチベーション・スピーチを見て笑っています!

 

ステップ4: サポートチームをつくる

 

これが私にとっては最難関でした。

他人のモチベーションの手伝いすることには幸せを感じますが

自分自身に助けが必要な時に、他人からのサポートを求めようとしない自分に、

罪悪感を覚えていたのです。

 

そのことに葛藤がありました。

そこで、個人的に自分が尊敬している人たちの下を訪ね、自分の置かれた状況について説明しました。

彼らはとても寛大に私にアドバイスをくれたのです。

頭の中にあることを、あらいざらい話して、気分はとても楽になりました。

そして、彼らの客観的なアドバイスからたくさんのことを理解したのです。

なぜ自分がうまくいかないか、という分析の仕方を、根本的に変えることができました。

頭の中のストーリーを書き換えることによって、自信がふたたびよみがえってきたのです。

 

この4つのステップは、私のモチベーションに劇的な変化をもたらしました。

自分の掲げた目標は、ふたたび私を引きつけるものとなり、

メンタル面、フィジカル面ともに成長したことを感じます。

こうやってあなたも自分のモチベーション・カクテルを作り、

新しい目標を見出してください!

 

著者:J.T.O’DonellCareerHMO.com CEO )


元記事:http://bit.ly/1dsiTpU

(翻訳:横手祐樹)

音楽認識アプリが音楽を変える?(後編)

by デレク・トンプソン

 

 

前編より続く

データへの依存がもたらす音楽スタイルの「クラスター化」と

ポピュラー音楽の無個性化

同じヒット曲が流れる回数がどんどん増えているというだけでなく、

ヒット曲そのものも似通ってきているのです。

 

レーベルも売れる音楽を特定する術に長けてきており、

それと同時に、売れる音楽を模倣したアーティストへの投資決定もスピーディーになってきています。

 

私が意見を聞くことのできた音楽業界関係者は皆、

データに依存することが同じスタイルやジャンルが群がるようになる「クラスター化」につながり、

ポピュラー音楽は退屈で無個性なものばかりになってしまうと口を揃えます。

2012年、スペインの国立研究評議会の発表したあるレポートが、世界中の音楽マニアを喜ばせました。

 

ポピュラー音楽は、どうやら、どんどん退屈なものになってきており、音量は大きくなり、

またパターンの決まったコード進行を何度も繰り返し使うため意外性が失われつつあるというのです。

この研究では、1955年から2010年までに世界中で発表された464,411のポピュラー音楽を分析しました。

 

その結果、10年単位で見た場合に、2000年以降に流行した曲は、

それまでのどの時代より「音程の変化のバラエティーが少ない」ということを発見したのです。

研究チームの結論は、古い曲であっても、ただ楽器編成や編曲をリフレッシュし、

「平均的な音量」を上げるだけで、「斬新でファッショナブル」に聞こえるようになるというものでした。

Sounds

ポピュラー音楽のアーティストの側に問題があるわけではありません。

私たちの脳が、聞いたことのあるメロディから逃れられないようにできているのです。

(オハイオ州立大の音楽理論研究者、デビッド・ヒューロンは、

私たちが音楽を聴いて過ごす時間の少なくとも90%は、

聴いたことのある曲を探すことに費やされていると言います。)

 

なぜなら、親しみのある楽曲は脳が処理しやすいのであり、

また、音楽であれ、絵画であれ、何かのアイディアであれ、考える必要が少なければ少ないほど、

私たちはそれを好きになりやすいのです。

 

これは、心理学では流暢性という概念で語られます。

「情報処理が流暢である」とは、脳に入る情報が予想されたパターンにきれいに当てはめられ、

それに満足し自信を感じている状態を指します。

 

親しみのあるものは心地の良いものです。不安を感じているときは特にそうでしょう。

 

とは、流暢性を研究する、南カリフォルニア大のノーバート・シュワルツ心理学教授の言葉です。

 

機嫌が悪いときには、古い友達と会いたくなったり、

大好きな食べ物を食べたくなったりするでしょう。

メディアや情報の選び方にも、これがよく当てはまると考えています。

ストレスが溜まっているときは、新しい映画を見たり難解な音楽を聴いたりしたくはなりません。

よく知っていてなじみのあるものを欲しがるはずです。

 

しかし、音楽が低脳化、大音量化、定式化への道を一直線に突き進んでいると考えるのは、

単純に過ぎるすぎでしょう。

レーベル各社はヒップホップとカントリーの人気にすでに気づいているのであり、

これらのジャンルを伝統的なポピュラー音楽と混ぜ合わせることで革新的な新しい音楽を生み出しています。

 

夏のヒットソングだった『プロブレム』は、ふらつくようなサックス、

90年代ポップソング風のボーカル、ささやき声のサビ、さらに女声のラップを組み合わせています。

実に変わったサウンドでしたが、ひとときの間は、至る所でかかっていました。

また、カリフォルニア大学デービス校で音楽産業でのジャンルの混合を研究しているグレタ・シュウ准教授は、

ジャンルを混ぜ合わせることにはリスクはあるが、

複数のオーディエンスに対して新鮮であると同時に耳なじみのある音楽と受け入れられ、

際立った成功を納めることもあると、私に語りました。

Talk Radio

また、データの力が楽曲の制作プロセスを取り込むまでにはいたっていないということも、

音楽ファンにとってはなぐさめとなるでしょう。

プロデューサーやアーティストはトレンドには敏感ですが、

表やデータの中に埋もれて仕事をしている、スーツ姿のレーベル・エグゼクティブとは異なります。

レコーディング・ルームにまで機械が侵入してこない理由は、

リスナーが好むのが少し難のあるリズムだからかもしれません。

2011年のハーバード大による研究で、ロボットのドラマーやその他の機械が演奏する音楽は、

私たちの耳には正確すぎるものだということが判りました。

研究を率いたハーバード大の物理学研究者、ホルガー・ヘンニグは

 

人間が叩き出すリズムには不完全な部分があり、

それがどうやら、私たちの耳に完璧なほどになじむらしいのです。

 

と言います。

ヘンニグは、熟練のミュージシャンが集まって演奏すると、ミスもしますがそれだけではなく、

そのささいな変化がベースになってさらに音楽が発展し、

生の音楽がちんまりとまとまってしまわないようにしていることを発見しました。

インターネットを通して、私たちは驚くほど大量の音楽に触れることができます。

独創性がないものもありますが、大部分は大胆で実験的で、見事とさえ言っていいものもあります。

スポティファイやパンドラのようなストリーミング・サービスがあれば、

何十年か前までは世界最大のレコード店にさえ入りきらなかったコレクションを

試聴することができるようになっています。

 

また、こういったサービスは、ただコレクションが幅広いというだけでなく、

検索することが可能で、各ユーザーに合わせてパーソナルに仕様を変えることもできます。

パンドラのチーフ・サイエンティスト、エリック・ビーシュケはこのように言います。

 

ユーザーの方々にはあまり知られていませんが、

パンドラのアルゴリズムは一つだけではないのです。

数多くのアルゴリズムがジャンルや人気、リピートの多さなど、

様々な方法で人と音楽を結びつけているのです。

さらに、それら全てのアルゴリズムをメタ・アルゴリズムが統括しています。

例えば、オーケストラがたった一人の観客ために演奏しているとして、

メタ・アルゴリズムはその指揮者みたいなものです。

Listening to Trance?

未知の音楽が眠る鉱脈は、いくらでも地中深く掘り下げていくことができます。

ですがやはり、スポティファイで最も人気のプレイリストは「今日のトップヒット」なのであり、

パンドラで最も人気があるステーションは「今日のヒット」なのです。

果てしのない音楽の宇宙が目の前に広がっていても、私たちの多くは、

他のみんなも聴いていると思う音楽を選ぶのです。

 

 

著者:デレク・トンプソン(アトランティック編集主任)


元記事:http://theatln.tc/11nKWkb

(翻訳:角田 健)

 

 

音楽認識アプリが音楽を変える?(前編)

by デレク・トンプソン

 

レコード会社は、次のヒットを割り出すためにダウンロード実績と検索データの分析を行っています。

音楽業界にとってはプラスかもしれませんが、音楽そのものにとっては、はたしてどうなのでしょうか?

 

2000年、スタンフォード大の博士課程に在籍していたエイベリー・ワンは、

ビジネススクール卒業生の仲間数人と共同で、

シャザムという名の技術系スタートアップを創業しました。

創業時のアイディアは、

どんなに混雑したバーやカフェの店内にいても、

携帯電話を使うだけで、数秒以内に音楽の曲名を識別するサービスを開発する、

というものでした。
ワンは、音声分析を学んだソフトウェア開発の責任者ではありましたが、

当初は、実現は不可能なのではないかと恐れていたのでした。

音楽とその他の雑音を識別できるような技術は存在せず、

また、楽曲を一音違わずカタログのように記録していくにはレーベルの許可を得る必要があったためです。

 

しかしそのとき、ワンはブレイクスルーを経験します。

曲全体を捉えようとはすることは止め、

楽曲を個別に識別できる音楽の指紋のようなものを楽曲ごとに生成するアルゴリズムを組み上げたのです。

楽曲を単なるデータとして捉えることが開発のポイントだと、ワンは気付いたのです。
シャザムは2002年にデビューしました。

(スマートホンが登場する前は、ユーザーが電話番号を回して通話口を音源に向け、

シャザムがショートメッセージで曲名とアーティスト名を送ってくるまで待つ、という方式でした。)

その当時から現在までに、シャザムは5億回ダウンロードされるまでになり、

また3千万の楽曲の識別に使用されており、世界で最も使用されているアプリの一つとなりました。

また、音楽を制作する側にとっても、革命の起爆剤の一つともなりました。

 

大部分のユーザーはシャザムを「知らない曲名を教えてくれる便利なツール」程度に思っていますが、

音楽業界のエグゼクティブにとっては遥かに大きな価値を意味しているのです。

つまり、ヒットの早期発見機となるのです。

 

I call that clever Project 365(3) Day 202

毎日2千万件の検索履歴を分析することで、どの曲がどこで流行り始めているのかを誰よりも早く、

シャザムは知ることができるのです。

シャザムの前チーフ・テクノロジスト、ジェイソン・タイタスは

「大部分のリスナーの耳に届く数ヶ月も前から、ブレイクの兆しを見ることができる場合もあります」

と言います。(タイタスは、現在はグーグルのシニア・ディレクターです。)

 

昨年、シャザムは検索データを地図上で表示することができるインタラクティブ・マップをリリースしました。

サンパウロ、ムンバイ、ニューヨークなど、ユーザーは地図上で世界中の都市にズームインし、

最もシャザムで検索された曲を調べることができるようになったのです。

 

この地図は、世界中で生み出され人々の心をつかむ新しい音楽を、

まるでリアルタイムの地震計のように教えてくれるのです。

レコード会社のスカウトマンは、新しい震源地になる契約前のアーティストの発掘に、

この地図を利用しています。

(シャザム社内には、セルフプロデュースも含め、世界中から新しい音楽を収集し

膨大な音楽ライブラリのアップデートにあたっているチームがあるのです。

アーティスト側からシャザムに曲を提供することもできます。)
タイタスは、「ヒットがどんな場所で始まるか、私たち知っています。

ヒットが広がっていく様子を見ることもできるのです」と言います。

例えば、どこからともなく現れて2013年に世界でセンセーションを巻き起こしたロード。

Lorde

シャザムのエンジニアたちは時間を巻き戻して、ロードのファースト・シングル「ピュア・ヒロイン」が

どのように世界中に感染を広げていったか辿って見ることができるのです。

 

シャザム検索されたことを表すピンは、まずロードの出身国ニュージーランドで始まり、

アメリカのナッシュビル(カントリー音楽以外も含めた世界の音楽のハブ)に飛び、

そこからアメリカのイーストコーストとウェストコーストに広がっていきました。

その間、3千近いアメリカの都市それぞれで、検索のピークが何月何日だったのか、

正確に知ることもできるのです。
シャザムはアメリカ中で音楽エージェントのお気に入りアプリとなり、

さらに2月には、シャザム自身が音楽制作ビジネスに進出することをアナウンスしました。

アプリで見つけ出したアーティストのためのレーベルを、

ワーナー・ミュージック・グループ傘下に始動させたのです。
ポピュラー音楽ビジネスでは新しいデータの活用が進んでおり、シャザムはその中の一つに過ぎません。

コンサートのプロモーターは、動員数の見込める都市を回るためにスポティファイの再生回数を分析し、

あるアーティストは、ツアーの各会場で演奏する曲を決めるために、

パンドラのストリーミング実績からパターンを割り出しています。

 

私たちが行う検索、ストリーミング再生、ダウンロード、シェアなどは全て、実際に利用されています。

その目的は、

「人々が次に求める音楽は何か?」

という音楽業界が100年にわたって追い求めてきた質問の答えを見つけ出すためなのです。

 

Day Fourty Three - Soul Music

 

この質問の答えは、一昔前なら、音楽レーベルのエグゼクティブが、

とにかく腹を据えて自分自身の決断を信じること以外にありませんでした。

 

しかし、データが人々の嗜好傾向を物語るようになってパワーバランスが変わり、

一般の人々の意志がプロの直感に取って代わるようになったのです。

 

結果として、レーベルは私たちが聴きたい音楽を、

以前よりかなり的確に捉えることができるようになっています。

音楽業界は、常にデジタル革命に利益を切り崩されてきましたが、これだけは不幸中の幸いと言えるでしょう。

 

なので、音楽でビジネスをしたい人にとってプラスになるものであることは明白です。

しかし、音楽そのものにとっていいことなのかどうかは、はっきりとは言えないのです。
今年の初旬、リパブリック・レコードのスカウトマンであるパッチ・カルバートソンは、

ニューヨークのオフィスに座って、アイフォンでシャザムのマップを開いていました。

リパブリック・レコードは、音楽業界の中でも最もデータに基づいた経営を行っているメジャーレーベルです。

(競合レーベルのエグゼクティブでさえ、スカウトとマーケティングにおけるデータ分析利用の

最重要レーベルは、リパブリックだと述べています)。

そのリパブリック社の中でも、カルバートソンはスター・スカウトマンです。
カルバートソンは、昨年に自分で契約させたテキサス州デニソンのR&Bシンガー、

ソーモーの状況を確認していました。

Somo

カルバートソンは、テキサス州コーパスクリスティとヒューストンの間にある小さな町、

ビクトリアにズームインしました。

あるラジオ局がソーモーの『ライド』というシングルをかけ始めます。

 

人口6万3千人の小さな町なので、ここから全米ヒットが発信されるということはないのですが、

カルバートソンはビクトリアをいわゆる試験場のように捉え、

リスナーの心を捉えられるか否かの指標にしていたのです。

「『ライド』はビクトリアではナンバーワンになることが明らかです」

とカルバートソンが言います。
ポピュラー音楽はビジネスとしては人の感情に左右される要素が大きく、

新しい大ヒットやトレンドを予想するためには、人でごった返すバーに通ったり、

若いバンドが客を夢中にさせ会場を揺さぶるのを観察したりなどしなければならないものでした。

しかしカルバートソンも気付き初めています。

 

今や、現代のアーティストが名前を売り出すのはナッシュビルのクラブではなく

ツイッターとなったのであり、どんなクラブやコンサート会場に足を運ぶよりも

コンピューターの前の椅子こそが、アーティスト発掘に最適な場所なのです。

 

iTunes + iPod

アーティストの生演奏を実際に聴くことの意味は、新しいツールの登場で今後さらに薄れていくでしょう。

ニューヨークを拠点にして、音楽の分析を事業としている創業5年のネクスト・ビッグ・サウンドは、

スポティファイの再生回数、インスタグラムのメンション、その他オンライン空間でのファンの動向を追って、

ウェブをくまなく探し回り、次のブレイクの予想を立てています。

 

50万組の新人アーティストをアルゴリズムのふるいにかけ、

1年以内のブレイクが予想される100組のスターのリストにまで絞り込むのです。

 

ネクスト・ビッグ・サウンドのデータ・サイエンティストであるビクター・フーは

「トップ100組と契約すれば、そのうち20組はビルボードトップ200入りします」と言います。

確かに、打率20%では大して高くはないと思われるかもしれません。

ですが、果てしなく広がる宇宙に星の数ほど現れる新しいアーティストの中から

次のビヨンセを探し出さなければならないという風に考えれば、

決して低いとは言えないことがわかるでしょう。
昨年、ネクスト・ビッグ・サウンドは、6桁の金額の年会費で利用できるFindという名前の

カスタマイズ可能な検索ツールを発表しました。

ソーシャルメディアを掘り返して、スカウトマンがダイヤの原石を見つけだすのをサポートするものです。

例えば、もしツイッターでのフォロワー増加が早い無名バンドを知りたい等のであれば、

Findが瞬時にリストを作成してくれるのです。

 

今や音楽商品の売り上げの77%

上位1%のアーティストが稼ぎ出しています

バンドの成長を予測する物差しは複数あり、

その中には不可解なまでに正確なものがある一方、

Facebookの「いいね!」数のような尺度では不十分であると、

ネクスト・ビッグ・サウンドは気がつきました。

 

「ラジオでの露出が最も重要であることは、驚くに当たりません」とフーは言います。

リスナーに新しい音楽を紹介する最適な方法がラジオであることは、いまだに変わりのないことなのです。

2?3度でもラジオで耳にすれば、リスナーは好きになる傾向が高まります。

 

「ですが私たちは、バンドのウィキペディア記事が検索された回数が、ラジオの次に正確だと気付いたんです」

 

ウィキペディアでの検索がヒット予測のうえで正確なのは、シャザム検索と同様の理由です。

カルバートソンはこう説明します。

「ラジオでの放送がリスナーに曲を届ける手段になっている一方、

シャザムのデータを見れば、リスナーが曲について知りたがっているかどうかがわかるのです。」

Music Machine (#33548)

 

まず、曲をラジオで放送するにあたって、レーベルはある種のパラドックスに直面します。

すなわち、「誰も聴いたことのない曲がヒットになるかどうか、どうやって証明するのか?」

ということです。

 

オーディエンスは新しい音楽には見向きもしないことが多いため、

DJは、耳なじみのない曲はラジオ向きではないと判断してしまうのです。

過去には、レーベルがラジオ局に圧力をかけるとか、

金を渡してプロモーションさせるということがまかり通っていました。

音楽がヒットするか否かは、レーベルのエグゼクティブが握っていたのです。
しかしラジオも、よりデータ重視になってきており、

いまやレーベルのエグゼクティブがラジオ局と交渉するときも、

統計や表などを準備して持参することが多いのです。

 

曲のポテンシャルを示す資料も、徹底的に探さなければなりません。

ラジオ再生回数、セールス実績、ユーチューブ再生回数、フェイスブック上の状況、

さらには独自機関の調査やフォーカスグループによる調査結果でも、

それぞれ個別に見せられただけでは説得に足りません。

レーベルが規模の大きいラジオ局を説得して曲をかけさせるには、

それらのデータが示す点と点をつないで証明して見せないといけないのです。
「DJは好き嫌いでだけで曲を選んでいるという考えは、時代遅れです」と、

全米最大のFM局アイ・ハート・メディア(元クリア・チャンネル)のインサイト、研究、

および分析担当の副社長ラーダー・スブラマニヤムは語ります。

 

アイ・ハート・メディアは、シャザムのような会社を相手にコンサルティングを行い、

バイラルなヒット曲を特定します。

同社と提携を組んだニールセン・オーディオもデータ分析企業なのですが、

何千人ものリスナーに現金やギフトカードを見返りにして、

ポータブル・ピープル・メーターと呼ばれるデバイスを装着させ、聴いているラジオ局を追跡しているのです。

リスナーたちが曲に飽き始めるタイミングを知るために、

アイ・ハート・メディアは150万人のデータベースを使って毎週調査を行っているのです。
ポピュラー音楽の未来予測に最も興味津々であるのは、おそらく、

12年までに創業されたアイ・ハート・メディアの関連会社であるヒット・プレディクターでしょう。

その名の通り、昨年のラジオのヒット50曲のうち、48曲を予測した会社です。

 

ヒット・プレディクターは、ポピュラー・ヒット、アーバン、カントリー、オルタナティブなどのメジャー・チャートで

曲がデビューさえしていないうちに、キーとなる重要な役割を果たしています。

リスナーのオンライン・データベースの反応を元に、曲にレートをつけるのです。

65点を超えた曲は全てブレークの見込みありと判断されますが、

かといってその基準を超えた最高得点の曲がその後も売り上げとなるわけでもありません。

(メーガン・トレイナーのデビューシングル『オール・アバウト・ザット・ベース』は68.97点と

及第点ぎりぎりのところでしたが、秋には、カントリーチャートでトップとなります。)
なぜ、このように何もかも数字にして噛みくだいているかというと、

リスナーが選局のダイヤルを自分で操作する必要がないようにするためです。

デジタルに特化したレコード・レーベルであるディグ・シン

(販売は全てダウンロードで行っており、CDは扱っていません)のオーナー社長、ジェイ・フランクは

このように言っています。

「ラジオから人間的な要素を排除しているということではなく、もっとも人間的な要素、

つまりオーディエンスの反応をこれまで以上にクリアに見えるようにしている、

ということなのです。

現代こそが、ラジオの歴史の中でもっとも大衆主義的な時代になるのかもしれません」

 

cdcovers/disco/billboard top hits 1980.jpg

 

音楽チャートでも、同じ種類の革命が起きています。

例えば、1958年からアメリカのヒット曲のカウントダウンを行っている、

ビルボードのホット100を見てみましょう。

 

何十年ものあいだビルボードは、

レコード店のオーナーからの売り上げ報告や、

ラジオ局が作る再生曲のレポートに頼らざるを得ませんでした。

ですが、どちらも嘘をついていたのです。

 

レーベルは、ラジオ局を影で小突いたり金を渡したりして、

思い通りの曲をかけさせるということを頻繁に行っていましたし、

あるいは、レコード店側も品切れになっていたアルバムなどは

プロモーションしても仕方がないと思っていることがあったからです。

業界全体が、商品の回転をあげたがる傾向があったのです。

レーベルもレコード店も、新しいヒットを売り続けられるように、

チャートへの出入りをが早めたかったのです。
ホット100が大切なのは、リスナーの傾向がわかるからというだけでなく、傾向そのものを形作るからです。

2006年、コロンビア大学の3人の研究者が、

人気というものが曲のランキングにおよぼす影響を調査する

画期的な研究を行いました。

 

そして、人気というものは、そのものが自身の未来を予言し

その通りに実現していく傾向があるものだと発表したのです。

 

研究チームは、数十の音楽を聴けて気に入ったものはダウンロードできる

音楽サイト数種類準備し、参加者にアクセスさせました。

サイトには、ダウンロード数のランキングが表示してあるものと、ないものとがありました。

ランキングを見た参加者は、人気のある曲をすきになる傾向があることが分かったのです。
ではランキングを操作したらどうなるかと、研究チームは考えました。

次の実験では、あるサイトでは実際のダウンロード数を表示し、

別のサイトでは順位を逆にして、もっとも人気のない曲が一位になるように表示したのです。

この逆ランキングが、全てを塗り替えました。

それまでは無視されていた曲が大きな人気を獲得し、

それまでは人気のあった曲が無視されるようになったのです。

たとえ嘘であっても、人気曲である信じることで、ダウンロードされる可能性は高まっていたのです。
ビルボードは1991年に自己申告制を、

販売店レジのPOSデータをもとにしたチャートによる具体的なデータに置き換えました。

ビルボードのチャート・ディレクターであるシルビオ・ピエトロルオンゴは

「革命的なことでした。やっとのことで、レコードの実際の売り上げが見えるようになったのです」

と語ります。

ほぼ同時に、ビルボードはラジオ放送のモニタリングをニールセンへの外注に切り替えます。
それ以降、ヒップホップとカントリーがランキング内に浮上し、

古き良きロックが少しずつ勢いを失い始めました。

これは、東西海岸部の白人に握られていた音楽業界が、

都市部のマイノリティと南部白人の音楽的嗜好に十分位注意を払ってこなかった、ということかもしれません。
次の大きな変化は、ビルボードがストリーミング再生と

ダウンロード回数に注目を始めた、2000年代半ばに起こりました。

ブラック・アイド・ピーズによる2005年の『マイ・ハンプス』のような、

レーベルが選んだ以外のシングルが、レコード会社のエグゼクティブの選んだシングルを

追い抜くようになったのです。

black_eyed_peas_

 

以前は、「ディープ・カッツ」と呼ばれる、

レーベルが注目しないにもかかわらずファンには愛されるタイプの曲は、

ヒットのレーダーにかかることはありませんでした。

(レッド・ツェッペリンの『天国への階段』は、ポピュラー音楽史の中でも人気のある楽曲ですが、

リリース直後の数年間はラジオでプレイされることはなく、チャートに食い込むこともなかったのです。)

ですが、いまや人々に聴かれている音楽を追跡調査することができるのであり、

ファンの心をつかんでいる曲であれば、ヒットとなりうるのです。

led zeppelin, first album,

 

私がホット100について言葉を交わした人

(レーベルとラジオのエグゼクティブ、業界のアナリスト、ジャーナリスト)は全て、

ジェイ・フランクの言葉にうなずいています。

レーベルのヒットメーカーによって趣味をコントロールされていた数十年前より、

消費者の発言力が大きくなっている、という言葉です。

 

ですが、罠があります。

人々の発言力が大きくなりすぎると、耳馴染みのある同じ音を永久に聴き続けたいというようになり、

独創性を欠いた繰り返しばかりの音楽が、これでもかばかりと再生され続けるようになるのです。
ビルボードのランキングが、人々が買いプレイする音楽をより正確に捉えることができるようになった今、

ヒット曲のチャート上での滞留期間が大きく伸びています。

 

ホット100へのチャート・インの期間がもっとも長いトップ10楽曲は全て、

ビルボードがPOSデータを利用し始めた1991年以降のリリースで、

7曲は、ホット100がデジタルの売り上げを含めるようになった2005年以降のリリースなのです。

「私たちは、同じ音楽を何度も何度も繰り返して聴きたいだけだということになります」

とは、ピエトロルオンゴが私に語った言葉です。
人気のある曲がチャートに長居するようになったため、ヒット曲の相対的な価値が急上昇しています。

メディア研究の専門家は、いまや、レコード売り上げの77%が

トップ1%のアーティストによって稼ぎ出されるようになっていると語っています。

また、デジタルでの売り上げが増しているにもかかわらず、

現在、売り上げトップ10の売り上げは、10年前に比較すると、82%も伸びているのです。

デジタル時代に至ってDIY型のアーティストが現れるようになりましたが、これはあくまで細々としたもので、

トップは依然トップとして、以前よりも売り上げを伸ばしているのです。
一方でラジオ局も、リピート再生の限界を新しいレベルにまで押し上げています。

アイ・ハート・メディアの関連会社によると、ポピュラー・ヒットを主に取り上げるラジオ局での、

昨年のトップ10ヒット曲の再生回数は、10年前のほぼ2倍になっています。

 

ロビン・シックの『ブラード・ラインズ』は2013年にもっとも放送回数の多かった曲ですが、

この曲は2003年に最多放送回数だった3ドアーズ・ダウンの『ホエン・アイム・ゴーン』より

70%多く放送されています。

2013年の放送回数第5位だったザ・ルミニアーズの『ホー・ヘイ』でさえ、

10年前のどの曲よりも最低で30%以上は多く放送されているのです。

 

 

後編に続く)


元記事:http://theatln.tc/11nKWkb

(翻訳:角田 健)

 

 

時間の切り替えと生産性 

by ジョッシュ・デービス

 

 

スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのモバイル機器が普及し、

いつ何時であっても「ツールがないから仕事ができない」ということが言えなくなっています。

基本的には、一分一秒も最大限に活用できるようになり、

処理できる仕事の量は増やせるようになっているはずです。

 

ですが、こういったデバイスのおかげで、生産性が上がる部分があるのは明らかなところなのですが、

一方で、生産性を下げている部分もあるということは、それほど明らかに知られてはいません。

 

マインド・ワンダリングと呼ばれる状態、

別の言葉では、注意が散漫になり白昼夢を見ている状態がさまたげられると、

私たちの生産性は低下してしまうのです。

iPhone 6 "one-handed mode"

 

退屈しのぎや仕事の流れが途切れたときには、ついついモバイル機器に手を伸ばしてしまうものです。

ですが、そうすることで私たちは、新しい情報を処理し続けなければならない状況を自ら作り出しています。

 

「オン」の状態が続くことで、マインド・ワンダリングがもたらす脳の作用が阻害され、

私たちの生産性が下がることがあるのです。

 

神経科学と心理学の研究では、マインド・ワンダリングはクリエイティビティーと計画性とを促進し、

また将来の大きな目標のために現在の欲望を抑える働きがあることが知られています。

 

どれも、効率的に働くためには必要になるものです。

私たちのすることで、このように幅広いインパクトがあるものは、他に多くはありません。

 

例えば、「サイコロジカル・ジャーナル」誌で、このような発表がありました。

マインド・ワンダリングが起きている間、私たちの意識は、

専門家たちの言葉で「クリエイティブ・インキュベーション」と呼ばれる、

創造性をはぐくみやすい状態にあるといいます。

 

何らかの新しいアイディアや解決策が必要になる問題に取り組んでいるときは、

意識がさまよいマインド・ワンダリングの状態になるに任せて、

その後に改めて問題に取り掛かった方が、良い解決策に出会える可能性が高いというのです。

意識が別のトピックにそれても、脳の裏側では問題の整理が続いているのです。

 

ですが、意識が新しい情報を大量に追いかけ続けると、その脳の裏側での情報整理作用が阻害されて

マインド・ワンダリングが制限され、クリエイティビティーの促進がブロックされてしまうのです。

 

マインド・ワンダリングは、私たちが物事の計画を立てるときにも大切な働きをします。

集中力が途切れているとき、私たちの意識は、

主に将来の計画の調整にあてられているということを、研究者たちが突き止めています。

 

例えば、新しい顧客を捕まえるために仕事に精を出しているとしましょう。

ともすると私たちは、電話をかけたり見積もりを作ったりという日常業務にかまけて、

顧客の流れが途絶えないような仕組み作りのために本当にやるべきことは、

おろそかにしてしまいがちです。

長期計画を立てるための時間がないからだと、つい愚痴をこぼしてしまうものでしょう。

 

ですが、私たちが気付いていないのは、

計画作りに集中するための時間の有無だけが問題ではないということです。

仕事などに意識を集中した状態が続いていると、

計画の作成や調整を促す作用がブロックされてしまうことがあるのです。

 

同じように、ドイツの研究グループが、マインド・ワンダリングが目の前の欲望を抑え、

将来の目標実現に向かうための大きなサポートになっていると発表しています。

 

先ほどの例の続きで、その新しい顧客を捕まえるための何ヶ月もの努力の果てに、

ついに顧客側から一緒に仕事をしたい旨のオファーが得られましたが、

ところがその対価が低かったとしましょう。

これまで注いだ労力が実を結ぶならどのような形でもいいと、

先方からのオファーであれば何でも飛びつきたくなってしまうかもしれません。

 

ですがそれでは、もう少しだけ辛抱して、

それまでの時間と努力に本当に見合う内容の契約を結ぶこととは反対の行為です。

 

マインド・ワンダリングの状態にあるとき、

私たちは長期のゴールと自分自身を結びつけることができるようになり、

このような状況にあっても新しい観点に立つことができるようになるのです。

    
モバイル機器から溢れてくる情報の蛇口をひねって止めない限り、

大部分の情報はそのまま排水溝に吸い込まれていくだけです。

 

モバイルの使用を止めるべきだというのではありません。

ただ、ときには間を置くなり、仕事の間は手元に置かないようにするなりした方が良いというだけのことです。

 

そうすれば、集中力が途切れても、意識を全てモバイルに吸い取られることもなく、

マインド・ワンダリングの状態に入りやすくなるのです。

 

"Daydreaming ...

ですから、もし集中力が切れて気が散り始めたら、なすに任せましょう。

意識が別のトピックに移るなら、移るに任せればいいのです。

 

しかし、あまり心理的なエネルギーを要するトピックでもいけません。

お気に入りのサイトを見に行ったり、メールをチェックしてはいけないのです。

 

そうではなく、マインド・ワンダリングがもたらす無意識の働きが作用するに任せて、

仕事に戻ったときにさらに効率的になれるようにすればいいのです。

マインド・ワンダリングには、それほど時間をかける必要はありません。

数分もあればリフレッシュできるでしょう。

マインド・ワンダリングの手引きを少し紹介しましょう。

 

  • 集中力が欠けてきたと思ったら、窓のところに行って、行き交う人たちや車のことを、飽きるまでしばらく考えてみてください。
  • しばらく目を閉じて、室内でどんな音がしているか聞いてみてください。
  • 以前は、タバコ休憩というものがありました。今はモバイル休憩となってしまいました。ですが、タバコを吸うことはなくなっても、2?3分外に出ることはできます。しかし、モバイルは置いて出ましょう。

 

人の意識が効率的であるためには、あてもなくさまようことも必要なのです。

モバイルがこれを邪魔してしまっています。

ですが、ちょっとした変化を心がければ無意識の働き方も変わり、

生産性を高まるように促すことができるようになるのです。

 

著者:Josh Davis(研究者・著作家  近著に『成功する人は2時間しか働かない』)


元記事:http://bit.ly/1GBpVpM

(翻訳:角田健)

 

女性起業家が経済成長をうながす

 私の中にはいつも、起業家である自分が存在していました。

 可能性を作りだし、それを自分のものにしたい、という意志が、

 絶えることなくあったのです。

 今では安全にふるまうより、起業家であることの方がずっと気分が良いので、

 いつも起業家でいることにしました。

 ―― ビアンカ・デ・ラ・ガーザ

 

 

テレビ業界で17年間を過ごしてきたベテラン、ビアンカ・デ・ラ・ガーザは、

2014年、自分のメディア会社を起ち上げ、

土曜夜、自分の名をタイトルにした「ビアンカ」という30分番組をスタートしました。

 

bianca_unanchored

 

このデジタル時代に、メディア会社を起業し、

深夜、いわゆる男性の時間帯に放送を開始する?

過去にどれほど実績があったとしても、生やさしい挑戦ではなかったはずです。

けれども大きなチャンスをつかもうとしていたのは、ビアンカだけではありません。

企業の常識でいけば、安定軌道に乗っていることが実感できるはずの時期に、

出世コースから飛びだして、新しいキャリアを築こうとする。

そんな女性が増えているのです。

ベンチャー企業が高い成長を続けていくためには、

女性が起業へ全面的に参入していくことが重要なのはどうしてなのでしょう?

 

答えは単純です。

女性の参加によって、経済発展がもたらされるからです。

 

20世紀、経済成長が長期に渡って続いた背景には、

女性が労働力人口に参入したことが追い風になっていたことがあげられます。

急成長企業の中に、わずか10%でも女性が設立した会社が加わっていけば、

今世紀もアメリカが高度経済成長を遂げていく上での追い風に、

かならずなっていく、と言えるでしょう。

 

先日のカウフマン財団のレポート「経済の希望の源:女性起業家」の著者は、

その中で、急成長する女性起業家は、

もはや「社会の平等という観点から見て、望ましい存在」というレベルではない、

と書いています。

 

経済成長の観点からも、

また、アメリカの人口の半数を占め、

また教育を受けた人口の過半数を占める人々を、

経済成長とイノベーションの原動力として十分に活用できていない現状の点からも、

女性起業家の急成長は、

今後、アメリカ経済を待ち受ける「長期停滞」を回避するための絶好のチャンスである。

 

自分のメディア会社を、しなやかなスタートアップの精神で起ち上げたビアンカですが、

当初、一部の地域でしか放送されていなかった「ビアンカ・非ニュースキャスター(Bianca Unanchored)」も

5か月のうちに、9つの局を通じて全国的に放送されるようになりました。

ブロードキャスターの草分けであり、起業家でもあるオプラ・ウィンフリーは、

650人のスタッフを、直接に雇用しています。

おそらくビアンカのメディア会社も、彼女のビジョンに合わせて

オプラ・ウィンフリーと同等か、それ以上の規模に拡大していくでしょう。

では、アメリカの将来の経済的安定にとって不可欠といわれている、

他の先駆的な女性起業家はどうでしょうか。

 

彼女たちはどうして立ち上がろうとしているのでしょうか。

そうしてなぜ、彼女たちは今こそ起ち上がらなければならないのでしょうか。

 

この問いの答えを求めて、

私は最前線で活躍する3人の女性に話を聞きました。

deborah_jacksonデボラ・ジャクソンは、1980年、

ゴールドマン・サックスからキャリアをスタートさせた

ウォール・ストリートのベテランです。

その彼女は2012年にプラムアレイを起ち上げました。

プラムアレイは、女性が起業した会社の経済力を高め、

資本へのアクセスを提供することを目的としています。

 

JMathews

「America’s Advocate for Women in Business」

(ビジネス界の女性のためのアメリカ弁護士会)の

ジェシカ・イーブス・マシューズは、

受賞歴のある起業家であり、

知的財産権とビジネス専門の弁護士であり、

『ワンダー・ウーマン:欧米女性がいかにして世界を救うか』の共著者でもあります。

 

 

ジーン・サリバJeanne Mariani Sullivanはテクノロジー業界で30年以上の投資の経験を持つ

ベンチャー・キャピタリストです。

また「スターベスト・パートナーズ」の共同創設者でもあり、

シニア世代、または世代横断的な起業を支援する

Eプローブスタジオのアドバイザーでもあります。

 

起業を阻む3つの障壁の消滅

 

これまで独立し、事業に参入しようとする女性にとって、

 

・資金の問題

・情報が得られないこと

・協力者が見つけられないこと

 

が主な障壁になってきました。

ところが今日ではそれが取り除かれ、女性を取り巻く状況は、変化を見せています。

 

デボラとの対話は、まっすぐに実際的な話へと入っていきました。

彼女は、現在の状況をこのように指摘します。

 

起業するのに必要なお金は、以前より少なくてすみますし、

インターネットやソーシャルネットワーク経由でテクノロジーを活用したり、

必要な人を見つけることが、簡単になっているのです。

 

また、起業は現在、非常に人気があるために、

ネットばかりでなく、現実社会でのサポートも、受けやすくなっています。

 

ジーン・サリバンは私に対してこのようなメールをくれました。

 

この5年間で、投資家や投資家との会合の場だけでなく、

ビジネス促進施設や起業支援制度、コワーキングスペースも

飛躍的に増加しています。

アメリカ全土に、利益を共有したり、技術支援などをおこなうコミュニティが

建設されるにつれて、成功が成功を生むようになっています。

 

多くの女性にとって、コストの低下と参入のたやすさだけが、

起業を希望する理由ではありません。

 

wall street chart newspaper

 

2008年から始まった世界的な金融危機で、

多くの雇用者は(仕事を失った人ばかりでなく、失わなかった人も含めて)

終身雇用と雇用の安定は、当然のことではないのとを思い知らされたのです。

たとえ良い仕事をしたとしても、間違いなく賃金が支払われるわけではなく、

終身雇用は、もはや目標ではない。

となると、問題は私たちの内面ということになります。

 

「あなたが社会の一員として、成し遂げたいことは何ですか?」

 

この面を語ってくれたのは、ジェシカ・イーブス・マシューズでした。

 

起業家になる前、ジェシカはマイクロソフト共同創設者ポール・アレンの

顧問弁護士として、非常に多忙な生活を送っていました。

成功し、高い地位にある多くの女性の多くがそうであるように、

自分の仕事にもっとはっきりした意味を求めていたのです。

 

女性というだけで、女性はリスクを負っています。

けれども経済的な独立と同様に(時にはもっと)重要なのは、

仕事に情熱を持ち、充実感を得られるかどうか、ということなのです。

私はシアトルのトップクラスの法律事務所という、居心地の良い

世界から離れることにしました。

 

何かもっと大きなこと、自分の人生にとって意味のある、

そうして私の娘や、来るべき世代の人々に受け継がれていくようなものを

残したかったのです。

そうして、今の世界を少しでも良くしたい、とも思っています。

12-3年間、訴訟や富裕層のための法律処理に携わってきて、

私が残すものがこんなものであってはいけない、と思うようになったのです。

行動を起こさなければ、と。

 

職場の、古くさい「男性優位」方式と、

会社の収益への絶対的な献身(「個人よりも仕事優先」というお題目)の中で

長年、何とか成功しようとしてきた多くの女性は、

同じような結論に達するのではないでしょうか。

何かすばらしいこと、やりがいが感じられるようなことに挑戦することは、

仮にリスクがあったとしても、やってみる価値があると思うのです。

その他にも、女性が起業するようになった根底には、

テクノロジーと女性の経験が集約されたこと、と指摘するのは、ジーン・サリバンです。

ファッションやヘルスケア、医療の進歩やインターネットで買える商品など、

インターネットにはきわめて多くの産業が集約されています。

女性はインターネットを通して、膨大な知識をたくわえ、経験を積み、

才能を磨いてきました。

 

起業は一時的な流行なのか?

カウフマン・レポートによると、アメリカの経済的繁栄の鍵となるのは、

起業の飛躍的増大に女性が積極的に参加するかどうかである、とのことです。

 

けれども多くの女性たちにとって、起業への情熱は、

一過性のものではなく、永続的と本当に言えるのでしょうか?

 

私はこのことを、デボラ、ジェシカ、ジーンに聞いてみなければなりませんでした。

もし株式会社アメリカが、ふたたび大規模な雇用創出を実現し始めれば、

私たちの「起業熱」は、安定した給与の前に、色あせてしまうのでしょうか?

 

それに対する3人の共通する回答は、

女性と起業家精神が起こした経済変動は、一時的なものではない、というものでした。

 

デボラ・ジャクソン

これは少しずつ、絶えず形を変えながら続いていくでしょう。

起業家精神はつねにありましたが、今日のものは少しそれとは異なっており、

今後も進化を続けていくでしょう。

そうして、今後さらにアメリカ株式会社よりも自由なものとなっていくでしょう。

 

ジェシカ・イーブス・マシューズ

私はこれまで約10年にわたって、こうした変動の一翼に身を置いてきました。

ですから、これが一過性の流行ではないことを、自信を持って言うことができます。

文化や経済というものは、周期性があるものなので、

起業家精神に向ける注目が永久に続くとは言えません。

けれども、それが近い将来、終焉を迎えるものであるとは決して思いません。

そうして、その過程で、驚くべき変化やイノベーション、進展が、

かならず起こると思います。

 

ジーン・サリバン

起業家精神は、アメリカ経済、そうして地球規模の経済の成長にとって、

重要な推進力となるでしょう。

大学4年生やビジネススクールの卒業生たちに聞いてみてください。

その大半は、起業をすぐにでも、あるいは時期を見て始めたいと考えているはずです。

こうした才能ある起業家予備軍が、状況に変化をもたらしているのです。

 

女性起業家は、現在も、そうして今後も引き続き、アメリカのGDPを改善させていくでしょう。

これは単に、すばらしいトレンドいうのではなく、

誰の目にも明らかな経済的繁栄の指標なのです。

 

著者:ケリー・ヘイ (投資家・スピーカー)


 

元記事:http://bit.ly/1KBsVn8

(翻訳: 服部聡子)

どんな問題でも解決できる10のステップ

by ブライアン・トレイシー

 

 

問題に直面したら、どういうふうにして解決しようとしますか?

途方に暮れてしまう? 

それとも、なんとか解決方法を見つけ出そうと、問題を強引にねじ曲げる方ですか?

 

人はしばしば、平常心を失い、混乱したまま、問題にぶつかっていこうとします。

やみくもに手を出し、

やがて自分がもがくばかりで一向に解決に向かっていないことに気がついて

愕然としてしまうのです。

 

問題を建設的に解決するための10のステップ

 

ここで問題を体系づけて考える10のステップをご紹介します。

このやり方でクリティカル思考を鍛え、問題解決のテクニックを向上させていきましょう。

 

  1. 言葉を否定的なものから肯定的なものに変える

 

「問題」という言葉ではなく、「情況」や「チャレンジ」「機会」という言葉を遣ってください。

どんな困難な情況であっても、それをとらえる言葉が肯定的であればあるほど、

自信が生まれ、楽観的な気持になってきます。

建設的な解決や、難局を突破するようなひらめきは、

前向きで、洞察力のあるときにしか生まれてきません。

 

critical_thinking

 

  1. 情況、または問題をはっきりと見定める

 

あなたが直面している「チャレンジ」は、正確にはどんなことですか?

あなたが感じているストレスと不安は、いったいどこから来ていますか?

あなたは何を心配しているのですか?

どうしてあなたは不幸なのですか?

それを書き出して、細部まではっきりさせてください。

 

  1. クリティカル思考で異なった方向から問題にアプローチ

 

自分に尋ねてみてください。

「ほかにどんな問題がありますか?」

表面的な答えで満足しないで。

現れているものに目を奪われることなく、問題の根本をみきわめてください。

いくつかの角度から問題にアプローチしてみましょう。

ブレインストーミングによって、異なる解決法を考えるのです。

解決策は1つではないかもしれません。

 

  1. 問題の最善の解決をはっきりと見定める

解決するためには、正確に何を成し遂げる必要がありますか?

解決するためには、問題に含まれているどんな要素をクリアしなければなりませんか?

この問題に関して、あなたが最善と思える解決は、どのようなものですか?

基本姿勢をはっきりとさせていきましょう。

 

  1. チャレンジを成し遂げるには最高の方法で

 

直面している問題に対して、自分が取ることのできるさまざまな方法のなかで、

もっとも良いと思われる解決方法を選びます。

もう一方で、自分が理想とする解決方法をも選び、比較します。

いま、この情況においては、何をなすのが最善なのでしょうか?

 

  1. 最悪の結果に備え、どう乗り越えるかを考える

 

自分の決断を実行する前に、こう自問してください。

「もしこの決断に効果がなければ、起こりうる最悪の事態はなんだろう?」

あなたの解決策が効果をあげない場合を受け入れ、

何か他の方法を試す準備をしましょう。

 

challenge

 

  1. 進展を測る

 

自分の決定に対する評価の基準を用意しましょう。

あなたは何をもって自分が「前進している」と評価しますか?

あなたは何をもって自分の「成功」を評価しますか?

あなたはこの解決策によって達成できることと、

別の解決策によって達成できることを、どのようにして比較するのですか?

 

  1. 自分の決断には責任を取りきる

 

決断にもとづいて実行したことは、すべて自分に責任があると受け入れてください。

結果に対して最終的な責任を負う人のいないところでは、

どんな建設的な構想も、具体化することはありません。

 

  1. いつまでに解決するか、最終期限を設ける

最終期限を決めなければ、どれほど話し合っても意味はありません。

もしそれが重大な決断で、実行に移すまでに時間がかかるのなら、

短期的な期限とスケジュールを設定し、周知させてください。

 

最終期限や短期的な期限によって、自分が順調かどうか、

また遅れを取っているかどうか、すぐにわかります。

また、これから先に現れる障害や難所を軽減するために、

どうやったらいいか対策を立てることもできます。

 

  1. 行動を起こし、問題を解決しよう!

 

さあ、始めましょう。仕事にとりかかるのです。緊張感をもってください。

はっきりと見定められた目標に向かって動き出すのが早ければ早いほど、

あなたの創造性は養われます。自分にエネルギーが満ちてくるのを感じ、多くのことを学ぶでしょう。

取り組むのが早ければ早いほど、あなたのゴールに到達する能力も、どんどん磨かれていくのです。

 

結論

 

あなたはどんな問題でも解決することができるし、どんな障害でも克服することができます。

目標に到達するまで、すばらしい創造的な知性を使い、

首尾一貫して、たゆまず行動し続けさえすれば、

どんなゴールでも設定できるし、達成することができます。

 

成功とは、創造的に考える人にもたらされるものです。

そうして、あなたが創造的に考える能力を発揮するとき、

あなたの前には限りない成功が開かれています。

 

著者:ブライアン・トレイシー


 

元記事:http://bit.ly/1F1SS9I

(翻訳:服部聡子)

 

 

働き方のアドバイス:人間らしくあれ

(※この記事はhttps://www.theatlantic.com/business/archive/2015/08/job-advice-be-cool/401954/?utm_source=SFTwitter#disqus_threadを翻訳したものです)
by ジリアン・B・ホワイト (アトランティック・シニア・エディター)
 

社会的スキルが職場での成功につながる

今日の就職市場で一歩抜きん出るためには何が必要なのでしょうか?
厳しさを増す経済状況の中で戦うためには、専門的で技術的なスキルを身につけるしかないと思われがちですが、そうではないのです。
一歩先を行くために本当に必要なのは、社会的なスキルなのです。

どうしてでしょうか?
最近の研究によると、アメリカでは今後20年の間に、およそ半分近い数の仕事が、オートメーション化のせいで必要なくなってしまうと言います。では、働く者たちは何をなすべきなのでしょうか?

より人間らしくあることだと、ハーバード大学のデビッド・J・デミングは言います。
社会的スキルの重要性はここ数十年でもすでに高まってきており、特に給与が高く競争が激しい仕事に就きたければ、その傾向はさらに強まるとデミングは言います。

デミングによると、認知能力と社会的なスキルの両方が求められる仕事と、高水準の数学的あるいは分析的な訓練は必要なものの社会的な胆力を要しない仕事とを比べると、前者の方が過去数十年の間で給与の伸びは大きいというのです。そして、その給与の差は、職位の高低に関わらず存在すると言います。

将来、オートメーション化されにくい仕事というのは、単調な分析仕事をこなすだけでなく、同僚や顧客とのやりとりが頻繁に必要となる仕事です。また、これらの仕事は人間の本質的な活動、つまり他者の視点でものを考えることなどを要します。こういった人間的なやりとりのニュアンスというのは、コンピューターはまだマスターできていないものなのです。

社会的なスキルが真価を発揮するのは、チームを組んで、スキルや能力に応じてタスクを交換しながら働くときです。デミングはこのように言っています。

職場でのやりとりはチームでの仕事を伴います。
働く者たちは、お互いの強みを利用しながら、変わり続ける環境に柔軟に対応していくのです。
このような、人間同士の規則性のないやりとりこそが、機械に対する人間のアドバンテージの核心なのです。

研究ではさらに、社会適性の価値がもっと注目されるようになれば、男女間の給与格差を埋めることもできるかもしれないと述べています。なぜなら、女性の方が、男性よりも高いレベルのEQ(心の知能指数)を示す傾向があるからです。

上向いている教育水準と相まって、優れた社会的なスキルが女性の職場進出を後押ししてきたということなのかもしれません。

 

 

著者:ジリアン・B・ホワイト (アトランティック・シニア・エディター)


元記事:https://www.theatlantic.com/business/archive/2015/08/job-advice-be-cool/401954/?utm_source=SFTwitter#disqus_thread

(翻訳: 角田 健)