新しい「購入」ボタンでモバイル市場は変わるか

by コナー・ドウアティ、ヒロコ・タブチ

 
サンディエゴで広告代理店取締役を務めるデニス・チャップマンは、

毎日自分が何時間、服やプレゼントを検索しながらスマートフォンの画面を見ているかと思うと

ゾッとする、と言います。

そのくせ、実際に買い物をするのは、アイフォンではなく、

長年キッチンの机に置いてある、長年使っているデルのパソコンを起動させるのです。
「最近ではスマホで買い物をしようとさえ思いません」

とオンライン・ショッピングの経験を語るのは、ミズ・チャップマンです。

「ほとんどの場合、個人情報の入力は親指で、やり直しばかりなんです。

デスクトップで作業をしたほうがずっと楽に感じます」

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現在、グーグル、フェイスブック、ツイッター、ピンタレストなどのいくつかの企業は

「購入」ボタンをシンプルにすることで、

スマートフォンのブラウザでの買い物と、PCでの買い物の間のギャップを埋めようとしています。
購入ボタンはインターネットの初期段階からありました。

アマゾンの「ワンクリック注文」などに代表されるように、ボタンに

クレジットカード情報や、希望する配達先を、あらかじめ入力しておくのです。
けれども新しい購入ボタンは、テクノロジー企業が消費者と小売業者との仲介役となります。

ワンクリック注文の対象を、何千という小規模の小売業者に拡げて、

スマートフォンのタッチスクリーン上での、わずらわしいクリックをなくすのです。
膨大な量の情報が指1本で扱える世界からみれば、

購入がわずらわしいことなど、ささいな問題かもしれません。

けれども、テクノロジー企業にとっては重大事です。

なにしろ、数十億ドル単位の広告報酬が、スマホ利用者によってさらに拡大しつつある中、

オンラインショッピングの成否がかかっているのですから。
毎日、スマホの画面に目をこらしながら3時間近くを費やしながら、

アメリカ人のほとんどは、オンライン・ショッピングをパソコンで行っています。

大きなスクリーンとキーボードのあるパソコンは、

画面を見るのも、クレジットカード情報の入力をするのも、扱いやすいからです。

今年、アメリカ人がインターネットを見る時間の約半分は、

スマートフォンを通してであることが分かりました。

ところが電子商取引の売り上げは、そのうちの約1/5にすぎなかったことを

イーマーケターは報告しています。

iPhone 6 "one-handed mode"

「消費行動は、モバイルへと根本的に移っています。

ところが、費やされる時間と金額の間には、大きな隔たりがあるのです」

とヴァージニア州レストンにあるリサーチ企業コムスコアにて

マーケティング・インサイト副社長を務めるアンドリュー・リプスマンは言います。
新しい購入ボタンに取り組む企業は次のような理論を持っています。

成長しているスマホ業界では、多くの人は文字入力よりも画面タップを利用しています。

そのため決済のプロセスをもっとわかりやすくすることによって、

買い手の抵抗感が減れば、売上が増大する、と。
モバイルアプリは、この面で、良いモデルとなっています。

というのも、モバイル・アプリでは、人はウェブサイトへログインしたまま、

さらにクレジットカード情報を登録したままにしていられる、クローズド・システムを構築し、

その中でのタクシーの呼び出しから食料の買い物など

いろいろな注文を画面タップでおこなっているからです。

しかし、アプリをダウンロードする前提であればよいのですが、

オンライン上でランダムに商品を探し、買い物をするにはあまり適したものではありません。
コムスコアはスマートフォンからでは商品の画面が小さい、

配送や支払いのオプションを確認するボタンが小さくて使いづらい、

といったクレームがユーザーから出ていると報告しています。
「スマートフォンが広範に普及し始めた当初、

必要性に駆られて、画面の小さいバージョンのウェブサイトが作られましたが、

うまくいった企業はどこにもありませんでした」

とサンフランシスコにある、ピンタレストなどのモバイル決算システム会社

ストライプの共同設立者であるジョン・コリソンは言います。
ピンタレストの「購入可能ピン」は次のようなものです。

ピンタレストのアプリに、配送先情報とクレジットカード情報を入力します。

買いたいものを見つけたときは、「購入する」をクリックします。

この時点で小売業者には、配送先情報とクレジットカード、

もしくはアップル・ペイによる支払いという情報が伝えられます。
テクノロジー企業側としては、画面にある広告をクリックしても、

クレジットカードを利用して、「コンバージョン」してくれなれければ儲けになりません。

モバイルサイトで小売業者の出す広告をクリックすることにより生まれる売り上げは、

デスクトップを利用した際のものより84%低いと

インターネット検索広告会社アドマーケットプレイスは報告しています。
アドマーケットプレイス社長アダム・J・エプスタインによれば、

このコンバージョン率の著しい低さは

なぜモバイル検索広告料が、デスクトップ広告の値段の半額かということの

説明になっている、とのことです。

Shopping trolley with lower tray.

もちろん、パソコンの決済ページが快適であるということではありません。

けれどもモバイル端末が普及する以前に、

オンラインで購入することと、実際に店舗に出向くことの手間を比較すると、

決済ページで少々手こずったとしても、

実際に車を運転し、店に行き、商品を買い、家に戻るといった面倒にくらべれば、

どうということもなかったのです。
「モバイルに関して言えば、モバイルとパソコンとの比較になります。

取引をもっと増やそうとするなら、パソコンのものよりシンプルでなければいけません」

とエプスタイン氏は述べています。
グーグルほどモバイル広告に力を入れている企業はありません。

グーグルはデスクトップ、ラップトップパソコン上の広告スペースを一大支配下に置き

世界で最も価値ある企業になりましたが、

その企業もモバイル機器へのシフトチェンジを加速しています。
グーグルはアメリカを含む10か国において、

今年初めてモバイル検索が、パソコンでの検索を上回ったことを発表しました。

アメリカ広告企業はパソコンよりも、モバイル検索広告に投資することが見込まれています。

イーマーケターによればモバイル検索への投資は128億5千万ドルに対し、

パソコン検索に対しては128億3千万ドルとされています。
ここ数年、グーグルは重要な収入源であるコスト・パー・クリック(1クリックあたりのコスト)が

低下しており、ユーザーのクリック毎に支払われる広告収益の平均も低下しています。
「パソコンで行われていたのは、いわゆるeコマース、電子商取引でした。

検索し、商品を買うか予約を入れたりするなど、一連のプロセスが、

閉じた環の中で行われていたのです。

そのため、私たちにも追跡調査が可能でした」

と、グーグル・パフォーマンスメディア部門副部長であるジェイソン・スペロは言います。

Top Shop Girl

スマートフォンは、オンラインと店頭ショッピングの境界線を曖昧なものにします。

店内で買い物をしているときでも携帯電話を利用したり、

注文する電話番号を探すのに利用するためです。
しかし広告が購入に直接繋がるのであれば、消費者にとっても便利ですし、

おそらく広告料金も上がります。
近年グーグルはホテルの広告など、

掲載されている広告を通じて直接予約ができるような形式を公開しています。

スペロ氏によれば、新しい購入ボタンの公開は、今年の後半になり、

グーグル・プロダクト・アド内で利用できるようになるとのことです。
このことが小売業者にとってどうなるか、現時点で判断することはできません。

購入ボタンがオンライン公開されるようになれば、

買い物客にとっては、ショッピングサイトを探して買い物をする必要性が減り、

特定の店に行って買い物をするような習慣は、さらに減ることでしょう。
コムスコアのリプスマン氏はこの件に関し楽観的で、

購入ボタンは携帯機器ショッピングによる売り上げは向上すると考えています。
ピンタレストの「購入可能ピン」に共同で取り組んでいる

メイシーズのデジタルメディア部門副部長セレナ・ポッターは

店の収入がどこから入るかにはこだわらない、と述べています。
「お客様には買い物をしてもらいたいだけです。

どこで情報を得て、どのように決算するかは当社に問題はありません」

と彼女はコメントをしています。

 

 

ニューヨーク・タイムズ 2015年 7月15日)


元記事:http://nyti.ms/1ClPI3L

(翻訳:横手祐樹)

本:『友人と敵』

Friend & Foe: When to Cooperate, When to Compete, and How to Succeed at Both

原題:『友人と敵 : いつ協力し、いつ競い、双方とも成功するためにどうしたらよいのか?』

 アダム・ガリンスキー、 モーリス・シュバイツァー 共著

 

成功する秘訣は何でしょうか?

この問いをめぐっては、長い間、論争がなされてきました。

 

人間は、本質的に競争心が強く、自己の利益の追求こそが

成功の原動力である、と主張する人。

 

また、人間は生まれながらに協力する生き物であり、

他者と共同で何事かをなしているときにこそ、人はもっとも成功しているのだ、

と主張する人もいます。

 

『友人と敵』の著者で、研究者であるガリンスキーとシュバイツァーは、

この議論は的外れである、といいます。

競争したり、協力したり、というのは、人間が先天的に備わっている機能ではなく、

双方を進化させてきたのだ、とするのです。

 

 

同僚や友人、配偶者、きょうだいなど、あらゆる関係において、

私たちは友人であり、同時に敵でもあります。

このふたつの力の間で、適切なバランスを取るすべを学ぶことによってのみ、

私たちは長期的な関係を維持することができ、

また、この関係を通じて、自分が求めるものを手に入れることもできるのです。

 

本書でガリンスキーとシュバイツァーは、独自研究やこれまでの社会科学研究、

そうして生き生きとした現実社会の実例をもとに、

協力と競争の間の緊張状態を、たくみにバランスを取りながら進んで、

仕事や実生活で、最大の成果をあげる方法を、明らかにしてくれます。

 

彼らが描き出す洞察やアドバイスの目次を、いくつかをご紹介しましょう。

・力を手にし、それを維持するには

・信頼を築くには、また、一度崩れた信頼関係を修復するには

・職場の争いや偏見は、いかに拡散していくか

・私たちのモチベーションとなり、幸せになっていくような、適切な比較を

どうやって見つけるか

・私たちが目標を獲得しつつ、相手も満足できるような交渉を行うにはどうしたら良いのか

 

途中で休憩をはさみながら、著者たちは、いくつものややこしい問題に、

あっと驚くような答えを用意しています。

 

・あまりに豊かすぎる才能のために、成功が損なわれるのは、どのような場合か?

・敵対心をむき出しにしない方が、立場が良くなり、信頼性も増すのはどうしてか?

・職場での男女の違いは、本当はどこから来ているのか?

・信頼関係を築くために、どのような策略なら使っても良いのか?

 

私たちが協力と競争の間で、適切なバランスを保った関係を築くなら、

私たちは最高の力が発揮できるでしょう。

 

本書は、いつ友人として協力すべきか、

いつ敵として競争すべきか、

友人としても、敵としても、もっとすばらしい存在になりながら、

実社会を、また専門領域を、突き進んでいくためのガイドブックです。

 

 


 

元記事:http://amzn.to/1JDSOmm

(翻訳:服部聡子)

女性起業家が経済成長をうながす

 私の中にはいつも、起業家である自分が存在していました。

 可能性を作りだし、それを自分のものにしたい、という意志が、

 絶えることなくあったのです。

 今では安全にふるまうより、起業家であることの方がずっと気分が良いので、

 いつも起業家でいることにしました。

 ―― ビアンカ・デ・ラ・ガーザ

 

 

テレビ業界で17年間を過ごしてきたベテラン、ビアンカ・デ・ラ・ガーザは、

2014年、自分のメディア会社を起ち上げ、

土曜夜、自分の名をタイトルにした「ビアンカ」という30分番組をスタートしました。

 

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このデジタル時代に、メディア会社を起業し、

深夜、いわゆる男性の時間帯に放送を開始する?

過去にどれほど実績があったとしても、生やさしい挑戦ではなかったはずです。

けれども大きなチャンスをつかもうとしていたのは、ビアンカだけではありません。

企業の常識でいけば、安定軌道に乗っていることが実感できるはずの時期に、

出世コースから飛びだして、新しいキャリアを築こうとする。

そんな女性が増えているのです。

ベンチャー企業が高い成長を続けていくためには、

女性が起業へ全面的に参入していくことが重要なのはどうしてなのでしょう?

 

答えは単純です。

女性の参加によって、経済発展がもたらされるからです。

 

20世紀、経済成長が長期に渡って続いた背景には、

女性が労働力人口に参入したことが追い風になっていたことがあげられます。

急成長企業の中に、わずか10%でも女性が設立した会社が加わっていけば、

今世紀もアメリカが高度経済成長を遂げていく上での追い風に、

かならずなっていく、と言えるでしょう。

 

先日のカウフマン財団のレポート「経済の希望の源:女性起業家」の著者は、

その中で、急成長する女性起業家は、

もはや「社会の平等という観点から見て、望ましい存在」というレベルではない、

と書いています。

 

経済成長の観点からも、

また、アメリカの人口の半数を占め、

また教育を受けた人口の過半数を占める人々を、

経済成長とイノベーションの原動力として十分に活用できていない現状の点からも、

女性起業家の急成長は、

今後、アメリカ経済を待ち受ける「長期停滞」を回避するための絶好のチャンスである。

 

自分のメディア会社を、しなやかなスタートアップの精神で起ち上げたビアンカですが、

当初、一部の地域でしか放送されていなかった「ビアンカ・非ニュースキャスター(Bianca Unanchored)」も

5か月のうちに、9つの局を通じて全国的に放送されるようになりました。

ブロードキャスターの草分けであり、起業家でもあるオプラ・ウィンフリーは、

650人のスタッフを、直接に雇用しています。

おそらくビアンカのメディア会社も、彼女のビジョンに合わせて

オプラ・ウィンフリーと同等か、それ以上の規模に拡大していくでしょう。

では、アメリカの将来の経済的安定にとって不可欠といわれている、

他の先駆的な女性起業家はどうでしょうか。

 

彼女たちはどうして立ち上がろうとしているのでしょうか。

そうしてなぜ、彼女たちは今こそ起ち上がらなければならないのでしょうか。

 

この問いの答えを求めて、

私は最前線で活躍する3人の女性に話を聞きました。

deborah_jacksonデボラ・ジャクソンは、1980年、

ゴールドマン・サックスからキャリアをスタートさせた

ウォール・ストリートのベテランです。

その彼女は2012年にプラムアレイを起ち上げました。

プラムアレイは、女性が起業した会社の経済力を高め、

資本へのアクセスを提供することを目的としています。

 

JMathews

「America’s Advocate for Women in Business」

(ビジネス界の女性のためのアメリカ弁護士会)の

ジェシカ・イーブス・マシューズは、

受賞歴のある起業家であり、

知的財産権とビジネス専門の弁護士であり、

『ワンダー・ウーマン:欧米女性がいかにして世界を救うか』の共著者でもあります。

 

 

ジーン・サリバJeanne Mariani Sullivanはテクノロジー業界で30年以上の投資の経験を持つ

ベンチャー・キャピタリストです。

また「スターベスト・パートナーズ」の共同創設者でもあり、

シニア世代、または世代横断的な起業を支援する

Eプローブスタジオのアドバイザーでもあります。

 

起業を阻む3つの障壁の消滅

 

これまで独立し、事業に参入しようとする女性にとって、

 

・資金の問題

・情報が得られないこと

・協力者が見つけられないこと

 

が主な障壁になってきました。

ところが今日ではそれが取り除かれ、女性を取り巻く状況は、変化を見せています。

 

デボラとの対話は、まっすぐに実際的な話へと入っていきました。

彼女は、現在の状況をこのように指摘します。

 

起業するのに必要なお金は、以前より少なくてすみますし、

インターネットやソーシャルネットワーク経由でテクノロジーを活用したり、

必要な人を見つけることが、簡単になっているのです。

 

また、起業は現在、非常に人気があるために、

ネットばかりでなく、現実社会でのサポートも、受けやすくなっています。

 

ジーン・サリバンは私に対してこのようなメールをくれました。

 

この5年間で、投資家や投資家との会合の場だけでなく、

ビジネス促進施設や起業支援制度、コワーキングスペースも

飛躍的に増加しています。

アメリカ全土に、利益を共有したり、技術支援などをおこなうコミュニティが

建設されるにつれて、成功が成功を生むようになっています。

 

多くの女性にとって、コストの低下と参入のたやすさだけが、

起業を希望する理由ではありません。

 

wall street chart newspaper

 

2008年から始まった世界的な金融危機で、

多くの雇用者は(仕事を失った人ばかりでなく、失わなかった人も含めて)

終身雇用と雇用の安定は、当然のことではないのとを思い知らされたのです。

たとえ良い仕事をしたとしても、間違いなく賃金が支払われるわけではなく、

終身雇用は、もはや目標ではない。

となると、問題は私たちの内面ということになります。

 

「あなたが社会の一員として、成し遂げたいことは何ですか?」

 

この面を語ってくれたのは、ジェシカ・イーブス・マシューズでした。

 

起業家になる前、ジェシカはマイクロソフト共同創設者ポール・アレンの

顧問弁護士として、非常に多忙な生活を送っていました。

成功し、高い地位にある多くの女性の多くがそうであるように、

自分の仕事にもっとはっきりした意味を求めていたのです。

 

女性というだけで、女性はリスクを負っています。

けれども経済的な独立と同様に(時にはもっと)重要なのは、

仕事に情熱を持ち、充実感を得られるかどうか、ということなのです。

私はシアトルのトップクラスの法律事務所という、居心地の良い

世界から離れることにしました。

 

何かもっと大きなこと、自分の人生にとって意味のある、

そうして私の娘や、来るべき世代の人々に受け継がれていくようなものを

残したかったのです。

そうして、今の世界を少しでも良くしたい、とも思っています。

12-3年間、訴訟や富裕層のための法律処理に携わってきて、

私が残すものがこんなものであってはいけない、と思うようになったのです。

行動を起こさなければ、と。

 

職場の、古くさい「男性優位」方式と、

会社の収益への絶対的な献身(「個人よりも仕事優先」というお題目)の中で

長年、何とか成功しようとしてきた多くの女性は、

同じような結論に達するのではないでしょうか。

何かすばらしいこと、やりがいが感じられるようなことに挑戦することは、

仮にリスクがあったとしても、やってみる価値があると思うのです。

その他にも、女性が起業するようになった根底には、

テクノロジーと女性の経験が集約されたこと、と指摘するのは、ジーン・サリバンです。

ファッションやヘルスケア、医療の進歩やインターネットで買える商品など、

インターネットにはきわめて多くの産業が集約されています。

女性はインターネットを通して、膨大な知識をたくわえ、経験を積み、

才能を磨いてきました。

 

起業は一時的な流行なのか?

カウフマン・レポートによると、アメリカの経済的繁栄の鍵となるのは、

起業の飛躍的増大に女性が積極的に参加するかどうかである、とのことです。

 

けれども多くの女性たちにとって、起業への情熱は、

一過性のものではなく、永続的と本当に言えるのでしょうか?

 

私はこのことを、デボラ、ジェシカ、ジーンに聞いてみなければなりませんでした。

もし株式会社アメリカが、ふたたび大規模な雇用創出を実現し始めれば、

私たちの「起業熱」は、安定した給与の前に、色あせてしまうのでしょうか?

 

それに対する3人の共通する回答は、

女性と起業家精神が起こした経済変動は、一時的なものではない、というものでした。

 

デボラ・ジャクソン

これは少しずつ、絶えず形を変えながら続いていくでしょう。

起業家精神はつねにありましたが、今日のものは少しそれとは異なっており、

今後も進化を続けていくでしょう。

そうして、今後さらにアメリカ株式会社よりも自由なものとなっていくでしょう。

 

ジェシカ・イーブス・マシューズ

私はこれまで約10年にわたって、こうした変動の一翼に身を置いてきました。

ですから、これが一過性の流行ではないことを、自信を持って言うことができます。

文化や経済というものは、周期性があるものなので、

起業家精神に向ける注目が永久に続くとは言えません。

けれども、それが近い将来、終焉を迎えるものであるとは決して思いません。

そうして、その過程で、驚くべき変化やイノベーション、進展が、

かならず起こると思います。

 

ジーン・サリバン

起業家精神は、アメリカ経済、そうして地球規模の経済の成長にとって、

重要な推進力となるでしょう。

大学4年生やビジネススクールの卒業生たちに聞いてみてください。

その大半は、起業をすぐにでも、あるいは時期を見て始めたいと考えているはずです。

こうした才能ある起業家予備軍が、状況に変化をもたらしているのです。

 

女性起業家は、現在も、そうして今後も引き続き、アメリカのGDPを改善させていくでしょう。

これは単に、すばらしいトレンドいうのではなく、

誰の目にも明らかな経済的繁栄の指標なのです。

 

著者:ケリー・ヘイ (投資家・スピーカー)


 

元記事:http://bit.ly/1KBsVn8

(翻訳: 服部聡子)

ビジネスプランの「禅」

by ガイ・カワサキ

 

 

一冊の本ほどにも分厚いビジネスプラン作成に人生を捧げる前に、

ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された

「起業:最初の一歩を踏み出すために必要な正式事業計画書」

という記事に引用されていた名言をご紹介しましょう。

 

――計画は役に立たない。だが、立案はすべてにまさる。

 ドワイト・D・アイゼンハワー

 

1985年-2003年、バブソン大学の卒業生の起業した116社を

分析した研究結果が発表されました。

成功の指標として、歳入、従業員数、実収入などを導入して比較した結果、明らかになったのは、

起業に際して正式なビジネスプランを準備したか否かは、

のちの成功に統計的な有意差が見られなかった、ということでした……

 

「本当のところ、私たちがやりたくないのは、1年間、

下手をしたらもっと時間を費やして、ビジネスプランを作成することなんです。

現実に顧客が来てくれるかどうかもわからないのに」

と、この研究の著者、バブソン大学のウィリアム・バイグレイヴ氏も言っています。

「でも、やるしかないんです」

と起業家の気持ちを擁護していますが。

 

さらに、起業家は下書きに何ヶ月も費やしたがために、

それが不備のある計画書であっても、しがみつく傾向があることも指摘しています。

 

この研究報告を読んで、計画もビジョンも、

コミュニケーションやチームワークといったものには必要ないのか、

と結論は出さないでください。そんなことはありませんから。

 

確かなのは、ビジネスプランはそれ自体で動き始めるものではない、ということです。

ツールではあるけれども、それ自体が目的ではありません。

 

効果を上げるビジネスプランを書くために学ばなければならないこと。

それが「ビジネスプランの禅」なのです。

 

 1. 実施要項に焦点を当てる

実施要綱は、ほんの1、2ページにすぎないものですが、

ビジネスプランの何よりも重要な部分です。

もしその箇所が、とびきりのもの、目を引きつけ、胸を高鳴らせるようなものでないなら、

投資家はそこから先は読んでくれないでしょう。

たとえあなたのすばらしいチームには誰がいて、

あなたがどんなビジネスモデルを持っていて、

どうしてその製品が新しい地平を開き、パラダイムシフトを巻き起こし、

革命的であるといえるのか、などと書いてあったとしても。

 

仮に、そのプランが純粋に社内向けだったとしても、

努力の80%は、しっかりした実施要綱を書くことに注ぐべきです。

ところが大半の人は、誰も説得できないどころか、理解さえしてもらえない、

膨大なエクセル表を作成することに80%の努力を傾注しているのです。

 

 2. 書くことには意義がある

 

多くの人は、投資家の気を引くためにビジネスプランを書きます。

ところがビジネスプランによって資金を集めようとしている起業家に対して、

大半のベンチャーキャピタリストは、その売り込みの間にGoサインを出すか、やめるか、

本能的に決断しています。

 

ビジネスプランを受け取る(そして、おそらくは目を通す)ということは、

注意義務に基づいた、機械的な段取りのひとつにすぎません。

仮に資金を集められなかったとしても、ビジネスプランを書くことには、

もっと有意義で大切な理由があります。

ビジネスプランには、目的(何を)、戦略(どうやって)、戦術(いつ、どこで、誰が)について、

経営陣を団結させる力があるのです。

 

 3.  作成は一人の手で

 

ビジネスプランの作成は、経営陣をも含めたグループワークではありますが、

実際に書くのはひとり(できればCEOが望ましい)に任せるべきです。

ひとりの筆者ではなく、複数の人間が分担し、コピーペーストで作業を進めた場合、

統一の取れた文書に仕上げることは大変困難になります。

 

 4. 計画の前にキャッチフレーズを

 

多くの人がビジネスプランを作成しますが、そのほとんどはガラクタです。

60ページのうち50ページが統計と、もったいぶった専門用語、略語、

「われわれに必要なのは、市場の1%のシェアである」

といった意味のない文句でできています。

そんなもので売り込もうとするのですから。

 

正しい順番はこうです。

まず完璧なキャッチフレーズの作成をし、

そのつぎにそれをもとにしたビジネスプランを書くのです。

ちゃんとしたキャッチフレーズは、事業計画書を蒸留したのちに出て来るものではありません。

それはなぜでしょうか?

その理由は計画を修正するより、キャッチフレーズを修正する方が、はるかに簡単だからです。

何通りかキャッチフレーズを作成してみて、使えるかどうかを試し、

そののちにビジネスプラン全体を書き始めるのです。

どんなにおおぜいの人が、全文を仕上げたのちに、要約を書いていることでしょう。

 

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 5. すっきりと、読みやすく

 

理想的なビジネスプランとは、20ページ前後、これは統計や補遺を含んでいます。

提出する事業計画書は、余計なものがないほうが良いのです。

20ページを超えると、10ページ増えるごとに、

計画書に目を通してもらえる割合は、25%ずつ下がっていきます。

 

多くの人は、ビジネスプランの目的を、

投資家に衝撃を与え、畏敬の念を起こさせ、お金を振り込んでもらおうとするためだと誤解しています。

 

実際は、ビジネスプランというのは、次の段階に進むためのものです。

保証人や顧客の確認といった、投資対象の資産価値・収益力・リスクなどの調査分析が、それに続きます。

考えている内容が煮詰められていればいるほど、計画書は短いものになっていきます。

計画書が短ければ、読む側も簡単に読み終えることができます。

 

 6. 財務計画は1ページ、キー・メトリクスをプラス

 

多くのビジネスプランには、5ヵ年事業として1億ドルという数字が最上段に計上されていながら、

項目欄には、鉛筆の予算といった細かいことが書かれていたりします。

これでは、誰が見てもあてずっぽうな数字を並べているだけだと思われてしまいます。

 

みなさんにお願いがあります。

エクセルの誇大妄想を1ページにまとめて、

事業をキー・メトリクス(※ 総利用時間や 総人口、年齢分布、性別比率などの統計データ)に基づく

予測を出してください。

たとえば、有料入場者数などの数字です。

こうしたキー・メトリクスは、仮説を確かなものにします。

万一あなたが、初年度、

フォーチュン誌が選ぶ500社の20%に製品を購入してもらえると見込んでいるならば、

一度、リハビリプログラムを検討してみた方が良いかもしれませんが。

 

 7. じっくり書け、迅速に行動せよ

 

私はこの言葉を、『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』を著した、

友人のクレイトン・クリステンセンから借りました。

イノベーションのジレンマ

 

つまり、ビジネスプランを書くときは、

自分がこれから何をやるのか、

完全に理解しているように行動せよ、ということです。

熟慮を重ねるべきです。

間違っているかもしれませんが、ベストをつくすのです。

 

とはいえ、どんなに熟考して書いたからといっても、

新しい情報やチャンスに直面しても、計画書に固執してはいけません。

計画の実行においては、迅速さが求められるのです。

すなわち、柔軟性をもってすばやく動く。市場のことがわかればわかるほど、計画は変わっていきます。

 

以下に手順を述べます。

 

キャッチフレーズを決め、それをもとに1-2週間かけてビジネスプランを書く。

チームにも相談しながらビジネスプランを煮詰める。

(ビジネスに対するものの見方考え方が、それぞれ、どれだけ離れているかわかるはずです)。

 

ビジネスプランは、作業のための文書だと考えて、

これで実際のビジネスを動かしていこうなどとは考えないことです。

もしこのようにやっていけば、90%のライバルより、優れたビジネスプランが書けるはずです。

 

 

著者:ガイ・カワサキ


 

元記事:http://bit.ly/1Yqh2W5?

(翻訳:服部聡子)

 

どんな問題でも解決できる10のステップ

by ブライアン・トレイシー

 

 

問題に直面したら、どういうふうにして解決しようとしますか?

途方に暮れてしまう? 

それとも、なんとか解決方法を見つけ出そうと、問題を強引にねじ曲げる方ですか?

 

人はしばしば、平常心を失い、混乱したまま、問題にぶつかっていこうとします。

やみくもに手を出し、

やがて自分がもがくばかりで一向に解決に向かっていないことに気がついて

愕然としてしまうのです。

 

問題を建設的に解決するための10のステップ

 

ここで問題を体系づけて考える10のステップをご紹介します。

このやり方でクリティカル思考を鍛え、問題解決のテクニックを向上させていきましょう。

 

  1. 言葉を否定的なものから肯定的なものに変える

 

「問題」という言葉ではなく、「情況」や「チャレンジ」「機会」という言葉を遣ってください。

どんな困難な情況であっても、それをとらえる言葉が肯定的であればあるほど、

自信が生まれ、楽観的な気持になってきます。

建設的な解決や、難局を突破するようなひらめきは、

前向きで、洞察力のあるときにしか生まれてきません。

 

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  1. 情況、または問題をはっきりと見定める

 

あなたが直面している「チャレンジ」は、正確にはどんなことですか?

あなたが感じているストレスと不安は、いったいどこから来ていますか?

あなたは何を心配しているのですか?

どうしてあなたは不幸なのですか?

それを書き出して、細部まではっきりさせてください。

 

  1. クリティカル思考で異なった方向から問題にアプローチ

 

自分に尋ねてみてください。

「ほかにどんな問題がありますか?」

表面的な答えで満足しないで。

現れているものに目を奪われることなく、問題の根本をみきわめてください。

いくつかの角度から問題にアプローチしてみましょう。

ブレインストーミングによって、異なる解決法を考えるのです。

解決策は1つではないかもしれません。

 

  1. 問題の最善の解決をはっきりと見定める

解決するためには、正確に何を成し遂げる必要がありますか?

解決するためには、問題に含まれているどんな要素をクリアしなければなりませんか?

この問題に関して、あなたが最善と思える解決は、どのようなものですか?

基本姿勢をはっきりとさせていきましょう。

 

  1. チャレンジを成し遂げるには最高の方法で

 

直面している問題に対して、自分が取ることのできるさまざまな方法のなかで、

もっとも良いと思われる解決方法を選びます。

もう一方で、自分が理想とする解決方法をも選び、比較します。

いま、この情況においては、何をなすのが最善なのでしょうか?

 

  1. 最悪の結果に備え、どう乗り越えるかを考える

 

自分の決断を実行する前に、こう自問してください。

「もしこの決断に効果がなければ、起こりうる最悪の事態はなんだろう?」

あなたの解決策が効果をあげない場合を受け入れ、

何か他の方法を試す準備をしましょう。

 

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  1. 進展を測る

 

自分の決定に対する評価の基準を用意しましょう。

あなたは何をもって自分が「前進している」と評価しますか?

あなたは何をもって自分の「成功」を評価しますか?

あなたはこの解決策によって達成できることと、

別の解決策によって達成できることを、どのようにして比較するのですか?

 

  1. 自分の決断には責任を取りきる

 

決断にもとづいて実行したことは、すべて自分に責任があると受け入れてください。

結果に対して最終的な責任を負う人のいないところでは、

どんな建設的な構想も、具体化することはありません。

 

  1. いつまでに解決するか、最終期限を設ける

最終期限を決めなければ、どれほど話し合っても意味はありません。

もしそれが重大な決断で、実行に移すまでに時間がかかるのなら、

短期的な期限とスケジュールを設定し、周知させてください。

 

最終期限や短期的な期限によって、自分が順調かどうか、

また遅れを取っているかどうか、すぐにわかります。

また、これから先に現れる障害や難所を軽減するために、

どうやったらいいか対策を立てることもできます。

 

  1. 行動を起こし、問題を解決しよう!

 

さあ、始めましょう。仕事にとりかかるのです。緊張感をもってください。

はっきりと見定められた目標に向かって動き出すのが早ければ早いほど、

あなたの創造性は養われます。自分にエネルギーが満ちてくるのを感じ、多くのことを学ぶでしょう。

取り組むのが早ければ早いほど、あなたのゴールに到達する能力も、どんどん磨かれていくのです。

 

結論

 

あなたはどんな問題でも解決することができるし、どんな障害でも克服することができます。

目標に到達するまで、すばらしい創造的な知性を使い、

首尾一貫して、たゆまず行動し続けさえすれば、

どんなゴールでも設定できるし、達成することができます。

 

成功とは、創造的に考える人にもたらされるものです。

そうして、あなたが創造的に考える能力を発揮するとき、

あなたの前には限りない成功が開かれています。

 

著者:ブライアン・トレイシー


 

元記事:http://bit.ly/1F1SS9I

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『タイム・マネジメント・ママ』

Time Management Mama:

Making Use of the Margins to Pursue your Passions

原題: タイム・マネジメント・ママ 空き時間で叶える情熱

サラ・コルフナック、ベス・アン・シュワンバーガー 著

 

生産性とは、難しいものです。

大きな目標を達成するのはさらに難しいもので、

いわんや、子育てをしながらビジネスを大きくしようとしたり夢を追いかけたりなどというのは、

不可能に近いと思っていることでしょう!

 

この本は私たちのように、母親としての務めと、

その他の情熱の両立を目指す人たちのために書かれています。

母親たちは大きな目標のために休み知らず働く一方で、

赤ん坊を育てています。

情熱を追いかけながら、幼稚園児の遊び相手をしています。

とてつもない夢を追いかけることなどしなくても、

家庭を維持し子供を愛するということだけで、すでに十分に難しいものなのです。

ですが、あなたにもできると、私たちにはわかっています。

そのために本書があるのです。

 

子育てとビジネスを両立するママプレナーであるならば、

家庭の中で生産的であることは、ビジネスにおいて生産的であることと同様に大切なことです。

子育て、家庭、そしてビジネスを一日中やりくりしながら過ごすのですから、

この二つは互いに相性のいいものなのです。

一つの分野で賢く時間をやりくりするということは、必然的に、

他の分野でも役に立つことなのです。

 

私たちは、9時から5時は仕事や夢に専念できるなどと贅沢は言っていられません。

自宅で子供と過ごすようにして、相乗りの車を待つ間や、哺乳瓶を準備しているとき、

または子供が粘土遊びをしている間の細切れになった時間で

夢のビジネスを作り上げる人がほとんどなのです。

 

従来の9時5時の仕事で働いている人もまだおりますが、

その場合は、仕事をしていないオフの時間を、

情熱の追求はもちろん家庭にも、賢くバランスをとって振り分ける必要があります。

9時5時の仕事からくる疲労が、

自分自信でマネージできるビジネスの起業への情熱を掻き立てるのです。

 

母親として、家庭を守ることを仕事のリストから外してしまうことはできません。

料理、洗濯や掃除は、無期限休業にはできないのです。

食べることができて、清潔で、そして片付いた部屋にいる方が、

家族はより快適に暮らせるのです。

 

よく分かります。私たちもそんな家庭を持っているのです。

 

本書は、私たち自身の経験や試行錯誤をもとに書かれています。

執筆したのはオフィスや会議室ではなく、つぶれたソファの上やパンくずの溢れたキッチンです。

また、同じように家の中で頑張っている他の母親たちからも、

役に立つアドバイスを集めました。

なので、執筆した私たちだけでなく、他の母親たちにとっても意味のあるアドバイスになっています。

 

本書は、毎日の生活をできる限り生産的に送るために役立つ、

実際の母親たちが使っている戦略でいっぱいです。

「こんなことができたら・・・」と言いながら年月を過ごすのはやめましょう。

本書の戦略を組み合わせれば、大きな夢を追いかけるための時間の余裕ができるのです。

 


元記事:http://amzn.to/1WaZJ9t

(翻訳:角田 健)

 

スタートアップのCEOになるというのは一体どんなものですか?

 

 

本記事は、あらゆる質問にベストな答えを提供するQ&Aサイト、クオラからの転載です。

質問をすれば、素晴らしい回答が返ってきます。

専門家に学び、インサイダーの知識を手に入れましょう。

ツイッター、フェイスブックとグーグルプラスでフォローして下さい。

 

回答者:カイル・スタルザー(タックCEO)

 

こういった質問への回答は、一般的に、びっくりするほどネガティブな方向に歪んでしまうものです。

そして、そういったネガティブな回答に多くの共感が集まるのです。

ですが、スタートアップのCEOとなることによって、

業績の良し悪しに関わらず得られるものがあるのであり、

私が思うに、それが無視されているのです。

 

CEOは、在任期間が6ヶ月となっても6年となっても、

退任までにはべき数的な進歩を遂げることになります。

そして、その進歩は、会社の目標をはるかに超えたところまで到達するのです。

CEOであるということは人に成長、順応、学習を強いるものであり、

そのペースとスピードは、他のいかなるキャリア・パス(MBA、コンサルティング業、就職)をも上回るのです。

これは、会社を数百万ドルで売却することになろうとも、

事業縮小の後に店じまいせざるを得なくなっても、同じように起きることです。

下にあげるように、非常に強烈な経験となるのです。

 

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まず第一に、プレッシャーに応じて体系的に行動することができるようになり、

困難に耐えることができるようになります。

 

会社と評価を左右する決断を、

確信の持てないなかでも下すこと(実際は、そんな場合がほとんどです)を学びます。

良い決断も、ときには悪い結果となる決断もありますが、

経験することでしか、この能力は身につきません。

 

そして、スタートアップのCEOという役割につくことで、

この能力は飛躍的に前進するのです。

 

これは、訓練を通して反射を身につけるようなものです。

シミュレーションしたり、自分以外の経験から吸収することはできません。

 

そして、この能力がその後の人生において、

職業の種類によらず、どれだけ貴重なものとなるか考えてみてください。

人生において、プレッシャーがなくなることはありません。

プレッシャーのなかにあっても冷静を保ち、

状況を十分に吟味した上で判断が下すことができる能力が身についていたならば、

と考えてみてください。

 

また、自分にしかない才能は何か、そして本当に大切にしたいもの、

あるいは仕事として楽しめるものは何か、ということが、すぐに分かるでしょう。

 

また、同じようにすぐに、上の二つとは反対ですが、同じように重要なことが見えきます。

 

すなわち、不得手で苦労するものは何か、

大切にしたいと思いながらも好きになれないものは何の、どんな要素かということです。

これは、引退が近い場合は除きますが、将来の幸福を買うための素晴らしい頭金になります。

 

なぜか?

なぜなら、それ以降の人生を、仕事という面で自分を幸せにするものは何か、

惨めな気分にさせるものは何かを理解したうえで、自分自身を導いていけるようになるからです。

 

そして最も重要なのは、私の考えでは、木々の一つ一つから森全体を見られるようになることです。

 

波は様々な角度から来る要因が重なって起きますが、

波紋の影響まで計算して決断を下すことができるようになります。

そして、スタートアップのCEOであるということは、

この計算と決断の集中的な特訓を受けているようなものなのです。

これは、大企業で役割の決まった仕事やポジションにつくことよりも、余程そうなのです。

 

企業での仕事では、毎年、二つか三つの大きな目標を設定し、

それを一年かけて計画し実行します。

ですが、スタートアップのCEO場合、決定を左右する要因はダイナミックなのであり、

他の人たちや計画、戦略への影響も考慮しながら決断を行なっていく必要があります。

そして、これこそが最も重要なスキルになるのです。

 

なぜなら、人生が進むにしたがって、下さなければならない決断もダイナミックになっていくからです。

家族、子供、家、車、教育などは全て、大きな波紋を生み出す、重大な決断です。

スタートアップのCEOという経験を通して、こういった決断を俯瞰できるようになるのです。

 

要約すれば、スタートアップのCEOであることを通して、

実際の経験なしでは得難い、人生をより良いものにするスキルを身につけることができるのです。

 

 


元記事:http://slate.me/1gm9FgA

(翻訳:角田 健)

 

スタートアップの第2幕

by グレン・ケルマン (レッドフィンCEO)

 

 

F.スコット・フィッツジェラルドによれば、アメリカ人の人生には第2幕がないということです。

ほとんどのスタートアップも同じ問題を抱えています。

私たちは、自分のアイデアを持って、スポットライトの下に行きます。

それから失敗するか、そのアイデアが買ってもらえるか、

ほんの短い間、人目にふれて終わります。
ところが大企業というのは、アイデアがひとつだけではなく、

アイデア・マシーンさながらに、つぎつぎに生まれていきます。

こうした企業は、10億ドルどころではない、100億、1000億ドルもの価値があります。

デスクトップ・コンピューターのイノベーターだったアップルは、

現在作っているものの大半は、ガジェットです。

DVDの郵送サービスを始めたネットフィリックスは、

現在は映画の配信と、映画制作をおこなっています。

アマゾンは、Eコマースのインフラを、クラウド・サービスとして販売するようになっています。

 

 

アイデア・マシーン

 

アイデア・マシーンとなるためには、あなたはアイデアを生み出す構造に、まず投資しなければなりません。

ビル・ゲイツはマイクロソフトの初期の成功は、OSではなく、

ソフトウェア・エンジニアの1/3を、残った2/3のエンジニアのためのツールを制作することに

当てたことにある、と言っています。

当時、マイクロソフトにそんな時間の余裕があるのかといぶかる声もありました。

けれども次の20年間、マイクロソフトより速いソフトウェアを作ったところはありませんでした。

現在は、フェイスブックが同じ立場にいます。

ほとんどのエンジニアを投入して、システム全体に影響を及ぼすことなく、

サイトをすぐに更新できる独自のデータベース・ソフトウェア制作に関わりました。
アイデア・マシーンもまた、自分のアイデアを生成する能力に投資します。

偉大な企業が成し遂げる根底からのイノベーションとは、製品におけるイノベーションではなく、

企業の存在自体をイノベーションし続ける、ということなのです。

 

Ecomaterials Innovation Lab - Boston, MA

留まるためには変わっていかなければならない

 

大きな変化、というのは、むずかしいものです。

会社が成功すればするほど、コンサルタントや役所や流行に乗り遅れまいとする人々が集まってきて

成功するなら自分たちの助力が必要だ、と言い張ります。

 

成長しろ、青臭いやり方を捨てろ、改良しろ、

ほかの大企業のようにふつうのビジネスの慣例に適合しろ、と言って。

こんな連中は、イノベーションを開発研究室の中だけに留めたいのです。

まるで、他とはちがうやり方を取ることなく、他とはことなる製品を作れ、というように。
けれども、最高の会社は、時間を経るにつれて、少しずつ普通になっていくのではなく、

もっともっと特異なものになっていきます。

変わったことをするためには、変人でなければならないということを理解しているのです。

 

この特異性は、アップルの美の文化のなかで誕生し、

フェイスブックにハッキングされ、アマゾンで効率化されました。

アップルのアイデアは、すべてこの美の文化から生まれています。

フェイスブックのアイデアは、ハッキングから。

アマゾンのアイデアは、効率性から。

私が働いているレッドフィンは、こうした巨人と同じリーグではありません。

 

けれども、成功した多くのビジネスの一翼に連なっていればいいと思っています。

私たちの特異性は、私たちが誰であるか、にあります。

不動産業者を大勢雇ったソフトウェア企業、

インターネットと現実社会の垣根を越えて、家の売買のための調査や視察、契約を

ふつうの人に少しでも有利なように、おこなっています。

House/Home Inspection

私たちは、いよいよ第2幕の幕開けを迎えようとしています。

 

第1幕は、既存のプロセスを、もっと消費者のためになるように、

もっと効率的になるように、作り替えていくことでした。

未だに不動産屋というと、客に家を見せに連れて行く人だと考えられていますが、

レッドフィンでは、家はすでに私たちが購入しているのです。

地図上の売り家をすべて、1軒ずつ見せることができる私たちのテクノロジーは、

今日では広く模倣されています。

けれども、私たちも視察の予定を組んだり、取引成立させたり、を

より速く、簡単にするために、そのシステムを使っています。
第1幕は、何億ドルという収益を上げました。

家を売り買いする人が節約できた手数料も、何億ドルにものぼります。
けれども会社をさらに大きくするために、私たちは第2幕を開けなければならないと思っています。

 

第2幕では、家を売買するプロセスを、根本的に変えていきます。

どのようにオンラインや、直接、家を見るのか、

どのようにオファーや条件交渉をやっていくのか、また、売買契約をまとめるのか。

第2幕を開けるには、まだ数年はかかるでしょう。
どんな劇でも、第2幕というのは、ゆっくりしたものです。

最初は第1幕とは一見無関係なところから始まります。

けれども実は深くつながっているのですが。

 

私たちの場合、これまで何百という企業が、

近隣一帯をカバーする十分な業者がいなかったり、

新しい規則を作るには、市場占有率が十分ではなかったり、という

不十分な状態のまま不動産業界を変えようとして、失敗してきました。

レッドフィンがこのゲームへの挑戦権を獲得するために取ってきた、ただひとつの方法は、

まず、ゲームのルールを学ぶということです。

 

フィッツジェラルドが誰よりもよく知っていたように、

古典劇では、第2幕は第1幕のアイデアを、もっと広いテーマとして展開していきます。

ただ、私たちはときどき辛抱できなくなって、

理解したり、筋を追っていこうとするのをあきらめてしまうのですが。

第2幕では、あかあかと燃え上がったり、若くして死んだり、という華々しい展開はありません。

その代わりに、主人公はまだ若い間に何かもっと良い人間になれないか考える、という展開に

時間を取っていきます。
ちょうどスタートアップも同じで、これから先、ふたたびあなたの物語をより大きく展開させるために、

スローダウンが必要なのです。

ビジネスが安定期を迎えたとき、あなたはふたたび危険な橋を渡らなければなりません。

ほんとうにすばらしい演劇は、5幕で上演されます。

最良のフィナーレを迎えるためには、その前にあらゆることをしておかなければなりません。

 

著者:グレン・ケルマン (レッドフィンCEO)


元記事:http://linkd.in/1cZlveM

(翻訳:服部聡子)

 

理想的な投稿(ポスト)のためのチェックリスト

 

ソーシャルメディアを揺るがすほどの影響力を与えたくありませんか?

以下に挙げる10のチェックリストに従えば、あなたの投稿もまちがいなく効果をあげることでしょう。

 

1.シェアからシェアへと広げよう

    
あなたの投稿は、毎回「シェアテスト」に合格しなければなりません。

つまりその投稿は、あなたのフォロワーが、それぞれ自分のフォロワーと

シェアしたくなるほどすばらしい、ということです。

これは誠意のこもった「お世辞」です。

「いいね!」を押すのは、レストランでウェイターにチップを払うようなもの。

記事をシェアするのは、人にそこで食べてみて、と伝えることです。

 

2. NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)を見習おう

    
ナショナル・パブリック・ラジオが提供するコンテンツは、

情報、考えさせる番組、エンタテインメントなど、さまざまなものです。

NPRは1年に数回、番組を中断して、寄付の呼びかけをおこないます。

多くの人が、番組の中断を受け入れ、しかも寄付を行う人も多いのは、NPRが役に立っているからです。

NPR Headquarters Building Tour 33165

あなたが商業的な目的でソーシャルメディアを使いたいなら、

販促活動を行ってもいいほど、すばらしいコンテンツを投稿する必要があります。

 

3. 大胆であれ

    
もしソーシャルメディアでうまくやりたいのなら、ノイズを突破しなければなりません。

そのためには、あなたにとって重要な問題を取り上げる場合は、大胆であることです!

あなたの投稿を好ましく思わない人は、フォローを外すでしょう。

ブランドは、個人とはちがって、その代償を払わなくてはなりませんが、

それでも、セールスフォース・ドットコムや、アップルは、

たとえばゲイの権利などの問題について、大胆に立場を表明しています。

 

4. 手短に

    
これまで、短かすぎる投稿というのを見たことがありません。

たいていの投稿は長すぎます。

ツイッターには、はっきりとした140字という制限がありますが、

他のプラットフォームに投稿する際は、もう少し文章が長い方がいいでしょう。

けれども、5文を超える長さが書きたかったら、

ブログに記事を書いて、そこに誘導するために、ソーシャルメディアを使ってください。

あなたがほんの数秒間で、人の注意を引きたいなら、

イーハーモニーではなく、ティンダーを考えるように。

 

5. ソースにリンクする

     
ひとつの投稿を短くした方が良いのは、ソーシャルメディアは創造の場ではなく、

情報を収集し、つなぎ合わせるキュレーションの場だからです。

あなたはフィルターであり、

既存のすばらしいコンテンツを、もっと多くの人に見つけてもらうための案内人なのです。

制作者にお礼をし、もっと詳しく知りたい人をそこへ誘導するためにも、

リンクを張ることは、効果的であり、倫理的なことでもあります。

 

6. グラフィックを加える

     
読者を引きつけ、交流を増やすために、投稿ごとにグラフィックを入れてください。

そのような単純なことだけで、契約を倍にすることもできるのです。

私はキャンバのチーフ・エバンジェリストになるずいぶん前から、

ソーシャルメディアにグラフィックを載せるために、

キャンバのツールは、簡単で、シンプルで、費用が安く、

しかも法的にも問題のないものだと思っていました。

私たちは、もっと世の中の人に、キャンバで学んでほしいと思っています。

ですからlynda.com「キャンバと一緒に動きだそう」というコースを作りました。

 

Canva

7. 最適なサイズのグラフィックを使う

     
グラフィックの話が続きますが、かならずそれぞれのプラットフォームで

最適なサイズのものを使用するようにしてください。

完璧な世界なら、すべてのプラットフォームが同一サイズのグラフィックを

サポートしてくれるでしょうが、ここは完璧な世界ではありません。

それまでは、それぞれのガイドラインに従って、グラフィックを作成しなければなりません。

ツイッター(1024 x 512)、フェイスブック (940 x 788)、ピンタレスト (735 x 1100)、

グーグル+ (800 x 600)、インスタグラム (640 x 640)です。

(キャンバはそれぞれのサービスに合わせたテンプレートを提供しています)

 

8. 投稿はひんぱんに

     
ソーシャルメディアでもっともありふれた失敗は、回数が少なすぎることです。

私は、ツイッターのアカウントで、だいたい1日当たり75回、投稿をおこなっています。

フェイスブックとグーグル+のアカウントでは、それぞれ1日あたり5から10回の投稿を。

あなたの読者が全員、同じ時間に起きているというわけではありません。

仮にそうであっても、人によってコンテンツの消化の仕方はさまざまです。

私はツイートを3回、8時間ごとに繰りかえしています。

そのことで文句を言う人もいますが、ソーシャルメディアでは、

一部の人をいらだたせるのは、正しく使っている、という証拠なのです。

twitter - What are you doing

9. フェイスブックでネイティブ動画を使ってみよう

     
これはフェイスブックのヒントです。

私の経験では、ネイティブ動画をフェイスブックにアップロードすれば、

ユーチューブのビデオをフェイスブックに埋め込んだ場合より、3倍のビューを得ることができます。

もしあなたがフェイスブックを使っているのなら、ネイティブ動画と、グーグルやユーチューブのビデオを比較してみませんか?

これを実際にやるとなると、あなたの手間は2倍になりますが、

ソーシャルメディアは、そもそもが楽なものではありません。

 

10. 「匿名」で行こう

     
ほとんどのブラウザで、あなたが「匿名」でウェブサイトを訪問することができるようになっています。

つまり、クッキーを残さない、ということです。

ウェブサイトの側では、あなたを認識できないか、あなただと特定はできず、

あなたのアカウントで自動的にサイン・インすることはありません。

また、あなたの投稿が、ほかの人からはどのように見えているかを再確認することもできるので、

ソーシャルメディアでは、ぜひ実行したいことです。

完璧な投稿をどのように作ったら良いのか、実際にわかっている人はいません。

けれども、実験を繰りかえすことによって、完璧に近づけることはできるはずです。

タイミング、長さ、グラフィック、テーマ、さまざまな要素を変えて、試してみてください。

そうして、実験を通して、何が一番効果があったかを、私(guy@canva.com)まで知らせてください。

 

 

著者:ガイ・カワサキ


元記事:http://linkd.in/1BIzQCt

(翻訳:服部聡子)

共同創設者を見つける技術

 

世間では「孤高のイノベーター」というイメージが好まれていますが、

このイメージは正しくありません。

成功した会社の多くは、少なくともふたりの人間の貢献によってスタートを切り、

成功にいたったのです。

 

陰と陽、作り手と売り手、夢想家と現実主義者、なんと呼んでもかまいません。

事が成ってから、世間は一方の創設者だけを 「イノベーター」 と持ち上げるかもしれません。

けれども、新しいベンチャーを立ち上げるのは、チームの仕事なのです。

レコード・レーベルCDベイビーの共同創設者、デレク・シヴァーズは、

このように言っています。

 

最初のフォロワーとは、孤独な変わり者を、リーダーに変える人のことだ。

 

状況によっては、最初のフォロワーが最初の顧客であるケースもありますが、

多くの場合、最初のフォロワーとは、会社の2番目の従業員、

すなわち共同創設者のことなのです。

 

会社が成功をおさめ、楽しく大きくなっていくためには、

すばらしい共同創設者以上に重要な要因は、ないといってよいでしょう。

逆に、無能だったり、怠惰だったり、誠実さに欠ける共同創設者以上に、

会社をうまくいかず、悪化させ、情けない事態に陥らせる要因も、まずありません。

 

このコラムでは、どうやって共同創設者を選べばよいのか、

その方法を明らかにしていきましょう。

 

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 ■□ 共同創設者が分かちあわなければならないもの


 

会社を成功に導くために、共同創設者には、共通点と相違点がなければいけません。

まず、あなたと共同創設者が一致していなければならない点をあげていきましょう。

 

◆ ビジョン

ビジョンという言葉は、夢想家のおかげで濫用される傾向にありますが、

共同創設者というソウルメイトにおいては、

スタートアップと市場がどのように進化していくか、

お互いが同じような直観を共有していることを意味します。

 

たとえば、創設者のひとりは、コンピューターのことを、

今後も大きな組織のビジネスの道具であり続ける、と考えていて、

もうひとりが、これからは小さく、安価で、誰もが使うようになる、と考えていたなら、

ふたりのビジョンがマッチしているとはいえません。

 

◆ 求めるものの大きさ

誰もが帝国を築きたいと考えているわけではありません。

また、誰もがライフスタイル・ビジネスを望んでいるわけでもありません。

何かを求めることに 「正しい」 も 「間違っている」 もありません。

求めるものは、一致するか、一致しないか、しかないのです。

創設者が最初から、自分たちが何を求めているかわかっているわけではありませんが、

それでも、少なくとも大筋で合意できているならば、心強いものです。

 

◆ どこまで深く関与するか

創設者は、同じレベルで関与していなければなりません。

スタートアップか、家族か、バランスの取れた生活か、どれが最初に来るでしょうか?

創設者の優先順位が異なっていたら、スタートアップの成功は、むずかしくなります。

 

創設者のひとりが、2年間働いたあとは、

そのスタートアップをさっさと売り払おうと考えているのに、

他の創設者は何十年と持ちこたえる会社を作ろうとしている…

というのでは、問題はかならず生じます。

 

理想を言えば、創設者はともに最低でも10年間は、

そこにとどまることで合意しておいてほしいものです。

 

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 ■□ 共同創設者に必要な相違


 

逆に、スタートアップが直面する、多くの困難を思えば、望ましい「ちがい」もあります。

異なるスキルやものの見方が、必要不可欠になってくるからです。

ここであなたと共同創設者が異なっていた方がよい点を、あげていきます。

 

◆ 専門分野

スタートアップには、最低限、製品を作る人(スティーブ・ウォズニアック)と

それを売る人(スティーブ・ジョブズ)が必要です。

立派な組織を築くためには、創設者たちがお互いを補っていかなければなりません。

 

◆ 方向性

細部を詰めることを好む人もいれば(マイクロスコープ)、

細部を無視し、大きな問題に頭を悩ますことを好む人もいます(テレスコープ)。

成功するスタートアップには、両方のタイプが必要なのです(ジャイロスコープ)。

 

◆ 視点

視点が多彩であればあるほど、ものごとは楽しくなります。

若い人と老人、裕福な人と貧しい人、男性と女性、都会人と地方に住む人、

エンジニアと販売員、技術屋と感情的な人、ムスリムとクリスチャン、

ストレートとゲイ、アンドロイドとiOS、マッキントッシュとウィンドウズ、

というふうに。

 

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 ■□ 忘れてはならないこと


 

共同創設者を選ぶプロセスは、リスクに満ちたものです。

というのも、共同創設者と袂を分かつことにでもなれば、

つらく、時間のかかる筋道を経なければならないからです。

 

これは多くの面で、結婚相手を選ぶことと似ています。

離婚の危機を孕んでいる、という面でも。

以下にあげるのは、念頭に置いておいてほしいことです。

 

◆ 急がない

創設者は何十年も一緒に働くことになる相手です。

あなたも結婚相手を追加したりはしないでしょう?

もちろんあなたが離婚の常習者でなければ、の話ですが。

 

結婚と同様、一緒になるのは早すぎるよりは遅すぎる方が良いのです。

解消は、きわめてむずかしいことなので、時間をしっかりかけてください。

 

◆ 資金力を強化する目的で、創設者を増やさない

創設者を追加する理由、従業員ではなく、特に創設者を加える理由があるとすれば、

あなたのスタートアップを、よりしっかりしたものとし、成功の見込みを増やすためでしょう。

 

けれども、自問してみてください。

「もし資金が必要でなければ、ほんとうにこの人を雇うだろうか?」

もし答えがノーなら、その人を雇うのは愚かなことです。

 

◆ 最高を想定し、最悪に備えた計画を

いつの世も、創設チームは空中分解するものです。

あなたのスタートアップは例外かもしれませんが、その場合に備えて、

誰もが(あなたも含みます)自分の持ち株を、長期的に保有しておくようにしてください。

こうすれば、大量の資産を所有している人が、四年以内に離れていく事態を防ぎます。

これは起業家的な意味でいう、婚前契約に当たるものです。

 

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最後に、実践的な戦術をお教えしましょう。

私が「ショッピングセンター・テスト」と呼んでいるものです。

 

あなたがショッピングセンターにいると思ってください。

そこであなたは共同創設者となるはずの誰かと会うことになっているのですが、

その相手はいまだ現れません。

 

あなたには選択肢があります。

こちらに向かって来る人の中から、ひらめきを頼りに駈けよって、こんにちは、と声をかけるか。

それとも、別の店に行くか。

 

もしあなたが出会った誰かに対して、強い第一印象を受けたとしても、

その人を共同創設者にしてはいけません。

これは、あなたが人生で結ぶことになる、2番目に重大な絆なのです。

実際には、もっとも重要かもしれません。

ですから焦らず、誤らず、できればただ一度だけ、その決定を下してください。

 

 

 

著者:ガイ・カワサキ?

(翻訳:服部聡子)