200ドルで起業したライフ・イズ・グッド社

 インタビュアー:レイ・ブキャナン

 


会社:ライフ・イズ・グッド社

創設者:バート・ジェイコブズ、ジョン・ジェイコブズ

初期投資額:200ドル (約2万円)

使用先:無地Tシャツ、スクリーンプリンティング、路上販売許可

その後、中古バンとコンピューターに4,600ドル

2014 収益: 100万ドル以上  (約1億2000万円)


 

バート・ジェイコブズ:

ことを起こすのは簡単ではない、と最初に言っておきたいと思います。

 

もしかしたら、自分のビジネスに夢中になっている人の気持ちをくじくかもしれません。

現在の頭の切れる起業家なら、私たちが起業のために6年かけてしたことを、

ウェブサイトを使って半年ほどで準備してしまうでしょう。

もし今のような技術があれば、私たちだってそれを使っていたにちがいないのですから。

 

その代わり、ストリートバスケで知り合った従業員と一緒に、私たちは何年もかけて会社を作りました。

ストリートで、パトロール警官にじろじろ見られながら、顧客とジョークを言い合ったり、

東海岸のありとあらゆる小売店に出向いては、アドバイスをもらったりもしました。

 

もちろん、効率的な段取りというのとは、ほど遠いものです。

でも、私たちの会社の価値の多くは、 安いこと、対面であること、

という初期の時代の必要性から生まれたのです。

 

 

 人は頼めば聞いてくれる

 

ジェイコブズ・ギャラリーは、ライフ・イズ・グッド社の前身です。

 

弟のジョンと私は1989年に旗揚げしました。

当時、私は24歳、弟は21歳。 兄のアランから200ドルを借りました。

ジョンと私は、アートやデザインすることが大好きだったので、

Tシャツは、生計を立てるための最初の一歩としては、良い考えだと思えたのです。

 

始めたばかりの頃、学んだことのひとつは、愛想を良くして頼むことを怖れさえしなければ、

たいていの人は頼み事を聞いてくれる、ということでした。

 

地元のスクリーン印刷の会社は、無地のシャツにプリントする料金を、

500枚あたり5ドルのところ、 もし私たちが12枚あたり7ドルで支払うならば、

支払いを60日間延ばす、という約束に合意してくれました。

つまり、私たちの仕入れ先が、実質的に私たちに資金提供をしてくれたようなものです。

 

やがて、ジェイコブズ・ギャラリーがライフ・イズ・グッド社になり、

量販に踏み出したとき、 私たちは倉庫として使用するために、

可動式の貯蔵庫を月額30ドルで借りました。

 

スクリーン印刷会社の駐車場にその貯蔵庫を置き、

電気コードをビルの中から引っ張ってきて電気をつけ、

夜に仕事をしてもいいかどうか尋ねました。

印刷会社は、そのときも、いいよ、と言ってくれました。

 

 

 最初は街角での手売りから

 

最初のうち、私たちは直接販売をやっていました。

街角にテーブルを出して、準備をします。

1年間有効のマサチューセッツ州の路上販売許可を取るのに25ドル、

ボストンでの許可証に15ドルかかりました。

 

こうした許可証は、最高のロケーション(たとえばハーバード・スクウェアや

ファニエル・ホールのような場所)では認められていなかったのですが、

ともかく私たちはどこででも売りました。

 

私たちのうち片方が、警官に気をつけていて、その間にもうひとりがテーブルのTシャツを売るのです。

私たちは地元の昔ながらの店をやっている人たちと仲良くなっていたので、

その人たちから苦情は出ませんでした。

 

私たちは、ひとりずつ、お客と顔を合わせながら売っていきました。

できるだけ多くの人から、好きな色やデザイン、嫌いな色やデザインを聞いていき、

その返事をノートに書き留め、ノートはつぎつぎに溜まっていきました。

 

今なら、オンライン・ツールを使って、お金もほとんどかけずに、

もっと大勢の人の好みを調べることができます。

 

けれども、当時私たちがお客とおしゃべりしながら学んでいったことよりも、

はるかに幅広いデータを集めることができるのでしょうか?

 

私の中の一部は、イエス、と言います。

でも、ノー、と考えている自分もいます。

 

当時、私たちのブランドと、顧客の間には、まったく距離がありませんでした。

もし火曜日に売りに行って、10人の人が、このデザインがいいね、と言ってくれたとする。

そうすれば、私たちは水曜日にもっとプリントするでしょう。

 

いまではどこも旧式のこのやり方に、なんとかして近づけようとしているではありませんか。

 

 

 町から町へ

 

大学にまで販路を広げていくことを決めたときは、

大学案内を買って、私たちとよく似た体型の学生たちに、数多く会えるような場所を探しました。

私たちのバンは、ちょうど2,200ドル。

 

もうひとりの兄のエドがカー・ディーラーのライセンスを持っていたおかげで、

オークションで手に入れることができたのです。

 

寝るのと、在庫調べの場所を確保するために、 後部座席は取り除き、160ドルで売却しました。

こうした遠征は、調査をかねたものでもありました。

私たちは途中にある多くの店で停まり、

商品がどのように並べられているか、

何が今よく売れているのかを見て回りました。

 

これもまた、オンラインでの調査と比べれば、ひどく非効率なものです。

けれど町から町へと旅することで、こ

うした家族経営の店の店主たちが教えてくれた商品と商いの秘訣について、

ジョンと私は徹底的に話し合うことができたのです。

 

こうやって学んだことは、何よりも長続きするものです。

 

 ”Life Is Good.(人生はいいものだ)”

 

ジェイコブズ・ギャラリーはかろうじて収支が合う程度でした。

ですから1994年までは、ジョンも私も、仕事が終われば美術学校で

デザインを教える代理教員をやって収入を補っていたのです。

 

私たちの所持金はとうとう78ドルまでになっていました。

そのとき、ちょうどジョンが、私たちのマスコット、ジェイクを考え出したのです。

ジェイクは楽天性を体現しています。

そのとき、私たちは “Life Is Good.(人生はいいものだ)”

というスローガンを思いついたのです。

 

このシャツはストリートで大変よく売れたので、私たちは大量販売にトライしてみることに決めたのです。

これが、私たちにとってのテイク・オフとなりました。

 

私たちのアパートをオフィスに変え、ほとんどの家具を売って、 そのお金で中古の机とテーブルを買いました。

私たちの最初の従業員は、ケリー・グロス、上の階の住人で、今ではパートナーです。

 

1本の電話回線で間に合わせるために、私たちは天井に穴を開けて、

ふたつの部屋に電話線を渡しました。

 

私たちの最初の大きな買い物は、マッキントッシュ・コンピューターです。

1995年当時、2,400ドル前後でした。 ケリーが経営のために必要だと言ったのです。

 

さらに、ジョンと私に、デザインに使うことができることも教えてくれました。

私たちは、冗談じゃない、と言ったものです。

コンピューターを使うアーティストなんて、ニセモノだよ、と。

 

とはいえ、私たちはなんとか使い方を覚え、決して後戻りはしませんでした。

もし今、ビジネスを始めるなら、私たちは絶対に、良いデザイン・ソフトウェアに投資するでしょうね。

 

? Photo:Where There is Music There is Love By:Peter E. Lee

 

もうひとつ、今、起業するなら。 2,000-3,000ドルを使って、

楽観主義の力を描き出す、魅力的な実話を見つけて、 ビデオを作りたいと思います。

 

そうしてその物語をシェアするために、みんなを招待するんです。

テクノロジーは、私たちが人と出会うことを助けてもくれます。

 

でも、それは、人が元気になるチャンスを与えるようなものとして 使わなくてはならないと思っています。

 

 

 


元記事:http://bit.ly/1FVbxIr

(翻訳:服部聡子)

新時代の消費行動に後れを取る学術研究

by ルイス・リー

 

デジタル・マーケット時代の購買意志決定プロセスはどのようなものか

 

マーケターは、消費者が購買を決めるまで、どのようなプロセスをたどるか

豊富な知識を持っています。

けれども学術研究の側は、インターネットやモバイル機器が

買い物という行為をどのように変貌させていったかについては、

すっかり遅れを取ってしまっています。

消費者がどのように製品を選ぶかについて、研究者の知識には、

大きな穴が空いたままになっているのです。

 

消費者行動とマーケティングについて、今日の教科書は

もはや時代遅れになってしまっています。

 

そう語るのは、スタンフォード大学経営大学院のマーケティング学部

イタマー・サイモンソン教授です。

消費者の購買決定プロセスの研究には、新しい指針が必要であることを、

同教授は指摘しています。

 

ネット上のレビューは、従来の情報ソースより役に立っているのか?

ブランド・ネームは、品質を保証する面で、重要ではなくなってきているのか?

こうした問いは、サイモンソンが『マーケティング・ビヘイビアー・ジャーナル』最新刊に発表した論文で、

さらに掘り下げながら、考察を進めているものです。

 

予想通りに不合理数年前、行動決定理論や、

判断や意志決定を調査する研究者たちは、

人が時として不合理なふるまいをすることを、実証的に明らかにし、

大きな成果を達成したと考えていました。

 

 

「今日では、合理性の基本原理と

相容れない証拠があまりに多くあがっています」

とサイモンソンは語ります。

「このことは、実にさまざまな方法で、おもしろおかしく主張されてきました。

本も、学術分野にとどまらない、幅広い人々の手によって、書かれるようになっています」

 

同時に、最近の研究では、人が既に知っている情報を、実際の消費行動に

どのように適用しながら意志決定をおこなっているかについての研究も、進んでいます。

たとえば、人がデフォルト・オプションを優先する傾向を用いて、

健康に良いものを選ぶようにする方法、というものなどです。

 

けれども意志決定が、新しいインターネット環境によってどのように変化したかについては、

これまでのところほとんどなされていない、とサイモンソンは語っています。

 

Photo:Online Shopping By:InspirationDC

 

今日では、かつてよりはるかに多くの情報に、すばやく、しかも簡単に

アクセスできるようになりました。

これは、人々の意志決定が、根本的に変わったことを意味します。

そこには、様々な種類の新しい研究課題や、理論の可能性があります。

 

膨大な量の情報に囲まれた ―― 圧倒されたとさえいえる ―― 消費者がどのように考え、

意志決定をおこなうのか、

マーケティング・エグゼクティブもブランドマネージャーや販売者も、

もっと多くの情報を渇望しています。

 

ブランドについて考えてみましょう。

ブランドのおもなはたらきのひとつは、品質の保証です。

 

けれども、製品の品質について、もっと確かな情報にアクセスできるなら、

おそらくブランドネームや、価格、どこで作られたか、などという不明瞭な保証より、

消費者はそちらを信頼することでしょう。

 

さらにオンラインレビューや、品質に関するその他の情報をふまえた消費者が、

ブランドネームを考慮するかどうかについても、研究の対象となるでしょう。

 

さらに考察されるであろう領域として、

革新的な製品を、見たり試したりするのが簡単になっている時代に、

製品を選択する上で、ブランドネームや価格などの旧式な要因が、

どこまで影響力を持つかということもあります。

 

今日の消費者は、ユーチューブで製品のデモンストレーションを視聴できるし、

ソーシャルメディアでコメントを読むこともできる、

PDFをダウンロードして、製品の仕様書やマニュアルも見ることができます。

 

私たちは製品について、通知される前に、詳細に知っているのです。

 

動画投稿サイトなどのオンライン情報が、消費者の新製品の受容に、

どれほどの影響を及ぼしているか、今後、研究されていくでしょう。

 

Photo:Medwinds event By:The Style PA

これまで研究者は一般の人々に向けて、人間は時として不合理である、と説いてきました。

ところが皮肉なことに、新しい情報ソースが示すのは、

人間が不合理なものに影響されにくいことであると、サイモンソンは指摘します。

 

たとえば、今日ではマーケターが消費者に、製品Aを買わせようと、製品Bを見せて、

BがAにくらべてどれほど劣っているか示すような誘導が、むずかしくなっています。

 

今日の消費者は、製品CやD、Eまでも簡単にチェックすることができるので、

Aがほんとうに望ましいものなのか、単にBほどひどくはないというだけのことなのか、

すぐにわかってしまうからです。

 

消費者が、サーバースペースにある膨大な量の情報の中から、

どのように情報を引き出し、どのように選択する方法を決定しているかは、

マーケターにもいまだほとんどわかっていない領域です。

 

消費者が選択するのは、どのような要因が影響を及ぼした、どのような情報なのか?

そうして消費者はそれをどのように整理し、分類しているのか?

こうした問いが、決定的に重要になってきます。

 

というのも、消費者が何を調べようと選び、どのように閲覧するかが、

実際に何を買うかを決定する主な要因となってきているからです。

たとえば、オンラインレビューはいたるところにありますが、

意志決定に関しては、レビューを読むことが、他の要因、

たとえばブランドネームや価格などの影響力を弱めることにつながっているか

など、さらに突っこんだ研究が必要になっています。

 

消費者が無視するのはどのようなレビューか、

相反するレビューが、購入パターンにどのような影響を及ぼしているかなど、

いまだほとんどわかっていません。

伝統的に、買い物客が目を通す一連の商品、いわゆる「考慮集合」は、

かつては予測しやすく、2、3 の有名なブランド、

もしくはそれより安価なモデルに限られていた、とサイモンソンは言います。

 

けれども、今日の消費者は、購買決定をしようとする際に、

よく知っているものも、検索結果に表示されて知ったなじみのないものも、考慮に入れています。

明らかに「考慮集合」の枠が、拡大しているのです。

サイモンソンによると、こうした問いは

「消費者行動の中心に関わるものであり、

広く意志決定やマーケティングの研究にとっても重要なものである」ということです。

 

関連記事:本『絶対的価値』

ガイ・カワサキの「情報の高速化はマーケティングをどう変える?」

 

スタンフォード・ビジネス・インサイト


元記事: http://stanford.io/1BwbhaN

(翻訳:服部聡子)

 

ビジュアルシンキング 10と1/2の戒律

by ダン・ローム

 

ビジネスにおける問題解決の未来は、ビジュアルシンキングにあります。

 

ビジュアルシンキングとは、 私たちが生まれながらにして持っている、

目と心の眼を通してものを見るという能力を活用して、

表面には現れてこないアイデアに光を当てるものです。

 

? さらに、そのアイデアを直観的に引き出し、ほかの人にも

簡単に理解してもらえるような方法でシェアするものなのです。

 

誰もが知っているように、 実はビジュアルシンキングは少しも「新しい」ものではありません。

人間が大昔、進化の過程で言葉を介したコミュニケーションを おこなうようになる以前から、

問題解決のために使っていた道具です。

 

さらに、私たちが読み書きできるようになる前、 幼稚園児のころから培われてきた、

自分の考えをたどり、説明する能力です。

 

グローバル化した流通ネットワークと、新興市場の登場によって 世界はフラット化し、

情報過剰が通常の状態となり、 コミュニケーションチャンネルは増殖を重ねる・・・。

 

そんな中にあっては、問題解決は複雑さを増していくばかり。

 

言葉を換えれば、かつてないほどに多くのデータが、 さまざまな形と言語で存在し、

ビジネスパーソンが正しく決定し、 自分の考えを伝えなければならない必要性は

これまでにないほど高まっているといえます。

 

ビジネスパーソンとして、ふたたび視覚的な技能に親しむこと、

すなわち、 複雑な情報を見て、現れてくる重要なパターンを見抜き、

新しい可能性を描き出し、 そうした発見を他者に見せる能力を養っていくことは、

もっとも価値あるスキルとなりつつあります。

 

WHAT TO DO WHEN WORDS DON’T WORK

 

 ”BLAH BLAH BLAH:

 WHAT TO DO WHEN WORDS DON’T WORK”

(『言葉が役に立たないときはどうしたらいいか』)

 

の中で私は、

ビジネスパーソンが自分の目を使って考えることで、

 どのように複雑な問題を解決したか

という例をいくつもあげていきました。

 

 

もっと大切なのは、この中で紹介した4つの基本的なビジュアルシンキングのツールです。

これを使えばいつでも誰でもどんな問題にでも対処できるのです。

 

私は本をできるだけ「ハウツー」に絞りたかったので、

一番好きな章を削除することに決めました。

 

その章を、あらためて 『ビジュアルシンキング 10と1/2の戒律』とタイトルをつけて公開できることを、

私はうれしく思っています。

 

みなさんにとって役に立つもの、 そうして目覚めをうながすものであってほしいと願っています。

 

 

1. 図にすればどんな問題も解くことができる

 

 

 

戦略上の問題、財政上の問題、営業上、個人的、感情的な問題…。

直面する問題の性質がどんなものであろうと、

私たちがそれをイメージし、図に描けさえすれば、 問題はたいしたものとはなりません。

 

図にしてみれば、それまで気がつかずにいた側面や、 解決できるかもしれない方策が浮かび上がってきます。

 

図解は、どんなときでもやってみる価値があります。

たとえ情況が最悪で、はっきりとした解決策が見えてくることはないようなときでも、

自分たちを取り巻く情はが、それまでよりもずっと鮮明になっていることでしょう。

 

2. 誰もが「図なんて描けないよ、でも…」と言いながら始めている

 

 

図なんて描けないよ、と思うのは、あなた一人ではありません。

今日では、自分に図が描けると考えている集団は、

唯一、幼稚園に存在するだけです。

 

ちょっと待って…。でも、あなたもかつては幼稚園児ではありませんでしたか?

実は、私たちはみな、 生まれながらにしてすぐれたビジュアルシンキングの資質を備えているのです。

 

つまずいたりしないで部屋に入ってこれるくらいの視力があるなら、

図解しながら問題を解決していくには十分の視覚的センスはあります。

 

 

3. テーブルリネンには描かない(笑)

 

「ナプキンに描く」ことの本質は、 いつ思っていることを視覚的に明らかにしたくなるか、

決して予想がつかない、という点にあります。

ペーパーナプキンならどんな問題でも描きつけることができます。

だからこそ、カフェやバーは、人とアイデアを共有できるすばらしい場所なのです。

 

けれども、リネンのナプキンが出てくるしかるべき場所にいるのなら、

JKM(J=自分の、K=紙を、M=持ってくる)が必要となるでしょう。

 

ベストな教訓:メモ帳とペンをいつも持っておく。

(*ヒント:立派なレストランならウェイターはいつも喜んでペンを貸してくれるでしょう。

ちゃんと返すことをお忘れなく)

 

4. 最初にマルを描いて名前をつける

 

最初のひと筆が何よりむずかしい…なんてことは、夢にも思わないで。

紙の真ん中にマルを描いて、心に浮かんだ最初のものの名を書けばいいのです。

「自分」「あなた」「彼ら」

「今日」「昨日」「明日」

「利益」「損失」「自社製品」

「我が社」「競争相手」

「地球」「天気」……

何でもかまいません。

 

この段階では何から始めようがたいしたことではありません。

大切なのはあなたが始める、ということです。

 

 

5.「基本6タイプ」から最適なものを選ぶ

 

ひとたび最初のマルを描いたなら、 あとはもうそのマルが、私たちが解決すべき問題を

もっともよくサポートしてくれる「基本6タイプ」のどれに当てはまるのか、

選んでいくだけでいいのです。

 

A. 問題が「誰が」もしくは「何が」ということに関するときのイラスト

B. 問題が「どれほどの」ということに関するときのグラフ

C. 問題が「どこの」ということに関するときの地図

D. 問題が「いつの」ということに関するときのタイムライン

E. 問題が「どうするか」ということに関するときのフローチャート

F. 問題が「なぜ」ということに関するときの多変数(※注)グラフ

 

これらの6つのタイプは、どんな問題も解決できる図の基本的な枠組みです。

 

(※訳注) 多変数グラフとは、ダン・ロームの編み出した パワーポイント用のグラフである。

縦軸に平均寿命、横軸に一人当たりの収入、 グラフに示される折れ線の代わりに丸いバブルが人口を表し、

アニメーションによって時間の推移が示される。

 

6. あらゆるものを擬人化する

 

人間は人間に反応します

 

ラフスケッチであっても、棒人間に顔がついたようなものでも、

あっという間に注意や理解や反応を引き出すことができます。

 

因果関係と量を示すものであろうが、 あるポイントを強調するためものであろうが、

単にどのくらいの規模かを示すためだけであっても、 人を描くことによって人を引きつけるのです

(同様に、手描きのスケッチがセールスと コミュニケーションの面できわめて強い力を発揮するのも、

目の前の棒人間が、完璧とは程遠いからです。

「完成途上」に見えるからこそ、見る側に、参加して手伝ってください、

と呼びかけられているような気持ちを起こさせるのです)。

 

7. 脳のあらゆるトリガーを活用する(別名「認知以前」の属性を利用する)

 

7

▲どちらが上か(左)、この上を歩いてはいけないのがどこか(中央)、どちらが食べられる生き物か(右)

人間は瞬間的に認知できる

 

人間の精神は、たとえ「見た」と意識されていなくても、

目に入るさまざまなシグナルを 即座に処理するための進化を重ねてきました。

だからこそ「認知以前」という言葉があるのです。

 

人間はものごとについて、考え始めるよりずっと前に、

大きさ、形、向き、位置、形状の意味を認識し、判断し、

さらにそれらの特色を結びつけたり、ちがいを識別したりしています。

 

私たちは、ものごとの基本的な性質を処理する 「高レベル」認知サイクルをまったくムダにしていません。

ですから、情報が多ければ多いほど、私たちの 「もっと深い意味を知りたい」という意識が

いきいきと動き出すのです。

 

8. しゃべりながら描き、消すときはもっと大きな声で消す

 

 

昔の人は 「一枚の絵は千語に匹敵する(百聞は一見にしかず)」と 言いましたが、

それを言った誰かのおかげで、 私たちの絵に対する理解はすっかりねじ曲げられてしまっています。

 

良い絵のポイントは、言葉を排除するところにあるのではなく、

私たちがおびただしい言葉で言いあらわそうとすることがらを、

たった一枚の絵で置き換えることができるということなのです

(組み合わせや位置、比率、性質や量を言葉で説明するよりも、

図にすれば、意味するところをはるかに短時間で示すことができます)。

 

ですから、図を描くときはかならず説明を心がけてください。

たとえ自分の頭を整理するためであっても。

 

この箇所は何を意味しているのか、どうして自分はこれらを描いているのか、

どこに自分はいるのか、などなど。

 

たとえそれが意識の流れに浮かぶ泡でも、 図の中に現れ、位置づけられれば、そこで意味を成します。

何かがおかしいと思ったら、それも言葉にしながら消してしまうのです。

創造することと語ることを同時に進めていくことで、魔法が生まれるのです。

 

 

9. 別世界にあるものを描かず、いま、ここにあるものを描く

(別名 空はわざわざ「青くない」と言わない限りは青いもの)

 

私たちの誰もが、ものごとの「本当の姿」について 独自の考えをもっていますが、

誰もほんとうのことは知りません。

問題解決のために図解することの本質は、偉大な芸術に寄与することではありません。

 

私たちは「向こう側の世界」(真の世界)ではものごとがどう見えるかを、

明らかにしようとしているのではなく、

「いまここ」でものごとがどう見えているのか

(私たちがそれを自分の頭の中でどう見ているか)を描き出すのです。

 

人間の脳は、問題解決のためのすばらしい装置です。

たいていのとき、私たちはすでに問題の解決法を知っています

 

多くの場合、以前どこかで経験したからなのですが、 それが何かを理解する前に、

どこかにしまいこんでしまったのです。

自分の問題が、目の前で図となって展開されるうち、 解決がページの外に飛び出すこともよくあることです。

 

その図がどんなふうに見えるか気にするのはやめて、 図が示すものに意識を集中させてください。

 

 

10. 結論を描いて引き出す

 

図を描くという単純な行為は、 視覚を用いた問題解決の中で、最も重要な部分です。

描き出すことによって、私たちはものごとをじっくりと見るようになり、

全体を眺めるようになり、想像できるようになり、

ペンを取る前はどこかに潜んでいたアイデアを、 明らかにできるようになります。

 

つまり、何か新しいものが出現しようとしているところに、 私たちの図を連れて行くことは、

十分に価値あることなのです。

 

もうおしまいだ、と思ったら、 もう一度、 タイトルを、結論を、考えを、

コメントを書くために ペンを取り上げてください。

あなたのビジュアルシンキング・マッスルを 最後の一滴まで絞り出せば、

かならずや「ユウレカ!(わかった)」の声が出て来ることでしょう。

 

 

10.5 ウソはつかない(自分に、相手に、何よりも自分の絵に)

 

絵というのは強力なものです。

というのも、イメージを処理する脳の活動は、

言葉だけのときよりはるかに脳の奥深くに関わっていくので、

私たちは自分の見たものを信じる傾向があるからです。

 

しかも目で見た映像は、耳で聞くだけより、はるかに脳内に定着します。

どんな問題も図で描くことで解決ができる反面、

まちがった図は、事態をいっそう悪くもします。

 

ですから、図を描き終わったら、 最初に戻ってもういちど見直してみてください。

自分が誤解したまま描いたせいで、

図解の持つ素晴らしい働きを引き出していないのではないか、

と確かめるためだけでも。

 

 

著者:ダン・ローム (著述家、Napkin Academy主催)


元記事:http://www.theartof.com/articles/the-ten-and-a-half-commandments-of-visual-thinking

(翻訳:服部聡子)

本:『人格形成への道』

The Road to Character

 David Brooks

原題:『人格形成への道』

著者 デイヴィッド・ブルックス

 

この本を書いて、自分が人格形成への道をたどることができたかどうかはわかりません。

けれども、少なくとも、その道がどんなものかはわかったような気がするし、

ほかの人がどのようにたどっていったかもわかったのだと思います。

デイヴィッド・ブルックス

 

何百万の読者を有するニューヨークタイムズで、

知性やユーモア、好奇心、鋭い知見にあふれるコラムを通じて、

デイヴィッド・ブルックスは、日常生活に

思いがけない角度から光を当ててきました。

 

人生の科学また、ベストセラー

『人生の科学: 「無意識」があなたの一生を決める』では、

人間がどのように結びつき、

その関係を豊かにしていくかを、

神経科学の見地から探求しています。

 

 

 

 

 

今回の『人格形成への道(原題)』で、ブルックスが焦点を当てるのは、

私たちの人生を形成する、より深い価値についてです。

 

ブルックスは、現在の私たちを取り巻く状況を

外的な成功を強調する 「大文字の私(Big Me)」 文化と呼びます。

その文化に対抗して、私たちは(著者みずからも含めて)

「履歴書に書ける美点」、すなわち財産や名声や社会的地位といったものと、

「褒め言葉としての美点」、人間としての私たちの中核に存在する、

優しさや、勇気や、誠実さといった、人間関係を形成する上で重要なものとの間で、

もう一度、バランスを取り戻そう、というのです。

 

ブルックスは、世界中の偉大な思想家や指導者に目を向けて、

彼らがどのように葛藤や、自分の限界を知りながら、

強い自我を形成していったかを探求していきます。

 

アメリカ初の女性労働長官となったフランシス・パーキンスは、

自分の一部を抑える必要を理解し、大きな組織の一部となることができました。

 

ドワイト・アイゼンハワーは、自分の人生を、自己表現の場としてではなく、

自制の場と考えて創りあげていきました。

 

ラディカルな共産主義者からカトリックに改宗し、カトリック労働者運動を創設した

ドロシー・デイは、若い女性として、簡素であること、身を委ねることの意味を悟りました。

 

市民権運動の先駆者であるA.フィリップ・ランドルフとバヤード・ラスティンは、

寡黙であること、自己を律する論理を学び、

偉大な改革運動をおこなっているさなかでも、自分を疑うことの必要を理解したのです。

 

心理学や政治学、精神性や告白をも織り込みながら、

『人格形成への道』は、私たちが自分の中での優先順位を見直し、

人間性と道徳的な深みを持つ、豊かな内面を築く機会を与えてくれます。

 

 


元記事:http://amzn.to/1K0WM4r

(翻訳:服部聡子)

本:『イーロン・マスク:テスラ、スペースX、すばらしい未来の探求』

 

Elon Musk: Tesla, SpaceX, and the Quest for a Fantastic Future

原題『イーロン・マスク:テスラ、スペースX、すばらしい未来の探求』

著者:アシュリー・バンス

 

奇抜な発想、倦むことを知らない行動力の起業家の素顔とは

 

シリコン・バレーでもとびきり大胆不敵な起業家として知られるイーロン・マスク。

その驚異の半生に、かつてないほど深く切りこんだのが、ベテラン・ジャーナリスト、

アシュリー・バンスです。
著者であるバンスは、マスク本人や家族、友人たちと一対一のインタビューを重ねながら、

南アフリカでの生い立ちから、

グローバルビジネスの世界の頂点に立った今日までの起業家の足跡を、

一歩ずつ、ていねいにたどっていきます。

なかでもマスクとのインタビューは、のべ30時間を超え、

さらに300人を超える関係者との面談を通して、

マスクが築いた世界を変革するための企業、ペイパル、テスラ・モーターズ、

スペースX、ソーラーシティの波瀾万丈の物語と、

大勢を敵に回しながら、アメリカ産業を刷新し、

イノベーションを新たな段階に向けて刺激し続ける人物の素顔を浮き彫りにしていきます。

 

電気自動車、太陽エネルギー、宇宙開発…

バンスはマスクの物語を探求するために、この時代、避けては通れない問いを投げかけます。

「20世紀、世界をリードしてきたインベンターとクリエイターの国は、

地球規模で熾烈な競争が起こっている今世紀、勝ち続けることができるのだろうか?」
著者は、ひときわ非凡で驚異的な人物であるマスクの中には、

アメリカ産業界を形づくった、数々のインベンターや実業家、

具体的にはトーマス・エジソンやヘンリー・フォード、ハワード・ヒューズ、

さらにはスティーブ・ジョブズが混じり合っている、と主張します。
豊かな未来、黄金時代のSFが夢見たような未来に向けて、

おそらくマスクは、今日のいかなる起業家よりも、

みずからのエネルギーと、巨額な資産を捧げているのだ、と。

 

 


元記事:http://amzn.to/1Hgx243

(翻訳:服部聡子)

小企業が顧客を魅了する方法

by ガイ・カワサキ
元記事:http://bit.ly/1LPVjO1
(※著者の承諾を得て翻訳しています)
 
私は小企業と取引することが大好きです。
小売店であろうと、ネット上であろうと、自分自身の買い物、ほかの人のため、あるいは趣味や娯楽、仕事上の取引であろうと、そんなことは関係ありません。
何とか世界を変えてやろうとがんばっているスタートアップが生み出した、商品やサービスを見つけることが、私は大好きなのです。
そうして、そんな小企業のオーナーを手助けしたいと心から願っています。
だってその人たちは、社用のジェット機で飛びまわったり、投資銀行家とランチしたりしませんからね。
 
ですからここで、小企業が顧客を魅了するための10の方法をお話したいと思います。

「魅了する」とは?

私は「魅了する」という言葉を商品やサービスや組織やアイデアで、人を喜ばせる作用 と定義しています。
顧客に愛されることで、双方とって利益となるような、 自発的で長続きのする支持が得られるのです。
あなたの営む小さな企業がもっと愛されるようになったらいいと思いませんか?

1.  現場には、感じが良く、有能で、熱意のある人を配置する

私はいつも笑顔で、自分が話していることの内容をしっかりと把握していて、自分が売ろうとしているものが大好きなスタッフとやりとりするのが好きです。
 
ところが少なからぬ企業が、もっとも給料の安く、経験の浅いスタッフを、カウンターやフロントデスクに配置して、最善の結果を期待しています。
これでは意味がありません。
 
一度、自問してみてください。 「うちの会社の第一印象は良いだろうか?」と。
もし、良くないなら、誰よりもふさわしくない人を最前線に置いているのかもしれません。

2.  信頼していることを示す

自分を信頼してくれないような人を、信頼することはできません。
スタート時は小さかったのに、のちに巨大になった企業を見てみましょう。
オンラインで靴の小売りを始めたザッポスは、 送料ばかりでなく返送料も無料にすることで、私に対する信頼を示してくれています。
デパートのノードストロームは、もし私が商品に欠陥があったと言えば、言葉をそのまま信じてくれます。
アマゾンは、7日間以内ならキンドルの電子書籍を返品できます。
7日間もあれば、たいていの本なら読んでしまえるというのに、です。
 
もしあなたが私を信頼してくれるなら、私もあなたを信頼します。
そうして、そこから関係が始まっていくのです。

3. 加入するときの障害を取り除く

初めての人にも、製品やサービスが簡単に利用できるようにしてあげてください。
アカウントを新しく作るときに、10の領域にもわたる 個人情報を記入させたりしないで。
キャプチャ・システム(※登録時にゆがんだ文字を読み取らせる画像認証)の際に、サンスクリット語の知識など求めないでください。
相談には事前予約など求めないでください。
その代わりに、いつでも、誰でもが、あなたの企業と取引にすんなりと入っていけるように、間口をスムーズにしておいてください。

4.  支払いは簡単に

ひとたび商品やサービスを購入すると決めたら、 注意書きや「目」のマークなどを使って、簡単に支払いできるようにしてください。
そのためには、何種類かの支払い方法や使いやすいショッピングカート、手ごろ感のある送料・手数料を導入することが大切です。
 
ガラクタを売りつけてお金を巻き上げようとする企業よりタチの悪いものがあるとしたら、
それは、立派な商品があるにもかかわらず、支払うのがとんでもなく厄介な企業でしょう。

5.  ひとつの領域を深く掘り下げる

香港にあるスタンリー・マーケットには、数多くの店があり、その多くがTシャツやみやげもの、おもちゃ、カバン、電子機器、カメラなどを売っています。
1ドルのもうけが出るなら、なんだって売ってやろう、という種類の店です。
ここで私が買い物をする店はたったひとつ。
タムズ・アート・ギャラリーです。
というのも、この店は、石作りの印章だけを売っているからです。
タムの店で扱うものはたったひとつ。
ですから、この店が、自分が扱っている商品を深く理解していることが、すぐにわかります。
 
私からのアドバイスは、ひとつのものに焦点をしぼりなさい、ということです。
Tシャツだけを扱っている「スレッドレス」や、 おもちゃだけを扱っている「チーキーモンキー」、カバンの「エドワーズ・ラゲッジ」、 エレクトロニクスの「フライズ」、カメラの「キーブル・アンド・シュチャット」、 ヨーグルトの「ミヨ・ヨーグルト」のように。

6.  DICEEを売る

DICEEとは、すばらしい製品やサービスの持つ、
Deep(深い)
Intelligent(知的な)
Complete(完全な)
Empowering(力を与える)
Elegant(エレガントな)
という5つのクオリティの頭文字を表しています。
 
DICEEの製品、サービスとは、 フル機能が搭載されたものであり(深い)、
顧客にとって「必要なのは何か」を理解したものであり(知的な)、
サポートがしっかりしたものであり(完全な)、
それを使えばよりよいことができるものであり(力を与える)、
使いやすいものである(エレガント)ことを指しています。
自分が提供しているものが、DICEEにかなっているかどうか、自問してみてください。

7.  実際に試してもらう

顧客は賢明な人であると想定してください。
脅して無理やり買わそうとするのではなく、買うかどうかの決定を、相手に委ねるのです。
 
そのために、製品やサービスを実際に試してもらいます。
それが車の試乗であれ、デザートの試食であれ、カメラの試し撮りであれ、機械工具であれ、 実際に試してもらうことには、効果があります。
 
でも、試してもらうことができたとしても、戦いはまだ半分。
試したからには買ってもらわなければ、とでも言おうものなら、 顧客はたちまち去っていきます。

8.  特色を伝えよう

「1ギガバイトの容量」とはどういうことか、 本当に理解している人がどれくらいいるでしょうか?
製品やサービスにはどれほどの性能があるか、 どれほどのことができるかを伝えるためには、特色を打ち出すことです。
 
たとえば、あるデバイスに、何曲保存できるかといえば、記憶容量が何ギガバイトある、と説明するよりも、相手にはっきりと伝わります。
私なら、この料理を食べればどれほど体重が増えるか教えてくれるレストランに足繁く通いたいと思います。
というのも、この店は、私の健康に気を配ってくれている、という突出した点を感じることができるからなのです。

9.  悪い知らせは早く

緊急事態は起こるものです。
商品には問題が出ますし、 配達は遅れます。
スタッフが病気になることもあります。
 
多くの企業は、悪いニュースから生じる影響を、可能な限り抑えようとします。
けれども、回避できない事態が起こったら、顧客の耳に入る前に、こちらから率先して知らせましょう。
自分たちが問題の存在を把握していることを知らせるだけでなく、かならず解決すると告げることで、問題の主導権を自分たちが握っていることを示すのです。

10.  影響力を持っている人に考慮する

お金を払う人と、これを買おうと決める人が異なっている場合があります。
多くの企業は、それが同じ人であることを前提にしていますが、実際にはかならずしもそうではありません。
 
購入に重要な影響を及ぼすのは、配偶者であったり、兄弟や同僚であったり、親や祖父母、子供のこともあります。
昨今では、だれがその家庭の本当のトップなのかはそれほど明白ではないので、影響力のあるさまざまな人にアピールするものであることが大切なのです。
ついでながら、わが家ではそれが娘に当たります。

「yes」の持つ力

私をとりこにするたったひとつの、けれども力強い言葉は、
コンピュータのデフォルトの「Yes」という言葉です。
 
というのも、この言葉は上記の10の点をすべて含んでいるからです。
この「Yes」は、顧客が間違っていて、不合理なことをしていることが証明されない限り、顧客が正しく、合理的であると信じてくれていることを示しています。
特別注文? Yes!
早期出荷? Yes!
返品は全額クレジットカードに払い戻し?  Yes!!と。
 
もし誰にでもそんなことをしていたら、倒産してしまうよ、 と数学は教えてくれるかもしれません。
けれども全員がそのような扱いを求めてくるわけではありません。
実際のところ、ほんの少数の、例外的な人々です。
けれども、ひとたびそのような扱いをしてもらえれば、人々はあなたがしてくれたことを多くの人に伝え、広めるエバンジェリストとなってくれるでしょう。
 
だとしたら、それは価値ある例外といえます。
あなたが魅了されたのは、どんな小企業ですか?

 

元記事:http://bit.ly/1LPVjO1


(翻訳:服部聡子)

モチベーションを上げるための4つのステップ

by J.T.オドネル

 

良くも悪くも私はタイプA(※強い目的意識を持ち、野心的で神経質な行動パターン)の

長女として生まれました。

目標を達成することにいつも焦点を置いています。

ナイキの広告にあるように、「Just do it」と言い聞かせながら、自分を鍛えてきました。

ところが最近、モチベーションがあまり上がらなくなってしまったのです。

 

いくつかあった個人的な目標や仕事上の目標に、自分がさほど引きつけられなくなってしまいました。

それは恐ろしい感覚でした。

自身喪失の危機に瀕したのです。

頭の内部ではネガティブなささやき声が聞こえてきて、ついには

「なぜいつも実践しているモチベーションを上げるためのテクニックが

うまくいかなくなってしまったのだろう?」と頭を抱えてしまいました。

 

Just do it

モチベーションを上げられないのは無意識の無力感のせい?

 

私は基本に立ち返り、動機づけについて学び直すことにしました。

そして自分が自分自身のモチベーションを高められなくなっていたのは、

無意識の無力感に原因があったのだとわかったのです。

 

さらにモチベーションとは、

毎日高めていくことのできるスキルだということも知りました。

 

トレーニング方法の中に、筋肉混乱法というのがあります。

これは同じトレーニングを繰りかえすのではなく、

さまざまな方法を取り入れて、筋肉を文字通り混乱させることによって、

筋肉を効果的に鍛えて行く方法です。

 

それと同様に、さらなる目標達成を望むならば、

自分のモチベーションを上げるテクニックは

カクテルシェーカーで上手く調合しなければなりません。

こうして私は自分のモチベーション改革に真剣に取り組み始めました。

 

Hemmingway Daiquiri

自分専用のモチベーションカクテルをつくる

 

成功のカクテルレシピを作るのに6か月間真剣に考える必要がありました。

良くできたレシピに共通することですが、大事なものは材料です。

情報、手段、リソースなどがここでの材料です。

質や調合も鍵となる要素です。

モチベーションの特別ミックスを作り、いつもその状態になれるようにしました。

 

なぜだかわかりますか?

大きな目標を達成するには、日頃のモチベーションこそが求められるのです。

恐怖や不信感、自戒の念は常にあなたに降りかかってきます。(大抵は夜です!)

これらの要素に立ち向かうには、

あなたの「モチベーションカクテル」にいつでもアクセスできるようにする必要があるのです。

 

まるで、エナジードリンクのように、

ネガティブ思考という疲労状態にあるあなたを力づけてくれます。

ここに私が過去に自分のモチベーションが下がったときに活用していた、

元の自分に戻るための、4つの段階的なプロセスをお伝えします。

 

ステップ1: 新しいリソースを見つける

 

私は、自分とはモチベーションに対して自分とは違う意見を持ち、

新しい洞察、新しい観点を持つ人たちを知ろうとしました。

そんなリソースを以下のカテゴリーに分けたのです。

  • ストーリーテリング : 物語にすることで、目標に到達しようとする自分の姿を思い描く
  • 自分の行動を管理する?:?さらに良い習慣を築けるような、システムや技術を得る
  • インスピレーション :?自分よりさらに辛い立場にありながらも、大きな成功を収めた人々を知る
  • 心の持ち方 :?感謝する気持ちを大事にし、明るくふるまえるように自分をポジティブに保つ

私は自分を励ましてくれる、すばらしい人々を見つけました。

 

アールデン・ミルズ :

米海軍SEALに所属していた過去を持ち、

フィットネス企業を立ち上げましたが、

失敗の危機に瀕しました。

そこで彼は4人の子供のために、

『Be Unstoppable (負かすことのできないものになれ)』

を書きました。

 

イサイア・ハンケル博士:

彼は博士号取得目前に、

キャリアの危機に直面しました。

現在は目標達成のエキスパートとして、

『Black Hole Focus(ブラックホールに焦点を)』

を著しました。

 

 

シェイン・ニーマイヤー  :

薬物中毒者から

トライアスロンに参加するアスリートとなった半生を

『The Hurt Artist(傷ついたアーティスト)』

で描きました。

 

現在はコーチ幹部職を務めており、

もうすぐ一児の父親になります。

 

 

自分を作るのは周囲の人々」という言葉があります。

私には上記のようなエキスパートに近くにいてほしかったのです。

実際には一緒にいてもらうわけにはいかないため、彼らの本やビデオ、ソーシャルメディアを利用し、

彼らからのモチベーションを享受できるようにしていたのです。

 

ステップ2: 毎日の時間の有効活用

 

時間の有効活用を心がけるようにしました。

私は基本的に早起きで、これまでにも5時30分には起きていましたが、

朝の時間が自分を充実させることにとって重要だとは考えたことがありませんでした。

今では自分の目標にしっかりとフォーカスを当てながら、朝の時間を活用しています。

 

具体的には、メンタルコンディショニングやエクササイズ、

一日の行動計画を確認することなどをしています。

このような習慣を身につけてからは、ハーフマラソンにも参加し、体重も10kg近く減りました。

モチベーションを保つエネルギーと自信の源が、自分の中に生まれたのです。

 

ステップ3:ソーシャルメディアを利用する

 

ツイッター、ピンタレスト、インスタグラムのアカウントを設定し直して、

常に自分のモチベーションとなる情報が入ってくるようにしました。

 

モチベーションや成功法に詳しい専門家をいつも探して、フォローするようにしています。

私のSNSのタイムラインでは、引用句や洞察、成功事例、新しい情報など

いつも見ることができるようにしています。

 

ネガティブな思考に入りそうなときは、すぐにソーシャルメディアを使って悪い考えを吹き飛ばすのです。

私はいつもYouTubeでシャイア・ラブーフのモチベーション・スピーチを見て笑っています!

 

ステップ4: サポートチームをつくる

 

これが私にとっては最難関でした。

他人のモチベーションの手伝いすることには幸せを感じますが

自分自身に助けが必要な時に、他人からのサポートを求めようとしない自分に、

罪悪感を覚えていたのです。

 

そのことに葛藤がありました。

そこで、個人的に自分が尊敬している人たちの下を訪ね、自分の置かれた状況について説明しました。

彼らはとても寛大に私にアドバイスをくれたのです。

頭の中にあることを、あらいざらい話して、気分はとても楽になりました。

そして、彼らの客観的なアドバイスからたくさんのことを理解したのです。

なぜ自分がうまくいかないか、という分析の仕方を、根本的に変えることができました。

頭の中のストーリーを書き換えることによって、自信がふたたびよみがえってきたのです。

 

この4つのステップは、私のモチベーションに劇的な変化をもたらしました。

自分の掲げた目標は、ふたたび私を引きつけるものとなり、

メンタル面、フィジカル面ともに成長したことを感じます。

こうやってあなたも自分のモチベーション・カクテルを作り、

新しい目標を見出してください!

 

著者:J.T.O’DonellCareerHMO.com CEO )


元記事:http://bit.ly/1dsiTpU

(翻訳:横手祐樹)

本:『話があります:ビジネス会話を切り出す方法』

 

 

We Need To Talk: Your Guide to Challenging Business Conversations

  by Andrea J. Lee

(原題)『話があります:ビジネス会話を切り出す方法』

 著者 アンドレア・J・リー

 

「話があります」

どんなに経験豊富なビジネス・パーソンでも、

この一言を聞くだけで、恐怖にふるえ上がることでしょう。

これこそが難しい話題、言い出し難いこと、扱いに困る内容が、

一言も触れらないままになってしまう理由です。

そして、ビジネスと生活でのストレスは溜まる一方となるのです。

decoded@mcbw 2012

    
ですが、それももう終わりです。

本書の実用的で段階を追った説明が糸口となり、

新しく、健全で、生産的、さらに利益を生むコミュニケーションを生み出すでしょう。

    
実際のシナリオで証明された、ビジネス・シーンでの困難な会話を切り抜けるための、

下記のようなツールが満載です。

  • あなたの仕事に対してより大きな金額を要求する方法
  • 怒ってしまった、あるいは失望させてしまったクライアントをしずめる方法
  • 議題のぼやけてしまったミーティングをまとめる方法
  • 自分の面子を潰すことなく謝罪する方法、などなど・・・

    
実際に使えるテンプレートと例文が満載の「話があります」を読めば、

よどんだ空気を一掃し、悪くなった関係を改善し、

パワフルで生産的な新しい始まりを切ることができるようになるでしょう。

著者がビジネス・メンターとして仕事を共にした、何千ものクライアントとの実体験を語ります。

    
本書を手にして、どんな話題にもひるまないようになりましょう!

 


元記事:http://amzn.to/1IDdwBl

(翻訳:角田 健)

 

交渉の達人になるために

by レイ・トンプソン

 

 

確かに私はレディー・ガガが好きなのは認めるけれど、

“Born This Way(こうなったのも生まれつき)”を歌う彼女はまちがっています。

少なくとも、交渉に関しては。

Born This Way Album

 

実のところ、「生まれつきの」ネゴシエーターとは、これまで会ったことがありません。

これまでに出会った最高のネゴシエーターは、自力でそうなったのであり、

両親のおかげでそうなったのではありませんでした。

 

にもかかわらず、きわめて多くの人が、ネゴシエーターとして成功を収めた人は、

そうなるDNAを持っていたのだ、とか、

交渉の能力は、外見と同じように、生まれつきのものだというふうに考えています。

彼らはおそらく、どんなにがんばっても、運命は変えられない、と思っているのでしょう。

 

私は、この神話に異を唱えたいと思います。

というのも、この説のおかげで、私たちは自分の交渉の能力を、進歩させようとしないからです。

ここで私は経営科学が示してきた、交渉の能力が生まれつきのものではなく、

私たちが伸ばしていくものだという証拠をあげて、説明しましょう。

 

Baby

 

第一に、実行することと交渉についての証拠をあげましょう。

ほとんどの人は、交渉のトレーニングを受けること、及び、経験を重ねることで、

劇的にその能力を向上させていきます。

たとえば、ある実験では、交渉のテストを8回重ねた被験者の追跡調査をおこないましたが、

経験を重ねることで、被験者の学習曲線は、急激に成長し、

パフォーマンスは10%から30%も向上しました。

 

当然のことながら、他の人々より、上手なタイプはあります。

ある研究で、私は実験で4つのタイプを比較しました。

いくつかの異なる交渉の事例と情況について、

被験者をランダムに以下の4つのグループに分けたのです。

 

・講義を聞くだけのグループ

・フィードバックを受けるグループ

・専門家のやることを見るグループ

・たとえや類推を用いて学ぶグループ

 

最低だったのは、単に講義を聞いていただけのグループでした。

そうして、もっとも効果的な戦略は、シミュレーションを含む、たとえや類推を用いる学び方でした。

 

第2に、あなたが交渉にアプローチするときに、マインドセットに着目します。

あなたは交渉は、学べるものと考えますか?

それとも、生まれつきの才能だと?

 

たとえば、カリフォルニア大学バークレイ校のハース校のローラ・クレイ教授の研究チームは、

ある被験者のグループに、交渉のスキルは学ぶことができるものであると伝え、

別のグループには、先天的に受け継がれるものであると伝えました。

そうして、全員に、まったく同じビジネスの交渉をおこなってもらったのです。

 

結果は、交渉のスキルは学ぶことができると聞いた方が、遺伝と聞いたグループより、

かなりうまくこなすことができたのです。

 

このマインドセットは重要です。

もちろん私たちは、すべての面において、信頼度95%の統計に基づいているわけではありません。

それでも、自分が現場で最高の交渉をおこなっているわけではないと感じているビジネスパーソンは、

筋肉を鍛えるように、応答のトレーニングをおこなえば、スキルを身につけることができるのです。

 

 ビジネスの現場で最高の交渉を

 

最後に、ひとたびあなたが自分の交渉技術を改善できると理解するならば、

あなたの最大のハードルは、適切な時と場所でその知識を用いるということです。

私は研究を通じて、「不活性な知識」の問題を扱ってきました。

すなわち、経営者やリーダーのほとんどが、自分に必要な効果的な交渉スキルを備えているのに、

実際に、もっともそれが必要なときに、それを引き出すことができないということです。

 

幸いなことに、私たちはこの「不活性な知識」の回避方法を見つけました。

 

授業やセミナーや仕事の中で、あなたがスキルや戦略を学んだときは、

かならず少なくとも2つの情況を思い描いて、

スキルや知識をあてはめてみてください

 

このように複数の情況を考えることで、あなたは自分の知識をさまざまな情況で

移し替えることができるようになります。

そうすることで、あなたはうまく軌道に乗せることができるのです。

 

著者:レイ・トンプソン(ケロッグ経営大学院教授)


元記事:http://bit.ly/1LqqcZv

(翻訳:服部聡子)

音楽認識アプリが音楽を変える?(後編)

by デレク・トンプソン

 

 

前編より続く

データへの依存がもたらす音楽スタイルの「クラスター化」と

ポピュラー音楽の無個性化

同じヒット曲が流れる回数がどんどん増えているというだけでなく、

ヒット曲そのものも似通ってきているのです。

 

レーベルも売れる音楽を特定する術に長けてきており、

それと同時に、売れる音楽を模倣したアーティストへの投資決定もスピーディーになってきています。

 

私が意見を聞くことのできた音楽業界関係者は皆、

データに依存することが同じスタイルやジャンルが群がるようになる「クラスター化」につながり、

ポピュラー音楽は退屈で無個性なものばかりになってしまうと口を揃えます。

2012年、スペインの国立研究評議会の発表したあるレポートが、世界中の音楽マニアを喜ばせました。

 

ポピュラー音楽は、どうやら、どんどん退屈なものになってきており、音量は大きくなり、

またパターンの決まったコード進行を何度も繰り返し使うため意外性が失われつつあるというのです。

この研究では、1955年から2010年までに世界中で発表された464,411のポピュラー音楽を分析しました。

 

その結果、10年単位で見た場合に、2000年以降に流行した曲は、

それまでのどの時代より「音程の変化のバラエティーが少ない」ということを発見したのです。

研究チームの結論は、古い曲であっても、ただ楽器編成や編曲をリフレッシュし、

「平均的な音量」を上げるだけで、「斬新でファッショナブル」に聞こえるようになるというものでした。

Sounds

ポピュラー音楽のアーティストの側に問題があるわけではありません。

私たちの脳が、聞いたことのあるメロディから逃れられないようにできているのです。

(オハイオ州立大の音楽理論研究者、デビッド・ヒューロンは、

私たちが音楽を聴いて過ごす時間の少なくとも90%は、

聴いたことのある曲を探すことに費やされていると言います。)

 

なぜなら、親しみのある楽曲は脳が処理しやすいのであり、

また、音楽であれ、絵画であれ、何かのアイディアであれ、考える必要が少なければ少ないほど、

私たちはそれを好きになりやすいのです。

 

これは、心理学では流暢性という概念で語られます。

「情報処理が流暢である」とは、脳に入る情報が予想されたパターンにきれいに当てはめられ、

それに満足し自信を感じている状態を指します。

 

親しみのあるものは心地の良いものです。不安を感じているときは特にそうでしょう。

 

とは、流暢性を研究する、南カリフォルニア大のノーバート・シュワルツ心理学教授の言葉です。

 

機嫌が悪いときには、古い友達と会いたくなったり、

大好きな食べ物を食べたくなったりするでしょう。

メディアや情報の選び方にも、これがよく当てはまると考えています。

ストレスが溜まっているときは、新しい映画を見たり難解な音楽を聴いたりしたくはなりません。

よく知っていてなじみのあるものを欲しがるはずです。

 

しかし、音楽が低脳化、大音量化、定式化への道を一直線に突き進んでいると考えるのは、

単純に過ぎるすぎでしょう。

レーベル各社はヒップホップとカントリーの人気にすでに気づいているのであり、

これらのジャンルを伝統的なポピュラー音楽と混ぜ合わせることで革新的な新しい音楽を生み出しています。

 

夏のヒットソングだった『プロブレム』は、ふらつくようなサックス、

90年代ポップソング風のボーカル、ささやき声のサビ、さらに女声のラップを組み合わせています。

実に変わったサウンドでしたが、ひとときの間は、至る所でかかっていました。

また、カリフォルニア大学デービス校で音楽産業でのジャンルの混合を研究しているグレタ・シュウ准教授は、

ジャンルを混ぜ合わせることにはリスクはあるが、

複数のオーディエンスに対して新鮮であると同時に耳なじみのある音楽と受け入れられ、

際立った成功を納めることもあると、私に語りました。

Talk Radio

また、データの力が楽曲の制作プロセスを取り込むまでにはいたっていないということも、

音楽ファンにとってはなぐさめとなるでしょう。

プロデューサーやアーティストはトレンドには敏感ですが、

表やデータの中に埋もれて仕事をしている、スーツ姿のレーベル・エグゼクティブとは異なります。

レコーディング・ルームにまで機械が侵入してこない理由は、

リスナーが好むのが少し難のあるリズムだからかもしれません。

2011年のハーバード大による研究で、ロボットのドラマーやその他の機械が演奏する音楽は、

私たちの耳には正確すぎるものだということが判りました。

研究を率いたハーバード大の物理学研究者、ホルガー・ヘンニグは

 

人間が叩き出すリズムには不完全な部分があり、

それがどうやら、私たちの耳に完璧なほどになじむらしいのです。

 

と言います。

ヘンニグは、熟練のミュージシャンが集まって演奏すると、ミスもしますがそれだけではなく、

そのささいな変化がベースになってさらに音楽が発展し、

生の音楽がちんまりとまとまってしまわないようにしていることを発見しました。

インターネットを通して、私たちは驚くほど大量の音楽に触れることができます。

独創性がないものもありますが、大部分は大胆で実験的で、見事とさえ言っていいものもあります。

スポティファイやパンドラのようなストリーミング・サービスがあれば、

何十年か前までは世界最大のレコード店にさえ入りきらなかったコレクションを

試聴することができるようになっています。

 

また、こういったサービスは、ただコレクションが幅広いというだけでなく、

検索することが可能で、各ユーザーに合わせてパーソナルに仕様を変えることもできます。

パンドラのチーフ・サイエンティスト、エリック・ビーシュケはこのように言います。

 

ユーザーの方々にはあまり知られていませんが、

パンドラのアルゴリズムは一つだけではないのです。

数多くのアルゴリズムがジャンルや人気、リピートの多さなど、

様々な方法で人と音楽を結びつけているのです。

さらに、それら全てのアルゴリズムをメタ・アルゴリズムが統括しています。

例えば、オーケストラがたった一人の観客ために演奏しているとして、

メタ・アルゴリズムはその指揮者みたいなものです。

Listening to Trance?

未知の音楽が眠る鉱脈は、いくらでも地中深く掘り下げていくことができます。

ですがやはり、スポティファイで最も人気のプレイリストは「今日のトップヒット」なのであり、

パンドラで最も人気があるステーションは「今日のヒット」なのです。

果てしのない音楽の宇宙が目の前に広がっていても、私たちの多くは、

他のみんなも聴いていると思う音楽を選ぶのです。

 

 

著者:デレク・トンプソン(アトランティック編集主任)


元記事:http://theatln.tc/11nKWkb

(翻訳:角田 健)