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起業前にやっておくべき5つのこと

(※この記事はhttps://www.linkedin.com/pulse/5-must-dos-before-becoming-entrepreneur-j-t-o-donnell/を翻訳したものです)

by J・T・オドネル

多くの社会人が、やりきれない思いを抱えながら、今日も仕事をしています。あなたもそのひとりではありませんか?

先のギャラップ調査によると、労働人口の87%が自分の仕事に「やりがいを持てない」と感じている(言葉を換えると、楽しんではいない)ことがわかりました。こうした人々の多くは、いつか起業する日が来るのを夢見ているのではないでしょうか。
みんな、雇い主のために働くことを、金でできた鎖につながれたように感じ、どこかでうんざりしているのでしょう。不満を抱えた社員のかなりの数の人々が、自分のために働き、コントロールしているのは自分だと実感する日を空想するのです。

けれども、仕事を辞めて、フルタイムの起業家になる前に……
私はこのことをお聞きしたいと思います。

では、どうしてスタートアップの90%が失敗しているのでしょうか?
フォーブスの記事によると、アメリカでは新規事業の90%が失敗しているということです。どうしてなのでしょうか?

それは、多くの人が、立ち上げの時期を生き延びる準備ができていないからです。そのために多くの人々が生計を支えることができなくなってしまうのです。

ものやサービスを売ることは、多くの人が考えるより、大変なことです。起業家も情熱だけでは成功できません。

先日、私は「ユー・ユニバーシティ」のポッドキャストで、創設者のマイケル・ペッグズからインタビューを受けました。その中で、私たちは起業までの道のりについてや、自分が「私の仕事」であると実感することが、のちに起業家へと成長していく上で助けになることについて、話し合いました。

「私の仕事」を成功させるために何が必要か、ということや、どうして私が起業家になろうと思うようになったかを話しながら、私は、野心的な起業家が全員、会社を立ち上げる前にやっていたことについて、考えさせられたのです。

そのときの話はさておいて…

ここでは、そこから5つのアドバイスをお送りしましょう。

1. できるだけたくさん貯金をしておくこと

すくなくとも給与1年分、できれば2年分が必要です。事業を起こすのにかかりきりになる間、収入の心配をしないですむようにしておくのです。
起業時に、金銭的に余裕があればあるほど、受けるストレスも少なくてすみますし、そうなれば肝心のビジネスでも、良い決断を下しやすくなります。

2.あなたの情熱と、人々が抱えている問題が交差する地点を見きわめる

すべては需要と供給の関係にあります。
お客様が買いたいと思うものをあなたが提供できなければ、うまくやっていくことはできません。
反面、あなたが起業家になることを選んだのは、好きなことがやりたいという情熱があったからです。

解決策は、この両方のベクトルが交わるところを探すことです。
あなたの情熱と、人々が抱える問題が交差する地点を見きわめられれば、あなたは価値のある、しっかりした提案をもって、あなたのビジネスをスタートさせることができるでしょう。

3. あなたのネットワークのために働く

ビジネスをうまくスタートさせるためには、できるだけ大きな支援の輪が必要です。専門家や同僚、友人、家族からなる、広汎なネットワークが不可欠なのです。

起業家としての船出に際して、周囲の人々に支援を要請する時のために、あなたは彼らの要求に応えることで、「信用の貯金」をしておく必要があります。それが「ネットワークのために働く」ということなのです。

あらゆる機会を通じて、周囲の人々の助けになる方法を、知っておきましょう。そうすれば、みんなもあなたのことを大切に思い、信頼してくれるはずです。たとえば…

  • 周囲の人と必要な情報やリソースを分かちあう
  • 空いた時間をボランティア活動にあてる
  • あなたのネットワークに属する人が、互いに親しくなれるように手助けする

これらはほんの一例ですが、あなたが今日、ネットワークのために働いておけば、明日はネットワークがあなたのために働いてくれることを忘れないでください。

4.あなたの「起業までの道のり」のストーリーを作る

これは、起業家として成功するためには、不可欠の要素です。成功した会社にはかならず、すばらしいストーリーがあります。とりわけ起業家は、その物語を熱意と確信をこめて語ることができます。

紆余曲折に満ちた物語でなければなりません。感動を呼び、人々が夢中になり、行動を起こしたくなるような。何より大切なのは、誰もがあなたのビジネスが成功するよう、応援せずにはいられなくなるようなストーリーであることです。

あなたが起業家として成功したいなら、あなたの「起業までの道のり」は、細部まで明確で、うまく語られなければなりません。自分のストーリーをおもしろく語る方法を学ぶことが重要になってくるのです。
まずはストーリーの細部をはっきりさせ、確かなものにすることから始めて、感情に訴えかける山場を作ります。

5. あなたのストーリーをシェアする ― できるだけ大勢の人と!

あなたのストーリーができたら、今度はそれをみんなに知ってもらわなければなりません! 同僚や、家族や、友だちとシェアしましょう。オンラインでも、オフラインでも、できるだけ大勢の人と。あなたのストーリーを話す相手は、多ければ多いほどいいのです。

あなたがビジネスを始めるらしい、という評判を取っておくことが重要です。どうしてあなたが熱意を持って会社を設立しようとしているのか理解してもらえれば、みんなあなたを支えてくれます。けれども、そのことはあなたが語って聞かせなければ、誰にもわかってもらえないのです!

ここにあげた5つの秘訣が、あなたがいつの日か旧態依然の職場を離れ、起業という船出を果たす助けになることを、願ってやみません。

自分の会社を運営することは、苦労するだけの報いがあります。ただし、それもうまくやってのけてこそ、なのです。もちろん困難なことや紆余曲折があるでしょうが、あらかじめできる準備をしておけば、失敗のリスクを抑えることになるはずです。

上にあげた5つは、おそらくその助けになるでしょう。

幸運を祈っています。


元記事:http://linkd.in/1Cun9yB
(翻訳:服部聡子)

今の仕事をやめて起業する前に問うべき質問

フルタイムの仕事という安定を捨てて起業することは、危険が伴うことであり、多くのストレスがかかるものです。その大きな一歩を踏み出すにはいつが最適なのか、どうすればわかるでしょうか?今の仕事をやめる前に問うべき質問を、以下にあげます。

1. 現在の仕事がただつらい(不満、つまらない)だけではありませんか?
現在の職務に対して不満があるという理由だけで、起業したいと思う人がいます。綿密なビジネス・プランを立てることで、一時的な感情に任せた決断を避けることができます。今の仕事をやめたいという気持ちに加えて、成功する見込みのあるビジネス・アイデアと、マーケティングと経営に関する良いプランがなくてはなりません。計画を立案するときは、今の仕事と収入をできる限り長く維持しましょう。

2. 複数の役割を進んで果たすことができますか?
ビジネスを始めるということは、いくつもの帽子をかぶるようなものです。あるときは技術担当者、あるときは販売員、あるときは清掃スタッフとなるのです。ですから、今の仕事をやめる前に、「私は、マーケティングからメンテナンスまで、さまざまな役割を果たすことに対して不満を抱かないだろうか」と問うことが必要です。

3. あなたの強みと弱みは何ですか?
複数の役割を考慮するとき、自分の得意なこととそうでないこと(改善・向上させるべきこと)について、自分に正直になりましょう。プログラミングのスキルを強化すべきなら、そのスキルを持つ人を探してパートナーになってもらいましょう。

将来のお客様や競合は誰でしょうか?あなたが考えているビジネスのコンセプトに関わる市場について、すべてテストをすることはできないかもしれませんが、少なくとも、お客様は誰か、どんな競合がいるのか、理解しておくべきです。

4. あなたをサポートしてくれる人たちも乗車していますか?
起業へとスムーズに転換していくために、起業のプランを家族に伝えるべきです。ビジネスを始めるにあたって必要とされる代償や妥協も含めて、家族は応援してくれるでしょうか?起業のリスクについて、はっきりと話しましょう。ある人が起業をすると、その人の家族も何らかの影響を受けるからです。家族をはじめ、あなたをサポートしてくれる人たちが自分のアイデアを支援したがらないという場合は、今の仕事をやめることは考え直したほうがよいかもしれません。

5. バックアップがありますか?
起業する前に代案を用意しておけば、無防備なところを不意に襲われずに済むかもしれません。一時的にお金が必要なときに、パートタイムで何か仕事をすることができますか?または、フルタイムの仕事を新たに始めて、起業プランは保留にしておくことになるでしょうか?リクルーターや現在の(または過去の)雇用主などと関係を築いておきましょう。

6. 取り返しのつかない状況を避けるためには、どうすればよいでしょうか?
今の仕事をやめると決心した場合、その雇用主もあなたの起業を助けてくれるかもしれない、ということを覚えておいてください。突然退職するのではなく、良い関係のまま退職する方法を見つけましょう。


(出典: Dizik, Alina. “10 Questions to Ask Before Quitting Your Job to Start a Business.” Entrepreneur Magazine. March 13, 2013.)


弊社ビジネスクラブのメンバー様向けに、起業適正検査用の質問用紙もご用意しております。クラブに参加を希望される方は、こちらまでお問い合わせくださいませ。

(翻訳:渡部真紀子)

スタートアップが10年間ですべきこと(2)

by マイク・マストロヤニス

 

 

(※この記事は前回の記事の続きです)

第2章  問題を検証するために、会社からいったん離れよう

 

会社から離れるとは、ビジネスモデルを別の観点から眺めることです。

そうやって問題を見つけ出し、検証するのです。

 

当然のことながら、ここで検証することには顧客や顧客との関係、

顧客経路なども含まれます。

 

起業して間もない段階では、私たちはまだ、問題をテストしてもらえるような、

最良の顧客を見つけることにまで関心が及びません。

そこで、幅広い顧客に、製品と市場がフィットしているかどうか、

テストしてもらわなくてはなりません。

 

けれどもこの段階から、アーリーアダプター

(新製品や新しいシステム、新しいビジネスモデルを試してもらいたい、

影響力のある、革新的な顧客)を探す必要があります。

もし私たちがアーリーアダプターに売ることができないのなら、

アーリーマジョリティ(顧客の主流をなす人々)にも売ることはできないでしょう。

 

アーリーアダプターのおもな特徴は、以下のようなものです。

  • 問題を抱えていたり、必要なものがある
  • 自分が問題を抱えていることを知っている
  • その解決に向けて、積極的に動いている
  • 独力で問題を解決することができる場合もある
  • 解決のための資金をもっているか、すぐに用立てることができる

 

この段階で、私たちは3つのカギとなる問いに答えなければなりません。

 

1. 私たちは顧客の抱えている問題や、必要としているものを理解しているでしょうか?

また、顧客が未だ気づいていない問題を、私たちが見つけているでしょうか?

2. 大きなビジネスチャンスになるほど、大勢の人が抱えている問題でしょうか?

3. 彼らは友だちに相談するほど、その問題のことを気にかけているでしょうか?

 

この3つの質問に、すべてイエスと答えられれば、

製品と市場のフィットは達成できていると考えていいでしょう。

 

そこから以下の重要なステップを、踏んでいかなければなりません。

 

  •  顧客テストのための実験を計画する
  •  顧客が実際に過ごしている職場を体験する
  •  顧客と接触する準備をする
  •  顧客が問題を理解しているかどうか検証する。その問題が顧客にとってどのくらい重要かを評価する。必要な場合は面談も。ネット上では人はかならずしもほんとうのことばかりは言わないものだから。
  •  顧客についての理解を増す
  •  競争相手と市場の知識を得る
  •  競争相手をランチに誘う

 

この段階では、顧客が抱えている問題を理解し、顧客の声に耳を傾けることが必要です。

ですから、試作品はまだ必要ではありません。

基本的な見取り図や、簡単なパワーポイント、ビデオ、ウェブサイトでのシミュレーションなどで十分です。

 

◆ この段階であてはまるルール

 

1. 顧客は結論が出せるほどの人数を集めなければならない

 

2. 顧客を見つけるためにはさまざまな方法を使う

(友人・同僚からの紹介がベストだが、自分やチームのコネクション、

ソーシャルネットワークのリスト、資格者リスト、 友人のつて、家族、弁護士、投資家、会計士)

 

3. 顧客から出された情報をもとに作成した、問題に対するプレゼンテーションをおこなう

 

4. リストを作成 (紙を3分割し、「問題」「現段階での解決」「私たちの提案するソリューション」と書き出す。

これをもとに顧客と話し、相手の話に耳を傾ける)

 

5. 顧客のことをもっと知るための質問

  •  あなたは何が問題だとお考えですか?
  •  何か見過ごしている問題はないでしょうか?
  •  問題の優先順位はどのようになっていますか?
  •  何にも増して解決しておかなければならない問題というと、何になるでしょうか?
  •  仕事の中で何よりも面倒なことは何ですか?
  •  何かをひとつ変えるとしたら、何でしょうか?
  •  あなたより他に、どなたか明晰な人がいらっしゃいませんか? 私が話すことのできる人を3人ほど上げていただけませんか?
  •  このほかにうかがっておいた方が良い、重要な問題はありませんか?
  •  ご覧になっている中で、私も読んでおいた方が良いブログや雑誌を教えていただけませんか?

 

こうした顧客との会話をもとに、問題があるかどうか、顧客がその問題をどこまで気にかけているかどうか、

顧客の反応を見ながら、優先順位をつけ、結論を出していかなければなりません。

 

Clipboard and Pens

 

第3章 会社から離れ、製品・システムのソリューションをテストする

 

この段階で最初に私たちがやっておくべきことは

  • 第2章で実行した結果の詳細(現在までに明らかになったこと、意義や知見など)を、チーム全体で更新する
  • 変更すべきか、このまま推し進めるかを決定する
  • アーリーアダプターの潜在顧客情報にもとづいた必要最低限のリストを作成する
  • その他のビジネスモデルの特質を更新する

 

つぎのステップは、私たちのソリューションを、プロトタイプやデモ・ユニットとして形にし、

問題提示のプレゼンをおこなったアーリーアダプターの顧客を訪問する準備をします。

彼らに問題のソリューションを提示し、それに対する反応を見るのです。

 

ソリューションを提示している最中やあとで、以下の質問をおこないます。

それに対する反応を記録しておくことは、きわめて重要です。

 

  •  私たちの製品の何が、ソリューションとなり、何がならなかったでしょうか
  •  今日、どのように問題が解決しましたか?
  •  この製品の特徴となる点は、必要だと感じられましたか? それとも感じられませんでしたか?
  •  この製品は、従来のものとちがっている、と感じられましたか?
  •  この製品は新しい市場を作りだすことができると思いますか?
  •  現在ある製品よりも、改良されていると思いますか?
  •  理想的なソリューションとは何ですか?
  •  提案した収益モデルと価格設定について、どのように感じましたか?
  •  意志決定をするために、ほかの誰と話したら良いでしょうか?
  •  話は退屈でしたか?

 

あらかじめ、ビジネスモデルの重要な部分を網羅する質問リストを用意し、顧客に質問します。

インタビューを進める際に役に立つアドバイスをいくつかあげておきましょう。

  • 大勢を相手にするのではなく、1対1で話し合いを進めてください。
  • 主な目的は、何か新しいものを付け加えるのではなく、不要なものを削除することです。
  • 顧客全員にすべての質問をしようとしないでください。顧客によっては、ある面について詳しく知っている場合もあります。

 

顧客の熱意を評価することは、何よりも重要です!

反応には、以下のような可能性があります。

 

1. 顧客が製品を気に入ってくれ、変更の必要がない場合

 

2. 顧客は製品を気に入ってくれたが、ローンチ前に機能を追加してほしいと思っている場合

(この場合は、顧客の要望と開発時間のバランスを取る必要があります)

 

3. 顧客が製品を必要だと感じてくれなかった場合

 

※2. について。

一般人は、壊れてなければ、修理の必要はないと考えますが、

エンジニアは、壊れていないということは、十分な機能が備わっていないと考える傾向があります。

顧客を発見することは、有望な製品の基本形 (デザインばかりでなく全体的な機能まで)が、

お金を払ってくれる顧客の手に入る期間を短縮できる、ということです。

ここで起業家としての経験や直感に従って、決行か中止かの決定をおこないましょう。

 

直接には反応を確かめられないインターネットやモバイルでは、

顧客の製品に対する興味は、以下のもので測ることができます。

 

1. 顧客が進んで登録するかどうか

2. 最初に訪問してから、どのくらいの頻度で訪れるか

3. どのくらいの時間、滞在しているか

4. 何人の訪問者が友人を紹介しているか

5. 新規訪問者が常連となり、実際の利用者となる転換率はどのくらいか

 

一般的に言って、技術製品に対して反応が鈍い場合は、製品と市場がフィットしていないことを示しています。

製品に対して市場が成熟していないか、製品が、広汎な市場の需要を満たしていないか、なのです。

このような場合、問題は価値の提案のやり方と、顧客のセグメントの方法にあります。

 

いずれにせよ、事実(直感だけではなく)に基づいた結果に応じて、

ビジネスモデルを根本から変更していくか、このまま推し進めてつぎのステップへ移るか、

決めていかなければなりません。

 

Weekly Market

 

第4章 ビジネスモデルを検証し、変更するか、推し進めるかを決める

 

これは、新しいスタートアップの発展にとって、非常に重要な段階です。

変更するか、推し進めるかを決定するために、3つの重要な質問に応えなければなりません。

3つの問い(重役会議が必要かもしれません)の回答がイエスなら、

製品とシステムのソリューションに向けた顧客を確認する段階に進み、

ビジネスモデルの規模を、たとえば10倍以上にしてもよいかを調べます。

 

1. 製品とマーケットはフィットしているでしょうか?

  • 私たちは重大な問題に挑戦したり、差し迫った必要に応えようとしているでしょうか?
  • 私たちの製品は顧客の問題を解決したり、顧客の必要を満たしているでしょうか?
  • 事業を展開する場所や機会が十分あるほど、顧客が存在しているでしょうか?

 

2. 私たちの顧客とは誰のことで、どうやって彼らと接触するのか?

  • 顧客のプロフィールを書くことができますか?
  • 製品を顧客にどのように売り込んだらいいかわかるほど、顧客のことを知っていますか?
  • 市場の中で、異なるセグメントを見つけていますか(よそより大きい、よそより速い、優良な、新しい…など)。
  • 私たちのスタートアップからエンドユーザーまでの製品やシステムの流れ(経費やマーケティングも含めて)を理解していますか?

 

3. 私たちは利益を出し、会社を成長させていけるでしょうか?

顧客レポート(マーケットの大きさ、価格/収益、経費、競争相手など)をもとに、

ビジネスモデルを拡張したらどうなるか、

基本的な2-3年間の収益、費用、資金繰りなどのプランを計上し、財政的な情況を評価します。

 

すべてをふまえ、上記の3つの問いに、すべて肯定的な答えが出せるなら……

顧客を発見するための調査は、十分に大きなマーケットの存在を示しているでしょうか?

私たちの製品が待ち望まれている市場、

私たちが繰りかえし提供していけ、拡張を目指し、利潤を上げられる市場でしょうか?

 

もしそうなら、私たちは次の段階「顧客検証」の段階に進みます。

そうでなければ、私たちはビジネスモデルを変更しなければなりません。

 

 


元記事:http://linkd.in/1FgF0sP?

(翻訳:服部聡子)

 

スタートアップが10年間ですべきこと (1)

by マイク・マストロヤニス

 

 

スタートアップは数多くありますが、その中で目標を達成している会社は10%もありません。

そのおもな理由として、ほとんどのスタートアップが、

自社のビジネスモデルをテストするプロセスを有していないことがあげられます。

 

競争は世界的な規模となっているのに、従来の製造プロセスでは、

実用レベルのプロトタイプができあがるまで、実際的な評価を出すことができないのです。

 

デジタル・ネットワークやコンピューターによる3-Dシミュレーションのおかげで

イノベーションは加速し、

クラウド・コンピューティング、データ分析、3Dプリンター、スマート・センサー、

モバイル、ソーシャルネットワーキングなどのテクノロジーは、

驚異的なスピードで進化しています。

さらに、ビジネスをめぐる情報の拡散は速度を増し、競争を激化させています。

 

顧客の注文に応じて、デザインや仕様が発注される旧式の製造プロセスは、

機動性に欠け、めまぐるしく変化していく市場に、十分対応することはできません。

 

現在のプロセスのおもな問題点は、顧客やコミュニティに、すばやく対応できないことと、

利用できるツールが繰りかえしバージョンアップできないところです。

 

このコラムでは、消費財を扱うスタートアップの起業と顧客開拓プロセス、

起業後プロトタイプを作成するまでの元手となる資金調達に焦点を当てていきます。

 

Startup Live Lisbon

 

先に述べた古いパラダイムを変えるために、

どのようにスタートアップを構築し、経営し、資金繰りをしていくべきか、

これまでとは異なる考え方とマインドセットが必要となっています。

そのために、以下の原則がカギとなります。

 

1. 会社の目的を明らかにしよう

21世紀にあっては、大きな目的を掲げることは、

社会の共感を得ることと同じように、きわめて重要です。

 

2. 10年先を見据えた計画を立てよう

製品やシステム、プラットフォームが、少なくとも10年以上先には、

現状と比較してどれほど向上しているか、計画してください。

簡単に経験できる、よく使われる製品/システムとなっていること。

 

3. 顧客・コミュニティと交流できる筋道を用意しよう

小さなマーケットにターゲットをしぼり、スタート当日から、

ターゲットとなるアーリーアダプター層の顧客や、

イノベーションに不可欠の関連オンラインコミュニティと、交流するプロセスを確立します。

 

4. 開発プロセスの途上で、顧客やコミュニティと柔軟な交流をおこなおう

 

5. 失敗はプロセスの中では不可欠な要素

 

6. 柔軟な事業計画を

事業計画は柔軟でなければならず、変わっていくことの多いものです。

ビジネスモデルの焦点は、利益を上げ、拡張可能な、主力となる市場戦略をできるだけ早く見つけることにあります。

 

7. 仮説・検証のプロセスを確立しよう

ユーザー・エクスペリエンスを拡大強化するだけでなく、試作品、顧客、コミュニティを通じて、

さまざまな仮説を繰りかえし検証できるような計画を立ててください。

 

8. サード・パーティの力を活用しよう

高速プロトタイピング、ウェブ・アセット、ネットワーキングなど、外部の力は役に立ちます。

 

9. マーケットを見きわめよう

マーケットの性格(既存のものか、新しいものか、ニッチか…)をはっきりさせます。

それによって、異なるアプローチが必要となるからです。

 

10. 独自の評価基準を持とう

初期段階の成功の評価基準は、

伝統的な大企業の評価基準(収益、売上総利益、利益)とは異なります。

ヒット商品を作り上げていく節目、月々の資金回転率、

試してほしいアーリーアダプターの顧客が何人いるか、

実行に移せるような提言をしてくれるコミュニティがどのくらいあるか……

などがそれに当たるのです。

 

11. 品質への情熱、速い意志決定とスピードにかける情熱をもとう

 

12. 不確実であることや混沌した情況、変化に対して、不安を感じない人を選ぼう

 

13. チーム内で緊密なコミュニケーションをとろう

学んだことをシェアできるよう、チーム全体で頻繁なコミュニケーションが確実にとれるようにしてください。

 

14. クラウドファンディングを活用しよう

シード・キャピタルやエンジェル・キャピタルの時期を過ぎたら、

新しいクラウドファンディングベースの資金運用を検討してみてください。

 

新しいプロセスとは、顧客が製造過程で繰りかえし参加できるようなプロセス、

仮定をすばやく検証し、すばやく改めるプロセスです。

後述のようにいくつかの面からなっており、旧来の製品製造上の問題点を解決するものとなっています。

 

新しいプロセスは、さまざまな段階(仮説が誤っていたとわかったとき、根本的にそれを改め、またやり直す、というような)

を基盤とする、反復可能で、拡張でき、利益の上がるビジネスモデルです。

 

では、ここから顧客開拓のプロセスを詳しく見ていきましょう。

 

A customer discusses art and business with Lama G, at his coffee shop, goodies, Lama G's Cafe, Fremont, Seattle, Washington, USA

A. 顧客を発見する

1. ビジネスモデルをデザインしよう

 

創設者はビジョンや会社の目的を明らかにし、ビジネスモデルをデザインします。

それより先行して、もしくは並行して、潜在顧客やパートナーと非公式な話し合いをおこないます。

ビジネスモデルを描き出すためには、ビジネスモデルキャンバスを使うと、詳細まで書き出すことができます。

焦点となるのは、ビジネスモデルによって、以下の特質をはっきりさせることにあります。

 

1. 価値ある提案 (Value proposition)

2. 顧客 (Customer segments)

3. 顧客との関係 (Customer relationships)

4. 流通機構 (Distribution channels)

5. 主要パートナー (Key partners)

6. 主要リソース (Key resources)

7. 主要な活動 (Key activities)

8. 収入源 (Revenue streams)

9. コスト構造 (Cost structure)

 

Business Modeling all day

 

つぎに重要なことは、私たちのビジネスが焦点を当てるマーケットのタイプを見きわめることです。

・既存のマーケット

・リセグメンテド・マーケット

(※ニッチの参入する余地があり、そのニッチによって市場を再分割することが可能なマーケット)

・クローン・マーケット

(※ある国で成功したビジネスモデルを、外国で展開するもの)

 

それぞれについて、顧客需要、製品のパフォーマンス、競争、リスクの観点から分析し、

異なるアプローチをしていきます。

 

この段階では、第一期の最小限実行可能なプロトタイプを作成します。

(必要最小限のパワーポイント、ウェブサイト、ビデオという形になるかもしれません)

そうして、私たちが解決すべき問題点について説明し、

最初に選んだアーリーアダプターの顧客から第一次のフィードバックをしてもらいます。

 

 

次回は、このアーリーアダプターの顧客から提出された問題のテストと解決について、

考えていきたいと思います。

 

その2.につづく)

 


元記事:http://linkd.in/1EQ539X?

(翻訳:服部聡子)

 

起業家にとっての周到さと情熱

ハーバード・ビジネス・レビュー  2015年 6-8月号

 

 

起業を目指す人の多くは、情熱こそが成功のための鍵と思っていることでしょう。

たとえば、クラウドファンディング・サイトでも、

プロジェクトに対する情熱だけは誰にも負けないとばかりに、

起業家同士がお互いに張り合っているのが見られます。

そして、資金集めについて言えば、このやり方でも実際にうまくいくものです。

情熱というものは、芽の出そうな新しいアイディアを探している

ノン・プロの投資家にはアピールするものなのです。

   
ですが、長期的な成功という観点で見ると、話は違ってきます。

何百人もの起業家を対象に新しい研究が行われ、数年単位での未来の成功は、

情熱とは何の関係もないことが明らかにされたのです。問題となるのは、周到さでした。

つまり起業家が、自身の事業のアイディアを具体的に思い描けているか、

狙いをつけた市場を深く理解しているか、

また、障害を乗り越え不測の事態が起こってもそれを利用できるような計画を作成できているか、

ということがポイントだったのです。

Marketing Huddle

   
ライス大学のウトパル・M・ドラキアの研究チームは、

大学レベルを対象にした全米最大の起業コンペの研究を行いました。

参加したプロジェクトは、バイオ技術からライフサイエンス、

消費者向け製品や小売りにまでおよびます。

当初、プロジェクトの成否を判断するポイントを聞かれた参加者は、

情熱の有無をあげていました。

そして研究チームは、その3年後に、まだベンチャーが好調な一部の参加者に同じ質問をしたのです。

研究チームの分析で、プロジェクトの運命を左右する上で、

情熱は何の役割も果たしていないということが明らかになったのです。

全てではないにせよ、ビジネスが飛躍するために必要なのは、周到さだったのです。

   
研究チームはまた、全世界で資金集めに利用されているクラウドファンディング・サイトの最大手、

インディーゴーゴーに掲載されている522のプロジェクトを調査しました。

サイト上の起業家のビデオと文章の声明を、2つの要素から分析したのです。

 

1つ目は情熱の表れ方、例えば「非常に真剣です」や「全てを捧げています」のような言葉で

(「情熱」という言葉そのものはもちろん含めます)、

2つ目は周到さを証明するもの、

例えば、アイディアを実現させるために必要なものやリソースを発見したことが報告されているかなどです。

 

研究の結果、情熱的な起業家は、資金の目標金額に達する可能性が約3倍となる一方、

周到さは、目に見えていても何の影響もないことが分かったのです。

 

GearUP Sessions: LEAN & TEAM

   
さらに研究では、職業投資家は、ノン・プロの投資家とは全く別の見方をしていることが明らかになりました。

職業投資家は一般的に、起業家の情熱は割り引いて考え、周到さに最も注目するというのです。

ですが、起業家が職業投資家を通さずに一般の投資家に直接アピールするようになっていることを考えれば、

また、一般の投資家が情熱的な起業家を好むというのであれば、起業家がするべきことは自明でしょう。

   
研究チームは、起業家は情熱に頼るべきではないと言っているのではありません。

結局のところ、情熱を前面に押し出さなければ、十分な出資を得られないこともあるでしょう。

ですが、起業家本人の頭の中でも、出資者向けの広報でも、

情熱が過度に強調されるとネガティブ要素となってしまうことが、ままあるのです。

そのかわりに起業家は、情熱を表しながらも、周到さとのバランスをうまく取る必要があります。

適切な人材の確保や、その他、成功を左右する細かい課題にも気をまわしていることを、

明確に伝えていかなければならないのです。

起業家も、起業家を値踏みする投資家も、周到さを欠いた情熱だけでは、

価値は少ないということを意識する必要があるのです。

 

ハーバード・ビジネス・レビュー  2015年 6-8月号)


元記事:http://bit.ly/1Hc3vf9

(翻訳:角田 健)