スタートアップが10年間ですべきこと (1)

by マイク・マストロヤニス

 

 

スタートアップは数多くありますが、その中で目標を達成している会社は10%もありません。

そのおもな理由として、ほとんどのスタートアップが、

自社のビジネスモデルをテストするプロセスを有していないことがあげられます。

 

競争は世界的な規模となっているのに、従来の製造プロセスでは、

実用レベルのプロトタイプができあがるまで、実際的な評価を出すことができないのです。

 

デジタル・ネットワークやコンピューターによる3-Dシミュレーションのおかげで

イノベーションは加速し、

クラウド・コンピューティング、データ分析、3Dプリンター、スマート・センサー、

モバイル、ソーシャルネットワーキングなどのテクノロジーは、

驚異的なスピードで進化しています。

さらに、ビジネスをめぐる情報の拡散は速度を増し、競争を激化させています。

 

顧客の注文に応じて、デザインや仕様が発注される旧式の製造プロセスは、

機動性に欠け、めまぐるしく変化していく市場に、十分対応することはできません。

 

現在のプロセスのおもな問題点は、顧客やコミュニティに、すばやく対応できないことと、

利用できるツールが繰りかえしバージョンアップできないところです。

 

このコラムでは、消費財を扱うスタートアップの起業と顧客開拓プロセス、

起業後プロトタイプを作成するまでの元手となる資金調達に焦点を当てていきます。

 

Startup Live Lisbon

 

先に述べた古いパラダイムを変えるために、

どのようにスタートアップを構築し、経営し、資金繰りをしていくべきか、

これまでとは異なる考え方とマインドセットが必要となっています。

そのために、以下の原則がカギとなります。

 

1. 会社の目的を明らかにしよう

21世紀にあっては、大きな目的を掲げることは、

社会の共感を得ることと同じように、きわめて重要です。

 

2. 10年先を見据えた計画を立てよう

製品やシステム、プラットフォームが、少なくとも10年以上先には、

現状と比較してどれほど向上しているか、計画してください。

簡単に経験できる、よく使われる製品/システムとなっていること。

 

3. 顧客・コミュニティと交流できる筋道を用意しよう

小さなマーケットにターゲットをしぼり、スタート当日から、

ターゲットとなるアーリーアダプター層の顧客や、

イノベーションに不可欠の関連オンラインコミュニティと、交流するプロセスを確立します。

 

4. 開発プロセスの途上で、顧客やコミュニティと柔軟な交流をおこなおう

 

5. 失敗はプロセスの中では不可欠な要素

 

6. 柔軟な事業計画を

事業計画は柔軟でなければならず、変わっていくことの多いものです。

ビジネスモデルの焦点は、利益を上げ、拡張可能な、主力となる市場戦略をできるだけ早く見つけることにあります。

 

7. 仮説・検証のプロセスを確立しよう

ユーザー・エクスペリエンスを拡大強化するだけでなく、試作品、顧客、コミュニティを通じて、

さまざまな仮説を繰りかえし検証できるような計画を立ててください。

 

8. サード・パーティの力を活用しよう

高速プロトタイピング、ウェブ・アセット、ネットワーキングなど、外部の力は役に立ちます。

 

9. マーケットを見きわめよう

マーケットの性格(既存のものか、新しいものか、ニッチか…)をはっきりさせます。

それによって、異なるアプローチが必要となるからです。

 

10. 独自の評価基準を持とう

初期段階の成功の評価基準は、

伝統的な大企業の評価基準(収益、売上総利益、利益)とは異なります。

ヒット商品を作り上げていく節目、月々の資金回転率、

試してほしいアーリーアダプターの顧客が何人いるか、

実行に移せるような提言をしてくれるコミュニティがどのくらいあるか……

などがそれに当たるのです。

 

11. 品質への情熱、速い意志決定とスピードにかける情熱をもとう

 

12. 不確実であることや混沌した情況、変化に対して、不安を感じない人を選ぼう

 

13. チーム内で緊密なコミュニケーションをとろう

学んだことをシェアできるよう、チーム全体で頻繁なコミュニケーションが確実にとれるようにしてください。

 

14. クラウドファンディングを活用しよう

シード・キャピタルやエンジェル・キャピタルの時期を過ぎたら、

新しいクラウドファンディングベースの資金運用を検討してみてください。

 

新しいプロセスとは、顧客が製造過程で繰りかえし参加できるようなプロセス、

仮定をすばやく検証し、すばやく改めるプロセスです。

後述のようにいくつかの面からなっており、旧来の製品製造上の問題点を解決するものとなっています。

 

新しいプロセスは、さまざまな段階(仮説が誤っていたとわかったとき、根本的にそれを改め、またやり直す、というような)

を基盤とする、反復可能で、拡張でき、利益の上がるビジネスモデルです。

 

では、ここから顧客開拓のプロセスを詳しく見ていきましょう。

 

A customer discusses art and business with Lama G, at his coffee shop, goodies, Lama G's Cafe, Fremont, Seattle, Washington, USA

A. 顧客を発見する

1. ビジネスモデルをデザインしよう

 

創設者はビジョンや会社の目的を明らかにし、ビジネスモデルをデザインします。

それより先行して、もしくは並行して、潜在顧客やパートナーと非公式な話し合いをおこないます。

ビジネスモデルを描き出すためには、ビジネスモデルキャンバスを使うと、詳細まで書き出すことができます。

焦点となるのは、ビジネスモデルによって、以下の特質をはっきりさせることにあります。

 

1. 価値ある提案 (Value proposition)

2. 顧客 (Customer segments)

3. 顧客との関係 (Customer relationships)

4. 流通機構 (Distribution channels)

5. 主要パートナー (Key partners)

6. 主要リソース (Key resources)

7. 主要な活動 (Key activities)

8. 収入源 (Revenue streams)

9. コスト構造 (Cost structure)

 

Business Modeling all day

 

つぎに重要なことは、私たちのビジネスが焦点を当てるマーケットのタイプを見きわめることです。

・既存のマーケット

・リセグメンテド・マーケット

(※ニッチの参入する余地があり、そのニッチによって市場を再分割することが可能なマーケット)

・クローン・マーケット

(※ある国で成功したビジネスモデルを、外国で展開するもの)

 

それぞれについて、顧客需要、製品のパフォーマンス、競争、リスクの観点から分析し、

異なるアプローチをしていきます。

 

この段階では、第一期の最小限実行可能なプロトタイプを作成します。

(必要最小限のパワーポイント、ウェブサイト、ビデオという形になるかもしれません)

そうして、私たちが解決すべき問題点について説明し、

最初に選んだアーリーアダプターの顧客から第一次のフィードバックをしてもらいます。

 

 

次回は、このアーリーアダプターの顧客から提出された問題のテストと解決について、

考えていきたいと思います。

 

その2.につづく)

 


元記事:http://linkd.in/1EQ539X?

(翻訳:服部聡子)