起業家にとっての周到さと情熱

ハーバード・ビジネス・レビュー  2015年 6-8月号

 

 

起業を目指す人の多くは、情熱こそが成功のための鍵と思っていることでしょう。

たとえば、クラウドファンディング・サイトでも、

プロジェクトに対する情熱だけは誰にも負けないとばかりに、

起業家同士がお互いに張り合っているのが見られます。

そして、資金集めについて言えば、このやり方でも実際にうまくいくものです。

情熱というものは、芽の出そうな新しいアイディアを探している

ノン・プロの投資家にはアピールするものなのです。

   
ですが、長期的な成功という観点で見ると、話は違ってきます。

何百人もの起業家を対象に新しい研究が行われ、数年単位での未来の成功は、

情熱とは何の関係もないことが明らかにされたのです。問題となるのは、周到さでした。

つまり起業家が、自身の事業のアイディアを具体的に思い描けているか、

狙いをつけた市場を深く理解しているか、

また、障害を乗り越え不測の事態が起こってもそれを利用できるような計画を作成できているか、

ということがポイントだったのです。

Marketing Huddle

   
ライス大学のウトパル・M・ドラキアの研究チームは、

大学レベルを対象にした全米最大の起業コンペの研究を行いました。

参加したプロジェクトは、バイオ技術からライフサイエンス、

消費者向け製品や小売りにまでおよびます。

当初、プロジェクトの成否を判断するポイントを聞かれた参加者は、

情熱の有無をあげていました。

そして研究チームは、その3年後に、まだベンチャーが好調な一部の参加者に同じ質問をしたのです。

研究チームの分析で、プロジェクトの運命を左右する上で、

情熱は何の役割も果たしていないということが明らかになったのです。

全てではないにせよ、ビジネスが飛躍するために必要なのは、周到さだったのです。

   
研究チームはまた、全世界で資金集めに利用されているクラウドファンディング・サイトの最大手、

インディーゴーゴーに掲載されている522のプロジェクトを調査しました。

サイト上の起業家のビデオと文章の声明を、2つの要素から分析したのです。

 

1つ目は情熱の表れ方、例えば「非常に真剣です」や「全てを捧げています」のような言葉で

(「情熱」という言葉そのものはもちろん含めます)、

2つ目は周到さを証明するもの、

例えば、アイディアを実現させるために必要なものやリソースを発見したことが報告されているかなどです。

 

研究の結果、情熱的な起業家は、資金の目標金額に達する可能性が約3倍となる一方、

周到さは、目に見えていても何の影響もないことが分かったのです。

 

GearUP Sessions: LEAN & TEAM

   
さらに研究では、職業投資家は、ノン・プロの投資家とは全く別の見方をしていることが明らかになりました。

職業投資家は一般的に、起業家の情熱は割り引いて考え、周到さに最も注目するというのです。

ですが、起業家が職業投資家を通さずに一般の投資家に直接アピールするようになっていることを考えれば、

また、一般の投資家が情熱的な起業家を好むというのであれば、起業家がするべきことは自明でしょう。

   
研究チームは、起業家は情熱に頼るべきではないと言っているのではありません。

結局のところ、情熱を前面に押し出さなければ、十分な出資を得られないこともあるでしょう。

ですが、起業家本人の頭の中でも、出資者向けの広報でも、

情熱が過度に強調されるとネガティブ要素となってしまうことが、ままあるのです。

そのかわりに起業家は、情熱を表しながらも、周到さとのバランスをうまく取る必要があります。

適切な人材の確保や、その他、成功を左右する細かい課題にも気をまわしていることを、

明確に伝えていかなければならないのです。

起業家も、起業家を値踏みする投資家も、周到さを欠いた情熱だけでは、

価値は少ないということを意識する必要があるのです。

 

ハーバード・ビジネス・レビュー  2015年 6-8月号)


元記事:http://bit.ly/1Hc3vf9

(翻訳:角田 健)

本:『はみだし者の経済学』

The Misfit Economy: Lessons in Creativity from Pirates, Hackers, Gangsters and Other Informal Entrepreneurs

「はみ出し者の経済学:海賊、ハッカー、ギャング、闇起業家に学ぶ創造力のレッスン」

著者:アレクサ・クレイ、カイラ・メイヤ・フィリップス

 

 

創造力、イノベーション、セールスマンとしての能力、起業家精神は、

どこから学ぶべきなのでしょうか?

本書の著者たちは、驚くようなところから学ぶことができる、と言います。

海賊や密造者、偽造者、詐欺師など、

いわゆる「社会の裏街道」に生きる人々から学べるのだ、と。

世界でもっとも偉大なイノベーターというと、誰を思い浮かべますか?

おそらくスティーブ・ジョブズやトマス・エジソン、

ヘンリー・フォードなどの名前が上がってくるでしょう。

たいていの場合、そうしたものです。

ところが、本書は彼らを取り上げることはありません。

この本が光を当てるのは、誰も聞いたことのないような人々なのです。

それでも読み進むうちに、彼らもジョブズやエジソンやフォードと同様に、

イノベーションをおこない、起業家であり、

新しい世界を夢見るビジョナリストでもあったことがわかってきます。

彼らが活動したのは、人でごった返すシェンチェンのストリートや、

ソマリアの刑務所、洪水で水浸しになったタイの沿岸の街でした。

海賊であったり、コンピューターのハッカーだったり、いたずら者だったり、

元ギャングのリーダーだったりしました。

そんな彼らが世界を股にかけ、暗黒街や裏社会の経済の中で、イノベーションを成し遂げ、

無数の難題を解決していったのです。

こうしたイノベーターたちの実体は、

社会と経済の安定に脅威をもたらす「異端の起業家」像とはほど遠く、

彼らが示した意想外の独創性や、パイオニアならではの方法と実践は、

私たちがおおいに学び、正式な市場においても適用しうるものです。

『はみ出し者の経済学』は、既成の経済の枠からはみ出したところで経済を築き上げた、

非公式なイノベーションの物語です。

隠れた天才たちの姿を検証しながら、問いかけていきます。

未来を見通した、知られざる人々とは、いったい誰なのか?

彼らはどのような働きをしたのか?

彼らはどのように自分たちの組織を創りあげていったのか?

彼らは自分たちのイノベーションの、どのような触媒となっていったのか?

そうして最後に、あなたは、あなた自身の世界に対して、

ここで得た教訓を、どのように活かしていくのでしょうか?

 

 


元記事:http://amzn.to/1SIshWk

(翻訳:服部聡子)

 

 

ビジュアルコンテンツで人を引き寄せる5つのステップ

by レベッカ・ラディス

 

 

ビジュアルコンテンツの影響力の大きさは、誰にも否定できないほどになっています。

フェイスブック、ツイッター、ピンタレスト、グーグルプラスなど、

ビジュアルマーケティングはオンライン上で大きなブームを巻き起こしています。

それも不思議はありません。

ハブスポットの最近のアンケートによると、

回答者の65%が、ビジュアルから情報を得ていることが明らかになりました。

さらに、こんなデータもあります。

ウィザルの研究によると、視聴者は視覚的に見たものに対しては、

80%を記憶に留めておくことができるのに対して、

読んだことについては20%しか、覚えていなかったというのです。

このことを踏まえても、ビジュアルマーケティングがいかに重要であるかわかります。

あなたも以下のことを覚えておいてください。

・思い出しやすい

・正しく伝わりやすい

・覚えやすい

けれども多くのビジネスにとって、ビジュアルマーケティングをうまく取り入れることは、

いまだ課題であるようです。

ビジュアルマーケティングを実践するには、どこで、どのようにして始めるか、

迷っている人も多くいます。

この悩みを解消し、

ソーシャルメディアにおけるビジュアルマーケティングの影響を理解するために、

ハブスポットのチームとマーケット・ドミネーション・メディアが共同で

以下のインフォグラフィックを作成しました。

このデータは驚かせられる内容となっています。

まだビジュアルコンテンツをオンラインマーケティングに取り入れていないのであれば、

大きな利益を逃していることになるでしょう。

今すぐあなたのマーケティングミックスとして取り入れ、

競争力の変化を感じてください。

 

ビジュアルコンテンツで引き寄せる5つのステップ
ビジュアルコンテンツを使ってソーシャルシェアを増やす

43%のソーシャルメディアユーザーは写真を共有しています

・少なくとも一枚の画像を上げることでフェイスブックのシェアが上がります

????????????? ・フェイスブック上に一枚以上の画像のある平均シェア率:64.9%

????????????? ・フェイスブック上に一枚も画像のない平均シェア率:28%

・少なくとも一枚、画像を上げるだけでツイッターのシェアがあがります

????????????? ・ツイッター上に写真画像のある平均シェア率:20.36%

????????????? ・ツイッター上に写真画像のない平均シェア率:9.67%

・インフォグラフィクスがリンクされている場合シェアは他のコンテンツに比べ3倍以上にもなります。

ブランドがビジュアルマーケティングを早期採用した成功例としてナイキを見てみましょう。

特にインスタグラムに顕著に表れていますが、

ビジュアルコンテンツの効果的利用により活発なマーケットでの動きが生み出されました。

以下の画像を見ると、ブランドイメージ、メッセージ広告、

ハッシュタグが効果的な意図と共に提示されているのがわかります。

open bar

強力なビジュアルコンテンツを作る3つのポイント

1. 色の持つ意味を理解しましょう

色から受ける印象は、

商品や提供されるサービスを受け入れるか否かの判断の60%に関係している

ということを知っていますか?

この割合は大きなものです!

消費者が購入する目的やプロセスに影響を与えるだけでなく、

近年のキスメトリクスによる研究では、

色は物事を判断するプロセスにおいて重要な役割を担っていることが分かりました。

それぞれの色に潜む心理学的要素を理解することで消費者の思考を理解し、効果的な色を選ぶことができます。

・会社のソーシャルメディア宣伝戦略を効果的に表現する

・感覚を共有する

・消費者の行動を促す

▲黄:楽天的 オレンジ:親しみやすさ 赤:興奮 紫:知的・創造的
 青:信頼 緑 穏やかさ グレ-:バランス

 2.メッセージを伝えるフォント

あなたのブランドストーリーを伝えるためには、

フォントはとても必要不可欠な要素です。

ハブスポットは、3種類のフォントを使うことで、読者は読みやすくなる、としました。

フォントサイズ

▲見出し:最大で、個性的なものを
 サブタイトル:新しい情報に注意を向ける
 本文:読みやすいものを

私はこの要素を4つに増やしたいと思います。

それは、あなたがどう感じているか、ということです。

フォントを決める時以下の質問を、あなたも自分にたずねてみてください。

・自分の会社は楽しさや、遊び心や、エンターテイメント性や、真面目さや、好奇心など、

 さまざまな側面を持っているか、それとも単純明快か?

・自分のコンテンツは楽しさや、遊び心や、エンターテイメント性や、真面目さや、好奇心など、

 さまざまな側面を持っているか、それとも単純明快か?

あなたの要素はブランディングに要約されます。

フォントはあなたが他人からどのように見られるかを決めるのにとても重要なのです。

 

 3.ソーシャルメディアテンプレートの活用

ソーシャルネットワークはそれぞれ独自のスタイル、テンプレート、デザインを持っています。

各サイトの長所を参考にして、あなたのコンテンツを作成してください。

ソーシャルネットワークそれぞれの、ブランドカバーイメージと

グラフィクスのイメージサイズを参考にしてください。

テンプレート

 

成功するビジュアルコンテンツを作るには

ウェブサイト閲覧者の平均閲覧時間が15秒以下というオンラインの世界では、

どうすれば目に留まるかを知る必要があります。

だからこそ、ビジュアルコンテンツなのです。

あなたももう、ビジュアルコンテンツの必要性が、よくお分かりでしょう?

ではその方法を紹介します!

1. 最高の話題を見つける

オーディエンスの注目を集めたくはないですか?

そのためには、多くの人の関心や、ニーズにピッタリと当てはまるビジュアルコンテンツを、

あなたの専門を強調しつつ、作成してください。

話題になるアイデアのソース:

・キーワード研究

・販売とサポートの裏側

・人気を集めている業界ブログ

・あなたが集めたデータ/リサーチ結果

・専門家の意見

2. 最適なコンテンツの種類を選ぶ

観衆を惹きつけるために最適なコンテンツの種類を選ぶには、以下の点を考慮してください。

インフォグラフィクス

・静止画、動画、インタラクティブなどの3種類があります

・消費者は活字中心のコンテンツよりもインフォグラフィクスを用いたコンテンツを

 30倍も読む傾向があります

・定番のブログ投稿よりもアクセス数を生み出します

画像

・361%の割合で画像が動画よりもツイッター上でツイートされています

・画像は動画よりも128%の割合でリツイートされています

動画

・動画によりビジターが商品やサービスの購入する傾向は64%です

・動画による商品やサービスに対するビジターの理解の向上率は74%です

・ランディングページに動画がある場合は、会話が86%増加します

3. 魅力的で効果的なデザインを考える

以下の要素をよく考えてみてください。

これらの要素は、あなたのビジュアルコンテンツがどのように消費され、

シェアされるかに、大きな関係があります。

・タイポグラフィー

・色彩

・空白

・イラストレーション

・アイコン

・正確さ

・レイアウト

・比較

・コールアウト

・シンプルさ

4. 潜在的なコンテンツ・プロモーターを見つける

あなたのコンテンツをシェアし、宣伝に協力してくれるサポーターは誰でしょうか?

仲間を見つけてください!

サポーターの対象となる人物:

・既存のソーシャルメディア・オーディエンス

・ビジネスパートナーや販売業者

・インフルエンサー

・関連業界のサイトやブログ

・顧客

5. 宣伝戦略を考える

私は一貫して、統合宣伝戦略を主張してきました。

このことには理由があります。

56%のマーケターは何も計画のないままに行動してしまいます。

ノープラン=失敗のはじまりなのです。

▲プランがなければ、コンテンツ・マーケティングの56%が失敗に終わる

戦略アイデア

・ユーザーとの共有

・ブランディング(共同経営や共同ブランディング)

・アウトリーチ(メディア発信源との関係を築く)

・有料ネットワーク網(アウトブレイン、タブーラ)

・ゲストによる投稿

 

最後に

ただコンテンツを作るだけでは十分ではありません、

インパクトを与えるにはマーケティングにビジュアル要素を取り入れる必要があります。

どこに、どうやってビジュアルコンテンツを取り入れるとしても、

今すぐに行動を起こすべきです。

あなたのビジネスの利点とは何でしょうか?

 

 


元記事:http://bit.ly/1AGIsP2

翻訳:横手祐樹

 

働きがいのある職場を作るために

by ブライアン・ソリス

 

 

先ごろ行われたギャラップの調査によると、

アメリカ人の従業員のうち、仕事にやりがいをもって打ち込んでいる人々は

31.7%でしかないことがあきらかになりました。

この衝撃的な結果と、結果が与えたインパクトは、

すでに多くの人の知るところとなっています。

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けれども、私たちはそれが深刻な事態であるらしい、とは思っていても、

そこから先へは進んでいません。

仮に、従業員のわずか13%しか会社のことを気にかけなくなってしまったら、

その会社のビジネスは、果たして成功の見通しを立てられるのでしょうか?

おそらく私たちは、そのことを真剣にとらえようとしていないか、

間違った方向に焦点を当てようとしているのでしょう。

2015年、従業員が感じる「仕事のやりがい」は、

アメリカにとって、そうして未来の仕事にとって

もっとも重要でありながら、誤解されたままになている中心課題のひとつです。

そもそも「仕事のやりがい」とは、実際のところ、何なのでしょうか。

おそらく「エンゲージ・フォー・サクセス」の定義が、一般的なものと言えるでしょう。

 

仕事のやりがいとは、

従業員が組織の目標や価値を高めるために努力をし、

組織の成功に向けて主体的に貢献し、

そのことが同時に、自分の幸福感を強化することができるような

職場のアプローチである。

感動的? いいえ。

つまらない? そのとおり。

別にこの文章を書いた人を悪く言うつもりはないのですが、

これではまるで何かの委員会か機械、ひょっとしたらその両方が書いた文章のように

思えてしまいます。

おそらく言葉の順番、または言葉そのもののせいで、そんな印象を抱くのでしょう。

とはいえ、この定義を見ていると、私たちがインパクトを与えるために、

立ち上がらなければならないことは明らかでしょう。

…人間的なインパクトを。

この定義によれば、「仕事のやりがい」とは

・職場のアプローチ であり、

・従業員が組織の目標や価値を高めるためにする努力 であり、

・組織の成功に向けて主体的に貢献すること であり、

・同時に、自分の幸福感を強化することができる

もののようです。

こうやって文章をバラバラにしてみると、ひと目見ただけで

どうして従業員の多くがこんなにも「仕事のやりがい」を抱くことができないのか、

その根底にある理由がよくわかります。

すべては組織のためであって、人間のためではないからです!

Track Work Near Clark/Division - 2/1

仕事のやりがい、もしくはその欠如とは、もっと大きなもの、

少なくとも、もっと大きくあるべきものの一部にすぎません。

私たちが仕事のやりがいを通して、実際に問題にしなければならないのは、

文化、従業員を中心に置いた、従業員の力となっていくような文化についてなのです。

スタン・スラップは新著

『ボンネットの下で:従業員文化に点火し、ファイン・チューニングしよう』

の中で、この文化のことを、以下のように定義しています。

「文化とは、あなたの従業員が共に抱いている、

生き延びるための、そうして精神的にも幸福であるための信条のことである」

人々が同じ基本的生活状態にあるときはいつでも、

生き延びるためにはどうするのが最適か、信じるところを分かち合い、団結する、

と著者は指摘します。

確かにどの職場でも、従業員は、1日に8-12時間、少なくとも週に5日、毎週、共に働いています。

これは筋の通った話です。

と同時に、人々は、自分が何か重要なことに貢献していると、実感できることを求めています。

さらに自分たちの仕事が、そうして自分たち自身も、経営陣に評価されることをも望んでいるのです。

さまざまな意味で、職場はそこに所属する人々によって、息を吹きこまれるコミュニティです。

そうして、繁栄するコミュニティは、共通の願望や、構成員の利益をはぐくみながら、

共通の理想に力を注ぐところなのです。

ビジョン、目標、そうして目標に到達するために何をし、誰を求めるか、

こうした問題にしっかりと照準を合わせた指導部のいるコミュニティは、

強く、賢く、粘り強く、愛着を持てるところに育っていきます。

Participants in discussion at Social Mediating: Why Integrate Social Media Into Everyday Work?

私は以前、コミュニティのことをこのように定義しました。

 

コミュニティとは、人々がそこに属する、ということを超えて、

人々の所属意識を強めるような活動を、共同でおこなうところである。

職場はコミュニティです。

職場の文化は、そこに所属する人々によって決まっていきます。

人々の抱く一体感から生まれた目標を、みんなが分かち合い、

その向かっていく先に、理想が形づくられるのです。

だからこそ、仕事のやりがいは経営者の側からではなく、

従業員のリーダーシップの中から生まれるのです。

仕事のやりがいとは、私たちの職場をリーダーがどのように形づくるか、

私たちは何をするのか、なぜ私たちはそれをするのか、それにはどういう意味があるのか、

私たちひとりひとりがどのような役割を果たすのか、

今日も、明日も、どんな価値を生み出すのか、という文化なのです。

 

 


元記事:http://linkd.in/1FyGgJw

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

 

 

本:『ボンネットの下で』

Under the Hood: Fire Up and Fine-Tune Your Employee Culture

『エンジンフードの下で:エンプロイー・カルチャーに点火し、ファイン・チューニングしよう』

著者 スタン・スラップ

 

中で売れないものは、外でも売れない

あなたは最高の業績を望んでいますか?

であるなら、エンジンフードを開けて、中をのぞいてみてください。

そこにあなたの会社の従業員文化が見えてくるはずです。

 

企業というエンジンを駆動するのは従業員文化の力です。

地響きを立てながら進む力を利用して、

あなたは従業員文化とは、実際どのようなものなのか、

どうしたら車を前に進ませることができるのか、

こうした謎を、解き明かさなければなりません。

この本は、あなた自身の手で、従業員文化を正しく作動させるためのカギなのです。

ビジネス・カルチャーのエキスパートとして名高いスタン・スラップは、

従業員を理解することと、従業員文化を理解することのちがいを知っています。

その区別は、単に言葉がちがうだけにはとどまりません。

そのちがいこそが、あなたの戦略の成否を分けるのです。

Tuned pontiac under hood

従来の神話を打ち砕くこの本は、

なぜ従業員文化が、それ自身の規則や信念、モチベーションを備えた、

独立した有機体であるのかを明らかにしていきます。

さらに経営計画の成否を(どんな経営者よりもやすやすと)左右する力さえ、備えているのです。

説明責任をうまく果たすことやイノベーションをおこなうこと、

柔軟さ、レジリエンス、エネルギー、ロイヤリティ、信頼などを獲得すること。

スラップは、従業員文化はあなたが望むものをなんでも得ることができる、

として、その方法を教えてくれます。

本書の中で、遠くメソポタミア時代の最初の農民が手伝いを雇ってからというもの、

ずっと経営者を悩ませ続けた難問が解き明かされていきます。

従業員文化が変化に抵抗する本当の理由は?

従業員文化がお金より大切にするものは何なのか?

なぜ従業員文化は、経営者ではなくリーダーに応えるのか?

従業員文化は、どのようにおのずから明らかになるのか。

また経営者にそれが見えてこない、というのは、どういう意味なのか。

なぜ企業が信頼を獲得しようとすることが、最大の脅威となっていくのか?

Hacking Culture Bootcamp @ Waag Society

もしあなたの会社にすばらしい従業員文化がはぐくまれているなら、

この本はそれを拡大するのを助けてくれるでしょう。

もしあなたの会社の従業員文化に問題が起こっているのなら、

この本はそれを改める手助けをしてくれることでしょう。

あなたの会社の従業員文化が、プレッシャーを受けているのなら、

この本は、そのプレッシャーを和らげる助けとなるでしょう。

あなたが会社に投資しているなら、この本はあなたの資産を守ることにつながっていくでしょう。

     
『ボンネットの下で』は、世界中、15,000人を超える従業員に対するアンケートなど、

数多くの調査結果が報告されています。

多くの組織の経営実績を上昇させてきた、独創的な戦術についても、述べられています。

さらに、サムスンやオラクル、プログレッシブ、戦時下のCNN、

ポール・マッカートニーが率いるバンド、スーパー・ボウル撮影班など、

さまざまな組織の従業員文化が描かれた裏話には、

驚かされることでしょう。

それが奥深く、挑発的で、心を打ち、時に感情にまかせて、

スタン・スラップらしいスタイルで、語られていきます。

 

これは単なる経営書ではありません。

人間のビジネス・ケースなのです。

確かに、どんな経営に対するアドバイスより、そちらの方が現実的、

あるいは重要なものなのかもしれません。

 

関連記事:「働きがいのある職場を作るために」


元記事:http://amzn.to/19z5qeB

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

仕事のやりがいに関する3つの嘘 

「やりがいのある仕事」というと、どんな仕事を思い浮かべるでしょうか。
立派な組織に所属して、立派な指導者の下で働けるような仕事?
けれども『GIVE & TAKE 与える人こそ成功する時代』の著者であるアダム・グラントは
そんな通説は嘘だ、といいます。
「仕事のやりがいに関する3つの嘘」とは、いったい何なのでしょうか?
元記事:http://linkd.in/1AHAsI4
by アダム・グラント
 

「砂糖水を売るか、世界を変えるか?」

1980年代、スティーブ・ジョブズは、当時ペプシ社にいたジョン・スカリーを

アップルへ引き抜こうとして、最後にこんな問いかけをしました。

「君は残りの人生を、砂糖水を売って過ごしたいのか、

それとも僕と一緒に世界を変えたくはないのか?」

当時、自分の仕事のやりがいを見つけられるかどうかは、

所属する組織に大きく左右されるものでした。

個人の目的意識も、所属する会社での役割から生じていました。

砂糖水を売ることに、たいした意味はなく、

一方、コンピューターの改革は、きわめてやりがいのある仕事だったのです。

けれども今日、あなたがどこで働いているかは、大きな問題ではありません。

そうして次の10年のうちに、事業主が誰であるかさえ、

誰も気に留めなくなっていくことでしょう。

 

やりがいのある仕事とは

調査によると、今日アメリカで多くの人が考える「やりがいのある仕事」とは以下のものです。

  • 聖職者及び宗教教育・活動の指導者:97%
  • 外科医:94%
  • 初等・中等教育アドミニストレーター:93%
    (※幼稚園や小中学で教育やケア活動を計画・コーディネイトする仕事)
  • カイロ・プラクター:93%

この4種類の仕事には、共通点があります。

そうしてこれらの仕事が、私たちが考える「やりがい」の嘘を、明らかにしてくれるのです。

Corps visits Godley Station Elementary School

 

その1. やりがいはどの組織で働くかで決まる、という嘘

 

やりがいを見つけるためには、アップルのような会社に就職しなければならない、

ということはありません。

上記の「やりがいのある仕事」はいずれも、

特定の組織に所属しなければならないものではなく、

さまざまな場所で働いている人が大勢いる職業です。

 

外科医は、週にいくつもの病院をかけもちしながら働くことも多い仕事です。

教育アドミニストレーターは、学校から学校へと移っていきます。

カイロプラクターも、さまざまな場所で施療します。

仕事は一定ですが、働く組織はさまざま。

つまり、組織ではなく、従事する活動によって識別される仕事です。

ダニエル・ピンクは『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』

の中で、「バイバイ、組織人」と言っていますが、

まさに「どこで働くか」と「やりがい」は無関係なのです。

 

その2. やりがいのある仕事は知的な職業である、という嘘

 

やりがいを見つけるためには、かならずしも知識労働者である必要はありません。

ひょっとしたら、先進工業国では、製造業を中心とする経済から、

知識集約型経済に転換した、という話を聞いたことがあるかもしれませんが、

実際には事実ではありません。

サービス産業が中心の経済なのです。

そうして、この誤解から2番目の嘘が生まれています。

アメリカでは、ほぼ10人のうち3人が、知識労働者です。

一方、サービス産業に従事する人は、アメリカの労働人口の約8割を占めています。

世界のGDPのうち、サービス部門の占める割合は、1980年代半ば以降、ほぼ3分の2を占め、

アメリカでは80%、EUでも73%を占めています。

多くの人が考える「やりがいのある仕事」は、すべてサービス業なのです。

外科医やカイロプラクターは、健康を促進する仕事。

聖職者及び宗教教育・活動の指導者は、精神の健康を。

教育者は、社会と精神の健康を。

もしこうした職業が存在しなかったとしたら、

人間はきっと今よりずっと悲惨なものになっていたでしょう。

つまり、やりがいのある仕事とは、ほかの人の生活を、よりよいものにする仕事なのです。

Frontier Sentinel 12

その3. やりがいは、理想的な上司がいるかどうかによる、という嘘

 

やりがいのある仕事をしようと思えば、スティーブ・ジョブズの下で

働かなければならない、というわけではありません。

目的は、上司が台本を書いてくれるものでも、

カリスマ的な指導者のひらめきによって与えられるものでもないのです。

そうではなく、その仕事に実際に携わっている人によって、形成されていくものです。

研究者であるエイミー・レズネスキーとジェーン・ダットンは、

このことを「ジョブ・クラフティング」と呼びます。

主体的に自分の仕事を活性化するように組み立て直していこう、というのです。

ふたりは、もっと大きなやりがいを求める医師と行動を共にしました。

彼は他の医師たちと相談する時間を削って、

多くの時間をレジデントのために講義をする時間を増やそうとしていました。

さらにふたりは病院の清掃員のグループにも出会いました。

彼らは職務範囲外であるにもかかわらず、患者の世話をするために独創的な方法を見つけ出し、

結果的に自分たちの仕事を、もっとやりがいのあるものにしていたのです。

清掃員のひとりは、昏睡患者のいる病棟で働いていました。

そうして壁の絵を並べ替えることを通じて、患者たちの覚醒をうながそうとしていました。

本来、意味づけるとは、自分を表現する行為であり、

仕事の意味とは、仕事を通して自分が何者なのかを明らかにする機会のことです。

仕事について、何百人という人とのインタビューを終えたスタッズ・ターケルは、

「仕事とは、日々の糧を探すものであるのと同様に、日々の意味を探るものである」

と言いました。

それを見つけるために、自分がどこに所属するかではなく、

自分が実際にやっていることの意味を理解することが大切なのです。

やりがいとは観念ではなく、人と人の結びつきのなかに生きているものです。

そうして、それはどこかから降ってくるものではなく、私たちの底から上がってくるものなのです。

 

 

 


元記事:http://linkd.in/1AHAsI4

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『シンプル・ルール』

Simple Rules: How to Thrive in a Complex World

『 シンプル・ルール:複雑な世界で成功する方法』

著者 ドナルド・サル、 キャサリン・M・アイゼンハート

 

 

自然界でもビジネスでも人生でも、単純さは複雑さを凌駕する

 

私たちは複雑さに取り囲まれています。

メールはひっきりなしに届き、いくつものリモコンを操作し、

スマートフォンの契約書から医療保険まで、

絡み合う規則のジャングルを、切り開きながら進まなければなりません。

    
けれども、複雑さは甘んじて受け入れなければならない運命ではないのです。

サルとアイゼンハートは、もっと良い方法がある、と主張します。

いくつかのシンプルな、けれども効果的なルールを身につけることで、

誰でも、どんなに複雑な問題にも、対処できる、と。

『シンプル・ルール』の中で、サルとアイゼンハートは、

私たちの複雑さに対するとらえ方に対して、疑問を投げかけ、

もっとうまく対処できるように新しいレンズを提供してくれます。

そうして私たちに、シンプルなルールとは何なのか、

シンプルなルールはどこからきたのか、なぜ効果を上げるのか、

驚くような世界へ案内してくれるのです。

著者は、重要な6種類のルールを明らかにします。

芸術家が創造性を得るためのルール。

連邦準備制度理事会が金利を決めるためのルール。

渡り鳥が移動ルートを覚えておくためのルール。

カーシェアリング・サービスをうまく運営するためのルール。

不眠症の人が眠りにつくためのルール。

登山者が安全に登山するためのルール。

Control 2E

    
緻密な研究と、興味深いストーリーを活かしながら、

ティナ・フェイが番組「30ロック」を制作するために、

サタデー・ナイト・ライブでの経験を体系化したルール

(ルール5:バカな人にバカと言ってはいけない)や、

空き巣が作りだした盗みのためのルール(「外に車が留めてある家はやめておく」)、

日本のエンジニアが、東京の鉄道網を最適化するために、粘菌のルールを模倣していることなど、

著者は思いがけないところに独創的な「ルール」を見出していきます。

さらに、新しい情報と、古いルールを改良し、

新しいルールを学ぶ実践的なヒントを披露してくれるのです。

情報の洪水と日々戦っている人、

限られたリソースを活かしながら、なんとかチャンスをものにしようとしている人、

悪習を何とかして改めたい人……

『シンプルなルール』は、単純さが複雑さを、どのように、そうしてなぜ、

手なずけていくのか、見事に解明されています。

 

 


元記事:http://amzn.to/1zMrcqW

(翻訳:服部聡子)

 

「いい人」ではなく、役立つ人になろう 

 

 

馬は人間よりもずっと多くのことを理解している。

毎日、自分の背に、違う生き物を乗せている馬が、

彼らのことを何も考えていないはずがない。

一方、毎日違う生き物の背に乗る人間が、

彼らのことを何も考えていない、というのは、

実によくある話である。

    ダグラス・アダムズ 『ダーク・ジェントリーの全人的探偵事務所』

 

会社の上司や、政治家の「先生方」、顧客の「お偉いさん」。

私たちの身の回りには、「権力」を持った人が大勢います。

――そんな人の目に、自分はどう映っているのだろう?

そんなふうに思ったことはありませんか?

自分は人間ではなく、「道具」や「歯車」としてしか扱われていないのではないか、

と感じたことは?

もしかしたら、そこには「権力のレンズ」がゆがめているのかもしれません。

「権力という度の入ったレンズは、私たちが相手を見、判断するときに、

お互いの姿をゆがめてしまうものです」

 

こう書くのは、ハイディ・グラント・ハルバーソンです。

彼女は近著『誰もわかってくれない場合にすべきこと』の中で、

私たちが気がつかないうちに、さまざまなレンズを通して、ものごとをゆがめて見ている、

と指摘します。

特に上司と部下、顧客と販売員、先生と生徒などの、いわゆる「上下関係」にある人は、

双方が「権力のレンズ」を通して相手を見ています。

このレンズのせいで、意図がうまく伝わらなかったり、誤解されたりして

双方が不満を抱く結果を引き起こしてしまうのです。

こうした事態を打開するためには、どうしたら良いのでしょうか。

World's Best Boss

権力は状況や環境に左右される

 

まず、わきまえておかなければならないのが

「ある人物Xが、あなたより権力を持っている、ということは、絶対にありません」

ということです。

つまり、あなたの上司があなたに対して権力をふるうのは、

「ある特定の状況において、限定された時間に、特定の条件においてのみ」

なのです。

たとえば、会社がなくなってしまったり、あるいはあなたが会社を辞めたりすれば、

上司は、もはやあなたに言うことを聞かせることはできません。

そのことをあなたもわかっているから、理不尽なことを言ってくる上司がいれば、

「辞めてやる!」と思うのですね。

でも、辞めるのはいつでもできること。

そうなる前に、状況を改善する方法をさぐってみましょう。

 

(相対的に)権力のある側は、あなたをどうみているか

さまざまな研究からわかっているのは、

権力を持つ人たちは、権力の無い人たちに対しては複雑で、繊細な考えをもつ必要がないと感じる

ということです。

 

「面接官や職場の上司は、権力を持つという感覚を抱くと、就職希望者や賞与を配分するときに、

固定観念に左右され、偏見を持ちやすくなる、という研究も報告されています」

自分をひとりの人間とは見ず、

「女性だから」とか「二流大学出身者だから」などという粗いくくりで

見なされた経験は、誰にもあることでしょう。

おもしろいことに、実験では、こうした固定観念を通して見る傾向が高いのは、

「リーダーが「任意に」選ばれた場合にのみ、当てはまる」ことが明らかになっています。

 

「リーダーが自身の社会的能力や仕事の適性に対して評価を受けて選ばれた場合は、

このような偏見は見られません」

無能な上司こそ、こうした固定観念を振りかざしてくる、という私たちの実感を、

実験も裏づけているのです。

けれども、こうした上司を私たちは「災難」として、堪え忍ぶしかないのでしょうか?

Watch your head

「権力のある人にあなたのことをしっかりと知ってもらうには、

あなたを知ることが必要であり、有益であるようにする必要があるのです」

とハルバーソンは言います。

あなたを固定観念でしか見ようとしない面接官や上司に対して、

あなたがどんな人であるかをしっかり知ってもらうためには、

あなたの「インストルメンタリティ(どれほど役に立つか)」が鍵になります。

ハルバーソンは以下のように述べています。

 

「権力を持つ人が目的を達成するために、あなたは何ができますか?

あなたをよく知ることで、彼らにとっては何の利益になりますか?

もし、あなたを詳しく知るために彼らが時間と労力を投資するならば、

どのような利益が生まれるでしょうか?

権力を持つ人が目的を達成するために、あなたは何ができますか?

あなたをよく知ることで、彼らにとっては何の利益になりますか?

もし、あなたを詳しく知るために彼らが時間と労力を投資するならば、

どのような利益が生まれるでしょうか?

役に立つ存在であるために、あなたがまず、すべきことは、

自分は権力を持つ人の願望や挑戦を理解しているだろうか? と自問することです。

たとえば、権力を持つ人があなたの上司であるとします。

自分の一年の目標や未来のゴールは知っていても、上司のそれは知っているでしょうか?

上司にとって、他の人からの手助けが一番必要になるのは、どこでしょうか?

どうすればその仕事を手伝うことができるのでしょうか?

上司にとっては、どこが上手く行っていないのでしょうか?

作業の時間配分をするとき、多くの人は柔軟に時間を使うことができません。

自分の上司が手伝いを必要としているときに手を貸せるように、

自分の仕事の優先順位を決めていけば、

あなたがどれほど役に立つ人間であるかは、劇的に知られることでしょう。

そして、役立つ存在であることはもちろんですが、

求められていることをやれば良いだけなのです。

しかし、あなたの存在が、何よりも知られる方法は、

上司が頼む前に、上司が必要としそうなことを準備しておくことです」

大切なのは、いい人になることではなく、役に立つ人になることです。

そうすれば、この「権力のレンズ」をあなたもうまく役立てることができるでしょう。

 

 

引用はすべて

誰もわかってくれない場合にすべきこと


参考:http://bit.ly/1F4cWuw

(翻訳:横手祐樹 責任編集:服部聡子)

本:『誰もわかってくれないときにすべきこと』 

No One Understands You and What to Do About It?

著者 ハイディ・グラント・ハルバーソン

 

 

あなたはこれまで誰かと会話中に、話が通じなかったり、

ちがう意味に受け取られたことはありませんか?

でも、そんな経験があるのは、あなただけではありません。

 

 確かにそれは、うれしいことではありません。

 でも、そんな情況におちいっても、

 何かできることがあるはずです。

 

 社会心理学者であり、ベストセラーの著者でもある

ハイディ・グラント・ハルバーソンは、

どうして誤解が生じるのか、

そうして、どのようにそれを解きほぐしていけば良いのかを明らかにしてくれます。

 

 誰もがゆがんだレンズを通してものを見ている

 

私たちはたいてい、他者が見る自分の姿も、自分が見る自分の姿と同じものだ、

他者は自分のほんとうの姿を見てくれている、と思っています。

ところが実際にはそうではないのです。

私たちの日常の交流は、他者が私たちのことをゆがめて見ている、微妙なバイアスに彩られています。

そうしてまた、そのことが逆に、私たちの相手に対する認識をも、形づくっているのです。

 

ひとたび自分の認識をゆがめているレンズの存在に気づいたら、

自分が相手にどんなメッセージを送っているのか、はっきりと理解できるようになるでしょう。

 

  • 信頼 : あなたは味方か、それとも敵か?
  • 力 : あなたはどのくらい、私に力を及ぼそうとしているのか?
  • エゴ : あなたは私を不安な気持ちにさせているのか?

 

過去数十年の心理学と社会学の研究に基づいて、

ハルバーソンは、こうしたレンズが私たちのやりとりに、どのような影響を及ぼしているのか、

そうして、それをどのようにうまく扱っていけばよいのか、解きあかします。

 

あなたがひとたび〈印象〉の科学を理解したなら、自分の意図したことを、

もっと正確なメッセージとして相手に送ることができるはずです。

その結果、人間関係も好転するでしょう。

さらに、ほかの人に対しても、もっと正確で公平な判断をくだせるようになるでしょう。

 

それだけではありません。

ハルバーソンは、傷つけられた評判を修復するために、科学的根拠に基づく行動プランを

私たちに示してくれています。

 

本書は、良い印象を与えるための本ではありません。

けれども、結果的にあなたが周囲に良い印象を与えることになるのを、手伝ってくれます。

それは、あなたが意図したとおり、正確に、相手に受け入れられる、ということでもあります。

それこそが、私たちが手に入れようと努力している確実性なのです。

 

 

関連記事:「「いい人」ではなく、役立つ人になろう」


?元記事:http://amzn.to/1aFvKDN

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『キャプチボロジー 注目を引くことの科学』

Captivology: The Science of Capturing People’s Attention

著者 ベン・パー

 

あなたのアイデアはもっと注目を集めてもいい

だから人を引きつける秘訣を学ぼう

 

『キャプチボロジー』は、ジャーナリストであり、

起業家、投資家でもあるベン・パーの最新作です。

 

本書でパーが取り上げるのは、「注目」ということ。

注目されることで、どのような効果があるのか、

なぜ注目されなければならないのか、

注目されるためには、

人の心にどのようなトリガーを引き起こさなければならないのか、

さらに、注目されることによって、私たちの情熱や、

プロジェクトや、アイデアは、

どのような変化が生じるのか……など、

さまざまなが明らかにされていきます。

 

パーは「注目」に関する最新の研究と、

科学者や著名人50人以上に及ぶインタビューの結果を引きながら、

本書を展開していきます。

登場するのは、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ、

映画監督のスティーブン・ソダーバーグ、

リンクトインのCEOであるジェフ・ウェイナー、

マジシャンのデビッド・カッパーフィールド、

ベストセラー『内向型人間の時代』の著者スーザン・ケイン、

任天堂の宮本茂など。

いずれもアイデアや企画、また新しい会社や製品などを通じて、

人々の文化や意識に大きな変革をもたらした人々です。

 

その結果、本書は洞察力に富んだ、しかも実践的なものとなりました。

部下や子供たちに仕事の割り当てを変えるにはどうしたら良いか。

数百万ドルの広告費を費やすキャンペーンは、どのように計画すべきか。

つぎのプレゼンテーションは、どのように行うか。

どうすればあなたの製品にユーザーを引きつけることができるのか。

どのように訴えれば、世の中の人々はあなたの主張に同意してくれるのか。

本書はそうした問題に答えてくれます。

 

 

関連記事:「注目を引くための10の方法」

 

 

Ben Parr

Ben Parr :ジャーナリスト、著作家、起業家、ベンチャー・キャピタリスト

       2012年Forbsが選ぶ「30歳以下の30人」に選ばれる


元記事:http://amzn.to/1AUrF6I

 

(翻訳:服部聡子)