集客におけるインターネットの利便性を、今一度見直す

こんにちは、トイアンナです。「インターネットは便利だ」と広まってから十年以上がすぎ、今更インターネットの優位性について語られることは減ってきたかと思います。

しかし印刷、医療、アパレルのようなローテク産業へ従事する方にとって、まだ「どのようにインターネットを活用すれば集客や売上へつながるか」はまだ知られていない面があるように思われます。大手百貨店でも顧客情報を昔ながらのバインダーで保管しているところは少なくありませんし、地域医療を担う病院や歯科医院が数十万円も払ってわざわざ自前のウェブサイトを作ることへ疑問を抱くことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ネットを集客で使う最大の利便性についてご案内いたします。

  • 従来の広告は割高にできている

     

日本の起業家、とくに地方にお勤めの方にとって宣伝を意識されるときに最初にとられる手段はDM(ダイレクトメール)、それも紙のDMではないかと思います。そして一度でもDMを発行された方であれば、そのコストが割高なことに辟易されたのではないでしょうか。

たとえば私の親はアーティストをしており、今月百貨店で個展をいたしました。その際に合計500部のDMと、リーフレット1,000枚を配布しました。フルカラーの印刷のため、これだけでも合計30万円ほどはかかる見込みです。

しかしこのDMを近隣のマンションへ配布したところで、何パーセントが実際にお越しいただけるでしょうか? おそらく関心を持つのが10%、実際に購入へ至るのがさらに1割程度でしょう。1,500枚もの紙を配っても、購入へ至るのはよくて15名。となれば、価格を無理にでも上げなければ広告の元が取れない計算となります。

  • ネット広告のコスト削減

一方、ネットでは最初にデザインを作ってしまえば、あとは何度でも広告を簡単に更新できます。新しい個展を開くにせよ、告知ページを無料で作ることができるのです。定期的な読者さえいれば、新しいコストをかけなくとも展示へ人が集まります。

もちろん「定期的に自社サイトへ来てくれる読者」を作るために自社のページを頻繁に更新する必要はあるのですが、社長自らがその作業を行う必然性はありません。

ブログを書くのが好きな人、普段からSNSを更新している人を社員から発掘し、活用するだけで十分に効果を発揮できるのです。

  • ネットを活用すれば、まだ差別化ができる

 

そして、ネットを活用すれば差別化できる業界はまだ多く残っています。猫も杓子も業者がネットで告知するようになったのは、都心部だけに限定されます。地方ではいまだにチラシやDMを主たる手段とした告知が一般的で、「ネットを使う」だけでも追加の集客を見込めます。

すでにネットでの集客が一般化した都心部においても、ツイッターやインスタグラムなどのSNSを活用した集客をなさる業者はいまだ限られています。といっても、むやみにアカウントを開設して「こんにちは!〇〇です!XX市の歯医者ならぜひうちへ!」と発信しても顧客は集まりません。SNSではより「親近感を感じる、カジュアルな」コミュニケーションが好まれるからです。

以下へ実際にSNSの活用で売上を伸ばしている企業の例を掲載します。ご覧いただければ大手企業でも驚くほどフレンドリーな対話を顧客としていることに驚かれることでしょう。これからの集客を考える上で、参考にしていただければ幸いです。

SHARP
SHARPは経営悪化が叫ばれる時期にあえて擬人化したキャラクターをSNSで打ち出すことに成功しました。その結果、「SHARPさん」と呼ばれるほどブランドへの好感度が増し、昨今のV字回復へいたる礎を作ることができました。

タニタ
SHARPに比べてマイナーな企業である体重計を主につくるメーカー「タニタ」は、他の大企業とネット上で積極的にコラボレーションを展開し、成功を収めました。具体的には上述のSHARPの担当者と温泉旅行へ行きそのようすを中継するなど、公式アカウントでは見られにくいフランクさでファンを多数獲得するにいたりました。

上馬キリスト教会
通常なら忌避されやすい宗教の集客においても成功したのが上馬キリスト教会です。「宗教=怪しい」というネガティブなイメージを払拭するかのごとく、キリスト教のネタを使ったジョークを発信することで教会への今までにない集客を実現しています。

  • ネットを活用する上での注意点

     

さて「ネットで集客しよう」と考えられた方にとって、まずは何から始めればいいか……というのは当然直面する課題かと思います。そして「どうせ分からないだろうから」とあなたへ群がる悪徳業者が多いのも事実です。

「ネット集客コンサルタント」「オンラインマーケティング」といった、横文字の専門家へ依頼したくなる気持ちはぐっとこらえてください。まずは腰を落ち着けて、書籍を数冊読まれることをお勧めいたします。ネットは新しい道具ではありますが、必ず成功する魔法ではありません。正しい使い方を知ってから、適切な業者を選ぶことをおすすめいたします。

 

 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

集客の「見込み客」は少なければ少ないほどよい。適切な売上の作り方

こんにちは、トイアンナです。
エステ、歯科、印刷会社など、集客では必ず「見込み客」へアプローチします。しかしこの「見込み客」が一体誰なのかを突き詰めている企業は恐ろしく少ないのが現状です。

大手企業ですら「見込み客」の判定が甘い

私がこれまでヒアリングしてきた企業では、見込み客を「1度会社へ問い合わせてきた顧客」と定義していました。確かに、自社へすでに興味を持ってきてくれた時点でサービスを検討してすらいない顧客と比べれば「見込み」はあるでしょう。

しかし全体の何パーセントが「本当の顧客」になってくれているでしょうか?

問い合わせをしてくれた顧客でも属性によって集客できる確率が高いターゲットと、ほぼ諦めた方がよい相手がいたはずです。さらには、集客・購買へつながるタイミングもそれぞれの顧客で大きく異なったでしょう。

お問い合わせくださった人を「見込み客」という一言でくくり、同じようなフォローアップをしても相手の心は動きません。見込み客から本当の顧客、ひいては御社の大ファンを作るには最初のフォローが差を作るのです。

ケーススタディ 靴の購買

ここからは実際の例をもとに、見込み客への対応をご紹介します。自分の例で恐縮ですが、私は以前、靴のオーダーメイドを検討したことがあります。その際、下記のような流れで購入先を検討しました。

  1.  オシャレなオーダーメイド靴が欲しいけれど、どのブランドがいいか分からない
  2.  まずは「オーダーメイド 靴」で検索して何社か問い合わせよう
  3.  問い合わせ後のカタログを見ても「足に優しい」「歩きやすい」靴ばかりだな
  4.  オシャレな靴の事例がどこにもないからオーダーは1度諦めよう

もしこの段階で「オシャレなオーダーメイド靴、あります」というアプローチが1件でもあれば、私はそこで靴を購入したはずです。

しかし、ここで「オシャレな靴が欲しい」というニーズに対するフォローアップは一切行われませんでした。問い合わせた企業からのメールはありましたが、すべて「今ならお安くできます」「何かお悩みでしたらご相談ください」と言った見当違いなメッセージばかりだったからです。

「お悩みでしたらご相談ください」というメッセージに対して「オシャレな靴が御社のウェブサイトに見当たらないんですが、何かもう少しマシなデザインはありますか」なんて不遜なメッセージを送る顧客は少数派でしょう。

そこで私は、別ルートから情報を集めます。

5. 友達から聞いて、ハイブランドの事例を知ったから調べてみよう
6. オシャレな靴が見つかったから、ハイブランドのオーダーメイド靴にしよう

こうして、私は最終的に大手のシューズブランドで靴を購買してしまいました。

どうすれば「見込み客」を取れるのか?

オーダーメイド靴はもともと購入意欲の高い顧客が多いため、大手ブランドに対して、中小企業も戦えるフィールドです。

もし私がオーダーメイド靴のマーケティングを担当するのであれば、まずは一度オーダーメイド靴の購入を諦めるタイミングを探します。おそらく諦める理由は「価格」と「オシャレな靴がない」ことですから、それぞれに刺さるアプローチを取ったでしょう。

たとえば相場からかなり低い価格でのお見積りを検討していた顧客へは、「弊社なら20年使える靴が、〇万円で手に入ります。 毎年履き捨てている靴と比べて、どちらがあなたにふさわしいと思いますか?」といったコミュニケーションで、一見高く見えるオーダーメイド靴の「長く使える安さ」をアピールします。

そして予算は相場と同じくらいで考えている顧客ながらも、「トレンド」「ファッション」といった項目を重視していた顧客に対しては、流行を押さえたオーダーメイド靴を提案するでしょう。

もし自社の強みがデザイン性ならば、思い切って前者の「価格が安い靴」を探す顧客は切り捨てても構いません。自社の強みで心を動かしてくれる顧客の方が、長くお付き合いできる可能性も高いからです。見込み客は絞り込みすぎて、少なすぎるくらいがちょうどよいのです。

このように単なる「お問い合わせ客」を見込み客としてカウントするのではなく属性やニーズによって分類し、より自社で購入してくれそうな客を狙うことで「お問い合わせ客」は「見込み客」へ進化します。

見込み客の分析を始めよう

ではどうやって単なる「お問い合わせ客」を「見込み客」として絞り込めばよいでしょうか。まずは、自社へ届いたお問い合わせ客の一覧を下記3点で整理しましょう。

  1. その客はなぜ問い合わせてきたのか
  2. どのような思考の流れをたどって購入へたどり着くか
  3. 他社も含めて検討し「一度購入を諦める」のはいつか

これらを整理してフォローアップ施策を取れば、効率的に集客へつなげられるはずです。何万通もメールを送り、配送システムにお金をかけるのはやめましょう。お問い合わせ客を絞り込み、最低限のメール数で見込み客を拾い上げてください。

 

 

 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

「顧客が欲しているから」と全部与えてはいけません。マーケティングのニーズを考えるヒント

こんにちは、トイアンナです。
顧客が欲しているモノを、マーケティングでは「ニーズ」と呼びます。ニーズを満たすことは、売上の至上命題。マーケティングとは「ニーズに始まり、ニーズに終わる」といっても過言ではありません。しかし、お客様へお話を伺っただけでペラペラとニーズを教えてもらえることは、ほとんどありません。

というのも、多くのお客様は「ウソ」をつくからです。

「インサイト」を復習しよう

気分が悪くなるたとえで申し訳ございませんが……たとえば「今年、新しい夫と再婚した。前夫との子も家にいるが正直疎ましい。できるだけ家の外にいてくれれば、夫とふたりきりで過ごせるのに」と考える女性がいたとします。

果たしてこの女性は、ヒアリング調査で本音を答えてくれるでしょうか?

答えはもちろん、否、でしょう。「自分の子どもが疎ましい」「できるだけ家の外にいてくれれば夫と過ごせる」という気持ちは、社会的にとうてい認められない感情だからです。

したがって、この女性はこんな相談をあなたへしてくるでしょう。
「うちの子ももう中学生だから、そろそろ塾へ通わせたいんだけど」
「可愛い子には旅をさせよというじゃない。夏休みを利用した交換留学ってどうかしら」

そこであなたが短期間で効率的に学習できる塾や留学先を選び抜いたとしても、感謝してもらえないことでしょう。なぜならこの女性のニーズは「できるだけ長期間、子どもを外へやれるサービス」だからです。

人は本音のニーズをなかなか声には出しません。このように人が表立っては言えない、隠れたニーズのことを「インサイト」と呼びます。

「顧客が欲している」ものは、えてして表層的な嘘です。そのままのサービスを与えても、売上に変化はないでしょう。

インサイトを見つけるには、仮説を準備しよう

では本音のニーズこと、インサイトを見つけるにはどうすべきでしょうか。この記事ではインサイトへ近づく「ヒアリングのやりかた」をご案内します。

まず、ヒアリング調査を実施する前に「仮説」を用意してください。

たとえばあなたが地域の塾を運営しているとしましょう。塾のニーズとして、どんなものがあるか親の気持ちになりきって想像します。

ここでは私が仮説として3つのニーズを想定しました。
仮説1 子供を塾へやりたい親は、子どもの成績を純粋に心配している
仮説2 子どもを塾へやりたい親は、子どものいない時間を満喫したい
仮説3 子どもを塾へやりたい親は、なるべく長時間預けて高みを目指させたい

仮説が出来上がったら、それを「検証」するためにはどんな質問をすべきだろうか?と考えてみてください。実際に仮説ごとの質問例をご紹介します。

仮説1 「子供を塾へやりたい親は、子どもの成績を純粋に心配している」を検証したいときのヒアリング質問例
1日1時間の塾で、偏差値が20上がる塾があったらどう活用したいですか?
この質問では、成績と子供が早く帰宅することをセットにすることで「長時間預けたい」親の可能性を排除します。親が「だったら早く帰ってきてくれて成績も上がるしありがたい」と答えるなら、その親は子供の成績を純粋に心配しているだけだ、と言えるでしょう。

仮説2 「子どもを塾へやりたい親は、子どものいない時間を満喫したい」を検証したいときのヒアリング質問例
親をやっていると、自分の時間がなくてしんどいと感じますか?
この質問では親が子育てに抱えている苦労や不満を確認することができます。特に仮説1と併せて質問すれば、自分の時間がもっとほしい、と親がヒアリングでおっしゃるなら「子供を塾へ長時間預けること」が成績アップよりも優先したい項目なのかどうかがわかります。

仮説3 「子どもを塾へやりたい親は、なるべく長時間預けて高みを目指させたい」を検証したいときのヒアリング質問例
塾へ長時間預けたくても経済的に悩まれることはありますか?
たとえ仮説1、仮説2の質問で「子供の成績を純粋にあげたい」と結論づけたとしても、トップ校進学をさせるために長時間預けたいというニーズがあるかもしれません。その場合親御さんが考えるのはコストのお悩みです。有名塾なら月10万円単位なこともあります。この質問では「子供の学力を純粋に上げてもらうために長時間預けたくても預けられない。有名塾と同じクオリティでもっと安い塾があればいいのに」というインサイトが見つかるかもしれません。

優れたインサイトは、優れた製品につながる

このように優れた仮説を用意できれば、インサイトへ近づきやすくなります。すぐれたインサイトが見つかれば「じゃあ、弊社では○○を差別化して新しい製品・サービスを作ろう」と策が浮かぶものです。インサイトを掘り起こし、適切なサービスを提供できるかどうかは
あなたの仮説力にかかっています。ぜひ、質の高いヒアリング調査をお試しください。

 

 

 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

顧客を友とするなら、従業員は友になりえない。マーケティングを志す覚悟

こんにちは、トイアンナです。
私はこれまで起業を3回ほど経営しており、中小らしく資金繰りに奔走してまいりました。一度会社員を経験してから経営者と比較してみると、経営の仕事の「主」は資金調達だなとしみじみさせられます。

さて、資金調達にはVCからの投資や株式売買などさまざまな手法がありますが、その中で「顧客の方を向き、売上を上げる」のがマーケティングです。企業は資金を手に入れても最終的に売上・利益へ還元できなければ立ちゆきません。ですから企業とは「顧客を最優先にせざるをえない」組織です。

もし経営者が株主のことだけを考えるなら、粗悪な製品を高く売った方が利益率も上がり還元できる額も増えます。しかし経営者が毎回そうしないのは、長期的な利益に反すること、すなわち顧客からそっぽを向かれると分かっているからです。その代わりに経営者は「マーケティング」を使って売上と利益を上げようとするのです。

 顧客を最上の友とするならば、そうでなくなる相手もいる

マーケティングの天才、ジェイ・エイブラハムは、顧客を「かけがえのない友人のように扱え」と言います。自社製品をやみくもに「売りつける」のではなく、どうすれば相手の本当の望みを果たせるか心を尽くすこと。それがどれほど重要かは、経営者ならだれもがご存知でしょう。

しかし顧客を最上の友にするということは「最上の友にしない相手」を決めることでもあります。戦略は常に優先順位を定めることであり、「みんなお友達」というわけにはいかないからです。

冒頭の例に出した株主は多額の利益を還元してもらえるにも関わらず、顧客が目にする広告宣伝費や、将来の研究開発へ利益を回すことを許さねばなりません。短期的には損失扱いになるけれど、長期的に企業の株価を上げるにはこれしかない、と株主を説得せねばならないのです。

 従業員へ「お客様を最優先にさせる」難しさ

従業員も同様です。人件費へ還元できるほど稼いでいても「来年の製品をもっとよくしよう」「お客様から話を伺う調査費にしよう」と他のコストへ使ってもわらねばなりません。さらに言えば、そのことを誇りに思い、顧客へプレゼンせねばならないのです。

従業員は給与のために働いているのですから、マーケティングを重視して広告や調査、研究に予算を使うことは彼らの利益に反します。従業員は経営者ではないのですから「こんなことに金を使うなら、ボーナスをちょうだいよ」と思うのが普通でしょう。そして、もっと高い給与がある会社へ離職する方も出るでしょう。

ではそれでもなぜ、マーケティングをするのか。それはマーケティング・スキルを使いこなせば長く勝てる企業になるからです。長く勝てれば、従業員へ報いることができます。長く自社へ残ってくれた社員へ給与で見返りを渡すことができるのです。

さらに申し上げれば、従業員は自社を知る「最初の顧客」でもあります。自社を誇りに思ってもらい、自社製品・サービスを愛し、拡散してもらう。その従業員へ報いたいのであれば、最初に人件費を削ってでもマーケティングへ資金を割きましょう。投資家、株主、従業員へ報いたいなら、まずは顧客の方を向き戦略を立てること。この優先順位が崩れるならば、今は売れている製品も、数年後には暗雲立ち込めることでしょう。

 それでもなぜ、マーケティングをするのか

口だけで「マーケティングを重視する」「お客様第一主義」と語ることはできます。しかし徹頭徹尾それを実現するということは、他のプレーヤーを最優先にしない、という覚悟が必要です。

「短期的に割引や短い納期で勝つよりも、200年残る会社を作る」
「真に顧客から愛され、広告宣伝費がゼロでも従業員を食べさせる会社になる」
「来期だけではなく、10年株主へ報いられる企業になる」

それが、マーケティングの存在意義です。

もちろん、10年後に勝つためには今期、そして来期も成長せねばなりません。いきなり10年後、ポンと利益が降ってくることはないのです。しかし「割引セール」「大安売り」など目先の手段を愛用するだけでは、あなたの会社は残りません。

価格とは違う観点で「ここの製品・サービスは違う」と思っていただくこと。そのためには機能で実際に差をつけるだけでなく、それを顧客に認知してもらい、愛してもらわねばなりません。良いものを作れば売れる、そう信じられるのは最初の100人へ商品を売るときだけです。それ以上の市場に打って出るには「知られる」「愛される」「購入される」「リピートされる」のすべてに戦略を立てねばなりません。

そのためにもジェイ・エイブラハムが提唱したビジネスを大きくする3つの原則「顧客を増やすか」「使用頻度を上げる」「単価を上げる」手法をマーケティングを通じ、考えていくべきなのです。言葉だけの「お客様第一」を脱却するためにも、マーケティングを学び、使いこなしてください。
 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

千秋育子さんインタビュー

島藤真澄インタビューシリーズ:千秋育子さん(イラストレーター)

今回は世界的に活躍されているイラストレーターの千秋育子さんに
お話をうかがいます。

スタートからどのように仕事をしていったか、
プレゼンのやり方、イラストというお仕事についてなど、興味深い話が続いていきます。


 

 

起業前にやっておくべき5つのこと

(※この記事はhttps://www.linkedin.com/pulse/5-must-dos-before-becoming-entrepreneur-j-t-o-donnell/を翻訳したものです)

by J・T・オドネル

多くの社会人が、やりきれない思いを抱えながら、今日も仕事をしています。あなたもそのひとりではありませんか?

先のギャラップ調査によると、労働人口の87%が自分の仕事に「やりがいを持てない」と感じている(言葉を換えると、楽しんではいない)ことがわかりました。こうした人々の多くは、いつか起業する日が来るのを夢見ているのではないでしょうか。
みんな、雇い主のために働くことを、金でできた鎖につながれたように感じ、どこかでうんざりしているのでしょう。不満を抱えた社員のかなりの数の人々が、自分のために働き、コントロールしているのは自分だと実感する日を空想するのです。

けれども、仕事を辞めて、フルタイムの起業家になる前に……
私はこのことをお聞きしたいと思います。

では、どうしてスタートアップの90%が失敗しているのでしょうか?
フォーブスの記事によると、アメリカでは新規事業の90%が失敗しているということです。どうしてなのでしょうか?

それは、多くの人が、立ち上げの時期を生き延びる準備ができていないからです。そのために多くの人々が生計を支えることができなくなってしまうのです。

ものやサービスを売ることは、多くの人が考えるより、大変なことです。起業家も情熱だけでは成功できません。

先日、私は「ユー・ユニバーシティ」のポッドキャストで、創設者のマイケル・ペッグズからインタビューを受けました。その中で、私たちは起業までの道のりについてや、自分が「私の仕事」であると実感することが、のちに起業家へと成長していく上で助けになることについて、話し合いました。

「私の仕事」を成功させるために何が必要か、ということや、どうして私が起業家になろうと思うようになったかを話しながら、私は、野心的な起業家が全員、会社を立ち上げる前にやっていたことについて、考えさせられたのです。

そのときの話はさておいて…

ここでは、そこから5つのアドバイスをお送りしましょう。

1. できるだけたくさん貯金をしておくこと

すくなくとも給与1年分、できれば2年分が必要です。事業を起こすのにかかりきりになる間、収入の心配をしないですむようにしておくのです。
起業時に、金銭的に余裕があればあるほど、受けるストレスも少なくてすみますし、そうなれば肝心のビジネスでも、良い決断を下しやすくなります。

2.あなたの情熱と、人々が抱えている問題が交差する地点を見きわめる

すべては需要と供給の関係にあります。
お客様が買いたいと思うものをあなたが提供できなければ、うまくやっていくことはできません。
反面、あなたが起業家になることを選んだのは、好きなことがやりたいという情熱があったからです。

解決策は、この両方のベクトルが交わるところを探すことです。
あなたの情熱と、人々が抱える問題が交差する地点を見きわめられれば、あなたは価値のある、しっかりした提案をもって、あなたのビジネスをスタートさせることができるでしょう。

3. あなたのネットワークのために働く

ビジネスをうまくスタートさせるためには、できるだけ大きな支援の輪が必要です。専門家や同僚、友人、家族からなる、広汎なネットワークが不可欠なのです。

起業家としての船出に際して、周囲の人々に支援を要請する時のために、あなたは彼らの要求に応えることで、「信用の貯金」をしておく必要があります。それが「ネットワークのために働く」ということなのです。

あらゆる機会を通じて、周囲の人々の助けになる方法を、知っておきましょう。そうすれば、みんなもあなたのことを大切に思い、信頼してくれるはずです。たとえば…

  • 周囲の人と必要な情報やリソースを分かちあう
  • 空いた時間をボランティア活動にあてる
  • あなたのネットワークに属する人が、互いに親しくなれるように手助けする

これらはほんの一例ですが、あなたが今日、ネットワークのために働いておけば、明日はネットワークがあなたのために働いてくれることを忘れないでください。

4.あなたの「起業までの道のり」のストーリーを作る

これは、起業家として成功するためには、不可欠の要素です。成功した会社にはかならず、すばらしいストーリーがあります。とりわけ起業家は、その物語を熱意と確信をこめて語ることができます。

紆余曲折に満ちた物語でなければなりません。感動を呼び、人々が夢中になり、行動を起こしたくなるような。何より大切なのは、誰もがあなたのビジネスが成功するよう、応援せずにはいられなくなるようなストーリーであることです。

あなたが起業家として成功したいなら、あなたの「起業までの道のり」は、細部まで明確で、うまく語られなければなりません。自分のストーリーをおもしろく語る方法を学ぶことが重要になってくるのです。
まずはストーリーの細部をはっきりさせ、確かなものにすることから始めて、感情に訴えかける山場を作ります。

5. あなたのストーリーをシェアする ― できるだけ大勢の人と!

あなたのストーリーができたら、今度はそれをみんなに知ってもらわなければなりません! 同僚や、家族や、友だちとシェアしましょう。オンラインでも、オフラインでも、できるだけ大勢の人と。あなたのストーリーを話す相手は、多ければ多いほどいいのです。

あなたがビジネスを始めるらしい、という評判を取っておくことが重要です。どうしてあなたが熱意を持って会社を設立しようとしているのか理解してもらえれば、みんなあなたを支えてくれます。けれども、そのことはあなたが語って聞かせなければ、誰にもわかってもらえないのです!

ここにあげた5つの秘訣が、あなたがいつの日か旧態依然の職場を離れ、起業という船出を果たす助けになることを、願ってやみません。

自分の会社を運営することは、苦労するだけの報いがあります。ただし、それもうまくやってのけてこそ、なのです。もちろん困難なことや紆余曲折があるでしょうが、あらかじめできる準備をしておけば、失敗のリスクを抑えることになるはずです。

上にあげた5つは、おそらくその助けになるでしょう。

幸運を祈っています。


元記事:http://linkd.in/1Cun9yB
(翻訳:服部聡子)

米国ベストセラー:『Hit Refresh』

(※この記事はhttps://www.amazon.com/Hit-Refresh-Rediscover-Microsofts-Everyone-ebook/dp/B01HOT5SQAを翻訳したものです)

Hit Refresh: The Quest to Rediscover Microsoft’s Soul and Imagine a Better Future for Everyone

『ヒット・リフレッシュ:マイクロソフトの魂を再発見し、よりよい未来を想像するための探求』
著者:サティア・ナデラ

――『ヒット・リフレッシュ』の根底にあるテーマは、私たち人間と、私たちが共感と呼ぶ独自の性質についてである。テクノロジーの急流が現状をかつてないほど激変させるであろう世界において、共感はこれまで以上に重要になる。」-本書より

――サティアは、テクノロジーによってもたらされた難題に正面から立ち向かいながらも、同時にチャンスを最大限に活用する方向へ導いてくれる。-ビル・ゲイツ(本書序文より)

『ヒット・リフレッシュ』のテーマは、私たち個々人の変化についてです。
そして、マイクロソフト社内において起こっている変革や、すぐに私たちの生活にも影響を及ぼすであろうテクノロジー、つまり人工知能、複合現実感、量子計算といった人類が経験してきた中で最も刺激的で破壊的なテクノロジーの波の到来についてでもあります。同時に、人々や組織、社会が、新しいエネルギー、新しいアイディア、そして絶え間ない変化とそれへの対応のあくなき探求において、どのように変革し「更新する」ことができるか、またするべきであるか、についてでもあります。

マイクロソフト社のCEOが、インドで過ごした自らの子ども時代から始まり、このデジタル時代において、いくつもの重要なテクノロジーの変化を導くに至った道のりをたどりながら、マイクロソフト社の絶え間ない変革にまつわる知られざるエピソードについて語ります。

サティア・ナデラは、アメリカへ移住する前の興味深い子ども時代からこれまでに、どのようにリーダーシップを学んできたのかを振り返ります。さらに、聡明なビル・ゲイツやエネルギッシュなスティーブ・バルマーといった前任者と比べるとほとんど知られていない存在である彼が、マイクロソフト社の現職のCEOの座にあることについての深い思索を語ります。そして、マイクロソフト社がどのようにその魂を再認識し、文化から熾烈な競争環境、産業パートナーシップまでの全てを変革したのかという知られざるエピソードを語るのです。人道主義者であると同時にエンジニアであり経営者でもあるナデラは、次に来るテクノロジーの波についての自身の展望と、それによる社会への潜在的な影響を探り、世界的なリーダーたちへ行動を呼びかけて締めくくります。

「アイディアは私をわくわくさせる」と、ナデラは言います。「共感は私の土台であり、軸でもある」とも。
改善を探求し、信念を持って考え抜くリーダーは、振り返りや内省、助言をもとに、彼自身や著名な企業、そして社会に向けた一つの道筋を示しています。


元記事:https://www.amazon.com/Hit-Refresh-Rediscover-Microsofts-Everyone-ebook/dp/B01HOT5SQA
(翻訳:高橋裕子)

ラリー・ペイジやイーロン・マスクが恐れたもの

(※この記事はhttps://www.linkedin.com/pulse/overcome-fear-failure-instead-adam-grant/?trk=prof-postを翻訳したものです)

by アダム・グラント

仮にあなたが計算をしてみるならば、起業家になるなど正気の沙汰ではないと思えるでしょう。
 成功する確率たるや、微々たるもの。失敗が約束されている、と言ってもいいかもしれません。
そんな世界へ踏み出そうとするのは、よほど恐れを知らない人なのだろう…。
 以前の私はそう思っていました。

過去3年間、私は『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』の執筆に取り組んでいました。この本は、創造性を推し進め、世界を変えようとする、斬新なアイデアを生み出す人々を取り上げています。その過程で私は、現代のきわめて独創的な起業家の足跡を追っていきました。ラリー・ペイジ、イーロン・マスク、ジャック・ドーシー、マーク・キューバンという、テクノロジーの分野で偶像視される人々と、ひざを交えて話し合ったのです。

彼らに起業間もない時期のことを振り返ってもらったのですが、彼らの返答は、私にとって、まったく思いがけないものでした。彼ら全員が、私たちの誰もが感じている失敗への恐怖を抱いていたのです。単にそれに対する反応が、異なっていただけだったのです。
私たちの多くは、失敗の恐怖にとらわれたとき、大胆なアイデアは避けようとします。独創的であるよりは、安全策を選んで、従来と同様の商品、慣れ親しんだサービスを販売しようとします。
ところが偉大な起業家は、失敗の恐怖に対して、異なった反応を示すのです。確かに彼らも失敗は恐れます。けれども、失敗を恐れて挑戦しないことの方を、もっと恐れるのです。
仕事でも、人生でも、恐れには2種類のものがあります。行動することの恐れと、行動しないことの恐れです。起業して失敗するかもしれません。けれども、起業せず、失敗するかもしれないのです。土壇場で結婚相手に逃げられるかもしれませんが、かといってプロポーズせずに後悔するかもしれません。
ほとんどの人は、アクションを起こして後悔することの方が多いと考えます。破産宣告や、生涯の愛を拒否されることからくる耐え難い苦しみを思うと、ひるんでしまうのです。
 けれども、それはとんでもない間違いです。
人が人生を振り返って後悔するのは、やらなかったこと、行動しなかったことに対してです。
心理学者のトム・ギロビッチとビッキー・メドベックはこのようにまとめています。
長い目で見れば、どのような年代であれ、どのような分野であれ、人間はやったことを後悔するより、やらなかったことを後悔するようです。だからこそ、なぜ大学へ行かなかったのか、とか、ビジネスチャンスをつかまなかったのか、家族や友人ともっと時間を過ごさなかったのか、といった後悔を、多くの人が抱いているのでしょう。
 結局のところ、私たちが何よりも後悔するのは、失敗することではなく、行動する機会を逸することなのです。
それを踏まえれば、どうして人は独創的になるのかわかってきます。レオナルド・ダ・ビンチは繰り返し、ノートにこう書きました。
 「まだ手を付けたことがないものが、どこかにないだろうか」
 おそらく彼も失敗することを恐れていたでしょうが、それよりも、重要なことを成し遂げられないことの方を恐れたにちがいありません。その恐れに駆り立てられて、ダ・ビンチは絵を描き続け、発明し、設計し、究極のルネサンス的教養人となっていったのです。
ダ・ビンチは私にインタビューをさせてはくれませんでした。けれども私が会った起業家たちは、みんな、失敗することは怖くない、重要なことをしないことが怖いのだ、と繰り返し言いました。
そのために彼らは努力を続け、新しいアイデアの実現にトライし続けるのです。
独創的な人々は、失敗を、自分のアイデアが失敗する証拠だととらえる代わりに、成功へ向かうための必要な段階だととらえます。
私たちは、成功よりも失敗から学ぶのです
 たとえば、スペースシャトルは失敗に終わった打ち上げを経験してから、周回軌道に乗る可能性が高くなるのです。失敗することによって、知識の欠けている点や、戦略が正しくないことが明らかになり、私たちは計画段階に戻って、その点を修正しようという気持ちになるのです。
失敗がないと、自己満足が忍び寄ってきます。NASAの場合は、24回の宇宙飛行の成功が過信につながり、チャレンジャーの事故が起こりました。
物理学者のリチャード・ファインマンは、このように考えています。
 「彼らの頭の中では、悪いことなど起こるはずがなかったのだ」
独創的なアイデアというものは、失敗は不可避です。というのも、テクノロジーがどのように進化するか、好みがどう変わっていくか、と予想することは不可能だからです。
マーク・キューバンはUberへの出資を見送りました。
初期のグーグルでは、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、検索エンジンを200万ドル以下で売り出そうとしたものの、買い手は現れませんでした。
『ハリー・ポッター』を持ち込まれた出版社は、児童書にしては長すぎるという理由で出版を拒否しました。
 TV局の重役は「となりのサインフェルド」はプロット・ラインが不十分で、登場人物が好ましくない、という結論を出しました。主役のジェリー・サインフェルドのバスルームに行けば、「となりのサインフェルド」のパイロット版のエピソードが、「弱い」「どのような観客層も、また観たいとは思わないだろう」というメモが
壁にかけてあるのを目にすることができるはずです。
歴史を通して、きわめて独創的な人々は、きわめて多く失敗を重ねた人でもあります。
 トーマス・エジソンの1093件の特許のほとんどは、海のものとも山のものともつかないものでした。
 ピカソはほんのいくつかの傑作のために、20,000点以上の作品を制作しました。
 Uberを創設する前のトラビス・カラニックが最初に起ち上げたスタートアップは、 破産宣告することになりました。
 オプラ・ウィンフリーは、最初の仕事であるレポーターをクビになっています。
 スティーブ・ジョブズは、アップルが製造・販売したLisaが大失敗に終わり、会社を追われることになりました。
のちに凱旋し、iPodを成功させたあとでも、セグウェイを個人の移動手段として、分の悪い賭けをすることになりました。
 航空会社や鉄道経営、音楽、モバイルで大きな成功を収めたリチャード・ブランソンも、ヴァージン・コーラや自動車、ウェディング・ドレスなどの分野では、失敗の責任を負うことになりました。
ですから、これらの選り抜きの人々の失敗を、あなたも信じてください。
 たとえ最初、うまくいかなかったとしても、あなたは自分が高い目標を掲げていることを知っているのですから。

元記事:https://www.linkedin.com/pulse/overcome-fear-failure-instead-adam-grant/?trk=prof-post
(翻訳:服部聡子)

あなたの成功を助けてくれる人 妨げる人

(※この記事はThe Best People to Help You Succeed (and the Worst) の記事を翻訳したものです

by ディーパック・チョプラ

仕事を続けていれば、誰でもさまざまな同僚や上司、競争相手、また顧客やアドバイザーに出会います。そうした人の中には、個人的にも、また感情面でも、好ましい人がいます。けれども、どれだけ魅力的な人であっても、あなたの成功へのプロセスを助けてくれたり損ねたりするかどうかはわかりません。キャリアを重ねるためには、計画と実行が必要ですが、それはすなわち、ほかの人があなたにどのような影響を及ぼすか、自覚的でなければならないということにほかならないのです。仕事上の関係における利益、あるいは損害を評価できるようになることは、ほかのことと同様、一種のスキルなのです。あなたを助けてくれる人が備えている5つの資質とは、以下のものです。

  1. 人を裏切らないこと
  2. 正直であること
  3. 競争心を持っていること
  4. チームを作る人であること
  5. 創造性があること

  1.人を裏切らないこと

人に対して忠実である(裏切らない)ことは、重要な資質です。おそらく何よりも重要だと言って良いでしょう。というのも忠実な人は、信頼できるからです。こうした人が成功すれば、あなたとも成功を分かち合おうとするでしょうし、また、あなたの利益を侵害しようとはしないからです。また、いつも自分のことだけを考えるような人でもないからです。

 2.正直であること

正直なことが重要であるのは、言うまでもありませんが、嘘をつく人や、空約束をする人、やると言っておきながら、やり遂げることのない人に気をつけることは、大切です。そうした行動は、あからさまな不正と同じくらい、誠実さに欠ける兆候だからです。

 3.競争心を持っていること

競争心の強い人は、チャレンジャーでもあります。彼らは人と出会うごとに、また些細な事柄であっても、勝ちたいという強い熱意を持っているからです。けれども彼らの勝ちたい、という情熱は、非常に有益です。あなたが落ち着いて、彼らに勝たせてやりさえすれば、彼らはすばらしい戦果をあげることができます。ところが反対に、あなたが彼らを負かしてしまうと、つねに「私が勝者」でなければ気が済まないタイプの人は、さっさと離れていき、別の方面でトップに立とうとします。当たり前のことですが、ライバル意識が強く、しかも人に対して忠実である人は、非常に貴重な人です。

4.チームを作る人であること

あなたが華々しい大成功を遂げて、新世代のカリスマとして脚光を浴びる…こんな場面は、現実にはあまりないでしょう。反面、チーム全体で活躍する機会はきわめて多いはずで、チーム全体の努力は不可欠のものなのです。そのため、すばらしいチームを作ることのできる人を見つけることは、決定的に重要です。チーム・ビルダーは、チーム全員に気を配り、全員の貢献に耳を傾けます。彼らのおかげで、みんなは自分に価値があり、尊重されていると感じることができるのです。彼らはチームとしてのプロジェクトを、予定通りにこなしながら、メンバー間の対立やいさかいを最小限に抑えて、目標に到達させます。

5.創造性があること

創造的な人は、あまりチームを作るのは好まないのですが、その分、好奇心や探求心にあふれており、さらに仕事をワクワクするようなものに変えるイノベーションを起こす力を備えています。生来、彼らは一匹狼で、親しみを持ちにくい人々です。彼らに関心があるのは、つねに自分が作り出すものなのです。けれども、あなたが本当に創造的な人を見つけたら、そばにいることで、あなたの新しいアイデアも刺激されるでしょう。さらに運が良ければ、この創造的な同僚が、画期的なイノベーションを世に出す手伝いをあなたがすることになるかもしれません。

一方、あなたを傷つけ、あなたの価値を損ないかねない人もいます。次に、あなたの成功への道筋を妨げる人の5つ特徴を見てみましょう。

  1. 完全主義者
  2. 自信過剰
  3. 優柔不断
  4. ルールを押しつける人
  5. 暴君

1.完全主義者

完全主義者は満足することがありません。このタイプは、つねに他人の不満を口にしたり、自分についての弁解ばかりしているので、簡単に見分けがつきます。こうした人は、表面的には分別もあり、穏やかなしゃべり方をしているかもしれませんが、悪意を持って、つねにあら捜しをし、何かにつけて反対するので、周りにいると息がつまりそうになります。あなたが彼らを満足させることは絶対にできません。ですから、距離を置くのが最善の方法です。

2.自信過剰

自信過剰の人は、自己意識が過剰な人でもあります。 彼らは自分の声を聞くのが好きで、自慢話も大好きです。自分に夢中で、他の人の話に耳を傾けようとせず、人を見る目がありません。けれども、概して彼らは扱いやすい人々です。決定的な局面にいたるまでは争いを避け、必要に応じてさえぎるか、その場を離れてください。そうしても彼らは気分を害することはありません。 というのも、彼らはかならず誰か、聞かせる相手を見つけるからです。自信過剰のせいで、彼らは他者が何を必要としているか、まるでわかっていません。そのため、あなたが必要なことがまったく無視されるようであれば、それを機に離れてください。

3.優柔不断

優柔不断な人は、ものごとを決めることができず、そのために遅れ、先の計画を立てることができません。優柔不断な人が意思決定ができないせいで、あなたの仕事にきわめて大きな影響が及ぶことになります。優柔不断な人の中には、必要なことを話して、あなたに決定を任せようとする場合があります。このような人は、決定は下したいのですが、そうする自信がないのです。また、優柔不断な人のせいで、事態が混乱したり、仕事が中断する場合があります。そんな時は、あなたは一緒にいてはいけません。

4.ルールを押しつける人 5.暴君

ルールを押しつける人と暴君は、権威主義的なタイプとして、同じグループに属します。彼らは頑固で、柔軟性がありません。彼らは人を寛大な目で見ることをせず、そうした相手を「弱者」であるとみなします。暴君にとって権力を持つことはことのほか重要です。ルールを押しつける人にとっては、そこまで重要ではないのですが、周囲の人を機械の従順な歯車として従わせるために、両者は協力しあう場合があります。
プレッシャーのかかる状況や、危機的な局面では、暴君もルールを押しつける人も役に立ちます。というのも、彼らは無秩序や混乱を彼らは寄せつけないからです。けれども、彼らが自分の思い通りにならない人に対して、ひどい扱いをし始めたら、あなたはその場を去るべきです。

あなたが仕事上で、こうした悪影響を及ぼしかねない人に遭遇しても、逃げたり、状況を改善したり、できない場合があります。あなたがそのような人々を我慢しなければならないような場合、大切なことは、あなたの感情を、現在の仕事から切り離すことです

決して相手を「良くしよう」としないようにしましょう。どれほど腹が立ったとしても、あなたの感情は自分で責任をとらなければなりません。どれほど不平を並べたり、反撃したりしても、あなたの感情をほかの人が責任を取ることはできないのです。

良いニュースもあります。
あなたには、自分の成功を助けてくれる人々との関係をより緊密なものにすることもできるのです。手始めに、こうした助けになる人々が誰なのかを知ることから始めましょう。

元記事:The Best People to Help You Succeed (and the Worst)


翻訳:服部聡子
出産・退職後、在宅で働ける資格を身につけるために翻訳を学び始める。
約5年フィクション/ノンフィクションの下訳、ウェブ・ライターを経て、
『限界はあなたの頭の中にしかない』に巡り合い、深い共感を覚え、弊社に

なぜ枝豆? 世界で注目される酒の肴に隠されたマーケティングのヒント

「海外で有名な日本食といえば?」と質問されたら、誰もが想像するのはSushi(寿司)でしょう。確かに数字を見ると、この10年でずいぶんと寿司は有名になりました。

イギリスでは銀座出身の寿司屋 The Araki(あら輝)がミシュランガイドで三ツ星を獲得。イギリス初の日本料理屋・三ツ星獲得の快挙を達成しました。

といっても、最高峰だけのブームではありません。ロンドンには、回転寿司からパック売りの店舗まで、バラエティ溢れるお店の多さに驚かされるでしょう。これは私の体感値に過ぎませんが、ロンドンを歩いていると日本の回転寿司屋に出くわすよりも高い頻度でお寿司屋さんにぶつかります。あまりに寿司屋が多いので、現地でも「イギリスで日本人が労働ビザを得る一番簡単な方法は、スシ・シェフになることだ」と笑い話になるほど。

都会と地方のコントラストが、伸びしろを決める

いっぽう、都心部と地方ではかなりのコントラストが見られます。もともとイギリスでは魚を生食する文化がなく、「フィッシュ&チップス」にして食べるのが一般的。寿司や刺身なんて耐えられないという方が、いまだに多く住んでいます。ですから私がマーケターとして寿司の店舗を出すご提案をするなら、ある程度移民も多く、食に多様性がある中核都市を選出するでしょう。

日本人に置き換えて考えてみると、もっとわかりやすいかと思います。たとえば今年、東京ではパクチー(コリアンダー)が大ブームになりました。パクチー大盛りメニューが流行した時期もありましたが、地方で「パクチー専門店」を作っても、すぐに潰れるだろうことは想像に難くないでしょう。

このようにニュースだけを見て「ヨーロッパでは寿司が流行っている! ガンガン進出しよう!」と、思い込むと痛い目を見るのです。

ではなぜ、枝豆は流行できたのか

一方、同じイギリスでも都心・地方を問わず購入されている日本食があります。それはなんと、枝豆です。枝豆ブームは2007年ごろに到来。それから飽きられることもなく、イギリスのスーパーで必ずといっていいほど見かける製品になりました。

そこでざっとイギリスの記事を漁ってみました。記事を読むに、「枝豆を食べると二日酔い防止、筋肉増強、コレステロール値は減少、さらには精がつく」とまで書かれています。おそらく、日本人でもにわかに信じがたい効能でしょう。本稿では効能の検証は行いませんので、ご判断は読者様にお任せしますが、キーワードはイギリス人の「健康志向」です。

イギリスはもともと健康志向が高く、健康に良いとされるものならヒマワリの種から虫まで食べるブームが訪れます。しかしそれでも味による選別はあるのか、安定して10年以上も愛される製品は限られるもの。枝豆はその例外として、ロングセラー商品になったのです。ではなぜ、枝豆は10年もの間、イギリスで生き延びたのでしょうか?

枝豆ブームが始まる数年前から、大豆はすでに「スーパーフード」としてもてはやされていました。アメリカ発のコーヒーチェーン、スターバックスでは2003年に豆乳がオプションに追加されており、今なお人気です。

しかし2003年ごろは、大豆の遺伝子組み換え製品が多くなった時期でもありました。そこで健康志向のターゲット層に「安全な大豆を食べたい」というニーズが生まれたのです。枝豆はそのニーズを、完璧に満たす「大豆」として愛されたのでした。

すでに有名なものより、現地のニーズに合うものを

さて、今回のケースから、どのような知見が得られるでしょうか。マーケティングを学ぶ上で押さえておきたいのが「すでに流行しつくしたものより、ニーズに即したものを売る」ことです。

もし、海外で日本食を広めたいならば、寿司を売るのが一番手っ取り早いでしょう。しかしすでに都心へは大量の店舗が出ており、これから出店するには新たな切り口での差別化が必要です。地方では魚を生食する文化がないことを考えると、市場の伸びしろは限られています。それよりは、現在知られていない製品でもニーズに即したものを意識すると、枝豆のようなブレイクスルーが生まれるのです。

たとえばイギリスのブランド「itsu(イツ)」は、枝豆をチョコでコーティングしたお菓子を販売しています。普段、居酒屋か食卓でしか枝豆を見ない我々にとっては「はぁ?」と驚かされる製品でしょう。今回執筆にあたり試食してみましたが、日本人には奇妙な味わいでした。

けれどイギリスのメーカーは、枝豆の食べ方に固定観念を持っていませんでした。その結果「空き時間にヘルシーな大豆をおいしく食べたい」とうニーズを満たす、枝豆チョコレートを販売できたのです。もしあなたが日本生まれ、日本在住でありながら偏見を取っ払い、現地のニーズに即したマーケティング戦略を「枝豆チョコレート」のように立てられたなら……次のヒット商品を作るのはあなたです。

 

 

 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com