ビジネスプラン作成の、その前に
/カテゴリ: コラム, 島藤コラム /作成者: Masumi Shimafuji起業の際に、ビジネスプランをコンサルしてもらう際、あるいは事業プランを作る際、そもそもの目的が間違っていては決してうまく行きません。
一見、哲学的に思えるかもしれませんが、私は机上論は大嫌いです。実践としての原則をお伝えしています。現実的に成功への近道として、以下についてまず、理解できねばなりません。
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我欲からのビジネスプランは消滅していきます
「我欲を滅する」とは、自分をなくす、という意味でも、欲求をなくすという意味でもありません。
むしろ、自分自身の中心に強く根ざし、芯ある自分であらねばなりません。
それは、「たおやか」でもあり、「しなやか」でもあり、頑固さはありません。相手に合わせて自分の目線を落とすことも平気です。首を深々と垂れます。
信じやすいが疑いやすいことも重要です。
騙されやすいこととは逆です。
「我の強さ」は「意思の強さ」とは別です。
親や上司、はたまた教祖などの意見に無条件に従うことは、「素直」でも「我がない」こととも違います。それは単に「自分がない」というだけのことです。
自分を持ちつつ、我欲を滅するのは、自分が何か欲しいと感じる心を封じ込めることでもなく、我慢することでもありません。もちろん、忍耐することではありません。
それは、人間の心の奥深くにある神性らしきもの、それは良心と呼んでも良いし、意欲と呼んでも良いし、アイデンティティーと呼んでも良いですが、その声を封じ込めることは、我をなくすことではありません。
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「我欲」とは、
例えば、
自分の承認欲求のために、リーダーになろうとしてみたり、(そういう意図でのスピリチュアルリーダーや自己啓発セミナーなどは、その最たるもの)
子どもに良かれと思ってレールを敷いて、自分の意思でもないのに、高額の学校に入れてみたり、勉強を詰め込んでみたり、
自分を自分で愛せない問題を解決してないがために、立場を利用して、部下をネチネチとやりこめたり、
自分が「すごい位置」をキープできるような人間としか付き合わなかったり(常に目下ばかり)、
他人様のアイデアを、そそっと持ち逃げしたり、
ようするに、弱い自己と表裏一体のことを言います。
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私は、ビジネスを通し、このあたりをクリアにすることが、何としても、成功に向かう過程で必要であると痛感しています。
ここをクリアせずに、表面的な自己承認欲求からのビジネスモデルをコンサルしたとしても、根本的なスタートが間違っているので、成功へは結びつきません。
ですので、数回のやりとりで、ビジネスが本当に飛躍できるのは、
実は、ここの問題に気づける人です。
持ちこたえる人の100%に成果が出るのは、本当のところは、初回で、私たちのエネルギーに当たって、逃げていく人が半数以上いるからで、残った人の結果です。
おかしな欲求で、おかしなものを引き寄せてしまっている人は、それを落としてからしか、我々に近づけません。
いや、変なものは、参加しようと決めた段階で、堕ちます。我々が発するエネルギーを、できるだけ、透明で細かいものにできるよう、そういうメンバーが自然と集まります。
最初は我欲からスタートしても構いません。途中で、それではうまくいかないことに気づき、軌道修正すれば良いのです。
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引き寄せエネルギーが強いということは、途中段階で、悪いものもそれだけ引き寄せてしまいます。
普通の人なら、すんなり行くことも、そう簡単には許してもらえません。
でも
それが、力をつけるという意味です。
それが、我欲を落とすという意味です。
したがって、我欲を滅すれば、意思は、強固に強固になって行くものです。
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島藤真澄 (ShimaFuji IEM代表)
フォーブス誌選出全米5大ビジネスコーチ,ジェイ・エイブラハムの東アジアディレクター(交渉代理人)。様々な案件のプロデュースや海外とのビジネスマネジメントを行う。
ジェイの『限界はあなたの頭の中にしかない』PHP研究所を企画・翻訳。
ほどよい噛みごたえを目指して
/カテゴリ: コラム, チームコラム /作成者: Masumi Shimafujiするめのおいしさの一要素が噛みごたえであるように、翻訳にも噛みごたえが大切だと思っています。書き手の想いがこめられた原文を台無しにしないように、文章に合わせた、かたすぎずやわらかすぎない言葉を選ぶように心がけています。
たとえば、lifeという単語が出てきたとしましょう。「人生」「暮らし」「生活」などと訳されることが多い単語です。ある人の生活について書かれている場面で、このlifeに「人生」という言葉をあててしまったら、ちょっとカタすぎる大げさな文章になってしまいます。逆に、ある人の人生や信念ついて書かれた壮大な文章なのに、「暮らし」という言葉をあててしまったら、やわらかすぎて読みごたえがなくなってしまいます。
では、friendlyという単語なら、どんな噛みごたえにするのがよいでしょうか。この単語は、人間、お店、雰囲気などさまざまな名詞につく形容詞です。論文などのカタい文章や一般向けの文章なら、「好意的な」「親しみやすい」「親切な」、カジュアルでくだけた文章なら、「フレンドリーな」といったところでしょうか。コンピューター関連なら、「(ユーザー)フレンドリー」という言葉がちょうどよいでしょう。
advantageという言葉はどうでしょうか。ビジネスに関する文章なら、「(競争上の)優位性」「(自社の)強み」「長所」などがちょうどよいところでしょうか。スポーツの世界なら、「アドバンテージ」という言葉がよくつかわれています。私はサッカーが好きなのですが、サッカー用語として「アドバンテージ」という言葉があります。試合中継では、「Aチームが優位だと判断しました」ではなく「Aチームのアドバンテージを取りました」とカタカナ語で実況してもらったほうが、サッカーらしい試合の雰囲気を壊さずに楽しめると感じています。
おカタい英語の文章には堅い日本語を、やわらかい英語の文章にはやわらかい日本語をあて、言葉の意味も雰囲気も的確に伝えることを念頭に置いて、日々翻訳をしています。
(渡部真紀子)
ShimaFuji IEM 翻訳チームの一員。
アメリカの大学でビジネスを学んだ後、帰国して小売り業界で働くが、国際的な仕事への想いが募り、翻訳の道へ。マーケティング関連の翻訳を経て、弊社翻訳チームに加わる。
あなたのブランドにお客様を「参加」させよう
/カテゴリ: ビジネス情報, 営業戦略 /作成者: Shimafuji(※この記事は”https://www.linkedin.com/pulse/20141201192257-2171492-how-to-encourage-customers-to-join-your-brand”を翻訳したものです)
by ディビッド・アーカー
もしあなたのお客様があなたのブランドに参加したい、と考えていたらどうでしょうか?
それも、競合よりも優れたブランドだからあなたのブランドを選んだ、というのではなくて、同僚や友だち、パートナー、同じベンチャー企業のチームメイトとして「参加したい」と感じてくれたら?
「人間関係」という言葉が意味するものを考えてみてください。
人間関係というのは、教えたり、説得したり、という関係から始まったとしても、やがて、ともに仕事をし、同じゴールに到達する関係へと変化していきます。
どちらがより有意義で、楽しく、永続する関係でしょうか?
「ブランドに参加する」というのは、比喩的な表現ですが、そう感じてもらうためには2種類の方法があります。
スイート・スポット・プログラム
ブランドの側がお客様に、当社のブランドや製品にはこんな利点がある、と教えても、スイート・スポットは生じません。そうではなくて、お客様の興味や活動、情熱に目を向けていれば、お客様の側が見つけてくれることで、スイート・スポットが生じます。
お客様のスイート・スポットを刺激するプログラムを企画したり、考案したりしながら、そのプログラムで、ともに活動するパートナーとなっていくのです。
乳ガン撲滅のためのエイボン・ウォークは、お客様の乳ガンの経験を理解し、彼らの活動的なライフスタイルに共感していく、という趣旨のプログラムです。参加者やサポーターとして、誰もが進んで参加したくなるようなプログラムとなっています。
また、パンパースの「ラブ、スリープ&プレイ」キャンペーンは、赤ちゃんの成長を5段階に分け、その各段階ごとの情報が提供される、人気の高いものです。そこでは仮に、お客様が実際にはおむつに関心がなくても、赤ちゃんの世話という心躍る体験を共にするパートナーとして、迎え入れてもらえます。
「スイート・スポット」プログラムは、スイートスポットを作るためのものではありません。ブランドが、顧客のパートナーでありさえすれば、自然に企画されているプログラムなのです。
ホーム・デポと「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」(※世界中で住環境問題に取り組むNPO)との関連を考えてみてください。ホーム・デポは、資材や熟練作業員の提供、店内に設けられた告知板や住宅建築プログラムなどを通じて、「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」のパートナーとなっています。その結果、ホーム・デポのブランドは、「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」の支援を通して、とても良い刺激を受けているのです。
高い目標を掲げる
社会的意味のあるプログラムをサポートすることを通して、企業自体もより高い目標を掲げるようになったところは、驚くほど多くあります。民間企業が社会問題に取り組んでいることを広く認められることによって、その企業に社会的意欲が生じてくるのです。
自分たちにはそれができる、そうしなければならない、という気持ちが生まれ、従業員も自分の仕事に手応えを感じることができる。さらに、お客様の側もブランドに対して、尊敬の気持ちや好意を抱くようになり、さらにはその高い目標をシェアし、彼らと共に行動しようという情熱を持つようになるからです。
ユニリーバは他社との差別化を図るために高い目標を掲げる企業の中でも、最先端に位置しています。
一例をあげると、ユニリーバには、持続性(ユニリーバの持続可能な生活プラン)、子供たちにより良い未来を(口内の健康と栄養のためのプログラム)、第三世界の病気を撲滅するための運動(2012年、200万人が参加した、手洗いプログラム)、女性が自尊心をはぐくむこと(ダブの「ほんとうの美しさ」キャンペーン)などの目標を掲げた、さまざまな取り組みがあります。
それぞれのキャンペーンや運動は、それに関わった人々が、自分の態度を改めたり、行動を変えたり、そのことを話題にする活動を通して、ユニリーバの活動に積極的に加わることができるようになっています。
また、「持続可能性」という目標も、広く採用されるようになっています。ウォルマートやマクドナルド、コカ・コーラのような、一見関係のなさそうな企業も、明確な差別化を図るために、持続可能性という目標を掲げ、消費者が購買習慣や生活習慣を変える活動に参加する機会を提供しています。
ホールフーズ・マーケットは、高品質の自然食品や有機食品を提供するだけでなく、「地域コミュニティをサポート・貢献し、本物の食への愛と喜びをともに祝うために、お客様に喜びと滋養を与える」という、高い目標を掲げる企業です。
ヘルシーな食材で料理することに関心のある人なら誰でもホールフーズ・マーケットの探求に「参加する」ことができます。単にオーガニックの食品があるからそこへ行く、という行為とは、質的に異なることはおわかりでしょう。
「ブランドに参加する」というコンセプトは、顧客のスイート・スポット・プログラムと、高いブランド目標の設定という2種類の方法で精力的に展開できる、強力なものです。
ブランドとお客様の絆は、企業にとってはブランドの構築を刺激するものであり、お客様の側からすれば、ブランド・ロイヤルティの核心をはぐくんでいくものです。その絆こそがブランドの最高の資産なのです。
著者:ディビッド・アーカー(経営学者、コンサルタント、著述家)
元記事:https://www.linkedin.com/pulse/20141201192257-2171492-how-to-encourage-customers-to-join-your-brand
サメのようにイノベーションをおこなうには
/カテゴリ: ビジネス情報, 起業のコツ /作成者: Shimafuji(※この記事は”http://blog.startwithwhy.com/refocus/2012/08/how-to-innovate-like-a-shark.html“を翻訳したものです)
by サイモン・シネック
1975年のことです。
大作映画に名を連ねた経験のない若い映画監督が、ホラー映画を撮ろうとしていました。彼の名は、スティーブン・スピルバーグ。
スティーブンは、サメが襲ってくる血みどろの暴力的な映画を構想していました。 人を殺すことしか考えていない巨大な化け物が、何も知らない餌食を襲うところを、観客に見せつけたいと思ったのです。
ところが問題がひとつありました。映画で主役を演じるはずの機械仕掛けのサメは、期待通りの動きがほとんどできなかったのです。若い監督が想定していたサメの襲撃は、まったく撮ることができませんでした。
機械仕掛けのサメに不満を覚えた撮影チームが、ついに解決策を見つけました。彼らは暴力を、私たちの想像にまかせたのです。
観客が見るのは背びれだけ。
次にある人物の姿が海中に消えます。
すると海面が真っ赤に染まる。
それだけでした。ほかのシーンでは、私たちは背びれさえ目にしません。
私たちは、黄色い樽が海面を横切っていくのを見て、深いところにサメがいる、樽にとりつけられたロープを引っぱりながら、次の獲物に向かっているのだ、と想像するのです。
その効果はあまりにも強烈で、私たちの社会全体に大きな影響を及ぼしたほどでした。
もちろん、サメの存在は、誰もが知っていましたが、サメがビーチに近づくことなど、ほとんど考えたことがなかったのです。
ところが『ジョーズ』の映画以降、サメに対するヒステリックな反応が急増し、今日にいたるまで残っています。実は毎年、イヌに殺された人の方が、サメに殺された人よりも多いのですが。
スピルバーグがブレインストーミングの会議で『ジョーズ』のストーリーを語ったときは、そのような計画はまったくありませんでした。自分の望んでいるとおりのものが得られないとわかったときに、その解決法が浮かんだのです。ろくに動かない機械仕掛けのサメが、彼にもうひとつの解決法を見つけさせたのです。
私たちは、イノベーションというものは、豊富な資金とリソースのあるところに生まれる、という誤った信念を持っています。
実際は、まったく反対なのです。リソースの不足しているところに、資金の足りないところに、何かがうまくいかなくなったそのあとに、私たちにほんとうのイノベーションが可能になるのです。どうやったら効果があがるのだろう、と、繰りかえし想像力を働かせたのちに。
そこに、大企業がほんとうの意味で、革新的な商品を製造することがまれな理由があります。望むものなら何でも作れるほど、豊富な資金もリソースもあるからこそ、なのです。
問題は、彼らが新しい方法をどうしても見つけなければならないというせっぱ詰まったものを感じておらず、そこまで革新的なものを求めていない、というところにあります。
一方、小さな会社というのは、大企業に比べて、大きなアイデアが生まれやすいといえます。お金もリソースも乏しく、彼らには自分たちの持っているものを、いかに働かせればよいかを、わかっているからです。
そうして大企業はそのアイデアのために、小さな会社を買収するのです。
誤解のないように言っておくと、スピルバーグもまた、映画学科の学生でした。機械仕掛けのサメがなくても、自分の知識から解決できたかもしれません。
彼はアルフレッド・ヒッチコックが、サスペンスを盛り上げるために用いたテクニック、不吉な音楽や、単純な小道具の使い方、出来事がすべて終わってからの見せ方などを知っていました。サスペンスとは、私たちの目の前で起こるものではなく、想像力の内部で起こるものだと知っていたのです。
知ってはいても、その知識をどうしても使わなければならないときが来るまで、活用する必要はありませんでした。
そうして、多くの人がもっと多くのものを生み出すことができない理由もそこにあります。
大企業には頭の良い人も大勢いるのに、必要がないために、自分の聡明さを活用しないのです。必要なリソースならすべてそろっているからです。
それに対して、賢い実業家は、自分の知性に頼るしか選択肢はありません。そうして、彼らは大企業の外で、毎日イノベーションを成し遂げているのです。
イノベーションは、夢から生まれるものではありません。苦闘から生まれるものです。イノベーションの核心は、未来を築くためのものではありません。今、ここでの問題を、解決しようとするものなのです。
そうして、最高のイノベーションとは、ちょうど『ジョーズ』のサメのように、そこにいることに気がついていない「何か」なのです。
著者:サイモン・シネック
元記事:http://blog.startwithwhy.com/refocus/2012/08/how-to-innovate-like-a-shark.html
キャッチボールをするように
/カテゴリ: コラム, チームコラム /作成者: Masumi ShimafujiSpeak と Talk の違いは何かと訊かれたら、どう答えるのがいいと思いますか?
中学生であっても、まじめに授業を受けている子なら答えられる質問かもしれません。
どちらも「言葉を発する」という意味の動詞でありながら、はっきりと使い分けられている単語です。
ジェイさんは広告やコピーの重要性を語る際に、次のようにおっしゃることがよくあります。
「あなたがつくった広告やコピーを見る人が大勢いるとしても、あなたはそのひとりひとりに話をしていることを覚えておいてください」
ここでジェイさんが使った「話をする」は、Speak と Talk のどちらだと思いますか?
Speak はフォーマルで、Talk はカジュアルだという説明をよく目にします。確かにそれは事実ですが、私個人的には、それより大きな違いが別にあるように感じています。
ある文献では次のように説明しています。
「Speak は一般的に、言葉を発する人だけにフォーカスした単語である一方、Talk は言葉を発する人と、その聴き手の両方にフォーカスした単語である」
ジェイさんは、広告や販促は一方的であってはならないというお考えで、そのメッセージを受け取る人と、いわば「会話」をしなければならない、と強調しておられます。
先ほどの質問の答えは皆さん、もうおわかりですね?
私は今のところ、コピーを書いたこともプロモーションを企画したこともありません。しかし、言葉をあつかうという仕事であることには違いなく、ジェイさんの語られることに少なからずドキッとさせられている自分がいます。
通訳の場合には、聴き手が目の前にいるかもしれませんが、翻訳の場合にはそのようなことはまずありません。自分が翻訳したものが読み手に届くのは、明日かもしれないし、1か月後かもしれないし、10年後かもしれません。
それでしばしば、読み手を意識して訳す、というのが難しく感じることもあります。「相手はどう読むかな」とか「何を感じるだろうか」ということを考えながら訳すというよりは、とにかく「意味がわかるかどうか」だけに集中してしまうことがあるのです。
広告やコピーに関しても、販売する側が言いたいことだけを一方的に伝えて、受け取る側の気持ちを無視するようなものになってはいけない、という意味で、ジェイさんはTalkという言葉をあえてつかっておられるのだと思います。それは相手の存在を確認しないままに投球するようなものではなく、キャッチボールであるべきだ、というメッセージが伝わってきます。
「翻訳をする」「コピーを書く」、そのほか「言葉を発する」という行為がなんと呼ばれてどんな目的で行われるにせよ、それを受ける相手を最大限に意識することの大切さを、ジェイさんに教わっているように感じています。
自分が訳す言葉ひとつひとつ、そして発する言葉ひとことひとことを、大切に考えたいものです。
(a_washiyama)
a_washiyama:
ShimaFuji IEM 翻訳チームのメンバーです。
翻訳家としてまだまだ勉強中ですが、ジェイさんのお考えを分かり易く、正確にお伝えできるよう、邁進して参ります!
なぜアリアナ・グランデのテロ追悼にOASISが流れるのか マーケティングの新時代
/カテゴリ: マーケティング深化論 by トイアンナ /作成者: Shimafujiこんにちは、トイアンナです。
先月、イギリスで痛ましいテロが起きました。人気沸騰中の歌手、アリアナ・グランデのコンサート会場でテロが発生。計22名が亡くなりました。犠牲になったのは10代の子供たちと、コンサート帰りで送迎に来ていた親御さん。遺された痛みを想像するとそれだけで筆が止まりそうです。
一方、イギリスでは「ある奇妙な現象」が起きていました。テロの追悼番組では、事件の当事者であるアリアナ・グランデではなくイギリスを代表するロックバンドOASISの音楽が流れたのです。
音楽は世代で断絶された
この事態がどれほど奇妙だったか。比較するために1980年のジョン・レノン暗殺事件を思い出してみましょう。現在に至るまで追悼番組で流れる音楽はいつも『イマジン』です。これに限らずとも特定のアーティストに関する事件では、BGMとして本人の曲が流されるのが通例です。
ところが、アリアナ・グランデでそれは起きませんでした。彼女の楽曲の知名度が20代以上で低かったからです。
といっても、アリアナ・グランデは決して「カルトな人気」の歌手ではありません。2013年にデビューアルバム『ユアーズ・トゥルーリー』をリリースして以来、動画再生サイトYoutubeでは10億回も楽曲が再生されました。若者に人気の写真投稿SNS「インスタグラム」では世界3位のフォロワー数に支えられています。
ここであることに気付かれた方もいらっしゃると思います。アリアナ・グランデの業績には「CDは何枚売れたか?」がないのです。
筆者はアラサー世代ですが、当時はCD全盛期。浜崎あゆみ、宇多田ヒカル、椎名林檎とビッグ・スターが次々登場し、CDのミリオンヒットも珍しくありませんでした。
もちろん親世代は「なんだ? 最近のアユ、リンゴって。リンゴ・スターか?」くらいに思われていたかもしれません。しかしCDおよびTV番組『速報!歌の大辞テン』などに支えられ、世代を超えて「何が流行っているか」は知られていました。
宇多田ヒカルのアルバム『First Love』は2000年1月31日までに853万8465枚を売り上げています。当時の10代だけが購入していたとするなら、ほとんど達成不可能な数字です。
新曲を耳にした親世代も一緒にCDを購入したからこその栄誉でしょう。
それに対し、アラサーの私にとってもアリアナ・グランデは「名前くらいは聞いたことのある歌手」に留まります。なぜならアリアナ・グランデは音楽のインターネット上における再生で10代「だけ」に知名度を上げ続けたからです。
ツールによる世代の断絶を理解し、当事者の声を聴く
アリアナ・グランデは音楽再生アプリ”Sportify”(スポーティファイ)で主に試聴されていることから、”スポーティファイ時代のスター”と呼ばれます。スポーティファイは世界中の音楽をストリーミング再生できるアプリで、アクティブユーザーは1億人以上、有料会員数5000万人。Apple社の競合アプリ”Apple Music”を超える勢いで若者へ普及しています。
ところが、このツールを使っているアラサー以上の年代はほとんどいないのではないでしょうか。実際のデータはないため推論ですが、少なくとも今まで数百名に実施した30代以上へのヒアリングで「スポーティファイ」という単語を聞いたことがありません。
これまで、レコードがCDになり、CDがMDになっていく進化の過程で「ある世代だけが使うプレーヤー」はありませんでした。若年層の方が流行に敏感だったため早期購入層ではあったでしょうが、「ある年代だけが使っていて、他の年代は全く使わない音楽プレーヤー」はほぼ見られなかったはずです。
しかしスマートフォンが一気に普及した現在、主にアプリを使って音楽を試聴する若者と、そうでないアラサー世代は分離しました。スポーティファイで大ヒットする若手アーティストを30代以上は知ることもなく、また今の30代が買うミスチルやB’zといったアーティストも「おじさん・おばさんのもの」になりました。
自分が聞いていた音楽が「おじさん・おばさんのもの」と言われることはどの時代にもありましたが「テレビを見ないからミスチルを聞いたことがない」「浜崎あゆみ、名前だけなら知ってる」と言われるほど認知度が低くなっているのは、現代の特異さではないでしょうか。おそらく使っているメディアによって、「音楽の世代間断絶」が起きているのです。
世代を超えたら「常識」を疑おう
音楽の世代間断絶により、アリアナ・グランデのテロを伝えるニュースでは「レコード世代・CD世代の我々でも知っている」OASISが選ばれたと思われます。
ビジネスでも同様に自分と異なる世代や性別、職業の人へマーケティングを考えるときには、我々の「常識」を超えた道具が使われ、知らない人がそのグループには大変な有名人ということもあります。
なぜマーケティングでは消費者の生の声を、何度もしつこく調査する必要があるのか。
それは30歳と25歳の間にすら、互いの常識が通じない世界が転がっているからです。自分の世代の常識を疑うところに、マーケティングの種が転がっています。
トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com
小さなビジネスが持つ5つの大きな強み
/カテゴリ: ビジネス情報, 営業戦略 /作成者: Shimafujiという強みはいずれも高い利益をもたらすことが実証されています。