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起業時に大切なのは事業の拡張可能性ではない

by ガイ・カワサキ
元記事:http://linkd.in/1cdFbeK
(※著者の承諾を得て翻訳しています)

あなたのスタートアップは「ニワトリが先か、卵が先か」 という問題に直面していませんか?

起業して間もない時期に、事業規模が拡張できるかどうか、という問題は、多くの人が考えているほど重大な問題ではありません。
 
「スケールする」という言葉を聞いたことのない人のために言っておくと、
スケールするとは、やがて数十億ドルの収益を生み出す何百万人もの顧客が現れるから、
今のうちに、速く、安く、再現性のあるプロセスを築いておこう、という考え方のことです。
 
たとえば、もし市場に出た中古のプリンターを、ピエール・オミダイアが1台ずつテストしなければならなかったとしたら、
eBayの事業規模は拡張できません。
 
もしマーク・ベニオフが、すべての売り込みの電話をかけていたとしたら、セールスフォース・ドットコムも「スケール」できません。
 
もしジェームズ・ホンの両親が、ポルノであるかどうか写真を全部チェックしなければならなかったとしたら、
「ホット・オア・ノット(*1)」もスケールするようなことはなかったでしょう。
(*1. Hot Or Not:ユーザーが提供した自分の顔写真をほかのユーザーが評価するサイト。カリフォルニア大学に在学中のジェームズ・ホンが2000年に立ち上げると、すぐに1日あたり20,000pvにも上る人気サイトになった。)
 
立ち上げ間もない時期に、自分自身で大量のテストをしなければならない、と考えるのは、思い違い、いわゆる本末転倒というものです。
複数の場所では、ひとりの料理長が完璧に取り仕切ることができないから、といって、
レストランを一店しか開店しないのと同じようなものです。
 
レストランのスケールを検討する前に、30キロ圏内の人が料理を好んでいるかどうか、まず確かめるべきです。
つまり、ビジネスがうまくいっているかどうか、しっかり見る、ということです。
 
Shop scales
Photo by:Ben Salter
 
一例をあげると、私がアドバイスしている「チューター・ユニバース」という会社があります。
ここではスマートフォンを使った個人指導をおこなっています。
タクシーの配車サービス・アプリであるユーバーの、家庭教師版だと考えてください。
長期計画は、学生はどんなトピックでも質問でき、15分以内の指導を受けることができる、というものでした。
 
ところが当初、すべての科目を教えることができる必要最小限のチューターがいなかったのです。
多くのスタートアップは、こうした「ニワトリが先か、タマゴが先か」の問題に直面します。
 
十分なチューターがいれば、多くの学生を引きつけられる。
多くの学生が利用してくれれば、多くのチューターを引きつけられる。
 
こうした問題に直面したら、あなたならどうしますか?
 
答えは簡単です。
ちょっとしたトリックを使うのです!
あなたは社員を使って質問に答えたり、市場で採算が取れる最低限の規模になるまで
フィリピンで、高い教育を受け、英語を話せ、しかも安い人をチューターとして雇うのです。
 
疑い深い人や、経験の浅い人は反対するかもしれません。
「コストがかかるからといって、社員や外国人のチューターを雇うぐらいなら、
そもそも規模を拡大することなんてできないんだよ」と。
 
確かにこれは正論かもしれませんが、意味のないことです。
大切なのは、つぎの3点を確立することなのです。
 

  • 多くの人に知らせること
  • 学生に喜んでアプリをインストールしてもらうこと
  • 学生が助けに対して対価を払ってくれること

 
要するに、何よりも大切なのは、みんながあなたの商品を買ってくれるかどうかということなのです。
買ってくれそうにないなら、あなたが規模を拡大できなくてもどうということはありません。
もし買ってくれそうなら、スケールの方法は見つかるでしょう。
 
私はスケールすることに遅れて、失敗したスタートアップを見たことがありません。
その代わりに私が目にしたのは、何百というスタートアップが
自分の商品に全力を注がずに立ち消えになった姿でした。
 
The_Art_of_the_Start_2.0
このコラムはガイ・カワサキの最新刊
『スタートの技術 2.0』(原題)の一部分を元にしたものです。
一読後、飛躍されんことを。

 

 

 

 

 


元記事:http://linkd.in/1cdFbeK

(翻訳:服部聡子)

 

本:『スタートの技術 2.0』

The Art of the Start 2.0:

The Time-Tested, Battle-Hardened Guide for Anyone Starting Anything

『スタートの技術 2.0 :??

  何かを始めようとする人のための 実績に裏打ちされたタフなガイド』

著者:ガイ・カワサキ

 

 

 

完全網羅 起業成功マニュアル

 

2004年に刊行された、

ガイ・カワサキの古典的ベストセラー

新商品やサービス、新しいアイデアをローンチするためのガイド

“The Art of the Start ”

(邦題『完全網羅 起業成功マニュアル』)から10年後、

全面的に改定・拡大された

『スタートの技術 2.0』が登場しました。

 

 

新版 ” 2.0 ” は、10年間で大変動を遂げたビジネスの世界を反映しつつ、

さらに内容も豊かで充実したものになっています。

 

新しい時代、かつてマーケットを牽引していた強力なリーダーたちが悪戦苦闘を強いられている一方、

事業の基盤を立ち上げることは、以前より簡単に、しかも安価に、

その意味でいっそう民主的なものになっています。

 

今日では、事業計画はもはや必要ではありません。

プロモーションでの中心的な方法であったPRや広告は、

ソーシャルメディアにとって代わられました。

また、クラウドコンピューティングのおかげで、

多くのベンチャーにとって、基礎的なインフラは手頃な値段で整備できるようになっています。

 

『スタートの技術 2.0』が教えてくれるのは、

こうした新しいツールをどのように配備するか、ということです。

さらに、時代が移っても変わることのない、根本的な問題、

強いチームを作り上げ、

すばらしい製品やサービスを創造し、

ライバルに打ち勝つことを解決していく上でも助けになってくれます。

 

あなたが野心満々の起業家、小さな会社の経営者、

組織内起業家、NPOのリーダーであるかにかかわらず、

本書はイノベーション、新規採用、資金集め、ブランディングといった問題に対するアドバイスが

実に豊富になされています。

 

実のところ、多くのスタートアップを行き詰まらせ、

失敗させるような本や記事、ウェブサイト、ブログ、オンラインセミナーが数多くあります。

『スタートの技術 2.0』は、ビジネス界で誰よりもハードワークをこなし、

大胆な戦略家であるガイ・カワサキの10年間の経験を蒸留することによって、

誰もが直面する問題を解決しているのです。

 

ハフィントン・ポストの創設者であり、編集長でもあるアリアナ・ハフィントンは、

本書について、このように語っています。

 

『スタートの技術 2.0』は、起業家精神の究極のハンドブックです。

ガイ・カワサキの豊富な知識やヒント、ユーモアは、自身の成功と失敗を反映しています。

私たちの誰もが、彼の洞察から多くのものを得ることができるでしょう。

 

 


元記事:http://amzn.to/1EB5wPN

(翻訳:服部聡子)

スタートアップの創設者が過小/過大評価しがちな9つの過ち

by ボリス・ワーツ

 

 

まさに会社を創ろうとしているただ中にあっては、

さまざまな活動や決定の意味するところを、しっかりと評価することはむずかしいものです。

とりわけ、起業が初めての経験である人にとっては、過去の失敗から学ぶことができないのですから。

投資家として、そうしてかつては初めての起業も経験した私が気がついた、

いくつかの重要な問題があります。

創設者が会社を築いていく上で、過大評価したり、逆に過小評価したりすることがあるのです。

 

ここではそれを挙げていきましょう。

 

創設者が過小評価する5つの大切なこと

1. しっかりした採用プロセスを作ること

 

仮にすばらしいアイデアがあったとしても、

チームがパッとしない状態では、あなたの会社は生き残っていけません。

創設者は可能な限り長く、社員の採用決定には関わるべきです。

会社の規模が大きくなり、ひとりひとりの採用に実際に参加できなくなったとしても、

採用基準などの採用プロセスを、しっかりと体系化しておくことが必要です。

たとえばジェフ・ベゾズが採用している「バー・ライザー」

(※面接の中で志望者に厳しい質問を投げかけ、対応能力やストレス耐性を見る人)は、

アマゾンの会社文化にふさわしくない人を、早い段階でふるい落とすために

設置されたシステムです。

2. 身元照会の重要性

多くの人が、身元照会がきちんとなされないまま、採用されていることに、

私はいつも驚いています。

志望者に対して良い印象を持つと、入念なチェックがなくても、

採用したい、という誘惑にかられるかもしれません。

けれども、非公式な身元照会でわかることもあります。

とりわけ面接では十分にはわからない部分を、もっと知ることができるのです。

 

 

3. 最初期から企業文化を築くことの必要性

 

創設者の中には企業文化のことを、早朝ヨガや、

会社にフリークライミングの壁を設置することや、

昼食用に移動販売車が回ってくることを想像する人もいるかもしれません。

けれども文化というのは、そうした無料の特典より、ずっと深いもので、

企業文化を導入するために、スイッチを入れれば広まっていく、

というようなものでもないのです。

最初から、あなたはどんな会社を築いていきたいか、考えていなければなりません。

そうしてそのビジョンを現実化していくようなシステムと決定を

準備していかなければならないのです。

4. 投資家やアドバイザーと良い関係を築いておくことの重要性

 

この点は、もしかすると利己的なものなのかもしれませんが、

私はこれまで、出資者のことを金づるとしか見ていない創設者をあまりに多く見てきました。

お金は確かに重要ですが、会社の初期段階から、

出資者やアドバイザーと良い関係を築くことがどれほど重要か、

繰りかえし目の当たりにしてきたのです。

5. 焦点化することの重要性

万人があなたの会社や商品を気に入る、ということはあり得ません。

そうして長い目で見れば、あらゆる顧客や機会を追求する価値がある、というわけでもありません。

あなたは重要度の高い2,3の商品に焦点をしぼり、

会社全体で繰りかえし、この焦点品目を訴求していく必要があります。

 

創設者が過大評価している4つのこと

 

1. お金の重要性

 

世界中のお金を集めても、あなたの商品を市場に適合させることはできません。

また、商品と市場が適合する前に、あまりにたくさんの資金を集めておくと、

たいていスタートアップは失敗してしまいます。

 

2. 新製品の発売や資金調達を告知することの重要性

スタートアップの創設者は、新製品を発売したり、

資金調達のためのラウンドが終了したりすることの告知を、

大々的にやりたがる傾向があります。

たしかに大がかりな発表は、瞬間的には話題になるかもしれません。

けれども、15分間だけ有名人になることよりも、

継続的な需要を生み出すことに焦点を当てる方が、ずっと重要です。

同様に資金調達のための告知は、将来に向けて、投資家の興味を引きつけることはできますが、

たいていの場合は、最初は目立たつことをせず、堅実に会社を築いていく方が

良い結果となるようです。

3. 業界経験を持つ年長の社員の価値

若いスタートアップは、立派な経歴と、深い専門知識を備えた社員が

どうしても必要である、と思い込んでいることが少なくありません。

確かに、特定の専門的知識が役に立つこともありますが、

採用に当たっては、その人の知性や情熱、一生懸命に働くことの方が、

経験よりも重視されるべきでしょう。

4. 特効薬の魔法

特効薬さえ見つければ、あなたのビジネスが次のレベルまで飛躍できるのだとしたら、

すばらしいことでしょう。

ただ問題は、そうした特効薬など、ほとんどない、ということです。

創設者が、すべての問題を解決してくれる、(実際には存在しない)特効薬を探して

時間を無駄にしている間というのは、

実は、小さな事を付け加えながら、徐々に事態を改善していき、

本物の違いを生み出すという努力をなおざりにしているのです。

 

 

このリストですべてを言い尽くしたと私は思っていません。

私は何を見逃しているでしょうか?

創設者が何を過大評価し、何を過小評価しているか、あなたの考えを聞きたいと思っています。

 

 

 

― Version One Blog


 

元記事:http://bit.ly/1LFsrxP

(翻訳: 服部聡子)

意味の意味

by ガイ・カワサキ
元記事:http://bit.ly/1QJhQ2M
(※著者の承諾を得て翻訳しています)

私は評判や名誉のことを考えて、曲を書いたことがない。
心の中にあるものを外に出さなければならないからだ。
だから私は作曲する。  
   ――ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

私がベンチャー・キャピタリストだったころ、
金儲けを第一目的にして起業した人々は、たいてい失敗していることに気がつきました。
 
というのも、金儲けを目指す起業家が引き寄せることができるのは、
金儲け以外には関心のないような人だけ。
 
その会社がすぐに巨額の利益を出さないとわかると、(実際、そんな新規事業があるはずがないのですが)
彼らはさっさと別の猟場を探しに行ってしまうからです。
 
会社を立ち上げる前に、厳しく自己分析することをすすめる人は、多くいます。
確かにそれは良いことではあるのですが、 起業しようとする人は、たいてい自分に対して間違った質問をしています。
 
長時間、低賃金で働くことができるだろうか?
断られ続けても、粘り強く働きかけられるだろうか?
大勢の従業員に対する責任を果たすことができるだろうか?
 
実のところ、このような質問にあらかじめ答えることは不可能です。
しかも、こうした問いには、さほど意味がないのです。
言葉だけ、強がってみせるだけなら安いもの。
「やってみせる」という言葉は、実際にやることとは関係ありません。
 
他方、自分に対する疑いの念や、不安がある人が、かならずしも企業を大きく育てられないわけでもありません。
 
こうした質問にどのように答えようと、 いいアイデアが生まれたとき人が実際にどう行動するかは、 何も教えてはくれないのです。
そのときになってみるまでは、そんなことは誰にもわかりません。
実際、そのときですら、わからないこともあるのですから。
新しい事業を始める前に、 自分自身に問うてみなければならない重要な質問はこれです。
 
自分は意味のあることがしたいのだろうか?
 
Photo:Work @ Starbucks By:Matt Kowal
Photo By:Matt Kowal

 「意味がある」 ということの意味

意味がある、とは、お金や、力や、名声のことを言っているのではありません。
そんなものでは、楽しい職場を作ることさえできません。
「意味がある」という言葉の意味は、 世界をより良いところにする ということです。
 
これには、ふたつのやり方があります。
 
第一に、何か良いものを、作りだしたり、使えるようにしたり、 増やしたりする、ということです。
たとえば、Macコンピューターは 人々の創造力と、生産性を向上させました。
グーグルやウィキペディアは、実質的に無限の情報に、
豊かな人も貧しい人も、誰でもがアクセスできるようにしました。
 
第二に、何か悪いものを防いだり、なくしたり、減らしたりする、ということです。
たとえば、テスラは大気汚染と、私たちの石油依存を減らそうとしています。
パランティアやその他のサイバー・セキュリティ起業は、私たちのコンピュータに侵入しようとする悪者を防ごうとしています。

 「意味」 を持つ人の強み

世界を変えたい、という情熱は、厳しい道を進もうとする人にとって、 とてつもないほどの強みとなります
というのも、高い目標を掲げている人は、 単に金を儲けたい、というだけの人より、
エネルギーが生まれてくるものだし、 才能ある人を引きつけられもするからです。
それに、もし意味を作りだすことができたなら、 自然な帰結のひとつとして、収益もあがっているはずです。
 
私が「意味の意味」を理解するようになるまで、20年かかりました。
 
1983年、アップル社のMac部門で第一歩を踏み出したとき、
私はIBMを打ち負かし、セレクトリック・タイプライター・ボールを作っていた頃の
タイプライター事業に逆戻りさせてやろうと考えていました。
 
1987年になると、こんどはウィンドウズとマイクロソフトを 潰してやろうと思っていました。
 
やがて私も、こうした野心が、愚かとまでは言わないまでも、 くだらないことだと気がつくようになりました。
競争心を抱いていては、ほんとうに大切なことから目がそらされてしまいます。
立派な組織のDNAには、「意味のあることをしたい」 という情熱が、含まれています。
 
顧客や従業員のために、 世界をよりよいものにしたい、という 「意味」 が。
 
この情熱は、成功を保証してくれるものではありません。
でも、仮に失敗したとしても、 少なくともその失敗には、やっただけの価値はあったのです。
ですから、会社を立ち上げようと考えている人は、 自分の送り出そうとする製品やサービスが、
どのような意味を持つのかを明らかにして、 それを出発点にしてください。

 

 


元記事:http://bit.ly/1QJhQ2M

(翻訳:服部聡子)

 

急成長期の会社を経営する3つのヒント

by レット・パワー

 

業績はぐんぐん上がり、会社は急成長を遂げている…

経営者にとっては夢のような情況かもしれません。

でも、本当にそうなのでしょうか?

適切な基盤のない企業は、急成長しても簡単にコントロールを失ってしまいます…


 

 

会社が急成長するためには、それを支えるしっかりした基盤が必要不可欠です。

そうでなければ、いともたやすく会社はコントロールできなくなってしまうでしょう。

 

私はそのような例をたくさん見てきました。

もしかしたらあなたは、やらなくてはならないことがあまりに多く、

それをなすための時間はあまりに少ないために、無力感すら覚えているかもしれません。

 

だからこそ、最初に述べたように、あなたの会社が急速に成長しながら、

同時に持続可能であるために、インフラの整備が不可欠なのです。

 

可能なかぎりストレスを抑えたまま、成長の早い起業を経営するために、

あなたがすべき3つのことを、ここに上げておきます。

 

Photo:The family that computes together, stays together By:fd

 

1. ひとり、もしくはふたりの信頼できる指導者に相談する

 

メンター(良き指導者)がいれば、個人的にも、仕事の上でも、肩から重荷を下ろすことができます。

良き指導者とは、自分自身が起業家であるか、

経営者としてビジネスに携わった経験を持つ人のことです。

 

彼らは多くの経験を積んできているので、ビジネス戦略や予算、

また、ワークライフバランスのような個人的な問題についても、

経験をふまえたものの見方を示してくれるでしょう。

そのメンターが、複数であっても、別に悪いことではありません。

それによって、より多くのものの見方が得られ、学ぶべきことが増える場合もあるからです。

 

Photo:The consulting table By:froboy

2. 戦略的に人に委託する

 

あなたの仕事を、チームのメンバーに委託することで、

あなた自身の能率が上がり、仕事もより正確なものになっていく可能性があります。

さらに、その結果として、チーム間の信頼が高まることも期待できます。

 

このことはあなたの会社が、長期にわたって成長し続けるために、不可欠なことです。

しかも、あなたばかりでなく、従業員にも利点があります。

彼らに対する信頼を示すことによって、彼らも思う存分、スキルや才能を発揮できるようになるからです。

 

3. 遠く離れた人を雇う

 

インターネットを介してスタッフを雇えば、あなたはそこで仕事を続けながら、

同時に会社の地理的な影響力を拡大することができます。

オフィスの所在地や、空間の制限を無視して、新しい才能を見つけるには、とても良い方法です。

 

さらに、ネットを媒介としたスタッフがいると、

別の視点やバックグラウンドが加わるだけでなく、マーケットを拡大する可能性も広がってきます。

 

 

 

 

著者:レット・パワー(ワイルド・クリエイションズ 共同創設者)


 

?元記事:http://bit.ly/15uELO0

(翻訳:服部聡子)

本:『引きつける力』

Traction:A Startup Guide to Getting Customers

『引きつける力:顧客を得るための 起業ガイド』

ガブリエル・ワインバーグ、 ジャスティン・メアーズ 共著

 

 

ほとんどの起業は失敗に終わります。

 

失敗するほとんどの起業家が引きつけられていないこと、、

それはつまり「本当の顧客を育てる」ことです。

 

本書では、まず、スタートアップの創業者と社員に向けて、

人を引きつけ、企業を成功に 導くために 「焦点となるフレームワーク」 として、

五段階のステップが紹介されます。

 

それをふまえて、顧客を獲得するためには、どうしたらよいか、

ウィキペディアの創始者ジミー・ウェールズら、

成功した40人の起業家とのインタビューを通して、

成功した企業は、どのようチャンネルを通して成長していったのかが、

明らかになっています。

 

本書は反復可能な戦略と戦術を学ぶことができる一冊です。

 


 

元記事:http://amzn.to/1FsAOdB

(翻訳:服部聡子)

 

 

次の波をつかめ ピーター・ティール講演会

 

ベンチャーキャピタリスト、ピーター・ティールが、

ハーバード・ビジネス・スクールの学生に、

テクノロジー部門での起業についてアドバイスを行いました。

 

PayPalの創業者として、ベンチャーキャピタリストとして

 

自分のノート・パソコンの中には、FacebookやTwitterの次に来るもののアイデアが詰まっている、

と考える何百人もの学生なら、ティールの話はぜひとも聞いておくべきでしょう。

 

世界最高の知名度を持ち、加えて挑発的な言動でも有名な

テクノロジー分野の起業家兼投資家が、有望な戦略を語ってくれる、というのですから。

 

2014年9月18日、ピーター・ティールはハーバード・ビジネス・スクール(HBS) の

アーサー・ロック・センターを訪れ、

「起業家スピリット」の専門家ウィリアム・サーマン(1955年卒業)とともに、

ビジネスとベンチャーキャピタルについて語りました。

 

ティールはイーロン・マスクやマックス・レフチンとともに1988年、

ペイパルを設立し、会長兼CEOを務めました。

 

このオンライン決済の草分けが登場したのは、

eBayユーザーの決済時の利便性を計るためだったのです。

eBayは、創生期にあったインターネットのなかで、広汎な人々を引きつけるサイトの一つでした。

 

「私たちが考えていたのは、そろそろメールとお金を連動させるべきなんじゃないか、ということでした」

ティールはこのように言います。

ところが、メールとお金を連動させるためには、

「受け入れられるための途方もない障壁」を乗り越えなければなりませんでした。

 

なにしろ顧客に新しい、まったくなじみのない決済方法に

慣れてもらわなければならなかったのです。

 

やがて成功を収めたペイパルは2002年、eBayに15億ドルで売却されることになります。

 

その後もティールは、数多くの創業に投資しています。

 

ビジネス向けSNSの「リンクトイン」、レビューサイト「イェルプ」、Facebookなどで、

いずれもティールは社外では初の投資者であり、同時にそれらの会社の重役でもあります。

 

An intimate chat between PayPal founder Peter Thiel (left) and HBS entrepreneur prof. Bill Sahlman inside HBS Burden Hall. Kris Snibbe/Harvard Staff Photographer

 

大きな池の小さな魚にはなるな

 

ティールは学生に訴えます。

大きな池の小さな魚になるな、その代わりに新しい、もしくはいまだ、

人の目が届いていない市場に目を向けよ、と。

 

Facebookはハーバードで10,000人の学生を相手に始まったんです。

それが10日のうちに市場占有率はゼロから60%だ。

申し分のないスタートです。

 

当時、Facebookを誰も有望な投資先だなんて考えなかったのは、

それがちっぽけな市場だったからです。

ペイパルはeBayに集まる大勢の出品者のために始まりました。

小切手に代わる別の方法を求めていた20,000人から25,000人の

セラー(出資者)だけの市場だったのです。

 

私たちはほんの少人数の人に、従来よりずっとよい方法を提供し、

たった3ヶ月で30から35%のシェアを占めるようになりました。

 

私はそうしたやり方は、たいてい、非常にうまくいくものだと考えています。

 

ティールがプロモーションを行っている最新著

『ゼロから1へ ―創業とは何か、どうやって未来を創造するか』の中でも、

ビジネスの成功にとって、幸運や偶然は決して重要なファクターではないことが述べられています。

 

ビジネスで成功することを、宝くじか何かのように考えている人は、

すでに自分は金を失うぞ、と自己暗示をかけているんです。

ものごとの原因を、偶然のせいにするような人は……

怠惰といえるのではないでしょうか。

 

というのも、もう少ししっかり考えれば、どこが間違っているかわかるのに、

彼らはそれをしないのだから。

運だの偶然だのは、途中で考えるのをやめてしまう自分の言い訳にすぎない。

 

起業家にとって、起業に失敗した経験は学ぶ価値がある、という考え方は、

あまりに「過大評価」されているのではないか、とティールは言います。

 

というのも、失敗の原因は多岐にわたり、

後続の人も、そうした原因をすべて避けて通ることなどできはしないからです。

 

会社を興すということは

教育に役立つものではないんです。

たとえば、私たちには会社がありました、

倒産しました、

それでスターバックスで働きました、

だけどたくさんのことを学びました…だなんて。

こんなもの、ばかげた作り話ですよ。

 

最近、ティールは、外部のCEOに主導された起業より、

創設者主導の、熱のこもった起業の方を楽観視していると言います。

また、社会貢献や教育的なことを目指す起業観には悲観的である、とも。

 

善いことをして利益を上げようとすると、

結局どちらもうまくいかないことになりがちなんです。

私が見てみたいのは、使命感のある企業です。

儲けを出すことを超えて、何か使命を抱いているような企業。

もし誰もやらないんなら、自分たちがやるしかない、みたいな使命をね。

 

若い起業家が仕事のどこに目を向けなければならないかに関しては、

ティールはサーマンの研究を援用しています。

ハーバード・ビジネス・スクールの学生が、成功の機会などないに等しいような時に、

どのように実業界に参入したかという、歴史的分析研究です。

 

この点に関する私のテーゼは、挑戦ということです。

ここに自分の人生で何を得ようとしているのか、しっかり考え抜いたこともない気楽な連中がいる。

二年後、こうした連中はみな、なんとかして最後の波をつかまえようとする。

でも、波はすでにいってしまっているんです。

 

そうして最後にティールはこのように締めくくりました。

 

あなたがやらなければならないのは、次の波に向けて漕ぎだすことなんです。

 

ハーバード・ガゼット


元記事:http://news.harvard.edu/gazette/story/2014/09/catching-the-next-wave/

(翻訳:服部聡子)

 

 

200ドルで起業したライフ・イズ・グッド社

 インタビュアー:レイ・ブキャナン

 


会社:ライフ・イズ・グッド社

創設者:バート・ジェイコブズ、ジョン・ジェイコブズ

初期投資額:200ドル (約2万円)

使用先:無地Tシャツ、スクリーンプリンティング、路上販売許可

その後、中古バンとコンピューターに4,600ドル

2014 収益: 100万ドル以上  (約1億2000万円)


 

バート・ジェイコブズ:

ことを起こすのは簡単ではない、と最初に言っておきたいと思います。

 

もしかしたら、自分のビジネスに夢中になっている人の気持ちをくじくかもしれません。

現在の頭の切れる起業家なら、私たちが起業のために6年かけてしたことを、

ウェブサイトを使って半年ほどで準備してしまうでしょう。

もし今のような技術があれば、私たちだってそれを使っていたにちがいないのですから。

 

その代わり、ストリートバスケで知り合った従業員と一緒に、私たちは何年もかけて会社を作りました。

ストリートで、パトロール警官にじろじろ見られながら、顧客とジョークを言い合ったり、

東海岸のありとあらゆる小売店に出向いては、アドバイスをもらったりもしました。

 

もちろん、効率的な段取りというのとは、ほど遠いものです。

でも、私たちの会社の価値の多くは、 安いこと、対面であること、

という初期の時代の必要性から生まれたのです。

 

 

 人は頼めば聞いてくれる

 

ジェイコブズ・ギャラリーは、ライフ・イズ・グッド社の前身です。

 

弟のジョンと私は1989年に旗揚げしました。

当時、私は24歳、弟は21歳。 兄のアランから200ドルを借りました。

ジョンと私は、アートやデザインすることが大好きだったので、

Tシャツは、生計を立てるための最初の一歩としては、良い考えだと思えたのです。

 

始めたばかりの頃、学んだことのひとつは、愛想を良くして頼むことを怖れさえしなければ、

たいていの人は頼み事を聞いてくれる、ということでした。

 

地元のスクリーン印刷の会社は、無地のシャツにプリントする料金を、

500枚あたり5ドルのところ、 もし私たちが12枚あたり7ドルで支払うならば、

支払いを60日間延ばす、という約束に合意してくれました。

つまり、私たちの仕入れ先が、実質的に私たちに資金提供をしてくれたようなものです。

 

やがて、ジェイコブズ・ギャラリーがライフ・イズ・グッド社になり、

量販に踏み出したとき、 私たちは倉庫として使用するために、

可動式の貯蔵庫を月額30ドルで借りました。

 

スクリーン印刷会社の駐車場にその貯蔵庫を置き、

電気コードをビルの中から引っ張ってきて電気をつけ、

夜に仕事をしてもいいかどうか尋ねました。

印刷会社は、そのときも、いいよ、と言ってくれました。

 

 

 最初は街角での手売りから

 

最初のうち、私たちは直接販売をやっていました。

街角にテーブルを出して、準備をします。

1年間有効のマサチューセッツ州の路上販売許可を取るのに25ドル、

ボストンでの許可証に15ドルかかりました。

 

こうした許可証は、最高のロケーション(たとえばハーバード・スクウェアや

ファニエル・ホールのような場所)では認められていなかったのですが、

ともかく私たちはどこででも売りました。

 

私たちのうち片方が、警官に気をつけていて、その間にもうひとりがテーブルのTシャツを売るのです。

私たちは地元の昔ながらの店をやっている人たちと仲良くなっていたので、

その人たちから苦情は出ませんでした。

 

私たちは、ひとりずつ、お客と顔を合わせながら売っていきました。

できるだけ多くの人から、好きな色やデザイン、嫌いな色やデザインを聞いていき、

その返事をノートに書き留め、ノートはつぎつぎに溜まっていきました。

 

今なら、オンライン・ツールを使って、お金もほとんどかけずに、

もっと大勢の人の好みを調べることができます。

 

けれども、当時私たちがお客とおしゃべりしながら学んでいったことよりも、

はるかに幅広いデータを集めることができるのでしょうか?

 

私の中の一部は、イエス、と言います。

でも、ノー、と考えている自分もいます。

 

当時、私たちのブランドと、顧客の間には、まったく距離がありませんでした。

もし火曜日に売りに行って、10人の人が、このデザインがいいね、と言ってくれたとする。

そうすれば、私たちは水曜日にもっとプリントするでしょう。

 

いまではどこも旧式のこのやり方に、なんとかして近づけようとしているではありませんか。

 

 

 町から町へ

 

大学にまで販路を広げていくことを決めたときは、

大学案内を買って、私たちとよく似た体型の学生たちに、数多く会えるような場所を探しました。

私たちのバンは、ちょうど2,200ドル。

 

もうひとりの兄のエドがカー・ディーラーのライセンスを持っていたおかげで、

オークションで手に入れることができたのです。

 

寝るのと、在庫調べの場所を確保するために、 後部座席は取り除き、160ドルで売却しました。

こうした遠征は、調査をかねたものでもありました。

私たちは途中にある多くの店で停まり、

商品がどのように並べられているか、

何が今よく売れているのかを見て回りました。

 

これもまた、オンラインでの調査と比べれば、ひどく非効率なものです。

けれど町から町へと旅することで、こ

うした家族経営の店の店主たちが教えてくれた商品と商いの秘訣について、

ジョンと私は徹底的に話し合うことができたのです。

 

こうやって学んだことは、何よりも長続きするものです。

 

 ”Life Is Good.(人生はいいものだ)”

 

ジェイコブズ・ギャラリーはかろうじて収支が合う程度でした。

ですから1994年までは、ジョンも私も、仕事が終われば美術学校で

デザインを教える代理教員をやって収入を補っていたのです。

 

私たちの所持金はとうとう78ドルまでになっていました。

そのとき、ちょうどジョンが、私たちのマスコット、ジェイクを考え出したのです。

ジェイクは楽天性を体現しています。

そのとき、私たちは “Life Is Good.(人生はいいものだ)”

というスローガンを思いついたのです。

 

このシャツはストリートで大変よく売れたので、私たちは大量販売にトライしてみることに決めたのです。

これが、私たちにとってのテイク・オフとなりました。

 

私たちのアパートをオフィスに変え、ほとんどの家具を売って、 そのお金で中古の机とテーブルを買いました。

私たちの最初の従業員は、ケリー・グロス、上の階の住人で、今ではパートナーです。

 

1本の電話回線で間に合わせるために、私たちは天井に穴を開けて、

ふたつの部屋に電話線を渡しました。

 

私たちの最初の大きな買い物は、マッキントッシュ・コンピューターです。

1995年当時、2,400ドル前後でした。 ケリーが経営のために必要だと言ったのです。

 

さらに、ジョンと私に、デザインに使うことができることも教えてくれました。

私たちは、冗談じゃない、と言ったものです。

コンピューターを使うアーティストなんて、ニセモノだよ、と。

 

とはいえ、私たちはなんとか使い方を覚え、決して後戻りはしませんでした。

もし今、ビジネスを始めるなら、私たちは絶対に、良いデザイン・ソフトウェアに投資するでしょうね。

 

? Photo:Where There is Music There is Love By:Peter E. Lee

 

もうひとつ、今、起業するなら。 2,000-3,000ドルを使って、

楽観主義の力を描き出す、魅力的な実話を見つけて、 ビデオを作りたいと思います。

 

そうしてその物語をシェアするために、みんなを招待するんです。

テクノロジーは、私たちが人と出会うことを助けてもくれます。

 

でも、それは、人が元気になるチャンスを与えるようなものとして 使わなくてはならないと思っています。

 

 

 


元記事:http://bit.ly/1FVbxIr

(翻訳:服部聡子)

小企業が顧客を魅了する方法

by ガイ・カワサキ
元記事:http://bit.ly/1LPVjO1
(※著者の承諾を得て翻訳しています)
 
私は小企業と取引することが大好きです。
小売店であろうと、ネット上であろうと、自分自身の買い物、ほかの人のため、あるいは趣味や娯楽、仕事上の取引であろうと、そんなことは関係ありません。
何とか世界を変えてやろうとがんばっているスタートアップが生み出した、商品やサービスを見つけることが、私は大好きなのです。
そうして、そんな小企業のオーナーを手助けしたいと心から願っています。
だってその人たちは、社用のジェット機で飛びまわったり、投資銀行家とランチしたりしませんからね。
 
ですからここで、小企業が顧客を魅了するための10の方法をお話したいと思います。

「魅了する」とは?

私は「魅了する」という言葉を商品やサービスや組織やアイデアで、人を喜ばせる作用 と定義しています。
顧客に愛されることで、双方とって利益となるような、 自発的で長続きのする支持が得られるのです。
あなたの営む小さな企業がもっと愛されるようになったらいいと思いませんか?

1.  現場には、感じが良く、有能で、熱意のある人を配置する

私はいつも笑顔で、自分が話していることの内容をしっかりと把握していて、自分が売ろうとしているものが大好きなスタッフとやりとりするのが好きです。
 
ところが少なからぬ企業が、もっとも給料の安く、経験の浅いスタッフを、カウンターやフロントデスクに配置して、最善の結果を期待しています。
これでは意味がありません。
 
一度、自問してみてください。 「うちの会社の第一印象は良いだろうか?」と。
もし、良くないなら、誰よりもふさわしくない人を最前線に置いているのかもしれません。

2.  信頼していることを示す

自分を信頼してくれないような人を、信頼することはできません。
スタート時は小さかったのに、のちに巨大になった企業を見てみましょう。
オンラインで靴の小売りを始めたザッポスは、 送料ばかりでなく返送料も無料にすることで、私に対する信頼を示してくれています。
デパートのノードストロームは、もし私が商品に欠陥があったと言えば、言葉をそのまま信じてくれます。
アマゾンは、7日間以内ならキンドルの電子書籍を返品できます。
7日間もあれば、たいていの本なら読んでしまえるというのに、です。
 
もしあなたが私を信頼してくれるなら、私もあなたを信頼します。
そうして、そこから関係が始まっていくのです。

3. 加入するときの障害を取り除く

初めての人にも、製品やサービスが簡単に利用できるようにしてあげてください。
アカウントを新しく作るときに、10の領域にもわたる 個人情報を記入させたりしないで。
キャプチャ・システム(※登録時にゆがんだ文字を読み取らせる画像認証)の際に、サンスクリット語の知識など求めないでください。
相談には事前予約など求めないでください。
その代わりに、いつでも、誰でもが、あなたの企業と取引にすんなりと入っていけるように、間口をスムーズにしておいてください。

4.  支払いは簡単に

ひとたび商品やサービスを購入すると決めたら、 注意書きや「目」のマークなどを使って、簡単に支払いできるようにしてください。
そのためには、何種類かの支払い方法や使いやすいショッピングカート、手ごろ感のある送料・手数料を導入することが大切です。
 
ガラクタを売りつけてお金を巻き上げようとする企業よりタチの悪いものがあるとしたら、
それは、立派な商品があるにもかかわらず、支払うのがとんでもなく厄介な企業でしょう。

5.  ひとつの領域を深く掘り下げる

香港にあるスタンリー・マーケットには、数多くの店があり、その多くがTシャツやみやげもの、おもちゃ、カバン、電子機器、カメラなどを売っています。
1ドルのもうけが出るなら、なんだって売ってやろう、という種類の店です。
ここで私が買い物をする店はたったひとつ。
タムズ・アート・ギャラリーです。
というのも、この店は、石作りの印章だけを売っているからです。
タムの店で扱うものはたったひとつ。
ですから、この店が、自分が扱っている商品を深く理解していることが、すぐにわかります。
 
私からのアドバイスは、ひとつのものに焦点をしぼりなさい、ということです。
Tシャツだけを扱っている「スレッドレス」や、 おもちゃだけを扱っている「チーキーモンキー」、カバンの「エドワーズ・ラゲッジ」、 エレクトロニクスの「フライズ」、カメラの「キーブル・アンド・シュチャット」、 ヨーグルトの「ミヨ・ヨーグルト」のように。

6.  DICEEを売る

DICEEとは、すばらしい製品やサービスの持つ、
Deep(深い)
Intelligent(知的な)
Complete(完全な)
Empowering(力を与える)
Elegant(エレガントな)
という5つのクオリティの頭文字を表しています。
 
DICEEの製品、サービスとは、 フル機能が搭載されたものであり(深い)、
顧客にとって「必要なのは何か」を理解したものであり(知的な)、
サポートがしっかりしたものであり(完全な)、
それを使えばよりよいことができるものであり(力を与える)、
使いやすいものである(エレガント)ことを指しています。
自分が提供しているものが、DICEEにかなっているかどうか、自問してみてください。

7.  実際に試してもらう

顧客は賢明な人であると想定してください。
脅して無理やり買わそうとするのではなく、買うかどうかの決定を、相手に委ねるのです。
 
そのために、製品やサービスを実際に試してもらいます。
それが車の試乗であれ、デザートの試食であれ、カメラの試し撮りであれ、機械工具であれ、 実際に試してもらうことには、効果があります。
 
でも、試してもらうことができたとしても、戦いはまだ半分。
試したからには買ってもらわなければ、とでも言おうものなら、 顧客はたちまち去っていきます。

8.  特色を伝えよう

「1ギガバイトの容量」とはどういうことか、 本当に理解している人がどれくらいいるでしょうか?
製品やサービスにはどれほどの性能があるか、 どれほどのことができるかを伝えるためには、特色を打ち出すことです。
 
たとえば、あるデバイスに、何曲保存できるかといえば、記憶容量が何ギガバイトある、と説明するよりも、相手にはっきりと伝わります。
私なら、この料理を食べればどれほど体重が増えるか教えてくれるレストランに足繁く通いたいと思います。
というのも、この店は、私の健康に気を配ってくれている、という突出した点を感じることができるからなのです。

9.  悪い知らせは早く

緊急事態は起こるものです。
商品には問題が出ますし、 配達は遅れます。
スタッフが病気になることもあります。
 
多くの企業は、悪いニュースから生じる影響を、可能な限り抑えようとします。
けれども、回避できない事態が起こったら、顧客の耳に入る前に、こちらから率先して知らせましょう。
自分たちが問題の存在を把握していることを知らせるだけでなく、かならず解決すると告げることで、問題の主導権を自分たちが握っていることを示すのです。

10.  影響力を持っている人に考慮する

お金を払う人と、これを買おうと決める人が異なっている場合があります。
多くの企業は、それが同じ人であることを前提にしていますが、実際にはかならずしもそうではありません。
 
購入に重要な影響を及ぼすのは、配偶者であったり、兄弟や同僚であったり、親や祖父母、子供のこともあります。
昨今では、だれがその家庭の本当のトップなのかはそれほど明白ではないので、影響力のあるさまざまな人にアピールするものであることが大切なのです。
ついでながら、わが家ではそれが娘に当たります。

「yes」の持つ力

私をとりこにするたったひとつの、けれども力強い言葉は、
コンピュータのデフォルトの「Yes」という言葉です。
 
というのも、この言葉は上記の10の点をすべて含んでいるからです。
この「Yes」は、顧客が間違っていて、不合理なことをしていることが証明されない限り、顧客が正しく、合理的であると信じてくれていることを示しています。
特別注文? Yes!
早期出荷? Yes!
返品は全額クレジットカードに払い戻し?  Yes!!と。
 
もし誰にでもそんなことをしていたら、倒産してしまうよ、 と数学は教えてくれるかもしれません。
けれども全員がそのような扱いを求めてくるわけではありません。
実際のところ、ほんの少数の、例外的な人々です。
けれども、ひとたびそのような扱いをしてもらえれば、人々はあなたがしてくれたことを多くの人に伝え、広めるエバンジェリストとなってくれるでしょう。
 
だとしたら、それは価値ある例外といえます。
あなたが魅了されたのは、どんな小企業ですか?

 

元記事:http://bit.ly/1LPVjO1


(翻訳:服部聡子)

クライアントが離れてしまったらどうするか?

by ジェフ・ウィリアムズ

 

 

大口のクライアントが去ってしまったら、

あなたの会社は二度と立ち直れないと思っているかもしれません。

けれども正しく行動すれば、損失を成功に変えることもできます。
誰もクライアントに切られたことなど、話したくはありません。

けれどもこれは、ビジネスをやっていれば誰にでも起こることなのです。
これまで大口のクライアントから切られた経験がないのだとしたら、

おそらくあなたは一般大衆を相手にしているのにちがいありません。

けれどもそこでも顧客は毎日、あなたの商品やサービスを、

選んだり、やめたりしながら、

あなたと取引するかどうか、ひそかに意志決定を行っているのです。
ある時点で、あなたの取引相手は、もはやあなたのサービスは必要ない、と結論を出しました。

そうして彼らはあなたと関係を断つことにします。

ぶっきらぼうに、怒ったように、あるいは申し訳なさそうに。

 

では、クライアントがもはやあなたと取引をしない、と言ってきたら、

あなたはどうしたら良いのでしょうか。

 

起業家として、あなたは悪いことは時に起こるものだということを

知っていなければなりません。

そんなとき、あなたにできることは、それに対応し、

あなたに言えることを伝えるだけなのです。

1.  推薦を頼む

 

一見、これはとんでもないことのように思えるかもしれません。

けれどもコンサルタントであり、スピーカーでもあるマーク・ファウストは

以下の点を指摘します。

 

解雇されたからといって、かならずしもあなたが失敗していたり、

相手があなたの仕事に悪印象を抱いたりしているとは限りません。

できれば、推薦状を書いてもらったり、

派生的な仕事をまかせてもらったりするのです。

 

ただ、これを頼む前に、何がうまくいかなかったか、

何らかの方法で、もう一度クライアントの仕事をやらせてもらえないか、

聞いてみる必要があります。

もちろん、クライアントが明らかにあなたの仕事、もしくはあなた自身に

不満を持っていることが分かっていれば、

推薦を頼むことはできません。

その代わりに…

2.  クライアントの競合のところへ行く

 

競合のところへ行き、あなたが過去にした仕事を参考にして仕事をすることは、

倫理的に見て、何も問題はありません。

 

とファウストは言います。

 

もちろん、たとえば機密情報を公開するような、

倫理に反することを行っても良いという意味ではありません。

また、あなたをお払い箱にした重役が、

あなたのことを喜んで保証してくれる、と偽ったりしてもいけません。

言葉を換えれば、あなたの誠実さを疑わせるようなことは、一切してはならないのです。
けれども、あなたを解雇した会社のために、あなたがしてきたことは、

あなたの職歴と経験の一部です。

 

そうして以前のクライアントの競合と一緒に仕事をする能力があなたに十分あるのなら、

自分を縛るようなまねをせず、そのチャンスをつかんでください。

とはいえ、ファウストはこのように指摘します。

 

おそらく多くの会社やコンサルタントは、

元のクライアントが最大の競合であるような人とは、距離を置きたがるでしょう。

 

3.  試合後の分析を

 

もし推薦状が手に入りそうもなく、

競合もあなたを雇ってくれそうになくても、

少なくとも、今は、何が間違っていたか、はっきりさせることができます。

どうしてあなたが切られたかわからなければ、ふたたび同じ過ちを繰りかえすでしょう。
ダイレクト・マーケティング・スタートアップのコネクト・ホーム・ソリューションズLLCの社長ニック・ニーハウスは、

私と話をする数か月前に、2人の大手クライアントから、契約を切られたばかりでした。

 

どちらの時もニーハウスは、8人の従業員に向かって、

収益の30%を失ったことを告げました。

 

「完全歩合制で働いている従業員にとっては、労働時間が少なくなることは大問題です。

私の収入にとっても、大きな打撃でした」とニーハウスは言います。

 

中小企業にとって、どんなクライアントを失うことでも、たいていの場合、一大事です。

けれども、起ち上げて間もない会社にとっては、一大事どころではない、死活問題です。
それでもニーハウスは、

「自分は頑固なので、あきらめて、先へ進むのはいやだった」と言います。

その代わりに、二度とも事後分析をして、何が起こったのか、明らかにしようとしました。

最初の時は、彼の会社の価格体系がうまくいってなかったことがわかりました。

 

私たちは新規顧客を重視し過ぎていたのです。

クライアントには2種類の料金が設定されていました。

配布したパンフレットで購入する人向けと、新規顧客向けです。

そうして新規顧客の方を、ずっと低く設定していたのです。

彼がまた別の大口顧客を失った二番目の時は、

自分のビジネスモデルがどのように効果を上げるか、

クライアントを十分に教育していなかったことがわかりました。

 

これまで最初はクライアントの相談を受けるという形で行っていましたが、

新規顧客に対してうまくいっていなかったので、

それをむしろ顧客のためのコーチング・セッションに変更していきました。

マイケル・パヴォーネも、2007年に彼の所有する広告会社の収益の30%を占めていたクライアントを失ってから、

こうした事後分析を行いました。

 

けれども、ニーハウスとは異なり、その広告会社はスタートアップではありませんでした。

パヴォーネ社は1992年に創業し、60人以上の従業員がいて、

年間収益が3,000万ドルにもなる企業です。

 

同社が最大のクライアントを失ったのは、むりやり外部からの統制が入ったことからでした。

パヴォーネ社のPRディレクターであるマイケル・ダッフィールドは、

「守りを固めることで、変革を成し遂げたのです」と言います。
同社のCOOであり、パヴォーネのパートナーでもあるエイミー・ビーマー・マレーは、

クライアントから切られたことで、非常に多くの貴重な教訓を得た、と言います。

「ある意味で、失った収益に相当するほどの価値ある教訓でした」
けれども、もし事後分析の結果、クライアントが離れていったのは、避けられないことで、

あなたやあなたの会社に何の落ち度もなかったことがわかったら、どうしますか?

ここからあなたは最終的な一歩を踏み出す時です。

4.  損失を受け入れる

 

「顧客を失うことは、いつも私の仕事や私自身に対して、不信任投票がなされたように感じます。

責任者として、受け入れるのは、簡単なことではありません」

とニーハウスは言います。

 

起業家として、あなたは悪いことは時に起こるものだということを

知っていなければなりません。

そんなとき、あなたにできることは、それに対応し、

あなたに言えることを伝えるだけなのです。

「人間は、ともすれば、世界は変化のないまま続いていく、と思いがちなものですが、

あなたの最良のクライアントが、10年後も最良のクライアントであることは、

おそらくないでしょう」とファウストも言います。

 

そうして彼は、限られた数のクライアントに売上を頼る中小企業のオーナーは、

そのクライアントがもっとも収益率が高いか、

どのクライアントがもっとも成長の余地があるか、

どのクライアントがもっとも失うリスクが高いか、

チャートも含めたマーケティング・プランを用意しておくことを勧めています。

 

その上で、あなたはそれぞれのクライアントに対して、

マーケティング・プランだけでなく、

つなぎ止めることと、離れていった場合の2種類の戦略を考えておかなければならない、と言います。

そうすることで、つねに新しいクライアントと収益源獲得に動き出せるからです。
あなたが損失を受け入れ、積極的に新しいクライアントを獲得しようとするのが速ければ速いほど、

あなたのビジネスもうまくいきます。

 

何よりも、その原因が資金不足であろうと、

顧客が望むものを提供できなかったことであろうと、

単にクライアントがあなたのことを好きではなくなったからであろうと、

クライアントを失うことは、不可避であるといえます。

 

それが弱肉強食の世界の本質です。

けれども、あなたが前もって計画にそのことも含めていれば、

新しいクライアントを獲得することもできるのです。

また、そうなることで事態が好転することもあり得るのです。

パヴォーネは言っています。

 

「進化か、さもなくば、死です」

 

 

著者:ジェフ・ウィリアムズ(著述家・編集者)


元記事:http://amex.co/1MzRpg1

(翻訳:服部聡子)