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「いい人」ではなく、役立つ人になろう 

 

 

馬は人間よりもずっと多くのことを理解している。

毎日、自分の背に、違う生き物を乗せている馬が、

彼らのことを何も考えていないはずがない。

一方、毎日違う生き物の背に乗る人間が、

彼らのことを何も考えていない、というのは、

実によくある話である。

    ダグラス・アダムズ 『ダーク・ジェントリーの全人的探偵事務所』

 

会社の上司や、政治家の「先生方」、顧客の「お偉いさん」。

私たちの身の回りには、「権力」を持った人が大勢います。

――そんな人の目に、自分はどう映っているのだろう?

そんなふうに思ったことはありませんか?

自分は人間ではなく、「道具」や「歯車」としてしか扱われていないのではないか、

と感じたことは?

もしかしたら、そこには「権力のレンズ」がゆがめているのかもしれません。

「権力という度の入ったレンズは、私たちが相手を見、判断するときに、

お互いの姿をゆがめてしまうものです」

 

こう書くのは、ハイディ・グラント・ハルバーソンです。

彼女は近著『誰もわかってくれない場合にすべきこと』の中で、

私たちが気がつかないうちに、さまざまなレンズを通して、ものごとをゆがめて見ている、

と指摘します。

特に上司と部下、顧客と販売員、先生と生徒などの、いわゆる「上下関係」にある人は、

双方が「権力のレンズ」を通して相手を見ています。

このレンズのせいで、意図がうまく伝わらなかったり、誤解されたりして

双方が不満を抱く結果を引き起こしてしまうのです。

こうした事態を打開するためには、どうしたら良いのでしょうか。

World's Best Boss

権力は状況や環境に左右される

 

まず、わきまえておかなければならないのが

「ある人物Xが、あなたより権力を持っている、ということは、絶対にありません」

ということです。

つまり、あなたの上司があなたに対して権力をふるうのは、

「ある特定の状況において、限定された時間に、特定の条件においてのみ」

なのです。

たとえば、会社がなくなってしまったり、あるいはあなたが会社を辞めたりすれば、

上司は、もはやあなたに言うことを聞かせることはできません。

そのことをあなたもわかっているから、理不尽なことを言ってくる上司がいれば、

「辞めてやる!」と思うのですね。

でも、辞めるのはいつでもできること。

そうなる前に、状況を改善する方法をさぐってみましょう。

 

(相対的に)権力のある側は、あなたをどうみているか

さまざまな研究からわかっているのは、

権力を持つ人たちは、権力の無い人たちに対しては複雑で、繊細な考えをもつ必要がないと感じる

ということです。

 

「面接官や職場の上司は、権力を持つという感覚を抱くと、就職希望者や賞与を配分するときに、

固定観念に左右され、偏見を持ちやすくなる、という研究も報告されています」

自分をひとりの人間とは見ず、

「女性だから」とか「二流大学出身者だから」などという粗いくくりで

見なされた経験は、誰にもあることでしょう。

おもしろいことに、実験では、こうした固定観念を通して見る傾向が高いのは、

「リーダーが「任意に」選ばれた場合にのみ、当てはまる」ことが明らかになっています。

 

「リーダーが自身の社会的能力や仕事の適性に対して評価を受けて選ばれた場合は、

このような偏見は見られません」

無能な上司こそ、こうした固定観念を振りかざしてくる、という私たちの実感を、

実験も裏づけているのです。

けれども、こうした上司を私たちは「災難」として、堪え忍ぶしかないのでしょうか?

Watch your head

「権力のある人にあなたのことをしっかりと知ってもらうには、

あなたを知ることが必要であり、有益であるようにする必要があるのです」

とハルバーソンは言います。

あなたを固定観念でしか見ようとしない面接官や上司に対して、

あなたがどんな人であるかをしっかり知ってもらうためには、

あなたの「インストルメンタリティ(どれほど役に立つか)」が鍵になります。

ハルバーソンは以下のように述べています。

 

「権力を持つ人が目的を達成するために、あなたは何ができますか?

あなたをよく知ることで、彼らにとっては何の利益になりますか?

もし、あなたを詳しく知るために彼らが時間と労力を投資するならば、

どのような利益が生まれるでしょうか?

権力を持つ人が目的を達成するために、あなたは何ができますか?

あなたをよく知ることで、彼らにとっては何の利益になりますか?

もし、あなたを詳しく知るために彼らが時間と労力を投資するならば、

どのような利益が生まれるでしょうか?

役に立つ存在であるために、あなたがまず、すべきことは、

自分は権力を持つ人の願望や挑戦を理解しているだろうか? と自問することです。

たとえば、権力を持つ人があなたの上司であるとします。

自分の一年の目標や未来のゴールは知っていても、上司のそれは知っているでしょうか?

上司にとって、他の人からの手助けが一番必要になるのは、どこでしょうか?

どうすればその仕事を手伝うことができるのでしょうか?

上司にとっては、どこが上手く行っていないのでしょうか?

作業の時間配分をするとき、多くの人は柔軟に時間を使うことができません。

自分の上司が手伝いを必要としているときに手を貸せるように、

自分の仕事の優先順位を決めていけば、

あなたがどれほど役に立つ人間であるかは、劇的に知られることでしょう。

そして、役立つ存在であることはもちろんですが、

求められていることをやれば良いだけなのです。

しかし、あなたの存在が、何よりも知られる方法は、

上司が頼む前に、上司が必要としそうなことを準備しておくことです」

大切なのは、いい人になることではなく、役に立つ人になることです。

そうすれば、この「権力のレンズ」をあなたもうまく役立てることができるでしょう。

 

 

引用はすべて

誰もわかってくれない場合にすべきこと


参考:http://bit.ly/1F4cWuw

(翻訳:横手祐樹 責任編集:服部聡子)

本:『誰もわかってくれないときにすべきこと』 

No One Understands You and What to Do About It?

著者 ハイディ・グラント・ハルバーソン

 

 

あなたはこれまで誰かと会話中に、話が通じなかったり、

ちがう意味に受け取られたことはありませんか?

でも、そんな経験があるのは、あなただけではありません。

 

 確かにそれは、うれしいことではありません。

 でも、そんな情況におちいっても、

 何かできることがあるはずです。

 

 社会心理学者であり、ベストセラーの著者でもある

ハイディ・グラント・ハルバーソンは、

どうして誤解が生じるのか、

そうして、どのようにそれを解きほぐしていけば良いのかを明らかにしてくれます。

 

 誰もがゆがんだレンズを通してものを見ている

 

私たちはたいてい、他者が見る自分の姿も、自分が見る自分の姿と同じものだ、

他者は自分のほんとうの姿を見てくれている、と思っています。

ところが実際にはそうではないのです。

私たちの日常の交流は、他者が私たちのことをゆがめて見ている、微妙なバイアスに彩られています。

そうしてまた、そのことが逆に、私たちの相手に対する認識をも、形づくっているのです。

 

ひとたび自分の認識をゆがめているレンズの存在に気づいたら、

自分が相手にどんなメッセージを送っているのか、はっきりと理解できるようになるでしょう。

 

  • 信頼 : あなたは味方か、それとも敵か?
  • 力 : あなたはどのくらい、私に力を及ぼそうとしているのか?
  • エゴ : あなたは私を不安な気持ちにさせているのか?

 

過去数十年の心理学と社会学の研究に基づいて、

ハルバーソンは、こうしたレンズが私たちのやりとりに、どのような影響を及ぼしているのか、

そうして、それをどのようにうまく扱っていけばよいのか、解きあかします。

 

あなたがひとたび〈印象〉の科学を理解したなら、自分の意図したことを、

もっと正確なメッセージとして相手に送ることができるはずです。

その結果、人間関係も好転するでしょう。

さらに、ほかの人に対しても、もっと正確で公平な判断をくだせるようになるでしょう。

 

それだけではありません。

ハルバーソンは、傷つけられた評判を修復するために、科学的根拠に基づく行動プランを

私たちに示してくれています。

 

本書は、良い印象を与えるための本ではありません。

けれども、結果的にあなたが周囲に良い印象を与えることになるのを、手伝ってくれます。

それは、あなたが意図したとおり、正確に、相手に受け入れられる、ということでもあります。

それこそが、私たちが手に入れようと努力している確実性なのです。

 

 

関連記事:「「いい人」ではなく、役立つ人になろう」


?元記事:http://amzn.to/1aFvKDN

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『キャプチボロジー 注目を引くことの科学』

Captivology: The Science of Capturing People’s Attention

著者 ベン・パー

 

あなたのアイデアはもっと注目を集めてもいい

だから人を引きつける秘訣を学ぼう

 

『キャプチボロジー』は、ジャーナリストであり、

起業家、投資家でもあるベン・パーの最新作です。

 

本書でパーが取り上げるのは、「注目」ということ。

注目されることで、どのような効果があるのか、

なぜ注目されなければならないのか、

注目されるためには、

人の心にどのようなトリガーを引き起こさなければならないのか、

さらに、注目されることによって、私たちの情熱や、

プロジェクトや、アイデアは、

どのような変化が生じるのか……など、

さまざまなが明らかにされていきます。

 

パーは「注目」に関する最新の研究と、

科学者や著名人50人以上に及ぶインタビューの結果を引きながら、

本書を展開していきます。

登場するのは、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ、

映画監督のスティーブン・ソダーバーグ、

リンクトインのCEOであるジェフ・ウェイナー、

マジシャンのデビッド・カッパーフィールド、

ベストセラー『内向型人間の時代』の著者スーザン・ケイン、

任天堂の宮本茂など。

いずれもアイデアや企画、また新しい会社や製品などを通じて、

人々の文化や意識に大きな変革をもたらした人々です。

 

その結果、本書は洞察力に富んだ、しかも実践的なものとなりました。

部下や子供たちに仕事の割り当てを変えるにはどうしたら良いか。

数百万ドルの広告費を費やすキャンペーンは、どのように計画すべきか。

つぎのプレゼンテーションは、どのように行うか。

どうすればあなたの製品にユーザーを引きつけることができるのか。

どのように訴えれば、世の中の人々はあなたの主張に同意してくれるのか。

本書はそうした問題に答えてくれます。

 

 

関連記事:「注目を引くための10の方法」

 

 

Ben Parr

Ben Parr :ジャーナリスト、著作家、起業家、ベンチャー・キャピタリスト

       2012年Forbsが選ぶ「30歳以下の30人」に選ばれる


元記事:http://amzn.to/1AUrF6I

 

(翻訳:服部聡子)

本:『存在感 最大の試練に最強の自分であるために』

Presence: Bringing Your Boldest Self to Your Biggest Challenges

『存在感 最大の試練に最強の自分であるために』

著者:エイミー・カディ

 

人生最大の難局を前に、どうすれば最強の自分自身であることができるのでしょうか?

就職の面接や、むずかしい話し合い、自分を弁護しなければならなくなった場合など、

私たちは、きわめて困難な情況に立ち向かわなくてはならないことがあります。

そんな際に、不安を抱えたまま臨み、後悔と共にそこを去ることも多いもの。

 

自分が本物であり、自分には力があることを示さなければならない場面なのに、

逆に、自分がインチキ臭く、無力感に襲われることがあります。

そんな状態では、決して最高の自分を発揮することはできません。

ハーバード大学の教授エイミー・カディは、

自分が他人に与える印象のことを思い煩うのをやめ、

自分が自分に与える印象を変えていかなくてはならないと言います。

 

最先端の科学は、私たちが力と強さを反映した行動を取ることによって、

自分を妨害する怖れや疑念から自由になれることを明らかにしました。

私たちの思考や行動、生理機能までもが、方向を変えてやることによって、

最高の自分であるために、自分の思いのままにできるというのです。

エイミー・カディはTEDの講演「ボディ・ランゲージが人を作る」

で世界中の人に刺激を与えました。

本書でカディはこうした科学を基礎に、

互いに影響を及ぼし合う、身体と脳の働きについて、多くのことを説明してくれます。

そうして、プレッシャーがかかる時でも、自信を持って対処できるように、

この科学を利用する方法を教えてくれるのです。

情熱的な語り口と簡潔にまとまった研究が一冊の本になった『存在感』は、

現実の障害に直面し、強い抵抗に遭いながらも成功した人々のストーリーも

数多く紹介されています。

読者はストレスに満ちた場面に直面しても、

怖れも後悔もなく、それを乗り越えていく方法を学ぶことでしょう。

 

 


 

元記事:http://amzn.to/1NO2ZGM

(翻訳:服部聡子)

感情的な人を落ち着かせる3つの魔法の言葉

by ジェシカ・スティルマン

 

怒っている顧客?

機嫌の悪い従業員?

やっかいな会話を正常に戻す魔法のフレーズを、臨床心理士が教えてくれます。


 

 

世の中が、まっとうで合理的な人ばかりなら、

ビジネス・オーナーなどの仕事も、ずいぶん楽なものになるでしょう。

 

ところが、ご存じの通り、中には毎日のように周囲を引っかき回したり、

ケンカがしたくてうずうずしているような人もいます。

 

日頃は穏健な人でさえ、時には感情に身を任せてしまうこともあります。

感情的な人の相手を、つねに避けて通ることはできません。

 

こうした厄介な相手との会話もまた、人生の一部であり、

相手をする苦痛を和らげ、話し合いを建設的なものにする方法もあります。

ここでは臨床心理医であるドクター・アルバート・J・バーンスタインの話を紹介します。

バーンスタイン医師は、こうもアドバイスしています。

 

もしあなたが幼稚園の先生になったような気がしたなら、

おそらくあなたはうまくやっています。

 

電話口で怒ってわめきたてる人を落ち着かせ、

また、あなた自身の感情的なダイヤルもターンダウンするような会話にチャレンジしてみましょう。

 

Photo:~stone scream~ By:Cheo70

 

1. 「もっとゆっくり話してください。お力になりたいんです」

 

何もほんとうに早口過ぎて、聞き取れないわけではありません。

問題は、わめいたり泣いたりしてコントロールを失っている相手にあります。

にもかかわらず、このフレーズは魔法のように効くとバーンスタインは言います。

 

この言葉がどうして効くのでしょうか?

それは、彼らの思考パターンを打ち破るからなのです。

彼らは、あなたに抵抗されると予期していますが、あなたはそうしない。

その代わりに、彼らに明瞭に話してくれるように頼むのです。

私は知りたいんです、と。

そうすることで

「恐竜並みの頭脳」が考えるようになります。これはいい状態です。

 

2. 「何か私にできることがありますか?」

 

この言葉は、1.と同じ効果を発揮します。

「恐竜脳」、つまり、 飛ぶことや戦うことしか知らない、

原始的で感情的な脳の一部しか使っていない感情的な人を、

その状態から連れ出して、

思考能力が使える状態に持っていく働きがあるのです。

Photo:Angry Seagull By:San Diego Shooter

3. どんな質問でも良いから、とにかく質問する

 

相手のいうことがどれほどおかしいかは、問題ではないのです。

会話を正常なものに戻したいからといって、

相手の頭がどれほどおかしいか、教えようとしたり、

自分の視点がどれほど正しいかを説明しようとしても、何の助けにもなりません。

 

どうしてか?

 

説明しようとする行為は、実は、ケンカに反撃していることにほかならないからです。

相手はそれを感じ、ますます感情的に、攻撃的になってくるでしょう。

聞くという行為は、感情的な相手に働きかけるのです。

内容は問題ではありません。

 

バーンスタイン医師のいうように、あなたが適切な質問を出していけば、

相手もだんだん落ち着いてきます。

そうすることで、どれほど分別のある良いことを言うよりも、

会話は安定したものになっていくでしょう。

 

 

 

著者:ジェシカ・スティルマン(Inc.com


元記事:http://bit.ly/1Ddwvga

(翻訳:服部聡子)

心理学を利用してマーケティングを改善する5つの方法

by ジェレミー・エレンズ

 

 

心理学は、マーケティング戦略のあらゆる局面で活用することができますが、

かならずしも成功に結びつくわけではありません。

このコラムはコンバージョンの心理学を応用したものです。

ここでの内容をあなたのビジネスにも活用し、

ランディングページのコンバージョン率を最適化し、

幸せな顧客を創出していきましょう。

 

 1. 過去の経験の法則

 

あなたの製品やサービスに対して、潜在顧客がどのように反応するかは、

あなたのブランドが、顧客ひとりひとりの目線にかなうかどうかにかかっています。

 

あなたのブランドを訪れた潜在顧客が最初にすることは、

顧客自身の過去の経験とあなたの製品を比較することです。

 

過去の経験の法則が教えてくれるのは、

潜在顧客の過去の経験が(それがあなたのビジネスにどう関連していようと)

現在の経験を補強するということです。

 

マーケターの主流が、この法則を捨て去り、

潜在顧客がいま目にしているものをいっそう引き立たせようと、

自社製品やサービスを差別化しようとしていますが、

それはかならずしも正しいとは限りません。

 

Fab.com.でのケース・スタディを見てみましょう。

Fab.com は、インターネットによる通信販売をおこなっている小売業者ですが、

ウェブサイト上で、ユニークな「カートに入れる」ボタンの実験をおこないました。

 

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上記の写真では、CTA(※行動を誘発するもの)ボタンの画像と、

そこに記された文字が異なっています。

左のカートが描かれたCTAボタンがオリジナルのものです。

 

右のバリエーション2は、オリジナルのものにくらべて

CTR(※広告クリック率)の上昇は、15%にとどまりましたが、

中央のバリエーション1はCTRが49%も上昇しました。

 

これらの結果は、オリジナルのCTAボタンが、洗練されたデザインにもかかわらず、

CTAとしては十分に役割を果たしていなかったことを物語っています。

 

つまり、消費者は精算するときのボタンに

「カートに入れる」と書いてあることに慣れているので、

そうではないものを見ると、とまどってしまうのです。

 

顧客の予想とかみ合っていないものは、

仮にあなたが従来のものよりもずっと優れていると考えたとしても、

CTRやコンバージョン率を下げるかもしれません。

これは、行動心理学とデザインが衝突した一例といえるでしょう。

 

マーケティング戦略を立てる上で、それぞれに異なった心理学的な傾向と、

それが演じる役割を理解するのは、簡単なことではありません。

消費者が異なれば、特徴も異なります。

 

けれども、上記のようなスプリットテストをおこなうことによって、

徐々にターゲットとするマーケットの特徴を、はっきりと理解できるようになり、

変化がどのようにパフォーマンスに影響を与えるか、

予測できるようになるでしょう。

 

 2. 幸福と痛みの心理学

 

今日、マーケターの間では、まず、なにを置いても顧客、ということが常識となっています。

顧客次第であることを示す、もっとも簡単な方法のひとつは、2人称視点で物語ることにあります。

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このランディングページは、すべて “you”、「あなた」を使っています。

文章はふたつとも、直接的な対象である「あなた」に呼びかけていて、

それによってオーディエンスは、

「このビジネスは、自分の幸福や、自分が下す選択、

自分がどのような気持になるかを気にかけてくれている」

という感覚が得られ、安心できるのです。

 

潜在顧客に幸せな気分になってもらう要素をリストにすれば、膨大なものになるでしょう。

たとえば、笑っている人々やかわいい動物の写真、明るい色や、顧客からの推薦文など。

 

けれどもなによりも効果的なのは、潜在顧客が求めているものを盛り込むより、

避けたがっていることを盛り込むことです。

 

この考え方は、痛みの心理学の

「喜びの量は、あらゆる痛みを取り除いたときに、極限に達する」

という考え方を援用しています。

 

これは何も、ランディングページで悲惨な画像を宣伝し、

潜在顧客を怖がらせようという意味ではありません。

以下の例を見てください。

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▲ 最初に目に飛び込むところに「あご」と大きく書かれ、
それが二重あごのことであり、「二重あごを隠したいですか?」と書いてあることがわかるようになっている

 

このランディングページは、多くの人が直面している、コンプレックスの元凶に直接訴えかけるものですが、

同時に、それを取り除くという解決方法をも提示しています。

そうすることによって、潜在顧客の置かれている状況に共感していることを示し、

助けの手をさしのべ、関係を築いていくのです。

 

「痛むところを叩け!」

というのは、このアプローチを説明するのに最適の用語ではないかもしれませんが、

ふり返ってみて、あなたのビジネスがほんもので、

人生を変えたがっている人に、真に効果的な解決を提供できるものであるなら、

あなたのオーディエンスの自意識に訴えかけることは、

少しも不道徳なことではありません。

 

 3. 費用対効果分析の心理学

 

そのキツネは狩るだけの価値があるだろうか?

こう考えている人の内部に起こるプロセスを明らかにするのが、費用対効果分析です。

 

言葉を換えれば、あなたが提供しているもの、

たとえば電子書籍やオンラインセミナー、

その他のリード・マグネット(※マーケターが潜在顧客のメールアドレスと引き替えに提供するものの総称)

を手に入れることは、

潜在顧客がやらなければならないこと、

たとえばメールアドレスを提供したり、アンケートに答えたりすることに引き合うかどうか、

ということです。

 

ウェルスフロント社プロダクト・デパートメントの副部長エリオット・シュムクラーは、

顧客の葛藤をなくしてあげることの重要性を訴えます。

 

ひとたび訪問者をあなたのサイトに呼び寄せることができれば、

あとはあなたの意図したアクションを訪問者に取ってもらえるように、

できるだけシンプルにした方がいい、と説明しています。

 

すなわち、CTAボタンは大きくし、

メール受け取り承諾フォームは小さく、

精算プロセスのページや、記入フォームのページは少なく等々

ということです。

 

そうすることで、あなたの顧客は、購入までの精神的な負担を減らすことができます。

 

たとえば、メール受け取り承諾フォームのオプションの欄さえ、

どれほどの負担を強いているか、以下の例が示しています。

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左のオリジナルのフォームにあるオプションの「会社名」の欄を

右は削除しただけで、その結果、1200万ドルの増収をもたらしました。

たったひとつの欄を削除したことが、8桁の収益をもたらした…

これは事実なのです。

 

 4. 同盟者を集める

 

成功した企業の中には、共通の「敵」を作ることで、

顧客との連帯感を植えつけているところがあります。

非営利団体や人権キャンペーンが発する熱情を考えてみてください。

そんなふうに感じるのも、彼らが一緒に闘おうと呼びかけているからなのです。

 

個人向けや企業間のビジネスは、友情の感覚をはぐくむものです。

アップルとマイクロソフトのケースは、その好例でしょう。

 

アップルとマイクロソフトの今なお続くライバル関係は、

あまりに長きにわたっているので、

履歴書にどちらのチームに属しているか、記入する欄を設けてくれと、

どうして二社が頼まないのか、不思議なほどです。

 

同じことを、このコラムの冒頭でふれたミュージシャンたちもやっています。

アップルとPCは、友好的な競争心を、それぞれのフォロワーの間に醸し出してきたのです。

 

「チームを選ぶ」というアイデアは、愛着心をはぐくみます。

長い間、顧客を続けてくれている人は、将来的に、

勧めればワンランク上の商品でも購入してくれる

アップセリングがやりやすくなる顧客でもあるのです。

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 5. 明るい希望を

 

このコラムの最後のポイントは、

聞くだけなら簡単そうでも、実際にやってみるとそうでもないことかもしれません。

 

それは、オーディエンスが確かにそのとおりだ、とうなずいてくれるような

コンテンツを書く、ということです。

 

明るい希望を持つ、というポリシーは、

共感と楽観主義が感じ取れるコンテンツを書くことによって、具体化されます。

 

たとえば、どこかよその宇宙では、陸運局がコマーシャルをしているかもしれません。

 

「列に並んで長く待つのは、つらい経験です。

でも、私たちがお手伝いします」

 

ポイントは、共感し、それからあなたには解決方法がある、と安心させることです。

そうすれば、顧客の予感も、確証が与えられるのです。

もうひとつの例を以下に挙げます。

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▲CEOの78%は、マーケターはROIに焦点をあてていないと考えています。
私たちはそうしています!

 

明るい希望を徐々に作り上げていくことの究極の目標は、

AからZまで、あなたが予測することです。

 

もしあなたが潜在顧客の注意を引くことができたら、

相手に感情移入し、あなたにはその解決策があることを証明するのです。

そうすれば、あなたはセールスファネルによって潜在顧客はしぼりこまれ、

買う準備ができるまでになっていきます。

売り文句など口にしなくても。

 

あなたの戦略のさまざまな局面で、心理学的なトリガーを実行することは、

あなたのオーディエンスが、ランディングページとやりとりする方法を

最適化してくれるでしょう。

 

ランディングページのコンテンツを見た顧客が、

どのように、また、どうして、あなたの予測どおりに彼らが行動するのかを理解しておくことは、

コンバージョン率をあげ、将来にわたって、顧客に持続可能な解決策を作りだす上で、

きわめて重要なことです。

 

著者:Jeremy Ellens(起業家・マーケター)


元記事:http://blog.hubspot.com/marketing/conversion-psychology

(翻訳:服部聡子)

幸福感はどこから来るか

ハース・スクール・オブ・ビジネス レポート

 

 

現代の政治家や経済学者は、GDPより国民の幸福度を重視するようになっています。

そこで問題となるのが、それぞれに異なる個人の幸福度を、どうやって測定するかということです。

なぜ人は幸福だと感じるのでしょう?

 

ハース校が主導する新しい調査では、

個人の幸福と公共政策が、驚くほど高い相関を示していることがわかったのです。

 

Photo:Happiness By:mahmud.rasse

 

調査は、コーネル大学のダニエル・J・ベンジャミン教授と

南カリフォルニア大学、 さらに5人のエコノミスト主導のもと、行われました。

 

対象者は、数多くの項目の中から、何が〈幸福感〉をもたらしているかを選択します。

項目には、たとえば自分の健康や、経済的安定といった「個人的」なもの、

あるいはまた、社会に汚職や不正行為がないことや、

貧しい人々を進んで助けようとする社会であることのような 「公共的」な内容が含まれています。

 

たとえば自分自身の健康と、公衆衛生を充実のどちらを重要とみなすか。

 

自分自身の経済的安定と、たとえば言論の自由や、

政治に参加する自由の重要性のどちらを重要とみなすか、といったふうに。

 

予想通り、回答者は個人の幸福を、高いランクの重要度に置きました。

けれども、同時に、主義主張や、他者の幸福に対しても、

高い価値を置いていることがわかったのです。

 

調査結果は、幸福感の多くが、個人の健康や経済的安定から来ていることを示しています。

同時に、人々は自分たちが生きている社会を良くしたいとも感じているのです。

 

すなわち、私たちの個人的な幸福感の根底には、

自分が「正当で思いやりのある社会に住んでいる」という 感覚があることが、

この調査は裏づけたのです。

 

 

ハース・スクール・オブ・ビジネス レポート


 

元記事:http://bit.ly/1IWE0JV (抄訳)

(翻訳: 服部聡子)

 

 

うまくダメ出しする方法

by クリスチャン・ジャレット

 

相手の間違いを指摘しないことは利己的な行為

 

仕事仲間のまずい仕事ぶりを目の当たりにしたとき、あなたはどうしますか?

それを指摘し、注意するのは楽しいことではありませんが、

ほんとうは、きわめて重要で、相手にとっても親切な行為です。

私たちの誰もが、現在、どのような状況にあろうと、過去に何をしていようと、

進歩していくことは可能です。

けれどもそのためには、自分に欠けている点を、

信頼できる誰かから、指摘してもらう必要があるのです。

 

間違った点の指摘や批判は、潜在的な贈り物です。

医療産業や航空産業などの業界では、人の命を救うことさえあります。

けれども指摘や批判をおこなうことは、簡単なように思えて、

一歩まちがえると、きわめて危険な結果を招きかねません。

人間関係や信頼を壊すかもしれないのです。

では、どうしたら思いやりのある評価と不愉快なコメントの間で、

うまくバランスを取ることができるのでしょうか。

 

ダメ出しをおこなうためには、まず第1に、信頼関係を築いておく必要があります。

研究によると、自己評価の低い人は、マイナスの評価を差し控える傾向があるといいます。

とりわけ対面でその傾向が強くなるのは、嫌われたくないから、

あるいは、批判的な言葉が自分に投げ返されるのを恐れているから、

という理由があるからなのでしょう。

 

別の研究では、「自己監視」傾向の強い人

(自分が社会的に見て適切なことをしているか、非常に気になる人)

も、同僚にマイナスの評価を出せないということが明らかになっています。

とりわけその会社が、静穏という企業文化を持つようなところなら、

その傾向はいっそう強まるでしょう。

 

自己評価の低い人は、批判を控える傾向がある

 

逆説的に聞こえるかもしれませんが、自分がどう思われるかを気にして、

マイナスの評価をしない、というのは、利己的な行為です。

あなたのエゴは、いったん脇へ置いて、

自分がきらわれたら、とか、良い人と思われたい、などと考えるのはやめましょう。

 

正当な批判を適切な態度でおこなうことは、相手にとっての利益であり、

あなたがもっと有能な同僚や上司となる機会でもあるのです。

逆に、あなたがマイナスの評価を控えるということは、

相手の成長の機会を奪っているということになります。

それだけではありません。

相手もやがて自分の失敗に気づき、

さらにあなたにはチャンスがあったにもかかわらず、注意してくれなかった、

と思いいたるかもしれません。

 

ですから、あなたが黙っていたせいで、今日は人気者でいられるかもしれませんが、

明日のトラブルの種を抱え込むことにもなりかねないのです。

 

The Argument.

批判は、人ではなく、プロセスに対しておこなうもの

 

人は、マイナスの評価に対して、

それぞれの気質や信条に応じて、異なった反応を示します。

そうしてその反応が、私たちが批判を形成していく手がかりになるのです。

 

相手の批判を素直に聞く人で、

目標をもっと学んだり、修得したりすることに置いている人であれば、

批判的な評価を受けても、過ちを訂正したり、もっと精進を重ねたり、という、

建設的な反応を見せます。

彼らは批判を学ぶチャンスと受けとめるのです。

 

逆に、柔軟性に欠ける人、

目標を自分の能力を示すことや、高度な仕事を成しとげることに置いている人だと、

マイナスの評価を受けることが、助けにならない場合もあります。

?そういう人は、自分本位に受け取って、腹を立てたり、批判を避けようとしたりするかもしれません。

「自分は文章を書くのが下手だから/頭が悪いから」などと、

自分の性質だから仕方がない、とばかりに、マイナスの評価を途中でさえぎろうとします。

 

そうしてまた、マイナスに評価されたことが引き金となって、

あなたに対する信頼感を失っていったり、

「あのバカは自分が何を言っているか、わかってないんだ」

といって、徹底して批判を拒もうとする場合もあります。

 

ちがいはここにあります。

良くなろう」という思考パターンの人と、

良くあろう」という思考パターンの人がいるのです。

 

批判される側のこうしたちがいを逆に利用して、

相手に望ましい反応をしてもらえるような批判を作ることもできます。

 

相手に対して、あなたがうまくやれなかったのは、

容易に修正できる、外部的な原因だと説明することによって

(「この記事がうまく書けていないのは、十分な調査と知見が得られなかったからだ」)

相手にとって重要なのは、あなたがどれだけすごい人であるかを示すことではなく、

もっと学ぶことにある、と暗に伝えると、

批判が建設的な反応を生む可能性が高くなるのです。

 

つまり、相手が実際に次のステップに踏み出せるように

(「今度はもっと気をつけて、十分な調査をやっておきます」)

あなたはそれとなく微調整のきっかけを与えてやる、ということです。

 

ところが、相手の仕事ぶりに対する批判となった場合は、

次のステップはもっと曖昧なものになってしまいます。

(「次はもっと頑張ります」)

 

Talk

 

相手の進展をそれとなくうながしたいときは

具体的に次の一歩が踏み出せるような提案を

 

全体から見て適切で、恩着せがましくさえなければ、

あなたが出したマイナスの評価も、

実践的な、相手に合わせた改善ステップと組み合わせることで、

相手の基本的な能力に対する評価ではないことが、はっきりとわかってもらえます。

(「この記事は、君のライターとしてのスキルを思ったら、十分とは言えないな。

君だったら、この分野の専門家と話して調査を重ねたら、もっと良い記事が書けるはずだ」)

 

最近の研究では、間違った箇所に対する指摘も、こうしたやり方なら、

受け手が自分がどこまでやり遂げたかを理解できることで、

さほど自己嫌悪に陥らなくてすむことがわかっています。

 

また、相手に対して意見を述べることによって、受け手の反応を形成することもできます。

たとえばもしあなたが、誰かのやったまずい仕事ぶりを取り上げて、

別の同僚と比較するようなことがあれば、

仕事仲間の間にライバル心や、成果主義の考え方を生み出す怖れがあります。

このような状況で、あなたが批判的な評価を下せば、おそらく彼らは腹を立てるでしょう。

 

どんなマイナスの評価でも受け入れられる基礎を築くことが、

あなたがまず第一にやっておかなければならないことです。

 

もしあなたが「何ができるか私に見せてくれ」という態度で仕事を割り当てたなら、

あとでその仕事のできが不十分なことを指摘した場合に、

ひどい反応が返ってきても、驚いてはいけません。

 

その代わりに、この仕事は学び、上達するチャンスだと相手に悟らせることができれば、

仮にあなたがマイナスの評価を下したとしても、

相手はもっと心を開き、生産的なものとして受け取ってくれるでしょう。

 

*** *** *** *** *** *** ***

 

大胆に、辛抱強く、建設的な批判をおこなえば、

相手を助け、相手が向上するのを助けることができます。

 

けれどももっと大切なのは、私たちの行動が、信頼という文化に貢献することです。

そこは仕事仲間が「良くやった」と背中をポンとたたき合うだけでなく、

ミスを指摘し、それを改善する方法を指摘できるような場でもあります。

そうやって、私たちみんなが成長していくのです。

 

 

著者:Christian Jarrett (心理学者、British Psychological Society’s Research Digest blog


元記事:http://bit.ly/1ahUQYY

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『人格形成への道』

The Road to Character

 David Brooks

原題:『人格形成への道』

著者 デイヴィッド・ブルックス

 

この本を書いて、自分が人格形成への道をたどることができたかどうかはわかりません。

けれども、少なくとも、その道がどんなものかはわかったような気がするし、

ほかの人がどのようにたどっていったかもわかったのだと思います。

デイヴィッド・ブルックス

 

何百万の読者を有するニューヨークタイムズで、

知性やユーモア、好奇心、鋭い知見にあふれるコラムを通じて、

デイヴィッド・ブルックスは、日常生活に

思いがけない角度から光を当ててきました。

 

人生の科学また、ベストセラー

『人生の科学: 「無意識」があなたの一生を決める』では、

人間がどのように結びつき、

その関係を豊かにしていくかを、

神経科学の見地から探求しています。

 

 

 

 

 

今回の『人格形成への道(原題)』で、ブルックスが焦点を当てるのは、

私たちの人生を形成する、より深い価値についてです。

 

ブルックスは、現在の私たちを取り巻く状況を

外的な成功を強調する 「大文字の私(Big Me)」 文化と呼びます。

その文化に対抗して、私たちは(著者みずからも含めて)

「履歴書に書ける美点」、すなわち財産や名声や社会的地位といったものと、

「褒め言葉としての美点」、人間としての私たちの中核に存在する、

優しさや、勇気や、誠実さといった、人間関係を形成する上で重要なものとの間で、

もう一度、バランスを取り戻そう、というのです。

 

ブルックスは、世界中の偉大な思想家や指導者に目を向けて、

彼らがどのように葛藤や、自分の限界を知りながら、

強い自我を形成していったかを探求していきます。

 

アメリカ初の女性労働長官となったフランシス・パーキンスは、

自分の一部を抑える必要を理解し、大きな組織の一部となることができました。

 

ドワイト・アイゼンハワーは、自分の人生を、自己表現の場としてではなく、

自制の場と考えて創りあげていきました。

 

ラディカルな共産主義者からカトリックに改宗し、カトリック労働者運動を創設した

ドロシー・デイは、若い女性として、簡素であること、身を委ねることの意味を悟りました。

 

市民権運動の先駆者であるA.フィリップ・ランドルフとバヤード・ラスティンは、

寡黙であること、自己を律する論理を学び、

偉大な改革運動をおこなっているさなかでも、自分を疑うことの必要を理解したのです。

 

心理学や政治学、精神性や告白をも織り込みながら、

『人格形成への道』は、私たちが自分の中での優先順位を見直し、

人間性と道徳的な深みを持つ、豊かな内面を築く機会を与えてくれます。

 

 


元記事:http://amzn.to/1K0WM4r

(翻訳:服部聡子)

最新の研究が教える「良い」顧客サービスとは

by レン・マーキダン

 

 

理論上は、顧客に喜んでもらえるサービスを提供する「秘訣」など、きわめて単純なものです。

  • 感情移入
  • 感謝
  • 有益であること

どれもたやすいことのように思えます。

 

この3つのスキルを向上させれば、準備完了、なのですから。

 

確かに「ありがとうございます」の言い方をマスターし、

語調や言葉の選び方による相手の受け取り方の変化を理解することによって

上記の3つを組み込むことはできるでしょう。

 

けれども現実には、顧客に満足してもらうことは、それほど単純ではありません。

実際に効果を上げた方法が、予想もしなかったことだった、というのも、よくある話です。

 

顧客が提供されたサービスの、どんなところに喜び、どんなところに腹を立てるかは、

私たちの直観に反していることがきわめて多いのです。

 

1. あなたは良いニュースと悪いニュース、どちらから話し始めますか?

  ――状況によります

 

あなたはこれまでどれほど、良いニュースと悪いニュースのどちらから初めてほしいか、

と、 誰かにたずねたことがあるでしょう。

 

昔からのお定まりの言い方ですが、実はちがいがあることがわかってきました。

あなたが口にする順番で、顧客の気持ちと行動を、実際に変えることができるのです。

 

カリフォルニア大学リバーサイド校で研究者たちは、被験者にニュースを配信する順序のテストをおこない、

反応や行動を測定しました。

 

そこで興味深いことがわかったのです。

 

悪いニュースを聞かされた人は、つぎの話で気分が良くなる傾向が見られたのに対し、

あとで悪いニュースを聞かされた人は、そのニュースをもとに、行動しなくては、という気持にかられたのです。

 

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通常の顧客サービスでは、顧客に満足してもらいたいので、

悪いニュースを先にもってくるのは良い考えです。

けれども、顧客を説得し、行動に移してもらいたいようなときは、 良いニュースから始めましょう。

 

2. 優れた顧客サービスには、速さより大切なものがある…

 

世間一般の通念では、顧客からの「ヘルプ」への対応は、速ければ早いほど満足度が高まる、とされています。

おそらく一般的には、その通りでしょう。

 

ところが、そのほかにも速さよりもっと重要な要素があることは、しばしば見過ごされています。

 

ギャラップは、銀行でサービスを受けた後、契約にいたった顧客がどのように感じたか、調査をおこなっています。

 

迅速なサービスを提供してくれる銀行に対しては、 6倍の人が、さまざまな面で取引をおこないたい、

と答えたのに対し、

「人的要因」での支持率が高い銀行(窓口のスタッフが礼儀正しく、親身な応対をしてくれる)では、

9倍もの人が全面的な取引をおこないたい、と答えたのです。

 

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ウィリアム・J・マキュアンは、『ブランドとの結婚』のなかで、このように言っています。

 

速さはひとつの要素ではあるが、

親身で的確なサービスを提供してくれる銀行窓口にくらべると、

重要さでははるかに劣る。

 

速さに焦点を当てるより、むしろ徹底した気配りや、親身な顧客サービスを重視してみましょう。

 

 3.  … ただし、ソーシャルメディアでは何よりスピードがものをいう

 

顧客の期待――顧客の満足感は、「期待」にかかっています――は、

あなたとのコミュニケーション手段によって変わってきます。

 

メールや電話、また対面のサポートでは、速さはさほど重要ではないかもしれませんが、

ソーシャルメディアでは、即応性が何にもまさる切り札となります。

 

ソーシャルメディアのリサーチをおこなっている「ソーシャルハビット」の調査によると、

ソーシャルメディアのユーザーの32%が、ブランドに連絡したときは30分以内の返信を期待しており、

42%のユーザーが、60分以内の返信を期待しています。

 

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また、そうした顧客は、夜間や週末だからという理由で、待たされることをいやがります。

57%の顧客が夜間や週末でも、通常の営業時間と同様に、すばやく返信がもらえることを望んでいるのです。

これはかならずしもフェアとはいえないかもしれませんが、事実です。

顧客はソーシャルメディアでは、スピーディな対応を期待しているのです。

 

 4. 末永く続く顧客を獲得したい? では「喜び」を超えるものを

 

顧客を喜ばせるやり方については、多くの人がさまざまに語っています。

そうした習慣を身につけることはすばらしいことですし、ビジネスの成長にもつながるでしょう。

 

けれども、顧客を喜ばせたからといって、 あなたが顧客の「特別な相手」になれるとは限りません。

愛着を持ってくれる顧客を作りだすためには、もっと有効な方法があります。

 

それは、顧客の手間を省く、ということです。

 

カスタマー・コンタクト協議会の2007年の調査によると、7万5千人を超える顧客が、

カスタマー・サービスの窓口と、電話、チャット、メールなどでコンタクトを取ったということです。

 

その結果から明らかになったのは、顧客がその企業に愛着を抱くようになった最大の要因は、

問題解決のために、顧客がやらなければならない作業を、企業が軽減してくれたことでした。

 

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この結果を、どうやって取り入れたら良いでしょうか?

答えはとても簡単。

顧客が問題解決のために何かをする必要があった場合には、それを代行してあげればよいのです。

 

あなたの顧客は、自分のアカウントを更新するために、リンクをたどり、

フォームに記入する必要があるのでしょうか?

彼らのために、アップデートをしてあげましょう。

 

あなたの顧客は、自分が抱える問題のせいで、トラブルシューティングのステップを、

ひとつひとつ踏んで、実行していかなければならないのでしょうか?

 

スカイプやグーグル・ハングアウトのスクリーンを用意して、ていねいにわかりやすく説明してあげましょう。

顧客はしばしば、問題解決のために、多くの作業をしなければなりません。

 

  • 別の番号に電話してください。
  • 郵送してください。
  • フォームに必要事項を記入してください。

 

こうした顧客の手間を取り除くことによって、双方の労力を減らすことができますし、

さらにはあなたの予想外の(予想外、ではない方が良いのですか)アプローチに、

たいそう驚いてもらえるでしょう。

 

 5.  企業と取引を停止する最大の理由は何ですか?

 

答えを聞くと、驚くことでしょう。 以下にヒントがあります。答えはこれ以外です。

  • 価格
  • 製品に欠陥がある
  • 競合他社の広告

確かに、これらはすべて、顧客の流出を引き起こしかねないものではあります。

 

けれども、2010年のライトナウ社による顧客体験レポートによると、

人が企業と取引をストップする最大の理由は、 顧客サービスの面で、いやな思いをしたことによります。

実際に、82%の人が、劣悪な顧客サービスを受けたことで、企業と関係を絶っています。

 

一方、満足のいく顧客サービスを提供し、顧客に喜んでもらえれば、予想にたがわず、

かならず大きな見返りがあります。

満足した顧客は、平均で9人の人々に、自分の経験を伝えるのです。

 

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満足した顧客はコスト削減にもつながります。

さらには既存の満足した顧客ひとりあたりに対する販売の可能性は、

新規顧客への販売の可能性の14倍にも相当するというのです。

 

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結局、劣悪な顧客サービスは、あなたの企業をつぶしかねないものであるのに対し、

優れた顧客サービスは、顧客との強い絆を築き、解約率を削減し、顧客の維持率や照会を増やし、

あなたのビジネスを急成長させることができるのです。

 

 

著者:?レン・マーキダン(マーケター、コピーライター)


元記事:http://blog.hubspot.com/marketing/surprising-customer-service-data