集客におけるインターネットの利便性を、今一度見直す

こんにちは、トイアンナです。「インターネットは便利だ」と広まってから十年以上がすぎ、今更インターネットの優位性について語られることは減ってきたかと思います。

しかし印刷、医療、アパレルのようなローテク産業へ従事する方にとって、まだ「どのようにインターネットを活用すれば集客や売上へつながるか」はまだ知られていない面があるように思われます。大手百貨店でも顧客情報を昔ながらのバインダーで保管しているところは少なくありませんし、地域医療を担う病院や歯科医院が数十万円も払ってわざわざ自前のウェブサイトを作ることへ疑問を抱くことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ネットを集客で使う最大の利便性についてご案内いたします。

  • 従来の広告は割高にできている

日本の起業家、とくに地方にお勤めの方にとって宣伝を意識されるときに最初にとられる手段はDM(ダイレクトメール)、それも紙のDMではないかと思います。そして一度でもDMを発行された方であれば、そのコストが割高なことに辟易されたのではないでしょうか。

たとえば私の親はアーティストをしており、今月百貨店で個展をいたしました。その際に合計500部のDMと、リーフレット1,000枚を配布しました。フルカラーの印刷のため、これだけでも合計30万円ほどはかかる見込みです。

しかしこのDMを近隣のマンションへ配布したところで、何パーセントが実際にお越しいただけるでしょうか? おそらく関心を持つのが10%、実際に購入へ至るのがさらに1割程度でしょう。1,500枚もの紙を配っても、購入へ至るのはよくて15名。となれば、価格を無理にでも上げなければ広告の元が取れない計算となります。

  • ネット広告のコスト削減

一方、ネットでは最初にデザインを作ってしまえば、あとは何度でも広告を簡単に更新できます。新しい個展を開くにせよ、告知ページを無料で作ることができるのです。定期的な読者さえいれば、新しいコストをかけなくとも展示へ人が集まります。

もちろん「定期的に自社サイトへ来てくれる読者」を作るために自社のページを頻繁に更新する必要はあるのですが、社長自らがその作業を行う必然性はありません。

ブログを書くのが好きな人、普段からSNSを更新している人を社員から発掘し、活用するだけで十分に効果を発揮できるのです。

  • ネットを活用すれば、まだ差別化ができる

そして、ネットを活用すれば差別化できる業界はまだ多く残っています。猫も杓子も業者がネットで告知するようになったのは、都心部だけに限定されます。地方ではいまだにチラシやDMを主たる手段とした告知が一般的で、「ネットを使う」だけでも追加の集客を見込めます。

すでにネットでの集客が一般化した都心部においても、ツイッターやインスタグラムなどのSNSを活用した集客をなさる業者はいまだ限られています。といっても、むやみにアカウントを開設して「こんにちは!〇〇です!XX市の歯医者ならぜひうちへ!」と発信しても顧客は集まりません。SNSではより「親近感を感じる、カジュアルな」コミュニケーションが好まれるからです。

以下へ実際にSNSの活用で売上を伸ばしている企業の例を掲載します。ご覧いただければ大手企業でも驚くほどフレンドリーな対話を顧客としていることに驚かれることでしょう。これからの集客を考える上で、参考にしていただければ幸いです。

SHARP
SHARPは経営悪化が叫ばれる時期にあえて擬人化したキャラクターをSNSで打ち出すことに成功しました。その結果、「SHARPさん」と呼ばれるほどブランドへの好感度が増し、昨今のV字回復へいたる礎を作ることができました。

タニタ
SHARPに比べてマイナーな企業である体重計を主につくるメーカー「タニタ」は、他の大企業とネット上で積極的にコラボレーションを展開し、成功を収めました。具体的には上述のSHARPの担当者と温泉旅行へ行きそのようすを中継するなど、公式アカウントでは見られにくいフランクさでファンを多数獲得するにいたりました。

上馬キリスト教会
通常なら忌避されやすい宗教の集客においても成功したのが上馬キリスト教会です。「宗教=怪しい」というネガティブなイメージを払拭するかのごとく、キリスト教のネタを使ったジョークを発信することで教会への今までにない集客を実現しています。

  • ネットを活用する上での注意点

さて「ネットで集客しよう」と考えられた方にとって、まずは何から始めればいいか……というのは当然直面する課題かと思います。そして「どうせ分からないだろうから」とあなたへ群がる悪徳業者が多いのも事実です。

「ネット集客コンサルタント」「オンラインマーケティング」といった、横文字の専門家へ依頼したくなる気持ちはぐっとこらえてください。まずは腰を落ち着けて、書籍を数冊読まれることをお勧めいたします。ネットは新しい道具ではありますが、必ず成功する魔法ではありません。正しい使い方を知ってから、適切な業者を選ぶことをおすすめいたします。


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com