超富裕層に超個人主義―「超」に振り切る集客で観光大国日本を実現できる

こんにちは、トイアンナです。
政府が「観光大国」として日本を活性化する目標を定め、2015年の3倍となる6,000万人の観光客誘致を達成しようとしています

そして政府の「観光立国」に伴い、下記の動きがすでに生まれています。

・宿泊施設の増加
観光客を誘致したいなら、宿泊先なしには始まりません。日本ではホテルだけでなくAirBnBに代表される「民泊」が増加。
さらに高級ホテルグループ「星野リゾート」も庶民派エリアの新今宮に建設が始まり、再開発が進んでいます。

・多言語に配慮したサービスの普及
宿泊施設の次は「交通の便」です。都心部はすでに私鉄・JR共に公共機関が縦横無尽に走っています。一方で駅名が英語表記だと長くて暗記できなかったり、駅の出口が多すぎて道に迷ったりといった「わかりやすさ」には課題が残っていました。読者の皆様も新宿や梅田駅の「迷宮」に迷われた経験はございませんか? 初めて日本へ来た観光客が日本の複雑な交通網を理解することはまず不可能です。

2016年より都内ではJRの駅名に遠し番号が振られ、駅名が判らなくても乗降者できるようになっています。たとえばローマ字だと長い「Musashi-Koganei(武蔵小金井)」を覚えなくてもJC15という通し番号だけで乗降できるようになり、案内する側・される側も便利になりました。

・グローバルサービスの参入
さらに飲食店のデリバリーサービス「Uber Eats」を始めとした、世界的企業が日本へ次々と参入しています。慣れ親しんだサービスなら安心して観光客も使えるため、集客には欠かせません。

ところがこういった状況を尻目に、日本企業の多くは未だ「何をすればいいか」と戸惑っている段階です。

本来ヘアサロンや歯医者などは外国人来訪者が増えれば大きな売上アップのチャンスになるのですが、「うちは英語のできるスタッフもいないし」と日本人顧客にばかり目を向けてはないでしょうか?

日本は観光客を増やすチャンスをいくらでも持っている

もともと日本は観光客を増やすポテンシャルが高い国です。

・「グルメの首都」と呼ばれる最高のレストラン群
・沖縄から北海道と「冬と夏」を両方楽しめるリゾート
・京都を中心とした歴史的建造物の多さ
・家族連れでも安心の治安

ここまで集客できる要素があるのに「むしろ少なすぎる」のが日本の観光客数。その原因はサービスの「画一化」にあると、経営者デービッド・アトキンソンは指摘します。

超富裕層向けサービスがない国、日本

たとえば、日本のホテルでは年収10億円あるような超富裕層に対応できる施設がほとんどありません。ロンドンの一番高いホテルは1泊1万ポンド。なんと144万円です!(2017年5月3日現在)一体誰が使うんだ、とお思いになるでしょうがロンドンを一望できることが人気で、満室なこともしばしば。

それに対して東京で一番高いと噂の「アマン東京」でも、1泊が20万円を超えることはめったにありません

また、ロンドンを始めヨーロッパでは「追加料金を払って他の客より先に入場する」サービスがよく見られますが、日本では貧富に関係なく大行列を作って待つのがよいこととされています。例外はディズニーとUSJくらいです。

しかしその一方で、こう考えたことはないでしょうか? 「あの展示会は行ってみたいけど混んでるからいいや」と。我々と同じことを富裕層は考え、日本でお金を落とさないのです。

このように日本では「そこそこお金持ち」までしかターゲティングできておらず、マーケティング上「超富裕層」向けサービスが不足しています。

超〇〇を狙えば、市場を独占できる

そしてこの現象は「超富裕層」だけではありません。サービスが画一化してしまったせいで、個性ある観光ができていないのです。観光客に日本で思いっきりお金を落として欲しいなら「超〇〇」な方へターゲティングしてマーケティング施策を練る方が成功します。

たとえば……

①アニメファン向きのツアー:
コミックマーケットの時期に合わせてアニメファンを誘致。
アニメの「聖地巡礼」から同人誌即売会の交渉まで代行

②グルメツアー:

日本の有名レストランを巡ることを目的としたツアー:
レストランの予約時間以外はすべて自由行動にし
予約の取りづらい一流レストランを一斉手配

ここではツアーだけを例にしましたが、歯医者なら「超富裕層向けセラミック施術」を用意できます。ヘアサロンならアニメファンを見越して「キャラクター名を言ってもらえれば再現したヘアスタイルにするサービス」を準備するだけでも大きな売上アップへ繋がります。

日本ではとかくサービスの均質化を求めますが、むしろこれからは「差別化」の時代。観光立国として「超〇〇」と呼べそうな尖った顧客を獲得していきましょう。

参考文献:
デービッド・アトキンソン『新・観光立国論―イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」』


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com