見込み客を「あなたのファン」に育てるマーケティングの実践論

こんにちは、トイアンナです。
今月の記事では、見込み客を分析する重要性について触れました。ほんの少しだけ記事のおさらいをしますと、まずお問い合わせくださったお客様を、下記3点から分析するようご提案しています。

  1. その客はなぜ問い合わせてきたのか
  2. どのような思考の流れをたどって購入へたどり着くか
  3. 他社も含めて検討し「一度購入を諦める」のはいつか

しかしこれを「調べただけ」では、具体的な集客へのアプローチが見えません。会員様限定の記事では、より具体的に、御社の見込み客を分析する方法をご案内します。

お問い合わせフォームに「仮説」を組み込もう

まずは、御社へお問い合わせされる方に、どんなニーズがあるか「仮説」を立てます。

たとえばオンラインで印刷会社へ見積りを問い合わせるなら、こんなニーズがありうるでしょう。

「価格」「最短納品」「すぐ連絡をくれること」「小ロット」
「印刷のプレビュー画面がリアルタイムで見られること」
「印刷メニューの多さ」「リアルの店舗情報」
「参考事例の多さ」「詐欺業者でなく、きちんと納品してくれる信頼度」

印刷会社ひとつとっても、これだけお問い合わせ時点で重視する項目がありうる……という点をまずは意識していただければと思います。人は商品を購入するまでに、さまざまな「不安」を抱えます。その不安を解消できた1社だけが、顧客を獲得できるのです。

上記のように仮説を立てたら、お問い合わせフォームに「どの仮説が正しいか」検証する質問を入れ込みます。ただしあまりにお問い合わせフォームでの質問事項が多いとそれだけでお問い合わせ件数が減ってしまうため、ご注意ください。

顧客がスムーズに回答できるよう、プルダウン形式、またはチェックボックス形式で直感的に回答できるアンケートを手配できるとベストです。簡単に調査を始められる無料ツールではGoogleフォームなどが無償で提供されています。IT知識に不安がある方は、ご親族の力を借りるとよいでしょう。

素人でも少し試行錯誤すれば作れますので、よほどのことがなければこの段階で外部業者へ委託する必要はないと思います。ケチケチしているように聞こえるかもしれませんが、費用を最小限に削るのもマーケティングの頑張りどころです。

さて、ネットからのお問い合わせフォームで自社に対するニーズの仮説を検証できたら、数か月おいて「どのニーズがあった人が、自社を最終的に選んだか」を調べます。

たとえば印刷会社で考えた時に「小ロット」「参考事例の多さ」「すぐ連絡をくれること」がトップ3だったとしましょう。であれば御社の顧客は少なくとも、他社と自社を比較して、この3点で自社が勝ると判断してくれたことを意味します。逆にワースト3位にきた項目は、おそらく他社が勝っているのでしょう。

ベスト3を、さらに強くする施策を考える

マーケティングでは基本的に自社の強みを伸ばす方向で施策を考えます。他社と比較して弱い部分を補強すると、他社と差別化できなくなるからです。

今回の印刷会社の例では「小ロット」「参考事例の多さ」「すぐ連絡をくれること」を強く推すトップページを制作してみましょう。そのためにも、顧客がこの3点でどのような課題を抱えているか考えます。

たとえば、こういう課題が思いつくでしょう。
「小ロットと言いながら数が多い」
「参考事例がないからどういう印刷をされるかわからない」
「連絡が遅くて、納期に間に合わない」

これらの課題について顧客がちょうど悩んでいるタイミングで解決してくれる会社があれば、その会社が選ばれるのです。そこで次に、顧客が失望する「タイミング」を調べます。ヒアリング調査や、実体験を思い出してみてください。業者を調べて何時間後、あるいは何日目に「どこもいまいちだなあ」とあきらめかけたでしょうか?

そのタイミングこそ、自社がアプローチすべきときです。顧客が失望したタイミングで「弊社ならXXが違います」と顧客へ伝えるだけで「だったら●●社しかない!」と選んでもらえます。

この際、できればお問い合わせフォームで選んだニーズ別に

小ロットを求める顧客
→競合へ失望したタイミングで小ロットの数を売りにするメール

参考事例がなく悩んだ顧客
→競合へ失望したタイミングで参考事例を送る

競合の連絡が遅いと感じた顧客
→返信〇時間以内&電話回線をアピール

と、相手に合わせたフォローアップができると最適です。

顧客に「今しかない」と思わせるダメ押しをしよう

また、業種を問わず「お問い合わせ止まり」になる顧客は「今じゃなくてもいいや」を理由に離脱しています。フォローアップをする際は必ず最後に「今しかない」と思わせるダメ押しをしましょう。

たとえば
「このメールの配信日から〇日以内は25%オフ」
「今なら〇〇オプションが無料」
「バレンタイン(などのイベント)に間に合わせるなら〇日までにご連絡ください」
といったメッセージがあると、最後に急かすことができます。

見込み客を確実な「顧客」にするために、ぜひお試しください。
 

 

 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

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ブランドイメージはどうやって作る? 今から始めるマーケティング

こんにちは、トイアンナです。
今月の無料公開記事では、「安易な無料配布で700人のリストラ!?マーケティングの失敗例に学ぶ」でブランドイメージに沿った戦略を採用する重要性をお伝えしました。そこで会員様へはさらに深堀りし、御社のブランドイメージを作る方法をご案内いたします。

よいブランドイメージがもつ2つの機能

まず「よいブランドイメージ」が御社にもたらす利点をお伝えします。この分野を研究する第一人者、ケビン・L・ケラーによれば、よいブランドイメージとは、下記2つの作用を起こさせるものです。

(1)ブランド再認
ブランド再認とは、ある商品を見たときに「これ、前も見たことある」と思い出させてくれる効果です。たとえばリポビタンAを見ると「ファイトー!いっぱぁーつ!」と男性同士が声を掛け合うCMを思い出しませんか?
このように優れたブランドイメージを一貫して伝えられると、数年単位でCMを見ていなかったとしても、その商品を覚えていられます。

(2)ブランド再生
ブランド再生とは、認知よりさらに強い効能で「カメラといったらキヤノン」「自動車といえばトヨタ」というように、あるジャンルを想像したとき1番に特定の製品を思い出させる機能です。
ブランド再生に成功していれば、お客様が「〇〇がほしい」と思った瞬間に、新たな告知をしなくともお客様からブランドを探してもらえます。特に「正直どれを選んでもあまり変わらないだろう」とお客様が考えているジャンルほど、1番に思い出していただくことが購買の鍵となります

「正直どれを選んでもあまり変わらないだろう」と思われる商品の好例は、食器用洗剤です。食器用洗剤は「薬局にある中で目についたものを買う」のが一般的。「キュキュットがないから他の薬局へ行って探そう」と思わせる商品ジャンルではありません。
こういったジャンルでは「あ、食器用洗剤買わなきゃ……キュキュットにしよう」と思い出していただくことが売上へ直結します。実際の売り場にはジョイ、泡のチカラなど競合が並んでいますが、最初に思い出していただける商品となれば目が「キュキュット」を探しに動くからです。

なお、このように1番に商品を思いついていただくことを専門用語で「トップ・オブ・マインド」と呼びます。トップ・オブ・マインドを得るためには一貫したブランドイメージで覚えやすい商品になることが極めて重要です。

優れたブランドからヒントを得る

では、「ブランド認知」「ブランド再生」をさせるブランドイメージはどう作るべきでしょうか? まずは、優れたブランドイメージを確立できている製品から学びましょう。

たとえば大手コーヒーチェーンのスターバックスは下記ブランドイメージを意図的に作っています。
・通勤途中に持っていく
・禁煙
・センスのいい、オシャレな
・コーヒーがおいしい

最後の「コーヒーがおいしい」は意見の分かれるところかもしれませんが、国内の小規模調査でも同様の認知をされていることが分かっています。
ここで大切なのはブランドイメージが「バシっと決まる一言」というよりもブランドの雰囲気を決めるキーワードの集合体であることです。商品の雰囲気や連想される単語をいくつかコントロールできれば、消費者は視覚、聴覚、嗅覚など複数の刺激から「あっ、これってスターバックスっぽい」と想起できるようになるからです。

そこで、スターバックスのように下記を想像しながら作ると御社のブランドイメージが作りやすくなります。
・どのタイミングで御社製品は愛用されるのか
・お客様から見てわかる他社との違いは何か
・性能の特徴
・性能以外で感じられる「情動的な」特徴
・香りや手触りなど五感で得られる性質
・どんな都市・国のイメージか
・ブランドを使う上で欠かせない道具
・イチオシの製品ジャンル

実際に、誰もが知っているブランドで練習してみましょう。以下は私が独自に考えた「サイゼリヤ」のブランドイメージです。
・学生
・300円で美味しく食べられる
・安い
・にぎやか
・楽しい
・イタリア
・ドリンクバー
・ミラノ風ドリア

こうして列挙すると、自然と「サイゼリヤ」から連想されるキーワードが詰まっていることが分かります。ブランドイメージの作り方を練習されるなら、ガストや大戸屋、ジョイフルといった競合の大手チェーンを同時に思い浮かべると差が明確になるでしょう。

まずはお客様に列挙していただこう

とはいえ、いきなりゼロからブランドイメージを考えるのは難しいものです。まずはお客様へ「弊社の製品から連想される言葉は何ですか?」と自由に列挙していただく調査を行いましょう。簡単なアンケートで今すぐできます。
集まった内容から御社が強く推していきたいキーワードを選び、ブランドイメージの根幹へ据えていくことで現実ともブレが少ないブランディングを始められます。一貫したブランドイメージを提供することで「これ、前にも見たことある」「〇〇のジャンルで買うならこの商品だな」とトップ・オブ・マインドを勝ち取り、長期的な集客へ繋げていってください。

参考文献:ジョン・ムーア『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com