実店舗からオンラインへ そしてその先は

 

カーラ・ゴールディンは甘くないフレーバー・ウォーターを販売するHint社の創設者です。
会社が顧客の需要の変化に対応するために、eコマース(電子商取引)に参入したとき、
彼女は自分の社が大きな変化に直面していることを知りました。
リスクが高いばかりではなく、どうやって支払いをっすれば良いかも、
よくわからなかったのです。
ゴールディンはジャーナリストのダレン・ダールに、彼女が経験した大きな変曲点と、
財政面での柔軟性が、成功へと導いたことを語りました。
– – – – – – –
私たちの飲料会社ヒントは、着実な成長を遂げる反面、
大きな問題を解決する必要がありました。
食料品店の棚に、商品の置けるスペースが不足している、という問題です。
本来なら私たちの商品が置いてあるはずの棚が空っぽで
その横を見込み客が通り過ぎていくことが数週間も続いて、
私たちは何とかしなければならないと思うようになりました。
どんな解決策を取ったか?
オンラインで消費者のもとに直接届けられるよう、インターネット上に店を起ち上げたのです。
良いアイデアだと思いませんか?
けれども、送料は高い、手続きは面倒、しかも高額の広告費もかかります。
私たちの投資家は、一目見てこう言いました。
「ムリですね」
だとしたら、お金はどこで見つければ良いでしょうか?
消費者と直接、つながることができる、というのは、ものすごい力になることがわかっていました。
ですから、何とか方法を探さなければならなかったのです。

新しい会社が具体化する

2001年の初め、時には1年で30万km以上も飛び回る会社勤めを12年間続けたあと、
休みを取って、家族に専念しよう、と考えました。
けれども、同時に、次のキャリアのステップを、考えるようになってもいたのです。
もっと本当に大切な仕事がやりたいと思っていました。
3年が過ぎ、私の子供たちも学校に行くようになり、
私は体も心も、前の状態に戻すことに、時間をかけられるようになりました。
トレーニングを始めるようになり、ロー・カロリーの有機食品を食べ
ダイエット・ドリンクを飲むようになりました。
それでも体調が良いとは感じられません。
体重は重すぎたし、肌の調子も良くなく、エネルギーが感じられなかったのです。
そこで私はダイエット・ソーダを飲む習慣をやめ、水に変えることにしました。
すぐに9kg体重が減り、エネルギーがよみがえってきたように感じられました。
けれどもただの水を飲めば飲むほど、味気なく思えてきたのです。
何かもっとおいしいものはないかと思っていろいろ見てみましたが、
砂糖や人工甘味料の添加していないものは、店にはなかったのです。
そこで私はスライスした果物や、イチゴを2,3個つぶしたものを水に加えてみました。
すると、とてもおいしくなったのです。
それから数か月間、私は飲み物を作る方法を研究し始めました。
飲料専門家はみんな、防腐剤なしで甘味がなく、
しかもおいしいフレーバー・ウォーターを作ることなどできない、と私に言いました。
しかも誰もが、アメリカ人は甘い味のしない商品は買わないと考えていたのです。
つまり、私がしたいことは、飲料業界にとっては無意味だと考えたのでした。
私は夫のテオに、8か月以内に甘くないフレーバー・ウォーターを商品化し、
発売するつもりだ、と言いました。
一緒に、4番目の子供が生まれる時期と重なるので、少し助けてほしい、とも言ったのです。
テオと私は、商品を別の方法で作る実験をする傍らで、
商品を作ってくれそうな業者や、流通業者と会うようになりました。
8か月後、私たちは最初の飲料を生産ラインに載せることができたのです。
3年のうちに私たちの商品は、国内の主要な小売業者の棚に並べられるようになっていました。

販売の転換とオンラインの顧客

全国規模で市販されるようになったことは、私たちのビジネスを大きく押し上げるものとなりました。
けれども、問題が起こったのです。
私たちの商品は、顧客が見つける端から買っていったので、すぐ在庫切れになってしまいました。
週のうちの、買い物客でもっともにぎわう曜日にも、棚が空っぽ、ということもしばしばでした。
私たちは、大手飲料販売業者と契約し、高いお金を払って販売組織を設立しなければならないことを理解するようになりました。
そうでないとしたら、創造的になるか、です。
私たちは創造的になる方を選びました。
もしヒントのファンが商品をオンラインで買ってくれるなら、
食料品店でも、もっと早く売上を伸ばすことができるだろうと考えたのです。
オンラインショップを起ち上げる必要があります。
ところが問題が1つありました。
投資家は、そのアイデアが気に入らなかったのです。
けれども、消費者と直接つながることは、驚くほどの力になることはわかっており、
その方法もわかっていたのです。
そこで私はサンフランシスコの会社と提携し、
初期費用なしでウェブサイトを作ってもらいました。
しかも彼らの驚くほど低い輸送料金を、利用させてもらうこともできるようになりました。
宣伝は、とてもシンプルな手法を取りました。
毎月、私たちは翌月までにどのくらいの利益を上げられるか、推定します。
その数字をオンライン広告に充てるのです。
私たちは広告費をビジネス用のカードで借り、
オンラインを通じて顧客が払ってくれた代金で、その支払いをしました。
翌月見込まれる利益より、決して多く借り入れることのないよう気を付けながら、
このプロセスを毎月繰り返しました。
そうするうちに、私たちは12か月もしないうちに、投資も受けないまま、
年間当たり500万ドルのオンラインビジネスを構築しました。
まったくとんでもない1年間でしたが、
いまや私たちは、すばらしいオンラインビジネスを運営しています。

健全な成長を遂げるために

今日、ヒントを扱う小売業者が記録的な売上(あるニューヨークを拠点とする店舗では、
今年の夏、では100万ドルの売り上げを予定しています)を出していますが、
私たちは自社製品の最大の小売店でもあります。
私たちの拠点はずっとサンフランシスコですが、アメリカ全土には35人の社員がおり、
4つの都市に工場があります。
私たちの商品を、誰よりも愛してくれているお客様は、
小売店に卸さない限定フレーバーを含め、どのようなフレーバーでも
オンライン上で購入することができます。
また、drinkhint.comで注文すれば、戸別配達の日時を指定することもできます。
こうすれば、品切れになる心配もありません。
セールスよりも、私たちのお客様のことを良く知ることによって、
20万人以上のファンが集う活発なコミュニティを
オンライン上にスタートさせることができました。
私たちはスタッフとして、またパートナーとして、栄養士や栄養学者を擁しています。
そうして、私たちのニュースレターに記事を書いてもらい、
また、私たちのソーシャルメディアでのブログやメールにも参加してもらっています。
またビデオ・コンテンツも制作し、情報をわかりやすく発信しています。
私たちの目標は、健康的な生活を、簡単に、楽しく、おいしくしていくことです。
そうして、お客様をその対話に参加してもらえるように誘うことです。
お客様が私たちにどんな話を聞かせてくれるかには、いつも驚いてしまいます。
みんな糖尿病やガンの経験を語ってくれ、
あわせてヒントが水分補給にどのように役立っているかを聞かせてくれます。
あるいはまた、水を好んで飲んだことのなかった人たちが、
今、どんなにヒントに夢中になっているか、ということも。
結局のところ、誰もが水と恋に落ちることになります。
私たちは、水を飲むことを喜びにしたいのです。

(翻訳:服部聡子)

ビジネスにも多い「差別化ごっこ」:なぜ女性が髪を切っても気付かないのか? 

こんにちは、トイアンナです。
女性のささいな髪形の変化に気付くことができない。これは年齢問わず男性からよくご相談いただくものです。
前髪だけ1cm切った、髪色を少しだけ明るくした……そんな違いに毎回気付くことができる男性がいるならばさぞモテることでしょう。

とはいえ男性も学ぶもの。友人男性はある朝、女性スタッフが出勤してから、得意げにフロアを歩いているのが目に留まりました。こういうときは髪型が変化したときだ、と察した彼。「髪、切った?」と質問したところ「いいえ、髪は何も……変えたのはネイルです!」とたしなめられてしまったそうです。

ネイル、タイツの色、スカーフに化粧……いったいどうやってこんな違いに気付けと? と呪いたくなる、些細な変化を見抜くのは難しいものです。ですがそんな男性も趣味の領域となれば事態は一変。「この時計は盤面が全て手塗りで……」「革靴はパティーヌの最上級品で……」「手帳には結構こだわってて、こいつは各ページに糸綴じ製法が……」うっとりとした表情で語る、こんな男性をご覧になったことはありませんか?
男性だって、自分の好きな分野になればプロ顔負けの微細な違いに気付くことができるのです。

こんな風に、私たちは自分が熱中している部分なら細かな変化を察知することができます。しかしその一方で深い興味を持たない分野で起きた変化に対しては鈍感なもの
ここでビジネスに立ち返って考えていただきたいのが「あなたの製品・サービス」です。

あなたの製品に1番興味を持つのは「あなた」

あなたの製品やサービスへ1番深い興味を持っている人は誰でしょうか。答えは、あなた自身です。
例えばマーカーペンを販売している私の友人は、同じ「赤色のペン」でもインクの色からにじみ、長持ちする度合いまで誰よりも詳しく知っています。彼が扱っているペンは確かにインクがにじみにくいのが魅力です。しかしその魅力を誰も知りません。なぜなら、99%の人にとってペンのにじみ度合いは、深い興味を持たない分野だからです。

同じようなことは、他の業界でも起こります。
・ 他社より1.25倍ゴミをキャッチできる排水溝のネット
・ 今までで一番薄くて丈夫なスーパーの袋
・麻酔が上手な歯医者
・ 自由にメニューを組み合わせられるヘッドスパ

これらは全て同じ業界の人間であれば「すごい差別化だ!」と思うような変化でも、一般人には「どこが違うの?」と思われかねないものです。残酷な現実ではありますが、あなたが10年かけて作った盛大なイノベーションも、お客様から見たときには「女子のネイルが変わった」くらいにしか見られないというリスクがあるのです。

大切なのは「差別化」の伝え方

といっても「技術をどれだけ磨いても、差別化へは繋がらないから研究開発はいらない」という暴論を伝えたいのではありません。
まず、よい差別化とは「メッセージがお客様目線」になっているものです。先ほどの「差別化」は全て、製品やサービスを提供する側の目線でしか違いがわかりません。しかし全て下記のように言い換えてみたら、いかがでしょうか?

・カレーの残りも三角コーナーでキャッチ、排水溝が詰まらないネット
・5kgのお米を運んでも千切れないスーパーの袋
・無痛抜歯を約束できる親知らず専門の歯医者
・20種類のメニューから自由に選べるヘッドスパ

訴求している内容は全く同じでも、より「一般の方が興味を持つ言い方」に変わったと思います。このように差別化のほとんどは言い換えるだけでお客様の心に届く強いメッセージになります。

そもそも「差別にならない」差別化もある

その一方で「差別にならない」差別化もあります。たとえばこんな例です。

・友達を呼んだら300円オフになる割引券…「そのサービス、どこでもやってるよね?」と思われてしまいます。他社でもやっているようなキャンペーンを作っても、差別化にはつながりません。
・ 最寄りの喫茶店がわかる携帯電話の新機能…「それができたところで、何の役に立つの?」とお客様は考えてしまいます。お客様が直感的に今までと違ってすごい! と思っていただけるのでなければ、差別化にはつながりません。

このような差別化のダメ事例は、他業種であれば「なんでこんなのが差別化になると思ったの?」とすぐ気付くものです。しかし実際に自分が携わる製品になるとつい「これこそが差別化だ!」と妄信してしまいがちな落とし穴もあります。

自分が作った製品やサービスはわが子のように愛おしいもの。その子が市場でモテようがモテまいが「なぜ売れないんだ、こんなにいい子なのに」と考えてしまうのはごく自然な感情です。ですがもし、あなたが「市場でモテる」製品を作りたいのであれば差別化の最低条件は、下記を満たす必要があります。

(1)競合と比べて大きな差があること
(2)買い手にとっても「大きな変化」であること

従って、差別化をするためには競合とお客様の深い理解が必要となりますし、できれば製品ができた後ではなく「商品開発を始める前」から熟考する必要があります。差別化に繋がらない研究開発へ多額の投資をしてしまった後では、取り戻すのが難しくなるからです。

次回は、誰でも始められる簡単な競合分析のテクニックをお伝えしてまいります。

合わせて読みたい:男友達止まりの俺と 女を落とすアイツの違いは?「差別化」の秘密

←「マーケティング深化論」目次

 

 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

本:『睡眠革命:一夜で人生が変わる』

The Sleep Revolution: Transforming Your Life, One Night at a Time

著者:アリアナ・ハフィントン

 

私たちは、睡眠不足の危機の真っただ中にいます ― そう警告するのは

ハフィントンポストの共同創設者であり、編集長でもあるアリアナ・ハフィントンです。

そうして私たちの健康や、業績、私たちの人間関係や幸せは、

睡眠に深い関係があるのです。

ハフィントンは大胆に主張します。

いま必要なのは、睡眠革命にほかなりません、と。

睡眠と私たちの関係を変えることだけが、

私たちの手に生活の管理を取り戻させるのです、と。

 

ベストセラー『サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功』

の中で、ハフィントンは、私たちが、幸福、知恵、驚き、思いやりを通して

成功を再定義する必要があることを、主張しました。

 

より充実した生活を送るために、?睡眠は、その入り口として重要だという彼女の議論は、

十分な調査に裏打ちされながら、彼女が理解した睡眠の神秘と、その変革する力について、

力強く語られていきます。

 

その結論は、あらゆる角度から見て、またあらゆる睡眠の歴史から見ても

包括的で、科学的に見て厳密なものです。

私たちの生活に対する夢の役割、睡眠不足の結果や、目覚めが

さまざまな健康の側面、たとえば肥満や糖尿病、心臓疾患、ガン、アルツハイマー病などに

大きな影響を与えているのです。

 

『睡眠革命』の中でハフィントンは、私たちの文化が睡眠を、時間の無駄として、

いかに排除してきたかを明らかにします。

そうして私たちの健康や、意思決定を損ね、仕事や私生活、性生活さえも損なってきたかも。

ハフィントンは、最新科学をもとに、私たちが眠り、夢見ている間に

何が進行しているのかを探求していきます。

また、睡眠薬産業の危険や、睡眠を妨げるテクノロジーへのさまざまな依存を取り上げます。

さらに、最先端の科学者が勧める、私たちの睡眠を回復させ、より良いものにし、

その信じられないほどすばらしい力を活用する方法を教えてくれます。

 

早いペースで進み、常時インターネットに接続され、つねに追い立てられ、

睡眠が奪われる世界では、私たちにとって、

夜の深い眠り以上に大切なものはあるでしょうか。

 

『睡眠革命』は、世界規模の睡眠の危機に警鐘を鳴らし、

私たちの生活やコミュニティ、世界を変革するために役立つ

より良い睡眠と目覚めを教えてくれる、洗練されたロードマップを提供してくれます。

 


 

元記事:http://goo.gl/2JlR8C

(翻訳:服部聡子)

 

 

正しい決断を下すために必要なもの

by スティーバー・ロビンス

 

正しい決定を下すためのスキルを持っているかどうかで、人生は大きく変わります。
「ゴールディロックスと3びきのクマ」の話を思い出してください。
森の中のクマの家にやってきたゴールディロックスは、
おかゆが熱いか冷めているか、ちょうど良いか、思い悩んでいたのです。
家宅侵入が罪であることにも考えが及ばないほど、
おかゆの温度に夢中だったのですから。
野生のクマの所有する家だったというのに!
MITの学生時代、数ある学生寮には、それぞれ個性がありました。
私たちのところでは、新年度最初の一週間、新入生歓迎会を開き、
新入生にロブスターを食べさせて勧誘していました。
そこで「ベイカーハウスの方が部屋がきれいだった」と新入生が言えば、
「自分が気に入ったところを選べばいいよ」と私は答えていたのです。
「もちろん君の選択は、君が1人の人間として決定すればいいよ。
そこから人生の全体が決まっていくんだからね。
でも、そのことは忘れて。今はこのロブスターを食べなよ」
決断の結果は、今から始まり、のちのちまで続いていきます。
けれども私たちが何ごとか決定する場合には、
たいていのとき、たった1つの時間枠での結果しか考慮していません。
正しい決断を下すためには、それにふさわしい時間枠が必要です。

誘惑には対象期間がある

私たちが結果について思いめぐらしたとしても、
その対象となるのは数分間、数週間、せいぜい数か月というあまりに短い期間です。
けれどもほんとうに重要な結果は、何年も先になってからでないと、出ないかもしれません。
あなたの人生を形成する時間を、今晩のロブスターを基準にして選ぶのでしょうか?
それではあまりに対象とする時間枠が短くはないでしょうか。
オレオ・アイスクリーム・ケーキが食べたいとき、
私たちが考えるのは、「おいしい!」と感じる一瞬のことだけで、
それを消化するための、3週間にわたる有酸素運動ではないのです。
不快な、遠い将来の結果を、意識的・具体的に想像することによって、
誘惑に抵抗することができます。

不快な予感は短い時間枠での決断を引き起こす

私はコーチングの実践の中で、クライアントが誤った決断を下す場合は、
誤った時間枠に基づいていることに気が付きました。
あるクライアントは、自分には合わない仕事を選びました。
「私にオファーが来たのは、これだけだったんです。
だから、この仕事をやるしかないわ!」
何という誤りでしょう。
たった今、ほんの短期間の不安を和らげるために、
自分が嫌いぬいている仕事を何年も続けるという、ストレスの道へ飛び込もうとしていたのです。
けれども、ほとんどの人は、長く働くことのできる、自分に合った職を見つけるために
求職活動を延長するより、ストレスの多い求職活動を短期間で切り上げることを選びます。
短期のものは、長期のものより魅力的に映るのです。
ほかの決定の際でも、多くの人は短い時間枠で考えます。
長期的に見て合わなくても、目先の必要を満たす選択肢を選びがちなのです。
「ほんのちょっと」「今だけ」「さしあたって」
このような言葉に目をくらまされて、起こり得る深刻な問題に目をふさごうとします。
「たった1度だけ」なら、悪いことをしてもかまわない、というように。
「たった1度だけ」が簡単に堕落へとつながっていくことにも気づかないのです。
緊急対応計画であっても、短期的な時間枠と、長期的な時間枠をペアにして、
決断を下してください。
新しくその職に就いた人のための試用期間は、
長期採用した場合にふさわしくない人に任せることのないよう、
現在の必要を満たすための緊急対応計画にほかなりません。
短い期間に周囲を汚染するような人であっても、
適切に指導し、再評価できるなら、立派な緊急対応計画になります。
あるいはまた、倫理の斜面を転げ落ちることを苦にしなければ、
タックスヘイブンの地、ケイマン諸島に別荘を持つことは、
緊急対応策にちがいありません。

遠くを見すぎる場合には

同様に、私たちは遠い将来のことを考えることもあります。
多くの起業家は、自分たちがどのように利益を上げるか考えることもなく、
会社を起ち上げます。
「10年もしたら、全部わかるだろう」というように。
けれども、今を生き延びる計画がなければ、10年も経たないうちに
資金は底を尽き、失敗してしまうでしょう。
高い目標達成をする人は、はるか将来に意識を向けていることが多いものです。
彼らは必死で働き、家族や趣味、友人や生活を軽んじがちになります。
どうしてなのでしょう。
彼らは次の昇進に、引退後の計画に、子供たちを大学に送ることに、
あるいはまた、いつの日か人工知能を持ったダチョウを発明して、
世界を征服することに、目を奪われているからです。
この場合、彼らは将来に備えるあまりに、現在を損なっています。
彼らは、今、家族と幸せに過ごすこともできるのです。
子供たちに、自分の大学資金を得る方法を教え、助けてやることもできるのです。
趣味や友だちや生活を楽しむこともできるのです。
人工知能のダチョウのことは、そこまで確かではありませんが。
長期的な観点のみに基づいた決定は、短期的なリスクを引き起こす可能性が、きわめて高いのです。
しかも、短期的なものを無視することで、
自分のほしいものや、すでに自分が持っているものを見失ってしまいます。
長期的な方向を定めつつ、その途上の短期的な毎日を楽しむ、ということが、
私の考える、すばらしい生活なのです。
もしあなたが長期的な時間枠のみに集中しているなら、
それをやめて、短期的な時間枠や「いま、このとき」に目を向けてください。
もしかしたら、あなたは自分が望むものが、すでにあるのかもしれません。
であれば、かならず長期的な目標に到達するまでの、短期的な延命策を用意してください。
さまざまな意味での「延命」、経済的にも、肉体的にも、社会的にも、精神的な意味でも。

決断を下す時には さまざまな時間枠を考える

決断を下す場合、あなたはゴールディロックスになりがちです。
きわめて短期的な時間枠のみで考えてしまうのです。
そこで、もう一度考えます。
きわめて長い時間枠で考えるのです。
そこから、情報をもとに、適切な時間枠、三番目の時間枠で、もう一度考え直すのです。
緊急対応策が必要なときも、短期間の延命策も加味され、
長期的な計画を立てることができるでしょう。
また、あなたの計画対象期間も、適切なものになるはずです。
(翻訳:服部聡子)

日清CM中止に思うこと~SNS時代の企業広告とマーケティング

攻めのCMと商品開発が評判の日清食品。

日本を代表する世界のNissinを、

天晴れと感じる人も多いことでしょう。

 

その日清が、「斜め上をいく」CMを中止にしました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160408-00010004-bfj-bus_all

スクリーンショット 2016-04-10 20.41.10

 

 

 

 

 

 

最初に断っておきますが、日清食品は、尊敬する大好きな会社です。

友人もいますし、その社風や、

創業者 安藤百福氏の壮絶な人生、

カップヌードルを開発したのが氏の60歳だったという

攻めの姿勢にも、僭越ながら共感を感じています。

 

ただ、中止するにせよ、企業へのダメージを

最小限に抑えないといけません。

中止自体が、「弱腰」と評判になってしまっては

元も子もありません。

 


 

  1. 企業広告と商品広告の違い

まず、大前提として、企業広告と商品広告の違いがあります。

通常、我々のような小規模企業は、まずは商品やサービスを売るための広告が必要で、

企業広告は、企業のイメージを売るものです。

「やっちゃえ、日産」などは、その良い例。車のCMも別途放映しています。

 

ドモホルンリンクルの再春館製薬所は、サンプルを無料オファーする商品CMと、

企業自体を紹介するCMを、組み合わせて放送しています。

 

今回の中止になった、日清の北野武さんを採用したCMは、

たとえカップヌードルを売っていたとしても、彼らの規模になると、

企業CM同様の扱いで、神経を使う必要があります。

 

2. SNSで評判の良い日清CM

日清は、批判精神をうまく昇華させたCMが、

「攻める」企業イメージの定着に役立っています。

商品もCM同様に、新商品を続々登場させるなど、

若いターゲットに合わせた、「バズられる」話題作りに長けています。

 

担当者は、次々と攻めのCMが評判になり、

少し油断をしていたのではないでしょうか?

 

中止になったCMの中で北野武氏は

「世間の声とかどうでもいい。大切なのは自分の声を聞くってことだろう。

おりこうさんじゃ時代なんて変えられないよ」

と伝えていたのです。

 

ところが、早々のCM中止の判断は、このメッセージに反して、

「世間の声にあまりにもあっけなく負けた」のだと

受け取られてしまいました。

負けるなら、あんな強烈なメッセージ性のある広告を

最初からやらなければ良いじゃないか、という気持ちが

「天晴れ」と感じていた人の心に芽生えます。

 

 

3. 批判精神は、真摯でなくてはならない

「バカになれ」とは、スティーブジョブズの有名な講演の一文で、

このメッセージ自体は、非常に崇高なものです。

北野氏やムツゴロウ氏、小林幸子さんらの起用は、

このメッセージに一致するものであったはずです。

 

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ところが、

谷口真里さんが「二兎を追うものは一兎も得ず」と

大学で講義していたり、

新垣隆氏が二人羽織でピアノを教えている図は、

SNS上のエイプリルフールネタでなら、「くすっ」と笑いを誘えたかもしれないですが、

これだけの大型のCMに入れる必要があったのかどうか。

スクリーンショット 2016-04-10 20.42.00

 

 

 

 

 

 

不倫問題や学歴詐称で、TVから降板する人たちがいる中、

それらを「バカになろう」という高尚なメッセージに

ねじ込むことで、このメッセージ自体を、

卑下してしまう結果になるとは、なぜ、誰も指摘できなかったのか?

 

 

つまりは、

私は、CM制作や企画に当たった取引先の人間性の問題が一つ。

カップヌードルのように若いターゲット向きには、

若者のアイデアが必要です。

SNS向けでは好評だった、若い者の浅知恵をそのまま

ホクホクとデータだけで採用してしまうことの危険性が

別の問題としてあると思います。

 

それらが、

経営戦略のほころびとして、かならず出てしまうということです。

ほころびは、小さく、あちこちから現れます。

 

言いたいことは、

たまたま、今回は残念だったね、ちょっとやりすぎたな、

という問題ではなく、

これは、管理にほころびが出ているという、

非常に大きなボトルネックを呈示しているということなのです。

 

 

4. どんな企業も、完璧にはなれないからこそ・・・

 

経営は、常に危険との背中合わせです。

まさに、戦国武将の危機管理が必要です。

 

ですが、社長が隅々の業務まで目を通すことはできません。

ただしCMは、企業がどのように受け取られていくか、

どのようなターゲットに、どのようなインパクトを残すか、

経営から切っても切り離せない問題です。

 

これら、マーケティングの問題を軽視し、

チェック能力が機能しなくなった時、

経営自体が、徐々に蝕まれてしまいます。

 

若い才能を引き上げつつも、

手綱を緩めない管理は絶対不可欠です。

 


 

(島藤真澄)

「差別化」の秘密:男友達止まりの俺と 女を落とすアイツの違いは?

こんにちは、トイアンナです。
今までに500人以上から人生相談を承ってきましたが、過去にこういったご相談がありました。

「仙台でしがない中小企業を経営している者です。たまに友達とパーティへ行くと「いい人だね」とは言ってもらえますが、いつも男友達止まりです。それに対してルックスも年収も俺より下で、ただの会社員をしている弟は女の子の手をいきなり握ったり、セクハラまがいのことをしたりするのにモテます。こういうのって、何でなんでしょうか?」

答えは、弟さんが他の人と「差別化」できているからです。

「違う」とモテる? 差別化戦略

合コンのように「自分のよさ」を見せたい場面では、みんな無難な「いい人」になりたがります。
「好みのタイプは、優しい人」
「あ、お肉取り分けるね」
「グラスが空になってるけど、もう1杯飲む?」
こういった言葉は「いい人」になりたがる男性がよく言ってしまうフレーズ。こういう発言であなたを悪い人だと思う人はいないでしょうが、誰もがこういう振る舞いをすることで、「たくさんいる男性の1人」に埋もれてしまいます。

ですが、堂々と振舞う男性は別です。モテる男性は「下の名前を呼ぶ」「軽いボディタッチ」など、下手をすると嫌われるかもしれない行動をさらりとやってのけます。もちろん拒否反応を示す女性もいますが「この人、ステキかも」とドキドキする女性も生まれるわけです。
この時点で「合コンに参加してきた5人の”いい人”たちと、1人の気になる彼」という差別化が生まれるのです。

ビジネスでも「差別化」が命

この事例は、仕事にたとえても同じです。身近な例で、コンビニの棚に並んでいる菓子パンを想像してください。
ずらりと一列に100個以上の菓子パンが並んでいる店内で、各企業のパンが自社製品を選んでもらおうとひしめき合っています。
季節限定の桜メロンパン、大食漢の男性も食べたいチキンカツサンド、女性の小腹に入るミニあんぱん……といった涙ぐましい企業努力の中で、誰よりもヒットした企画があります。

それはY社の商品にシールを貼り付け、数十枚溜めると必ずお皿と交換するというものでした。美味しさ、安さ、量と「パンと直接関係した」宣伝が並ぶ中で、なぜかお皿との交換を提案したY社のキャンペーンは、たちまち人気沸騰。今では毎年春になると必ず実施される風物詩となっています。

このように「他社とはちょっと違う」ことをアピールするだけで、商品そのものはたとえ優れていなくても、飛ぶように売れる仕組みを作ることができるのです。

「いい差別化」と「悪い差別化」を知ろう

とはいっても、何でもかんでも差別化すればいいわけではありません。ここで、合コンの事例に戻って考えてみましょう。
合コンで女性から「私、スピリチュアルが趣味で。好みのタイプは前世が武士だった人」と言われたら95%の男性はドン引きしませんか? 
これが悪い差別化の例です。
同じように合コンで男性が「俺、数学の勉強にはまってて。知ってる? xの36乗ってさ……」と2時間語ったとしましょう。
確かに他の男性と彼は差別化されるでしょうが、合コンの二次会も吹っ飛ぶに違いありません。
対していい差別化は「狙った相手の心へ響く」ものです。
合コンで、もし「ほんわかした、優しそうな女性」へ差別化したいのであれば「でも優しくしてるのって、くたびれない?」と相手の愚痴を引き出すといいでしょう。逆にサバサバした、キツめの女性が好きならば友達の口から「コイツ、本当にいい奴なんだけどいい人過ぎて癒し系にしかならないって女に振られたことがあってさ~」と語ってもらえば「私も癒されたいかも……」と心を動かせるかもしれません。

「いい差別化」のために相手を知る

いい差別化をしたいならば、相手のことを深く知らねばなりません。
相手が「この人、今までに会った人と違う!」と思わせるものを提供するためには、今までに出会ってきた商品や人を知る必要があるからです。合コンであれば元彼の話を聞いたり、恋愛観について質問してみたりすると、
「意外とグイグイ引っ張ってくれる男性が好きなんだな」
「前に趣味が同じ相手と付き合って大喧嘩した挙句に別れてるから、全然違う趣味の男性を選びたいんだ」
といった情報を得ることで「いい差別化」を図ることができます。

同様にビジネスであれば、今までにどんな商品を使ってきたかを顧客へ質問します。
過去にどんな商品が好きだったか、あなたの製品・サービスを選ぶ前の「元彼」を聞きだすことで、顧客の「心が動く」ポイントを調べてゆくのです。

次回は「差別化できているつもりで、できていない? 差別化ごっこのリスク」についてご案内いたします。

←「マーケティング深化論」目次

 

 


トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

アメリカ女性起業家の現状とこれから

by ジュリー・ボーデン・デイビス
元記事:https://goo.gl/vQq2Zyからの翻訳

ビジネスの場で活躍する女性にとって、時代は変わりつつあります。企業のオーナーとして成功を収めた女性は、男女平等や今日のビジネスの状況、とりわけ女性の起業について、どのように考えているのでしょうか。
 
テクノロジーの進歩のおかげで、遠隔地でも働くことができるようになり、また、資本へのアクセス方法も増えたために、女性が夢を実現することは、以前より簡単になったと言えるでしょう。
実際に、インクレディブル・ワン・エンタープライズのオーナーであるダニエル・A・ジャービーは、
自分のキャリアを決定し、作り上げ、自分自身の進路を進んでいこうとする女性にとって、女性が起業しやすい今ほど、良い時代はなかった、と考えています。
 
ジャービーはこのように語ります。
「伝統的に、家庭内での決定権を握っているのは女性であると考えられていました。
ですから、もっと大勢の女性が自分の才能を起業に活用していけばいくほど、市場にも多くの価値が付与されることになります。私は多くの女性がビジネス情報に詳しくなり、自信を持ち、ビジネスを真に変革していくために自分たちのビジネスの基盤を活用しようと一生懸命になっている時代を、今、まさに目の当たりにしているのです」

私は女性実業家と面談し、ビジネスに携わる女性の状況や、男女平等の問題だけでなく、女性起業家が今後直面するであろう変化についても聞きました。

リソースの増加


― ゲイブリエル・エドワーズ (ミクソロジー・クロージング経営者兼主任バイヤー)

「アメリカで女性が会社を立ち上げ経営することはもはや珍しいことではありませんし、
その機会も増えています。
女性がビジネスに参入し、長く続けることを助けるさまざまな手段や方法が増加しているのです。
近年では、職場の男女不平等は変わりつつあり、
女性が男性の同僚よりも有能であることが証明されさえすれば、
彼らより成功をつかむことができるようになっています。」

 

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 ― サラ・シェアー (カンゴー共同創設者・CEO)
「これまでにも自分のコミュニティの中で、小さなビジネスを始める女性は常にいました。
 けれども、今ではより多くの女性が起業し、彼女たちの会社がこれまでにない勢いで成長しているのです。
その理由として、テクノロジーの進歩のおかげで、急成長するビジネスを始めるコストが
さまざまな面で下がったことがあります。
また、より多くの女性が、チームを率いて自分のビジョンを実現しようと追求するようになったことも挙げられます。
アメリカでは、他国より女性起業家がビジネスを築くためのリソースにアクセスしやすくなっていますが、
それでも一層の向上が必要です。
女性が起業し、経営するビジネスが成功を証明し続ければ、
リソースへのアクセスもいっそうしやすくなり、より大勢の女性が国内的にも国際的にも起業するようになっていくでしょう。」

 コミュニティ意識の高まり

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「女性起業家を取り巻く共同体意識が強いことは、とても刺激的です。
自分の会社を起ち上げようとする女性に適合したシステムや手段が成長しているし、
女性が経営し、運営する会社を専門的にサポートしようとする投資家も増えています。
起業家となった私も、お互いをサポートしあう女性の強いネットワークに迎え入れられ、
先達の経験から学んだり、フィードバックをもらったりして、
共にビジネスを成長させてきました。
小企業を経営する女性の数は、これから先も増え続けるでしょう。
女性のためのリソースと資金提供も増え、参入する障壁は低くなり、
より多くの女性が、自分の会社を起業できるようになっていくはずです。」

 

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「これまで自分が出会ってきた、デザインやフィンテック、バイオテクノロジーなどの
さまざまな業界の大勢の女性創業者に、励まされています。
以前は若い女性として起業した私が、助言を受け、サポートしてくれる、
同じ考えを持った女性のグループを見つけるのは、大変でした。
競争は厳しいし、成功した女性創業者は多くはありませんでしたから。
けれども過去10年の間に、状況は劇的に変わり、この傾向は今後も続いていくでしょう。
また、女性創業者の数は増え続け、相互支援や友情の輪にも弾みがついているので、
そのことにもまた、勇気づけられています。」
Martine Liautaud
『ブレイキング・スルー 女性の成功を助ける企業のストーリーと成功事例』著者)
「私はメンターとスポンサーの存在が、女性起業のカギだと考えています。
私たち、つまり女性も男性もともに行動を起こさなければなりません。
女性が成功するには、誰も敗者を作らないことが大切なのです。」

 

Jacquie Jordan
― ジャッキー・ジョーダン(エミー賞ノミネートTVプロデューサー、『ゲット・オン・TV!』著者)
「女性経営者にとって最大の変化は、相互支援するようになったことだと思います。
みんな、バラバラでは成功できない、助け合い、共同で事に当たることこそが
重要であることに気づいたのです。
連絡を取り合い、設備や手段、人員や知識、紹介や資金をシェアし、
前の時代には経験したことのない方法で、ビジネスを作り出す流れがあります。
その流れを閉ざしてしまわないために、私たちは次の代の若い女性や、少女たちに
手を差し伸べる必要があるし、メンターやコーチとして、また応援することを通して
私たちが上ってきた梯子を下ろしてあげなければなりません。」

 

Vickie Brett
「女性オーナーとなるためには、支援し、理解してくれる、女性の強力な基盤が必要です。
私たちの会社は、女性の経営する「リオット・ソーシャル・クラブ」に参加していて、
そこでは女性起業家を「結び付け、創造し、共同する」ことを応援してくれています。」

 

内面的・社会的な受け入れを

Deborah Peters
― デボラ・ピーターズ(ビジネスコーチ ニューロ・エンジニアリング・インスティテュート)
「女性起業家であり、小企業のオーナーとして25年間を過ごしてきて、
自分の仕事が受け入れられやすくなっているのを感じます。
最初のうちは、プロのスピーカーであり、ビジネスリーダーのコーチである女性は、
ほとんどいませんでしたので、大変でした。
今日では、女性差別が中心的な問題ではなくなってくるまでに、減少しています。
スピーカー予定者が男性中心の会議を見ても、
優秀な女性のスピーカーを除外した、と考えるより、
私の名前を投入するチャンスだと考えるのです。
事実、相手側はたいてい私を喜んで迎え入れてくれます。
私が見てきた最大の変化は、ジェンダーの問題というより、
女性が自分たちの能力について、新しい思考パターンや
信念体系を開発していることにあると思います。
私は、成功は内面的な問題だと教えています。
私たちは、自分がどのような者であると信じている通りに経験するのです。
というのも、私たちは信念を経験に投影するからです。」

 

DeDe Murcer Moffett
― デデ・ムルチャー・モフェット(スピーカー、『SNAP Yes! ビジネスと私生活で新しい実現可能なチャンスを見つける技術』著者)
「ジェンダー・ギャップを早急になくすために、
女性は目に見えない障壁に気がつかなければいけません。
そうして、辛抱強くその障壁を取り除くために努力しなければなりません。
私たちは一般に信じられていることを、確かめもせずに信じてしまう傾向があります。
そうして、そうした信念というのは、論理的なものではないのです。
同一労働に対しては、女性が同一賃金を支払われることは、当たり前です。
けれども、女性はここまで、と定められた線を押し返すのは、いまだに困難がつきまといます。
なぜなのでしょうか。そこに問題があるのです。
どうして私たちは、自分にふさわしいものを要求するのが難しいのでしょうか?
それはいくつかの面で、私たちが何が正しく、何が女性にとって適切な行動である、
と受け入れている信念があるからです。
私たちがどれだけジェンダー・ギャップについて話しても、
私たちがそれを見極め、自分にはできない、
自分はそうすべきではないという信念を取り除く努力をしない限り、
すぐには何も変わりはしないでしょう。」

女性は新しいことを導入できる

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― ジェニファー・ロンドン(ジャーニー・ファイナンシャル・サービス創業者、社長)
「女性が男性とは異なる方法で考えることができ、異なるコミュニケーションができるのは、
驚くほどです。
多くの面で、このことは女性起業家にとって、大きな強みとなります。
たとえば金融サービス業界では、個性は未だ少数派です。
けれども業界が変わりつつあり、伝統的な財務計画の範囲にとどまらない人間関係や、
対人コミュニケーションが必要とされているのです。
金融サービス業界では、ロボットのアドバイザーが増えていますが、
そこで競争力を持つためには、低いコストで、
ロボットにはできないことをしなければなりません。
ハイレベルの顧客サービスや、クライアントの希望や夢を理解し、
教育や家族との交流を通して、付加価値を高めるようなことです。
女性は人間関係を築き、深めていくことにたけています。
そうしてこの業界では、女性が起業家としての強みを発揮し、
チャンスが広がっていることを意味しています。」

 

Nina Ojeda
― ニナ・オジェイダ(アベニュー・ウェストCEO、創業者)
「統計的に見て、女性は高いEQを持っています。
私たちがこの強みを家庭内で生かすように、重役室でも生かせれば、
私たちを止めるものはなくなるでしょう。
これまで、母親から何かを学ぼうとしたことはなかったでしょうか?
そうなんです。女性の直観に勝るものはありません。」

 

― ソフィア・ミラン(コンサルタント、著述家・スピーカー)
「女性は、女性的な視点を持ち込むだけでなく、
今日、高い需要のあるSTEM(科学・テクノロジー・工学・数学)分野の仕事では、
少数者の視点を持ち込むことにもなります。
この種の知力を備え、財政基盤を持つことで、機会は広がり、情熱さえあれば、
問題を解決し、またサービスを提供するビジネスを始めることができます。」

成功が成功をはぐくむ

Shawn-Simons

「私は10代のほとんどを、エンターテインメント業界で過ごしました。
その道に入ったのは、まだ幼いときでした。
そうして当時、私は自分が経験しているのが年齢差別だと思っていたのですが、
30代後半になって、年齢差別ではなく、女性差別であることに気がついたのです。
恐れることなく、自分のビジネスを始められる、自信をもった女性が、どんどん増えています。
私たちがそうした人々に目を留めれば留めるほど、成功は広がっていくでしょう。」

 

Elaine Biech
「2016年に発表されたマーサーの「女性が成功するとき」という研究によれば、
2025年までに職業面でのジェンダー・ギャップを埋めることのできる唯一の地域が
ラテン・アメリカであるということです。
組織の側も、女性が必要とされる多様なスキル・セットを備えていると認識していますが、
機能的役割における男女の平等を実現している組織は、
北米大陸では未だ22%にとどまっています。
多くの場合、これはトレーニングの問題で、
事態を好転させるには、長い時間がかかるでしょう。
もしあなたが女性で、組織が変わるのを待つつもりがないのなら、
自分自身で行動を起こさなければなりません。
あなた自身のビジネスをスタートさせてください。
やらなければならないことは、とんでもなくあるでしょうが、
100%、あなたが運転席に座ることができ、その見返りはすばらしいものです。
私はコンサルティング会社を経営するようになって、35年になります。
その間、同業の男性と同等の敬意をもって接していただいています。」

 


(翻訳:服部聡子)