メール・マーケティング たったひとつの秘密
by ジェフリー・ジェイムズ
メール・マーケティングは一度きりのイベントではありません。
やがては潜在顧客と面談するための、会話のプロセスの一部です。
今日では、ほとんどの企業が、何らかのかたちで
メールによるマーケティングに取り組んでいます。
ところが見たところ、その多くは効果を上げているとはいえないようです。
このことを念頭に置きながら、このコラムでは手短に、
メール・マーケティングで知っておくべき重要なたったひとつのことを
明らかにしていきたいと思います。
効果のないメール・マーケティング
これまで私は、販促用メールに何百通も目を通し、自分のメルマガで評価してきました。
その経験をふまえていうと、多くのマーケターは、メール・マーケティングを
一度きりのイベントと考える傾向にあります。
彼らは、情報を満載したメールを、膨大なリストをもとに、ばらまいています。
受取人のうち数パーセントでいいから、その情報に興味を引かれたり、
セールスパーソンと会ってもいい、と思ってくれることを願いながら。
図 1: ダメなメール・マーケティング
図1のアプローチは、昔ながらのダイレクトメールのやり方を、
そのまま踏襲したものです。
ダイレクトメール時代のおもな戦略は、
潜在顧客と思われる人々に、
手紙やチラシ、パンフレットをひたすら送り続けるというものでした。
すでにあなたの企業に興味を持っている潜在顧客に向けて、メールを送っているのなら、
この「メール連投」方式で返事がもらえる確率は、ほぼ1%といったところでしょう。
もし送っているのが広告メール(別名スパム)なら、0.1%の返信でも御の字です。
言葉を換えれば、メール・マーケティングのカギを理解していないなら、
メールを送り続けることは
1) 時間のムダ
2) 潜在顧客をスパムで悩ませる
でしかありません。
効果のあるメール・マーケティング
メール・マーケティングはダイレクトメールではありません。
あなたがEメールで容量の大きなドキュメントを送っているのに対して、
ほとんどの電子メールのトラフィックは、
行ったり来たりする会話の流れの中でなされた短いメッセージです。
Eメールは会話であって、一方通行の配布物ではありません。
メール・マーケティングで考えられる最高の方法というのは、
会話(たとえばメールでの反応)が始まるきっかけとなるような、
何通かの簡潔なやりとりのプロセスのことです。
そうした会話のやりとりがあって初めて、面談を申し出るものなのです。
図 2: 効果的なメール・マーケティング
図を簡単に説明しましょう。
◆ 厳選されたリスト
メール活動に取りかかる前に、あなたの潜在顧客のプロフィールから、
あなたの提案に興味を持つかどうか検討し、リストを絞ります。
そうすれば、あなたの提案はスパムではなくなります。
◆ 最初のメール
これは、せいぜい3つか4つの文章で、しかも受取り相手が興味を持つだけの情報を
含んでいるものでなければなりません。
◆ フォローアップ・メール
最初のメールに何の反応もない場合、
あなたは2通のリマインダー・メールを送ります。
「ご検討のためのお時間をいただけましたでしょうか?」のような。
こうしたリマインダーは、最初のメール以上の内容を盛り込んではいけません。
◆ ヘイル・メアリー
(※アメフトで、逆転を狙った一か八かのロングパスのこと)
この3つ目のメールは、潜在顧客に返事をする最後のチャンスですよ、と
もちかけるものです。
これにも返事がなければ、あなたは将来性のない人を追いかけている、
と考えて良いかもしれません。
“ヘイル・メアリー”のメールは、少しちがう種類のものです。
これについては、近いうちにお話ししましょう。
◆ 追加調査
最初のメール、あるいはフォローアップや“ヘイル・メアリー”への返事が来たら、
その潜在顧客について、追加調査をおこなってください。
あなたの目標は、潜在顧客が具体的に必要としているものを、
あなたが提供しているものと結びつけることです。
◆ 限定メール
これのメールは、上記の調査に基づいて、
潜在顧客のニーズに応えるものをあなたが提供できる、と伝えるための、
カスタマイズされたメールです。
これは最初のメールより長いものになるでしょうが、
大量の情報を送りつけてはいけません。
量ではなく、関連性が大切です。
◆ 面談の申し入れ
確かな好感触が得られたなら、限定メールで、
電話、もしくは対面での話し合いを申し入れます。
けれども、しっかりした関係が築けたという100%の確証がないなら、
「それはいいですね」と潜在顧客から返事がもらえるのを目指してください。
◆ その他のコンタクト
ボイスメールや私信、ソーシャルメディアなどを利用しながら、
平行して接触する方法を増やすことで、レスポンスの可能性を高めることができます。
最大の秘訣と、それがあなたに意味するもの
メール・マーケティングの最大の秘訣は、
最初のメールをできるだけ簡潔にすることにあります。
これはあなたと、あなたの企業の成功のために、重要なことです。
というのも、厳選されたリストを用い、簡潔に書かれた最初のメールが
何らかの反応を得られる割合は、悪くても20%、うまくいけば100%だからです。
これまでにメール・マーケティングをしたことのある人なら、
おそらくこう考えているでしょう。
「100%だって? こいつは何かヘンなものを吸ってるんじゃないか?」
私は先日、製薬業界のリクルーターであるピーター・トロンベッティのために、
彼の最初のメールを推敲する手伝いをしました。
先週、彼からこんなメールが来ました。
「月曜日から4通のメールと、1通のボイスメールを送り、5通の返信をもらいました。
100%の返信率ですよ。悪くないでしょう?」
というわけで、100%の返信率は可能なのです。
もちろん、ほとんどの最初のメールの返信率は、もっと低いものです。
けれども、効果的な最初のメールに、フォローアップメールを加えることで、
フォローアップ1通につき、5%から10%、反応率全体を引き上げることができるのです。
メールが簡潔になればなるほど、反応率は上がっていきます。
たとえば、先日、デジタル・マーケティング会社コンバージョン・ファナティックスで、
すでに簡潔に仕上がっているメッセージを、さらに絞りこむ手伝いをしました。
CEOマニッシュ・パンジャブは、このように言っています。
「私たちは、あなたに電話で推敲していただいたバージョンのメールを送りました。
変更前より、50%の上昇があるものと考えています」
“ヘイル・メアリー”メールについては、追って書くつもりでいますが、
今のところ、それはほかのセールス・メールとも、マーケティング・メールとも
大きく異なるものだとだけ、言っておきます。
そのメールは、長く、内容豊かなものです。
完璧な最初のメールであっても、
実際に面談にこぎつけるところまで行くためには、
それだけの量と質を備えた、
潜在顧客のニーズに特化するようにカスタマイズされた
限定メールを用意できるかにかかっています。
(ヒント:テンプレートが必要です)
私はきわめて多くの情報を、このコラムに詰め込みました。
けれども、それはあなたの企業の成否を握る情報であるはずです。
著者:Geoffrey James(スピーカー、セールス・ブロガー)
元記事:http://www.inc.com/geoffrey-james/the-1-secret-of-email-marketing.html
(翻訳:服部聡子)