社会適応能力を獲得する幼児期の重要性
企業にとっては、精神疾患で長く休養されてしまうと、
社内の生産性を磨くどころか、
その人間の仕事をほかの人間に背負わせることになり
大変な問題となっております。
精神医療の世界では、うつ病患者には大きく分けて2タイプあり、
極度のストレス状態に陥るうつ状態の場合は、十分休ませることで
回復できることがわかっています。こちらは対処が可能です。
極度なストレス状態に長く放置しない、過酷な労働状況の改善など、
企業側の努力も必須です。
しかしながら、本人が「治りたくない」と思えば治らない、
永遠に抜け出せない鬱病患者もいます。そこに医療制度の歪みもあり、
薬物投与することで、ますます依存が起き、負の連鎖に陥ります。
経済面の損失も大きく、そうした社会不適合タイプの人材がどのような原因で
形成されてしまうのかも、実は、かなり真剣に研究されております。
ごく近年の研究発表では、
3~6歳児の経験や教育次第で、思春期以降の人格形成に、
大きな差が開くことがわかって来ました。
学者ではないので、ものすごく簡潔にわかりやすく丸めて説明します。
人間は、自己意識を持ち、さまざまな状況を一段上のレベルから俯瞰して考察する「メタ認知」(feeling of knowing)を持ち、それを十分駆使して生活する、おそらく唯一の動物です。
この「メタ認知」は、前頭葉が完成される思春期に確立します。
しかしながら、例えばギャンブルやら薬物やら、あるいはイジメなど、いけないとわかっていながら、自己制御できない思春期の子どもも少なくありません。
これらを「遂行機能(exclusive function)=つまりルールに沿って行動できる」に注目して研究したところ、3~6歳児のうちに、この機能が著しく発達し、その後の差が出てしまうとのこと。
3~6歳の間に受けた教育いかんで、その後の「社会適応性」がある程度決まってしまうということのようです。
具体的にどのような教育方法が良いのかまでは、まだ研究発表を待たねばなりませんが、少なくとも、より多くのグループと触れ合い、協調性を磨く訓練が必要なようです。グループワークなど様々な集団への参加が望まれます。
もちろんのこと、人間には「メタ認知」があるのですから、大人になってからの本人の努力によって、社会性は獲得できるのです。
ただし他人や会社、家庭のせいにしていては改善の余地がないということは明らかです。
(この話と、個性については別の話です。論点が違います)
島藤真澄
参照サイト:
http://npsy.umin.jp/amsr/about.html
http://chitosepress.com/2016/03/29/1533/2/