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本:『誤った行動:行動経済学の生成』

Misbehaving: The Making of Behavioral Economics

著者 リチャード・セイラー

 

経済学についての見方が変わる

リチャード・H・セイラーは、経済の中心は人間、

予想可能で、間違いを起こしやすい個人であるという

大胆な概念を中心に据えた研究を、これまで行ってきました。

『誤った行動』は、興味深く、時におもしろおかしい調子で

学問が現実に当てはめていくときの苦闘が語られます。

そうやって私たちの経済学や、自分自身や、世界に対する見方を変えていくのです。

 

伝統的な経済学は、合理的なふるまい方をする人を、想定しています。

セイラーの初期の研究は、「スタートレック」に出て来るミスター・スポックのような

ロボットのように合理的な人間は、現実的ではないと判断するところから、

始まっていきました。

 

目覚まし付きラジオを買うか、バスケットの試合のチケットを売るか、

抵当を申し込もうとするかによらず、

私たちは、経済学者が合理的と判断する原則に反して、

偏見に従って決断を下します。

言いかえれば、私たちは間違ったことをしてしまうのです。

さらに重要なことに、私たちの誤った行動は、深刻な結果を引き起こします。

 

当初、経済学者から、おもしろおかしい無駄話、と相手にもされなかった、

人間の計算できない行動と、市場に対する影響を扱う行動経済学は、

私たちの生活やビジネス、政府を、よりよいものへと進めていこうとする努力を

後押しするものとなっています。

 

人間の心理学的な発見と、インセンティブと市場のふるまいを結びつけることを通して

セイラーは読者に、一層不可解さを増す世界で、よりスマートに決定する方法を

教えてくれます。

彼は行動経済学が、家計のやりくりから、

新しい建物の中に新しいオフィスをいかに割り当てるか、

また、テレビのゲーム番組やNFLのドラフト、Uberのようなビジネスなど

あらゆるものを新しい観点から分析する方法を、明らかにしていきます。

 

それに加えて、伝統的な経済思想との闘いの様子を、滑稽な話にまとめた箇所もあり、

『誤った行動』は、人間の短所に対する、他に類を見ない洞察となっています。

経済学が心理学と出会い、個人と支配者と政治家に多大な影響を与える本書は、

深淵でありながら、楽しく読める本となっています。

 

 

 


 

元記事:http://amzn.to/1Qe7pb8

(翻訳:服部聡子)