カーラ・ゴールディンは甘くないフレーバー・ウォーターを販売するHint社の創設者です。
会社が顧客の需要の変化に対応するために、eコマース(電子商取引)に参入したとき、
彼女は自分の社が大きな変化に直面していることを知りました。
リスクが高いばかりではなく、どうやって支払いをっすれば良いかも、
よくわからなかったのです。
ゴールディンはジャーナリストのダレン・ダールに、彼女が経験した大きな変曲点と、
財政面での柔軟性が、成功へと導いたことを語りました。
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私たちの飲料会社ヒントは、着実な成長を遂げる反面、
大きな問題を解決する必要がありました。
食料品店の棚に、商品の置けるスペースが不足している、という問題です。
本来なら私たちの商品が置いてあるはずの棚が空っぽで
その横を見込み客が通り過ぎていくことが数週間も続いて、
私たちは何とかしなければならないと思うようになりました。
どんな解決策を取ったか?
オンラインで消費者のもとに直接届けられるよう、インターネット上に店を起ち上げたのです。
良いアイデアだと思いませんか?
けれども、送料は高い、手続きは面倒、しかも高額の広告費もかかります。
私たちの投資家は、一目見てこう言いました。
「ムリですね」
だとしたら、お金はどこで見つければ良いでしょうか?
消費者と直接、つながることができる、というのは、ものすごい力になることがわかっていました。
ですから、何とか方法を探さなければならなかったのです。
新しい会社が具体化する
2001年の初め、時には1年で30万km以上も飛び回る会社勤めを12年間続けたあと、
休みを取って、家族に専念しよう、と考えました。
けれども、同時に、次のキャリアのステップを、考えるようになってもいたのです。
もっと本当に大切な仕事がやりたいと思っていました。
3年が過ぎ、私の子供たちも学校に行くようになり、
私は体も心も、前の状態に戻すことに、時間をかけられるようになりました。
トレーニングを始めるようになり、ロー・カロリーの有機食品を食べ
ダイエット・ドリンクを飲むようになりました。
それでも体調が良いとは感じられません。
体重は重すぎたし、肌の調子も良くなく、エネルギーが感じられなかったのです。
そこで私はダイエット・ソーダを飲む習慣をやめ、水に変えることにしました。
すぐに9kg体重が減り、エネルギーがよみがえってきたように感じられました。
けれどもただの水を飲めば飲むほど、味気なく思えてきたのです。
何かもっとおいしいものはないかと思っていろいろ見てみましたが、
砂糖や人工甘味料の添加していないものは、店にはなかったのです。
そこで私はスライスした果物や、イチゴを2,3個つぶしたものを水に加えてみました。
すると、とてもおいしくなったのです。
それから数か月間、私は飲み物を作る方法を研究し始めました。
飲料専門家はみんな、防腐剤なしで甘味がなく、
しかもおいしいフレーバー・ウォーターを作ることなどできない、と私に言いました。
しかも誰もが、アメリカ人は甘い味のしない商品は買わないと考えていたのです。
つまり、私がしたいことは、飲料業界にとっては無意味だと考えたのでした。
私は夫のテオに、8か月以内に甘くないフレーバー・ウォーターを商品化し、
発売するつもりだ、と言いました。
一緒に、4番目の子供が生まれる時期と重なるので、少し助けてほしい、とも言ったのです。
テオと私は、商品を別の方法で作る実験をする傍らで、
商品を作ってくれそうな業者や、流通業者と会うようになりました。
8か月後、私たちは最初の飲料を生産ラインに載せることができたのです。
3年のうちに私たちの商品は、国内の主要な小売業者の棚に並べられるようになっていました。
販売の転換とオンラインの顧客
全国規模で市販されるようになったことは、私たちのビジネスを大きく押し上げるものとなりました。
けれども、問題が起こったのです。
私たちの商品は、顧客が見つける端から買っていったので、すぐ在庫切れになってしまいました。
週のうちの、買い物客でもっともにぎわう曜日にも、棚が空っぽ、ということもしばしばでした。
私たちは、大手飲料販売業者と契約し、高いお金を払って販売組織を設立しなければならないことを理解するようになりました。
そうでないとしたら、創造的になるか、です。
私たちは創造的になる方を選びました。
もしヒントのファンが商品をオンラインで買ってくれるなら、
食料品店でも、もっと早く売上を伸ばすことができるだろうと考えたのです。
オンラインショップを起ち上げる必要があります。
ところが問題が1つありました。
投資家は、そのアイデアが気に入らなかったのです。
けれども、消費者と直接つながることは、驚くほどの力になることはわかっており、
その方法もわかっていたのです。
そこで私はサンフランシスコの会社と提携し、
初期費用なしでウェブサイトを作ってもらいました。
しかも彼らの驚くほど低い輸送料金を、利用させてもらうこともできるようになりました。
宣伝は、とてもシンプルな手法を取りました。
毎月、私たちは翌月までにどのくらいの利益を上げられるか、推定します。
その数字をオンライン広告に充てるのです。
私たちは広告費をビジネス用のカードで借り、
オンラインを通じて顧客が払ってくれた代金で、その支払いをしました。
翌月見込まれる利益より、決して多く借り入れることのないよう気を付けながら、
このプロセスを毎月繰り返しました。
そうするうちに、私たちは12か月もしないうちに、投資も受けないまま、
年間当たり500万ドルのオンラインビジネスを構築しました。
まったくとんでもない1年間でしたが、
いまや私たちは、すばらしいオンラインビジネスを運営しています。
健全な成長を遂げるために
今日、ヒントを扱う小売業者が記録的な売上(あるニューヨークを拠点とする店舗では、
今年の夏、では100万ドルの売り上げを予定しています)を出していますが、
私たちは自社製品の最大の小売店でもあります。
私たちの拠点はずっとサンフランシスコですが、アメリカ全土には35人の社員がおり、
4つの都市に工場があります。
私たちの商品を、誰よりも愛してくれているお客様は、
小売店に卸さない限定フレーバーを含め、どのようなフレーバーでも
オンライン上で購入することができます。
また、drinkhint.comで注文すれば、戸別配達の日時を指定することもできます。
こうすれば、品切れになる心配もありません。
セールスよりも、私たちのお客様のことを良く知ることによって、
20万人以上のファンが集う活発なコミュニティを
オンライン上にスタートさせることができました。
私たちはスタッフとして、またパートナーとして、栄養士や栄養学者を擁しています。
そうして、私たちのニュースレターに記事を書いてもらい、
また、私たちのソーシャルメディアでのブログやメールにも参加してもらっています。
またビデオ・コンテンツも制作し、情報をわかりやすく発信しています。
私たちの目標は、健康的な生活を、簡単に、楽しく、おいしくしていくことです。
そうして、お客様をその対話に参加してもらえるように誘うことです。
お客様が私たちにどんな話を聞かせてくれるかには、いつも驚いてしまいます。
みんな糖尿病やガンの経験を語ってくれ、
あわせてヒントが水分補給にどのように役立っているかを聞かせてくれます。
あるいはまた、水を好んで飲んだことのなかった人たちが、
今、どんなにヒントに夢中になっているか、ということも。
結局のところ、誰もが水と恋に落ちることになります。
私たちは、水を飲むことを喜びにしたいのです。
(翻訳:服部聡子)