マーケティングの集客を成功させる秘訣は「季節感」
こんにちは、トイアンナです。
大変遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。日本にお住まいの方であれば、新年には家族でおせちやお餅を召し上がったかと思います。つまりおせちを作るお弁当屋さんやお餅を生産する工場にとっては12月~1月が儲けどきと言えます。
もっと市場が潤うのはクリスマスです。ギフト商品からラッピング、飲食店からヘアサロンと、恩恵を受けた方も多かったのではないでしょうか。
このように「季節感」は売上アップを考える上で欠かせない要素です。季節のイベントへ便乗することでいつもより売上や集客を確保できますから、時期を絞って広告費を集中投下するマーケターも多くいます。
この記事では2016年、季節を利用して成功したマーケティングの事例を振り返りつつ自社にも応用できる成功の秘訣をお伝えします。
「季節感」の利用例1 夏も売場を独占する空気清浄機
まずは昨年「ドヤ家電」と流行した蚊取り機能付き空気清浄機を見てみましょう。
一般的な空気清浄機の売上が上がる季節は春と夏。どちらも花粉が飛ぶ時期です。春には飛ぶように売れる空気清浄器ですが、夏には家電売り場の奥へ引っ込むさだめ。代わりに家電屋のメイン売り場には除湿機能つきのエアコンや扇風機が並びます。
その運命をひっくり返したのが、蚊取り機能つきの空気清浄機でした。虫を引きよせるUVライトで引き寄せ、空気清浄機の力で吸い込むという極めてシンプルな機能を付けました。春の花粉から夏の蚊取りまで、季節感を応用して2シーズンの売り場を確保したのです。
さらに「有害物質を使わず蚊を除去したい」ニーズに応えた製品は大ヒット。長年売上低迷に苦しんできた発売元のシャープにとって、久々のポジティブなニュースとなりました。売り場を確保する営業力と、季節感を活用したマーケティングの融合による成功例と言えるでしょう。
「季節感」の利用例2 クリスマスに売上を伸ばしたパン屋
次に海外の事例より、クリスマスを活用したマーケティング集客テクニックをご紹介します。
クリスマスは日本人がケンタッキーでお買い物して、ケーキを買うのが一般的です。同様にイギリスには七面鳥やクリスマスプディング、パイなどの定番メニューがあります。これらの店舗が爆発的に売れる一方で、普段より売れなくなってしまう飲食店もあります。たとえば普通のパン屋さんは、12月にプディング需要のせいで売上を落とすのが通例でした。
ところが同じ季節感を活用し、この運命をひっくり返したパン屋があります。グレッグズというパンのチェーン店は、普段なら閑散期になる冬を狙って「チキンの香り」「パイの香り」を付けたリップを無料配布しました。
http://metro.co.uk/2016/12/15/greggs-is-now-doing-lip-balms-that-taste-like-mince-pies-and-festive-bakes-6324801/
「クリスマスにパンを買う気は起きないけれど、クリスマス関連グッズなら興味が湧く」というインサイトを利用したのです。この無料配布で「クリスマスの香り」が欲しいとパン屋へ人が戻っただけでなく10誌以上にキャンペーンが掲載され、高いPR効果も手に入れました。
通常、サンプリングは自社製品を配るだけのことが多いのですが、季節感を取り入れるためあえて「クリスマスの香り」を集客に利用した好例です。
「季節感」を上手に使う方法
このように季節感を上手に使えば、普段は閑散期として諦めていた売上を爆増させることも夢ではありません。ただし1点だけ注意事項があります。闇雲に「季節限定」といっても売れるわけではないのです。極端な例ですが「春限定!五寸釘セット」があっても売れないのは容易に想像できるでしょう。
これらは、ベンチャーから中堅企業でも少ない予算で始められる「季節感」の条件です。
(1) すでに盛り上がっているイベントへ便乗する
バレンタイン、ハロウィン、クリスマスなど、国民全体の財布のひもが緩むイベントへ便乗しましょう。ゼロからイベントを作って認知させるには大型投資を必要とするからです。
(2) 自社を使ってイベントを「盛り上げる」
事例でご紹介したパン屋が「クリスマスの香りのリップ」を配ることはパンと何の関係もありません。しかしクリスマスの盛り上げに貢献したことで売上に繋がりました。
新しい季節感のあるマーケティング企画を立てるなら自社製品を押し出すことより「どうすればイベントをもっと盛り上げられるか」を考えます。お客様は「イベントでもっと盛り上がるもの」を広く探していますから、自然と普段は来ない層も来客を見込めます。
(3) 他社にない試みで季節を盛り上げる
たとえば今からカフェが「桜のラテ」を考えても、スターバックスのコピーになってしまい爆発的な売上は考えられません。同業では始まっていない試みにチャレンジしてみましょう。同じカフェ×春の季節なら「お花見用ランチボックス」などいかがでしょうか?
世界中で集客に利用されている「季節感」を利用したマーケティングで、きっと御社もヒット商品を生み出せます。季節を盛り上げて、ますますのご繁栄をお祈りしております。
トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。