進むオンライン広告への移行

by ジュリー・ボーデン・デイヴィス

 

 

従来、クリスマスシーズンに心温まるテレビコマーシャルを放送していたホールマーク社は、

今シーズンから広告をオンラインに移すことを発表しました。

 

オンライン広告は、実施しやすく費用効果の高い方法として、注目されてきましたが、

これまでテレビコマーシャルを中心に展開してきたホールマークやBMWのような大企業も、

インターネットに軸足を移しつつあるようです。

hallmark

▲毎年クリスマスシーズンになると流れていたホールマークのTVCM

 

消費者の多くがテレビコマーシャルをスキップしているために、

企業の中には、移行戦略を採るところが現れている、と

エリック・ロフホーム・インターナショナル社のCEOエリック・ロフホームは考えています。 

 

「移行にはいくつかの理由があります。

第1に、30歳以下のミレニアル世代は、もうテレビは見ません。

その代わりにインターネット配信を見ています。

そのために、テレビコマーシャルは、18-34歳の年齢層の観客を失いつつあるのです」

対象を幅広く取ったマーケティングは、

オンラインにターゲットを絞ったマーケティングほど効果的ではない、と言うのは

ギフト・カード・インプレッションズの創設者でありCEOでもあるブレット・グラスです。

 

「今日の消費者は、異なる世代ごとに、異なるメッセージの発信が必要となっています。

そうして、今日のデジタル環境下では、異なる媒体でそのメッセージを見るのです。

ホールマークの移行は、同社がミレニアル世代という急成長する消費者層に、

より大きなインパクトを与えようとする試みとして、意義のあるものです。

彼らはベビー・ブーマーほど慣習を重んじることがないからです」

インターネット・マーケティング戦略家であり、エレクトリック・ウェブCEOの

キリル・ストークもこれに賛同します。

 

「ホールマークが完全にデジタル部門に移行したことは、非常に大きな意味を持ちます。

クリスマスシーズンにホールマークの心温まるテレビCMを見ることは、

多くのアメリカ家庭では、一種の季節の儀式のようなものでした。

実のところ、ホールマークは何年にもわたるデジタル戦略があり、

この最新のステップが、現在のトレンドと一致したにすぎません。

デジタル広告の動向を把握している人なら誰でも、

その分野が急成長しつつあることは、十分理解しています」

テレビからインターネットへの移行の財政面での意義を指摘するのは、

『フック― 顧客を引きつけるためにブランドのストーリーをシェアし、売上を増やして成功を収める方法』

の著者であり、パワー・ストーリー・コンサルティングIncのリチャード・クレボリンです。

 

インターネットのおかげで、企業のターゲットとなる購買層は、

より注意深く安い買い物を選ぶことができるようになりました。

しかも、30秒のテレビコマーシャルよりも、長いビデオを、

オンラインで見ることができるのです。

企業の側は、無料で、大勢にシェアすることのできる

60秒から120秒の広告を作成できるようになったのです。

 

不可避的な転換

消費者が、より多くの時間をインターネットに費やしているのなら、

ブランドの側も彼らが実際に時間を過ごす場所で、彼らの前に立たなくてはならない、

と考えているのは、ライカブル・ローカル社副社長のニコル・クロースです。

 

オンライン広告戦略を採用しないことは、

新しいビジネスへと転換していくチャンスを逃すことにほかなりません。

追跡やレポート機能、機敏性、コストの最適化など、

オンライン・マーケティングは多くの面で格段の進歩を遂げ、

広告主は、これまでとまったく異なる効率性を手に入れたのです。

従来のマーケティング形式、たとえばテレビや印刷物、ラジオなどの収益が

下降しつつあるのを知っている広告主は、

インターネット・マーケティングに、もっとお金をかける必要を認めています。

ところが多くの広告主は、ネット上に場所を確保するのに遅れを取り戻そうと、

混乱している、と考えるのは、ユニオン・スクエア・メディアの共同創設者兼社長

ジョシュア・ケラーです。

 

「彼らがオンライン・マーケティングを無視しようとしているただひとつの理由は、

広告主がどのように最大限に活用すればよいのか、わかっていないからです。

インターネットに適応しなければならないことは否定できないのに、

インターネット・マーケティングをどうにかして回避しようとしているのです」

小企業にとってインターネット広告は敵か味方か?

小企業にとって、大企業がデジタル広告へ移行することによって、

自分たちの声が消費者に届きにくくなり、また広告費も高くなるのではないか、

市宇飛車に向けて強い印象を与えることがむずかしくなるのではないか、

という懸念を表明するのは、データ・ダイナミクスのCEOであり、

「デジタル・マーケティング・マシンを構築しよう」の著者でもあるケビン・レイトンです。

逆にロフホームは、この傾向は、小企業にとっても歓迎すべきものである、と考えています。

 

もはや広告費は、10年前ほど高価なものではなくなっています。

小企業でもプログラムされた広告を購入することで、

広告スペースと広告フォーマットを、好きなように選ぶことができるのです。

こうして宣伝コストを下げ、対象を限定することで、ターゲットに届きやすくなります。

大企業は高いコストをかけてインターネットを利用するけれども、

インターネット上では、小企業も大企業同様、効果を上げることができる、

とクレボリンは書いています。

 

つまり小企業は、自分のストーリーを、自分の市場のターゲットに向けて、

うまく語らなければならないのです。

インターネット上の消費者は、テレビCMほど高い品質のものでなくても

受け入れる傾向があります。

ですから小企業は、自分たちのコンテンツを作成するために

大きなプロダクションにまかせる必要はないのです。

 

しかもインターネット広告を出す機会は、

従来のテレビコマーシャルが1つの番組当たり、3-4回流すのがせいぜい比べ、

格段に多いことを指摘するのは、デジタル・マーケティング戦略家のジェイ・ヨークです。

 

つまり、インターネット広告という方法は、

大規模小売店と小企業が、同じ市場で闘うことができる、ということでもあります。

そのため、今後、より多くの小企業が、この分野の広告に参入することになるでしょう。

 

 

 


 

元記事:http://amex.co/1SoQcck

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

本:『ビッグ・マジック』

Big Magic: Creative Living Beyond Fear

『ビッグ・マジック 怖れを超えてクリエイティブな生き方を』

 

by エリザベス・ギルバート

 

本書は、多くの人に愛されてきた著者のエリザベス・ギルバートが、

彼女の知恵と、創造性についての独自の視点を、広く分かちあうために、

創造のプロセスを、深く掘り下げたものです。

神秘的な「ひらめき」というものの本質に対する深い洞察を、

共感と優しさをこめて明らかにしているのです。

 

ギルバートは、私たちに、好奇心を抱くこと、

そうして必要のない我慢はしないことを訴えます。

私たちが愛するものと取り組み、怖れているものと立ち向かう方法を、

教えてくれるのです。

 

著者は、創造的な生活を送るために必要な態度やアプローチ、習慣について

考察していきます。

深い精神性と、明るい現実主義との間でバランスを取りながら、

ギルバートは私たち誰もが持っている「秘めた宝石」を発見するよう、うながすのです。

 

本を書きたいと考えている人、絵を描きたいと考えている人、

仕事で挑戦する新しいことを探している人、

長いこと我慢していた夢を、実現しようとしている人、

あるいは、ただ単に、毎日をもっと充実し、生き生きと過ごしたいと思っている人、

この『ビッグ・マジック』は、驚きと喜びの世界のとびらを開いてくれることでしょう。

 

 

 


元記事:http://amzn.to/1Xmmrzr

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

あなたの好感の持てる点は何ですか

by デボラ・シェイン

 

 

評判を気にするより、自分の性格をもっと気にすべきだ。

評判は、ほかの人があなたのことをどう思っているかに過ぎないが、

性格は、実際のあなたがどんな人物か、ということだからだ。

― ジョン・ウッデン

 

これは秘密の情報でも、暗号でも、内部情報でもありません。

しかも単純なことです。

好感が持てることは、職業人にとって、無形の強力なツールです。
人がどのようにネットワークを作っていくか、時間をかけて見ていると、

その人の好感の持てる点が、会話や新しい関係を築く糸口になっていることがよくわかります。

また、セールスにつながるコネクションを、どのように作ったら良いか、

聞かれることがよくあるのですが、

あなたの好感の持てる点こそが、そのドアを開くカギなのです。
私たちが他の人との間でつちかっていく好感や信頼、人間性、経験は、

仕事の面において絶対的なものです。

好感度は、大統領選挙さえ左右し、カムバックに火をつけ、

何百万ドルという映画の興業やコンサートのチケット販売となって現れ、

商品や本の売上にも影響するのです。

ロヒート・バーガバの『ライクノミックス(※好意と経済を合わせた造語)

―信用を勝ちとり、態度に影響を及ぼし、行為をうながす背景にある予想外の真実』

という本は、一貫してこのように主張しています。

「個人的な人間関係こそ、考慮すべき唯一の通貨である」
会社やクライアントがあなたを雇ったり、紹介したりするのではありません。

雇ったり、紹介するのは、人間です。

ですから、あなたの好感の持てる点が、あらゆることの起点になっていくのです。

あなたの好感の持てる点を活用しよう

 

知識や経験を豊富に持っている人

聡明であり、EQが高く、自分の仕事について豊富な知識や経験がある人は、

仕事の土台を作ったり、建築や設計をしたりすることに向いています。

あなたの業界について深く学び、できるかぎり深く知るようにしてください。

ごまかしは禁物です。

自分が知らないことは、すぐにばれてしまいます。

あなたの目標は、その分野の「最高の人」になることです。

説得力のある人

時間をかけて、あなたの専門知識を積み重ね、

あなたが関わる人々に影響を及ぼし、助けてあげてください。

本やブログを書いたり、講演をしたり、ボランティア活動をしたり、

人々を行動に駆り立てるようなプロジェクトを立案してみてください。

正直な人

真実を大切にしてください。

そうしていれば、あなたは自由でいられるはずです。

もし失敗したり、誤ったりした場合は、適切なやり方で、自分の非を認めてください。

マーサ・スチュワートやロバート・ダウニー・Jr、ビル・クリントンなどの謝罪は

参考になるでしょう。

楽しい人

みんなで楽しめるような場を作ってください。

そうすれば、楽しむことを通して、多くの人があなたのことを覚えてくれるでしょう。

チャンスがあれば、いつでもそんな場を用意してください。

楽観的な人

コップに半分しか水が残っていない、といつも不平を言っている人ほど、

残念な人はいません。

そんな人は周りを意気消沈させるばかりです。

どんな時にもあなたのポジティブな面を発揮して、希望の光を見いだしてください。

良いエネルギーは、伝播していきます。

粘り強い人

今日にあっては、この資質が何よりも、成功に結びつくものであるといえるでしょう。

粘り強い人は、何をすべきかを誰よりもよくわかっており、

自分を常に最高の状態に持っていくことができるのです。

飛び抜けた人でなくても、粘り強ければ、良い仕事ができ、良い結果を残すことができます。

やる気のある人

ジェネレーションC(※デジタル革命以降の世代で、モバイル機器を手放さず、いつも誰かとつながっている若い世代)

のつながりの文化と顧客に接触してください。

ソーシャルメディアにつながっていることは、今日、価値ある資本です。

影響力やコミュニティを利用して、人を教え、インスピレーションを与えることは、

あなたばかりでなく、同僚や、もちろんセールスを前進させる

ブランド資産となっていきます。

思いやりのある人

優しさや思いやり、がまん強さといった性質は、決して時代遅れになったりしません。

ですからその性質を、ブランドにも活かしてください。

とりわけジェネレーションCの文化や若い世代にとっては、

この資質は不可欠であると言えます。

ですから、こうした面を強め、その評判を取るようにしましょう。

権威ある人

自分らしくあってください。

あなたの性格やユーモアのセンス、態度や価値観が、周囲をいつも明るく照らし、

みんなが目標を目指して進むようにしてください。

謙虚さを忘れなければ、障害も最小限に抑えることができるでしょう。

 
あなたが大好きな人のことを思い出してみてください。

その人たちが好きなのは、どんな性質や長所があるからですか?

そうして、どうしてなのですか?

あなたの好ましい点は、秘密の資源であり、武器です。

そうした点を伸ばし、人のそれをまね、より望ましい方向へ向かっていってください。

 

 

 

関連記事:ガイ・カワサキの起業術「好感の持てる人になるために」


元記事:http://bit.ly/1I7LMkC

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『心の勝利』

Triumph of the Heart:

 Forgiveness in an Unforgiving World

『心の勝利 許されざる世界で許すということ』

著者:ミーガン・フェルドマン・ベタンクール

 

ミーガン・フェルドマン・ベタンクールは、

私生活で別離を経験し、職業上でも挫折を余儀なくされて苦しんでいるとき、

アジムという人物に出会いました。

アジムは最愛の一人息子を殺した男を許し、

なおかつ彼の家族に援助の手をさしのべることまでしたのです。

彼は真の意味で安らかな気持ちでいるようでした。

 

ベテランのジャーナリストであるミーガンにとって、それは信じがたい話です。

自分が強い怨みを抱いていることを自覚していた彼女は、とまどいました。

彼はどこかおかしいのではないか。

それともおかしいのは彼女の方なのか。

人間の「許す」という能力について、彼女は考えます。

なぜそんな能力を持っているのだろう。

どうして私たちは許すのだろう。

果たして許すことが私たちの助けになるのだろうか?

 

『心の勝利』は、ミーガンが科学的見地と人間的見地から、

この複雑な概念を理解するまでの、探求の足跡が記されています。

ミーガンが援用するのは、最新の研究です。

それによると、許しを与えることによって、抑鬱感が和らぎ、高血圧が緩和されるという

健康面で良い影響がもたらされるといいます。

 

彼女は交通渋滞時のイライラや、配偶者の浮気などの日常の出来事や、

戦争犯罪などの想像を絶するような、さまざなな状況を検討します。

人々や共同体が、非常に厳しい状況においてさえ、許しをあたえてきた物語を通して、

ミーガンは、どうしてかれらにそれが可能だったのか、

そうして許しを与えた後に味わった深い解放感を明らかにし、

世界平和に向けての示唆を、私たちに与えてくれます。

許すことを通して、依存症から自分の人生を取り戻そうとする人々

学校での暴力行為を根絶するために、許しを与える技術を利用したボルチモアの校長、

ルワンダでの虐殺を生き延び、家族を殺害した加害者を許した人々、

自分の罪をあがなおうとする加害者たち、

ミーガンは、探求の過程で、さまざまな人に出会います。

その途中で、彼女は自分の、人を許す力が強まっていくのを感じます。

そうして、自分でも思ってもみなかった方向へと、彼女の人生は変化していくのです。

寛大さや共感をもって人を許すという人間の能力は、

その人を健康にし、幸福にするだけではありません。

癒され、成長し、より善く生きていくことのカギでもあることを、

ミーガンは明らかにしています。

 

 


元記事:http://amzn.to/1Pj0ERx

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

 

本:『アスク 質問すること』

Ask: The Counterintuitive Online Formula to Discover Exactly What Your Customers Want to Buy…Create a Mass of Raving Fans…and Take Any Business to the Next Level

 

『アスク 質問すること―顧客の買いたいものを見つけ出し

熱狂的ファンを生み出し ビジネスをレベルアップさせるための

反直感的オンライン・ビジネスの方程式』

著者 ライアン・レベスク

 

オンライン・ビジネスに革命を起こす「マインド・リーディング」システム

 

人が本当に買いたいものをどうやって当てればいいのか、知りたいですか?

(人が買いたいとあなたが思っているものではなく、

また買いたいと本人たちが言っているものでもなく、

本人たちが本当に買いたいものです。)
鍵は、正しい質問をすることにあります。

あなたには想像もつかない質問かもしれません。

 

見込みや既存の顧客が何を考えているのか推測などすることはもはや必要ない、

というのが『アスク 質問すること』の前提です。

 

本書で明らかにされているアスク方程式は、

23の異なる業界で何百万ドルものビジネスを確立する力になり、

その過程で1億ドルを超える売り上げを作り出しているのです。
本書を読めば、なぜ、アスク方程式が人々が買いたいものを正確に見つけ出し

それを供給するための、間違いなく最もパワフルな方法なのかがお分かりいただけるでしょう。

また、これはある意味では、あなたとあなたの会社を好きになってもらう方法でもあるのです。

 

著者のライアン・レベスクはオンライン・マーケティングのエキスパートで

CNBC、ヤフー・ファイナンス、ザ・マイアミ・ヘラルド、ザ・サンフランシスコ・クロニクル、

マス・マーケット・リテイラー、ブルームバーグ・ビジネスウィークなどに掲載された実績があります。

余すところなく描かれた本書では、

著者がこれまであなたが顧客サーベイについて知っていた全てをひっくり返してしまうでしょう。
サーベイに則った、カスタマイズできるセールスファネルを作り出すためのシステムを、

ライアン・レベスクがいかにして開発したか、本書が説明いたします。

そして、あなた自身が、業種を問わずこのシステムを導入するための方法も解説します。

アスク方程式は、誰でも取り入れることができるように、

わかりやすく、細かなステップを追って構成されているのです。

 

あなたがインターネット起業家であれ、経験を積んだオンライン・マーケターであれ、

あるいは実績のある経営者であれ、本書がインスピレーションをあたえてくれるでしょう。

そしてまた、単に正しい質問をこれまでとは全く異なった方法で投げかけるというだけで、

オンラインの収入を急成長させる方法をお教えいたします。

これは、その過程で熱狂的なファンを生み出すことにもなるのです。

ビジネスの規模を成長させたい場合も、本書があなたが持っている消費者行動と

オンライン販売についての考え方を変えてしまうでしょう。
例えば、下記のような事柄を学ぶことができます。

・ 潜在顧客に、少し変わった4語の質問を尋ねるだけで、収入を36%増やす方法。

・ なぜ、多くのビジネスがサーベイの方法を誤ってしまうのか。

また、見込み顧客に決して尋ねてはならない質問とは何か。

第一線のマーケター達がなぜアスク方程式を利用し、推薦しているのか、

ご自身で確かめてみてください。

 

 


元記事:http://amzn.to/1OC5oBv

(翻訳:角田 健)

 

 

 

 

なぜ買い物客は実店舗の方が好きなのか

by  リーバ・レゾンスキー

 

 

モバイル機器で買い物ができるよう、テクノロジーが進化を遂げてきたにもかかわらず、

ショッピングに関して言うと、買い物客は今なお実店舗を好み、

すぐにはその習慣を変えるつもりはないようです。

タイムトレード・システムズの新しい調査「2015年版小売店情況」によると、

消費者の87%は、少なくとも2014年と同程度には実店舗で買い物をすることを

予定している、と言っています。

10代からデジタル環境になじんでいたはずのミレニアル世代では、

この割合が高くなってさえいます。

彼らの92%が、昨年と同様か、またはそれ以上に、

今年も実店舗で買い物をする予定がある、と言っています。

目当ての商品を、オンラインで買うことができたとしても、

近所の店で買い物がしたいという回答者は、2/3近くに上ります。

(実際のところ、70%以上の消費者が、アマゾン・ドット・コムよりも、

実店舗であるフィジカル・アマゾン・ストアで買い物がしたい、と言っています)。

どうして消費者は、未だに実店舗の方が好きなのでしょうか?

即座に商品を入手できる、というだけではありません。

あらゆる年代の消費者が、

購入前に何度となくインターネットで検索をしていることを考慮した上で、

報告書はこのように結論づけています。

 

顧客は以前にも増して、実店舗で直接経験して確かめたのちに

購入するかどうかの最終決定を、行うようになっている。

さらに良いニュースとして、

実店舗に行き、最終的に実際に予定した以上の買い物をする顧客は

82%にもはねあがる、というのです。

言葉を換えれば、店へ出向くということは、

単にあるものを見つける以上の意味がある、ということです。

本気で買う意志がある、という指標なのです。

このことは、小売店主がすっかり安心して、何の手も打たないまま、

売れるのを待っていれば良い、ということではありません。

店にやってきた顧客が、買う決め手となる要因は何なのでしょうか?

 

 

《手に取ることができる》

顧客が実店舗に足を運ぶ第一の理由は、商品にふれ、感じてみることができるからです。

回答者の85%、なかでも1960年-70年代生まれのジェネレーションXの回答者の92%は、

この点をあげました。

商品にふれたり、手に取ったりしたあとは、顧客が買う傾向が高くなる、という研究も

いくつもあります。

顧客にもっと商品にふれてもらうためには、どうしたらよいでしょうか。

 

・手にとってみたくなるように山積みする(衣料品店はこの手法を取り入れています)

・商品が包装されている場合は、それぞれの商品について1つ、顧客がふれたり、

 開けて試したりできるようにしてください。

・あまり店を整然としすぎないようにしてください。

 ちょっとした生活感があると、顧客は商品にふれたり試したりしやすくなります。

 従業員がたえず商品を整えなおしたりしていると、顧客は自分がスタッフに迷惑を

 かけているのだろうか、と気後れするかもしれません。(竜巻が過ぎた後のようでは

 ないことを確かめてください)

・適切なものなら、販売員が顧客に「お手にとってごらんください」と勧めることもできます。

 たとえば、スキンケア用品や化粧品を販売しているのなら、

 メイクに変化をつけてみないか、と声をかけたり、

 ローションを顧客の手で実際に試してもらったりできます。

 衣料品店なら、販売員が手を貸してジャケットを着せかけたり。

 複数の研究が、このような身体的接触があると、

 顧客は商品を、より受け入れやすくなることを示しています。

 

《個人に向けたサービスを》

サイトで自動的に商品を勧めたり、過去の購買履歴から自動メールを送ったり、

テクノロジーによる顧客サービスは、ずいぶん進歩を遂げていますが、

実店舗で実際の人間が提供するサービスには、とうてい太刀打ちできません。

とりわけ販売員が顧客の過去の購買履歴や、

顧客が実際に求めているものを提供する、店のロイヤリティー・プログラムの情報に

アクセスすれば、なおさらそのサービスはすばらしいものになります。

 

《知識》

実店舗を訪れる消費者は、インターネット上におびただしい数の選択肢があることを知っています。

けれども店舗には販売員がいて、推薦してくれたり、決定を助けてくれたりします。

2015年の調査によると、アメリカの消費者の約90%は、

知識がある知人の助言によって、購買意欲が高まる傾向がある、と答えています。

 

あなたの販売員は、顧客が実際に知りたいのは何か、理解していますか?

・どの商品が一番お買い得かを知りたい…65%

・どの商品が最高品質かを知りたい…64%

・どの商品が最も信頼できるかを知りたい…56%

・自分の必要や予算に照らして、どの商品が最適かを知りたい…47%

ミレニアル世代は、販売員に対して、もっと期待しています。

彼らの74%が販売員がお買い得を知っていることを期待し、

69%が最高品質を知っていることを期待し、

さらに62%が最も信頼のできる商品を知っていることを期待しているのです。

 

《必要な時に援助する》

求めるものがすぐに手に入る、という満足感を求めて、人は実店舗に足を運びます。

販売員は商品について勉強するばかりでなく、必要な時にいつでもそばにいて、

顧客を助ける準備ができている必要があります。

顧客が必要な時に、すぐに助けてもらえるように、

適切なスタッフが必ず配置についているように、スケジュールを調整してください。

売り場ごと、あるいは四分割した店舗の各エリアごとに従業員を配置し、

顧客にすぐに応じられるようにしてください。

顧客が手助けを求めがちなエリア、たとえばPOS端末の付近や試着室の付近には、

かならず従業員を配置し、顧客の買おうという決心が鈍ることのないようにしてください。

経験を積んだ販売員は、顧客に対して緊張感を持ちながら、

同時に親しみやすく接することができます。

顧客のボディランゲージを読むことは、販売員が学んでおくべきスキルです。

ある研究によれば、顧客のボディランゲージをなぞることによって、

顧客の気分が良くなり、売上の増加につながることがわかっています。

たとえば、販売員とあまり関わりたくなさそうな様子で、店に入ってきた顧客に対しては、

販売員は顧客の近くで自分の仕事をし、

親しみやすい笑顔を見せるぐらいにした方が良さそうです。

そんなときに「何かお探しですか?」と声をかけたりすると、

顧客はいやがって、店を出て行くかもしれません。

 

 

 

―スモール・ビジネス・トレンド


元記事:http://bit.ly/1HIg5mG

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

本:『アメリカ経済のルールを書き換える』

Rewriting the Rules of the American Economy: An Agenda for Growth and Shared Prosperity

『アメリカ経済のルールを書き換える:成長と繁栄の共有に向けての計画』

著者 ジョゼフ・E・スティグリッツ

 

 

格差は、選択の結果である。

アメリカはチャンスの国であり、

一生懸命に働き、強い意志を持っていれば、

誰もが成功とよりよい暮らしを手に入れることができる……

 

実際は、そんなことはありません。

今日のアメリカは、先進国の中でも、不平等の度合いが高く、

経済的流動性の面で、後れを取っているのです。

 

何十年にも渡って、大多数の労働者の賃金が頭打ちになっている一方で、

経済的利益は、上位1%の層に偏って集中するという状態が続いています。

教育、住宅取得、保健医療費など、個人が成功するために、

欠くことのできない領域にかかる費用は、高騰に高騰を重ねています。

構造的な差別は根深く、女性や有色人種をがんじがらめにしています。

そうしてアメリカの子供たちの5人に1人を超える割合が、

貧困の中で生きることを余儀なくされています。

しかもこのような傾向が、将来さらに悪化する方向に進行しているのです。

 

経済学者の中には、今日の厳しい状況は、グローバリゼーションと技術の進歩による

市場の不可避的な結果である、と言う人もいます。

もし平等を望むなら、経済成長を犠牲にしなければならない、と。

けれどもそれは真実ではありません。

アメリカの格差は、誤った構造規則が、

経済成長を抑制する方向へ導いた結果生じたものです。

労働者保護と家族のサポート・システムをはぎ取り、

税システムを、長期投資という観点ではなく、目先の利益のために構築し、

大きすぎて潰せない金融機関に、事実上の公共のセーフティ・ネットを提供し、

完全雇用よりも富の蓄積を促進する財政・金融政策を選んだ結果が、

現在の状態となったのです。

 

 


元記事:http://amzn.to/1PCmAJ0

(翻訳:服部聡子)

 

安全な職場環境の作り方:トランスジェンダー編

by ジェフリー・W・ハル

 

「ケイトリン・ジェンナー(※注: オリンピックの元陸上金メダリスト。性同一障害を公表))が、

あのように大勢が見ている場でカムアウトした勇気は賞賛します。

ですが、トランスジェンダーにとっては、ただ仕事で毎日職場に行くというだけでも、

本当に勇気が要ることなのです。

通勤というのは、ケイトリンには必要のないことだと思います。」

 

こう語ったジェレミー・ウォレスは、

私のリーダーシップ・トレーニング・プログラムのトランスジェンダーの参加者で、

Taking The Scenic Route To Manhood

『テイキング・ザ・シニック・ルート・トゥ・マンフッド

(男性として表舞台に立つまで)』

という回想録の著者でもあります。

彼の言う通りです。

統計を見ると、寂しい思いになります。

トランスジェンダーの人たちは一般に比べ、

自殺を試みる傾向が40パーセント高く、

失業中あるいはホームレスである傾向が50パーセント高いのです。

 

ケイトリン・ジェンナー、以前の名前はブルース・ジェンナーは派手に登場しましたが、

現実は厳しく、社会に生きる多くのトランスジェンダーの人たちは姿を見せないままで、

大企業などの大規模な組織の中では、リーダーシップを取る役職では言うに及ばず、

目にすることは滅多にはありません。

著名なセレブリティやスポーツ選手の「アウティング」は、今までのところは、

多くのトランスジェンダーの人たちが毎日生きている現実に対して、

ほとんど影響を与えてはいないのです。

 

▼トランスジェンダーの女優 ラバーン・コックス

320px-Laverne_Cox_at_Paley_Fest_Orange_Is_The_New_Black今回のケースは変化につながるのでしょうか?

トランスジェンダーの女優ラバーン・コックスが、

好評を博しているネットフリックスのドラマ

『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』に出演し、

タイム誌の表紙を飾り、

また、トランスジェンダーの生活を

生々しく描きだすテレビ・シリーズ

『トランスペアレント』が

ゴールデングローブ賞を受賞したことにならって、

ケイトリンの華々しいデビューは、

社会の意識の変革を加速するかもしれません。

 

アメリカでの最近の世論調査で、

70パーセントを超えるアメリカ人が、

トランスジェンダーの人々は職場での差別から守られるべきであると考えている

という結果が出ています。

このような注目を浴びやすい事例が突破口となってチャンスを生み出し、

本当の目的、つまりトランスジェンダーの人たちが安全に生き、働き、

成功を手にすることができる世界を作り出すというゴールを達成するための

きっかけとなるのかもしれません。

 

私は、大企業と大規模NPOを相手に

リーダーシップ・トレーニング・プログラムを主宰するエグゼクティブ・コーチであり、

また組織心理学者なのですが、

最近まで、自分のプログラムにトランスジェンダーの参加者を見ることは、

ほぼありませんでした。

これについてジェレミーに質問したら、すぐに返事が返ってきました。

 

トランスジェンダーの人々は、組織の中で立ち上がるとか目立つとかいうことが、

まだ非常に稀です。

実際のところはその逆で、目立たないように隠れたまま、

レーダーにかからないようにいたがるものなのです。

そして、完全な性転換のプロセスを選んだ場合は、

働くことを止めてしまうことも多いのです。

世の中の職場はほとんど、トランスジェンダーの人たちを歓迎していません。

なので、リーダーシップ・トレーニングに送り出すということは、

少なくともいまのところは、まず起こらないことなのです。

 

その通りかもしれないと、ジェレミーの返事を聞きながら、私は考えていました。

ですが、それでもジェレミーは、全国的に知られた権利擁護団体の会合で

登壇し発言できるように鍛えられています。

そして、ジェレミーは、もう1人ではないのです。

3人のトランスジェンダーの人々が、最近、私のリーダーシップ・プログラムに参加しました。

3人とも、とても印象的でした。

ボブ・ディランが歌ったように、「時代は変わる」のです。

 

ですが、私たち側の準備はできているでしょうか?

自ら進んで、広い精神と心をもって立場を改め、

ジェレミーのような新しいリーダーをただ認めるというだけでなく、

共に働き、あるいは上司として従うことはできるのでしょうか?

 

 

ジェレミーは四十代半ばで、エグゼクティブとして好調に、

ラスベガス近辺で複数のスモールビジネスのフランチャイズを経営しています。

ジェレミーをしてコミュニティに対して恩返しをしたいという思いにさせたのは、

実際のところ、ビジネスリーダーとしての成功があったからで、

それで最近、人権キャンペーンの地域リーダーに立候補してワシントンDCに送り込まれ、

私のリーダーシップ・プログタムに参加するに至ったのです。

4日間のリーダーシップ講習の間、私たちは、

ジェレミーの過去について十二分に話をすることができました。

 

ジェレミーは、少女として成長しながら、いつも

「自分は男の子だと思っていた」

と私に語りました。

男の子のすることはなんでもやっていたというのです。

木登りをし、お人形ではなくトラックや車で遊び、

アイスホッケーをやっていました。

ですが、幼少期と思春期をアメリカ中部で過ごしていた「ジェニファー」にとって、

実際に男の子のなれるなどということは、考えもしないことでした。

ジェニファーはただ孤独と憂鬱を募らせ、

「世の中に順応できず、自分のものではない体の中に囚われて、逃げ出すこともできない」

という、どうにもならない矛盾を抱えて生きていたのです。

ジェレミーが

「いままでずっと自分のものだと信じてきた、男という性別」に

実際になれてしまうと知るのは、この何年も後のことでした。

ですが、性転換の決断とその後の手術は、8ヶ月という「あっという間」におきました。

これについてジェレミーは、

「可能だと知ったとたんに、もうやろうと思ったのです!」

というふうに語りました。

 

だからと言って、それが簡単だったというわけではありません。

ジェレミーは、家族に告げるために勇気を振り絞った辛い思い出を語ってくれました。

その次は、フラインチャイズ先に少しずつ告げなければなりませんでした。

彼らは、ある意味では被雇用者という以上の、「家族のような存在」だったのです。

ですが、ジェレミーは仰天してしまいました。

一部の例外を除いて、多くが驚きはしたものの、最終的には受け入れてくれたからです。

 

私がジェレミーから学ぶことができた教訓は、

真実を伝えるそのプロセスが周囲の人たちにとって初めての経験であるのと同じように、

自分自身にとっても、初めてのことを学びながら経験していると伝えてしまうことで、

人々の理解を得やすくなり、性転換を受け入れさせやすくなるということでした。

 

ジェレミーは、その事実をどのように扱えばいいのか

周囲が理解しているとは期待していませんでしたし、

自分自身でもよく解っていなかったのです。

ジェレミーの外見は(何ヶ月もの期間を経るなかで)変化し、

男性としてのアイデンティティが真実だと常に感じていたその通りに、

最終的に、自分は男性であると言明したのでした。

ですが、真の姿は、心の奥底では変わってはいなかったのです。

と言うよりも、その反対だったのです。

ジェレミーは、ついに、本来の姿を手に入れていたのです。

 

ジェレミーは、自分は幸運だったと言わざるを得ないと言います。

家族は理解にあふれ、性転換を決意したときには、すでに自分のビジネスも好調でした。

国中の擁護団体で会う多くのトランスジェンダーの人々のように、

解雇を恐れる必要はありませんでした。

 

それでもジェレミーは、拒絶される恐怖、

気が触れている、とか、何の価値もない人間だ、などと見られる恐怖と戦っていたのです。

今日でもその戦いは終わっていません。

「私の経験上、トランスジェンダーにとっての本当の問題は、

社会から受容されること以上に、自分自身を受容することなのです」

とジェレミーは言います。

「何年もの間、自分は『何かがおかしい』という気持ちを根深く抱えて生きてきました。

今でも、ついに手に入れた自分のあるべき姿としての男性を鏡の中に見ると、

自分のその姿を受け入れて安心を感じるためには、

毎日、身構えるような思いをしているのです。」

 

 

この意味では、ジェレミーは、私たちと大きくかけ離れてはいません。

私たちは皆、自分の欠点、才能、

そしてありのままの私たち自身を受け入れなければならないからです。

また、ジェレミーの経験は、自己受容に加え、

職場での他者の受容についても多くのことを私たちに教えてくれます。

 

そこで私はジェレミーに、

チームのマネージャーが、メンバーにトランスジェンダーがいるとわかったとときに、

マネージャーとして、できるアドバイスは何かないかと尋ねました。

はじめは異質でぎこちなく感じられても、

それをチームメンバー全員の成長のチャンスに変えてしまうことができないか、

と尋ねたのです。

ジェレミーは、ポイントはとても単純ですが、簡単ではありません、と答えました。

そして、「全員が安心できるようにすることです」と言ったのです。

 

以下に掲げるのが、ジェレミーが教えてくれた、安心と受容の雰囲気を作り出すためのアドバイスです。

  1. 性同一性に関する諸問題点と使用する言葉について、

まず自分自身を教育すること(例えば、性的指向と性同一性は同じことを指してはいません)

2. オープンドアポリシーを徹底して、社員が性転換について話をしたいときに

アプローチできるようにすること。

そのために、以下のような点を実行すること:

・オープンドアポリシーについて、明文化すること

・実際にドアを開いておくこと(!)

・社員なら誰でも立ち寄って話ができるように、オープンドアの時間を定期的に定め、周知すること

3. 全てのトランスジェンダーの社員を個人として尊重すること

性転換をどのようにアナウンスしたいか、本当のジェンダーをいつどのように公表したいかを

打ち合わせること。

4. 質問することを恐れず、誠実な間違いをおかすことを恐れないこと

そして、知らないことは知らないと認めること。

5.ユーモアを忘れないこと

ジェレミーは、自らの状況を説明しようとして、その結果、社員を困惑させ、

自分もぎこちなさを感じてしまったときは、

よく潤滑剤としてユーモアの力を借りたと教えてくれました。

「あのねえ、私自身もこんなことは初めてだよ」とは何度も言ったと言います。

「脇と足なら剃っていたけど、顔を剃る方は簡単にできるようになるかな?

肌を切ったり傷つけたりしないでできるようになったら、皆で一緒に乗り切れるはず!」

6.トイレ使用に関するルールは、社員の「カムアウト」を待たずに、

あらかじめ設定しておくこと

(例えば、トランスジェンダーの社員が、身体的な性別ではなく、

自認するジェンダーに沿った方のトイレを使用できるようにしておくこと。

あるいは、全てのトイレを、性別に関わりなく使用できるようにしておく。

トイレの使用に関する推奨される慣行については、アメリカ合衆国労働省のサイトを参照。)

7.職場の多様性に関するトレーニングについては、専門家に相談すること。

社員教育の責任をトランスジェンダーの社員に課するべきではありません。

(何かの「象徴」のように扱われたり、他の社員を教育するために

引き合いに出されたりするのは、ストレスとなりえます。)

8.性転換を行う社員を気にかけておくこと。

しかし、公私の区別は明確にしておくこと。

どのような職場環境にも当てはまりますが、まずフォーカスされるべきは仕事とパフォーマンスで、

トランスジェンダーの社員の個人的状況ではありません。

マネージャーが留意しなければならないポイントは、

話は注意深く聞き、協力的であるべきですが、

性転換のプロセスそのものに関わるべきではありません。

 

これは一個人からのアドバイスであって、

全てのトランスジェンダーのリーダーの経験を代表するものではありませんが、

トランスジェンダーの社員にとって安全な職場環境を作ろうと思案しているマネージャーにとっては、

スタート地点としては適当なものではないでしょうか。

 

ジェレミーのアドバイスを思い返してみると、もっとも顕著な点は、

6番目を除いて(トイレに関するルールは、独特な難しさがあります)、

他の全てのアドバイスが、トランスジェンダーに限らず、

どのような社員にとっても安全で活力が出るような環境を作るために最適であることです。

 

人間は、自分とは異なる者に対して恐怖を感じ、偏見を持ってしまうものですが、

心の知能に関する研究が、

共感し耳を傾け、共通の人間性を見出そうとする意志があれば、

これを克服することができると示しています。

ですが、そこに至るためにマネージャーは、

トランスジェンダーの人たちも、その他の社員も同じように直面する「異質さ」に向き合って

取り組む会話を行うための場を作る必要があるのです。

 

変化に向けて、機は熟しています。

ジェンナー(トランスジェンダーの人たちに対する社会的な認知を上げたことは称賛に値します)のような

セレブリティがいるからというだけでなく、

ジェレミーのようなリーダーが様々な組織で毎日のように登場しており、

自分自身のために、彼らのチームのために、そして彼らの雇用者のために

全力で貢献するためのチャンスを必要としているからです。

 

謙虚さ、ユーモア、そして堂々たる言葉を持ったLGBTQのリーダーたちが、

オフィスの給湯室には姿を見せ始めています。

ですが、姿を見せるだけにとどまらず、これに続いて新しい職場環境が到来し、

「異なること」が許容されるだけでなく、

温かく迎え入れられるようになることを、私は望んでいます。

 

隠されていたケイトリンという真実の姿が外に飛び出した今、

世の中の職場環境もついに社会の声を聞き入れなければならなくなるかもしれません。

そして、果てしなく多様で、クリエイティブで、そして才能に溢れた人々が、

安心でき、受け入れられ、お互いに耳を傾け、

リーダーとして皆に支えられていると感じられる場になるのです。

 

トランスジェンダーのリーダーとしてジェレミーが自身の経験について語り、

授けてくれた知恵に感謝しています。

ですが、ジェレミーのアドバイスで一番大切なポイントを思い出してください。

社内での教育という重大な責任は、トランスジェンダーの社員に個人的に課されてはなりません。

職場環境における多様性の専門家の助けがあれば、

寛容なチーム作りがしやすくなり、結果として、生産性の向上が期待できるでしょう。

知っての通り、組織というものは、社員がありのままの自分自身でいられる方が、

パフォーマンスが上がるものなのです。

 

 

 

ハーバード・ビジネスレビュー(2015年8月)


元記事:http://bit.ly/1PobhWz

(翻訳:角田 健)

 

大切なのは売上?それとも評判?

by サイモン・シネック

 

 

「娼婦」を、お金のために自分の評判を犠牲にする人、と定義することもできるでしょう。

けれども他の誰かが何かを売って、その結果、あなたの評判が傷つけられたとしたら、

どうすればよいのでしょうか。

このようなリスクは、第三者に販売をまかせる会社なら、起こりうるものです。

フランチャイズや自動車ディーラー、代理店、系列会社などは、

それぞれ独立業者ですが、ほかの人の評判に影響を及ぼします。

たとえば地域航空会社のサービスが悪かったとしても、

それによって被害を被るのは、その会社やブランドではなく、

飛行機の横にブランドの名前が書いてあるデルタ航空やアメリカン航空なのです。

 

この自動車ディーラーでの出来事も、そのひとつです。

私は先日、マンハッタンのとある販売店で、極めて不快な経験をしました。

 

私はある車を買おうと、ワクワクしながら販売店に入っていきました。

そうしてすぐに契約をすませたいことを告げました。

すでにその自動車メーカーのウェブサイトで価格も見てきている、

それを喜んで払うつもりだ、とまで行ったのです。

値引き交渉はしない、とも。

4時間後―そうです、さんざん不快な思いをさせられた4時間後、

結局のところ最初に私が払うと申し出た、元の価格が提示されました。

その途中で、支店長は私にひどく失礼な態度を取りました。

私をバカ扱いし、とんでもない価格まで値段をつり上げ、

嘘をつき、だまし、早口でまくしたて、

まさに型どおりの中古車ディーラーのやり口を披露したのです。

私が聞かされた不愉快な話は省略しますが、こう言われたことだけは書いておきましょう。

「ボスに聞いてみたのですが、ご希望の値段で提供してもいい、とO.K.が出ました」

私と話をしている間に、彼女が1度も中座しなかったことを除いては、

いい話なのかもしれませんが。

その結果がどうなったか。

私はいらだち、腹を立て、落胆していました。

ワクワクしていた気持ちは、霧散していました。

そうして車を取りに行った時ですら、私の興奮は戻ってきてはいましたが、

彼らは1時間半も待たせたのです。

私が前もって電話をかけ、納車の時間を確認していたにもかかわらず。

そうして、私が楽しみにしているかどうか尋ねて、

新しい車のオーナーになる期待感を膨らませる代わりに、

私のために「苦労させられた」けれども、少しも金儲けしようとは思わなかった、

と、彼らの優先順位がどこにあるか、はっきりと示してくれたのです。

この販売店の関心事はたったひとつしかなかったのです。

それは、売上です。

一層悪いことに、表にかかっていたのは、彼らの名前ではありませんでした。

誰がその販売店のオーナーであるにせよ、彼にとっては痛くもかゆくもないのです。

私が誰にもその販売店を推薦しない、ということを除けば。

打撃を受けるのは、自動車メーカーなのです。

 

どこかよそで買えばいいじゃないか、と思うかもしれません。

ところがマンハッタンで駐車場ビルのある販売店は、そこだけだったのです。

もしその地域に他の販売店があれば(私はチェックしましたが、ありませんでした)

私もどこかよそで買っていたでしょう。

けれどもニューヨーク市内での駐車料金というのは、実は一大事なのです。

事実、高い駐車料金を全額払うことを思えば、

車のことでひどい扱いを受けることさえ引き合うほどに。

その販売店は、儲かっています。

マンハッタンの住人で、その車種がほしい人にとっては、

たとえよそにもっと良い販売店があったとしても、

そこで買う以外に選択の余地はありません。

その販売店は、自分たちの販売台数を自慢し、

北東部で最高のディーラーであるとも言っていました。

彼らにとってはそれが良いことであっても、

残念ながら自動車メーカーのブランドにとっては、

そうして顧客にとっても、災難以外の何ものでもありません。

公平を期して言うと、私がこの販売店がブランドを傷つけているとツイートすると、

自動車メーカーの方から、何が起こったか知りたいと、すぐに連絡が来ました。

まだ話し合いは行っていませんが、近いうちにするつもりでいます。

 

売上と評判のどちらが重要か、という建前が本当に試されるのは、

つぎにどうなるか、ということです。

その自動車メーカーは、最初のダメージを取り返そうとしています。

問題は、実際に北東部のどこよりも多くの売上を出している販売店であるとすると、

彼らのブランドや評判に与えた被害はより深刻なものになるのではないか、

ということです。

そのことは、時間が経てば、明らかになっていくでしょう。

私たちが自分の代わりに第三者を使う場合には、

かならず彼らを、彼らの基準ではなく、私たちの基準に従わせなければなりません。

彼らには資格が必要ですし、

私たちがこれまで築いてきた評判と商品を守るために、

一生懸命働かなければならないのです。

お金を儲けることと引き替えに、私たちの評判を守り、それを前進させることを

約束させ、着実に実行させなければなりません。

 

しかしながら親会社が、販売店や系列会社の販売数にかかわらず、

彼らに責任を持たせることができなければ、

結局のところ、このゲームにおいて、彼らをヒモにしてしまうことになります。

そうして私たちは薄汚れ、安っぽく、使い古されたように感じ、

二度と街角に立とうとは思わなくなるのです。

 

 

 


元記事:http://bit.ly/1XX9oS9

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

本:『幸せを超えて』

Beyond Happy: Women, Work, and Well-Being

『幸せを超えて 女性、仕事、幸福感』

著者 ベス・カブレラ

 

 

ポジティブ心理学の権威であるベス・カブレラ博士は、

10年間にわたって1,000人を超える女性にアンケートを取り、面談を重ねて、

仕事と家族の責任をバランス良く取る方法を研究してきました。

その集大成である『幸せを超えて 女性、仕事、幸福感』は、

女性が本当に意義のある人生を送るための、確かな戦略を示してくれます。

多くの女性が共通して経験してきたことを通して

カブレラは、女性が直面する難題を、思いやりをもって調べ、

幸福感を高める単純ではあるけれども強力なモデルを紹介していきます。

幸福感こそが人生を向上させ、変えていくことができる原動力だからです。

本書の自己評価の項目は参考になり、感情と行動を改善する助けになります。

そうして章ごとに提示されている方法は、

女性のさまざまな役割、困難で、時には互いに対立する役割を何とかして果たそうとして、

実際に多くの女性たちが試行錯誤してきた経験に裏打ちされたものです。

自分の価値を高め、強さを伸ばしていき、

そうして何よりも大切な、家族の絆と心の通い合いを強くするための

カブレラの確かな戦略を実行することによって、

ストレスを軽減し、より大きな喜びを味わい、

自分の人生により大きな意味を見つけてください。

 

 


元記事:http://amzn.to/1S8cDCr

(翻訳:服部聡子)