スタートアップの創設者が過小/過大評価しがちな9つの過ち

by ボリス・ワーツ

 

 

まさに会社を創ろうとしているただ中にあっては、

さまざまな活動や決定の意味するところを、しっかりと評価することはむずかしいものです。

とりわけ、起業が初めての経験である人にとっては、過去の失敗から学ぶことができないのですから。

投資家として、そうしてかつては初めての起業も経験した私が気がついた、

いくつかの重要な問題があります。

創設者が会社を築いていく上で、過大評価したり、逆に過小評価したりすることがあるのです。

 

ここではそれを挙げていきましょう。

 

創設者が過小評価する5つの大切なこと

1. しっかりした採用プロセスを作ること

 

仮にすばらしいアイデアがあったとしても、

チームがパッとしない状態では、あなたの会社は生き残っていけません。

創設者は可能な限り長く、社員の採用決定には関わるべきです。

会社の規模が大きくなり、ひとりひとりの採用に実際に参加できなくなったとしても、

採用基準などの採用プロセスを、しっかりと体系化しておくことが必要です。

たとえばジェフ・ベゾズが採用している「バー・ライザー」

(※面接の中で志望者に厳しい質問を投げかけ、対応能力やストレス耐性を見る人)は、

アマゾンの会社文化にふさわしくない人を、早い段階でふるい落とすために

設置されたシステムです。

2. 身元照会の重要性

多くの人が、身元照会がきちんとなされないまま、採用されていることに、

私はいつも驚いています。

志望者に対して良い印象を持つと、入念なチェックがなくても、

採用したい、という誘惑にかられるかもしれません。

けれども、非公式な身元照会でわかることもあります。

とりわけ面接では十分にはわからない部分を、もっと知ることができるのです。

 

 

3. 最初期から企業文化を築くことの必要性

 

創設者の中には企業文化のことを、早朝ヨガや、

会社にフリークライミングの壁を設置することや、

昼食用に移動販売車が回ってくることを想像する人もいるかもしれません。

けれども文化というのは、そうした無料の特典より、ずっと深いもので、

企業文化を導入するために、スイッチを入れれば広まっていく、

というようなものでもないのです。

最初から、あなたはどんな会社を築いていきたいか、考えていなければなりません。

そうしてそのビジョンを現実化していくようなシステムと決定を

準備していかなければならないのです。

4. 投資家やアドバイザーと良い関係を築いておくことの重要性

 

この点は、もしかすると利己的なものなのかもしれませんが、

私はこれまで、出資者のことを金づるとしか見ていない創設者をあまりに多く見てきました。

お金は確かに重要ですが、会社の初期段階から、

出資者やアドバイザーと良い関係を築くことがどれほど重要か、

繰りかえし目の当たりにしてきたのです。

5. 焦点化することの重要性

万人があなたの会社や商品を気に入る、ということはあり得ません。

そうして長い目で見れば、あらゆる顧客や機会を追求する価値がある、というわけでもありません。

あなたは重要度の高い2,3の商品に焦点をしぼり、

会社全体で繰りかえし、この焦点品目を訴求していく必要があります。

 

創設者が過大評価している4つのこと

 

1. お金の重要性

 

世界中のお金を集めても、あなたの商品を市場に適合させることはできません。

また、商品と市場が適合する前に、あまりにたくさんの資金を集めておくと、

たいていスタートアップは失敗してしまいます。

 

2. 新製品の発売や資金調達を告知することの重要性

スタートアップの創設者は、新製品を発売したり、

資金調達のためのラウンドが終了したりすることの告知を、

大々的にやりたがる傾向があります。

たしかに大がかりな発表は、瞬間的には話題になるかもしれません。

けれども、15分間だけ有名人になることよりも、

継続的な需要を生み出すことに焦点を当てる方が、ずっと重要です。

同様に資金調達のための告知は、将来に向けて、投資家の興味を引きつけることはできますが、

たいていの場合は、最初は目立たつことをせず、堅実に会社を築いていく方が

良い結果となるようです。

3. 業界経験を持つ年長の社員の価値

若いスタートアップは、立派な経歴と、深い専門知識を備えた社員が

どうしても必要である、と思い込んでいることが少なくありません。

確かに、特定の専門的知識が役に立つこともありますが、

採用に当たっては、その人の知性や情熱、一生懸命に働くことの方が、

経験よりも重視されるべきでしょう。

4. 特効薬の魔法

特効薬さえ見つければ、あなたのビジネスが次のレベルまで飛躍できるのだとしたら、

すばらしいことでしょう。

ただ問題は、そうした特効薬など、ほとんどない、ということです。

創設者が、すべての問題を解決してくれる、(実際には存在しない)特効薬を探して

時間を無駄にしている間というのは、

実は、小さな事を付け加えながら、徐々に事態を改善していき、

本物の違いを生み出すという努力をなおざりにしているのです。

 

 

このリストですべてを言い尽くしたと私は思っていません。

私は何を見逃しているでしょうか?

創設者が何を過大評価し、何を過小評価しているか、あなたの考えを聞きたいと思っています。

 

 

 

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元記事:http://bit.ly/1LFsrxP

(翻訳: 服部聡子)