クライアントが離れてしまったらどうするか?

by ジェフ・ウィリアムズ

 

 

大口のクライアントが去ってしまったら、

あなたの会社は二度と立ち直れないと思っているかもしれません。

けれども正しく行動すれば、損失を成功に変えることもできます。
誰もクライアントに切られたことなど、話したくはありません。

けれどもこれは、ビジネスをやっていれば誰にでも起こることなのです。
これまで大口のクライアントから切られた経験がないのだとしたら、

おそらくあなたは一般大衆を相手にしているのにちがいありません。

けれどもそこでも顧客は毎日、あなたの商品やサービスを、

選んだり、やめたりしながら、

あなたと取引するかどうか、ひそかに意志決定を行っているのです。
ある時点で、あなたの取引相手は、もはやあなたのサービスは必要ない、と結論を出しました。

そうして彼らはあなたと関係を断つことにします。

ぶっきらぼうに、怒ったように、あるいは申し訳なさそうに。

 

では、クライアントがもはやあなたと取引をしない、と言ってきたら、

あなたはどうしたら良いのでしょうか。

 

起業家として、あなたは悪いことは時に起こるものだということを

知っていなければなりません。

そんなとき、あなたにできることは、それに対応し、

あなたに言えることを伝えるだけなのです。

1.  推薦を頼む

 

一見、これはとんでもないことのように思えるかもしれません。

けれどもコンサルタントであり、スピーカーでもあるマーク・ファウストは

以下の点を指摘します。

 

解雇されたからといって、かならずしもあなたが失敗していたり、

相手があなたの仕事に悪印象を抱いたりしているとは限りません。

できれば、推薦状を書いてもらったり、

派生的な仕事をまかせてもらったりするのです。

 

ただ、これを頼む前に、何がうまくいかなかったか、

何らかの方法で、もう一度クライアントの仕事をやらせてもらえないか、

聞いてみる必要があります。

もちろん、クライアントが明らかにあなたの仕事、もしくはあなた自身に

不満を持っていることが分かっていれば、

推薦を頼むことはできません。

その代わりに…

2.  クライアントの競合のところへ行く

 

競合のところへ行き、あなたが過去にした仕事を参考にして仕事をすることは、

倫理的に見て、何も問題はありません。

 

とファウストは言います。

 

もちろん、たとえば機密情報を公開するような、

倫理に反することを行っても良いという意味ではありません。

また、あなたをお払い箱にした重役が、

あなたのことを喜んで保証してくれる、と偽ったりしてもいけません。

言葉を換えれば、あなたの誠実さを疑わせるようなことは、一切してはならないのです。
けれども、あなたを解雇した会社のために、あなたがしてきたことは、

あなたの職歴と経験の一部です。

 

そうして以前のクライアントの競合と一緒に仕事をする能力があなたに十分あるのなら、

自分を縛るようなまねをせず、そのチャンスをつかんでください。

とはいえ、ファウストはこのように指摘します。

 

おそらく多くの会社やコンサルタントは、

元のクライアントが最大の競合であるような人とは、距離を置きたがるでしょう。

 

3.  試合後の分析を

 

もし推薦状が手に入りそうもなく、

競合もあなたを雇ってくれそうになくても、

少なくとも、今は、何が間違っていたか、はっきりさせることができます。

どうしてあなたが切られたかわからなければ、ふたたび同じ過ちを繰りかえすでしょう。
ダイレクト・マーケティング・スタートアップのコネクト・ホーム・ソリューションズLLCの社長ニック・ニーハウスは、

私と話をする数か月前に、2人の大手クライアントから、契約を切られたばかりでした。

 

どちらの時もニーハウスは、8人の従業員に向かって、

収益の30%を失ったことを告げました。

 

「完全歩合制で働いている従業員にとっては、労働時間が少なくなることは大問題です。

私の収入にとっても、大きな打撃でした」とニーハウスは言います。

 

中小企業にとって、どんなクライアントを失うことでも、たいていの場合、一大事です。

けれども、起ち上げて間もない会社にとっては、一大事どころではない、死活問題です。
それでもニーハウスは、

「自分は頑固なので、あきらめて、先へ進むのはいやだった」と言います。

その代わりに、二度とも事後分析をして、何が起こったのか、明らかにしようとしました。

最初の時は、彼の会社の価格体系がうまくいってなかったことがわかりました。

 

私たちは新規顧客を重視し過ぎていたのです。

クライアントには2種類の料金が設定されていました。

配布したパンフレットで購入する人向けと、新規顧客向けです。

そうして新規顧客の方を、ずっと低く設定していたのです。

彼がまた別の大口顧客を失った二番目の時は、

自分のビジネスモデルがどのように効果を上げるか、

クライアントを十分に教育していなかったことがわかりました。

 

これまで最初はクライアントの相談を受けるという形で行っていましたが、

新規顧客に対してうまくいっていなかったので、

それをむしろ顧客のためのコーチング・セッションに変更していきました。

マイケル・パヴォーネも、2007年に彼の所有する広告会社の収益の30%を占めていたクライアントを失ってから、

こうした事後分析を行いました。

 

けれども、ニーハウスとは異なり、その広告会社はスタートアップではありませんでした。

パヴォーネ社は1992年に創業し、60人以上の従業員がいて、

年間収益が3,000万ドルにもなる企業です。

 

同社が最大のクライアントを失ったのは、むりやり外部からの統制が入ったことからでした。

パヴォーネ社のPRディレクターであるマイケル・ダッフィールドは、

「守りを固めることで、変革を成し遂げたのです」と言います。
同社のCOOであり、パヴォーネのパートナーでもあるエイミー・ビーマー・マレーは、

クライアントから切られたことで、非常に多くの貴重な教訓を得た、と言います。

「ある意味で、失った収益に相当するほどの価値ある教訓でした」
けれども、もし事後分析の結果、クライアントが離れていったのは、避けられないことで、

あなたやあなたの会社に何の落ち度もなかったことがわかったら、どうしますか?

ここからあなたは最終的な一歩を踏み出す時です。

4.  損失を受け入れる

 

「顧客を失うことは、いつも私の仕事や私自身に対して、不信任投票がなされたように感じます。

責任者として、受け入れるのは、簡単なことではありません」

とニーハウスは言います。

 

起業家として、あなたは悪いことは時に起こるものだということを

知っていなければなりません。

そんなとき、あなたにできることは、それに対応し、

あなたに言えることを伝えるだけなのです。

「人間は、ともすれば、世界は変化のないまま続いていく、と思いがちなものですが、

あなたの最良のクライアントが、10年後も最良のクライアントであることは、

おそらくないでしょう」とファウストも言います。

 

そうして彼は、限られた数のクライアントに売上を頼る中小企業のオーナーは、

そのクライアントがもっとも収益率が高いか、

どのクライアントがもっとも成長の余地があるか、

どのクライアントがもっとも失うリスクが高いか、

チャートも含めたマーケティング・プランを用意しておくことを勧めています。

 

その上で、あなたはそれぞれのクライアントに対して、

マーケティング・プランだけでなく、

つなぎ止めることと、離れていった場合の2種類の戦略を考えておかなければならない、と言います。

そうすることで、つねに新しいクライアントと収益源獲得に動き出せるからです。
あなたが損失を受け入れ、積極的に新しいクライアントを獲得しようとするのが速ければ速いほど、

あなたのビジネスもうまくいきます。

 

何よりも、その原因が資金不足であろうと、

顧客が望むものを提供できなかったことであろうと、

単にクライアントがあなたのことを好きではなくなったからであろうと、

クライアントを失うことは、不可避であるといえます。

 

それが弱肉強食の世界の本質です。

けれども、あなたが前もって計画にそのことも含めていれば、

新しいクライアントを獲得することもできるのです。

また、そうなることで事態が好転することもあり得るのです。

パヴォーネは言っています。

 

「進化か、さもなくば、死です」

 

 

著者:ジェフ・ウィリアムズ(著述家・編集者)


元記事:http://amex.co/1MzRpg1

(翻訳:服部聡子)