お客様目線
ビジネスでは、商品開発からマーケティング、販売、フォローアップまで、「お客様目線」で考えることが大切だと言われています。
昨年12月に行なわれたビジネスサミットと経営塾に参加しているとき、「お客様目線」という言葉が頭の中に何度も浮かびました。ジェイ・エイブラハム氏がお客様、つまり参加者の立場に立って常に行動していたからです。今まで翻訳してきた文章の中で何度も「クライアントの立場に立って」という言葉がありましたが、これほど徹底的に実践しているのを目の当たりにして、その言葉の重みを強く感じました。
たとえば、参加者の理解度を常に確認しながら話していたことが印象的でした。講演中に話がひと区切りつくと、「ここまでの内容はわかりますか」と参加者に問いかけていました。あまり反応が見られないと「わからなければ首を横に振ってください」と呼びかける場面もありました。
また、エイブラハム氏が関わってきた世界各地のさまざまな業種の実例をあげて説明し、「参加者のみなさんが自分のビジネスで実践できることを持ち帰ってもらいたいのです」と言って、参加者が行動を起こすように促していました。
休憩中には、私たちスタッフに「内容はどうだったか」「参加者の反応はどうか」と必ず尋ねてきました。また、そこから派生して、日米のリアクションの違い、教育システムの違い、言葉の構造の違いなどについて話し合うこともありました。
そして休憩後は、参加者やスタッフのフィードバックに合わせて話す内容を変えていくのです。たとえば、参加者にあまりなじみのないコンセプトを話したときは、具体的な例を含めてもう少し説明してから次の項目に移っていきました。
このように、すべての言葉や行動が参加者の立場に立って生まれたものでした。ジェイ・エイブラハム氏の「クライアントの立場に立って」という言葉を身にしみて理解できたと同時に、世界トップのビジネスコーチのこの真摯な姿勢と柔軟な対応を目の前で見て圧倒された数日間でした。
watanabe_makiko:
ShimaFuji IEM 翻訳チームの一員です。
難解な言葉や韻を踏んだ表現、英語圏独特の考え方に出会うとワクワクします。その英語を通して、書き手や話し手の人柄が表われているからです。どのような日本語に訳していこうか、と考えながら日々格闘しています。