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本:『スモール・データ』

Small Data: The Tiny Clues That Uncover Huge Trends

『スモールデータ 大きなトレンドを見つける小さな手がかり』

著者:マーティン・リンドストローム

 

ビッグデータは人間の知覚を「旧態依然」のもの、時代遅れにするもの、と

多くの人が信じている現代、

マーティン・リンドストロームは、詳細な心理学的洞察を備えた検索と一致の技術的データは、

「私たちが本当は何者なのか」「私たちは本当は何を求めているのか」を

すばやく映し出すものであることを明らかにします。

 

彼は現代のシャーロック・ホームズさながらに、小さな手がかりを積み重ねていきます。

ミレニアル世代の若者の握手が、次第に弱くなっていくこと、

世界中でおしろいの使用が明らかに減っていること、

若い消費者のアイスクリームコーンの食べ方が変化していること、

こうした手がかりは、驚くほど多様な難題を解決するのに役立つのだ、とするのです。

 

スイスでは、十代の女の子のベッドルームにあった1匹のテディベアが、

ヨーロッパ20か国に1000店舗を持つ、ヨーロッパ最大のファッション小売店のひとつに

変革をもたらす要因となりました。

ドバイではパールの独特なブレスレットが、

ジェニー・クレイグ式ダイエットに対する愛着心をわずか1年間で159%も高めることによって

アメリカでの会員数の減少を、相殺することになりました。

中国では車のダッシュボードの外見に、iRobot社のデザインを導入することによって

大きな成功を収めました。

 

『スモール・データ』は、アームチェアに腰かけたままの世界旅行に、

世界中の手がかりを集めて推理を組み立てる推理小説の要素が、

巧みに結合されています。

リンドストロームは彼独自のフレームワークであるCLUESを利用します。

そこではビッグデータは単なるパズルの一部でしかなく、

もっとラディカルに消費者に接近し、

産業界全体を変革するために、時には直観に反する知見さえも明らかにするのです。

『スモール・データ』は、世界規模のブランドがどのように創設されていくのか、

その舞台裏を私たちに教えてくれ、

また、私たちが全人類としてつながっているという、

従来の経験の枠組みを超えた驚くべき真実を明らかにしてくれます。

 

 


元記事:http://goo.gl/ifsLSt

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

 

 

なぜ買い物客は実店舗の方が好きなのか

by  リーバ・レゾンスキー

 

 

モバイル機器で買い物ができるよう、テクノロジーが進化を遂げてきたにもかかわらず、

ショッピングに関して言うと、買い物客は今なお実店舗を好み、

すぐにはその習慣を変えるつもりはないようです。

タイムトレード・システムズの新しい調査「2015年版小売店情況」によると、

消費者の87%は、少なくとも2014年と同程度には実店舗で買い物をすることを

予定している、と言っています。

10代からデジタル環境になじんでいたはずのミレニアル世代では、

この割合が高くなってさえいます。

彼らの92%が、昨年と同様か、またはそれ以上に、

今年も実店舗で買い物をする予定がある、と言っています。

目当ての商品を、オンラインで買うことができたとしても、

近所の店で買い物がしたいという回答者は、2/3近くに上ります。

(実際のところ、70%以上の消費者が、アマゾン・ドット・コムよりも、

実店舗であるフィジカル・アマゾン・ストアで買い物がしたい、と言っています)。

どうして消費者は、未だに実店舗の方が好きなのでしょうか?

即座に商品を入手できる、というだけではありません。

あらゆる年代の消費者が、

購入前に何度となくインターネットで検索をしていることを考慮した上で、

報告書はこのように結論づけています。

 

顧客は以前にも増して、実店舗で直接経験して確かめたのちに

購入するかどうかの最終決定を、行うようになっている。

さらに良いニュースとして、

実店舗に行き、最終的に実際に予定した以上の買い物をする顧客は

82%にもはねあがる、というのです。

言葉を換えれば、店へ出向くということは、

単にあるものを見つける以上の意味がある、ということです。

本気で買う意志がある、という指標なのです。

このことは、小売店主がすっかり安心して、何の手も打たないまま、

売れるのを待っていれば良い、ということではありません。

店にやってきた顧客が、買う決め手となる要因は何なのでしょうか?

 

 

《手に取ることができる》

顧客が実店舗に足を運ぶ第一の理由は、商品にふれ、感じてみることができるからです。

回答者の85%、なかでも1960年-70年代生まれのジェネレーションXの回答者の92%は、

この点をあげました。

商品にふれたり、手に取ったりしたあとは、顧客が買う傾向が高くなる、という研究も

いくつもあります。

顧客にもっと商品にふれてもらうためには、どうしたらよいでしょうか。

 

・手にとってみたくなるように山積みする(衣料品店はこの手法を取り入れています)

・商品が包装されている場合は、それぞれの商品について1つ、顧客がふれたり、

 開けて試したりできるようにしてください。

・あまり店を整然としすぎないようにしてください。

 ちょっとした生活感があると、顧客は商品にふれたり試したりしやすくなります。

 従業員がたえず商品を整えなおしたりしていると、顧客は自分がスタッフに迷惑を

 かけているのだろうか、と気後れするかもしれません。(竜巻が過ぎた後のようでは

 ないことを確かめてください)

・適切なものなら、販売員が顧客に「お手にとってごらんください」と勧めることもできます。

 たとえば、スキンケア用品や化粧品を販売しているのなら、

 メイクに変化をつけてみないか、と声をかけたり、

 ローションを顧客の手で実際に試してもらったりできます。

 衣料品店なら、販売員が手を貸してジャケットを着せかけたり。

 複数の研究が、このような身体的接触があると、

 顧客は商品を、より受け入れやすくなることを示しています。

 

《個人に向けたサービスを》

サイトで自動的に商品を勧めたり、過去の購買履歴から自動メールを送ったり、

テクノロジーによる顧客サービスは、ずいぶん進歩を遂げていますが、

実店舗で実際の人間が提供するサービスには、とうてい太刀打ちできません。

とりわけ販売員が顧客の過去の購買履歴や、

顧客が実際に求めているものを提供する、店のロイヤリティー・プログラムの情報に

アクセスすれば、なおさらそのサービスはすばらしいものになります。

 

《知識》

実店舗を訪れる消費者は、インターネット上におびただしい数の選択肢があることを知っています。

けれども店舗には販売員がいて、推薦してくれたり、決定を助けてくれたりします。

2015年の調査によると、アメリカの消費者の約90%は、

知識がある知人の助言によって、購買意欲が高まる傾向がある、と答えています。

 

あなたの販売員は、顧客が実際に知りたいのは何か、理解していますか?

・どの商品が一番お買い得かを知りたい…65%

・どの商品が最高品質かを知りたい…64%

・どの商品が最も信頼できるかを知りたい…56%

・自分の必要や予算に照らして、どの商品が最適かを知りたい…47%

ミレニアル世代は、販売員に対して、もっと期待しています。

彼らの74%が販売員がお買い得を知っていることを期待し、

69%が最高品質を知っていることを期待し、

さらに62%が最も信頼のできる商品を知っていることを期待しているのです。

 

《必要な時に援助する》

求めるものがすぐに手に入る、という満足感を求めて、人は実店舗に足を運びます。

販売員は商品について勉強するばかりでなく、必要な時にいつでもそばにいて、

顧客を助ける準備ができている必要があります。

顧客が必要な時に、すぐに助けてもらえるように、

適切なスタッフが必ず配置についているように、スケジュールを調整してください。

売り場ごと、あるいは四分割した店舗の各エリアごとに従業員を配置し、

顧客にすぐに応じられるようにしてください。

顧客が手助けを求めがちなエリア、たとえばPOS端末の付近や試着室の付近には、

かならず従業員を配置し、顧客の買おうという決心が鈍ることのないようにしてください。

経験を積んだ販売員は、顧客に対して緊張感を持ちながら、

同時に親しみやすく接することができます。

顧客のボディランゲージを読むことは、販売員が学んでおくべきスキルです。

ある研究によれば、顧客のボディランゲージをなぞることによって、

顧客の気分が良くなり、売上の増加につながることがわかっています。

たとえば、販売員とあまり関わりたくなさそうな様子で、店に入ってきた顧客に対しては、

販売員は顧客の近くで自分の仕事をし、

親しみやすい笑顔を見せるぐらいにした方が良さそうです。

そんなときに「何かお探しですか?」と声をかけたりすると、

顧客はいやがって、店を出て行くかもしれません。

 

 

 

―スモール・ビジネス・トレンド


元記事:http://bit.ly/1HIg5mG

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

ミレニアルの高い買い物

by デレク・トンプソン

 

 

近頃まで若者たちは、自家用車には見向きもせずに公共交通機関を利用し、

カーシェアリング・アプリを使用してきました。

しかし今、若者たちが自動車ディーラーに姿を表すようになっています。

そう、親たちの世代と同じようにです。

 

物書きという職業の害は、発表した内容が誤っていることも多々あることであり、

また場合によっては、それを目にした読者の頭にまで同じ誤りを刷り込んでしまうことです。

数年前に、私はジョーダン・ワイスマンとともに、若者たちが先の大不況に恐れをなして、

郊外に一軒家を買い自家用車を持つという文化から顔を背けてしまうのではないか、

という記事を書きました。

 

この二つの高額な買い物は、これまでに起こってきた恐慌においては、

国の経済のけん引力となっていたものです。

この記事について私は何年もの間フラストレーションを感じていたのですが、

それはコメント欄の意見がどれも、

私たちが書いていない「安上がりな世代」という3語だけを読んで書いたのではないかと疑うほど、

記事の内容を把握していないことでした。

 

この3語は見出しの文言で、私たち筆者が書いたものですらなかったのです。

しかし今週、この記事について新たなフラストレーションの原因ができてしまいました。

私たち筆者にとっては大変不都合ながら、現実が私たちの予想を裏切り初めたのです。

 

2011年と2012年初頭にこの記事を執筆した時点では、

若者たちの自動車離れが進んでいるとして、メーカー各社は疑う余地のない恐怖を感じていたのです。

フォードのグローバル消費者トレンド研究のリーダー、シェリル・コネリーは、

若者たちは「所有することよりアクセスできること」に意味を見出している、と言いました。

「自動車購入について、ミレニアル世代の考え方が

ベビーブーマー世代の考え方と一致することはないと考えています」

とも言ったのです。

 

若者たちが都市中心部に住むようになり、

若い家族を乗せて走っていた自家用車は公共交通機関に取って代わられて、

また十代の若者にとっては初めて手にする自分の車というものは独立心や社会とのつながり、

責任感を体現するものでしたが、それもスマートホンによって置き換えられるだろうというものでした。

 

今週、ブルームバーグがJ.D. パワー・アンド・アソシエイツのデータをもとに、

ミレニアル世代、またの名をジェネレーションY(基本的には、1980年代から1990年代生まれを指します)が、

すでに新車販売台数の27%を占めていると報道しました。

この数字は、1961年から1981年生まれを指すジェネレーションX向けの台数をすでに追い抜いており、

その上を行くのはベビーブーマー世代のみになるというのです。

 

私はこの記事を、歯ぎしりしながら読みました。

そして、顔を真っ赤にして、

まるでスポーツカーのドライバーがドリフト走行でハンドルを握りしめる様子さながらに、

私は自分の確証バイアスにかじり付きながら、J.D. パワーにメールを送ったのです。

ミレニアル世代の自動車需要は実際は急伸などしていないと言える何がしかの証拠が欲しくて、

データの送付を依頼したのでした。

 

今、そのデータを目の前にして、私にもこう言い切ることができます。

ミレニアル世代の自動車需要は急成長しています。

若い世代への新車販売台数が、定規で引いたように一直線の右肩上がりで伸びているのです。

 

【ジェネレーションYはジェネレーションXより多く車を買っている】

 (

【新車販売台数の世代別シェアではジェネレーションYだけが伸びている】

なので、自分たちで立てたCheap Generation説に自信が持てなくなってきてしまった訳です。

とはいえ、間違いだったと完全に納得しきったわけではありません。

コネリーの主張で大切な

「ミレニアル世代の自動車購入に対する考え方が、

ベビーブーマー世代の考えと同じになることはないと考えています」

という言葉は、それでも現状を正確に表しているのです。

ミレニアル世代の半数以上は25歳を超えているにもかかわらず、

その親の世代の購入台数を下回っています。

また、ミレニアル世代の購入台数はジェネレーションX世代を上回ってはいますが、

ミレニアル世代は人口そのものもまた1,500万人から2,000万人多いのです。

 

さらに、自動車業界に吹く逆風は、ミレニアル世代の懐事情だけではないのです。

アメリカの自動車販売台数のピークは15年前の2000年に1,730万台でしたが、

さらに当時は顧客数もかなり少なかったのです。

その一方で、一人当たり走行距離はブッシュ政権中期から落ち始めています。

昨年にやっと、10年ぶりに上向きになったばかりです。

購入台数も運転距離も減少しているのであり、これは構造的な変化と思われるのです。

【一人当たりの走行距離(青)と走行距離の総計(赤)】

そして、私たちが立てた他の予想はどうでしょうか?

郊外に立つ柵で囲われた庭付き一戸建てというアメリカンドリームの象徴を、

若者たちは拒絶しているのでしょうか?

ここでも、話の筋は同じでした。

2012年当時に正しく予想できた部分もありましたが、

テキサスなどサン・ベルト地帯の今日の好況に見られるように、

アメリカの不動産景気これほどまでに素早く立ち直れるとは

予想できていなかったのも事実なのです。

 

大卒で20代から30代の裕福な層が、密集した都市部に住む傾向が

20年前に比べて非常に顕著なのは、

ベン・カッセルマンとジェド・コルコの説明する通りです。

全体で見ればごく一部でしかないこの豊かなグループを

ミレニアル世代全体と同義語のように語るメディアもありますが、

これは記事を書いた記者が、イーストコーストやウェストコーストの

大都市にあるバーに通うようなタイプの人間だったからかもしれません。

それらのバーの客層がこのような豊かな層と一致するものだから、

それがミレニアル世代の全体像であると誤解してしまっているのかもしれないのです。

ですが、ブルックリンやワシントンDC、オークランドなどから一歩足を踏み出せば、

世の中一般での話は全く変わってくるのです。

実際のところ、25歳から34歳で大卒学位を持たない層(本来はこちらが大多数です)が

都市部に住む傾向は2000年前後に比べて弱まっています。

また多くは、余裕ができ次第に郊外に移っているのです。

Craftsman House

ということで、ジョーダンと私の記事は誤りだったでしょうか?

私たちは、ミレニアル世代はその親たちの世代ほど

自動車に乗ることはないだろうと予測したのです。

そして現状がその通りであることに間違いはありません。

郊外型住宅の建設業界には長期間の悪影響が出るかもしれないと書きましたが、

これは間違いなく今日にも当てはまります。

ですが私たちは、より広い意味では、

現状を維持しようとする強烈な逆風を予測できていなかったのです。

 

若者というものはやはり自動車を買い、都市から郊外に抜け出し、

そしてカロライナからテキサスを抜け北西沿岸部にまで広がる、

陽光眩しい土地に住処を求めるものなのです。

 

若い世代が変にませているのを見るのは嫌なものです。

ですが、ジェネレーションYは、それよりさらに酷いものに変わってしまう恐れを秘めていました。

それは、退屈極まりない普通な世代になってしまうことなのです。

 

 


元記事:http://theatln.tc/1Ob8Czq

(翻訳:角田 健)

 

 

本:『断絶に普通はない』

No Ordinary Disruption: The Four Global Forces Breaking All the Trends

原題:『断絶に普通はない:あらゆるトレンドを打ち壊すグローバルな四つの力』

著者:リチャード・ドブズ、ジェームズ・マニイカ、ジョナサン・ウォーツェル

 

 

ブラックベリーのドラマティックな衰退とワッツアップの衝撃的な急成長、

中国で新しい記念日として突如として現れ、

一夜にして世界最大のオンライン・ショッピングの日となった「独身者の日(11月11日)」、

そして同じように「どこからともなくやって来た」かのように

産油国としての存在感を強大なものとしたアメリカ。

これらの重要で重大な事柄に共通するものは、一体なんなのでしょうか?

 

その通りです。

私たちの生きる時代は、不連続性の時代なのです。

今日、そして数年先の未来ではいっそうのこと、

巨大なグローバル市場のスピード、驚き、そして急激な方向転換が、

何度でも、歴史ある企業の運命を左右し、新規参入者にチャンスを与えるでしょう。

ビジネスモデルは、何ヶ月もしないうちに上下逆さまにひっくり返ってしまうかもしれません。

競合がまったく気付きもしないうちに勢いをつけ、表舞台に躍り出てくるかもしれません。

大きく深いお堀で守られていたビジネスも、いまや簡単に破られてしまうことに気づくでしょう。

新しいマーケットが、何もないようなところから魔法のように姿を表すでしょう。

テクノロジーとグローバリゼーションが、

それまでごく自然に作用していた市場競争にステロイド注射を打ってしまったのです。

 

これは、感覚的な受け取られ方というだけでなく、実際のデータにも見て取れるのです。

いろいろな長期的なトレンドの動きを表にしてみれば、

線はスムーズな上向きの傾斜にはなっていないことがわかるでしょう。

山の稜線のようにギザギザだったり、ホッケーのスティックのように上向きに急激に折れ曲がったり、

富士山のシルエットのように順調に上昇し、その後は下降を始めたりするでしょう。

私たちの生きる現代においては、傾向を読むということが徐々に困難になりつつあるのです。

 

『断絶に普通はない』では、世界を牽引するコンサルティング会社、

マッキンゼー・アンド・カンパニーの主要シンク・タンクである

マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのディレクターたちが、

今後20年のグローバル経済を形作るキーとなる変化を読み解くために、

現代の裏側深くまで飛び込んでいきます。

なかでも、もっとも重要なのは、

ビジネスと政府のリーダーたちがこれまでの仕組みをリセットして、

未来に起こる断絶を有利に捉えるためには何が必要かを説明することです。

難解な専門用語や冗長な語句は廃して、エピソードやデータ、表を豊富に使用し、

そして経験に基づいた知識から、本書は中堅やシニアレベルのマネージャー、

投資家、政府関係者など、幅広い読者を想定して書かれています。

 


元記事:http://amzn.to/1dXm4X5

(翻訳:角田 健)

本:『データクリズム (誰にも見られていないときの)我々は誰なのか?』

Dataclysm:Who We Are (When We Think No One’s Looking)

 『データクリズム:(誰にも見られていないときの)我々は誰なのか?』

   著者 クリスチャン・ラダー

 

私たちの個人的なデータは、私たちをスパイし、雇用したり解雇したりし、

必要もないものを売りつけたりもしています。

『データクリズム』のなかで、クリスチャン・ラダーはデータを使って

私たちのほんとうの姿を見せてくれます。

 

◆ データは何を教えてくれるのか

 

過去何世紀にもわたって、私たちは世論調査や、研究室での実験を通して、

人間の行動を研究してきました。

 

ところが今日では、まったく新しいアプローチの仕方が可能になってきたのです。

 

私たちの生活の多くが、インターネットを媒介したものになるにつれて、

直接、膨大な数のデータを、フィルターなしに、直接観察できるようになっています。

データ科学者は、新時代の人口統計学者になろうとしているのです。

 

この大胆で独創的な本の中で、ラダーは、フェイスブックの「いいね」が、驚くほど正確に、

人の性的傾向や、知性さえも予測できることを説明します。

魅力的な女性が、どれほど数多くのインタビューの依頼を受けるようになるか、

どうしてあなたはキライな人が、ますますキライにならずにはいられないのか、などということも。

 

ラダーはグーグル検索を通して、アメリカでもっとも酷評された言葉のグラフを作成し、

ツイッター上で、大勢の人が共同作業でかき立てていく、怒りの新しいダイナミクスに目を向けます。

そうして、人々が、個人的に、また公的に、どのように自分を表現するのかを明らかにしていくのです。

あなたがアジアに関することで、ほとんど知らないのは何ですか?

バーモント州とニュージャージー州、入浴をする回数が多いのはどちらですか?

黒人女性がサイモンとガーファンクルについて、何を考えていますか?

(ヒント:彼女たちはサイモンとガーファンクルについては考えない)

 

ラダーは、長期にわたって人類が移動してきた、その跡もたどっていきます。

そうして、人間の集団が、世界中の小さな町から同じ大都市に集まってくるかを

鮮やかに示すのです。

 

そうして、こうした探求を可能にしている、今日の世界のプライバシーを、

どうやって守っていけばよいのか、

ラダーはそんな挑戦にも取り組んでいきます。

印象的な図表や、機知と洞察にあふれた『データクリズム』は、

新しい見方で私たちの姿を明らかにしてくれます。

人間と数が現代の物語となる、数学の錬金術といえるでしょう。

 


元記事:http://amzn.to/1tP05bU

(翻訳:服部聡子)