本:『イノベーターズ』

The Innovators:How a Group of Hackers, Geniuses, and Geeks Created the Digital Revolution

『イノベーターズ:ハッカーや天才、オタクたちの集団はどうやってデジタル革命を起こしたか』

著者: ウォルター・アイザックソン

 

著者のアイザックソンは世界的ベストセラー『スティーブ・ジョブズ』のほか、

数々の 偉人の伝記を発表してきました。

 

今回アイザックソンが取り上げたのは、19世紀、蒸気機関で計算機を動かそうとした時代から、

現在にいたるまで、コンピューターとインターネットを創造した、多くのイノベーターたちです。

 

 

  電気のない時代から…

 

最初に登場するのは、なんと19世紀の詩人バイロンの娘のエイダ・ラブレスです。

家庭教師から数学の手ほどきを受けたこの女性は、1840年代に世界初のプログラム用コードを書きました。

 

電気回路さえ、いまだ構想の段階、という時代。

 

そのコードが動かそうとするのは、チャールズ・バベッジが構想した、

蒸気機関を動力とする「解析機関」と呼ばれるものでした。

残念ながら、この解析機関が実際に製作されることはありませんでしたが、

アイデア自体は今日の汎用コンピューターの元型となるものでした。

 

やがて20世紀に入ると、科学技術のめざましい発展を追い風に、

情報検索システムを構想したヴァネヴァー・ブッシュ、 人工知能の父アラン・チューリングなど、

今日のコンピューターの基礎を築いた人が登場します。

 

さらに、インターネットを構想した J・C・R・リックライダー

コンピューターを単なる電算処理機械から、

集団的知性を利用するためのツールと転換させたダグラス・エンゲルバート

集積回路を発明したロバート・ノイス

そうして私たちにもおなじみのビル・ゲイツスティーブ・ウォズニアック

スティーブ・ジョブズ、 ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を考案したティム・バーナーズ=リー

グーグル社を設立したラリー・ペイジ…。

 

わたしたちにとってはもはや「日用品」の、パーソナルコンピューターやインターネットが、

どのような失敗と苦闘の積み重ねの末にたどりついたものなのか、

読み物としても、非常に興味深いものです。

 

とはいえ、この本は単なるコンピューターの開発史ではありません。

著者は歴史をたどりながら、イノベーションがいかにして起こったかを探ります。

 

発明家や起業家が、ビジョンを現実へと実現させていったものは何だったのか?

 

成功した人と、失敗した人の間には、どのようなちがいがあったのか?

 

彼らはどのように知能を働かせていったのか?

 

彼らの発明の才は、いったいどこから生まれてきたのか?

 

聡明な個人が、チームワークを学ぶことで、どのように能力を開花させていったのか?

 

イノベーションをあらためて自分の問題に引き寄せて考えるとき、

 

この本は大きな示唆を与えてくれるでしょう。

 

さらに、組織と個人の資質はどのように連関させていくべきなのかを考える上でのヒントにもなっていく一冊です。

 

 


元記事:? http://amzn.to/1yks2do

(翻訳:服部聡子)

幸福感はどこから来るか

ハース・スクール・オブ・ビジネス レポート

 

 

現代の政治家や経済学者は、GDPより国民の幸福度を重視するようになっています。

そこで問題となるのが、それぞれに異なる個人の幸福度を、どうやって測定するかということです。

なぜ人は幸福だと感じるのでしょう?

 

ハース校が主導する新しい調査では、

個人の幸福と公共政策が、驚くほど高い相関を示していることがわかったのです。

 

Photo:Happiness By:mahmud.rasse

 

調査は、コーネル大学のダニエル・J・ベンジャミン教授と

南カリフォルニア大学、 さらに5人のエコノミスト主導のもと、行われました。

 

対象者は、数多くの項目の中から、何が〈幸福感〉をもたらしているかを選択します。

項目には、たとえば自分の健康や、経済的安定といった「個人的」なもの、

あるいはまた、社会に汚職や不正行為がないことや、

貧しい人々を進んで助けようとする社会であることのような 「公共的」な内容が含まれています。

 

たとえば自分自身の健康と、公衆衛生を充実のどちらを重要とみなすか。

 

自分自身の経済的安定と、たとえば言論の自由や、

政治に参加する自由の重要性のどちらを重要とみなすか、といったふうに。

 

予想通り、回答者は個人の幸福を、高いランクの重要度に置きました。

けれども、同時に、主義主張や、他者の幸福に対しても、

高い価値を置いていることがわかったのです。

 

調査結果は、幸福感の多くが、個人の健康や経済的安定から来ていることを示しています。

同時に、人々は自分たちが生きている社会を良くしたいとも感じているのです。

 

すなわち、私たちの個人的な幸福感の根底には、

自分が「正当で思いやりのある社会に住んでいる」という 感覚があることが、

この調査は裏づけたのです。

 

 

ハース・スクール・オブ・ビジネス レポート


 

元記事:http://bit.ly/1IWE0JV (抄訳)

(翻訳: 服部聡子)

 

 

昼寝は脳を活性化させる

MIT スローン・スクール・オブ・マネジメント レポート

 

インバウンドマーケティングの第一人者、ハブスポットのCEOブライアン・ハリガンは、

スローン校の上級講師でもあります。

 

そんなハリガンのパワフルな活動の秘訣は?

 

答えは、昼寝。

 

短時間の睡眠が脳を活性化させることは、よく知られていますが、

ハリガンはその理論を職場にも応用しているというのです。

 

??Photo:YIN AND YANG CATS By:jimmiehomeschoolmom

 

睡眠と覚醒の中間にある状態は、このうえなく過小評価されています。

そのときの脳は、与えられた問題について考えてはいないのですが、

その解決策は脳内に浮かんでいるのです。

昼寝をしているあいだ、脳はすべての情報を整理しています。

あたかもプロジェクトの企画者のように、脳はメール、記事、電話の内容など、

私たちの頭の中の情報を集め、分類し、付箋を貼っていくのです。

目覚めたときには、種々雑多な情報が、スッキリとカテゴライズされ、

脳はリフレッシュしている、という仕組みです。

 

昼寝が思考プロセスに有益であることがわかると、

ハリガンは自分がCEOを務める企業にも、それを適用することにしました。

 

ハブスポットに仮眠室を設置したのです。

熱帯をテーマにしたこの仮眠室は、常時、約50%の予約で埋まっているといいます。

 

さらにハリガンは、赤ちゃんが生まれたばかりの従業員や、

夜行便を使って戻ったばかりの重役、行き詰まっている開発者など、

部屋のほかの人よりも、まばたきの多い人は、 優先的に仮眠室が使用できるようにしています。

 

  伝統的な会社文化を考え直そう

 

私たちの生活は、10-15年ほど前とは、ずいぶん変わってきています。

企業の側も、それまでの会社文化を再考し、 リーダーシップ・モデルも、

現代にふさわしいものに変えていかなければなりません。

 

そのための具体策として、ハブスポットでは従業員はいつでも誰でも、

無制限の休暇を取って良いことを決めました。

 

どうやらハブスポットは、すばらしいアイデアを生み出すだけの場所ではないようです。

働くのに―場合によっては、眠るのにも―すばらしい場所ともいえそうです。

 

MIT スローン・スクール・オブ・マネジメント レポート


元記事:http://bit.ly/1IVjVnk (抄訳)

(翻訳: 服部聡子)

 

本:『リーダーは最後に食べる 』

Leaders Eat Last: Why Some Teams Pull Together and Others Don’t

『リーダーは最後に食べる ―どうして協力するチームとしないチームができるのか』

著者 サイモン・シネック

 

「仕事が好き」… 心からそう言える人には共通点があります。

組織から評価され、帰属意識を持っている、ということです。

 

著者のサイモン・シネックは、 世界中を旅行しているときに

文字通り、命を預けられるほど、 お互いが信頼しあっているチームに出会いました。

 

それは、海兵隊です。

 

シネックは海兵隊将軍の言葉

「士官は最後に食べます」

を聞いたと き、これは管理論ではなく、生物学だと気づいたのです。

 

大昔、世界がもっと危険に満ちていた頃、

もっとも危険にさらされる狩人が最初に食事を済ませ、

彼らの世話をする者は、自分はがまんしても、

グループ内の安寧を図ってきました。

 

生物としての私たちに大きな変化はありませんが、

私たちを取り巻く環境は、戦場などの一部を除けば、大きく変わってきました。

 

その結果、私たちの組織の多くが、利己心や懐疑心、シニシズムのせいで、

脆弱なものになりつつあります。

 

組織を強固なものにするためには、信頼と協力が何よりも必要。

生物学は教えてくれます。

 

重要な局面で「最後に食べるリーダー」は、

リーダーのビジョンと 組織に忠実な部下によって報いられる、と。

 


 

元記事:http://amzn.to/1Kx6KNc

(翻訳:服部聡子)

 

7つのステップで自信にあふれる人になる

by マインダ・ツェトリン

 

 

怖れは不景気よりもあなたのビジネスに悪い影響を及ぼします。

怖れを克服する方法をお教えしましょう。
もっと自信を持ちたくありませんか?

そう尋ねられれば、ほとんどの人は、イエス、と答えるでしょう。

日常生活でも仕事でも、自分の前に立ちはだかる怖れや不安を克服できれば、

もっと多くのことができることを、私たちは知っています。
著作家であり、ロシア系マフィアの専門家でもあり、このほど

『怖れを克服する:大胆になり、夢を生きるための50のレッスン』

を著したジョー・セリオによると、

私たちはかならず怖れを克服できると言います。

 

世間では、わずか20%の人しか、日々を全力で生きていません。

これは悲劇的なことではないでしょうか?

セリオ自身、若い頃、怖れに苦しめられたと言います。

けれどもある日、もうたくさんだ、と心を決めたのです。

 

彼は政治学と犯罪学を学んでいましたが、やがてロシアに魅了されるようになり、

言葉を学び、ロシアで暮らし始めました。

そうして数ヶ月、モスクワでクロール調査事務所を開くようになったのです。

 

私のおもな仕事は、欧米の企業が、ロシア・マフィアを避ける手助けをすることでした。

やがて、起業には、独特の恐怖感があることに気がつくようになりました。

起業し、会社を経営するということは、怖ろしい冒険であるとも言えるのです。

 

けれども、怖れはビジネスに、不景気やまずいビジネス・モデルよりも大きなダメージを与えかねません。

 

あなたが怖れに飲みこまれてしまえば、それで終わりです。

利益を上げることも出来ないし、会社を閉めてしまうしかなくなるのです。

 

それを避けるためには、あなたも自分の怖れを克服し、

勇気を出してビジネスの問題に取り組むことを学ばなければならない、と彼は言います。

あなたにはできます。

そうして、これがその方法です。

 

1. 自分が怖れを抱いていることを認めるところから始めよう

 

自分に言うのです。

『そうだ、私は怖れている』と。

そうすることで、無用な完全主義をなくすことができますし、

問題の先送りを回避することもできます。

 

世間に向かってそのことを告げる必要はありませんが、

あなたが信用している人、大切な友人や、

その方がよければ、自分自身でもかまいません。

 

2. 自分が何を怖れているか、具体的に明らかにする

 

自分が怖れているものの正体を、正確に見きわめるように、と彼は言います。

 

その怖れは、間違いを犯すことなのか、

それとも間違えた結果、自分が抱く感情を怖れているのではないか?

それをはっきりとみきわめることが重要です。

本当の問題が何であるか、自分がわかっていないと、解決することはできません。

 

3. 自分の怖れに点数をつける

 

あなたの怖れを、それぞれ比較しながら点数を付けてみてください。

 

数年前、人前で話すことは、10点の恐怖でした。

けれども、オオカミに食べられることと比べてみると、

人前で話すことの恐怖感は7-8点へと変わっていったのです。

こうすると、怖れは扱いやすいものになります。

人前で話すことがビジネスの根本であるビジネスを始めようとするる場合にとっては、

言うまでもありません。

 

 

4. 最悪のシナリオを想定してください

 

起こりうる最悪のことは何ですか?

その質問に答える前に、少し考えてみてください。

 

あなたの想像は現実より悪いことが非常に多いのです。

マーク・トウェインはこんな風に言っています。

「私は人生で何度も大惨事に遭ってきた。

ほとんどは実際には起こっていない大惨事に」

何が危険にさらされているのか、

あなたの怖れは根拠があるものかどうか、突き止めてください。

その多くは、しっかりとした根拠などないはずです。

 

5. 少しでも知識を持つ

 

経験のある人と話をすることは、怖れを減じる大変良い方法です。

あなたの状況のとらえかたに、別の視点やバランス感覚を持ちこんでくれます。

しかも、彼らもまた始めたばかりのときは、怖れを抱いていた可能性が高いのです。

あなたがしようとしていることについて、

何でも良いので、本や雑誌の記事を読むよんだり、セミナーを受けたり、

その領域に関連するグループを探したりしてみてください。

知らないからこそ怖れを抱くので、知識が多いほど自信が生まれてくるはずです。

 

6. 過去の成功体験をふり返る

あなたはこれまで数え切れないほどの成功を収めてきました。

話し方を覚えたり、歩けるようになったり。

セリオは言います。

 

あなたは自分が強いことを忘れてしまっていることが多いのです。

そのことを思い出したければ、あなたが良い仕事をしたことに対する

感謝状やメール、カードなどのファイルを用意しておきましょう。

あなたの内側に怖れが生まれたら、そのファイルを開いて、

自分はできるということを思い出してください。

 

7. あなたの成功を、たとえ小さなものであってもお祝いしてください

 

仰々しいものや、これみよがしのものである必要はありません。

良い仕事だったと、自分の背中を叩くような、

せいぜいがあなたの身近な人と喜びを分かちあうようなもので良いのです。

私たちは、お祝いにふさわしいのは、大きな成功でなければならないと思いがちですが。

小さな成功を、忘れないでお祝いするということは、

あなたが自分のなした努力に報いるということです。

そうすれば、つぎにその努力が、もっと楽にできるようになるでしょう。

 

 

 

著者:Minda Zetlin(ビジネス・テクノロジー関連著作家)


元記事:http://bit.ly/1gPyktI

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

本:『リーダーシップのウソ』

Leadership BS:Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time

『リーダーシップのウソ:職場とキャリアを1つずつ改善するために』

著者:ジェフリー・フェファー

 

スタンフォード・ビジネススクールの教授であり、経営分野でにおける一流の思想家、

力:なぜ持っている人といない人がいるのか』(原題)の著者でもある

ジェフリー・フェファーが、

リーダーシップ産業のまとうウソを容赦なく暴き、

職場や仕事がうまくいく本当の方法を明らかにします。

 

「いかにリーダーを育成するか」に焦点を当てたリーダーシップ関連の事業は、

いまや何十億もの資金が投じられ、

またそれに焦点を当てた本も何千冊、ブログや講演ともなると数十万単位にのぼる、

一大産業になっています。

 

ところが世界中、いたるところで、従業員のやる気のなさが表面化し、

リーダーは次々に交替し、人々のキャリアは中断を余儀なくされ、

リーダーシップ開発の努力は失敗しています。

 

著者ジェフリー・フェファーは、リーダーシップ産業に、容赦ない光を当て、

なぜこうした事業が失敗に帰しているのか、

リーダーシップ育成をどのように立て直していくべきなのかを示していきます。

 

フェファーは誠実で、権威があり、謙虚で、正直で、信頼でき、

人々を大切にするリーダーを育成するために、

これまで何度となく言われてきた「処方箋」の誤りを正すのです。

 

彼はリーダーシップをめぐる、数多くの物語や神話をBS(BullShit=デタラメ)と呼びます。

そうして、多くの人がより良いキャリアを築けるように、

証拠と正しい情報の科学的な見方を教えてくれるのです。

 

社会学に根ざした意志訓練の実例や、経営を改善するためのアドバイスが数多く盛り込まれた

『リーダーシップのウソ』は、読者が真実を知り、

自分自身と社会をより良いものにするための希望を与えてくれます。

 

 


元記事:http://amzn.to/1LKNbTL

(翻訳:服部聡子)

 

 

本:『伝染力』

Contagious: Why Things Catch On

『伝染力:なぜ流行するものは心を捕らえるのか』

著者:ジョナ・バーガー

 

私たちの周囲には、流行の言葉や物や音楽があふれています。

ある特定の物が流行するのはどうしてなのでしょうか?

 

すばらしいものだから?

かならずしもそうとはいえません。

 

大規模なキャンペーンの結果?

でも、派手な宣伝が、逆効果になった例ならいくらでもあります。

 

本書は、その疑問に答えます。

 

著者のジョナ・バーガーは、商品であろうと職場の噂や、YouTubeのビデオであろうと、

ものごと が広まっていくには、6つの法則があることを明らかにしていきます。

 

自分の発信したメッセージをもっと大勢の人に受け取ってほしい、

良いアイデアを伝えたい、 自分の作ったものを、大勢の人に知ってもら いたい…。

 

この『伝染力』は、そんな人に 「どうしたらいいか」を示してくれます。

 


元記事:http://amzn.to/1sNnN8c

(翻訳:服部聡子)

 

ジョブズに学ぶ 人を動かし 欲しいものを手に入れる方法

by  デイヴ・スミス

 

 

2つの企業を世に送り出したスティーブ・ジョブズは、 現代社会のルールに、

いつもいつも従っていただけではありませんでした。

ジョブズはアップルや、ピクサーを軌道に乗せるまでに、多くの困難に直面しています。

 

けれどもジョブズには、彼だけのリアリティ、 いわゆる「現実歪曲空間」を精巧に作り上げる、

ユニークな方法を持っていました。

 

この「現実歪曲空間」では、彼の個人的な信念にすぎないものが、

あたかも確かな事実であるかのように、人々は説得されてしまうのです。

そうやって彼は会社を前進させていきました。

 

彼は操作戦術をたくみに混ぜ合わせ、自分の勝利を確かなものにしました。

世界でももっとも影響力のある重役が集まる会議の席でも、 その戦術は用いられたのです。

 

多くの人々が、ジョブズを天才だと考えています。

けれども天才だというだけでは、 私たちの誰もがかならず、彼の戦術からひとつやふたつ、

学ぶことが見つかる理由にはなりません。

 

仕事上であれ、人生全般であれ、自分が望むものを手に入れる。

そのためにはどうしたら良いのか、お話ししましょう。

 

ここに出てくるほとんどの話は、ウォルター・アイザックソンが書いた、

『スティーブ・ジョブズ』という伝記に拠っています。

 

必死で働け。そうすれば人は尊敬してくれるだろう。

尊敬は、自分が望むものを手に入れる、決定的な第一歩だ。

 

Photo:Steve Jobs by Norman Seeff

 

1996年までには、アップル社は深刻な問題を抱えるようになっていました。

望みをかけていた新しいOSは、 アップルへの要求に応えるものではなかったし、

その解決策さえ見いだせそうにはなかったのです。

 

そこで、もっと安定したOSを構築するパートナー探しが始まりました。

結局、Be社と、ジョブズが立ち上げたコンピューター会社であるNeXTが 候補に挙がりました。

アップルから二社に打診があったとき、 Be社のガセーが無関心なふりをしてみせたのに対し、

ジョブズはまったくためらいを見せませんでした。

 

当時のアップルのCEO アメリオは、ジョブズのNeXT OSの売り込みは、

このようなものだった、と語っています。

 

まばゆいばかりだった。

彼は、まるで『マクベス』を演じるローレンス・オリビエさながらに、

その美点と強さを讃えたのである。

 

結局ジョブズはアップルに戻りましたが、ピクサーのCEOも続けていました。

当時の彼は、朝7時から夜9時まで働いていたといいます。

彼は腎臓結石を患っていましたが、 一貫して、ふたつの会社に刺激を与え続けました。

毎日会社に現れ、可能な限り最高の製品を作るよう、人々を鼓舞し続けたのです。

 

人々はそんな彼を尊敬しました。

 

情熱を持ったキャッチフレーズが必要だ。

人は、感情の激しい表出に影響される。

 

Photo:Steve Jobs with iPhone at D5 By:whatcounts

 

キャッチフレーズは、ジョブズのレパートリーの中でも、 重要な部分を占めます。

そうして誰にとってもそうであるべきなのです。

 

自分であれ、製品であれ、売り込みのプロセスの中では、

他人にあなたの考えを買ってもらうことがカギとなります。

 

 

トランペット奏者のウィントン・マルサリスに対する売り込みの中で、

ジョブズはiTunesにどんなことができるか、 あらゆることをやって見せました。

 

彼は当時、ミュージシャンを引き抜こうとしていました。

レコード・レーベルを説得し、iTunes計画に引き入れようとしていたのです。

 

 

マルサリスは、ジョブズとは二時間にわたって話したといいます。

 

彼は何かに憑かれていたかのようでした。 私は、コンピューターではなく、

彼という人間に目を向けるようになりました。

というのも、彼の情熱にすっかり魅了されてしまったからです。

 

彼は、自社のマーケティングの専門家たちに対しても、

「彼らが作りだしたあらゆる広告が、 ジョブズの情熱が吹きこまれたものであることを

確かなものとするために」 同様の情熱で接しました。

 

誘惑し、甘い言葉で、人を武装解除させるんだ。

 

ジョブズにとって、人を引きつけ、魅了することなど思いのままでした。

そうして、好んでそうしていたのです。

 

アップルの前CEOであるアメリオやスカリーのような人々が 自ら進んで

ジョブズを信じようとしたのも、 ジョブズに魅了されたからです。

 

なぜか。

それは、ジョブズが彼らに好意を抱き、 尊敬していたからなのです。

 

時に、ジョブズは、お世辞に飢えているような人に、

偽りのお世辞をふるまっているような印象を与えることもありました。

 

けれどもジョブズにとっては、大嫌いな人の気を引くことなど、

好きな人を怒鳴りつけるのとおなじくらい、 たやすくできることだったのです。

 

 

ビジネス・インサイダー


元記事:http://bit.ly/1z83wtV

(翻訳:服部聡子)

 

本:『引きつける力』

Traction:A Startup Guide to Getting Customers

『引きつける力:顧客を得るための 起業ガイド』

ガブリエル・ワインバーグ、 ジャスティン・メアーズ 共著

 

 

ほとんどの起業は失敗に終わります。

 

失敗するほとんどの起業家が引きつけられていないこと、、

それはつまり「本当の顧客を育てる」ことです。

 

本書では、まず、スタートアップの創業者と社員に向けて、

人を引きつけ、企業を成功に 導くために 「焦点となるフレームワーク」 として、

五段階のステップが紹介されます。

 

それをふまえて、顧客を獲得するためには、どうしたらよいか、

ウィキペディアの創始者ジミー・ウェールズら、

成功した40人の起業家とのインタビューを通して、

成功した企業は、どのようチャンネルを通して成長していったのかが、

明らかになっています。

 

本書は反復可能な戦略と戦術を学ぶことができる一冊です。

 


 

元記事:http://amzn.to/1FsAOdB

(翻訳:服部聡子)

 

 

1日1時間で人生を劇的に変えるには

by ジェフリー・ジェイムズ

 

 

 

トップアスリートが卓越したレベルに到達できるのも、毎日の基礎トレーニングがあればこそ。

あなたのキャリアも同じです。ここではその方法をご紹介します。

 

 

先ごろ雑誌『ニューヨーカー』でも取り上げられていましたが、

過去数十年間でスポーツは、技術面において劇的な進化を遂げました。

 

世界記録は絶えず破られていき、どの世代をとっても、

アスリートたちは上の世代よりも強く、速くなっています。

 

大幅な向上を見せているのは、オリンピックレベルのアスリートやチームだけではありません。

あらゆるスポーツにおいて、それが起こっているのです。

 

たとえば、高校のバスケットボールでも、トップクラスのチームなら、

1960年代のプロチームをこてんぱんに叩きのめすことでしょう。

 

どうしてこんな飛躍が可能になったのでしょうか?

 

今日のアスリートは、1日数時間を基礎トレーニングに費やします。

ところが、かつてはコーチも選手も、基礎トレーニングは時間の無駄であり、

しかも実際の試合に備えて、賢く蓄えておかなければならないエネルギーを、

いたずらに消費してしまうと考えていたのです。

 

このことは職場にも応用できるのではないでしょうか。

 

私たちが利用するテクノロジーは、きわめて強力なものとなっています。

ところが、ビジネスの基本的な要素 ― 書く、話す、聞く ― に

そのテクノロジーが導入された結果、 現代の「プレー」の平均値は『マッド・メン』

(※1960年代の大手広告代理店を舞台にしたドラマ) の時代を下回るものになりつつあります。

 

たとえば「書くこと」を取り上げてみましょう。

 

コンピューターを使えば、文書作成はとても簡単です。

テキストを打ち込み、テンプレートからペーストすれば良いのですから。

そのおかげで今日のメールは、1960年代の平均的なメモに比べて、

冗長でバズワードが氾濫したものになっています。

 

同様のことが、公式で「話すこと」においても見られます。

 

パワーポイントで武装したプレゼンテーションは、 旧式のスライド時代よりも、

退屈なものになってしまっています。

 

さらに「聞くこと」に関していえば、

多くの職場で、あまりに気を散らせる音があふれているせいで、

人の話に気に留める人すら、ほとんどいないありさまです。

 

けれども、そうした問題が起こるのは、テクノロジーのせいではありません。

いつの間にか私たちが、テクノロジーのおかげでコミュニケーションは、

かつてより進化しているだろう、と思いこんでしまっているせいなのです。

 

皮肉なことに、情報があふれかえっている現代にあっては、

正確なコミュニケーションが、これまで以上に重要になっています。

 

今日では、明晰なメッセージだけが、ノイズの海を突き進むことができるし、

簡潔なプレゼンテーションだけが人の記憶に残ります。

人と人の間に長続きする関係を築けるのは、内容豊かな会話だけです。

 

それなのに、書き、話し、聞くことの基礎トレーニングを毎日行おうとする企業は、

極めて少数であるのが現状です。

 

結果的に、ほとんどの組織は、凡庸な「選手」であふれかえり、

生まれつき資質の高い人が、散発的に現れるだけになっています。

 

けれども、企業が基礎トレーニングを怠っているということは、

基礎的なコミュニケーションスキルを改善するための日常的なトレーニングを行おうとする人にとって、

すばらしいチャンスでもあります。

 

そのことに留意して、以下に挙げる一週間のプログラムを実行してみてください。

 

月曜日: “TED”の講演を視聴し、分析する

所要時間: 20分

Photo:Chris Anderson By:pmo

 

もし普段、冗長で退屈な同僚のプレゼンテーションを見ているならば、

あなた自身のプレゼンテーションも、自然に冗長で退屈なものになっているはずです。

 

それに対する特効薬は、毎週少なくとも一度は、YouTubeで TED を見ることです。

ただし、漫然と見るのではありません。

 

講演者がどのように情報を伝えているか、考えるのです。

彼または彼女がどのようにスライドを使うか、

あるいは使わないか。

 

声の調子を聞き取り、単に情報が提供されているだけではなく、

それぞれの講演において、それがどのように伝えられているか注目してください。

 

火曜日: トップ・ブロガーのブログを批評的に読む

所要時間: 10分

 

 

もしあなたが読んでいるのが業界誌と社内メモだけなら、

あなたはそうした文書にありがちな、月並みな文体を模倣するようになるでしょう。

 

そうではなく、非凡なビジネス・ライターによって書かれたものを読んでみてください。

記事よりはむしろブログの投稿をおすすめします。 というのも、

こうしたものは定期的なビジネス・レターに近いものだからです。

 

私のお気に入りのブロガーはペネローペ・トランクですが、

ほかにもガイ・カワサキセス・ゴーディンボブ・サットンダン・ローム

トム・ピータースジョン・ジャンツッチなど すばらしいビジネス・ブロガーがいます。

 

そのほか、もし何かの気まぐれで、私のブログでこのトレーニングがしてみたければ、

無料の週刊メルマガを講読するのが便利です。 毎週火曜日、発行しています。

 

あなたが読むのが誰のブログであっても、 単に内容を把握するためだけに読んではいけません。

距離を保って、批評的に読むのです。

 

書き手はどのように話に入っていき、トピックを展開させているか、

彼または彼女は文章や段落をどのように組み立てているかを、注意深く確かめます。

 

自分自身より才能のある書き手の文章を読むことで、 あなたの書いたものも上達していきます。

これは、人間が書くことを発明して以来の真実といっても過言ではありません。

 

水曜日: 最高のポッドキャストを主体的に聞く

所要時間: 15分

Photo:Moleskine iPod Dictaphone By:topgold

 

「主体的に聞く」というのは、 感情がおもむくままのおしゃべりや、

頭の中でのひとりごとをオフにして、 その代わりに他の人の話に全神経を集中して耳を傾けることです。

(これは意外にむずかしいことです。

というのも、人の脳が言葉を処理するスピードは、実際に人が話すより速いからです)

 

主体的に聞くトレーニングをポッドキャストでおこなうことは、

実際に誰かが話しているのに耳を傾けるより簡単です。

 

というのも、

1) あなたには返事をする必要がなく

2) 良質なポッドキャストなら、集中しやすい からです。

 

このトレーニングをするために、静かな場所に腰を下ろし、

スマートフォンかタブレットをポッドキャストに合わせ、耳を傾けます。

 

話者の語る一語一語をしっかり聞き取ります。

手作業や運動など、ほかのことは何もしません。

集中力を最高まで高め、それを維持するのです。

 

この聞くトレーニングを続けていれば、職場でほかの人の話を主体的に聞くスキルも、

すぐに身につくことでしょう。

 

とはいえ、ポッドキャストを最初から最後まで聞く必要はありません。

もしそれが15分より長いなら、その先は主体的に聞く必要はありません。

 

私の個人的なお気に入りは、『シリアル』 と 『ディス・アメリカン・ライフ』 ですが、

そのほかにも利用できるポッドキャストは、いくらでもあります。

 

相手の話に集中して耳を傾けるトレーニングは、あなたの人間関係をより緊密にしていくでしょう。

というのも、同僚のことをもっとよく理解できるようになるからです。

いつしか自分が以前より、好意を持って迎えられていることに気づくはずです。

 

木曜日: 届いたメールをリライトする

所要時間: 5分間

 

 

効果的なリライトのコツは、冗長な文章の中から読み手にとって何が重要であるかを見抜き、

そのエッセンスを2つか3つの短い文にまとめることにあります。

 

届いたメールであれば、「対象とされる読者」はあなた。

自分にとって何が大切かわかっているので、読み手の「ツボを押さえる」ことは簡単です。

 

一例をあげます。

 リライト前:

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このメールがお目に留まれば幸甚に存じます。

11月は、恒例の「全米キャリア開発月間」となっております。

ご自身のプロフェッショナル・ライフの成功と、

目標の達成のためのキャリアに関するヒントについて、

XYZトレーニング・エキスパートと話し合うことに興味がおありでしたら、

以下のお手続きをお願いしたいと思っております。

会社員が日々の仕事に励みつつ、

同時に自分自身のキャリア形成を確かなものにするために、

より大きな目標に向けてライフプランを立てていくことは、非常にすばらしいことです。

もしXYZトレーニング・エキスパートに相談してみようと思われましたら、

ぜひお知らせください。

早期に面談のお手続きを喜んでさせていただきます。

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リライト後:

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職業上の目標を持つことは、あなたの読者にとっても重要なことです。

あなたの独立をお手伝いします。

従業員の将来設計を助ける経営者が、どれほど愛社精神を涵養できるか、

エキスパートとしてぜひお話しください。

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送られてきたメールを、最低1通はリライトし簡潔にまとめることで、

あなたは徐々に、短いセンテンスとシンプルな言葉で、コミュニケーションできるようになります。

 

さらに、あなた自身が書く場合も、無駄のない文章が書けるようになるはずです。

 

金曜日: 同僚からコーチを受ける

所要時間: 10分間

Photo:Conversation By:Search Engine People Blog

 

一週間、あなたがより効果的に書き、話すことができるようになったか、

試してみるチャンスがやってきました。

 

おそらくあなたにコーチがつく可能性は低いでしょうから、

次善の策として、あなたのやったことを同僚に評価してもらうのです。

 

信頼できる誰かに頼んで、あなたのリライトしたメールを見てもらうか、

プレゼンテーションをひとつ聞いてもらうかしてください。

 

彼または彼女に、どうやったらもっとうまくいったのか、

どうしたらもっとよくなるのか、聞いてみましょう。

 

言うまでもないことですが、相手が同じことを望めば、

あなたも気持ちよくそれに応えてあげてください。

 

同僚が遠慮なくしてくれる批評は、あなたの聞くスキルを生かす、願ってもないチャンスでもあります。

同僚が彼もしくは彼女ならではの視点を述べてくれたなら、

言い訳などしたりせず、虚心坦懐に耳を傾けましょう。

(言い訳はあなたの邪魔にしかなっていない、内なる自分との対話です)

 

時間がたつうち、書き、話し、聞く能力が向上した自分の仕事を、

別の視点から眺めることができるようになるはずです。

 

そうなれば、不可避的にあなたはより有能な人になっている、すなわち成功に近づいていることでしょう。

 

 

by ジェフリー・ジェイムズ(スピーカー、セールス・ブロガー)


元記事:http://bit.ly/1JJCfDb

(翻訳:服部聡子)