なぜ買い物客は実店舗の方が好きなのか
by リーバ・レゾンスキー
モバイル機器で買い物ができるよう、テクノロジーが進化を遂げてきたにもかかわらず、
ショッピングに関して言うと、買い物客は今なお実店舗を好み、
すぐにはその習慣を変えるつもりはないようです。
タイムトレード・システムズの新しい調査「2015年版小売店情況」によると、
消費者の87%は、少なくとも2014年と同程度には実店舗で買い物をすることを
予定している、と言っています。
10代からデジタル環境になじんでいたはずのミレニアル世代では、
この割合が高くなってさえいます。
彼らの92%が、昨年と同様か、またはそれ以上に、
今年も実店舗で買い物をする予定がある、と言っています。
目当ての商品を、オンラインで買うことができたとしても、
近所の店で買い物がしたいという回答者は、2/3近くに上ります。
(実際のところ、70%以上の消費者が、アマゾン・ドット・コムよりも、
実店舗であるフィジカル・アマゾン・ストアで買い物がしたい、と言っています)。
どうして消費者は、未だに実店舗の方が好きなのでしょうか?
即座に商品を入手できる、というだけではありません。
あらゆる年代の消費者が、
購入前に何度となくインターネットで検索をしていることを考慮した上で、
報告書はこのように結論づけています。
顧客は以前にも増して、実店舗で直接経験して確かめたのちに
購入するかどうかの最終決定を、行うようになっている。
さらに良いニュースとして、
実店舗に行き、最終的に実際に予定した以上の買い物をする顧客は
82%にもはねあがる、というのです。
言葉を換えれば、店へ出向くということは、
単にあるものを見つける以上の意味がある、ということです。
本気で買う意志がある、という指標なのです。
このことは、小売店主がすっかり安心して、何の手も打たないまま、
売れるのを待っていれば良い、ということではありません。
店にやってきた顧客が、買う決め手となる要因は何なのでしょうか?
《手に取ることができる》
顧客が実店舗に足を運ぶ第一の理由は、商品にふれ、感じてみることができるからです。
回答者の85%、なかでも1960年-70年代生まれのジェネレーションXの回答者の92%は、
この点をあげました。
商品にふれたり、手に取ったりしたあとは、顧客が買う傾向が高くなる、という研究も
いくつもあります。
顧客にもっと商品にふれてもらうためには、どうしたらよいでしょうか。
・手にとってみたくなるように山積みする(衣料品店はこの手法を取り入れています)
・商品が包装されている場合は、それぞれの商品について1つ、顧客がふれたり、
開けて試したりできるようにしてください。
・あまり店を整然としすぎないようにしてください。
ちょっとした生活感があると、顧客は商品にふれたり試したりしやすくなります。
従業員がたえず商品を整えなおしたりしていると、顧客は自分がスタッフに迷惑を
かけているのだろうか、と気後れするかもしれません。(竜巻が過ぎた後のようでは
ないことを確かめてください)
・適切なものなら、販売員が顧客に「お手にとってごらんください」と勧めることもできます。
たとえば、スキンケア用品や化粧品を販売しているのなら、
メイクに変化をつけてみないか、と声をかけたり、
ローションを顧客の手で実際に試してもらったりできます。
衣料品店なら、販売員が手を貸してジャケットを着せかけたり。
複数の研究が、このような身体的接触があると、
顧客は商品を、より受け入れやすくなることを示しています。
《個人に向けたサービスを》
サイトで自動的に商品を勧めたり、過去の購買履歴から自動メールを送ったり、
テクノロジーによる顧客サービスは、ずいぶん進歩を遂げていますが、
実店舗で実際の人間が提供するサービスには、とうてい太刀打ちできません。
とりわけ販売員が顧客の過去の購買履歴や、
顧客が実際に求めているものを提供する、店のロイヤリティー・プログラムの情報に
アクセスすれば、なおさらそのサービスはすばらしいものになります。
《知識》
実店舗を訪れる消費者は、インターネット上におびただしい数の選択肢があることを知っています。
けれども店舗には販売員がいて、推薦してくれたり、決定を助けてくれたりします。
2015年の調査によると、アメリカの消費者の約90%は、
知識がある知人の助言によって、購買意欲が高まる傾向がある、と答えています。
あなたの販売員は、顧客が実際に知りたいのは何か、理解していますか?
・どの商品が一番お買い得かを知りたい…65%
・どの商品が最高品質かを知りたい…64%
・どの商品が最も信頼できるかを知りたい…56%
・自分の必要や予算に照らして、どの商品が最適かを知りたい…47%
ミレニアル世代は、販売員に対して、もっと期待しています。
彼らの74%が販売員がお買い得を知っていることを期待し、
69%が最高品質を知っていることを期待し、
さらに62%が最も信頼のできる商品を知っていることを期待しているのです。
《必要な時に援助する》
求めるものがすぐに手に入る、という満足感を求めて、人は実店舗に足を運びます。
販売員は商品について勉強するばかりでなく、必要な時にいつでもそばにいて、
顧客を助ける準備ができている必要があります。
顧客が必要な時に、すぐに助けてもらえるように、
適切なスタッフが必ず配置についているように、スケジュールを調整してください。
売り場ごと、あるいは四分割した店舗の各エリアごとに従業員を配置し、
顧客にすぐに応じられるようにしてください。
顧客が手助けを求めがちなエリア、たとえばPOS端末の付近や試着室の付近には、
かならず従業員を配置し、顧客の買おうという決心が鈍ることのないようにしてください。
経験を積んだ販売員は、顧客に対して緊張感を持ちながら、
同時に親しみやすく接することができます。
顧客のボディランゲージを読むことは、販売員が学んでおくべきスキルです。
ある研究によれば、顧客のボディランゲージをなぞることによって、
顧客の気分が良くなり、売上の増加につながることがわかっています。
たとえば、販売員とあまり関わりたくなさそうな様子で、店に入ってきた顧客に対しては、
販売員は顧客の近くで自分の仕事をし、
親しみやすい笑顔を見せるぐらいにした方が良さそうです。
そんなときに「何かお探しですか?」と声をかけたりすると、
顧客はいやがって、店を出て行くかもしれません。
―スモール・ビジネス・トレンド
(翻訳:服部聡子)