日清CM中止に思うこと~SNS時代の企業広告とマーケティング

攻めのCMと商品開発が評判の日清食品。

日本を代表する世界のNissinを、

天晴れと感じる人も多いことでしょう。

 

その日清が、「斜め上をいく」CMを中止にしました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160408-00010004-bfj-bus_all

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最初に断っておきますが、日清食品は、尊敬する大好きな会社です。

友人もいますし、その社風や、

創業者 安藤百福氏の壮絶な人生、

カップヌードルを開発したのが氏の60歳だったという

攻めの姿勢にも、僭越ながら共感を感じています。

 

ただ、中止するにせよ、企業へのダメージを

最小限に抑えないといけません。

中止自体が、「弱腰」と評判になってしまっては

元も子もありません。

 


 

  1. 企業広告と商品広告の違い

まず、大前提として、企業広告と商品広告の違いがあります。

通常、我々のような小規模企業は、まずは商品やサービスを売るための広告が必要で、

企業広告は、企業のイメージを売るものです。

「やっちゃえ、日産」などは、その良い例。車のCMも別途放映しています。

 

ドモホルンリンクルの再春館製薬所は、サンプルを無料オファーする商品CMと、

企業自体を紹介するCMを、組み合わせて放送しています。

 

今回の中止になった、日清の北野武さんを採用したCMは、

たとえカップヌードルを売っていたとしても、彼らの規模になると、

企業CM同様の扱いで、神経を使う必要があります。

 

2. SNSで評判の良い日清CM

日清は、批判精神をうまく昇華させたCMが、

「攻める」企業イメージの定着に役立っています。

商品もCM同様に、新商品を続々登場させるなど、

若いターゲットに合わせた、「バズられる」話題作りに長けています。

 

担当者は、次々と攻めのCMが評判になり、

少し油断をしていたのではないでしょうか?

 

中止になったCMの中で北野武氏は

「世間の声とかどうでもいい。大切なのは自分の声を聞くってことだろう。

おりこうさんじゃ時代なんて変えられないよ」

と伝えていたのです。

 

ところが、早々のCM中止の判断は、このメッセージに反して、

「世間の声にあまりにもあっけなく負けた」のだと

受け取られてしまいました。

負けるなら、あんな強烈なメッセージ性のある広告を

最初からやらなければ良いじゃないか、という気持ちが

「天晴れ」と感じていた人の心に芽生えます。

 

 

3. 批判精神は、真摯でなくてはならない

「バカになれ」とは、スティーブジョブズの有名な講演の一文で、

このメッセージ自体は、非常に崇高なものです。

北野氏やムツゴロウ氏、小林幸子さんらの起用は、

このメッセージに一致するものであったはずです。

 

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ところが、

谷口真里さんが「二兎を追うものは一兎も得ず」と

大学で講義していたり、

新垣隆氏が二人羽織でピアノを教えている図は、

SNS上のエイプリルフールネタでなら、「くすっ」と笑いを誘えたかもしれないですが、

これだけの大型のCMに入れる必要があったのかどうか。

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不倫問題や学歴詐称で、TVから降板する人たちがいる中、

それらを「バカになろう」という高尚なメッセージに

ねじ込むことで、このメッセージ自体を、

卑下してしまう結果になるとは、なぜ、誰も指摘できなかったのか?

 

 

つまりは、

私は、CM制作や企画に当たった取引先の人間性の問題が一つ。

カップヌードルのように若いターゲット向きには、

若者のアイデアが必要です。

SNS向けでは好評だった、若い者の浅知恵をそのまま

ホクホクとデータだけで採用してしまうことの危険性が

別の問題としてあると思います。

 

それらが、

経営戦略のほころびとして、かならず出てしまうということです。

ほころびは、小さく、あちこちから現れます。

 

言いたいことは、

たまたま、今回は残念だったね、ちょっとやりすぎたな、

という問題ではなく、

これは、管理にほころびが出ているという、

非常に大きなボトルネックを呈示しているということなのです。

 

 

4. どんな企業も、完璧にはなれないからこそ・・・

 

経営は、常に危険との背中合わせです。

まさに、戦国武将の危機管理が必要です。

 

ですが、社長が隅々の業務まで目を通すことはできません。

ただしCMは、企業がどのように受け取られていくか、

どのようなターゲットに、どのようなインパクトを残すか、

経営から切っても切り離せない問題です。

 

これら、マーケティングの問題を軽視し、

チェック能力が機能しなくなった時、

経営自体が、徐々に蝕まれてしまいます。

 

若い才能を引き上げつつも、

手綱を緩めない管理は絶対不可欠です。

 


 

(島藤真澄)

貧乏人の名刺、稼ぐ人の名刺

言わずもがな。

名刺に力を入れている方の多いこと。
近頃は「集客できる名刺」セミナーまであるという。
が、ちょうど、うちの娘が鋭い指摘をしていたので、名刺について、ちょっと書いてみました。
厳しいようですけども、本当にそんな風に、周囲に見られています。

  1. 貧乏人の名刺

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・わざわざスタジオで撮影したポージング写真
・聞いたことのない「斬新な」肩書きや職業
・いろいろアピールポイントがいっぱい

どう考えても、仕事に困らない人は、こんな名刺は作らないのです。
チラシじゃないの?という名刺。
キャッチコピーまで。
あれもこれも、引き受けます!とアピールしまくってます。

ポジショニングと、「言うたもん勝ち」は違います。
本来なら外から評価されるはずの立ち位置を、自ら考案!
まともなビジネスパーソンにどう映るかの他者目線が必要です。

常識的な人は、相手の名刺フォルダに、
こんな自分の「恥」が収まるのを許しません。
取材など受ける立場になってもいないのに、ポーズ付けて写真を撮られる、その自分を恥じたいところ。
「ぼくは仕事に困ってます」とアピール度抜群になってしまいます。

 


2. 稼いでいる人の名刺

シンプル、趣味のよい間がある。奇をてらわない。必要最低限の事項が書いてある。

そんなに頻繁に連絡されたら困るんです。忙しいんですから。だから、携帯電話とか載せないのは常識。
秘書が対応するオフィシャルの連絡先のみ。

なるべく顔写真なんて、外出ししたくないんです。
でも、ビジネスで必要な場合は最低限、撮影に応じている。
そういう感じです。

 

3. 本物の成功者の名刺

名刺なんて持ってない!名刺交換なんて、する必要がありません。


つまり、言いたいことは、名刺とか、プロフィールとか、肩書きとか、ホームページとか、ブログとか、
なんじゃかんじゃと工夫をしてみても、所詮は、「やってること」だけで人間は評価される、ということ。

結果を出すこと。それが全て、です。

もっといえば、なぜに「結果」を持ってない修行中の段階で、独立してしまうのだろうか?と云う事です。

 

月5,800円から本格的なビジネスが学べるビジネスクラブなど
弊社提供講座の一覧はこちらから


島藤真澄 (ShimaFuji IEM代表)

フォーブス誌選出全米5大ビジネスコーチ,ジェイ・エイブラハムの東アジアディレクター(交渉代理人)。様々な案件のプロデュースや海外とのビジネスマネジメントを行う。

ジェイの『限界はあなたの頭の中にしかない』PHP研究所を企画・翻訳。

 

経営に男も女も関係ないって本当ですか?

あるアナウンサーのブログにありました。

女性の少子化対策として、女性の社会進出を促進なんて馬鹿げている。
もし本当に少子化が困るなら、 専業主婦か 専業主夫を増やすべし。
女性の登用は少子化には逆効果だ。 そもそも、「経営者になれば男も女も関係ない。結果が全てだ」  

本当ですか???

たしかに、経営者ともなれば、経営者の実力のみが 勝負の世界。スポーツも同じ。
では、伺いますけども、経営者の男女比をお調べになったことがありますか?


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帝国データバンクの2014年「全国社長分析」(約117.5万社のデータを分析)の女性社長比率(全社長数に占める女性社長の比率)は、7.4%。うち、過半数が同族継承、つまり身内からの引き継ぎ。創業社長は、女性社長のうちの34.7%にすぎません。しかも、日本政策金融公庫2013年レポートでは、中小企業の起業社長比率は18.0%。20人以上の会社・事業所の経営者は9.5%。ただし、飲食店や個人を相手にしたサービス業が多い、とのこと。起業とは言っても、カフェやエステ、ネイルサロンなど、小規模事業主が多いことは想像に難くないです。

さらには、一部上場企業における女性経営者となると、2010年で29社で、親や配偶者から引き継いだ場合が多くなります。
そもそも、100人に7人の狭き門をくぐり抜け、社長になっている女性が、いかに、男性に比して優秀か、私は、こっそりと主張したいのです。

一方、女性が子どもを産まないことを、「けしからん」とする風潮もいかがかとは思っています。
たしかに、少子高齢社会は、国家の消滅をも意味します。呑気に構えているわけにはいかないですが、だからと言って、子どもの数が増えればそれで良いのでしょうか。

それとも、国家として、安心して年を重ね、死に向きあえる幸せな社会を目指すのが優先課題でしょうか。

大国なのか、小さき幸福国なのか、そもそもの目的論がない中で、少子化論を語ってもらっても、という気はするのです。

国としては、低所得者層がガンガンと子どもを作っても、税金を払えない層が増えるだけでは、意味ないはずです。だから、単純に専業主婦や専業主夫が増えても、まったくもって、解決にはならないはずなんです。

 

2002年に『キャリアダウンのすすめ』を発刊いただいた時も、世の中は、専業主婦不要論が大きな声になっていて(そもそも、個人の生き方を国が語るのが、嫌いですが)専業主婦の肩身の狭さを身近で感じていましたし、働きたくても働けない彼女たちの涙を知っているだけに、猛烈な怒りを感じました。その「怒り」が、100回以上の企画書の書き直しの原動力となり、何十社へもの企画持ち込み、そして出版への執念となったのです。

言いたいことは、つまり、
「女の問題は、女に聞いてください!!」ということ。

しかも、声の大きい(発言力を持つ)、女性性をないがしろにする女性に聞くのもやめてほしいのです。

わかったような調子で、女性の代弁者のようなことを男性が、つらつらつらとしゃべるのはもうやめませんか。女たちが笑顔の陰でどんな思いをしているか想像していただきたいのです。

 

やはり、まだまだ、この社会は、男性社会なのです。女性の時代になるには、育児を安心してできる社会が必要です。そして、復帰できる社会が。

 

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島藤真澄 (ShimaFuji IEM代表)

フォーブス誌選出全米5大ビジネスコーチ,ジェイ・エイブラハムの東アジアディレクター(交渉代理人)。様々な案件のプロデュースや海外とのビジネスマネジメントを行う。

ジェイの『限界はあなたの頭の中にしかない』PHP研究所を企画・翻訳。