Superforecasting: The Art and Science of Prediction
『超予測能力 予知の技術と科学』
著者:フィリップ・E・テトロック、ダン・ガードナー
株を買ったり、法律を作成したり、新製品を発売したり、
あるいはただ、来週の献立を立てるだけでも、
未来を知ることができれば、
誰もが大きな利益を得ることができます。
残念ながら、人間の予知能力というのは、お粗末なもの。
ウォートン校の教授であるフィリップ・テトロックは、
2005年に行われたこの分野での画期的な研究でも、
専門家の予測さえ、偶然をわずかに上回るに過ぎなかったことを明らかにしています。
ところが、その研究の結果報告ではほとんど触れられていなかった、重要な事実があったのです。
それは、専門家の中には、真の予知を達成した人がいたということです。
テトロックは10年間を費やして、その理由を突き止めようとしました。
なぜある種の人々は、正しく予測ができるのか?
この才能は、教えられて身についたものなのか?
『超予測能力』の中で、テトロックと共著者のダン・ガードナーは、
10年間にわたる研究と、政府資金による大規模な予測トーナメントの結果を明らかにします。
この「予測プロジェクト」には、何万もの一般人が参加しました。
その中にはブルックリン在住の映画制作者や、引退した配管工、
過去、社交ダンスのダンサーであった人なども含まれています。
ところが、こうしたボランティアの中に、驚くほど予測能力の高い人がいたのです。
彼らは基準値をはるかに上回っただけでなく、挑戦者や予測市場をも上回りました。
彼らは機密情報を入手できる情報アナリストさえも打ち負かしたのです。
彼らは「超予測能力者」でした。
この画期的で、しかも入手しやすい本の中で、
テトロックとガードナーは、予測のエリート集団から、
私たちがどのように学ぶことができるのかを明らかにしていきます。
また、成功した予測(オサマ・ビン・ラディン一派への急襲)と、
失敗した予測(ピッグス湾事件)や、
元陸軍大将であるデヴィッド・ペトレイアスや、財務長官を務めたロバート・ルービンなど、
高い地位で政策立案に当たった人々とのインタビューを織り交ぜながら、
正しい予測には、巨大なコンピューターも、不可解な方法も必要ないことを明らかにしていきます。
予測とは、さまざまな情報源から証拠を集め、確率論的に思考を重ね、
チームとして取り組み、スコアを記録し、
誤りや、方針の転換を認めることが必要なのです。
『超予測能力』は、それがビジネスであろうと、財政的なものであろうと、
政治や国際情勢、あるいは日常生活であろうと、
私たちの将来を見通す能力を向上させていく効果的な方法を示した画期的な本です。
おそらく本書は現代の古典となっていくでしょう。
元記事:http://amzn.to/1Wq6BQs
(翻訳:服部聡子)