テストプランの重要性をプレゼントから学ぶ

こんにちは、トイアンナです。
マーケティングの専門知識をわかりやすくお伝えする本連載、今回は「好きな子へあげるプレゼント、どうやって選んでいますか?」
という質問から始めさせていただきます。

彼女の好きなブランドから、それとも最近自分が気に入ったものから?
まずは、実際にあった失敗例をご覧ください。

キャバクラ嬢へ入れ込んだ男性の例
ある男性がキャバ嬢に本気の恋をしてしまいました。
この話をすると「もう21世紀になってしばらく経つのに、まだこんなことあるんですか?」
と女子大生なんかには呆れられてしまうのですが、惚れた腫れたはどうしようもない。

男性はそれまで勉強一筋のまじめが取り柄なサラリーマン。
趣味もなかったのでコツコツ貯めて、なんと30代前半で1,000万円をため込みました。
ところが取引先との付き合いで行ったはずのキャバクラで運命の恋に落ちてしまいます。

そこで彼はとんでもない冒険をします。
今までの貯金を全部切り崩し、なんと彼女へマンションを買ってあげたのです。
キャバクラでこのように有り金を全部注ぎ込んでしまう客は、かえって嬢に警戒されます。
有り金を使い果たして「パンク」してしまうと、ストーカーになってつきまとうケースも少なくないからです。

参照:キャバ嬢のちょっと怖い話
パンクした客がストーカー化。近所からの苦情で引っ越しするハメに…
http://npn.co.jp/article/detail/41090915/

そこでカレンさんも怖気づいたのか、彼との連絡をカット。
一緒に住むつもりだったマンションも受け取ってもらえず、今は彼ひとりで住んでいるそうです。

しかし、彼のことを笑う資格は少なくとも私にはありません。
恋愛でも貢ぐタイプだったから……というのもありますが、
仕事で「絶対にいける」と思った投資へ大金を放り込み、無駄にした古傷があるからです。

テストプランの重要性

「初めからそんな女選ぶなよ」と、キャバ嬢に貢いだ男性の話を聞いた私たちは思います。
でもそれをビジネスに置き換えて
「初めから失敗するような場所へ投資するなよ」と言い換えると、
そりゃ無理だと言いたくなりませんか?

恋愛でもビジネスでも、私たちは失敗をします。
時には周りから見さえすれば一目瞭然の間抜けな投資もします。
けれど、投資では失敗の傷を浅く済ませる方法があります。
小規模な投資で試すことです

キャバクラの男性に例えるなら、いきなりマンションを買うのではなく、
例えばバッグや財布など「ちょっとしたプレゼント」をしてもよかったでしょう。
そこで彼女がキャバクラを半年以内に辞めてくれそうな気配があるのか探れば、そんなことないと気づく日が来ます。

ビジネス、特にマーケティング領域では小さい額でまず試してみることを「テストプラン」と呼びます。
1,000万円の企画なら100万円以下で、100万円の企画なら10万円以下で。
懐があまり痛まない額で試し、失敗したときの傷を浅く済ませるのです。

負けないことで勝つマーケティングを

マーケティングの天才、ジェイ・エイブラハムは
「市場で何が起きているかテストしない、改善しないでは結果が得られるわけがない」
と言っています。

冒頭の彼もマンションを貢いでしまう前に
「バッグならどうか」「手料理ならどうか」
と様々な懐がそれほど痛まないテストプランを実施したら、もしかするとどれか1つが心に刺さって
「私、やっぱ仕事辞める。それで付き合いたい」
と言う可能性だってゼロではありません。

ここではさらに深く掘り下げて A/Bテストというテストプランをご紹介します。
まずこの世に出したい販売戦略を何個も考え、そのうち2つをA案とB案として世に低予算で出すのです。
その後はあたかもトーナメント戦のように、より良い売上を出したプランだけを生き残らせ、
もっともよい成果を出したプランだけに大きな投資をします。

たとえばあなたが個人で化粧品を販売しているなら
「日焼け防止に○○」と「焼けてからでも間に合う○○」の2パターンのチラシ配布を、
チラシを持って来店したら割引サービスをつけて試してみます。

もしより多く持ってこられたチラシが「焼けてからでも間に合う○○」だったら、
次の案「日焼け予防と美白を一緒にできる○○」と試し、そしてまた残ったものを別の案と試していくのです。

ここまで精密に比べていく必要があるの? と思われるかもしれませんが、
テストプランを重ねると最初の案とは大きな差が出ます。

実際にA/Bテストを繰り返して100万人に登録されたアプリ「ひまチャット」の事例がわかりやすいので、どうぞご覧ください。

参照:ABテストで「女の子クリエイティブ」の神話崩壊。
まったく出会えないチャットアプリ「ひまチャット」が教える、意外だったABテスト事例4選
http://appmarketinglabo.net/himachat/

マーケティングはあたかも山師のように「荒唐無稽なプランを練って、あてずっぽうに売り込む」と思われていることがあります。
しかし事実はその逆。
しつこいくらい低予算でテストプランを繰り返し、売れると思ったら投資する。
マーケティングは「負けないことで勝つ」考え方なのです。
あなたも必ずビジネスで勝つために、まずは負けない勝ち方を選んでみませんか?

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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

日本で個人コンサルがエセ扱いされる所以

ただでさえ、ノータイに腕組み自撮り画像の自称コンサルタント業への嫌悪感Maxだったところに、タレント・コンサルタントの学歴詐称が発覚し、ますます「コンサルタント業」への風当たりが厳しいです。

そもそもジェイ・エイブラハムも、自身のことをマーケターとも、コンサルタントとも示すことはなかったのですが、そのように日本では紹介されてきた事実があり、「今更コンサルタントのエージェントですか?」と小馬鹿にされることも稀ではありません。

私自身はマネジメント業として、そういう本質と実際のギャップがあるところにこそ、ビジネスチャンスを感じる次第ですが、なかなか負のイメージから出発するのは、まっさらなキャンパスに絵を描くよりは厳しいことには違いありません。なぜゆえにこれほどまで、コンサルタントが嫌われるのか、日々、深く考えざるをえないわけですが、ことさら日本においては、「コンサルタント=口先だけの詐欺まがい」との扱いが否めない理由を、少し整理しておきたいと思います。

間違いのない一つの事実として、コンサル会社や自称コンサルが、何一つ、ビジネスを加速させる結果を出せてなかったというまっこと憤慨せざるをえない現実があります。

ずいぶん以前にブログで紹介した書籍に、米国元大手コンサル会社出身のカレン・フェランが著した『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です』がありますが、

515X2+oHCtL._SX350_BO1,204,203,200_私自身、コンサル会社のやり方が猛烈に嫌いです。フレームワークを見るだけで、うんざりします。ただ、引き受ける企業の側にも問題があり、それっぽい資料がないと、稟議が通せないという判断基準のお粗末な側にも責任があるはずです。

研修にせよ、結果にフォーカスするのではなく、社内稟議の通りやすい企画書が判断材料となる。プラス担当者買収。アジア諸国を小馬鹿にしているものの、精神的途上国なのです、この国はまだ。

加えて、コンサルタントは所詮、外注に過ぎず、結果(利益アップ)への責任なんぞ何一つなく、企業が本当に頼りたい実業家個人へは、「顧問」や「相談役」という形で、囲い込みをするのが慣習であることもまた、一つの大きな理由でしょう。

さらに、アジア諸国の台頭に比し、自信喪失極まりない日本社会全体に、青い目の超高額アドバイザーは、「黒船」同様の脅威に映ることも、事実でしょう。それでもなお、私は、私の「良い」と信じるものを、日本へ正しく紹介することを辞める気はありません。

「当たり前」のことが「当たり前にできる」のなら、日本がこれほど、沈むことはなかったはずです。なぜ、シャープや東芝など一流企業が、情けない結果に終わらねばならなかったのか。

「そんなもの必要ないんだ。日本は成熟している」と言えるなら、なぜ国土が中国資本に買収されまくらないとならないのか、きっちり説明していただきたいと、いつも思います。

私は、すべての税理士や中小企業診断士、研修会社、ホームページ業者、DTP業者、Webデザイナー、商工会議所、などなど、企業の利益支援に関わる人々が、実業とは何ぞや、利益をあげるとはどういうことか、そのアイデア、仕組み、資金繰り、業務提携の方法などを深く理解しているべきだとの信念を持っている。

その知識の底上げこそが、日本全体をライズアップするための唯一の方法だと信じている。

確かに、エセコンサルなぞに、会社は救えない。だが、経営者が判断すらできない末期状態である今の日本で、せめて何が正しい道なのかを教えてくれる指針は必要だ。大義名分など食えるようになった後で良いと言われるだろうが、いや、大義名分がなければ、やり続けることなどできやしません。すべて完璧で安易に見える道になど、果実はないのです。

ただ、その大義名分は、本人の直感でしか判断できず、周りには、ただの「キチガイ」に見える道こそが、イノベーションであることは間違ありません。

いつの時代も、聖なるアホが世界を救うのです。

 

 

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島藤真澄 (ShimaFuji IEM代表)

フォーブス誌選出全米5大ビジネスコーチ,ジェイ・エイブラハムの東アジアディレクター(交渉代理人)。様々な案件のプロデュースや海外とのビジネスマネジメントを行う。

ジェイの『限界はあなたの頭の中にしかない』PHP研究所を企画・翻訳。

 

優秀な経営者だけが知っている「売れない」につける処方箋

こんにちは、トイアンナです。
マーケティング講座をちらりと除くと、そこには必ず
「競合に勝つには」「差別化戦略」
といったギラギラ光る攻撃的な言葉が溢れています。
しかし実際のビジネスで伺うことが多いのは

「そもそも、ウチの商品を売れてないんだけど」
「絶対にいける!と思ったサービスが鳴かず飛ばずの閑古鳥」

といった涙ぐましい現状です。

商品やサービスが売れないと将来の投資もできませんから差別化も難しくなり、人権費にも余裕を持てず職場はピリピリ。
ますます売れ行きが落ちてしまう負のサイクル。
そこから抜け出すにはどうすればいいかをご案内します。

優秀な経営者は立ち返る勇気を持つ

今まで私が様々な商品をマーケティングしてきたうえで信じているのは、優秀な経営者ほど
「そもそも、これ根本的に間違ってないか?」
と立ち返る勇気を持っていることです。

すでに何か月も準備してきた、従業員も休みなく働いてきた……
そういった中で「やっぱりこれ、いらないんじゃない?」と思い直せば批判も浴びますし、自分も傷つきます。

しかし長期的な社員や会社の成長のために今のズレを直せる人こそ、将来ビジネスを何倍にも大きくできるのです。
ですから「売れてない!」と目の前の売上に慌ててる時期こそ実は根本的な部分へ立ち返る大きなチャンス

ここまで読んでくださったということは、あなたもまた勇気あるリーダーでしょう。
ここからはマーケティングの基礎に立ち返って、商品が売れていない理由を紐解いてみます。

同僚が相談してきたら、どうアドバイスしますか?

想像してください。
あなたへ38歳の男性の同僚が相談に来ました。
同僚は仕事もいいけど、そろそろ惚れた腫れたじゃなくって「いい恋愛」したいなあと思っているみたい。
さて、彼が今から運命の恋に落ちるには、どうすればいいでしょうか?

あなたはきっと、これから書く3つのどれかをアドバイスするはずです。

1.出会う女性の数を増やしたらどう?

2.今の女性とはうまくいってないの?そこを繋げたら?

3.出会いは多いみたいだし、気になる相手と会う回数を増やしたら?

まず「出会う女性の数」がそもそも全く無い人は、今から恋愛対象と知り合わなくては話になりません。
ただし、やみくもに出会う女性の数だけを増やしても「いい恋愛」からは遠ざかってしまいます。

今の彼女とマンネリ気味なら「あの子もいい子だと思うよ」と、再度恋の炎を燃やす演出を考えたほうがいいかもしれません。
特定の彼女はいないけど遊び人で深い関係に発展できないタイプなら、週7回合コンするのではなく、
もう気になっている相手とデートする数を増やしたほうがいいでしょう。

こんな風に、いい恋愛をするためには

「出会う数を増やす」

「今の相手を大事にする」

そして「恋人候補と長く時間を過ごす」という3つの対策がありえます。

あなたは同僚の話を根掘り葉掘り聞きながら、どのアドバイスがふさわしいかを自然と選んでいるのです。

さて、恋愛でしているアドバイスは、ビジネスでも応用できます。
恋人を顧客として考えると、「売れない商品を売れるように変える」処方箋になるのです。

あなたの商品が売れない理由は、3つしかない

さて、これをビジネスで考えてみましょう。
どんな業種であれビジネスを大きくする方法は、たった3つしかないとジェイ・エイブラハムは言っています。

お客様の数を増やす

お客様が1回あたりに使う金額を増やす

お客様がいらっしゃる頻度を増やす

いずれも、さきほどの恋愛相談で

デートする回数を増やす

今の相手を大事にして仲良くなる

デートの頻度を増やす

という候補から、あなたが選んでいるアドバイスと似ていますよね。

売れないときは「高単価の商品が売れない」「お昼の時間帯がスカスカ」といった
細かい分析を始めてしまいがちですが、ここで原則に立ち返る勇気を出しましょう。

あなたの商品やサービスが売れていないとしたら、
それはお客様の数・使う金額・いらっしゃる頻度のどれが一番足りていないのでしょうか。

原則に立ち返ってV字回復したクッキー屋さん

ここで実際に「立ち返る勇気」を発揮して売上をV字回復させた例を紹介します。
とあるアイシングクッキーを売るカフェがあります。
お砂糖でデコレーションしたかわいらしいクッキーですが、
30代以上や男性には「甘ったるそう」というイメージで敬遠されがちです。

このお店はしかも初手を誤り40代以上が多く住むエリアへ出店。
最初は完全に閑古鳥が鳴いていました。
しかし実は甘さ控えめで味が美味しく、1度通えば何度でも通いたくなるのが強み。
マーケティングの原則に立ち返って売れない理由を分析した結果、「お客様の数さえ増えれば、魅力が伝わって絶対に売れる」
と確信を得ました。

そこで店舗では隣接していたケーキ屋へコラボレーション企画を持ち込みます。
ケーキの上に、アイシングクッキーを乗せて販売したのです。
アイシングクッキーは手作業でメッセージを書いたりかわいく飾り付けできたりするのが魅力。

受け取ったケーキについてきたクッキーを「なんだこれ?」と試しにかじってみたお客様から
「このクッキー、可愛くて美味しい!」と瞬く間に評判が広がりました。

売れないときこそ割引や目の前の資金繰りに追われがちですが、
そんな時こそ一息ついて

「自分の商品の良さを伝えるためには何ができるだろう? そして今伝わっていないのはなぜだろう?」

と立ち返る勇気を出してください。
資金繰りはスタッフでもできますが、経営判断は責任者であるあなたにしかできない偉大な仕事なのですから。

 

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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com