10人のCEOが予測する2016年のビジネス界
2016年は「変化の年」と言われています。
けれども、待ち受けているのは、どのような変化なのでしょうか。
10人のビジネス・リーダーたちが、2016年の予測を語ってくれました。
1. 女性の創設者が増える
― サリー・クラウチェック (エルヴェストCEO)
今までにも増して、人生の半ばを過ぎた女性たちが、
起業家精神に目覚めつつあります、と語るのは、
女性企業に対する投資や資源提供を行う
エルヴェストのCEOであるサリー・クラウチェックです。
「かつてのアメリカのビジネス界では、女性の席は、
テーブルにたった1つしかありませんでした。
それが今では1人や2人、3人にとどまらない
女性起業家の成功が、広く知られるようになっています。
1つの席を取り合うのではなく、パイ全体がさらに成長する余地があるために、
助け合いながら向上することができるようになったのです」
2. 透明性の高い企業が注目される
― アビノーム・ノウォグロスキ(クラリゼンCEO)
フォルクスワーゲンなどの企業が、大きな論争を呼んだように、
大企業の透明性の問題が、改めて浮き彫りにされています、と語るのは、
プロジェクト管理ソフトウェアプロバイダーのクラリゼンCEO、アビノーム・ノウォグロスキです。
「『命令し、コントロールする』というリーダーシップのスタイルよりも、
『感じとり、受けとめる』型のリーダーシップを多くの企業が採用するようになるでしょう。
知識は特定の個人のものから、従業員全体でシェアするものとなり、
状況に応じてのコラボレーションが始まる。
それが職場の透明性を、いっそう推し進めることでしょう」
3. テクノロジー企業が 経済を牽引する
― シーロイ・デサイ (ギルドCEO・共同創設者)
アナリストの中には、経済の停滞を予測する人もいますが、
雇用ソフトウェア・プロバイダーのギルド社の
CEO・共同創設者シーロイ・デサイは楽観視しています。
「2016年のアメリカ経済は、発展し、着実な成長を見せるでしょう。
テクノロジー・バブルが大きな話題となって、
テクノロジー産業の勢いが加速し、
10億ドルを超えるような企業が次々に現れるでしょう。
また、テクノロジー企業の合併や買収も盛んになり、新規株式公開も増えるはずです」
4. イノベーションがいっそう重視されるようになる
― ダン・リー (ネクストデスク取締役)
イノベーションによって、ビジネス界の様相はワープ・スピードで変化しています、
と語るのは、スマートデスク製造のネクストデスク社取締役のダン・リーです。
「企業の側も、生き残りを賭けて、運営のやり方を変化させていかなければなりません。
こうした変化をかつては変革と呼んでいましたが、
今や突然変異と呼んだ方が適切かもしれません。
かつてスロー・ペースながらも堅実な成長を収めていた企業が、
現在は、わずか5年の内に消滅しています。
イノベーションを続け、最先端を走り続けている企業が私たちの目標です」
5. ライブ・ビデオが支配する
― グウェン・ジマー (ナチュラリシャスCEO)
YouTubeはすばらしいマーケティング・ツールですが、
2016年のビジネス・オーナーは、ペリスコープや
ミーアキャットなどのライブ・ビデオ・プラットホームを利用して、
顧客と繋がっていくでしょう、と語るのは、
自然派ヘア・ケア商品製造のナチュラリシャス社CEO
グウェン・ジマーです。
「小企業は進んでその波に乗ろうとしています。
ところが大きなブランドは、まだそうしたものを利用しておらず、
セールスの巨大なチャンスを逸しています。
ペリスコープは私たちの主要なソーシャルメディア・ツールの1つです。
私たちと顧客の関係を、深く、揺るぎのないものにし、
友人のような存在になる手助けをしてくれるのです」
6. モバイルコンテンツの向上
― ジュリエット・ドーム (バージニア大学ダーデン・ビジネススクール)
優勢になりつつあるモバイルテクノロジーが、
2016年には他を圧倒することになるでしょう、と語るのは、
バージニア大学ダーデン・ビジネススクール コミュニケーション&
マーケティング学部長のジュリエット・ドームです。
「私たちは出先であっても、仕事をし、情報を求め、シェアし、
新しいアイデアや場所を探索するために、
スマートフォンや、タブレットや、ウェアラブル・ガジェットを利用しています。
2016年に成功するブランドは、適切なデータに基づいた情報を、
適切なコンテンツとして、適切な量、適切な時に提供することで、
顧客の注目と信頼に応えることに優れているところでしょう。」
7. マーケティングは正直さがカギとなる
― アン・プリッツ(スバーロCMO)
「勝手な創作が許された時代は終わりました。
ブランドのマーケティングにも、透明性が最優先事項となっています。
消費者は、あらゆるマーケティング活動が正直であることを期待し、
『ありのままに語る』ブランドを、信用します。」
そう語るのは、イタリアンファストフード・レストラン”スバーロ”のCMOアン・プリッツです。
「ですから事実にしっかりと基づき、広告に事実を継ぎ目のない形で融合させてください。
率直に話し合い、顧客が簡単に、リアルタイムで双方向の会話ができるようにします。」
8. テクノロジーはもっと「話す」ようになる
― ニハル・パルタサラティ (コースホースCEO、共同創設者)
自動応答技術やサービスが、2016年には一層重要になる、と予測するのは、
学習機会ウェブサイト コースハウス社のCEOであり
共同創設者であるニハル・パルタサラティです。
「薬を飲む時間が来るとアラームで知らせてくれる、
スマートフォンに接続された医療デバイスから、
必要な薬を買う時期を思い出させてくれるモバイルアプリまで、
健康関連のアプリは、人が新しい習慣を身につけるのを助けてくれます。
私たちは、個人の責任を軽減してくれる消費者対応型テクノロジーの
巨大な波が押し寄せるのを、目の当たりにしようとしているのです」
9. 短期仕事の需要の増大
― ジェフ・シェイン 信用照会企業アリソン&テイラーCEO
フルタイムの仕事よりも、短期やパートタイムの仕事を探している人が、
どんどん増えています、と語るのは、
信用照会を行うアリソン&テイラー社CEOのジェフ・シェインです。
「その道のプロが、人生を自分でもっとコントロールでき、
柔軟性があり、自分がボスであるフリーランスを選ぶことが増えています。
この傾向が増加している背景には、さまざまな理由がありますが、それらに交じって
テクノロジーにアクセスすることが増えたこと、
景気後退や、雇用主に負担が新しく課せられる医療費負担適正化法などの影響が
あることが考えられます。
こうした『短期仕事型経済』のおかげで、雇用主が必要に応じて、
能力のある人を低コストで雇うことができるようになりました。
そうしてUberのような起業形態が生まれていったのです」
10. さらなる多様化が進む
― ジェニファー・ウィッター (ボアランドグループCEO)
テロリズムや大統領選挙、連邦政府の利上げなどが相まって、
2016年は不確実性の時代になっていく、と言うのは、
PR会社であるボアランドグループCEOのジェニファー・ウィッターです。
「CEOはみな、さらなる利益の筋道を探すことになるでしょう。
本来のビジネスに加えて、さらに収益を得る道を確保しようと、
新しい分野の開発や、新しいサービスの提供を開始するはずです。
そのため、もし経済界や、ある種の業界が、一時的にでも沈むことになれば、
全体に衝撃が波及するのを緩和するために、追加資金が投入されるでしょう」
(翻訳:服部聡子)