本:『ロボットの台頭』
Rise of the Robots: Technology and the Threat of a Jobless Future
『ロボットの台頭 テクノロジーと未来の失業の脅威』
著者 マーティン・フォード
未来の仕事とは何でしょうか?
仕事はどのくらいあるのでしょうか?
そうして、誰がその仕事に就くのでしょうか?
私たちは、今日の「湾業革命」が、過去の産業革命のように展開していくのではないか、
つまり、いくつかの仕事がなくなったとしても、新時代のイノベーションによって、
さらに多くの仕事が創出されるのではないか、と予想し、また期待しています。
ところが『ロボットの台頭』の中で、シリコン・バレーの起業家であるマーティン・フォードは、
事態は決してそのようにはならないだろうと主張しています。
テクノロジーが加速し続け、機械がみずからの修理をするようになると、
ほとんど人手は必要なくなります。
人工知能はすでに、いわゆる「良い仕事」を、時代遅れのものにしようとしています。
パラリーガルやジャーナリスト、事務職員、コンピューター・プログラマーさえ、
ロボットやソフトウェアに取って代わられようとしています。
機械の進歩とともに、ブルーカラーの仕事もホワイトカラーの仕事も消えていき、
中流階級の過程は、次第に圧迫されていくでしょう。
同時に、家計は増大するコスト、
とりわけ教育とヘルスケアの二大領域の費用の増大にさらされることになります。
というのも、情報テクノロジーが進歩しても、この2つの分野は、
大きな転換が起こっていないからです。
その結果、大量の失業者が生まれるだけでなく、
消費経済も崩壊しかねません。
『ロボットの台頭』の中で、著者であるフォードは、
人工知能とロボット工学に何ができるかを、詳細に述べていき、
労働者であろうと学者、政治家であろうと、みんながこの推測に
しっかりと目を向けることを要請します。
過去の技術的な混乱に対する解決策、とりわけ訓練と教育を強化することは、
もはや効果はないでしょう。
そうして私たちは、今すぐに、決断しなければなりません。
広汎な繁栄か、破滅的規模での不平等と経済的不安定か。
『ロボットの台頭』は、加速する科学技術の進歩が、
今後の世界経済に、子供たちの未来は言うまでもなく、社会全体のこれからに、
どのような意味を持つのかを理解したい人にとって、
必読の書と言えるでしょう。
(翻訳:服部聡子)