本:『データクリズム (誰にも見られていないときの)我々は誰なのか?』
Dataclysm:Who We Are (When We Think No One’s Looking)
『データクリズム:(誰にも見られていないときの)我々は誰なのか?』
著者 クリスチャン・ラダー
私たちの個人的なデータは、私たちをスパイし、雇用したり解雇したりし、
必要もないものを売りつけたりもしています。
『データクリズム』のなかで、クリスチャン・ラダーはデータを使って
私たちのほんとうの姿を見せてくれます。
◆ データは何を教えてくれるのか
過去何世紀にもわたって、私たちは世論調査や、研究室での実験を通して、
人間の行動を研究してきました。
ところが今日では、まったく新しいアプローチの仕方が可能になってきたのです。
私たちの生活の多くが、インターネットを媒介したものになるにつれて、
直接、膨大な数のデータを、フィルターなしに、直接観察できるようになっています。
データ科学者は、新時代の人口統計学者になろうとしているのです。
この大胆で独創的な本の中で、ラダーは、フェイスブックの「いいね」が、驚くほど正確に、
人の性的傾向や、知性さえも予測できることを説明します。
魅力的な女性が、どれほど数多くのインタビューの依頼を受けるようになるか、
どうしてあなたはキライな人が、ますますキライにならずにはいられないのか、などということも。
ラダーはグーグル検索を通して、アメリカでもっとも酷評された言葉のグラフを作成し、
ツイッター上で、大勢の人が共同作業でかき立てていく、怒りの新しいダイナミクスに目を向けます。
そうして、人々が、個人的に、また公的に、どのように自分を表現するのかを明らかにしていくのです。
あなたがアジアに関することで、ほとんど知らないのは何ですか?
バーモント州とニュージャージー州、入浴をする回数が多いのはどちらですか?
黒人女性がサイモンとガーファンクルについて、何を考えていますか?
(ヒント:彼女たちはサイモンとガーファンクルについては考えない)
ラダーは、長期にわたって人類が移動してきた、その跡もたどっていきます。
そうして、人間の集団が、世界中の小さな町から同じ大都市に集まってくるかを
鮮やかに示すのです。
そうして、こうした探求を可能にしている、今日の世界のプライバシーを、
どうやって守っていけばよいのか、
ラダーはそんな挑戦にも取り組んでいきます。
印象的な図表や、機知と洞察にあふれた『データクリズム』は、
新しい見方で私たちの姿を明らかにしてくれます。
人間と数が現代の物語となる、数学の錬金術といえるでしょう。
(翻訳:服部聡子)