仕事探しは自分のストーリーを創るところから!
by リズ・ライアン
ストーリーを語ることは、求職活動の中でも
きわめて重要です。
仕事を探している人は誰もみな、
中心にすえなければいけないことなのです。
職探しは、あなたの力を必要としている人に、
「あなた」という人の物語をいかに語って聞かせるかにかかっているのです。
ストーリーの助けを借りない求職活動など、あり得ません。
?私たちが教わってきた、昔ながらの職探しとは、
ストーリーではなく、スキルや資格、経験年数、
その他「この仕事ができますか?」の答えに少しでも関連するものなら何でも
箇条書きにしていくというものでした。
けれどもストーリーは、求職者のあらゆる面を描き出します。
あなたが以前何をしていたかというストーリーを、人事担当者に聞かせれば、
主人公がなぜ転職しようとしているのか、
あなたはすべてをしっかりと把握しているという印象を与えます。
自分がこれまでに、よく似た役割を演じたことがあり、
その時、どのように人々を感動させたか、と採用者に伝えることもできるのです。
求職者としてあなたがやるべきことは、
記憶をかき集め、創りあげた自分のストーリーを、
人事担当者に書面や口頭で語る練習をすることです。
あなたは履歴書の中で、ストーリーを語らなければなりません。
ありきたりの面接とは、ひと味ちがうのだ、ということを見せなければなりません。
たとえあなたが求職のために語るのが、悲惨な物語であっても。
あなたが仕事の鬼でも、
無理とわかっていても挑戦することが好きなだけでも、
ネットで仕事に応募することはできます。
私としては、おすすめはできませんが、
母なる自然は私より良い先生なので、
自然にはあらがわないことにしましょう。
とはいえ、すでにあなたがカラッポの空間に履歴書を放り込んでも、
何の音沙汰もないことにうんざりしているのなら、
自分のエネルギーを求人サイトのブラックホールに注ぐのをやめて、
「ヒューマン・ウォークプレイス」方式で職探しを始めてみてもいいかもしれません。
それまでは、あなたもオンラインの求職申し込みで、ストーリーを語ることにしましょう。
前の仕事を書け、と指示するフォームには、このように対処しましょう。
そもそもエントリー・フォームには「(過去の)仕事及び役割」という欄がありますが、
その項目を設けるのは、あまり良い考えとはいえません。
あなたの仕事と役割を書け、という指示は、無視してもかまわないのです。
だって、あなたの経歴を見れば、誰の目にもあなたがやってきた仕事と役割はわかるのですから。
もしプログラマーが、15年か20年、志願者自動追跡システムを構築してきたのなら、
そんなことは3秒考えればわかるはずです。
職業の説明など、誰がしてほしいと思うでしょうか?
その職に就いている人の「仕事と役割」など、
どこも同じなのですから。
そんなことより
「あなたがその仕事で成し遂げたことは何ですか?」
と聞くべきなのです。
それならば大丈夫です。
あなたはネットのエントリーシートに、あなたの物語を語ることができます。
たとえフォームはストーリーなど求めていなくても。
退屈な「仕事及び役割」のリストの代わりに、
読み手に生きたあなたを伝えることができるのです。
ちょうど、こんな具合に。
企業:アクメ爆発物
役職:顧客サポート担当
過去の仕事及び役割:
コミュニティ・カレッジを終了し、学士号を取得すると、すぐにアクメに就職しました。
大勢のお客様を担当し、
ヒューマン・ボイス・プログラムのカスタマー・サービス部門で
トレーナーの資格を取得しました。
その後、新入社員全員のトレーニングをおこないました。
これが物語なのです!
「でも、フォームには物語を書け、なんて書いてない。
私は聞かれたこととはちがう答え方をしたせいで、困ったことにはならない?」
もしあなたがこんなことを思っているなら、
ゴジラ恐怖症に対する治療をぜひとも受ける必要があります。
冗談じゃない、って?
私は真面目です。
多くの求職者が、自分の影に怯えているのです。
あなたがやっと、ブラックホールである、
オンライン求職申請に見切りをつけ、
採用担当官とじかに接触する気になったら、
今度は「ペインレター(履歴書に添える自己PRを
私はこう呼んでいます)」に
短くて力強い「ドラゴン討伐物語」を書きましょう。
一通につき、ストーリーはひとつだけです。
ペインレターのドラゴン討伐物語は、こんな具合です。
私は、ネスレに買収される前のアングリー・チョコレート社に在職し、
チョコホリック・エキスポ2012の開催に合わせてローンチされる
食用マニキュア「スウィート・チップス」の開発に必死で取り組んできました。
私たちは製品を完成させ、エキスポの最優秀新製品賞を受賞し、
そこで65万ドル分の先行オーダーを獲得しました。
一丁上がり!
物語は、あなたがこれまでどのようにし、乗り越えてきたかを教えてくれます。
あなたの「人の声が聞こえる履歴書」や採用面接での物語は、
「技能及び資格」のリストの百万倍の説得力を持つのです。
私たちは何年も、「技能」について話すよう、教えられてきました。
いまこそ、そんな「技能」などゴミだと気づく時です。
私たちが、「技能」のハード面とソフト面について
話さない限りは。
そのためには、履歴書にあるすべてのものや
人をリストアップしなければならないし、
そうして初めて、人々はあなたがこれまでどんな技能を使ってきたかがわかるのです。
誰でも履歴書で、箇条書きという道具を使うことはできますが、
あなたが何を知っていて、どう仕事をし、どう引き受けるかを教えてくれるのは、
ストーリーだけなのです。
ここに箇条書きの代わりに、
短いドラゴン討伐物語を作成した「人の声の聞こえる履歴書」を紹介しましょう。
求職者はメグ。
彼女はアングリー・チョコレートのマーケティング部門在職当時を3つの物語にしました。
・ スウィート・チップスのローンチに際し、私は営業担当者向けのトレーニングビデオと、
お客様向けにCTAを埋め込んだビデオを作成しました。
そのビデオを通じ、20万ドルの直接注文を受けることができました。
・ 私はウェブチームと共に、より高額な製品の販売に向け、小売業者の販売力を引き上げるために、
10段階のドリップ・マーケティング・キャンペーンを計画しました。
そうしてプレミアム製品であるベリー・アングリー部門の売り上げを、15%、150万ドルまで伸ばしました。
・ 上司不在時には販売調整会議を主催し、小売店舗に在庫が十分確保できるよう、
顧客からのフィードバックが、確実に製品開発チームに届くようにしました。
あなたの履歴書は、さまざまな物語のすばらしいタペストリーです。
あなたと同じ履歴書の人は、ほかには誰もいません。
物語を通じて、あなたという人が、1枚の履歴書から飛び出すのです。
あなたの物語は、あなたのブランドです!
場面を、あなたが求職者として、面接で物語を語っているところまで戻しましょう。
あなたは担当者が「あなたが…した時のことを教えてください」と言い出すのを待つ必要はありません。
あなたはどんな質問にも、物語で答えているのですから。
一例をあげましょう。
マネジャー:ではポール、
あなたはアプリアントロジー・ソフトウェア社で、
多くの仕事に携わったのですか?
あなた:ささやかなことです。
入社した当時、私たちは備品室で
コピーを作っていたのですが、それがおもしろいと思いました。
そこで自分のコンピュータにインストールして、いろいろやってみたのです。
それまで私たちは、デンタルーフロス・ピッキング・マシンをデザインするために、
アプリアントロジーを使っていたのですが、
それをジルコンでおおったピンセットの回路を自分たちのためにデザインして、
特別仕様のものを使うようになりました。
マネージャー:なるほど。
私がグループ・セミナーやラジオ、ウェビナーで求職者のみなさんに話すことの中で、
一番聴衆に受けるのは、こんな話です。
求職者が採用担当者と1時間、共に過ごしたあとでも、
採用担当者がどれほど求職者のことを忘れてしまうか。
ところがこれは、実によくあることなのです。
担当者があなたを忘れてしまうことにショックを受けないでください。
彼らはあなたを雇うことはないのですから。
私は20世紀末、人事部にいました。
そこでしょっちゅう、部長にこう言っていたのです。
「マイクに面接のフィードバックを書いてもらいましょうか?」
すると、部長はこう聞き返します。
「トニーのことを言っているのか?」
「いいえ、マイク・スミスです。背の高い、ダックスフントを飼っている」
「犬の話なんかしてないぞ。クソッ、マイクって誰だ? 背が高い、とか言ったな?」
「そうです。とっても背の高い人です。覚えていらっしゃらないんですか?
休暇から戻ったばかりの人です。思い出しました?」
「悪く取らないでほしいんだが、君は背が低い。
君から見たら誰だって高く見えるだろう?」
「マイク・スミスはどう見ても2メートルはありそうでしたよ。それでも長身ではないと?」
「誰だかわからないな」
もしあなたが部長だったら、どうしますか?
あるいは、私の立場だったら?
気の毒なマイク・スミスは家で面接の結果を待っています。
面接した部長は、マイク・スミスを思い出すことができません。
相手に印象を残さなくてはならないのです。
そのために、ストーリーを語るのです!
(翻訳:服部聡子)