ハーバードは日本人の入学を待っている
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の学部長、ニティン・ノーリアは、
「日本からもっと多くのMBA志望者が現れてほしい」
とウォール・ストリート・ジャーナルで語りました。
ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューでノーリアは、
日本からの受験生が減少しているのは、
日本がここ数年、内向きにな傾向が強まっているからではないかと考えているようです。
これまで毎年900人のHBSの学生のうち、日本人学生は30-40人、占めていました。
私たちが懸念するのは、現在それが4-5人まで落ちていることです。
アジア地域の中で、減少しているのは、日本だけなのです。
1980年代、日本人は世界経済に大きく関与していました。
ところが日本はいま、当時より内向的になっています。
日本は世界第三位の経済大国なのですから、
私たちにとって、日本と手を携える方法を見つけていくことは、重要です。
HBSの外国人学生の割合は、かつてはヨーロッパからの留学生が中心でしたが、
ヨーロッパに数多くのビジネススクールが設立されたことで減少し、
ラテン・アメリカからの留学生が増加しました。
さらに、近年はアジアからの学生が爆発的に増えています。
日本人のGMAT受験生は減ってはいないが…
現在では、ハーバード・ビジネス・スクールでは、
アジアからの留学生がどこよりも多く、14%を占めていますが、
ほとんどが中国とインドです。
それも、以前は香港からの留学生がほとんどだったのですが、
現在は、中国本土からの留学生が3/4を占めるまでになりました。
一方日本では、MBAの学力試験であるGMATの受験者数は、
過去五年間、比較的安定しています。
2014年6月30日に行われたGMATでは、2,612人の日本人が試験に臨みました。
2010年の2,680人にくらべ、わずかに減少しています。
このテストを運営しているGMACによると、日本の志願者は、
シンガポールや香港、イギリスやフランスへの出願が増加している、とのことです。
また、2012年の日本人受験者のうち、
アメリカの大学に出願した受験者の平均スコアは67%で、
初めて70%を割り込みました。
2008年に日本からアメリカの大学に出願した受験者のスコアは77%です。
さらにノーリアは、
「エネルギー産業からの志願者が、突然、飛躍的に増加したことには驚きました」
とも語っています。
授業料値上げを上回る奨学金の伸び
ノーリア学部長は、ハーバード・ビジネス・スクールの奨学金制度は、
年々、充実の度合いを増していると言っています。
「授業料の4%上昇に対し、5-7%、奨学金を増やすことで対応しています」
いまでは授業料の平均28%が奨学金でまかなわれており、
昨年度は約半数の学生が、なんらかの奨学金を受けました。
20年前にはそのようなことは考えられなかったそうです。
HBSが直面するもの
HBSにとっての最大の試練は何か、という問いに対して、
ノーリアは、多くの若者が自分の前途を築く上で、
MBAを必要としなくなっていることである、と答えました。
現在アメリカでは、2年間のMBAプログラムを希望する学生の割合が、
2000年から20%も低下しているということです。
「なによりも大きな問題は、多くの人々が、
ビジネススクールに行く必要があるのだろうか、と考えるようになっていることです」
とノーリアは言います。
「ビジネススクールの黄金時代は1950年から2000年にかけてでした。
当時は、キャリアを積むためには、MBAを取った方がいい、と
あたりまえのように考えられていたのです。
その面でのMBAの必要性は、変化しています」
けれども、自らもインド出身者であるノーリア学部長は、
インドの状況が将来の動向を示しているかもしれない、と指摘します。
「インドでは、この間、ビジネススクールが急増し、1,000校もが開校しました。
ところがその結果、人々はMBAの学位を取るだけでは十分ではない、
教育の質こそが重要だ、と考えるようになり、統廃合が進んだのです。
同じことがアメリカでもおこりつつあります。
人々は、教育の質こと重要であると気づくようになってきたのです」
(翻訳: 服部聡子)