パネルディスカッションをうまくこなすには

by ガイ・カワサキ
元記事:http://linkd.in/1RJDc2l
(※著者の承諾を得て翻訳しています)
 
どんなパネルディスカッションでも、基調講演者の10倍はパネリストがいます。
ですから、あなたも基調講演者になるより、パネリストになる確率の方が高いでしょう。
パネリストをうまく務めることも、エバンジェリストにとっては、重要なスキルなのです。
パネリストは、一見、簡単なようにも見えます。
4、5人の人と一緒に、たかだか60分ほどをこなせばいいだけなのですから。
どうしてむずかしい、などということがあるのでしょうか。
 
問題はそこなのです。
誰もがパネルディスカッションは短いし簡単だと思っているので、その準備をしません。
ところが実際はスピーチをするより、パネルディスカッションの方が大変なのです。
 
というのも、基調講演のように自分がコントロールすることができないし、
しかもあなたがしゃべる時間はずっと少ないからです。
パネルディスカッションが終わったあと、参加者の誰もが集まってくるようなパネリストになりたければ、
以下のことが参考になるはずです。

テーマをよく知っておく

もし、あなたがよく知らないテーマでパネリストを依頼されたなら、断らなくてはいけません。
それがどれほどすばらしいチャンスであっても、関係ありません。
やらなくてすむのであれば、自分が無知だとふれまわるようなまねはやめておきましょう。

自己紹介文の準備をしておく

ほとんどのパネリストが、まずつまずくのは、司会者が最新の正確な経歴を知っていると思いこんでいることから起こります。
司会者はあなたのことをほとんど知らないか、知っていたとしてもグーグルでとおりいっぺんの検索をして、
いいかげんな経歴に目を通しているのがせいぜいです。
したがって、パネルディスカッションが始まる前に、司会者に3行ほどにまとめた経歴を渡しておき、
それを正確に読み上げてくれるよう、頼んでおきましょう。

大きな声で話す

あなたの口元とマイクの間の最適な距離は3センチです。
あなたはすわっていますし、 前屈みになっていますので、声を張り上げることができません。
ですからマイクに顔を寄せて、声をマイクに乗せるのです。
マイクを味方につけてください。

情報を伝えるのではなく、楽しませる

基調講演と同じく、あなたの最終的な目標は、情報を伝えることではなく、観衆を楽しませることにあります。
おもしろいことを言うには知性が必要なので、
あなたがおもしろければおもしろいほど、人はあなたのことを頭がいいと思います。
私も、司会者やほかのパネリストに向かって、親しみをこめて言い争いをしかけることもあります。
あなたがまず楽しんでください。
 
panel discussion
Photo By:tylerhoff

本当のことがはっきりしている場合は、それを言う

運が良ければ、司会者があなたを挑発しようとして、厳しい質問を投げかけてくるかもしれません。
これは大変すばらしいことです。
というのもあなたが
(a) ユーモアがあり
(b) 真っ正直なひとがらだということを、示すチャンスだからです。
 
真実は人を喜ばせます。
誰もが本当だと知っているようなことで、嘘をつく必要はありません。
「憲法修正第5条(※黙秘権)を行使いたします」と言うより、ずっといいのです。
少なくともそう言えば、笑いは起こりますが。

聞かれた質問には答えるが、それだけに限る必要はない

質問されたら、即座に答えます。
けれども、自分の回答の方向は、自分がやりたいように決めてください。
たとえば、司会者に
「スマートフォンにも、すぐにウィルスが登場すると思いますか?」
と聞かれたとします。
あなたはこんなふうに答えてかまいません。
「そうですね。確かにそれは問題だと思います。
でも、本当の問題は、携帯電話の優良なプロバイダが不足していることではないのでしょうか」
もしあなたがこちらの話がしたければ、このように答えるのです。

話はわかりやすく、シンプルに、短く

あなたが専門家としてパネルディスカッションに参加していると仮定しましょう。
さらに、司会者も専門家であると。
司会者が質問します。
あなたは司会者と、ほかのパネリストに向かって答えます。
全員が専門家ですから、あなたも略語だらけ、最新の頭文字だらけの話になるのです。
 
これは大変な誤りです。
聞いているのは観衆であって、司会者やパネリストではないのです。
複雑で専門的なことがらは減らし、わかりやすく、シンプルに、短く話してください。
きっとあなたは目立つはずです。

興味深そうなふりをする

もしかしたら、パネリストにとって、これは一番むずかしいことかもしれません。
ほかのパネリストたちが、長たらしく退屈で、業界用語ばかりの話をしていたとします。
メールチェックがしたくなったり、なんとかうんざりするのをがまんしようとしたり。
そういうことはしてはダメです。
ふりだけでも、興味深げな顔をすること。
なにしろあなたが退屈そうな顔をしたその瞬間に、カメラマンが写真を撮ったり、
あなたのその表情を15メートルのスクリーンに映し出そうとしているのですから。

司会者を見ない

司会者は観衆の代理にすぎません。
あなたが答えるときは、観衆の方を向いて答えてください。
そうすれば、観衆が見たくもないあなたの側頭部を見せられなくてすみます。
(参考情報:良い司会者は、アイ・コンタクトをしようとはしません。
パネリストが自分と目を合わさないで、観衆の方を見るようにし向けるのです)

「前の方に賛成です」とは言わない

司会者がパネリストひとりひとりに、同じ質問をすることがあります。
あなたが最初の回答者でない場合には、「前の方が言ったことに同意します」と言いたくなる誘惑にかられるかもしれません。
けれども、これはバカな返事です。
何か別のことをひねりだしてください。
あるいは「その質問にはもう答えが出ていると思います。会場のみなさんのために、先へ進みましょう」と言ってもいいでしょう。
 
このコラムはガイ・カワサキの最新刊『スタートの技術 2.0』(原題)の一部分を元にしたものです。
 
一読後、飛躍されんことを。
 
元記事:http://linkd.in/1RJDc2l


(翻訳:服部聡子)