本:『チームのチーム』

Team of Teams: New Rules of Engagement for a Complex World

『チームのチーム:複雑さをます世界に向き合うための新しいルール』

著者 スタンリー・マクリスタル将軍

 

 

小さなチームが持つ素早さ、順応性、結束力。

これと、大きな組織が持つ力とリソースを組み合わせることができたらどうでしょうか?

 

古いルールはもう通じない

2004年、スタンリー・マクリスタル将軍が

統合特殊作戦のタスクフォースの指揮を引きついだとき、

それまでの軍事戦術はすでに力を失いつつあると、すぐに気がつきました。

 

イラクのアルカイダは分散型のネットワークであり、

機動力が高く攻撃は無慈悲で、そして現地の民衆の中にすぐに姿を消してしまうのでした。

有志連合は兵力、武装、訓練の面において圧倒的な優位にありましたが、

そのどれをも無力化してしまうのでした。

 

巨大な怪獣に臨機応変は可能か

どんな分野においても、小さなチームが様々な面で優位に立てることは明らかなになっています。

反応が速く、情報伝達が活発で、意思決定が官僚主義的に束縛されていないのです。

ですが、本当に大きなミッションに立ち向かう組織は、

小さなガレージには入りきれません。

そのような組織には、メンバーが数千人に増えても

任務を遂行できるマネジメントの存在が必要なのです。

 

マクリスタル将軍が率いていたのは階層的で、

高度に訓練され機械のように運動する数千人の組織です。

ですが、イラクのアルカイダを倒すためには、

敵の持つそのスピードと柔軟性が必要だったのです。

世界最強の軍隊の力と、世界最怖のテロリスト・ネットワークが持つ素早さを組み合わせるのは、

一体、可能だったでしょうか?

もしそうなら、その方法を軍事組織以外にも適用することはできるのでしょうか?

 

新しい世界のためのアプローチ

マクリスタル将軍と同僚たちは、厳しい戦闘の最中に、

1世紀に及ぶそれまでの知恵を捨て去り、

タスクフォースを新しいかたちに組み直したのです。

コミュニケーションの透明性を極限まで高め、意思決定を分散型にしたのです。

大型組織を分断する分厚い壁は取り去られました。

リーダーたちは、小規模なユニットが行う良い習慣に注目し、

テクノロジーの力で一体感を作り出して、

それを3つの大陸の数千人の人々に広げる方法を見つけ出したのです。

 

これは、たったの10年前でも不可能だったものです。

このタスクフォースがより速く、よりフラットで、より柔軟な「チームのチーム」となり、

アルカイダを撃退したのです。

 

戦場を越えて

パワフルな本書では、マクリスタル将軍と同僚がイラクで立ち向かった事態が、

ビジネスやNPO、その他の数え切れない組織の局面でどのように適応されうるか、説明します。

世界はこれまでにない速さで変化しているのであり、

組織の責任者が行うべきは、小規模なグループに実験的な行動を行う自由を与え、

その一方で、メンバー全員が学びを組織全体に共有することを奨励することです。

本書の例の中で説明するように、チームのチーム戦略は、病院の救急救命室やNASAなど、

あらゆる場所で効力を発揮してきました。

チームのチーム戦略は、大きさを問わず、組織を変身させる力を秘めているのです。

 

 

 


 

元記事:http://amzn.to/1Q2NGK3

(翻訳:角田 健)