ワーキングマザーはもっと自分のケアを
by ステュー・フリードマン
ジェフ・グリーンハウスと私は、800人あまりのビジネスパーソンの生活やキャリアを調査した結果を、
『仕事と家庭 ― 協力者か敵か? ビジネスパーソンが人生の選択に直面したとき起こること』
にまとめました。
その結果、次のことがあきらかになったのです。
ワーキングマザーが自分をケアする時間が長いほど、
子供の情緒的・身体的健康度が高くなる、
というものです。
この逆説的にも思える結果は、人を驚かせるかもしれません。
けれども、自分のケアをしない人は、
その人に依存する人の世話も、
十分にできないことは、多くの証拠が示しています。
では、どうして自分自身のケアに時間や労力やお金を費やすのが、そんなにもむずかしいのでしょうか。
私はウォートンで開催している「トータル・リーダーシップ・プログラム」で参加者に
この質問をします。
あなたの生活の中で、仕事、家庭、コミュニティ、自分自身という4つの領域で、
思い通りになっているのは何パーセントぐらいですか?
ほとんどの人が「自分自身」の割合を、最も低く答えています。
自分自身のことを、見て見ぬふりをするのは、とても簡単です。
自分に責任を負っているのは、自分しかいないからです。
職場でも、家庭でも、コミュニティでも、あなたを取り巻く人々の要求や期待からくる、
強いプレッシャーに直面しているのに対し、
自分自身に対する扱いが軽くなるのも、当然のことといえるでしょう。
確かに、自分のことに時間をかけたり、かまけたりすることは、
利己的と受け取られる傾向があるために、
そうすることに罪悪感を覚えるかもしれません。
けれども、たとえ自分の心や体、精神をはぐくむのを犠牲にすることが、
短期間なら立派なことのように思えたとしても、
そういうことを続けていると、残念ながら、人は燃え尽きてしまいます。
世の中に有意義な貢献をしていくリーダーとして、
持続可能な生活を送っていくためには、
自分自身のケアもまた、大切な規律なのです。
では、どうやって罪の意識を克服すれば良いのでしょうか?
重要なことは、自分の心や肉体、精神を、いっそう良い状態に持っていくために、
自分の楽しみを味わいながら、
同時に、職場や家庭やコミュニティのために、
あなたが実際に情況をどのように改善していけばよいのか、
しっかりと見定めることです。
これはそんなに大変なことではありません。
ちょっと考えてみてください。
たとえば、あなたが仕事や家庭やコミュニティなど、
さまざまな場、さまざまな人によるさまざまな基準に従いながら、
もっと期待に応えられるような行動を取るためには、どうしたら良いでしょうか。
夜、ゆっくり休んだり、定期的に運動したり、ちゃんと食べたり、
瞑想したり、ヨガをやったり、散歩をしたり、音楽をしたり、
その他、あなたがリフレッシュでき、元気を取り戻せるようなことを
何でもすればよいのではありませんか?
ひと月ほど、それを試してみてください。
その実験によるあなたのパフォーマンスへの影響を評価するのを忘れないで。
それぞれの領域の利害を調整しながら計画を立て、
自分自身をうまくのケアをうまくできるようになれば、
ほかの人のための仕事も、望み通りの結果が出ていることに気づくでしょう。
このような実験をおこなったあと、私はプログラムの参加者に、
生活の4つの領域での彼らの満足感に対する評価を、ふたたび尋ねています。
大幅な伸びを見せるのは「自分自身」の項目で、平均して39%の増加率を示しています。
そうして、自分自身の満足感が高まれば、ほかのすべての領域でも、好転が見られるのです。
あなたは最近、自分自身のケアとして、何をしましたか?
そうして、自分の生活のほかの領域でも、ちゃんと仕事ができるように、
自分の能力を高めるようなことをしましたか?
by??Stew Friedman (ウォートン校教授)
? 元記事:http://linkd.in/18emwNV
(翻訳:服部聡子)