本:『馬で空を飛ぶ方法』
How to Fly a Horse: The Secret History of Creation, Invention, and Discovery
『馬で空を飛ぶ方法:創造、発明、発見の秘められた歴史』
著者 ケビン・アシュトン
MITにおけるテクノロジーのパイオニアとして、
また3つの成功したスタートアップのリーダーとして、
ケビン・アシュトンは、新しいものを創造する苦闘を、身をもって経験してきました。
ものづくりに20年間携わってきたアシュトンが、
今度は 『馬で空を飛ぶ方法:創造、発明、発見の秘められた歴史』 の中で、
人類のもっとも偉大な創造の裏にある、驚くべき真実を、私たちに見せてくれます。
それを作ったのは、ほんとうは誰だったのか。
そうして、彼らはどのようにそれを成し遂げたのか。
DNAの秘密が最初に解き明かされたのは、結晶学の研究室で、
長く忘れ去られていた女性によってだったことから、
ステルス爆撃機は、25セントの賭けで選ばれた、電磁気の部屋で誕生したことや、
オハイオの自転車屋でライト兄弟が「馬を飛ばす」準備をしていたことまで。
アシュトンは、見たところどうということもない人間が、
数え切れないほどの失敗をしながら、一歩ずつ前身を重ねていくようすや、
特筆することのない、地味で目立たない行動が、
私たちを仰天させるようなブレイクスルーにつながっていくさまを描き出します。
クリエイターとは、日常のごくあたりまえの、
私たちの誰にでもできるような思考と、
小さな一歩の何千という積み重ね、
無限に続くかのような問題と解決の繰り返しを、
ある特定の方法で作用させる人のことである、とアシュトンは言います。
どうしてイノベーターは抵抗に遭うのか。
そうして彼らはそれをどうやって克服するのか。
なぜほとんどの組織が、クリエイティブな人を窒息させてしまうのか。
逆に、クリエイティブな組織がどのように成果をあげていくのか。
アシュトンは探索していきます。
芸術や科学、ビジネス、発明から実例が採られ、
モーツアルトから映画『ザ・マペッツ』まで、アルキメデスからアップルまで、
カンディンスキーからコーラの缶まで、と、
本書は「新しい」ものは、どのように現れるのか、について、
熱く、読み応えのある考察がなされています。
(翻訳:服部聡子)