オープンイノベーションは未来を切り開く
By :GE Look ahead
テクノロジーが急速に進化を続ける結果、
製品サイクルがどんどん短くなり、消費者の新製品への需要が増加の一方となる世界では、
何よりも先行する人々こそが報われます。
事実、コンサルティング会社BCGによれば、
新製品を平均よりも7ヶ月早く導入している会社は、
初年度の販売で、最高60%も多くの売り上げを得ている
ということです。さらに、
新製品を早く導入した会社は、より大きな市場シェアを持ち、
開発費を低く抑えることができ、流行の仕掛け人という印象を与える
など、いち早く導入した側もまた、利益を得ることができるのです。
企業には、より早く市場に到達するための、数多くの戦略があります。
その中には、製品を標準化したり、オートメーション化や、
組み立て工場を建設したりすることも含まれます。
この市場に到達する方法の中でも、とりわけ重要な戦略が、
オープンイノベーションです。
外部のアイデアを借りるオープンイノベーション
研究と開発には、多くの費用と時間がかかります。
オープンイノベーションとは、たとえば車輪が誰かによって発明されていれば、
その発明を借りればいい、という考え方です。
こう語るのは、ハーズ・スクール・オブ・ビジネスにある
ガーウッド・センター・コーポレート・イノベーションの事務局長ソロモン・ダーウィンです。
これは、まさに2000年代初頭、アップル社がポータブル・メディア・プレーヤーのマーケットで
採用したアプローチにほかなりません。
アップルは、ポータルプレイヤー社やARM、また東芝などの企業と協力しながら、
わずか半年でiPodをローンチし、市場を制覇したのです。
今日では、3Dプリンターのような、クラウドソーシングと先進の製造技術の一体化が、
開発サイクルをさらに短縮しています。
一例をあげれば、昨年、ニューヨークに拠点を置くスタートアップ、クワーキーは、
スマート・エアコンディショナーAROSを、構想から100日もかからずに、
製品を市場に登場させています。
資本と研究集約型の事業を展開する大企業でも、
航空やヘルスケア、エネルギーなどの分野で、利益をあげるようになっています。
クワーキーとも関係の深いゼネラル・エレクトリック社は、一般大衆からアイデアを募って、
オープン・チャレンジを開催しています。
2015年2月初頭には、GHGエコマジネーション・チャレンジを開催し、
第1ラウンドの4人の勝者を発表しました。
チャレンジでは、出場者はオイルサンド(油砂)を抽出して発生した低位熱の、
利益率の高い用途を見つけなければなりません。
こうしたオープンチャレンジにはよくあることですが、
勝ち残った企画は、アプローチの仕方も、地理的な情況も、まったく異なるものでした。
ひとつはインドからで、低位熱を発電に利用するために熱ポンプを利用して解決を図るというもの。
もうひとつはオランダからで、低位熱をエネルギーに転換するために、音波を利用するというもの。
つぎのラウンドは、さらにその点の改良に焦点が当てられています。
オープンイノベーションの成果はこれから
研究と開発のコストを下げ、市場により早く出荷する、といったことに代表される
オープンイノベーションの成果を得るためには、さまざまな経験を要します。
リスクを管理し、報酬が関係者全体で配分されることを確実にするために、規律と適正な管理が求められています。
また、パートナーの選択も、カギとなっていきます。
ベルギー、ルーベン大学が2013年おこなった、
558のオープンイノベーション・プロジェクトの調査によれば、
たとえば高度な技術を要するプロジェクトでは、
科学ベースの組織と協力したとき、財政面でより良い結果を出す傾向があるということです。
いまだ課題もありますが、オープンイノベーションに取り組んだ企業が、
もとのクローズド・モデルに戻ることはほとんどありません。
2013年の調査によると、ヨーロッパとアメリカでは、125の大企業のうち、
78%がオープンイノベーションの実践に取り組み、
それを取りやめたのは0社、
そうして3年前いっそう活発に利用するようになった企業は83%にものぼりました。
多くの人は、未だ経費を切りつめながら、オープンイノベーションを活用する方法を
模索している段階にあります。
けれどもこれだけは確かなことでしょう。
オープンイノベーションは定着しつつあり、
その暗号を解いた人が、市場の先駆けとなるのです。
By :GE Look ahead
(翻訳:服部聡子)