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ビジネスにも多い「差別化ごっこ」:なぜ女性が髪を切っても気付かないのか? 

こんにちは、トイアンナです。
女性のささいな髪形の変化に気付くことができない。これは年齢問わず男性からよくご相談いただくものです。
前髪だけ1cm切った、髪色を少しだけ明るくした……そんな違いに毎回気付くことができる男性がいるならばさぞモテることでしょう。

とはいえ男性も学ぶもの。友人男性はある朝、女性スタッフが出勤してから、得意げにフロアを歩いているのが目に留まりました。こういうときは髪型が変化したときだ、と察した彼。「髪、切った?」と質問したところ「いいえ、髪は何も……変えたのはネイルです!」とたしなめられてしまったそうです。

ネイル、タイツの色、スカーフに化粧……いったいどうやってこんな違いに気付けと? と呪いたくなる、些細な変化を見抜くのは難しいものです。ですがそんな男性も趣味の領域となれば事態は一変。「この時計は盤面が全て手塗りで……」「革靴はパティーヌの最上級品で……」「手帳には結構こだわってて、こいつは各ページに糸綴じ製法が……」うっとりとした表情で語る、こんな男性をご覧になったことはありませんか?
男性だって、自分の好きな分野になればプロ顔負けの微細な違いに気付くことができるのです。

こんな風に、私たちは自分が熱中している部分なら細かな変化を察知することができます。しかしその一方で深い興味を持たない分野で起きた変化に対しては鈍感なもの
ここでビジネスに立ち返って考えていただきたいのが「あなたの製品・サービス」です。

あなたの製品に1番興味を持つのは「あなた」

あなたの製品やサービスへ1番深い興味を持っている人は誰でしょうか。答えは、あなた自身です。
例えばマーカーペンを販売している私の友人は、同じ「赤色のペン」でもインクの色からにじみ、長持ちする度合いまで誰よりも詳しく知っています。彼が扱っているペンは確かにインクがにじみにくいのが魅力です。しかしその魅力を誰も知りません。なぜなら、99%の人にとってペンのにじみ度合いは、深い興味を持たない分野だからです。

同じようなことは、他の業界でも起こります。
・ 他社より1.25倍ゴミをキャッチできる排水溝のネット
・ 今までで一番薄くて丈夫なスーパーの袋
・麻酔が上手な歯医者
・ 自由にメニューを組み合わせられるヘッドスパ

これらは全て同じ業界の人間であれば「すごい差別化だ!」と思うような変化でも、一般人には「どこが違うの?」と思われかねないものです。残酷な現実ではありますが、あなたが10年かけて作った盛大なイノベーションも、お客様から見たときには「女子のネイルが変わった」くらいにしか見られないというリスクがあるのです。

大切なのは「差別化」の伝え方

といっても「技術をどれだけ磨いても、差別化へは繋がらないから研究開発はいらない」という暴論を伝えたいのではありません。
まず、よい差別化とは「メッセージがお客様目線」になっているものです。先ほどの「差別化」は全て、製品やサービスを提供する側の目線でしか違いがわかりません。しかし全て下記のように言い換えてみたら、いかがでしょうか?

・カレーの残りも三角コーナーでキャッチ、排水溝が詰まらないネット
・5kgのお米を運んでも千切れないスーパーの袋
・無痛抜歯を約束できる親知らず専門の歯医者
・20種類のメニューから自由に選べるヘッドスパ

訴求している内容は全く同じでも、より「一般の方が興味を持つ言い方」に変わったと思います。このように差別化のほとんどは言い換えるだけでお客様の心に届く強いメッセージになります。

そもそも「差別にならない」差別化もある

その一方で「差別にならない」差別化もあります。たとえばこんな例です。

・友達を呼んだら300円オフになる割引券…「そのサービス、どこでもやってるよね?」と思われてしまいます。他社でもやっているようなキャンペーンを作っても、差別化にはつながりません。
・ 最寄りの喫茶店がわかる携帯電話の新機能…「それができたところで、何の役に立つの?」とお客様は考えてしまいます。お客様が直感的に今までと違ってすごい! と思っていただけるのでなければ、差別化にはつながりません。

このような差別化のダメ事例は、他業種であれば「なんでこんなのが差別化になると思ったの?」とすぐ気付くものです。しかし実際に自分が携わる製品になるとつい「これこそが差別化だ!」と妄信してしまいがちな落とし穴もあります。

自分が作った製品やサービスはわが子のように愛おしいもの。その子が市場でモテようがモテまいが「なぜ売れないんだ、こんなにいい子なのに」と考えてしまうのはごく自然な感情です。ですがもし、あなたが「市場でモテる」製品を作りたいのであれば差別化の最低条件は、下記を満たす必要があります。

(1)競合と比べて大きな差があること
(2)買い手にとっても「大きな変化」であること

従って、差別化をするためには競合とお客様の深い理解が必要となりますし、できれば製品ができた後ではなく「商品開発を始める前」から熟考する必要があります。差別化に繋がらない研究開発へ多額の投資をしてしまった後では、取り戻すのが難しくなるからです。

次回は、誰でも始められる簡単な競合分析のテクニックをお伝えしてまいります。

合わせて読みたい:男友達止まりの俺と 女を落とすアイツの違いは?「差別化」の秘密

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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com

「マーケティング」の基礎知識:「モテる人はお断り」

こんにちは、トイアンナです。
唐突ですが、あなたはモテますか?

学生時代から「あの、いつも同じ通学路なんですけど……、好きです!」と告白され、
バレンタインデーには靴箱にチョコが入りすぎて溢れんばかりでしたか?

それとも、バレンタインデーに「チョコが貰えるやつはいいよな」と少し羨ましく思いながら、
貰ったところで別にそんな甘いものが好きなわけでもないし……と少し強がってみたり、
男友達といることを選んだりするような甘酸っぱい学生生活を過ごしていましたか?

前者のような人は、マーケティングがいらない人ですから、ここから先は読まなくてもいいでしょう。
逆に後者の人こそ、マーケティングが必要な方です。
なぜなら、マーケティングとは
限られた資産の中で、自分がモテる場所」を探す技術だからです。

今回は恋愛を例にして、マーケティングがいかに成果を変えられるかをお伝えしたいと思います。

■ 全くモテない彼が引っ張りだこになったのは「モテる場所」を知ったから

ここで、マーケティングを使って恋愛が上手くいった実例をご紹介できればと思います。

ある40代の男性は、30代始めに起業しました。
お父様の会社を継いだ形にはなりましたが、地方のお得意様と細々と取引しているだけではいずれ競争が激しくなった時に会社がもたないと一念発起。
泥臭い営業から会計業務までがむしゃらに働き、全国区へ営業範囲を延ばすことに成功しました。

「そろそろ結婚したいな」と思った当時は42歳、ちょうど会社が軌道に乗ったころでした。
しかし地元の結婚相談所に相談したところ、ほとんど門前払いの冷遇を受けてしまいます。
結婚相談所から言われたのは「自営業の方はちょっと……」
「40代の男性は年齢的に厳しいとおっしゃる女性も多く」と、今までの努力を否定されるような言葉。

「もう結婚は無理かもしれない」と諦めていたそのとき、友人から銀座の異業種交流会へ誘われました。
今までは業務が忙しいからと断っていた彼も、1回だけ顔出ししておこうと参加したところ、信じられないくらいモテました。
その友人が「彼、ベンチャーの社長でさ、会社もめちゃくちゃ儲かってるんだよね」と女性陣に紹介してくれたのです。

地方では「安定性がない」と批判される中小企業の社長も、起業家が珍しくない都内では憧れの的。
その日だけで連絡先を10件以上交換した彼には、間もなく彼女ができました。

彼が結婚相談所に使ったお金は約100万円、対して銀座の異業種交流会は往復の交通費を足しても3万円。
彼は「自分がモテる場所」を知ったことで、お金も時間も余計にかけることなく、彼女を作ることができました。

この話は、ビジネスにそっくりそのまま当てはめることができます。
ある市場で受けなかったものが、別の市場では飛ぶように売れることがあります。
あなたの商品が売れなかったとしても、商品が悪いのではなく、単に売る場所が適していなかっただけかもしれないのです。

■ モテる場所を考えるのがマーケティング

このように、あなたの商品が「モテる場所」を探すことをマーケティングと言います。
濡れても洗える畳は、介護業界ではフローリングの床が一般的だから売れないかもしれません。
しかし、和室を入れる新築家屋で、ファミリー向け物件なら喉から手が出るほど欲しいでしょう。

商品・サービスを考えたときのお客様のイメージと、実際に買いたいと思っているお客様は違うかもしれません。

美容室の毛髪マッサージは、流行に敏感な20代女性よりも抜け毛が気になる40代男性に受けるかもしれません。
はっ水加工をしてくれるウェットティッシュは、家の掃除より洗車の仕上げで愛されるかもしれません。

「この商品は○○向けだから」と決め打ちしないで「もしかすると○○に受けるかもしれない。考えてみよう!」と
あなたの商品を新しい場所でバカ売れさせる技術。
それがマーケティングです。

■ より少ない資源と時間で

また、マーケティングで欠かせないのが「限られたお金と時間を有効活用する」考え方です。
先ほどの婚活の事例では、異業種交流会に行ったほうが結婚相談所よりも安く・早く彼女ができました。
予算が無限にある会社は存在しません。

だからこそ「マーケティング思考」では、あなたの商品・サービスが手間やお金をかけず、モテる場所を柔軟に探します。
モテる相手へアプローチすれば、「これ、いいね」と思ってもらえるので商品を買ってもらいやすいからです。

「マーケティングって、お金かかるんでしょ?」と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。
しかし実際のところマーケティングはお金をいかに節約しながら、あなたの商品やサービスを売るかを考えるのが仕事です。

「最近はウェブの時代なんで、とにかくfacebookで告知しましょう!」
「お客様にウチの商品を知ってもらうために、まずは冊子を刷りましょう」
こんなことを言い出すマーケターがいたら要注意です。

本来マーケティングは「その冊子、本当に告知の役に立ってますか?」とあなたの商品がちゃんとモテているかを、確認するのが仕事のはず。
「とりあえず」で動いては、結婚相談所に100万円使った彼の二の舞です。
これから一緒に正しいマーケティング知識を身につけて「あなたの商品がモテる場所」を考えてみませんか?
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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
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マーケティングはビジネスの「人間ドック」

 勝つ経営者と負ける経営者の分かれ道

「営業も頑張ってくれてるんだけど、売りが立たない」
「満を持して新製品も作ったのに、前と販売実績が変わらなかった」
こういった失敗談を持つ経営者の方も多いのではないでしょうか。

成功したベンチャー社長の体験談にもこういった「過去の失敗」はつきもの。
その後、上場や大成功に至る経営者も多いことから、失敗は決してこの世の終わりではありません。
重要なのは「売れないぞ」となったときに、どうやって立て直すかです。

成功した経営者と、その後も失敗を続けて廃業へ至る経営者で明暗が分かれるのは
まず「失敗した!」となるべく早いタイミングで気付くことです。

そしてすぐに何が原因だったかを突き止め、次の一手を打つこと。
このように、ビジネスの失敗へ即座に気付き、
原因を突き止めてすぐ次の一手を打つ技術をまとめて「マーケティング」と呼びます。

人間にたとえるなら、人間ドックをして症状の原因を突き止め、
すぐ完治させる医者のようなものといえます。

マーケティングは販促ではない

ここまで読んで「えっ」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「マーケティングって、販売促進のことでしょ?
ウチだって販促用のリーフレット作ってるし、ホームページ作ってくれる子はいるよ」と。
実は、そういう仕事はマーケティングの真髄ではありません。

マーケティングの本業は「何が売上アップのネックになっているのか?」を
調べるところから始まるのです。

ではここで「マーケティングがうまく機能しているときと、していないとき」で
どう差が出るかを見てみましょう。
これは実際に私が失敗した起業の話です。

【事例】 帰国子女向け通信教育の事業で「失敗」!
毎年、海外の学校を卒業した「帰国子女」が1,000人ほど大学受験のタイミングで日本に戻ってきます。
日本の大学受験は「帰国子女入試」という特殊な試験を受けなくてはいけません。
各学習塾は月70万円というとんでもない相場で、帰国後に詰め込み試験対策を施します。
そこで、インターネットの動画を使った通信教育があれば授業料も安く抑え、受験指導ができると思いました。
しかし結果は泣かず飛ばず。1年で赤字が膨らみ、廃業しました。

マーケティングがあれば仕事の「健康診断」ができる

もしこの失敗した時期に、マーケティングの知識があったら何ができたでしょうか。
まずは1年もズルズル赤字を引きずる前に、売上が立たないことに気付き原因を分析します。
そして帰国子女への聞き取り調査からたとえば
・「予備校のお金を出すのは親であって子供ではない。
・子供向けのメッセージを宣伝文句に書いていても、親へはピンと来なかったのが失敗の原因だ」
と分析するはずです。

原因が分かれば、あとは簡単。
すべての宣伝文句を「ご帰国を控えたお父様、お母様へ」と書き換えるだけです。
当時こうしていれば、半年以内に事業を立て直せたはずでした。
マーケティングがビジネスの「健康診断」の役割を果たしてくれるからです。

マーケティングでわかる「お客様」の心

こういった失敗例は、話を聞く立場だと「なんだ、そんなことも分からなかったのか」と笑って読めるものです。
しかし同じような失敗例は中小企業・ベンチャー経営で山のように出てきます。
読者の皆さまはお客様のことを、どこまで分析できているでしょうか?

試しに、ご自身のお仕事で下記に当てはまることがすべて分かるか心の中で問いかけてみてください。

【あなたの仕事にお金を払う方の主なプロフィール】
・性別、年齢、職業は何か
・今抱えている「あなたの仕事に関係した」悩みにはどんなものがあるか
・悩みを解決するために、今あなたのサービス・商品を使っていない人は、どんな代替手段を使っているのか
・その代替手段にどのくらい満足しているのか
・なぜ、顧客になっていない方はあなたのサービス・商品ではなく代替手段を選ぶのか
・あなたのサービス・商品を使うと、顧客はどんな気持ちになるか
・代替手段を使うときと、あなたのサービス・商品を使った後の気持ちには差があるか

「ここまでお客様の考えていることを深く掘るの?」と驚かれた方は、きっとマーケティング職に向いている方です。
ここまでお客様の心理を深堀りするからこそ「何が売上に繋がっていないか」を掘り当てることができます。

売れないのはあなたのせいではない

会社の売上が思うように伸びないのは、あなたが悪いのではありません。

お客様の心へ商品やサービスが届く前に、商品が誤解されてしまったり、まだ知られていなかったりするだけです。
マーケティングは会社の商品とお客様の心の間にある「接続不良」な部分を探し出して「こうすればもっとよさが伝わるはず」と伝え方を修正していきます。

あなたの素晴らしいサービスや商品が少しでもお客様に広まるよう、マーケティングという道具をこのサイトで深めていただければ幸いです。

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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
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セールスに影響を及ぼす12の心理的バイアス

by マイク・ラナハン
あなたはこれまでにバスケットボールの選手たちが、試合中、
冷え切った表情をしているのを見たことがありませんか?
立て続けに13ポイントもシュートを決められ、20ポイントも差がついてしまった。
マイボールにもかかわらず、チーム全員がうなだれ、目を落としているのを見て、
あなたは「今度はこっちの番だ。次はシュートが決まるぞ」と心の中で思います。
現実は、13ポイントも立て続けに失点するようなチームは、
次のシュートを決められそうにもありません。
あなたはギャンブラーの誤謬に陥ったのです。
つまり、人生で起こることは最終的に平均値に落ち着く、ということです。
私たちの考えには、このようなバイアスがかかりやすいものです。
そうして、あなたのいる場所に応じて、
あるバイアスが、全体の成功に大きな役割を果たすのです。
セールスにおいては、バイアスは販売員にとって悪夢そのものです。
バイアスのせいで、販売員は見込み客や自分自身について、
まちがった結論に飛躍することにもなりかねず、
結果的に取引に失敗してしまいます。
誰もに独特のバイアスがかかっていることを認識することは、
そこからくるマイナスの影響を克服するための第一歩です。
以下に挙げた12の心理学的バイアスは、
いずれも私たち誰もが影響されやすい、
同時に販売員に大きな影響を与えるものです。

セールスに影響を及ぼす12の心理的なバイアス

1. アンカリング・バイアス

アンカリング・バイアスとは、私たちが意思決定の基準として、
最初に与えられた情報を過大に評価するという傾向を指します
販売員が見込み客の言葉から、最初の痛点をとらえて、
その後に聞いた話よりもそちらを重視するならば、
その販売員はアンカリング・バイアスの犠牲になったといえます。
見込み客が話題にした最初の痛点は、もしかしたら最も重要なものではないかもしれません。
販売員はどんな時にでも顧客の問題を解決しなければならないのに、
顧客にとって優先順位の低い問題を解決したとしても、成約には決して十分ではありません。
販売員は時間をかけて、調査や観察を通じて
見込み客のことをできるだけしっかりと知らなければなりません。
販売員は見込み客の目標や痛点を正確に理解しないうちは、
価値あるアドバイスを提供することはできません。

2) 双曲割引

人は、よく似た報酬が得られるなら、すぐにもらえるものに価値を置く傾向があります。
たとえば、もしあなたが今20ドルがもらえるのと、2か月後に30ドルもらえるのであれば
どちらを選ぶ? と聞かれたら、おそらく今20ドルもらえる方を選ぶでしょう。
販売員は、双曲割引というバイアスを利用することがよくあります。
長期的な計画を立て、見込み客の将来設計に関わろうとするのではなく、
自分のノルマをてっとりばやく達成するために、価格を引き下げるのです。
成約を早く完了したいがために、値引きした価格を提案したい誘惑にかられたとしても、
販売員は顧客との関係に基づく長期的な利益を優先すべきです。
長年にわたってひいきにしてくれる顧客の存在は、
数か月後に入れ替わる見込み客よりも、はるかに価値あるものです。

3. 確証バイアス

確証バイアスとは、情報を、あなたが信じているものを裏付ける方向で解釈する傾向のことです。
販売員が見込み客から特定の答えを引き出そうと誘導的な質問をしていくと、
この確証バイアスの犠牲となるかもしれません。
たとえば販売員が、見込み客には新発売のソフトウェアが役に立つ、と考えていた場合、
このように聞くでしょう。
「短時間で成果を上げる従業員がお望みですか?」
もちろんその答えはイエスでしょうが、だからといってその見込み客に
新発売のソフトウェアが必要だと裏付けられたことにはなりません。
見込み客に実際に話しかける前に、調査に基づいた仮説を立てることは役に立ちますが、
販売員は新しい情報に耳を傾け、自分の推測が間違っているかもしれないと
進んで認める必要があります。

4. クラスター幻想

まったくランダムな出来事が連続して起こる中から
あなたがひとつのパターンを見出したとしたら、
クラスター幻想を抱いている、ということです。
販売員がある販売戦略を用いて、2,3の見込み客に対して取引を成立させた場合、
このようなバイアスに陥ることがあります。
そうしてそれ以降、あらゆる販売でその手法を用いるようになるのです。
このバイアスは、セールスが台本どおりに実現するように思えるものです。
もし見込み客がたった1人なら、それも通用するかもしれませんが、
あらゆる見込み客にそれを当てはめようとするのです。
ひとつのパターンで数人の見込み客相手にうまくいくのは、すばらしいことですが、
あなたのそのアプローチの方法が、今後もあらゆる見込み客に効果的だということではありません。
ワンパターンの考え方では、契約を勝ち取るよりも、見込み客を失うことになるでしょう。
見込み客それぞれに合わせた特別な働きかけを続けることで、
販売員は見込み客と心からつながることができ、
目覚ましい価値を提供できるのです。

5. 計画錯誤

計画錯誤は、ある仕事を完了するまでにかかる時間を
大幅に過小に見積もるようなときに起こっています。
販売員が、ついでに残った仕事を片付けてから電話を取ったとしても問題はなかった、
そこで、どんな時もこうして大丈夫だと考えたとしたら、それは計画錯誤の罠に陥っています。
計画錯誤というバイアスによって、販売員は最小の努力であっても、良い結果が出る、
という期待を抱くようになります。
仕事に十分な時間を割くことが、成功のカギであることに変わりはありません。
最小の努力で最大の結果を期待するのではなく、
あらゆる面において最高の仕事が確実にできるように、
十分な時間を確保しておかなければなりません。

6. 知識の呪い

知識の呪いとは、あなたはすでに適切な情報を持っているために、
その情報を持っていない人の抱える問題に共感することができない、ということです。
専門知識を持ち、見込み客にとってその商品が有益であることを知っている販売員が、
見込み客の反論をはねつけるような場合は、
このバイアスにとらわれていると言えるでしょう。
見込み客の反論に耳を傾け、混乱している点について時間をかけて説明する代わりに、
このバイアスにとらわれた販売員は、このように言います。
「これは効果があるんです! 私の言うことを信じてください!」
商品が見込み客の問題に応えるものだと言い張る代わりに、
販売員は信頼のおけるアドバイザーとしてふるまう必要があります。
販売員は確かな論法やカスタマー・レビューや推薦によって、
見込み客の反論に対処しなければなりませんが、
大切なことは教育にあります。
あなたの見込み客の反論は、実はあなたの商品の価値が理解できなくて、
質問しているだけなのかもしれません。
見込み客は、その商品がどのような働きがあるかに興味があるのではなく、
自分のために役に立ってくれるかどうかが知りたいのです。

7. ガラテア効果

ガラテア効果とは、もしあなたが最高のパフォーマーだと自分のことを信じているなら、
そのマインドセットゆえに、あなたは実際にそうなる、というものです。
ガラテア効果は、販売員が自分こそがこの契約を獲得する(もしくは失う)にちがいない、
と確信したときに、頭をもたげます。
結局、契約がうまくいかなければ、販売員は自分のスキルに疑いを抱くようになり、
その結果、その販売員の行動は、ますますうまくいかなくなってしまいます。
反対に、契約がうまくいけば、自信が生まれ、
以降の連勝の土台となっていくかもしれません。
このバイアスを克服するためには、販売員は報告書のあらゆる要素を検証し、
客観的な立場にある管理者からのコーチングに耳を傾ける必要があります。
販売員が意思決定に重要な役割を果たす反面、
見込み客の購入するかしないかの選択は、さまざまな要因に影響を受けているからです。

8. 選択支持バイアス

選択支持バイアスとは、過去、私たちが選んだ選択肢を肯定的にとらえ、
選ばなかった選択肢を否定的にとらえる、という態度です。
セールスの場面では、選択支持バイアスは失敗をしたことに対するあなたの反応に
影響を及ぼします。
もし見込み客にある商品がふさわしくなかったことがはっきりしても、
このバイアスにとらわれていると、その失敗がなかなか認められません。
自分に対してあまりに厳しい現実から目を背けるために、
過去の否定的な面を忘れ、肯定的なことを思い出そうとするのです。
成功を重ねていくためには、関連する情報にすべて注意を払うようにしてください。
そうして、あなたの決定がかならずどれもすばらしいものだと考えるのではなく、
期待はずれに終わることもあるのだと、認めるようにしてください。
失敗から学んだことは、強力なツールになっていくのです。

9. 新近性バイアス

新近性バイアスとは、最近表れてきたパターンがあると、
それと矛盾する長期にわたるデータがあっても、
新しいパターンが今後も続いていく、と思いがちなバイアスのことです。
販売員が、直近の5つの取引に共通性があることに気がつき、
長い時間をかけて有効性が証明された戦略を捨ててしまったとしたら、
その販売員は、このバイアスにとらわれているといえます。
新しいデータはワクワクするものですが、それは例外かもしれません。
より大きなサンプル、たとえば数か月間にも及ぶ販売の履歴の方が、
正確さの度合いは高いでしょう。
けれども、その共通パターンが継続していくのなら、販売員は新しい洞察を
セールス時の会話に生かしていく必要があります。
直観的な決定は、現代のセールスにふさわしくありません。
データは目に見えてくるはずです。

10. ギャンブラーの誤謬

ギャンブラーの誤謬とは、たとえひとつの出来事の結果が、
統計的に見て、将来に何の影響も及ぼさないとしても、
現在、何度も起こったから、将来は起こりそうもない、と考える誤りです。
販売員が4、5回続けて取引がうまくいかなかったとすると、
次こそは、平均から考えて、きっとうまくいく、と思うかもしれません。
けれども、過去の取引は、これからのものに何の影響も及ぼさないことを考えれば、
誤った認識だといえそうです。
このバイアスは、販売員が自分の側の行動を、何ら改めることなく、
幸運を期待しているとすれば、危険なことになります。
販売員は、なぜ取引がうまくいかなかったのか、深く掘り下げて理解し、
自分の戦略を手直しすることで、このバイアスに陥るのを避けることができます。
同じことを何度も繰り返す代わりに、やり方を変えることで、
悪い流れに終止符を打つことができるのです。

11. 熱い手の誤謬

ギャンブラーの誤謬の逆が、
熱い手(※カードゲームでよい手札のことを、ホットハンドと呼ぶことから)の誤謬です。
あなたが1回限りの出来事でうまくいけば(あるいは失敗すれば)、
次もきっとうまくいくだろう(あるいは失敗するだろう)と考えることがそれにあたります。
販売員がいくつかの取引を続けて成約させ、
自分が関われば今後も簡単にうまくいく、と思い込むとき、
その販売員は、熱い手の誤謬に陥っています。
こうした契約が成立したのは、数週間にわたって、一生懸命取り組んだからで、
販売員にツキがあるからではありません。
結局のところ、販売員の成功に影響するのは、セールスの基盤にほかなりません。
見込み客は、販売員が一生懸命に努めること、調査すること、
深い関係性を築くことによって顧客となるのであって、
販売員がツキに恵まれているからではないのです。

12. 共感ギャップ

共感ギャップとは、自分と同じ身体的・感情的状態にない人に対して、
共感することがむずかしい、という現象を指します。
たとえば、自分が怒っているときは、ほかの人が幸せであることが
なかなか理解できません。
販売員と見込み客が、まったく異なった心情にあるとき、
販売員は、見込み客の感情を無視したり、極力避けたりするのではなく、
できるだけ彼らの立場に身を置いて、気にかけなければなりません。
共感ギャップがあると、共通の基盤に立つことがむずかしくなり、
販売員と見込み客の間に信頼関係が生まれることを損ね、
軽蔑感が生じかねません。
最終的に言えるのは、私たちはその場その場で自分にどのようなバイアスがかかっているか、
どのバイアスが私たちの行動に影響を及ぼしているか、気が付くことはできない、ということです。
けれども自分にも固有のバイアスがかかっていることを意識し、
行動を調節することを学ぶことはできます。
セールスとは、感情に密接に関わる仕事です。
できるだけ偏りのない気持ちでいられるなら、半ば成功を手にしていると言えるでしょう。

(翻訳:服部聡子)

本:『X ビジネスがデザインと出会う経験』

X: The Experience When Business Meets Design

著者 ブライアン・ソリス

 

 

ブランドが 体験者によって定義される 新時代にようこそ

今日、あなたのブランドは、顧客にどのように経験されているか、知っていますか?

顧客がそのブランドのことを、実際はどのように感じているか、知っていますか?

あなたの聞こえないところで、顧客が何と言っているか、知っていますか?

常時接続の世界では、誰もが情報にコネクトでき、人々は相互に繋がっています。

ですからあなたのブランドも、そんな世界に生きる顧客の経験によって創りあげられていくのです。

ですから、消費者の体験を、ブランドの側がはっきりと言葉にできないでいると、

ブランドイメージは、人が経験したりシェアしたりするものによって、かんたんに覆されていきます。

 

『X ビジネスがデザインと出会う経験』は、ベストセラー作家であるブライアン・ソリスが、

なぜ優れた商品であっても、もはや消費者を満足させられなくなっているのか、

なぜクリエイティブ・マーケティングや、特別な顧客サービスが、

かならずしもうまくいかなくなっているのか、その理由を明らかにしていきます。

『X』では、なぜビジネスの将来が、経験に基づくものにあるのか、

また顧客に意味のある経験をさせるとは、どのようなことなのか、についても

明らかにされていきます。

 

これは、一般的なビジネス書とは異なるものです。

本書は、デジタルとアナログが出会う世界で、人が、現実と結びついた、

感覚を揺さぶられるような体験をすることを、改めて考えさせるものです。

本書で描かれる美的見地は、新しい視点と洞察をもたらすような感情を呼び起こし、

あなたの顧客の心をつかむ助けになってくれるはずです。

さらに、各ページごとに満載された本書のデザインは、

本書で主張されている原理に沿って、展開されています。

 

著者のブライアン・ソリスは、経験の重要性を教えてくれるだけではありません。

あなたは本書を通して、望まれるデザイン、

有意義で調和した経験となっていくデザインの方法、

さらには以下のことを楽しく学ぶでしょう。

 

・私たちの経験だけに基づいたデザインは、私たち以外の人にとって、どのような障害となるか

・どうして共感や新しい視点は、創造性やイノベーションを解き放つのか

・現実世界での、また実行過程での思考におけるUX(ユーザーの経験)の重要性

・あらゆる行動の中にある、人間中心設計の人間性

・マーケティングから商品デザイン、包装に至るまでの、ハリウッド的ストーリーテリングの技術

・経験型設計を目指す、アップルの全体的アプローチ

・異なる経験をすることと経験的マッピング・アプローチの価値

 

ビジネスの未来は、経験をいかに設計していくかにあり、

あなたはビジネスがデザインと出会う世界の建築家なのです。

 

 

 


元記事:http://amzn.to/1OgdraX

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

 

アップセルを成功させるには

by ニール・パテル
 
アップセルは多くのビジネスモデルにとって、必要不可欠なものです。
企業の中には、将来のアップセルを当てにして、損を覚悟で商品やサービスを販売しているところもあります。
 
いくつかのSaaS企業のリーダーとして、私は試行錯誤しながら、アップセルを成功させるテクニックを見つけてきました。
 
ビジネスは、ひとつとして同じものはありません。
また、顧客も一人ひとり異なるものです。
けれどもこの手法は、あなたのビジネスにかならずアップセルをもたらすでしょう。
 
その前に、そもそもアップセルとは何なのでしょうか。
 
アップセルとは、顧客が最初に考えていたものより、高額の商品を購入してもらう販売テクニックのことです。
 
すでに購入に乗り気の顧客の弾みを活かし、利益を倍増させることを目指します。
私のアップセルのモデルは、ビジネスの利益の30%以上をアップセルから上げることです。
現在の顧客にアップセルしてもらえれば、新規顧客を獲得するコストの1/5-1/10のコストしかかからないため、
きわめて理にかなっているのです。
 
では、以下にその方法を明らかにしていきましょう。

1. 顧客の最初の購入品と関連するものを

マクドナルドで注文したことがある人は、レジで「ご一緒にポテトもいかがですか?」と聞かれたことがあるはずです。
フライドポテトはハンバーガーに良く合うものです。
マクドナルドのアップセルは、あなたのもともと予定している購入品と、関連するものになっているのです。
 
ホスティング・サービスのブルーホストも、同じことをしています。
ブルーホストはさまざまなアップセルの商品紹介を行なっていますが、
ホスティングの拡張や、ドメインのセキュリティ、追加ドメインなど、どれも関連商品です。
 
関連性が、アップセルの成功のカギです。
顧客は、ある商品を買うことによって、顧客となります。
その商品を増やす、またはグレードアップすることがアップセルであるということを確認しておいてください。
 
以下に例をいくつかあげておきます。
・ ナイフを売っているのなら、ナイフ・シャープナーも売ってください。
・ ソフトウェアを売っているのなら、プレミアム・サポートも売ってください。
・ サングラスを売っているのなら、マイクロファイバー・クリーニング・クロスも売ってください。

2. 顧客に自発的に購入させる

SaaS企業の中で、アップセルにきわめて優れている会社として、セールスフォースがあります。
彼らは「ストレージ容量の制限」という形で、アップセルを行っています。
容量や処理能力に、あらかじめ制限を組み込んでおくことは、SaaSプロバイダーにとってはすばらしいアップセルの方法です。
ユーザーはもっとデータ保存や容量が必要になったときに、購入しなければならなくなるからです。
この方法を使うことによって、アップセルのために大きな労力を払う必要はなくなります。
顧客自身がその必要性を理解し、良識的な決断をしてくれるからです。
 
ジョエル・ヨークはこのことを「発見のデザイン」と呼んで、このように説明しています。
「顧客は、ニーズの成長とともに、ジャストインタイムの能力を自然に探りあて、自分のものにしていくでしょう」
何よりも成功する確率が高く、苦情も起こらないアップセルとは、
 
顧客が自分に必要なものを理解して、自発的に購入する場合です。

3. アップセルを割引する

顧客はアップセルの気配を、すぐに察知します。
彼らはアップセルに関しては、ただひとつの観点からしか考えません。
それはいくらするのだろう?
アップセルがあまりに高価なら、彼らは話に乗ってはきません。
ところが割引価格のアップセルだと聞くと、興味を示します。
経験則から、このようなことが言えます。
 
アップセルは、最初の購入品の価格の1.5倍(もしくはそれ以下)に収めなければなりません。
 
顧客はその価格を合理化しようとします。
「そうだな、自分はこれをもう買っている。これは100ドルだ。でも、こっちを買ったがもっと良いらしい。
50ドル余分に払うぐらい、いいじゃないか」
 
もし、もっと高額のアップセルを提案したければ、かならず分割払いのプランを提示してください。
たとえば6か月間、わずか1か月29ドルの支払い、と伝えることで、
お買い得であるというイメージを、相手に持たせることができるのです。

4. アップセルは初回購入後に

あるSaaS企業でのアップセルの失敗として、私が気づいたことに、
顧客が支払いを完了する前に、アップセルを持ちかけたケースがあります。
 
顧客によっては、あまりに売ろうとする気持ちがあからさまに感じられると、嫌気がさしてしまうことがあります。
顧客が買い物を止めてしまう最大の理由は、価格が上乗せされたり、引き上げられたりすることなのです。
 
支払手続きが完了する前のアップセルは、リスクがあると考えた方が良いでしょう。
それを避けるために、顧客が購入した後、アップセルの提案してはどうでしょうか。
 
顧客の手間を省くために、二回目の購入時には、支払い情報の入力を省略するのです。

5. 問題解決につながる商品を販売する

顧客が購入する商品のほとんどには、興味深い特徴があります。
そうした商品は、問題を解決しながら、さらに新たな問題を提示しているのです。
 
・ ハンバーガーを買う。→塩気があって、カリカリした食感のものがほしくなる。→フライドポテトを買う。
・ ナイフを買う。→切れ味が鈍る。→シャープナーが必要になる。
・ ソフトウェアを買う。→それを習う必要ができる。→補助教材を買う。
・ サングラスを買う。→指紋がついてしまう。→拭くためのクロスが必要になる。
 
自分が売ろうとする商品のことを、よく考えてみてください。
そうして、その商品が新たに引き出す問題や課題がないか、考えてみてください。
そうして、その新しい問題の解決策を、アップセルとして顧客に提示するのです。
何も思いつかなくても、類似の品目を紹介することもできます。
 
たとえばアマゾンが顧客に提案するのは、いずれもアップセルやクロスセルの商品です。
「よく一緒に購入されている商品」
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
「この商品に関連するスポンサー プロダクト」
「関連商品と比較」
「関連商品をお買い上げいただいたことのあるお客様に、商品のご案内」
 
あなたもこうやって、つねに何かを販売することができます。
問題を解決することに焦点を当てた商品の提案をしてみてください。

6. リスクを除去する

成功する販売プロセスには、かならず保証が含まれています。
 
アップセルの場合、それはさらに重要になってきます。
顧客はアップセルの気配を感じると、自然に用心し始めます。
あなたが顧客の信用を得ようと懸命に取り組んでいけば、アップセルが成功するチャンスも高くなります。

結論

アップセルのすばらしい点は、利益幅が高いことにあるのではありません。
 
アップセルを通して、あなたは顧客を、より長く確保できるのです。
多く買う顧客は、長く留まる顧客でもあります。
アップセルによってあなたは、販売実績を上げ、より多くの利益を上げるだけでなく、
顧客をつなぎとめ、新しいものに目移りさせないことができます。
 
付加価値のある優れた商品と、アップセル戦略によって、あなたは満足する顧客を、数多く獲得できるでしょう。

 

 

 


元記事:http://onforb.es/1PjyXuz

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

6つの顧客タイプと最適な販売方法

by ジェフ・ウィリアムズ

 

顧客は6つのカテゴリーのいずれかに分類されます

タイプごとのアプローチ方法を紹介しましょう

 

顧客というのは、ひとひらの雪のようなものです。

ひとりとして同じ顧客はいませんが、

雪の結晶にいくつかのタイプがあるように、

いくつかのタイプに分類することができます。

ここでは一般的な顧客の6つのタイプに向けたマーケティング・プランを

作成するお手伝いをしていきましょう。

1. けちな人

かならず安売りになってから買う人もいれば、

倹約を選ぶ人もいます。

けれども、そうした人をひきつけようと、

商品やサービスがどれだけ安いか、吹聴することは

あなたの商品やサービスの価値を貶めることになりかねません。

より良いアプローチ:

競合の商品やサービスが、どれほど高くつくものか、説明してみてください。

「消費者が比較できるように、より高価な代替物を利用します」

そう助言するのは、ニューヨークに拠点を置く

マデリーン・ジョンソン・マーケティング&P.R.社のCEO、マデリーン・ジョンソンです。

「私は全国のホールフーズマーケットで、家庭用ヘアカラーの中での1番の売れ筋商品を

市場に出す手伝いをしています。

高所得者向け食料品店で、高価なオーガニック食品を買うような女性や男性が、

価格のことを気にするとは、思わないでしょう。

けれども自分の身の回りのことになると、一変して彼らは気にするようになるのです。

私たちが値上げしたとき、その反動は大きなものでした。

私たちの販促資料やソーシャルメディアを通じて、

私たちは自社商品と、美容院でのヘアカラーの比較を行いました。

この商品を使えば、15ドル99セントで白髪を染めることができる、

しかもひと目にさらされることなく、自宅で染髪ができる、と訴えたのです」

二番目の、自宅で染めることができる、という点は重要です。

自宅で利用できるシステム、家を出ることなく、

ひと目にふれない、という、顧客にこの商品を買う大きな理由を提案しています。

2. 上質なものに目がない人

「けちな人」の対極にあるのが、価格を一切気にかけない顧客です。

彼らは高品質な商品やサービスを求めています。

こうした人に対しても、品質を強調することが重要であると、ジョンソンは言います。

というのも、彼らが喜んで高いお金を支払うのは、

お金に価値を置いていないからではありません。

先ほどのヘアカラーの例でいくと、こうしたクライアントに対しては、

「グレイヘアーを100%カバーする」「色が長持ちする」「髪を健やかに保つ高い品質」

「時間をかけて髪質を改善する」といった、価値を高めるようなフレーズが効果がある、

とジョンソンは言います。

品質に注目する顧客が、他のタイプと大きく異なるのは、

マーケティングのなかで、直接、価格に言及しない方が良い、という点です。

もしあなたのマーケティングが、ビジネス・オーナーに向けてのものであるなら、

費用対効果を明示することが役立つこともあります。

それを指摘するのは、ペンシルバニア州ランカスターのマーケティング・エージェンシー、

EZSolutionのコンテンツ・マーケティング戦略家であるマイケル・ジュバです。

 

ビジネス・オーナーは頑固な人が多いんです。

そうして、自分のビジネスは、全部自分でやりたがる傾向があります。

こういう人にアウトソーシングを提案するときは、投資利益率を見せ、

アウトソーシングを行うことが、適切であると説得することが大切です。

3. ブランド愛好家

もしあなたが、競合の顧客を引きつけようと考えていて、

その競合が、熱心な支持者を抱えている場合こそ、まさにあなたの出番です。

アリゾナ州グレンデールに拠点を置く、Your Marketing Universityの共同創設者、

イーライ・ディレーニーは、試しにやってみる価値のある簡単な方法を教えてくれます。

「自分に聞いてみるのです。ブランド愛好家は、どこに熱狂しているのだろう、と」

そうして、彼らを狙ったマーケティング・キャンペーンを作ってみます。

 

「私は長いこと、マイクロソフト・ユーザーでした。

ですが、マックにも気持ちを引かれていたのです」

ディレーニーが何年もためらった原因は、アップルの広告でした。

「アップルが広告のターゲットとしていた商品購買層に、私はぴったりはまっていました。

2006年から2009年にかけてのマーケティング・キャンペーンです。

彼らはそうした購買層の性格を、見事に言い当てていました。

流行に敏感で、若く、元気がありあまっていて、

ただのマック・コンピューターが与えてくれるもの以上のものを求めている人々です」

そのキャンペーンの結果、ディレーニーはマック・ユーザーになりました。

4. 買い物にうんざりしている人

こうした顧客は、あなたのキャッチ・コピーや広告のグラフィックに、

心を動かされることはありません。

とはいえ幸いにも、彼らを説得する方法はあるのです。

もし、その商品が訴えていることを裏づける研究を、あなたが知っているなら、

その情報を、マーケティング・コピーに盛り込むことを、ジョンソンは提案しています。

もちろんそれを裏づける研究が実際にはないのに、

「研究で明らかになった」などという言葉を、文章の中に放り込んではいけません。

たとえば、あなたがアンチ・エイジング用のスキンケア商品を

市場に出そうとしているのなら、

ジョンソンは、あなたが臨床研究を行った研究者と、主要成分の一覧を表示することで、

疑い深い消費者に、あなたの商品が実際の裏付けを持つことを、説得できる、と言います。

写真を販促資料に載せる場合は、

「その写真が加工されていないこと、

直接、研究をしているところを撮影したものであることを明らかにする1文を、

加えることが必要です」とジョンソンは提案しています。

 

5. 優柔不断な人

彼らは、自分が本当は何を望んでいるか、はっきりとわかっていない人々です。

彼らには説得する前に、少し手助けが必要かもしれません。

彼らはあなたの商品やサービスについて、あまり知らない可能性があります。

あなたの商品やサービスを知ってもらう、良いチャンスかもしれませんが、

このタイプの見込み客を、教育できるかどうかは、あなた次第です。

ディレーニーは、いくつかの質問から始めてみるのが良い、とアドバイスしています。

 

彼らのことをもっと知るのです。

そうすることで、あなたが適切な方向で、彼らとの会話をリードできるような

情報が得られるでしょう。

こうした人々は、あなたを専門家とみなします。

そこへ、彼らが本当は何を望んでいるかを教え、それを与えることができるなら、

彼らはあなたのことを魔術師と思うようになるでしょう。

6. 内気な人

優柔不断な人々が、あなたを敬遠するのは、彼らが内気だからかもしれません。

それを指摘するのは、The Introvert Entrepreneur(内向的な起業家)の創設者であり、

『洞察力 与えられた能力についての覚え書き』の著者でもあるベス・ビューローです。

 

「内向的な人は、研究家であり、買おうとする店に関して、詳細な評価をする傾向があります。

あなたのサイトを訪問したり、店に行くかもしれませんが、

それは販売してもらうための基本的な説明より、

もっと多くのものを手に入れるためかもしれません。

あなたの質問やサービスについて、きわめて特殊な質問がある可能性が少なくないのです。

 

私たち、内向的な人間は、書いたものに重要な情報が含まれていることの方を

好むことが多いのです。

書いたものは、話されることより、その情報を処理する時間が

私たちがの側にゆだねられるからです。

 

もうひとつ、直接、あまり個人的なことを聞いてほしくありません。

また、あまりやかましく話しかけられたくもないのです。

関係を作るためには、来訪に対して、ありがとう、と言ってくれるだけで良いのです。

そうして、何かお役に立てますか、とだけ、聞いてください。

そうして、パーソナル・スペースを十分に取ってあげてください。

もし、あなたに何か探してほしい、と頼むようなことがあれば、

それは親しくなった、という、とても良いサインです。

フレンドリーに、あまり強引になることなく、誘ってみてください。

押しつけがましく、売り込みされている、と感じたら、

内向的な人は、出て行ってしまうでしょう」

 

 

大多数の顧客は、いくつかの性格タイプの組み合わせです。

それぞれのタイプに近づく方法を理解することで、

あなたはさまざまなタイプの顧客を引きつけ、

より多くの売上につなげていくことができるでしょう。

 

 

 

 


元記事:http://amex.co/1M8stb3

(翻訳:服部聡子)

 

 

 

本:『アスク 質問すること』

Ask: The Counterintuitive Online Formula to Discover Exactly What Your Customers Want to Buy…Create a Mass of Raving Fans…and Take Any Business to the Next Level

 

『アスク 質問すること―顧客の買いたいものを見つけ出し

熱狂的ファンを生み出し ビジネスをレベルアップさせるための

反直感的オンライン・ビジネスの方程式』

著者 ライアン・レベスク

 

オンライン・ビジネスに革命を起こす「マインド・リーディング」システム

 

人が本当に買いたいものをどうやって当てればいいのか、知りたいですか?

(人が買いたいとあなたが思っているものではなく、

また買いたいと本人たちが言っているものでもなく、

本人たちが本当に買いたいものです。)
鍵は、正しい質問をすることにあります。

あなたには想像もつかない質問かもしれません。

 

見込みや既存の顧客が何を考えているのか推測などすることはもはや必要ない、

というのが『アスク 質問すること』の前提です。

 

本書で明らかにされているアスク方程式は、

23の異なる業界で何百万ドルものビジネスを確立する力になり、

その過程で1億ドルを超える売り上げを作り出しているのです。
本書を読めば、なぜ、アスク方程式が人々が買いたいものを正確に見つけ出し

それを供給するための、間違いなく最もパワフルな方法なのかがお分かりいただけるでしょう。

また、これはある意味では、あなたとあなたの会社を好きになってもらう方法でもあるのです。

 

著者のライアン・レベスクはオンライン・マーケティングのエキスパートで

CNBC、ヤフー・ファイナンス、ザ・マイアミ・ヘラルド、ザ・サンフランシスコ・クロニクル、

マス・マーケット・リテイラー、ブルームバーグ・ビジネスウィークなどに掲載された実績があります。

余すところなく描かれた本書では、

著者がこれまであなたが顧客サーベイについて知っていた全てをひっくり返してしまうでしょう。
サーベイに則った、カスタマイズできるセールスファネルを作り出すためのシステムを、

ライアン・レベスクがいかにして開発したか、本書が説明いたします。

そして、あなた自身が、業種を問わずこのシステムを導入するための方法も解説します。

アスク方程式は、誰でも取り入れることができるように、

わかりやすく、細かなステップを追って構成されているのです。

 

あなたがインターネット起業家であれ、経験を積んだオンライン・マーケターであれ、

あるいは実績のある経営者であれ、本書がインスピレーションをあたえてくれるでしょう。

そしてまた、単に正しい質問をこれまでとは全く異なった方法で投げかけるというだけで、

オンラインの収入を急成長させる方法をお教えいたします。

これは、その過程で熱狂的なファンを生み出すことにもなるのです。

ビジネスの規模を成長させたい場合も、本書があなたが持っている消費者行動と

オンライン販売についての考え方を変えてしまうでしょう。
例えば、下記のような事柄を学ぶことができます。

・ 潜在顧客に、少し変わった4語の質問を尋ねるだけで、収入を36%増やす方法。

・ なぜ、多くのビジネスがサーベイの方法を誤ってしまうのか。

また、見込み顧客に決して尋ねてはならない質問とは何か。

第一線のマーケター達がなぜアスク方程式を利用し、推薦しているのか、

ご自身で確かめてみてください。

 

 


元記事:http://amzn.to/1OC5oBv

(翻訳:角田 健)

 

 

 

 

本:『誰でも書ける』

Everybody Writes: Your Go-To Guide to Creating Ridiculously Good Content

(原題)『誰でも書ける: びっくりするほど良質のコンテンツを制作するための頼りになるガイド』

 著者: アン・ハンドリー

 

 優良コンテンツを書くためのガイドブック

 

『誰でも書ける』は、インターネットで顧客を引き寄せ、離さないための、

頼りになるガイドブックです。

 

コンテンツ主導型の世界では、事実上、誰もがライターです。

もしあなたがウェブサイトを持っているなら、あなたは出版者。

あなたがソーシャルメディアの一員なら、マーケターでもあります。

ということは、誰もが自分のマーケティング・メッセージを伝えるために、

言葉に依存して生きている、ということにほかなりません。

私たち全員が、ライターなのです。

 

でも……、誰がいまさら書くことなど、気にしているでしょうか?

 

このやっかいな世界を牛耳っているのは、短くてぴりっとした言葉。

クリックさせるための見出しや、ツイッターのタイムライン、インスタグラムのフィード、

gifアニメやビデオやスナップチャット、

YOLO(「人生は一度しかない」)や

LOL(「大笑い」)や

#tbt(「木曜日には過去の写真をアップしよう」)などの略語……

書くことに焦点をあてるなど、まるで衒学趣味、さえない話ではありませんか。

 

ところが実のところ、書くことは以前にも増して重要になっています。

ネットをかけめぐる私たちの言葉は、私たちの通貨です。

言葉は顧客に、私たちが誰なのかを伝えているのです。

 

私たちの文章は、私たちを頭がよさそうにも、バカにも見せます。

おもしろい人間にも、あたたかい人にも、仕事ができそう、とも、信頼できそう、とも感じさせます。

逆に、凡庸な印象を与えたり、混乱させたり、退屈させたりするかもしれません。

 

そのため、うまく言葉を選び、すっきりと簡潔な文章、

顧客に対して誠実で、共感が伝わる文章を書かなくてはならないのです。

 

しかも、これまでコンテンツ・マーケティングで見過ごされてきたスキルを身につけることは、

自分に新しい価値を付与することにもつながります。

 

どのように書くか。

どのようにほんとうの話を、ちゃんと、しっかり伝わるように、語るのか。

あなたが書いているのがリスティクル(※タイトルとリストだけの記事)であろうと、

スライドシェアのキャプションであろうと、

あなたが今、ここで読んでいるような文章であろうと……。

 

書くことを通して、コミュニケーションをうまく進行させることは、

もはや、単なる良いことではありません。

必要不可欠なことなのです。

書くスキルは、これまで見過ごされがちでしたが、

コンテンツ・マーケティングの基盤となるものといえるでしょう。

 

『誰もが書ける』のなかで、一流のマーケターでもあるアン・ハンドリーは、

コンテンツ制作上のプロセスと戦略、コンテンツをどのように公開するか、

すぐに実践できるハウツー、どのようにデザインし、どのように結果を出すか、など

専門家としてのアドバイスと知見を明らかにしています。

これらのレッスンとルールは、あなたのホームページやトップページ、

ランディングページ、ブログやeメール、

マーケティングの提案、フェイスブック、ツイッター、リンクトイン、

その他のソーシャルメディアなど、あらゆるところに適用できるものです。

 

アン・ハンドリーは、戦略をいったん解体し、

びっくりするほど良質のコンテンツを作成するための実践的なアプローチとして展開しています。

あなたが大きなブランドの一員であろうと、小さなブランドの一員であろうと、個人であろうと、

誰でもネット上のコンテンツを制作でき、発表するための頼りになるガイドとして、書かれているのです。

本書には以下の章が含まれています。

 

・ もっとうまく書くには

あるいは「大人になって書き始めた人」にとっては「どうしたら少しでも書くことがイヤにならないか」

・楽しくて忘れない、ビジネス向けの簡単な文法と語法

頭が良さそうに見せるけれど、嫌みなほどには見せない

・読者におもしろくて真実の物語という贈り物をあげよう

共感と人間味あふれることがここでのカギ。だから本でもそうしよう

・ジャーナリズムの伝統的なルールに則した、効果的で信頼感を抱かせるコンテンツを制作するための実践

というのも、顧客にコンテンツを公開したり、直接話したりすることは、本来、特別な権利であるから。

・マーケターが書くもの

マーケターが制作すべき基本的な17種類のコンテンツ

・コンテンツのためのツール

手際よくこなすための役に立つツール

 

伝統的なマーケティング手法では、もはや十分とは言えません。

『誰でも書ける』は、優良なコンテンツが、デジタル世界で成功するためのカギであることを知っている、

頭の良い業界人のためのフィールド・ガイドです。

 

関連記事:12ステップのライティングGPS


元記事:http://amzn.to/1xId95c

(翻訳:服部聡子)

本:『絶対的価値』

 

Absolute Value: What Really Influences Customers in the Age of (Nearly) Perfect Information

原題:『絶対的価値:(ほぼ)完全情報の時代に顧客に本当に影響を及ぼすもの』

著者 イタマール・サイモンソン、 エマニュエル・ローゼン

 

従来のマーケティングの通説に対して、

本書 『絶対的価値』は、

今日の顧客に影響を与えているのは、

実際には何なのかを明らかにするとともに、

「複合的影響力」という新しいフレームワークを提案しています。

これは、消費者の意志決定とマーケティングについての

まったく新しい考え方で、

より効果的なビジネス戦略を進めていくためのものです。

 

人の購買スタイルは、根本的な変化を遂げました。

にもかかわらず、消費者の意志決定とマーケティングについての基本的な考え方は、

変わっていません。

大部分のマーケターは、いまだに自分たちが、消費者の意識を形成し、

消費行動を誘導できると考えています。

 

けれども、この刺激的な本の中で、

スタンフォード大学教授イタマール・サイモンソンと

ベスト・セラーの著者エマニュエル・ローゼンは、

どうして今日のブランド・マントラが、妥当性を失っているかを示します。

消費者が購買を決定するときに依拠するものが、

ほかのユーザーのレビューや、簡単にアクセスできる専門家の意見、

価格比較アプリなど、新しく登場した技術などとなり、

すべてが変わってしまったのです。

 

本書は、この新時代の顧客にどうしたら影響を及ぼすことができるのか、

差し迫った問題に答えるものです。

著者のサイモンソンとローゼンは、

保守的なマーケティングの概念が、変更を迫られている点を指摘し、

企業がコミュニケーション戦略やマーケティング・プログラム、

新しい環境に対するセグメント戦略をどのように立案していくべきなのか

について語っています。

深い分析と数多くのケース・スタディ、最先端の研究が盛り込まれた、

前向きの思考に貫かれた本書は、マーケティングについて、

まったく新しい考え方を、提供してくれます。

 

 

関連記事:ガイ・カワサキの「情報の高速化はマーケティングをどう変える?」

新時代の消費行動に後れを取る学術研究


元記事:http://amzn.to/1b3e0Cs

(翻訳:服部聡子)