ジェイ・エイブラハムの戦略は日本のビジネスに当てはまるのか?

Q: ジェイさんのアメリカでの評価が高いのはわかりました。でも、日本のビジネスは、アメリカやヨーロッパとは違います。ジェイさんの戦略が、そのまま日本のビジネスに当てはまるとは思えないのですが?

A: まずはこの動画を見てください。

ジェイはここで「顧客と恋におちろ」と語っています。

お客様のことを「顧客」ではなく、自分の保護下にある「クライアント」として見ること。クライアントがより良い暮らしかできるように、誰よりも信頼されるアドバイザーになること。これは、日本で昔から受け継がれてきた「商い」の理念そのものではないでしょうか。

 

先義後利

江戸時代、現在の大丸の始祖となった下村彦右衛門は「先義後利」という言葉を遺しています。

先義後利とは、義を先にして、利益は後、つまり、お客様を大切にし、お客様のためになることをしていけば、利益はおのずとついてくる、という意味です。ジェイ氏の理念と日本の商いの理念の近しさは、それだけにはとどまりません。ビジネスが築く信頼関係こそが何よりの資産だというジェイの主張は、近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」という三方よしの思想と同根のものでしょう。

伝統と合理主義の融合

確かにジェイはアメリカ人ですから、「戦略」や「クライアント」という言葉をつかいます。また、経験から理論を引き出し、テストを重ねてその理論の確かさを裏付けていくジェイの方法論は、まさに欧米の合理主義的精神の現れであるといえるでしょう。ただ、ジェイは大学や経営大学院で理論を学んだ人ではありません。

辞書で言葉を覚え、みずから工夫を重ね、メンターについて学ぶなかから編み出していった理論や戦略は、すべて実践に裏打ちされたものです。それが日本伝統の商いに近いということは、むしろ現代社会のビジネスに求められているのが、実はそのようなものだった、ということではないのでしょうか?
ひるがえって、今の日本の私たちはどうでしょうか。

 

厳しい経済情勢のなかで、激しい競争を余儀なくされて、自分たちだけが生き延びることに必死になった挙句、日本がこれまでにつちかってきた「商い」の理念を、忘れ、捨て去ろうとしています。私たちが深く意識することもなく、近代化・合理化の中で失いつつある「日本ビジネス独自の優位性」を経験やテストに裏付けられた戦略として、改めて確認していく、ジェイの講義は、そのような機会になっていくに違いありません。
ぜひ、ご参加ください。

 

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服部聡子(ShimaFuji IEM 翻訳チームリーダー)
出産・退職後、在宅で働ける資格を身につけるために翻訳を学び始める。
約5年フィクション/ノンフィクションの下訳、ウェブ・ライターを経て、
『限界はあなたの頭の中にしかない』に巡り合い、深い共感を覚え、弊社に。


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