クライアントをつなぎとめておく方法 その2.

by ダン・トラヴィス

 

前回のコラム?「あなたのビジネスには大きな穴があるかもしれない」?で、

あなたが気づかないうちにクライアントが去っていくのは、どのようなときか、見ていきました。

そこから以下の2点が明らかになりました。

 

  1.  クライアントを軽視していることに気づかず、

     どうしてクライアントとのコミュニケーションが重要かわかっていないとき

  2.  新しいクライアントに夢中になっているとき

 

ビジネスを経営する人が、既存のクライアントが重要な資産であることを理解していないときに、

新しいクライアントと接触して、「新クライアント幸福症」とでもいうべき

根拠のない幸福感を抱きがちになる。

そのことが原因で〈ギャップ〉ができる。

そうしてこのギャップによって、クライアントはビジネスから去り、

経営者はお金を失うことがわかったのです。

 

Passion Growers on Lifetime's "The Client List"

 

今回は、ビジネスで利益を上げるためには、

思考をどのように変革させていかなければならないのか、見ていきたいと思います。

考え方を変えることによって、ビジネスの〈ギャップ〉を未然にふさぐことにもなるのです。

 

以下の2つの事実を考えてみてください。

 

「既存のクライアントがあなたから購入する可能性は、新規顧客の20-25倍である」

 

「新規顧客を獲得するためには、高いコストがかかるのに対し、

 既存のクライアントの獲得費用はゼロである」

 

こうした事実のことは、ビジネススクールでは何度となく取り上げており、

経営者の多くも、少なくとも知っているはずなのです。

問題は、多くの経営者はこのふたつのパラダイムが実際に意味するところを、

ほとんど理解していない、という点です。

彼らはこの事実が現実で何を意味しているのか、見ようとはしていないのです。

 

これらの数字は、単なる観測値にとどまるものではありません。

あなたのビジネスの成功に、きわめて大きな意味を持つ現実です。

この数字を無視すれば、ビジネスがうまくいくことはないでしょう。

 

この事実をビジネスに適用しない人が、

クライアントに誕生日プレゼントや、何かを達成したときにお祝いを贈る代わりに、

広告にお金をつぎこむようなことをするのです。

けれども、新規クライアント獲得を優先させることは、何より大きな損失につながります。

 

既存のクライアントに販売できないということは、お金を損失したということにほかならないのです。

 

ビジネスは、既存のクライアントをよく知り、価値を与え、販売するために

新しい方法を見つけ出すものでなければならない

 

Resham Asian Clothing Shop, Ashton-under-Lyne, UK

 

既存のクライアントから、より多く儲けを出す方法は、より高額な商品を売ることだけではありません。

これは、ビジネスの核心ともいえる、創造的なプロセスなのです。

 

富裕層のクライアントにハイエンドサービスを提供するように、

新しいクライアントを紹介してくれることに対する報酬を提供する戦略は、効果的です。

このようにして、既存のクライアントに販売するときに、異なる戦略を用い、組み合わせれば、

実行に移せる戦略の幅は、無限に広がっていきます。

 

気をつけなければならないのは、新規クライアント獲得に執着するあまり、

かなりの収益をそちらに注ぎこんで、ビジネス本体を危険にさらすことです。

効果のない広告費用が、この方程式に加算されると、

損失はさらにふくれあがります。

 

ここ数年、いわゆる「伝統的」広告は、どうひいき目にみても、効果的ではなくなりつつあります。

最悪の場合は、まったくのお金の無駄となってさえいます。

 

伝統的な活字広告の効果は減少し、グーグルの広告へと転換していきました。

利益率は単純に、そこには存在しないのです。

このことを見ても、既存のクライアントに対する効果的で、収益性の高い販売戦略が、

何にも増して重要であることは明らかです。

同時に、広告による利益の低減は、

新規顧客を開拓する新しい方法を見つけなければならない、ということでもあります。

 

しばらく前から、SEO固有の弱点が、明らかになってきています。

多くの人が、検索エンジン用に最適化されたデータでは、うまくかみあわないと感じるようになっているのです。

目新しくもない、コピーやスパムがらみのコンテンツは、もはや誰も引きつけられません。

?古いSEO戦略は、単にあなたをリストの最上位に置き、その特権と引き替えに、

代金を請求しようとするものでしかありません。

 

次回のコラムでは、新規クライアント獲得に向けた、創造性に富む戦略を見ていきましょう。

そこであげる戦略は、効果を上げるだけでなく、

既存のクライアントに対する戦略の増強にも役立つはずです。

 

 

著者:ダン・トラヴィス


元記事:http://linkd.in/1Dd66hI?

(翻訳:服部聡子)