優秀な経営者だけが知っている「売れない」につける処方箋

こんにちは、トイアンナです。
マーケティング講座をちらりと除くと、そこには必ず
「競合に勝つには」「差別化戦略」
といったギラギラ光る攻撃的な言葉が溢れています。
しかし実際のビジネスで伺うことが多いのは

「そもそも、ウチの商品を売れてないんだけど」
「絶対にいける!と思ったサービスが鳴かず飛ばずの閑古鳥」

といった涙ぐましい現状です。

商品やサービスが売れないと将来の投資もできませんから差別化も難しくなり、人権費にも余裕を持てず職場はピリピリ。
ますます売れ行きが落ちてしまう負のサイクル。
そこから抜け出すにはどうすればいいかをご案内します。

優秀な経営者は立ち返る勇気を持つ

今まで私が様々な商品をマーケティングしてきたうえで信じているのは、優秀な経営者ほど
「そもそも、これ根本的に間違ってないか?」
と立ち返る勇気を持っていることです。

すでに何か月も準備してきた、従業員も休みなく働いてきた……
そういった中で「やっぱりこれ、いらないんじゃない?」と思い直せば批判も浴びますし、自分も傷つきます。

しかし長期的な社員や会社の成長のために今のズレを直せる人こそ、将来ビジネスを何倍にも大きくできるのです。
ですから「売れてない!」と目の前の売上に慌ててる時期こそ実は根本的な部分へ立ち返る大きなチャンス

ここまで読んでくださったということは、あなたもまた勇気あるリーダーでしょう。
ここからはマーケティングの基礎に立ち返って、商品が売れていない理由を紐解いてみます。

同僚が相談してきたら、どうアドバイスしますか?

想像してください。
あなたへ38歳の男性の同僚が相談に来ました。
同僚は仕事もいいけど、そろそろ惚れた腫れたじゃなくって「いい恋愛」したいなあと思っているみたい。
さて、彼が今から運命の恋に落ちるには、どうすればいいでしょうか?

あなたはきっと、これから書く3つのどれかをアドバイスするはずです。

1.出会う女性の数を増やしたらどう?

2.今の女性とはうまくいってないの?そこを繋げたら?

3.出会いは多いみたいだし、気になる相手と会う回数を増やしたら?

まず「出会う女性の数」がそもそも全く無い人は、今から恋愛対象と知り合わなくては話になりません。
ただし、やみくもに出会う女性の数だけを増やしても「いい恋愛」からは遠ざかってしまいます。

今の彼女とマンネリ気味なら「あの子もいい子だと思うよ」と、再度恋の炎を燃やす演出を考えたほうがいいかもしれません。
特定の彼女はいないけど遊び人で深い関係に発展できないタイプなら、週7回合コンするのではなく、
もう気になっている相手とデートする数を増やしたほうがいいでしょう。

こんな風に、いい恋愛をするためには

「出会う数を増やす」

「今の相手を大事にする」

そして「恋人候補と長く時間を過ごす」という3つの対策がありえます。

あなたは同僚の話を根掘り葉掘り聞きながら、どのアドバイスがふさわしいかを自然と選んでいるのです。

さて、恋愛でしているアドバイスは、ビジネスでも応用できます。
恋人を顧客として考えると、「売れない商品を売れるように変える」処方箋になるのです。

あなたの商品が売れない理由は、3つしかない

さて、これをビジネスで考えてみましょう。
どんな業種であれビジネスを大きくする方法は、たった3つしかないとジェイ・エイブラハムは言っています。

お客様の数を増やす

お客様が1回あたりに使う金額を増やす

お客様がいらっしゃる頻度を増やす

いずれも、さきほどの恋愛相談で

デートする回数を増やす

今の相手を大事にして仲良くなる

デートの頻度を増やす

という候補から、あなたが選んでいるアドバイスと似ていますよね。

売れないときは「高単価の商品が売れない」「お昼の時間帯がスカスカ」といった
細かい分析を始めてしまいがちですが、ここで原則に立ち返る勇気を出しましょう。

あなたの商品やサービスが売れていないとしたら、
それはお客様の数・使う金額・いらっしゃる頻度のどれが一番足りていないのでしょうか。

原則に立ち返ってV字回復したクッキー屋さん

ここで実際に「立ち返る勇気」を発揮して売上をV字回復させた例を紹介します。
とあるアイシングクッキーを売るカフェがあります。
お砂糖でデコレーションしたかわいらしいクッキーですが、
30代以上や男性には「甘ったるそう」というイメージで敬遠されがちです。

このお店はしかも初手を誤り40代以上が多く住むエリアへ出店。
最初は完全に閑古鳥が鳴いていました。
しかし実は甘さ控えめで味が美味しく、1度通えば何度でも通いたくなるのが強み。
マーケティングの原則に立ち返って売れない理由を分析した結果、「お客様の数さえ増えれば、魅力が伝わって絶対に売れる」
と確信を得ました。

そこで店舗では隣接していたケーキ屋へコラボレーション企画を持ち込みます。
ケーキの上に、アイシングクッキーを乗せて販売したのです。
アイシングクッキーは手作業でメッセージを書いたりかわいく飾り付けできたりするのが魅力。

受け取ったケーキについてきたクッキーを「なんだこれ?」と試しにかじってみたお客様から
「このクッキー、可愛くて美味しい!」と瞬く間に評判が広がりました。

売れないときこそ割引や目の前の資金繰りに追われがちですが、
そんな時こそ一息ついて

「自分の商品の良さを伝えるためには何ができるだろう? そして今伝わっていないのはなぜだろう?」

と立ち返る勇気を出してください。
資金繰りはスタッフでもできますが、経営判断は責任者であるあなたにしかできない偉大な仕事なのですから。

 

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トイアンナ
大学卒業後、外資系企業にてマーケティング業務を歴任。
消費者インタビューや独自取材から500名以上のヒアリングを重ね、
現在はコーチングやコラム執筆を行う。
ブログ:http://toianna.hatenablog.com