ジェイ・エイブラハムのリレーショナルキャピタルの原則とは?

Q:ジェイさんは、ジョイントベンチャー(JV)と、リレーショナルキャピタルとは違うとセミナーでおっしゃってました。今ひとつ意味がわかりません。

 

A: リレーショナルキャピタル(relational capital)は、経済用語で「関係資産」と訳されています。この訳語が非常に混乱を招くと、IEM翻訳チームは考えてきました。そこで我々は「信頼関係の資産」と訳すことにしました。なぜならそもそもジェイが語るビジネス哲学の根底には、孔子や孟子といった東洋思想があるから、なのです。

ジョイントベンチャー(JV)とは、そもそもがビジネスで自社に足りない資産を他社で補おうとする考え方です。日本語では「合弁事業」でしょうか。はじめにビジネスモデルありき、です。目指すゴールが先にあり、そのゴールに向けて足りない部分を、他社と戦略的に提携を組むことで補充するという、まことにドライな関係性です。ここでいう戦略的提携とは、提携先と経済的利益の発生条件が同一となることが一般的であり、 アウトソーシングや受発注関係ではありません。 双方に利益が平等にあることが、ジョイントベンチャーです。

ジェイも、随分とこのJVにより数々の利益を生み出してきました。数多くのコンテンツも残しています。
ところが近年(2010年以降)、”JVはもう古い、これからはリレーショナルキャピタルだ”と言い出したのです。

ジェイの数々の文献を訳す中で、IEMチームは混乱しながらも、その意図を探ってきました。そしてついに、ジェイは英語にはない「ご縁」や「恩送り」のことを語っているのだと把握するに至りました。ビジネスゴールが先にあるのではないのです。先に「関係性」があるのです。ご縁をいただいた方にその恩をお返しするために何ができるのか。それを追求していくことで、ビジネスは後からついてくるというのです。

ジェイの『卓越論』では、経営者が守らねばならないクライアントは3種類あると言います。1種類は経営者にお金を払ってくれる人、つまり顧客です。あとの2種は、逆に経営者がお金を払う人々です。つまり、ベンダー(取引業者)と、スタッフです。提携先もこのように「守るべき相手」として考えねばならない。そこからリレーショナルキャピタル、つまりは「信頼関係の資本」という発想が生まれてくるのです。

ジェイ・エイブラハムの真骨頂は、常に進化し、深化していることです。その深まる彼の思考を追求し続け、新たに翻訳した結果をお届けせねばならないと、強い使命感を感じています。それを粛々とおこなって参ります。

 

______________

島藤真澄 (ShimaFuji IEM代表)

フォーブス誌選出全米5大ビジネスコーチ,ジェイ・エイブラハムの
東アジアディレクター(交渉代理人)。日本独占エージェント。
ジェイの『限界はあなたの頭の中にしかない』PHP研究所を企画・翻訳。